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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09G
管理番号 1331723
審判番号 不服2016-13912  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-16 
確定日 2017-09-05 
事件の表示 特願2012- 1082「光検出機能を備えるOLEDディスプレイ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月 2日出願公開、特開2012-145940、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 出願の経緯
本願は、平成24年1月6日(パリ条約による優先権主張、2011年1月10日(以下、「優先日」という。) 韓国)の出願であって、平成27年8月17日付けで拒絶理由が通知され、平成27年11月25日に手続補正がなされたが、平成28年5月10日付けで拒絶査定がなされ、平成28年9月16日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされ、当審において平成29年3月29日付けで最後の拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年7月4日付けで手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年5月10日付けの拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1 理由1
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
・請求項1-10
上記各請求項の「イメージパターン」という用語は明確でない。

2 理由3
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1-10
・引用文献1:特開2010-250789号公報

第3 当審の拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1 理由1
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


請求項1ないし10に係る発明について
引用例1:特開2010-250789号公報(拒絶査定時の引用文献1)

2 理由2
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


(1)請求項1に記載された、「隣接する透明ウィンドウの相違な配列を繰り返す」とは、どのような技術的内容を意味しているのか、不明である(日本語の文章としても、文意が不明である。)。
請求項8についても、同様である。

(2)請求項2の「前記ディスプレイパネルは、円形のホール、多角形のホール、またはMURA(Modified Uniformly Redundant Array)のいずれか1つの前記イメージ取得パターンを形成する、請求項1に記載のOLEDディスプレイ装置。」との記載は、請求項1の記載と相容れないから、請求項2に係る発明は、明確でない。

(3)従って、請求項1、2、8及び請求項1、8を引用する請求項3?7、9、10に係る発明は明確でない。

第4 本願発明
本願の請求項1-9に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、平成29年7月4日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
光検出機能を備える有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ装置であって、
複数のOLEDピクセルを用いて形成されるイメージ取得パターンを含むディスプレイパネルであり、有機発光ダイオードピクセルに含まれるウィンドウの透明性の有無に応じて配置された前記複数の有機発光ダイオードピクセルにより前記イメージ取得パターンが形成される、ディスプレイパネルと、
前記イメージ取得パターンを通過する、外部オブジェクトからの入力光を検出するセンサパネルと、
を備え、
前記ディスプレイパネルは、透明ウィンドウを含む第1有機発光ダイオードピクセルと、不透明ウィンドウを含む第2有機発光ダイオードピクセルとの組み合わせによって、MURA(Modified Uniformly Redundant Array)の配列を繰り返す、前記イメージ取得パターンを形成する、
OLEDディスプレイ装置。
【請求項2】
前記有機発光ダイオードピクセルは、赤色光、緑色光、または青色光のうちいずれか1つを発光する発光部を備え、
前記ディスプレイパネルは、前記発光部を介して映像を表示すると同時に、前記イメージ取得パターンで前記入力光を通過させ、前記センサパネルで前記外部オブジェクトを検出する、
請求項1に記載のOLEDディスプレイ装置。
【請求項3】
前記外部オブジェクトにIR(Infrared Ray)を送出するIR光ソースと、
前記外部オブジェクトによってリターンされる前記IRを含む前記入力光から赤外線成分を抽出するパスフィルタと、
をさらに備え、
前記センサパネルは前記赤外線成分を検出する、
請求項1に記載のOLEDディスプレイ装置。
【請求項4】
前記有機発光ダイオードピクセルに含まれ、前記外部オブジェクトにIRを送出するIR光ソースと、
前記有機発光ダイオードピクセルに含まれ、前記外部オブジェクトによってリターンされる前記IRを含む前記入力光から赤外線成分を抽出して前記イメージ取得パターンに伝達するパスフィルタと、
をさらに備え、
前記センサパネルは、前記イメージ取得パターンを通過した前記赤外線成分を検出する、
請求項1に記載のOLEDディスプレイ装置。
【請求項5】
前記有機発光ダイオードピクセルに含まれ、前記外部オブジェクトにIRを送出するIR光ソースと、
前記外部オブジェクトによってリターンされる前記IRを含む前記入力光から赤外線成分を抽出するパスフィルタと、
をさらに備え、
前記センサパネルは前記赤外線成分を検出する、
請求項1に記載のOLEDディスプレイ装置。
【請求項6】
前記イメージ取得パターンは、前記有機発光ダイオードピクセルのそれぞれに含まれる少なくとも1つのウィンドウの透明性の有無を調整して形成される、
請求項1に記載のOLEDディスプレイ装置。
【請求項7】
光検出機能を備える有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ装置であって、
複数の有機発光ダイオードピクセルから形成されるイメージ取得パターンを含むディスプレイパネルであって、有機発光ダイオードピクセルのそれぞれに含まれる少なくとも1つのウィンドウの透明性の有無に応じて前記イメージ取得パターンが形成される、ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネル後端に位置し、前記イメージ取得パターンを通過する光が検出される少なくとも1つのセンサを含むセンサパネルと、
を備え、
前記ディスプレイパネルは、透明ウィンドウを含む第1有機発光ダイオードピクセルと、不透明ウィンドウを含む第2有機発光ダイオードピクセルとの組み合わせによって、MURA(Modified Uniformly Redundant Array)の配列を繰り返す、前記イメージ取得パターンを形成する、
OLEDディスプレイ装置。
【請求項8】
外部オブジェクトにIRを送出するIR光ソースと、
前記外部オブジェクトによってリターンされる前記IRを含む入力光から赤外線成分を抽出するパスフィルタと、
をさらに備え、
前記センサパネルは前記抽出された赤外線成分を検出する、
請求項7に記載のOLEDディスプレイ装置。
【請求項9】
前記パスフィルタは、前記ディスプレイパネルと前記センサパネルとの間に位置する、
請求項8に記載のOLEDディスプレイ装置。」

第5 引用例、引用発明等
当審拒絶理由で引用された引用例1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0226】
図12は、可視光発光ダイオードと近赤外発光ダイオードを一体にした素子を画素に用いた表示画面10に複数の穴を開け、当該穴を介してカメラ視野を得るカメラ付き表示装置である。図12(A)は断面図、(B)は正面図である。(B)の一点鎖線での断面部が(A)に対応する。
【0227】
図12(A)(B)において、BSNは、不透明な薄い板で、3色の発光ダイオード(LED-BGR)を用いたカラーピクセルPXC1と、3色の発光ダイオードに近赤外発光ダイオード(LED-IR)を加えたPXC2が実装されている。図12(C)は、PXC2の拡大図である。LEDの裏側には、凹面鏡反射板Refが設けられている。SCは光散乱材である。59は指向性レンズで、利用者が居る前方に指向性のある光が放出されるように作用する。14は光強度分布である。なお、図12(A)では、59は省略している。21は、LED-IRから放出される近赤外照明光である。
【0228】
図12(B)において、画面10のPXC1、又は、PXC2の間には、複数の穴HLが設けられている。当該複数の穴を囲むように、10の裏側にカメラレンズCam1(Lens)が設けられている。当該穴を通過する被写体反射光28をRef-BGRを介してCCDに結像させることによって被写体像が得られる。PXC2は、1mm?3mm程度の大きさで、カメラレンズの光軸付近とカメラレンズの周囲に各々多数設けられている。つまり、2種類の照明装置LgIn1、LgIn2が設けられている。以上のように、照明装置付き表示画面10は薄型で、精細な幾何学的パターンの照明光を放出できる。図8と同様な方法により、角膜反射像、瞳孔像の撮影に用いることができる。
【0229】
図12(D)は、図12(B)の二点鎖線での断面を示し、かつ、PXC1、又は、PXC2の代替に、画素の表側が広く、裏側が狭い構造の発光体PXC3を用いた実施例である。当該発光体を用いると、同図のように、穴HL、つまり、光通過部は、画面表側から裏側に向けて広くなるため、被写体反射光28は、広い範囲からカメラレンズに均一に入射する。従って、明るく精細な画像が得られる。59は指向性レンズである。」

よって、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「可視光発光ダイオードと近赤外発光ダイオードを一体にした素子を画素に用いた表示画面10に複数の穴を開け、当該穴を介してカメラ視野を得るカメラ付き表示装置であって(段落【0226】より)、不透明な薄い板BSNには、3色の発光ダイオード(LED-BGR)を用いたカラーピクセルPXC1と、3色の発光ダイオードに近赤外発光ダイオード(LED-IR)を加えたPXC2が実装されており(段落【0227】より)、画面10のPXC1、又は、PXC2の間には、複数の穴HLが設けられ、当該穴を通過する被写体反射光28をRef-BGRを介してCCDに結像させることによって被写体像が得られる(段落【0228】より)、カメラ付き表示装置。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
引用発明1における「カメラ付き表示装置」は、「可視光発光ダイオード」を含んだ「素子を画素に用いた表示画面10」を有しており、また、「カメラ」の「CCD」が光の検出機能を有していることは明らかであるから、本願発明1における「光検出機能を備える有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ装置」とは、「光検出機能を備える発光ダイオード(LED)ディスプレイ装置」の点で共通する。
次に、引用発明1における、「不透明な薄い板」に「実装され」た「3色の発光ダイオード(LED-BGR)を用いたカラーピクセルPXC1」又は「3色の発光ダイオードに近赤外発光ダイオード(LED-IR)を加えたPXC2」の間に、「複数の穴HLが設けられ」、「当該穴を介してカメラ視野を得る」「表示画面10」と、本願発明1における「複数のOLEDピクセルを用いて形成されるイメージ取得パターンを含むディスプレイパネルであり、有機発光ダイオードピクセルに含まれるウィンドウの透明性の有無に応じて配置された前記複数の有機発光ダイオードピクセルにより前記イメージ取得パターンが形成される、ディスプレイパネル」とは、「イメージ取得パターンを含むディスプレイパネルであり、複数の、光の透過する部分が配置された前記イメージ取得パターンが形成される、ディスプレイパネル」の点で共通する。
次に、引用発明1における「カメラ」の「CCD」は、「当該穴を通過する被写体反射光28」が「結像」しているから、本願発明1における「前記イメージ取得パターンを通過する、外部オブジェクトからの入力光を検出するセンサパネル」に相当する。
よって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、共通点があるといえる。

(一致点)
光検出機能を備える発光ダイオード(LED)ディスプレイ装置であって、
イメージ取得パターンを含むディスプレイパネルであり、複数の、光が透過する部分が配置された前記イメージ取得パターンが形成される、ディスプレイパネルと、
前記イメージ取得パターンを通過する、外部オブジェクトからの入力光を検出するセンサパネルと、
を備えた、
LEDディスプレイ装置。

(相違点1)
本願発明1では、LED(つまり、発光ダイオード)が、OLED(つまり、「有機発光ダイオード」)であるのに対し、引用発明1では、LED(つまり、「発光ダイオード」)の種類が明らかでない点。

(相違点2)
本願発明1では、イメージ取得パターンが、「有機発光ダイオードピクセルに含まれるウィンドウの透明性の有無に応じて配置された前記複数の有機発光ダイオードピクセルにより」形成され、「透明ウィンドウを含む第1有機発光ダイオードピクセルと、不透明ウィンドウを含む第2有機発光ダイオードピクセルとの組み合わせによって、MURA(Modified Uniformly Redundant Array)の配列を繰り返す」ものであるのに対し、
引用発明1では、「複数の穴HL」が、「不透明な薄い板」に「実装され」た「3色の発光ダイオード(LED-BGR)を用いたカラーピクセルPXC1」又は「3色の発光ダイオードに近赤外発光ダイオード(LED-IR)を加えたPXC2」の間に設けられている点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点2について検討すると、相違点2に係る本願発明1の、「イメージ取得パターン」が、「有機発光ダイオードピクセルに含まれるウィンドウの透明性の有無に応じて配置された前記複数の有機発光ダイオードピクセルにより」形成され、「透明ウィンドウを含む第1有機発光ダイオードピクセルと、不透明ウィンドウを含む第2有機発光ダイオードピクセルとの組み合わせによって、MURA(Modified Uniformly Redundant Array)の配列を繰り返す」という構成は、引用例1に記載されておらず、また、本願の優先日前において周知であるともいえない。
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-6について
本願発明2-6は、本願発明1に所定の限定を付加した発明であるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明7について
本願発明7も、本願発明1と同様の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

4 本願発明8-9について
本願発明8-9は、本願発明7に所定の限定を付加した発明であるから、本願発明7と同様の理由により、引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
1 理由1について
平成29年7月4日付けの手続補正により、拒絶査定時の特許請求の範囲に記載された「イメージパターン」との用語は、「イメージ取得パターン」と補正された。
よって、特許請求の範囲の記載は明確なものとなった。

2 理由3について
平成29年7月4日付けの手続補正後の本願発明1は、「イメージ取得パターン」が、「有機発光ダイオードピクセルに含まれるウィンドウの透明性の有無に応じて配置された前記複数の有機発光ダイオードピクセルにより」形成され、「透明ウィンドウを含む第1有機発光ダイオードピクセルと、不透明ウィンドウを含む第2有機発光ダイオードピクセルとの組み合わせによって、MURA(Modified Uniformly Redundant Array)の配列を繰り返す」という構成を有するものとなった。
つまり、「イメージ取得パターン」が、「MURA(Modified Uniformly Redundant Array)の配列を繰り返す」ものである、との技術的事項を示すものとなった。
そして、上記技術的事項は、引用文献1(当審拒絶理由における、「引用例1」)に記載されておらず、また、本願の優先日前において周知であるともいえないことは、上記「第6」「1」「(2)相違点についての判断」で述べたとおりである。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものではない。

また、本願発明2-9についても、同様の理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものではない。

よって、原査定を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由について
1 理由1について
上記「第6」「1」「(2)相違点についての判断」で述べたとおり、本願発明1は、当業者であっても、引用例1に記載された発明(引用発明1)に基づいて容易に発明できたものではない。

また、本願発明2-9についても、同様の理由により、当業者であっても、引用例1に記載された発明(引用発明1)に基づいて容易に発明できたものではない。

よって、理由1は解消した。

2 理由2について
平成29年7月4日付けの手続補正により、請求項1、7(平成28年9月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1、8)における「イメージ取得パターン」が、「MURA(Modified Uniformly Redundant Array)の配列を繰り返す」ものであると補正された結果、理由2(1)は解消した。

また、当審拒絶理由における理由2(2)の対象とされた請求項2(平成28年9月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項2)は、平成29年7月4日付けの手続補正により削除されたから、理由2(2)も解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-23 
出願番号 特願2012-1082(P2012-1082)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G09G)
P 1 8・ 121- WY (G09G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 武田 悟  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 関根 洋之
清水 稔
発明の名称 光検出機能を備えるOLEDディスプレイ装置  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  
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