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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1332056
審判番号 不服2016-17545  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-24 
確定日 2017-09-07 
事件の表示 特願2014- 52031「ゲームシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月21日出願公開、特開2014-147792〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年1月31日に出願した特願2012-19119号の一部を平成26年3月14日に新たな特許出願としたものであって、平成26年5月20日付けで手続補正がなされ、平成28年7月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月24日付けで拒絶査定に対する不服審判請求がなされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、上記平成26年5月20日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる。(以下「本願発明」という。)

「【請求項1】
他のゲーム装置と、該他のゲーム装置とネットワークを介して接続が可能であり、プレイヤキャラクタをゲームフィールド上で移動させてゲームを進行させるゲーム装置とを備えるゲームシステムであって、
ゲーム装置が、
ゲーム進行時に、他のゲーム装置によるゲームのゲームフィールド上に配置されるオブジェクトの位置として、対応するゲームフィールド上の位置を指定する位置指定手段と、
位置指定手段により指定された位置に関する情報を送信する位置情報送信手段と、
位置指定手段により指定された位置に関する情報が、位置情報送信手段により他のゲーム装置に送信された場合に、ゲーム装置を操作するプレイヤ、又は該プレイヤに対応するプレイヤキャラクタに特典を付与する特典付与手段と
を備えるゲームシステム。」


第3 引用刊行物
1 刊行物1
原査定の拒絶理由で引用された、本願の原出願の出願日前である平成14年8月6日に頒布された刊行物である特開2002-219280号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(なお、下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)「【請求項11】 ネットワークを介して複数のプレイヤのキャラクタが共通の仮想世界に存在することを可能にするビデオゲームのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体と、
第1および第2のプレイヤによってそれぞれ操作され、前記記録媒体から前記プログラムを読み取って実行する第1および第2のコンピュータと、
前記第1および第2コンピュータがネットワークを介して接続されるサーバと、を備えるビデオゲームシステムであって、
前記ビデオゲームのプログラムは、前記第1および第2コンピュータに読み取られた際、
前記第1プレイヤがノンプレイヤキャラクタとの戦闘に勝利すると、前記ノンプレイヤキャラクタの捕獲指示を受け付けることを前記第1コンピュータに実行させ、
前記捕獲指示を受け取ると、前記ノンプレイヤキャラクタを前記仮想世界内に配置する指示を受け付けることを前記第1コンピュータに実行させ、
前記ノンプレイヤキャラクタの配置指示を受け取ると、前記ノンプレイヤキャラクタの配置通知を前記サーバに送信することを前記第1コンピュータに実行させ、
前記仮想世界内において前記第2プレイヤのキャラクタが前記ノンプレイヤキャラクタから所定の距離内に位置する場合に、前記第2プレイヤのキャラクタと前記ノンプレイヤキャラクタとの遭遇イベントを発生させることを前記第2コンピュータに実行させる、ビデオゲームシステム。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビデオゲームシステムおよびその制御方法、ならびにビデオゲームのプログラムおよびそのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関し、特に、複数のプレイヤがネットワークを介して参加することの可能なネットワーク対応型ビデオゲームに関する。」
(3)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、頻繁に仮想世界に修正を加えることは運用者の負担が大きく、また、修正中はサーバを停止させることからプレイヤはゲームをプレイすることができないので、プレイヤの不満も大きくなる。
【0006】そこで、本願の発明は、プレイヤを楽しませながら運営者に負担をかけることなく仮想世界に変化を与えることの可能なビデオゲームシステムおよびその制御方法、ならびにビデオゲームのプログラムおよびそのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体を提供することを課題とする。」
(4)「【0009】本発明によれば、プレイヤがモンスターなどのノンプレイヤキャラクタを捕獲して仮想世界内に配置し、他のプレイヤと遭遇させることができる。これにより、ゲームシステムの運営者が作業を行うことなく、仮想世界に変化を与えることができる。」
(5)「【0035】本実施形態に係るビデオゲームによれば、ゲーム装置1がゲームサーバと通信を行うことによって表示装置6上に仮想世界が表示される。図5は、表示装置6の画面61上に表示され、この仮想世界を表すゲーム画面の一例を示している。本実施形態に係るビデオゲームはオンラインRPGであり、この仮想世界には、共通のゲームサーバに接続されたゲーム装置1を操作する複数のプレイヤのキャラクタ201、202が同時に存在することができる。プレイヤは入力装置3を操作してゲーム装置1に指示を入力することにより、自身のキャラクタをこの仮想世界で活動させることができる。
【0036】各プレイヤのキャラクタは、仮想世界に配置されたモンスターとの戦闘で勝利を収めるなど、仮想世界での活動を通じて経験値を獲得することができる。プレイヤキャラクタが所定量以上の経験値を蓄えると、その成長レベルが上昇する。このように、プレイヤキャラクタは、経験値を獲得することによって成長することができる。
【0037】プレイヤはキーパッド30の十字キー31またはジョイスティック37を操作することにより、プレイヤキャラクタを仮想世界内で移動させることができる。例えば、プレイヤがキーパッド30を介してプレイヤキャラクタ201の移動情報をゲーム装置1に入力すると、ゲーム装置1は、その移動情報を用いてプレイヤキャラクタ201を表示装置6の画面61上で移動させるとともに、その移動情報をゲームサーバに送信する。ゲームサーバは、その移動情報を用いてプレイヤキャラクタ201の位置情報を更新する。この移動情報は、必要に応じて他のプレイヤが操作するゲーム装置に転送され、そのゲーム装置に接続された表示装置上での表示に反映される。
【0038】ゲームサーバは、各プレイヤキャラクタの位置情報に加えて、仮想世界に配置されたモンスターの位置情報も所持している。ゲームサーバは、プレイヤキャラクタの位置から所定の距離内にモンスターが存在する場合、そのプレイヤキャラクタを操作するゲーム装置1に、プレイヤキャラクタがモンスターと遭遇したことを通知する。ゲーム装置1は、モンスター遭遇通知を受けとると、プレイヤキャラクタとモンスターとの戦闘処理を開始する。
【0039】本実施形態に係るビデオゲームの特徴は、プレイヤがモンスターとの戦闘に勝利すると、(1)モンスターを捕獲して一緒にグループを組むことができ、更に、(2)捕獲したモンスターを仮想世界内に配置し、その付近にやってきた他のプレイヤのキャラクタと戦闘させることが可能なことである。」
(6)「【0050】プレイヤは、モンスターを仲間にすると、そのモンスターを仮想世界内に配置することができるようになる。図9は、プレイヤキャラクタ201が仲間にしたモンスター203を仮想世界のある位置に配置するときに表示されるゲーム画面の例を示している。画面にはキャラクタ201およびモンスター203の画像が表示されると共に、プレイヤが入力すべき指示コマンドを示すコマンドウィンドウ208も表示される。プレイヤはキーパッド30を操作することによりコマンドを選択して入力することができる。
【0051】図14は、第1プレイヤが仲間にしたモンスター203を仮想世界に配置するためにビデオゲーム装置1aによって実行される制御処理を示すフローチャートである。この処理は、CD-ROM4aに記憶されたゲームプログラムを制御装置2aが実行することにより実施される。
【0052】プレイヤがコマンドウィンドウ208内の「配置」コマンドを選択して入力すると(ステップS220)、図9に示されるような照会ウィンドウ209が表示される(ステップS222)。照会ウィンドウ209内には、モンスターが現在いる位置にモンスターを実際に配置するか否かをプレイヤに問い合わせる文字情報「この場所にモンスターを配置しますか?はい/いいえ」が表示される。この例では、モンスター203がダンジョンの入口210の付近に位置している。
【0053】プレイヤは、キーパッド30の左方向十字キー31または右方向十字キー31を押すことにより、照会ウィンドウ209の文字「はい」または「いいえ」を選択することができる。その後、プレイヤは、○ボタン32を押すことにより、「はい」または「いいえ」の表記に対応する指示を制御装置2に入力することができる。
【0054】プレイヤが「いいえ」を入力した場合(ステップS224:NOルート)は、照会ウィンドウ209が消去される(ステップS225)。一方、プレイヤが「はい」を入力すると、モンスターを配置することが決定され(ステップS224:YESルート)、モンスター情報入力画面が表示される(ステップS226)。プレイヤは、この画面内でモンスター203の名称およびモンスター203の出現時に表示されるメッセージを入力することができる(ステップS228)。
【0055】図10は、モンスター情報入力画面を示している。この画面には、モンスター203の画像と共に、入力ウィンドウ211が表示される。プレイヤは、入力ウィンドウ211内において、モンスターの名称212およびメッセージ213を入力することができる。後述するように、ここで入力した名称212およびメッセージ213は、モンスター203が他のプレイヤと遭遇して出現するときに表示される。
【0056】名称212およびメッセージ213の入力後、キーパッド30の○ボタン32が押されると(ステップS230)、配置イベント処理が実行される(ステップS232)。この処理では、「モンスターを配置しました」というメッセージが画面に表示され、モンスター203がプレイヤキャラクタ201のパーティから除かれる。」
(7)上記(1)の「第1プレイヤがノンプレイヤキャラクタとの戦闘」、及び上記(5)【0036】の「各プレイヤのキャラクタと、仮想世界に配置されたモンスターとの戦闘」の記載からみて、刊行物1には、「第1プレイヤのキャラクタと、仮想世界に配置されたノンプレイヤキャラクタであるモンスターとの戦闘」との事項が示されているといえる。
(8)上記(5)【0037】及び【0038】より、プレイヤはプレイヤキャラクタを仮想世界内で移動させることができ、プレイヤキャラクタがモンスターと遭遇すると、プレイヤキャラクタとモンスターとの戦闘処理が開始されるから、第1プレイヤのキャラクタを仮想世界内で移動させてゲームを進行させるビデオゲームシステムといえる。

上記(1)乃至(8)から、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「ネットワークを介して複数のプレイヤのキャラクタが共通の仮想世界に存在することを可能にするビデオゲームのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体と、
第1および第2のプレイヤによってそれぞれ操作され、前記記録媒体から前記プログラムを読み取って実行する第1および第2コンピュータと、
前記第1および第2コンピュータがネットワークを介して接続されるサーバと、を備えるビデオゲームシステムであって、
前記ビデオゲームのプログラムは、前記第1および第2コンピュータに読み取られた際、
前記第1プレイヤのキャラクタを仮想世界内で移動させてゲームを進行させ、
前記第1プレイヤのキャラクタと、仮想世界に配置されたノンプレイヤキャラクタであるモンスターとの戦闘に勝利すると、前記ノンプレイヤキャラクタの捕獲指示を受け付けることを前記第1コンピュータに実行させ、
前記捕獲指示を受け取ると、前記ノンプレイヤキャラクタを前記仮想世界内に配置する指示を受け付けることを前記第1コンピュータに実行させ、
前記ノンプレイヤキャラクタの配置指示を受け取ると、前記ノンプレイヤキャラクタの配置通知を前記サーバに送信することを前記第1コンピュータに実行させ、
前記仮想世界内において前記第2プレイヤのキャラクタが前記ノンプレイヤキャラクタから所定の距離内に位置する場合に、前記第2プレイヤのキャラクタと前記ノンプレイヤキャラクタとの遭遇イベントを発生させることを前記第2コンピュータに実行させる、ビデオゲームシステム。」

2 刊行物2
原査定の拒絶理由で引用された、本願の原出願の出願日前である平成23年10月13日に頒布された刊行物である特開2011-200564号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】
ゲーム空間内で主キャラクタに経験値を獲得させ前記主キャラクタを育成するゲームを実行するゲーム装置と、前記ゲーム装置と所定のネットワークを介して接続されたサーバとを備えるゲームシステムであって、
前記サーバは、
前記主キャラクタの分身となる分身キャラクタの情報である分身キャラクタ情報を予め記憶する分身キャラクタ情報記憶手段と、
ログイン中の第1プレーヤに対して、貸し出し可能な他のプレーヤの分身キャラクタを、借りたときの利点と併せて報知するための分身キャラクタ報知情報を前記第1プレーヤのゲーム装置に送信する分身キャラクタ報知手段と、
前記分身キャラクタ報知情報を受信した前記第1プレーヤのゲーム装置から、前記他のプレーヤのうちの1人のプレーヤである第2プレーヤの分身キャラクタを借りるための借出要求を受け付ける借出要求受付手段と、
前記借出要求受付手段により前記第1プレーヤからの前記借出要求が受け付けられた場合、前記第2プレーヤの分身キャラクタの分身キャラクタ情報を前記第1プレーヤのゲーム装置に送信し、前記第2プレーヤの分身キャラクタを前記第1プレーヤに仮想的に貸し出す分身キャラクタ貸出手段と、
前記分身キャラクタ貸出手段により前記第2プレーヤの分身キャラクタが前記第1プレーヤに貸し出された場合、前記第2プレーヤの主キャラクタに経験値を付与する経験値付与手段とを備え、
前記第1プレーヤのゲーム装置は、前記第2プレーヤの分身キャラクタの分身キャラクタ情報を基に前記第1プレーヤに所定の特典を付与するゲームシステム。」
(2)「【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム空間内で主キャラクタに経験値を獲得させ、主キャラクタを育成するゲームを制御する技術に関するものである。」
(3)「【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記構成のような場合、プレーヤBがキャラクタAを借りる動機としては、他のプレーヤの保有するキャラクタに対する単なる興味や好奇心といったレベルであり、また、1回の貸し借りでプレーヤ同士の接触が完結しており、単にこのシステムのみでは、キャラクタの貸し借りを通じてプレーヤ同士が親密になり、親密なプレーヤ同士の和が広がってコミュニティの場が発生することは期待できない。
【0012】
また、特許文献1では、プレーヤBがキャラクタAを借りた場合、キャラクタデータホルダHAに格納されたキャラクタAがプレーヤBのゲーム装置にダウンロードされるため、プレーヤBがキャラクタAを借りている状態において、他のプレーヤがキャラクタAを借りることができないと予想される。このことからも、特許文献1では、プレーヤ同士でキャラクタの貸し借りを活発化させることが困難である。
【0013】
また、特許文献1では、特定のプレーヤ同士がキャラクタの貸し借りを継続的に行っても、両プレーヤに何らの特典も与えられていないため、両プレーヤを親密にさせることは困難である。
【0014】
本発明の目的は、キャラクタの貸し借りを活発化させ、プレーヤ同士を親密にさせプレーヤ同士のコミュニティの場を発生させることである。」
(4)「【0020】
第2プレーヤの分身キャラクタが第1プレーヤに貸し出されると、第2プレーヤの主キャラクタには経験値が付与される。これにより、第2プレーヤは自身で主キャラクタを育成しなくても、分身キャラクタを貸し出すだけで、主キャラクタを育成させることができる。その結果、第2プレーヤに対して自身の分身キャラクタを他のプレーヤに貸し出すことへの動機を与えることができる。」
(5)「【0049】
以下、本発明の実施の形態によるゲームシステムについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態によるゲームシステムの全体構成図である。本ゲームシステムは、サーバ1及びサーバ1とネットワーク3を介して接続された複数のゲーム装置2を備えている。ゲーム装置2は、例えばネットワーク接続が可能な家庭用のゲーム装置により構成されている。本実施の形態では、ゲーム装置2は、ゲーム空間内で主キャラクタに経験値を獲得させ主キャラクタを育成するゲームを実行する。
【0053】
また、本実施の形態のゲームでは、プレーヤは自身の監督キャラクタの分身である分身キャラクタを他のプレーヤに仮想的に貸し出すことができる。したがって、サーバ1は、各プレーヤの分身キャラクタを管理するサービスを提供する。本実施の形態では、分身キャラクタは、他のチームのコーチキャラクタとして貸し出される。」

上記(1)乃至(5)から、刊行物2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「ゲーム空間内で主キャラクタに経験値を獲得させ前記主キャラクタを育成するゲームを実行する複数のゲーム装置と、前記複数のゲーム装置と所定のネットワークを介して接続されたサーバとを備えるゲームシステムであって、
前記サーバは、
前記主キャラクタの分身となる分身キャラクタの情報である分身キャラクタ情報を予め記憶する分身キャラクタ情報記憶手段と、
ログイン中の第1プレーヤに対して、貸し出し可能な他のプレーヤの分身キャラクタを、借りたときの利点と併せて報知するための分身キャラクタ報知情報を前記第1プレーヤのゲーム装置に送信する分身キャラクタ報知手段と、
前記分身キャラクタ報知情報を受信した前記第1プレーヤのゲーム装置から、前記他のプレーヤのうちの1人のプレーヤである第2プレーヤの分身キャラクタを借りるための借出要求を受け付ける借出要求受付手段と、
前記借出要求受付手段により前記第1プレーヤからの前記借出要求が受け付けられた場合、前記第2プレーヤの分身キャラクタの分身キャラクタ情報を前記第1プレーヤのゲーム装置に送信し、前記第2プレーヤの分身キャラクタを前記第1プレーヤに仮想的に貸し出す分身キャラクタ貸出手段と、
前記分身キャラクタ貸出手段により前記第2プレーヤの分身キャラクタが前記第1プレーヤに貸し出された場合、前記第2プレーヤの主キャラクタに経験値を付与する経験値付与手段とを備え、
前記第1プレーヤのゲーム装置は、前記第2プレーヤの分身キャラクタの分身キャラクタ情報を基に前記第1プレーヤに所定の特典を付与するゲームシステム。」


第4 対比
そこで、本願発明と引用発明1とを対比すると、
後者の「第2コンピュータ」、「第1コンピュータ」、「ネットワーク」、「プレイヤのキャラクタ」、「仮想世界」、「ビデオゲーム」、「ビデオゲームシステム」、「ノンプレイヤキャラクタであるモンスター」、及び「プレイヤ」は、それぞれ、前者の「他のゲーム装置」、「他のゲーム装置とネットワークを介して接続が可能なゲーム装置」、「ネットワーク」、「プレイヤキャラクタ」、「ゲームフィールド」、「ゲーム」、「ゲームシステム」、「オブジェクト」、及び「ゲーム装置を操作するプレイヤ」に相当する。
後者の「第1コンピュータ」は、「第2コンピュータとネットワークを介して接続され」、「複数のプレイヤのキャラクタが共通の仮想世界に存在することを可能にするビデオゲームのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体」から「前記プログラムを読み取って実行する」もので、「第1プレイヤのキャラクタを仮想世界内で移動させてゲームを進行させ」るものであるから、「他のゲーム装置と、該他のゲーム装置とネットワークを介して接続が可能であり、プレイヤキャラクタをゲームフィールド上で移動させてゲームを進行させるゲーム装置」といえる。
後者の「ビデオゲームシステム」は、「ノンプレイヤキャラクタの捕獲指示を受け付けると、ノンプレイヤキャラクタを仮想世界内に配置する指示を受け付けることを第1コンピュータに実行させ」るものであるから、「ゲーム進行時に、他のゲーム装置によるゲームのゲームフィールド上に配置されるオブジェクトの位置として、対応するゲームフィールド上の位置を指定する位置指定手段」を備えるといえる。
後者の「ビデオゲームシステム」は、「ノンプレイヤキャラクタの配置指示を受け取ると、ノンプレイヤキャラクタの配置通知をサーバに送信することを第1コンピュータに実行させ」るものであるから、「位置指定手段により指定された位置に関する情報を送信する位置情報送信手段」を備えるといえる。

したがって、両者は、
「他のゲーム装置と、該他のゲーム装置とネットワークを介して接続が可能であり、プレイヤキャラクタをゲームフィールド上で移動させてゲームを進行させるゲーム装置とを備えるゲームシステムであって、
ゲーム装置が、
ゲーム進行時に、他のゲーム装置によるゲームのゲームフィールド上に配置されるオブジェクトの位置として、対応するゲームフィールド上の位置を指定する位置指定手段と、
位置指定手段により指定された位置に関する情報を送信する位置情報送信手段と、
を備えるゲームシステム。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
本願発明が、(位置指定手段により指定された位置に関する情報が、位置情報送信手段により他のゲーム装置に送信された場合に)、「ゲーム装置を操作するプレイヤ、又は該プレイヤに対応するプレイヤキャラクタに特典を付与する特典付与手段」を有するものであるに対し、引用発明1は、そのようなものでない点。


第5 判断
上記相違点について以下検討する。
引用発明2の「複数のゲーム装置と所定のネットワークを介して接続されたサーバとを備えるゲームシステム」、「プレーヤ」、及び「主キャラクタ」は、それぞれ、本願発明の「他のゲーム装置と、該他のゲーム装置とネットワークを介して接続が可能であるゲーム装置とを備えるゲームシステム」、「プレイヤ」、及び「プレイヤキャラクタ」に相当する。
引用発明2の「ゲームシステム」では、第2プレーヤの分身キャラクタの分身キャラクタ情報を第1プレーヤのゲーム装置に送信し、第2プレーヤの分身キャラクタを第1プレーヤに仮想的に貸し出し、第2プレーヤの分身キャラクタが第1プレーヤに貸し出された場合、第2プレーヤの主キャラクタに経験値を付与するものであって、送信される「第2プレーヤの分身キャラクタの分身キャラクタ情報」は、他のゲーム装置に送信される「情報」といえるし、付与される「経験値」は、「特典」といえるものであるから、引用発明2の「第2プレーヤの分身キャラクタの分身キャラクタ情報を前記第1プレーヤのゲーム装置に送信し、前記第2プレーヤの分身キャラクタを前記第1プレーヤに仮想的に貸し出す分身キャラクタ貸出手段と、前記分身キャラクタ貸出手段により前記第2プレーヤの分身キャラクタが前記第1プレーヤに貸し出された場合、前記第2プレーヤの主キャラクタに経験値を付与する経験値付与手段」は、「情報が、他のゲーム装置に送信された場合に、ゲーム装置を操作するプレイヤに対応するプレイヤキャラクタに特典を付与する特典付与手段」といえる。
そして、引用発明1及び引用発明2は、いずれもネットワークを介して複数のゲーム装置が接続されたゲームシステムである点で技術分野が共通し、共通のゲームを複数のゲーム装置がネットワークを介して接続して行うことから、実質的にプレイヤ同士の交流を図っているといえ、つまり、他プレイヤとの交流を促進させるという一般的な課題を内在している点でも共通するものであるから、引用発明1に、引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
ここで、引用発明1に、引用発明2を適用すれば、引用発明2の他のゲーム装置に送信される情報の適用対象は、引用発明1における「ノンプレイヤキャラクタの配置」、すなわち、位置指定手段により指定された位置に関する情報となるから、特典を付与するのは、必然的に、位置指定手段により指定された位置に関する情報が、位置情報送信手段により他のゲーム装置に送信された場合となる。
したがって、引用発明1において、引用発明2を適用することにより、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、本願発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1及び引用発明2から、当業者が予測しうる範囲内のものである。


第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-04 
結審通知日 2017-07-11 
審決日 2017-07-26 
出願番号 特願2014-52031(P2014-52031)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木村 隆一  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
森次 顕
発明の名称 ゲームシステム  
代理人 特許業務法人ライトハウス国際特許事務所  

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