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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G07F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G07F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G07F
管理番号 1332491
審判番号 不服2016-7498  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-23 
確定日 2017-09-15 
事件の表示 特願2011-198506「自動販売機」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月 4日出願公開、特開2013- 61723〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成23年9月12日の出願であって、平成27年6月29日付けで拒絶の理由が通知され、同27年8月28日に意見書、補正書が提出され、平成28年2月23日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同28年5月23日に本件審判の請求と同時に手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。

第2.本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容の概要
本件補正は、特許請求の範囲を含む明細書について補正をするものであって、補正前後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。

(1)補正前(平成27年8月28日の手続補正)
「本体キャビネットの前面を開閉する外扉に形成されたディスプレイ室と、当該ディスプレイ室に展示された複数の商品見本を照明する照明手段を備え、前記照明手段の光源として発光ダイオードを用いた自動販売機であって、前記照明手段は前記発光ダイオードを内蔵する発光ダイオード組立体からなり、当該発光ダイオード組立体にハーフタイプ若しくはフラットタイプの商品見本を展示するホルダーを一体に形成し、発光ダイオード組立体を、商品見本を展示するディスプレイ台に代えて中扉に固定したことを特徴とする自動販売機。」

(2)補正後(平成28年5月23日の手続補正)
「本体キャビネットの前面を開閉する外扉に形成されたディスプレイ室と、当該ディスプレイ室に展示された複数の商品見本を照明する照明手段を備え、前記照明手段の光源として発光ダイオードを用いた自動販売機であって、前記照明手段は前記発光ダイオードを内蔵する発光ダイオード組立体からなり、前記発光ダイオード組立体は、底面が発光ダイオードからの光を透過可能な透光部として形成された下枠部材と、複数の発光ダイオードが実装され、前記発光ダイオードからの光が前記透光部に投光されるように下枠部材に固着されたプリント配線基板と、このプリント配線基板を覆うように前記下枠部材に固着される上枠部材とからなり、前記上枠部材に連ねてハーフタイプ若しくはフラットタイプの商品見本を展示するホルダーを一体に形成してなることを特徴とする自動販売機。」

(3)補正事項
本件補正のうち、特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、補正前の請求項1に係る発明の特定事項である、「当該発光ダイオード組立体にハーフタイプ若しくはフラットタイプの商品見本を展示するホルダーを一体に形成し」を「前記発光ダイオード組立体は、底面が発光ダイオードからの光を透過可能な透光部として形成された下枠部材と、複数の発光ダイオードが実装され、前記発光ダイオードからの光が前記透光部に投光されるように下枠部材に固着されたプリント配線基板と、このプリント配線基板を覆うように前記下枠部材に固着される上枠部材とからなり、前記上枠部材に連ねてハーフタイプ若しくはフラットタイプの商品見本を展示するホルダーを一体に形成してなる」事項に変更する(補正事項1)とともに、補正前の請求項1に係る発明の特定事項である、「発光ダイオード組立体を、商品見本を展示するディスプレイ台に代えて中扉に固定した」事項を削除する(補正事項2)ものである。

2.補正の適否
本件補正は、上記補正事項1により補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である発光ダイオード組立体を限定するものの、上記補正事項2により補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「自動販売機」の構成を削除するものであり、該「自動販売機」の構成を限定するものではないことは明らかである。
そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲を減縮することを目的としたものに該当せず、また同項第1号(請求項の削除)、同項第3号(誤記の訂正)及び同項第4号(明りょうでない記載の釈明)の目的にも該当しない。

3.まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって上記[補正却下の決定の結論]のとおり、決定する。

4.予備的検討
本件補正は、2.で検討したように、特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的としない補正事項を含むが、請求項1に関する本件補正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると仮定して、予備的に、本件補正後の請求項1(以下、「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。
(1)補正発明
補正発明は、特許請求の範囲、明細書、及び図面の記載からみて、上記1.(2)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの「自動販売機」であると認める。
(2)引用文献の記載事項
(2-1)引用文献1
原審で通知した拒絶理由で引用した本願出願日前に頒布された刊行物である特開2009-43198号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
本発明は、照明装置を備えた自動販売機に関し、特に、缶飲料等の展示用物品(商品見本)を照明する展示用物品をLED等の発光素子により照明する照明装置を備えた自動販売機に関する。」
(イ)「【0010】
[第1の実施の形態(自動販売機用照明装置)]
図1は、本発明の実施の形態に係る自動販売機に使用される照明装置の分解斜視図である。
【0011】
照明装置1は、複数の発光素子としてのLED2と、第1の面3a及び第2の面3bにそれぞれ所定の個数のLED2を実装するための配線パターンが形成された1枚の長尺状の基板3と、基板3の第1の面3aに実装されたLED2から照射される光を外部へ照射するための上レンズ部4aを有して光透過性材料により一体的に形成され、基板3の第1の面3aに装着される1または2以上の上部ケース4と、基板3の第2の面3bに実装されたLED2から照射される光を外部へ照射するための下レンズ部5aを有して光透過性材料により一体的に形成され、基板3の第2の面3bに装着される1または2以上の下部ケース5とを有して構成されている。」
(ウ)「【0028】
下部ケース5は、長手方向に亘り形成された下レンズ部5aを有し、基板3に装着可能な略箱形状として、透明なポリカーボネート(PC)により一体的に成形されている。尚、下部ケース5は、例えば、下レンズ部5aのみを別部材で形成して、基板3に装着可能な枠体を組み合せることにより一体的に下部ケース5として形成されるものであってもよい。また、下部ケース5は、少なくとも光を透過する程度に透明であればよく、また、着色された透明部材で形成されていてもよい。」
(エ)「【0062】
[第3の実施の形態(照明装置1を備えた自動販売機)]
図9は、本発明の実施の形態に係る照明装置を備えた自動販売機の全体を示す正面図である。
・・・
【0064】
図11A,Bは、本発明の実施の形態に係る展示用物品の照明装置を説明するために示す図であり、(a)は、展示スペースの一部分を前面側から見た正面図、(b)は、同じく展示スペースを右側面から見た断面図、(c)は(b)図における押釦108部分を拡大して示す詳細断面図である。尚、(a)図と(b)図はスケール同一ではない。
(自動販売機の全体構成)
【0065】
図9において、自動販売機100は、缶飲料の販売用物品を販売するための販売機本体102と、販売用物品に対応する照明対象としての複数の展示用物品Bを照明する照明装置1(第1の実施の形態または第2の実施の形態に係る照明装置1)とから大略構成されている。
【0066】
複数の展示用物品Bは、図9に示すように、10個の展示用物品Bが一列に並置された複数(3群)の展示用物品群b1,b2,b3に区分して3段に配置され、後述する背面パネル122の物品視認者側にステージ125を介して所定の位置に保持されている。
【0067】
展示用物品Bは、図11A(a)及び図11A(b)に示すように、販売用物品を示す情報が表面に印刷表示されたプラスチック製の光透過性部材からなる半円筒または円筒によって形成されている。」
(オ)「(筐体104の構成)
【0069】
筐体104は、図9に示すように、前方に開口する箱体104A及び箱体104Aの前方開口部を開閉する扉体104Bを有し、全体が略矩形箱によって形成されている。
【0070】
箱体104A内には、照明装置1、物品払出ユニット105、及び、制御ユニット106等を収容するための収容空間(図示せず)が形成されている。扉体104Bは、箱体104Aに回動自在に枢支されている。
【0071】
扉体104Bの前面上部には、前面上部カバーとしての光透過性部材からなる前面パネル107(電照板)が配設されている。前面パネル107の前面部には、外部に露出する光透過性部材からなる物品選択用の押釦108が複数の展示用物品Bに対応して複数個配設されている(本実施の形態では1段につき10個)。前面パネル107と背面パネル122との間には、展示用物品Bを展示するための展示スペース(内部空間)109が形成されている。」
(カ)「【0088】
基板3の第1の面3a上に実装されたLED2からのLED光は、上レンズ部4aにより前方上方向にLED光が照射されると共に、内側アール部40a、内側曲面部40c、及び、傾斜曲面部40fで全反射した光が透明な上部ケース4から上記示した方向以外にも照射される。照明装置1は、傾斜して取り付けられているので、出射されたLED光は、展示用物品Bに下方向から入射し、半円筒または円筒形の展示用物品B(販売用物品を示す情報が表面に印刷表示された光透過性部材)を透過して展示用物品Bの前面部を効果的に照明すると共に、上記説明した全反射等により種々の方向に出射されるLED光は、透光性の上部ケース4または下部ケース5を透過して、ステージ125に取り付けられた表示部126を背面側から照射する。また、前面パネル107に取り付けられた物品選択用の押釦108を透過して物品視認者側に照射され、押釦108の輪郭照明が行なわれる。」

摘記事項(オ)の記載から、展示スペース109が、筐体104の前面を開閉する扉体104Bに形成されていることが理解できる。
摘記事項(カ)の記載及び図11Aから、照明装置1が、展示スペース109に展示された複数の展示用物品Bを照明することが理解できる。
摘記事項(イ)の記載及び図1から、照明装置1が、発光ダイオード(LED)を内蔵し、下部ケース5、基板3、上部ケース4とからなることが理解できる。
摘記事項(イ)の「基板3の第1の面3aに装着される1または2以上の上部ケース4」、「基板3の第2の面3bに装着される1または2以上の下部ケース5」との記載、及び図1、図11A(b)、図12から、基板3が下ケース5に装着されること、及び上ケース4及び下ケース5が基板3を覆うように基板3に装着されることにより、上ケース4及び下ケース5が組み合わされることが理解できる。
摘記事項(ウ)の「下部ケース5は、少なくとも光を透過する程度に透明であればよく、また、着色された透明部材で形成されていてもよい。」との記載から、下部ケース5の底面がLEDからの光を透過可能な透光部であることが理解できる。

上記摘記事項の記載を考慮し、補正発明の記載に沿って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認める。
「筐体104の前面を開閉する扉体104Bに形成された展示スペース109と、当該展示スペース109に展示された複数の展示用物品Bを照明する照明装置1を備え、前記照明装置1の光源として発光ダイオードを用いた自動販売機であって、前記照明装置1は前記発光ダイオードを内蔵する発光ダイオード組立体からなり、前記発光ダイオード組立体は、底面が発光ダイオードからの光を透過可能な透光部として形成された下ケース5と、複数の発光ダイオードが実装され、前記発光ダイオードからの光が前記透光部に投光されるように下ケース5に装着された基板3と、基板3に装着されることにより基板3を覆うように前記下ケース5に組み合わされる上ケース4とからなり、前記展示用物品Bは半円筒である自動販売機」

(2-2)引用文献2
原審で通知した拒絶理由で引用した本願出願日前に頒布された刊行物である特開2008-129997号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビン、缶またはペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機の商品サンプル照明装置に関するものである。」
(イ)「【0014】
商品サンプル表示部30は、外扉20内に設けられたサンプル室31と、サンプル室31内に上下複数段に設けられたサンプル台32と、商品サンプル照明装置40に取付けられる複数の商品サンプル33とを備え、サンプル台32には商品サンプル照明装置40が取付けられる。・・・各商品サンプル33は、例えば缶入り飲料の形状を有し、背面側及び下面側の一部を開口した光透過性の樹脂によって中空状に形成されている。また、商品サンプル33の下端には商品サンプル照明装置40に取付けるための取付部材33aが設けられている。
【0015】
商品サンプル照明装置40は、複数の商品サンプル33を保持する照明ケース41と、照明ケース41の背面側に設けられた基板42と、基板42に取付けられた第1及び第2の発光体43,44とを備え、照明ケース41はサンプル台32のサンプル配置面32aに斜め上方を臨むように固定されている。照明ケース41は薄型の箱状に形成された透明のアクリルからなり、その前面には商品サンプル33の取付部をなす開口部41aが設けられている。即ち、商品サンプル33の取付部材33aを開口部41aの下端縁に係合することにより、商品サンプル33が着脱自在に取付けられるようになっている。」
(ウ)図4から、商品サンプル33の取付部材33aが、照明ケース41の上側に連ねて取り付けられることが見て取れる。

上記摘記事項及び図4等から、引用文献2には、以下の事項が記載されていると認める。
「自動販売機の商品サンプル照明装置において、商品サンプルの取付部材を照明ケースに連ねて取り付けること」(以下、「引用文献2事項」という。)

(3)対比
補正発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「筐体104」は補正発明の「本体キャビネット」に相当する。以下同様に、「扉体104B」は「外扉」に、「展示スペース109」は「ディスプレイ室」に、「展示用物品B」は「商品見本」に、「照明装置1」は「照明手段」に、「下ケース5」は「下枠部材」に、「基板3」は「プリント配線基板」に、「上ケース4」は「上枠部材」に、「半円筒」は「ハーフタイプ」に相当する。
また、「装着」及び「固着」は、部品を他の部品に固定することであるから、同義である。
したがって、補正発明と引用発明1は、以下の点で一致する。

[一致点]本体キャビネットの前面を開閉する外扉に形成されたディスプレイ室と、当該ディスプレイ室に展示された複数の商品見本を照明する照明手段を備え、前記照明手段の光源として発光ダイオードを用いた自動販売機であって、前記照明手段は前記発光ダイオードを内蔵する発光ダイオード組立体からなり、前記発光ダイオード組立体は、底面が発光ダイオードからの光を透過可能な透光部として形成された下枠部材と、複数の発光ダイオードが実装され、前記発光ダイオードからの光が前記透光部に投光されるように下枠部材に固着されたプリント配線基板と、上枠部材とからなり、前記商品見本はハーフタイプである自動販売機。

そして、補正発明と引用発明1は、以下の点で相違する。

[相違点1]補正発明は、上枠部材がプリント配線基板を覆うように下枠部材に固着されるのに対し、引用発明1は、上ケース4が基板3に装着されることにより基板3を覆うように下ケース5に組み合わされる点。
[相違点2]補正発明は、上枠部材に連ねて商品見本を展示するホルダーを一体に形成してなるのに対し、引用発明1は、上ケース4が商品見本を展示するホルダーを有しない点。

(4)相違点についての検討及び判断
上記相違点1について検討する。
上ケース4と下ケース5の固定を、内蔵する基板3を介して固定するか、上ケース4と下ケース5を直接固着するかは、当業者が適宜選択し得る設計上の択一的選択事項にすぎない。
したがって、引用発明1の上ケースを、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
次に、上記相違点2について検討する。
引用発明1と引用文献2事項は、いずれも自動販売機の照明装置であり、技術分野が共通するから、引用発明1に引用文献2事項を適用することは当業者が容易に想到し得たことである。
そして、引用発明1に引用文献2事項を適用すると、引用発明1の発光ダイオード組立体の上ケース4に連なるように商品サンプルの取付部材を設けることとなる。
ここで、当該取付部材を組立体と一体に形成するか、別体を取り付けるようにするかは、当業者が適宜選択し得る設計上の択一的選択事項である。
したがって、引用発明1に引用文献2事項を適用して相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、補正発明によってもたらされる効果も、引用発明1及び引用文献2事項から予測できるものであって顕著なものではない。

(5)まとめ
以上のとおりであるので、補正発明は、引用発明1及び引用文献2事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件補正が、仮に特許請求の範囲の減縮を目的とするものであったとしても、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本件出願の発明について
1.本件出願の発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項に係る発明は、平成27年8月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲、明細書及び願書に添付した図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本件出願の発明」という。)は、上記第2の1.(1)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの「自動販売機」である。

2.原査定引用例
(1)原査定引用例1
原審の拒絶理由に引用文献1として引用された、特開2008-129997号公報(以下、「原査定引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビン、缶またはペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機の商品サンプル照明装置に関するものである。」
(イ)「【0011】
この自動販売機は、商品を収納する自動販売機本体10と、自動販売機本体10の前面に設けられた外扉20と、外扉20の前面に設けられた商品サンプル表示部30とを備え、商品サンプル表示部30には商品サンプル照明装置40が設けられている。」
(ウ)「【0014】
商品サンプル表示部30は、外扉20内に設けられたサンプル室31と、サンプル室31内に上下複数段に設けられたサンプル台32と、商品サンプル照明装置40に取付けられる複数の商品サンプル33とを備え、サンプル台32には商品サンプル照明装置40が取付けられる。サンプル室31の前面は透明パネル31aによって覆われており、透明パネル31aには商品選択スイッチ21が取付けられている。サンプル台32は前面が斜め上方を臨むように後方に傾斜したサンプル配置面32aを有し、サンプル室31の背面板31bに固定されている。サンプル台32の前端下部には冷温表示板34を保持する保持部32bが設けられ、冷温表示板34の表面と裏面にはそれぞれコールド商品及びホット商品を表す文字及び色が表示されている。各商品サンプル33は、例えば缶入り飲料の形状を有し、背面側及び下面側の一部を開口した光透過性の樹脂によって中空状に形成されている。また、商品サンプル33の下端には商品サンプル照明装置40に取付けるための取付部材33aが設けられている。
【0015】
商品サンプル照明装置40は、複数の商品サンプル33を保持する照明ケース41と、照明ケース41の背面側に設けられた基板42と、基板42に取付けられた第1及び第2の発光体43,44とを備え、照明ケース41はサンプル台32のサンプル配置面32aに斜め上方を臨むように固定されている。照明ケース41は薄型の箱状に形成された透明のアクリルからなり、その前面には商品サンプル33の取付部をなす開口部41aが設けられている。即ち、商品サンプル33の取付部材33aを開口部41aの下端縁に係合することにより、商品サンプル33が着脱自在に取付けられるようになっている。照明ケース41の前面内側には、図4に示すように多数のプリズムからなる光拡散部41bが設けられ、光拡散部41bは照明ケース41のほぼ前面側全体に亘って形成されている。第1の発光体43は白色で発光する周知のLEDからなり、各商品サンプル33の内側(背面側)に位置するように基板42に上下二箇所ずつ設けられている。第2の発光体44は赤色、緑色、青色等、複数の有彩色の発光が可能な周知のRGBLEDからなり、各商品サンプルの外部近傍(幅方向両側)に位置するように基板42に上下二箇所ずつ設けられている。」
(エ)図4から、商品サンプル33の取付部材33aが、商品サンプル照明装置40の照明ケース41に取り付けられることが見て取れる。

摘記事項(イ)の記載及び摘記事項(ウ)の「商品サンプル表示部30は、外扉20内に設けられたサンプル室31と、」との記載から、自動販売機本体10の前面を開閉する外扉20にサンプル室31が形成されることが理解できる。
摘記事項(ウ)の記載から、商品サンプル照明装置40は、発光ダイオードを内蔵し、基板43及び照明ケース41からなる組立体であり、サンプル室31に展示された複数の商品サンプル33を照明するものといえる。

上記摘記事項の記載、及び上記認定事項、並びに図示内容を考慮し、本件出願の発明の記載に沿って整理すると、原査定引用例1には、次の発明(以下、「原査定引用発明1」という。)が記載されていると認める。
「自動販売機本体10の前面を開閉する外扉20に形成されたサンプル室31と、当該サンプル室31に展示された複数の商品サンプル33を照明する商品サンプル照明装置40を備え、前記商品サンプル照明装置40の光源として発光ダイオードを用いた自動販売機であって、前記商品サンプル照明装置40は前記発光ダイオードを内蔵する組立体からなり、当該組立体に商品サンプル33の取付部材33aが取り付けられる自動販売機」

(2)原査定引用例2
原審の拒絶理由に引用文献2として引用された、特開2007-293483号公報(以下、「原査定引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「【0027】
図1において、自動販売機本体30の前面に外扉31が開閉自在に備えられ、外扉31の前面部には、商品見本パネル32を展示した商品展示部33が構成されている。商品展示部33は、樹脂製の透明板で形成された矩形状の化粧パネル34が個々に独立形成されて構成されている。図1の場合、複数個の化粧パネル34が群となって、外扉31の左右に分かれて構成され、その間に広告パネル35を形成している。また商品見本パネル32は紙や樹脂プレートに商品のイメージ体がプリントされたものである。各々の化粧パネル34の下部には商品選択ボタン38が構成されている。」
(イ) 図1及び図2から、商品見本パネル32がフラットタイプの商品見本であることが見て取れる。

上記摘記事項及び図示内容から、原査定引用例2には、以下の事項が記載されていると認める。
「自動販売機において、フラットタイプの商品見本を展示すること」(以下、「原査定引用例2事項」という。)

3.対比
本件出願の発明と原査定引用発明1とを対比すると、原査定引用発明1の「自動販売機本体10」は本件出願の発明の「本体キャビネット」に相当する。以下同様に、「サンプル室31」は「ディスプレイ室」に、「商品サンプル33」は「商品見本」に、「商品サンプル照明装置40」は「照明手段」に、「組立体」は「発光ダイオード組立体」に相当する。また、「取付部材33a」は「ホルダー」に相当するから、原査定引用発明1の「当該組立体に商品サンプル33の取付部材33aが取り付けられる」と本件出願の発明の「当該発光ダイオード組立体にハーフタイプ若しくはフラットタイプの商品見本を展示するホルダーを一体に形成し」は、自動販売機が商品見本を展示するホルダーを有する点で一致する。
したがって、本件出願の発明と原査定引用発明1は、以下の点で一致する。

[一致点]本体キャビネットの前面を開閉する外扉に形成されたディスプレイ室と、当該ディスプレイ室に展示された複数の商品見本を照明する照明手段を備え、前記照明手段の光源として発光ダイオードを用いた自動販売機であって、前記照明手段は前記発光ダイオードを内蔵する発光ダイオード組立体からなり、商品見本を展示するホルダーを有する自動販売機。

そして、本件出願の発明と原査定引用発明1は、以下の点で相違する。

[相違点1]本件出願の発明は、発光ダイオード組立体にハーフタイプ若しくはフラットタイプの商品見本を展示するホルダーを一体に形成するのに対し、原査定引用発明1は、組立体に商品サンプル33の取付部材33aが取り付けられる点。
[相違点2]本件出願の発明は、発光ダイオード組立体を中扉に固定したのに対し、原査定引用発明1は、そのようなものか不明である点。

4.相違点についての検討及び判断
(1)相違点1について
原査定引用発明1と原査定引用文献2事項は、いずれも自動販売機の商品見本の展示に関するものであり、技術分野が共通するから、原査定引用発明1に原査定引用文献2事項を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、原査定引用発明1に原査定引用文献2事項を適用すると、組立体にフラットタイプの商品見本の取付部材が取り付けられることとなる。
ここで、当該取付部材を組立体と一体に形成するか、別体を取り付けるようにするかは、当業者が適宜選択し得る設計上の択一的選択事項である。
したがって、原査定引用発明1に原査定引用文献2事項を適用して相違点1に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(2)相違点2について
自動販売機において、商品見本を照明する照明手段を内扉3(本願の中扉に相当)に固定することは、例えば、原査定で例示した特開平5-12553号公報(特に、段落【0010】【0012】?【0015】及び図1、図5を参照。)に示されているように周知の事項であるから、原査定引用発明1の商品サンプル照明装置の組立体の固定先として当該周知の事項を採用して、相違点2に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(3)本件出願の発明の効果について
本件出願の発明によってもたらされる効果も、原査定引用発明1、原査定引用文献2事項、及び上記周知の事項から当業者であれば予測できる程度のものであって格別なものではない。
(4)小括
よって、本件出願の発明は、原査定引用発明1、原査定引用文献2事項、及び上記周知の事項から当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.まとめ
したがって、本件出願の発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本件出願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきであるから、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-13 
結審通知日 2017-07-18 
審決日 2017-08-01 
出願番号 特願2011-198506(P2011-198506)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G07F)
P 1 8・ 572- Z (G07F)
P 1 8・ 575- Z (G07F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 誠須賀 仁美  
特許庁審判長 長屋 陽二郎
特許庁審判官 熊倉 強
根本 徳子
発明の名称 自動販売機  
代理人 阪本 朗  
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