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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F16L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F16L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 F16L
管理番号 1331758
審判番号 不服2016-5898  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-21 
確定日 2017-09-12 
事件の表示 特願2013- 6616号「車両用空気調和装置の配管連結構造」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月28日出願公開、特開2014-137117号、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年1月17日の出願であって、平成26年11月28日付けで拒絶理由が通知され、平成27年1月23日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月26日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年8月17日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年1月28日付けで補正の却下の決定がされるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、平成28年4月21日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、平成29年3月29日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年5月16日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 平成28年1月28日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要
1 平成28年1月28日付けの補正の却下の決定の概要は次のとおりである。
請求項1についての補正は限定的減縮を目的としている。この場合、補正後の請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
しかしながら、当該補正後の請求項1に係る発明は、引用文献1?4に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定に該当するものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、この補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

引用文献等一覧
1.特開平11-190467号公報
2.国際公開第01/44705号
3.特開2000-043557号公報
4.特開2003-287158号公報

2 原査定の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1、2、3、4に係る発明は引用文献I及びIIに記載された発明に基いて、また、請求項5に係る発明は引用文献I?IIIに記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
I.特開平11-190467号公報(上記1の「引用文献1」と同じ)
II.国際公開第01/44705号(上記1の「引用文献2」と同じ)
III.実願平03-081891号(実開平05-027472号)のCD-ROM

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合するものではなく特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年5月16日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「冷媒が流通する第1の配管と、
冷媒が流通する第2の配管と、
一端側に前記第1の配管が挿し通されている第1の挿通部が形成され、他端側に前記第2の配管が挿し通されている第2の挿通部が形成されていて、前記第1の配管と前記第2の配管とを連結しているクランプ装置と、
を備え、
前記第1の挿通部の内周面の形状は、前記第1の配管に形成されている凸部と係り合って当該第1の配管に対して当該第1の挿通部が回転するのを防止する形状であり、且つ、
前記凸部は、前記第1の配管の少なくとも一部を構成する2本の配管の結合部であり
前記第1の挿通部に挿し通されている前記第1の配管の中心部と前記第2の挿通部に挿し通されている前記第2の配管の中心部とを結ぶ方向と、前記第1の配管の中心部と前記凸部に係り合う前記内周面の前記凸部の凸方向における頂点とを結ぶ方向とが交差していて、
前記第2の配管は、前記クランプ装置の近傍に当該第2の配管に冷媒を導入する導入口を備えている、
車両用空気調和装置の配管連結構造。」

第5 当審の判断
2-1 当審拒絶理由について
当審では、補正前の請求項1について、「前記第1の挿通部と前記第2の挿通部とを結ぶ方向と、前記第1の挿通部と前記凸部に係り合う前記内周面の部分とを結ぶ方向とが交差していて」と記載中、「前記第1の挿通部と前記第2の挿通部とを結ぶ方向」及び「前記第1の挿通部と前記凸部に係り合う前記内周面の部分とを結ぶ方向」が技術的に明らかでなく、発明が不明確である旨の拒絶の理由を通知しているが、平成29年5月16日付けの手続補正により、本願の請求項1は、上記「第4」のとおり補正された。
そして、この補正により、上記拒絶の理由は解消した。

2-2 平成28年1月28日付けの補正の却下の決定及び原査定について
(1)引用文献1に記載された発明
なお、引用文献1と引用文献Iは同じ文献である。
ア 引用文献1には、「配管と接続ブロックとが一体となった配管組立て(配管アッセンブリ)を保持固定するための配管クランプ」に関する技術について開示されており(段落【0001】)、その特許請求の範囲には、次のとおり記載されている。
「【請求項1】 流体が流通する配管(21)、および前記配管(21)の端部に接合され、前記配管(21)と他の配管(22)とを接続するための接続ブロック(23)からなる配管組立て(20)を固定部(30)に保持固定するための配管用クランプであって、
前記固定部(30)に固定されるクランプ本体部(11)と、
前記配管組立て(20)が前記クランプ本体部(11)に保持された状態で、前記接続ブロック(23)が前記クランプ本体部(11)に対して所定位置に位置するように、前記接続ブロック(23)の位置を矯正する矯正ガイド部(12)とを有していることを特徴とする配管用クランプ。」
イ また、上記「配管用クランプ」の実施形態を示す図1?3の記載によれば、上記「配管組立て20」は一対存在し、当該一対の配管組立て20が、それぞれクランプ本体部11の所定位置に位置するように保持されることが看取できる。
さらに、上記「配管用クランプ」は、「車両用空調装置の冷媒配管を車両に保持固定するためのクランプに適用」されるものであるから(【0009】)、一対の配管組立て20と配管用クランプとを備えて、車両用空調装置の冷媒配管を車両に保持固定するための構造が構成されることも明らかである。
ウ 以上によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「流体が流通する配管21、および前記配管21の端部に接合され、前記配管21と他の配管22とを接続するための接続ブロック23からなる配管組立て20を固定部30に保持固定するための配管用クランプであって、前記固定部30に固定されるクランプ本体部11と、前記配管組立て20が前記クランプ本体部11に保持された状態で、前記接続ブロック23が前記クランプ本体部11に対して所定位置に位置するように、前記接続ブロック23の位置を矯正する矯正ガイド部12とを有する配管用クランプと、
前記配管組立て20とを備え、
前記配管組立て20は一対存在し、当該一対の配管組立て20が、それぞれ前記クランプ本体部11の所定位置に位置するように保持される、
車両用空調装置の冷媒配管を車両に保持固定するための構造。」

(2)対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「配管組立て20」は、「流体が流通する配管21、および前記配管21の端部に接合され、前記配管21と他の配管22とを接続するための接続ブロック23からなる」ものであって、「一対存在」し、さらに、「車両用空調装置の冷媒配管」として位置付けられるものである。
してみると、上記「一対」の「配管組立て20」は、本願発明の「冷媒が流通する第1の配管」及び「冷媒が流通する第2の配管」に相当するものといえる。
(イ)引用発明の「配管用クランプ」は、本願発明の「クランプ装置」に相当する。
また、引用発明の「配管用クランプ」は、「前記配管組立て20が前記クランプ本体部11に保持された状態で、前記接続ブロック23が前記クランプ本体部11に対して所定位置に位置するように、前記接続ブロック23の位置を矯正する矯正ガイド部12とを有する」ものであって、「一対の配管組立て20が、それぞれ前記クランプ本体部11の所定位置に位置するように保持される」ものであるから、配管用クランプに、一対の配管組立て20が挿し通される各挿通部が構成されることは技術的に明らかであり、さらに、配管用クランプの端部の位置を基準とすれば、各挿通部が一端側及び他端側に構成されることも明らかである(図1?3にもそのように示されている。)。
したがって、かかる「配管用クランプ」の構成は、本願発明の「クランプ装置」における「一端側に前記第1の配管が挿し通されている第1の挿通部が形成され、他端側に前記第2の配管が挿し通されている第2の挿通部が形成されていて、前記第1の配管と前記第2の配管とを連結している」という構成に相当するものといえる。
(ウ)引用発明の「車両用空調装置の冷媒配管を車両に保持固定するための構造」は、本願発明の「車両用空気調和装置の配管連結構造」に相当する。

以上によれば、本願発明と引用発明とは、
「冷媒が流通する第1の配管と、
冷媒が流通する第2の配管と、
一端側に前記第1の配管が挿し通されている第1の挿通部が形成され、他端側に前記第2の配管が挿し通されている第2の挿通部が形成されていて、前記第1の配管と前記第2の配管とを連結しているクランプ装置と、
を備える、
車両用空気調和装置の配管連結構造。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
「クランプ装置」について、本願発明は、「前記第1の挿通部の内周面の形状は、前記第1の配管に形成されている凸部と係り合って当該第1の配管に対して当該第1の挿通部が回転するのを防止する形状であり、且つ、前記凸部は、前記第1の配管の少なくとも一部を構成する2本の配管の結合部であり 前記第1の挿通部に挿し通されている前記第1の配管の中心部と前記第2の挿通部に挿し通されている前記第2の配管の中心部とを結ぶ方向と、前記第1の配管の中心部と前記凸部に係り合う前記内周面の前記凸部の凸方向における頂点とを結ぶ方向とが交差していて」という構成を具備するのに対し、引用発明は、「前記固定部30に固定されるクランプ本体部11と、前記配管組立て20が前記クランプ本体部11に保持された状態で、前記接続ブロック23が前記クランプ本体部11に対して所定位置に位置するように、前記接続ブロック23の位置を矯正する矯正ガイド部12とを有する」という構成を具備する点。
<相違点2>
本願発明は、「前記第2の配管は、前記クランプ装置の近傍に当該第2の配管に冷媒を導入する導入口を備えている」のに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。

イ 判断
上記相違点1について検討する。
(ア)平成27年8月17日付けの手続補正及び平成29年5月16日付けの手続補正により補正された明細書の記載によれば、本願発明は、「配管同士を連結部材で連結する場合に、一方の配管側を押圧しても他方の配管を中心に連結部材が回転してしまうことがないようにする」という課題を解決するために(段落【0005】)、上記相違点1に係る「前記第1の挿通部の内周面の形状は、前記第1の配管に形成されている凸部と係り合って当該第1の配管に対して当該第1の挿通部が回転するのを防止する形状であり、且つ、前記凸部は、前記第1の配管の少なくとも一部を構成する2本の配管の結合部であり 前記第1の挿通部に挿し通されている前記第1の配管の中心部と前記第2の挿通部に挿し通されている前記第2の配管の中心部とを結ぶ方向と、前記第1の配管の中心部と前記凸部に係り合う前記内周面の前記凸部の凸方向における頂点とを結ぶ方向とが交差していて」という構成を具備したものと理解することができる(段落【0008】)。
(イ)他方、引用発明の「配管用クランプ」は、「前記固定部30に固定されるクランプ本体部11と、前記配管組立て20が前記クランプ本体部11に保持された状態で、前記接続ブロック23が前記クランプ本体部11に対して所定位置に位置するように、前記接続ブロック23の位置を矯正する矯正ガイド部12とを有する」という構成を具備するものであるから、引用発明の配管用クランプは、クランプ本体部11が固定部30に固定されることを前提として、クランプ本体部11で配管組立て20を保持するとともに、矯正ガイド部12で接続ブロック23を前記クランプ本体部11に対して所定位置に位置決めすることが明らかである。
したがって、引用発明の「配管用クランプ」は、固定部30に固定されていることが前提とされているから、そもそも「配管同士を連結部材で連結する場合に、一方の配管側を押圧しても他方の配管を中心に連結部材が回転してしまうことがないようにする」という課題は存在しないし、さらに、矯正ガイド部12で接続ブロック23をクランプ本体部11に対して所定位置に位置決めするものであるから、配管用クランプに対して配管組立て20が回転するような構成ということもできない。
(ウ)ここで、引用文献2(なお、引用文献2と引用文献IIは同じ文献である。)には、パイプの固定装置に関し(明細書1頁5?6行)、少なくとも、パイプの回転方向及び長手方向におけるパイプの変位に対抗する固定装置を提供するという技術課題を解決するために(明細書3頁8?12行)、
固定装置を、第1の保持部材2、第2の保持部材3及びロック部材4を備えて構成すること(明細書4頁19?22行、図1、2)、上記第1の保持部材2には、第1の側面11、第2の側面12及びそれらの側面11、12を接続する底面13を有するくさび形の第1の溝と、円形の断面形状を有するマントル面14を有する第2の溝とを設けること(明細書4頁27行?5頁4行、図1、2)、上記第2の保持部材3にも前記第1保持部材2と同様なくさび形の溝とマントル面の溝とを設け、前記第1の保持部材2のくさび形の第1の溝及びマントル面14を有する第2の溝のそれぞれを、前記第2の保持部材3のマントル面の溝及びくさび形の溝と協同するにように配置すること(明細書5頁6?14行、図1、2)、及び、
パイプは、パイプの長さの実質的な部分において円形の断面とし、第1及び第2の肩領域42、43で画定される少なくとも1つの領域40を変形した断面を有する領域を形成すること(明細書6頁9?15行、図2、3)、が記載されている。
しかし、上記(イ)で述べたとおり、引用発明の「配管用クランプ」には、「配管同士を連結部材で連結する場合に、一方の配管側を押圧しても他方の配管を中心に連結部材が回転してしまうことがないようにする」という課題は存在しないし、さらに、配管用クランプに対して配管組立て20が回転するような構成ということもできないから、そもそも上記引用文献2に記載された技術事項を適用する動機付けは存在しない。
これについて補足すれば、矯正ガイド部12で接続ブロック23を所定位置に位置決めする引用発明において、さらに、クランプ本体部11においてまで、引用文献2に記載されたパイプの回転方向及び長手方向におけるパイプの変位に対抗するための構造(固定装置にマントル面の溝及びくさび形の溝を設けるとともに、パイプに変形した断面を有する領域40を形成すること)を適用すべき合理性はない。
また、引用文献3、4及び引用文献IIIを検討しても、上記相違点1に係る本件発明の構成が容易に想到し得るものと解すべき理由はない。
そして、本願発明は、上記相違点1に係る本願発明の構成により、「第2の配管側を押圧しても、第1の配管を中心としてクランプ装置が回転してしまうことを防止し、第1の配管で第2の配管を強固に支持することができる。」(段落【0012】)という格別の効果を奏するものである。
したがって、上記相違点1に係る本願発明の構成は容易想到とはいえないものであるから、その余の相違点を検討するまでもなく、本願発明は、刊行物1?4に記載された発明に基いて、また、刊行物I?IIIに記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-30 
出願番号 特願2013-6616(P2013-6616)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (F16L)
P 1 8・ 121- WY (F16L)
P 1 8・ 537- WY (F16L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田中 一正  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 氏原 康宏
島田 信一
発明の名称 車両用空気調和装置の配管連結構造  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  
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