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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B23K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B23K
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B23K
管理番号 1331901
審判番号 不服2015-3436  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-23 
確定日 2017-08-07 
事件の表示 特願2010-134809「反応性ろう付によるアセンブリ方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月17日出願公開、特開2011- 51015〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年 6月14日(パリ条約による優先権主張 2009年 6月15日、フランス国(FR))の出願であって、平成25年12月18日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成26年 3月31日に、意見書が提出されるとともに、誤訳訂正及び手続補正がされ、平成26年10月22日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成27年 2月23日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ、当審より平成28年 7月28日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年 1月 4日付けで意見書が提出されるとともに、手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明11」といい、これらを総称して「本願発明」という。)は、それぞれ、本件手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるから、本願発明10は次のとおりのものである。

【請求項10】
第1の金属の要素の第2の要素への反応性ろう付によるアセンブリ方法であって、前記第2の要素は、少なくともその表面に、イオン結合又は共有結合の酸化物を備え、添加合金と呼ばれる合金を利用して行われ、前記添加合金は、液体ろう合金を構成するようにされ、前記液体ろう合金は、上記の2つの要素の金属の表面とイオン結合又は共有結合の酸化物の表面とをそれぞれ濡らすようにされ、前記ろう合金はチタンを含み、前記金属の要素は、ニッケルを含有する合金を少なくともその表面に含むようなアセンブリ方法において、
前記金属の要素中のニッケルの含有量の質量百分率が20%から50%の間であり、且つ、前記ろう合金中のチタンの含有量が5質量%から10質量%の間から選択され、
前記要素の界面において反応層を形成することによって、イオン結合又は共有結合の酸化物から形成される前記第2の要素の表面の上の非濡れ性領域の形成を調整し、且つ、ろう付接合体中の金属間化合物の形成を調整し、
前記金属の要素は、20%から50%の間であるNiの質量濃度を持つCuNi、または28%よりも大きいNiの質量濃度を持つFeNiを含む、
ことを特徴とするアセンブリ方法。

第2 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、本件手続補正前の請求項16に係る発明(本件補正後の本願発明10)についての以下の理由を含むものである。

理由2(新規性)この出願の請求項16に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。


引用文献1:特開昭62-081290号公報
引用文献2:特開平10-092276号公報
引用文献3:特開平06-183852号公報
引用文献4:特開平06-080481号公報
引用文献6:特開昭61-283492号公報
引用文献7:特開昭62-104696号公報
引用文献8:特開昭61-286088号公報
引用文献9:特開昭61-279395号公報
引用文献10:特開昭61-283491号公報

第3 引用文献の記載事項
(1)引用文献1
当審拒絶理由に引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である特開昭62-81290号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。

(1-ア)「(実施例)
本発明のセラミックス用ろう材の具体的な実施例を、従来例とともに説明する。
先ず、各元素の粉末が単体である場合の実施例について説明する。下記の表-1の左側に示す成分組成の実施例1乃至6のろう材は、溶融噴霧法で各成分をArガスを用いて粒径150μ以下に粉末化した上で、・・・ペースト状に混合して成るものである。・・・。これら実施例及び従来例の融点、ろう付温度は下記の表-1の中央欄に示す通りである。そして、これら実施例と従来例のろう材を用いて、・・・、及びAl_(2)O_(3)とFe-Ni42重量%合金の板材を第1図に示す如く重合して、真空中1×10^(-1)torr中でろう付した。・・・、下記の表-1右欄に示すような結果を得た。

」(第2頁右下欄第1行?右上欄)

(1-イ)「第1図



(1-ウ)「また、Ti、Zr、Hfの少なくとも1種を0.5?10重量%とした理由は、ろう付継手強度を高くするためで、0.5重量%未満ではセラミックスに対して真空中、不活性ガス中での濡れ性が無くなり、セラミックス用のろう材としては不適合であり、・・・ものである。」(第2頁右上欄第13行?左下欄第2行)

上記(1-ア)の記載によれば、表-1には、本発明のセラミックス用ろう材の具体的な実施例が比較例とともに記載され、表-1に記載された実施例と従来例のろう材を用いてAl_(2)O_(3)の板材とFe-Ni42重量%合金の板材をろう付することが記載されている。

そして、表-1には、実施例1として、成分組成が重量%で、Ag65、Ti9、Cu26のろう材が記載されている。

してみると、引用文献1には、以下の発明が記載されているといえる。

「Fe-Ni42重量%合金の板材と、Al_(2)O_(3)の板材とをろう付けする方法であって、成分組成が重量%で、Ag65、Ti9、Cu26のろう材を利用して行われるろう付けする方法。」(以下、「引用発明1」という。)

(2)引用文献2
当審拒絶理由に引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平10-092276号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。

(2-ア)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近活性金属法と呼ばれるTiなどの活性な金属と銀ロウ(Ag-Cu)の様な金属銀ロウ材を組合わせて用いる方法が注目されている。この方法は、Ti、Zrなど周期率表のIVA、VA族など活性な金属がセラミックスとの反応性が高い作用を利用して接合を行うもので、代表的活性金属としてAg-Cu-Ti、Ag-Cu-Zr、Cu-Ti系ロウ材などが挙げられる。
【0006】これらの活性金属ロウ材を金属とセラミックスとの接合部に合金、積層体など種々の状態で載置し、真空など不活性雰囲気中で加熱する事により、両者の接合が良好に行える。これらロウ材の融点が、Ag-Cu系で約 780℃、Cu-Ti系で約 870℃程度であって、全般に低いことから、Mo-Mn法より低温で、しかも少ない接合工程で接合できる上、高い接合強度が得られることが、この方法の特徴である。」

(2-イ)「【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を詳細に説明する。本発明の要旨は、あらかじめ所定状態に制御した活性金属ロウ材を用いた真空バルブの封着金具とセラミックス製絶縁容器の接合において、真空バルブの再点弧現象発生の抑制軽減化の為に、真空バルブの組立て工程の内の特に気密封着工程において使用するロウ材の状態に適切な管理を与える事にあり、その効果を得るものである。従って、ロウ材の状態を制御する為の一連のロウ材の製造条件管理が重要なポイントとなる。
【0024】特性評価の条件を示す。
(1)遮断特性;・・・。
【0025】(2)再点弧特性:・・・。
【0026】(3)銀ろう付け性の評価;真空バルブの組立て工程(銀ろう付け工程)後の真空バルブの一部について、銀ろうの付着の状況の目視的所見及び接合部界面の金属顕微鏡によるミクロ的観察を行った。以下、評価条件を示した表1、評価結果を示した表2を参照しながら、具体的に説明する。
【0027】
【表1】

・・・
【0029】(実施例1?5)端面の平均表面粗さ(Rave.)を約 0.1μmに研磨した高さ10cmのセラミックス製絶縁容器(主成分:AL_(2)O_(3))を用意した。このセラミックス製絶縁容器に対して組立て前に1650℃の前加熱処理を施した。封着金具として、板厚さ2mmの42%Ni-Fe合金を用意した。
・・・
【0042】(実施例6?9、比較例1?2)・・・。すなわちロウ材製造工程における冷却速度を10の4乗K/秒とし、活性金属としてのTiを含まないAgCu(比較例1)及びTiを0.05%?5%含有したAgCu(実施例6?9)及びTiを10%含有したAgCu(比較例2)の各々を製造した。
【0043】これらのロウ材を使用して前記実施例1?5と同様に真空バルブを製造した後、同様の評価を行った。表1から明らかな様にTi量を0.05%?5%含有させたAgCuにおいて、前記したロウ材製造工程における冷却速度範囲の効果とあいまって、比較対象とした実施例1の特性と同等の遮断特性及び低い再点弧発生頻度を示した(実施例16?9)。・・・。
【0044】以上から本発明を実施するに好適なロウ材成分中のTi量は、0.05%?5%の範囲である事が望ましい(実施例6?9)。」

上記(2-イ)の記載によれば、【表1】には、実施例9として、ロウ材の成分が重量%でAg-28Cu-5Tiのロウ材が記載され、これを使用して、主成分:Al_(2)O_(3)のセラミックス製絶縁容器と、板厚さ2mmの42%Ni-Fe合金の封着金具とを接合することが記載されている。

してみると、引用文献2には、以下の発明が記載されているといえる。
「板厚さ2mmの42%Ni-Fe合金の封着金具と、主成分:Al_(2)O_(3)のセラミックス製絶縁容器とを接合する方法であって、ロウ材の成分が重量%でAg-28Cu-5Tiのロウ材を使用する方法。」(以下、「引用発明2」という。)

第4 対比・判断
1 引用発明1を主引用発明とする理由
(1) 本願発明10について
ア 本願発明10と引用発明1とを対比する。

イ 引用発明1の「ろう付けする方法」によりろう付けされる「Fe-Ni42重量%合金の板材」は、本願発明10の「第1の金属の要素」に相当し、「ニッケルを含有する金属を少なくともその表面に含む」ものである。

ウ 引用発明1の「ろう付けする方法」によりろう付けされる「Al_(2)O_(3)の板材」は、本願発明10の「第2の要素」に相当し、「少なくともその表面に、イオン結合又は共有結合の酸化物を備え」るものである。

エ 引用発明1の「ろう付けする方法」に利用される「成分組成が重量%で、Ag65、Ti9、Cu26のろう材」は、本願発明10の「添加合金と呼ばれる合金」に相当し、「ろう付けする方法」に利用するものであるから、「液体ろう合金を構成するようにされ」ていることは明らかである。

オ さらに、引用発明1の「ろう付けする方法」に利用される「成分組成が重量%で、Ag65、Ti9、Cu26のろう材」は、チタンを9重量%含むものであって、上記(1-ウ)の記載によれば、Ti、Zr、Hfの少なくとも1種を0.5?10重量%とすることによりセラミックスに対して濡れ性を有するものであるから、本願発明1のチタンを9重量%含む「ろう材」は、Al_(2)O_(3)の板材(第2の要素のイオン結合又は共有結合の酸化物の表面)を濡らすものであり、このろう材を利用する「ろう付けする方法」は、「反応性ろう付け」といえる。また、技術常識からみて、引用発明1の「ろう材」がFe-Ni42重量%合金の板材(第1の金属要素の金属の表面)を濡らすことは明らかである。

カ 上記イ?オによれば、引用発明1の「ろう付けする方法」は、本願発明10の「第1の金属の要素の第2の要素への反応性ろう付によるアセンブリ方法であって、前記第2の要素は、少なくともその表面に、イオン結合又は共有結合の酸化物を備え、添加合金と呼ばれる合金を利用して行われ、前記添加合金は、液体ろう合金を構成するようにされ、前記液体ろう合金は、上記の2つの要素の金属の表面とイオン結合又は共有結合の酸化物の表面とをそれぞれ濡らすようにされ、前記ろう合金はチタンを含み、前記金属の要素は、ニッケルを含有する合金を少なくともその表面に含むようなアセンブリ方法」に相当する。

キ 次に、引用発明1の「ろう付けする方法」は、ろう付けされる「Fe-Ni42重量%合金の板材」(金属の要素)のニッケルの含有量が、42重量%であり、また、ろう付け方法に利用される「成分組成が重量%で、Ag65、Ti9、Cu26のろう材」のチタンの含有量が9重量%であるから、「金属の要素中のニッケルの含有量の質量百分率が20%から50%の間であり、且つ、ろう合金中のチタンの含有量が5質量%から10質量%の間から選択」されたものといえる。

ク また、本願明細書の【0025】?【0038】の記載によれば、本願発明10の「前記要素の界面において反応層を形成することによって、イオン結合又は共有結合の酸化物から形成される前記第2の要素の表面の上の非濡れ性領域の形成を調整し、且つ、ろう付接合体中の金属間化合物の形成を調整し」ていることは、金属要素のニッケル含有量の範囲と反応性ろうのチタンの含有量の範囲との組合せを調整することにより達成されるものと解されるから、上記キで検討したとおり「金属の要素中のニッケルの含有量の質量百分率が20%から50%の間であり、且つ、ろう合金中のチタンの含有量が5質量%から10質量%の間から選択」されたものである引用発明1のろう付け方法は、「前記要素の界面において反応層を形成することによって、イオン結合又は共有結合の酸化物から形成される前記第2の要素の表面の上の非濡れ性領域の形成を調整し、且つ、ろう付接合体中の金属間化合物の形成を調整し」た方法であるといえる。

ケ さらに、引用発明1の「Fe-Ni42重量%合金の板材」(第1の金属の要素)は、42重量%のNiを含むFeNiであるから、本願発明10の「金属の要素」が「28%よりも大きいNiの質量濃度を持つFeNiを含む」ことに相当する。

コ してみると、両者の発明特定事項に差異はない。

サ したがって、本願発明10は、引用発明1であるから、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、特許を受けることができない。

2 引用発明2を主引用例とする理由
(1) 本願発明10について
ア 本願発明10と引用発明2とを対比する。

イ 引用発明2の「接合する方法」により接合される「板厚さ2mmの42%Ni-Fe合金の封着金具」は、本願発明10の「第1の金属の要素」に相当し、「前記金属の要素は、ニッケルを含有する金属を少なくともその表面に含む」ものである。

ウ 引用発明2の「接合する方法」により接合される「主成分:Al_(2)O_(3)のセラミックス製絶縁容器」は、本願発明10の「少なくともその表面に、イオン結合又は共有結合の酸化物を備え」る「第2の要素」に相当する。

エ 引用発明2の「接合する方法」に使用される「ロウ材の成分が重量%でAg-28Cu-5Tiのロウ材」は、本願発明10の「添加合金と呼ばれる合金」に相当し、「液体ろう合金を構成するようにされ」るものである。

オ さらに、引用発明2の「接合する方法」に使用される「ロウ材の成分が重量%でAg-28Cu-5Tiのロウ材」は、チタンを5重量%含み、上記(2-ア)の記載によれば、チタンは活性な金属であり、セラミクスとの反応性が高い作用を利用して接合を行うものであって、これにより、金属とセラミックスとの接合が良好に行えるものであるから、「反応性ろう」といえ、これによって、「板厚さ2mmの42%Ni-Fe合金の封着金具」(第1の金属要素)と「主成分:Al_(2)O_(3)のセラミックス製絶縁容器」(第2の要素)とのそれぞれの表面を「濡らすようにされ」るものと認められる。

カ 上記イ?オによれば、引用発明2の「板厚さ2mmの42%Ni-Fe合金の封着金具と、主成分:Al_(2)O_(3)のセラミックス製絶縁容器とを接合する方法」は、本願発明10の「第1の金属の要素の第2の要素への反応性ろう付によるアセンブリ方法であって、前記第2の要素は、少なくともその表面に、イオン結合又は共有結合の酸化物を備え、添加合金と呼ばれる合金を利用して行われ、前記添加合金は、液体ろう合金を構成するようにされ、前記液体ろう合金は、上記の2つの要素の金属の表面とイオン結合又は共有結合の酸化物の表面とをそれぞれ濡らすようにされ、前記ろう合金はチタンを含み、前記金属の要素は、ニッケルを含有する合金を少なくともその表面に含むようなアセンブリ方法」に相当する。

キ 次に、引用発明2の「接合する方法」は、接合される「板厚さ2mmの42%Ni-Fe合金の封着金具」(金属の要素)は、技術常識からみてそのニッケルの含有量が42重量%であり、また、使用される「ロウ材の成分が重量%でAg-28Cu-5Tiのロウ材」のチタンの含有量が5重量%であるから、「前記金属の要素中のニッケルの含有量の質量百分率が20%から50%の間であり、且つ、前記ろう合金中のチタンの含有量が5質量%から10質量%の間から選択」されたものといえる。

ク また、本願明細書の【0025】?【0038】の記載によれば、本願発明10の「前記要素の界面において反応層を形成することによって、イオン結合又は共有結合の酸化物から形成される前記第2の要素の表面の上の非濡れ性領域の形成を調整し、且つ、ろう付接合体中の金属間化合物の形成を調整し」ていることは、金属要素のニッケル含有量の範囲と反応性ろうのチタンの含有量の範囲との組合せを調整することにより達成されるものと解されるから、上記キで検討したとおり「金属の要素中のニッケルの含有量の質量百分率が20%から50%の間であり、且つ、ろう合金中のチタンの含有量が5質量%から10質量%の間から選択」されたものである引用発明2の「接合する方法」は、「前記要素の界面において反応層を形成することによって、イオン結合又は共有結合の酸化物から形成される前記第2の要素の表面の上の非濡れ性領域の形成を調整し、且つ、ろう付接合体中の金属間化合物の形成を調整し」た方法であるともいえる。

ケ さらに、引用発明2の「板厚さ2mmの42%Ni-Fe合金の封着金具」は、ニッケルの含有量が42質量%のFeNiであるから、本願発明10の「金属の要素」が「28%よりも大きいNiの質量濃度を持つFeNiを含む」ことに相当する。

コ してみると、両者の発明特定事項に差異はない。

サ したがって、本願発明10は、引用発明2であるから、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、特許を受けることができない。

3 請求人の主張について
請求人は、平成29年 1月 4日付け意見書において、「また、新請求項1、10、11のケースB、Cに関しては、審査段階から引用文献への記載が指摘されていない旧請求項7、9の要件(CuNiやFeNi)を含むものとなったことから、これらの拒絶理由も解消されたものと思料致します。」(「4)新規性進歩性について」欄)と主張している。
しかしながら、平成25年12月18日付け拒絶理由通知には、「理由A、B」について、「請求項1-14」、「引用文献1-13」と記載され、拒絶査定において「よって、本願請求項1-14に係る発明は、引用文献1-13に記載された発明であるか、同文献に記載された発明に基いて当業者が容易に為し得たことといえ、特許法第29条第1項第3号に該当するか、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」と記載されているから、旧請求項7、9の要件(CuNiやFeNi)を含むものについても、拒絶の理由が通知されており、また、当審拒絶理由においても、「(2)引用文献1に記載された発明に基づく理由(本願発明1?17について)」について、「セラミックス用ろう材により接合する金属として、ステンレス鋼、Fe-Ni合金、Cu-Ni合金等のNiの重量百分率が「20%未満」、「20?50%の間」又は「50%よりも大きい」金属は、慣用のもの(例えば、引用文献1?13参照。特に、Niの重量百分率が50%よりも大きい金属について、引用文献7の第4ページ左上欄第5行?同頁右上欄第1行、引用文献13参照)」と記載され、また、「本願発明2?14において、さらに特定する事項は、引用文献1に記載されているか、又は、周知技術であるから、本願発明2?14は、上記と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。」と記載されているから、旧請求項7、9の要件(CuNiやFeNi)を含むものについても、拒絶の理由が通知されている。そして、上記2で検討したとおり、拒絶理由は解消していない。
したがって、上記主張は、採用することができない。

第5 その他の拒絶理由について
当審拒絶理由及び当審拒絶理由で判断を保留した拒絶査定の理由のうち、以下の理由について、補足して検討する。

1 当審拒絶理由の理由1(1)について
当審拒絶理由の理由1(1)は、「本願の請求項1には、「これによって・・・非濡れ性領域の形成を調整し、且つ、これによって・・・金属間化合物の形成を調整した、・・・アセンブリ方法。」と記載されているが、「これによって」の示すものが明確ではない。」というものであり、具体的には、本願の請求項1に係る発明が、「金属の要素中のニッケルの含有量の質量百分率」が、「20%未満」、「20?50%の間」又は「50%よりも大きい」のいずれであるかを判断し、その判断結果に基づいてろう合金を、「ろう合金中のチタンの含有量が2質量%から5質量%の間」、「ろう合金中のチタンの含有量が5質量%から10質量%の間」又は、「ろう合金中のチタンの含有量が5質量%から10質量%の間から選択され、且つ、Agの質量百分率が60%未満」のいずれかを選択するものであるのか、それぞれの組合せを選択肢として含む発明であるのか不明であるというものである。
これに対して、審判請求人は、本願の請求項1の「これによって」との記載を削除する補正を行い、平成29年 1月 4日付け意見書において、これにより「本拒絶理由は解消されたものと思料致します。」と主張しているが、この補正によっても、本願発明1が、「金属の要素中のニッケルの含有量の質量百分率」を判断し、その判断に基づいてろう合金を選択するものであるのか、単に、それぞれを選択それぞれの組合せを選択肢として含むものであるのか依然として明確ではない。
よって、本願発明1は明確ではなく、本願発明1の発明特定事項を有する本願発明2?9も同様の理由により明確でない。
したがって、この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2 当審拒絶理由 理由2(2)引用文献1に記載された発明に基づく理由について
上記1のとおり、本願発明1は「金属の要素中のニッケルの含有量の質量百分率」を判断し、その判断に基づいてろう合金を選択するものであるのか、単にそれぞれの組合せを選択肢として含むものであるのか不明であるが、仮に前者であるとして検討すると、本願発明1?11について、当審拒絶理由の理由2(2)の「引用文献1に記載された発明に基づく理由」欄に記載した理由は、平成29年 1月 4日付けの手続補正書による補正、及び、平成29年 1月 4日付け意見書の主張によって解消していない。

3 拒絶査定の理由A、Bについて
上記1のとおり、本願発明1は「金属の要素中のニッケルの含有量の質量百分率」を判断し、その判断に基づいてろう合金を選択するものであるのか、単にそれぞれの組合せを選択肢として含むものであるのか不明であるが、仮に後者であるとして検討すると、本願発明10を選択肢の一つとして含む本願発明1は、上記第4で検討した本願発明10に対する理由と同様の理由により、拒絶査定の理由で引用した引用文献1又は引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、また、本願発明1と同様の理由により、本願発明2?10も拒絶査定の理由で引用した引用文献1又は引用文献2に記載された発明であるか、引用文献1又は引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、拒絶査定の理由A、Bは、依然として解消していない。

第6 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明10は、引用文献1に記載された発明であり、また、引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、特許を受けることができない。
また、本願発明1?9は、明確ではないから、この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-10 
結審通知日 2017-03-14 
審決日 2017-03-27 
出願番号 特願2010-134809(P2010-134809)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B23K)
P 1 8・ 537- WZ (B23K)
P 1 8・ 113- WZ (B23K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田口 裕健高木 康晴  
特許庁審判長 鈴木 正紀
特許庁審判官 富永 泰規
板谷 一弘
発明の名称 反応性ろう付によるアセンブリ方法  
代理人 中村 行孝  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 永井 浩之  
代理人 山ノ井 傑  
代理人 朝倉 悟  
代理人 佐藤 泰和  
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