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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01S
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01S
管理番号 1332501
審判番号 不服2016-9954  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-01 
確定日 2017-10-03 
事件の表示 特願2013-549499「光情報を使用した測位システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 7月19日国際公開、WO2012/097003、平成26年 4月 3日国内公表、特表2014-508285、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年1月10日(パリ条約による優先権主張 2011年1月11日(以下、「優先日」という。) 米国、2011年9月23日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成26年7月22日付けの拒絶理由通知に対して、平成26年10月28日付けで手続補正がなされ、平成27年3月24日付けの最後の拒絶理由通知に対して、平成27年9月30日付けで手続補正がなされたが、平成28年2月24日付けで、平成27年9月30日付け手続補正でした補正の却下の決定がなされるとともに、同日付で拒絶査定(以下、「原査定」という)がなされ、これに対し、平成28年7月1日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。
その後、当審において平成29年4月26日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年8月2日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、平成29年8月2日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりのものである。

「【請求項1】
SPS信号を探索するための探索モードを開始する方法であって、
モバイルデバイスの環境に基づいた光情報を受信すること、ここにおいて、前記光情報が色温度を示す情報を備える、と、
位置支援情報を受信すること、ここにおいて、前記位置支援情報は太陽の角度を含む、と、
前記受信された光情報を、前記位置支援情報に基づいて判断されるしきい値と比較することによって、前記モバイルデバイスの特徴付けられる環境を判断すること、ここにおいて、前記しきい値は、屋内しきい値及び屋外しきい値を含み、前記屋内しきい値及び前記屋外しきい値は、少なくとも前記太陽の角度に基づく色温度に基づいて判断される、と、
前記特徴付けられる環境に基づいて前記探索モードを開始すること、ここにおいて、前記探索モードを前記開始することは、
前記受信された光情報が、前記屋外しきい値を超える場合、屋外探索モードを開始することと、
前記受信された光情報が、前記屋外しきい値を超えず、前記屋内しきい値を超える場合、屋内探索モードを開始することと、
前記受信された光情報が、前記屋外しきい値と前記屋内しきい値とのいずれも超えない場合、探索ウィンドウを広げること又は受信機の感度を高めることの少なくとも1つを備える一般探索モードを開始することと、
を備える、と、
を備える、方法。」

第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2010-54450号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。以下同様。)。

a 「【0019】
本実施形態に係る測位サーバ10を詳細に説明する前に、測位対象であるセルラ端末20について説明する。セルラ端末20は、GPS測位に用いられる信号の受信機能を有する装置であり、具体的には、図1に示すようにセンサ21と、セルラ通信部22と、GPS受信部23と、データ蓄積部24とを備えて構成されている。
【0020】
センサ21は、自端末20に係る環境を検出する手段である。本実施形態においてセンサ21が検出する情報は、セルラ端末20が屋内にいるか否かを判断するための情報である。具体的には、例えば、セルラ端末20に照射される紫外線の量である。紫外線の量は屋内では屋外に比べて減少するため、その特徴を利用することとしたものである。その場合、センサ21として紫外線センサが利用される。」
【0021】
また、センサ21が検出する情報は、セルラ端末20に照射される光の量である。光の量は、屋内外によって変化するため、その特徴を利用することとしたものである。その場合、具体的には、センサ21としてカメラを利用することができ、カメラによって検出される露出係数を上記の情報として利用することができる。なお、カメラによる露出係数の取得は、カメラによる撮像が実際に行われる必要はなく、カメラが撮像可能状態となっていればよい。また、センサ21は、複数の情報を検出する構成となっていてもよい。例えば、上記の紫外線センサとカメラとの両方によってセンサ21が構成されていてもよい。センサ21は、検出した情報をデータ蓄積部24に蓄積させる。」

b 「【0022】
セルラ通信部22は、セルラ通信システムのセルラ通信網(移動体通信網)に含まれる複数のセルラ基地局30との間で無線通信することにより、セルラ通信(移動体通信)を行う手段である。セルラ通信部22には、セルラ通信用のアンテナが設けられており、そのアンテナが用いられてセルラ通信が行われる。セルラ通信部22は、電話通信等の通常のセルラ通信を行うと共に、測位サーバ10における自端末20の測位のために用いられるセルラ通信による情報を取得する。具体的にどのような情報を取得するのかについては後述する。セルラ通信部22は、取得した情報をデータ蓄積部24に蓄積させる。」

c 「【0024】
GPS受信部23は、GPS衛星40から送信される、測位に用いられる信号を受信する手段である。GPS受信部23には、GPS衛星からの信号を受信するためのアンテナが設けられており、そのアンテナが用いられて受信が行われる。GPS受信部23は、GPS測位の演算に用いられる、受信したGPS衛星40からの信号に関する情報をデータ蓄積部24に蓄積させる。なお、GPS測位の演算自体は、測位サーバ10にて行われる。」

d 「【0035】
具体的には、環境情報取得部14は、セルラ端末20(のセンサ21)によって検出された情報に基づいて、セルラ端末20が屋内にいるか否かを判定して、当該判定結果を、環境を示す情報とする。
【0036】
例えば、セルラ端末20(のセンサ21)によって検出された紫外線の量に基づいて屋内外を判定する。具体的には、環境情報取得部14は、予め紫外線の量に関する閾値を記憶しておき、セルラ端末20によって検出された紫外線の量がその閾値を下回っているか否かを判断して、下回っていると判断される場合にはセルラ端末20が屋内にいると判断する。なお、屋外における(太陽光による)紫外線の量は、時刻、季節、緯度等によって変化するので、それらの情報に基づいて調整されることが望ましい。この場合、環境情報取得部14は、時刻、季節、緯度等の情報に応じた閾値(あるいは、閾値を補正する値)を予め記憶しておき、時刻、季節、緯度等の情報を取得してそれらの情報に基づいた閾値を自動的に設定することとするのがよい。また、紫外線の量は天気によっても変化するので、上記と同様に天気に応じた閾値を設定してもよい。」

e 「【0043】
有効性推定部15は、環境情報取得部14によって取得されたセルラ端末20に係る環境を示す情報に基づいて、GPS測位の有効性を推定する有効性推定手段である。有効性推定部15は、環境情報取得部14から、上記の環境を示す情報としてセルラ端末20が屋内にいるか屋外にいるかを示す情報が入力されると当該情報に基づいてGPS測位の有効性を推定する。例えば、セルラ端末20が屋外にあるとされた場合は、GPS測位は有効であると推定し、セルラ端末20が屋内にあるとされた場合は、GPS測位は有効でないと推定される。これは、セルラ端末20が屋外にない場合、GPS衛星40からの電波を受信できないため測位不能となるためである。有効性推定部15は、推定したGPS測位の有効性を示す情報をGPS測位制御部16に出力する。上記が、セルラ端末20が屋内にいるか否かの判別結果に基づいてGPS測位の有効性を判定するための構成である。」

f 「【0045】
GPS測位制御部16は、有効性推定部15によって推定された有効性に基づいて、セルラ端末20のGPS測位の実行を制御するGPS測位制御手段である。具体的には、GPS測位制御部16は、GPS測位が有効であるとされた場合、GPS測位演算部12に対して、GPS測位を実行させるように制御する。一方、GPS測位が有効でないとされた場合、基地局測位演算部13に対して基地局測位を実行させるように制御する(GPS測位演算部12に対してはGPS測位の実行は指示しない、あるいはGPS測位の実行を禁止する)。以上が、測位サーバ10の機能構成である。」

g 「【0048】
まず、セルラ端末20において、センサ21によって検知された情報が測位サーバ10に送信される。測位サーバ10では、送受信部11を介して環境情報取得部14によって当該情報が受信される。受信された情報に基づいて、環境情報取得部14によって、セルラ端末20に係る環境を示す情報が取得される(S01、環境情報取得ステップ)。環境を示す情報は、上述したようにセルラ端末20が屋内にいるか否かの判定情報である。取得された上記の判定情報は、環境情報取得部14から有効性推定部15に出力される。」

h 図4より、屋内外推定(S02)では、屋内と判断されない場合は、屋外と判断していることが見て取れる。

上記a?hより、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用文献1の記載箇所を示す。)。
「セルラ端末20は、センサ21と、セルラ通信部22と、GPS受信部23とを備えて構成されており(【0019】)、
センサ21は、自端末20に係る環境を検出する手段で、センサ21が検出する情報は、セルラ端末20に照射される紫外線の量であり(【0020】)、
センサ21によって検知された情報が、環境情報取得部14によって受信され(【0048】)、
環境情報取得部14は、センサ21によって検出された情報に基づいて、セルラ端末20が屋内にいるか否かを判定して、当該判定結果を、環境を示す情報とし(【0035】)、
具体的には、環境情報取得部14は、予め紫外線の量に関する閾値を記憶しておき、セルラ端末20によって検出された紫外線の量がその閾値を下回っているか否かを判断して、下回っていると判断される場合にはセルラ端末20が屋内にいると判断し、そうでない場合は屋外にいると判断し、屋外における(太陽光による)紫外線の量は、時刻、季節、緯度等によって変化するので、それらの情報に基づいて調整され、この場合、環境情報取得部14は、時刻、季節、緯度等の情報に応じた閾値(あるいは、閾値を補正する値)を予め記憶しておき、時刻、季節、緯度等の情報を取得してそれらの情報に基づいた閾値を自動的に設定し(【0036】、図4)、
有効性推定部15は、環境情報取得部14から、上記の環境を示す情報としてセルラ端末20が屋内にいるか屋外にいるかを示す情報が入力されると、セルラ端末20が屋外にあるとされた場合は、GPS測位は有効であると推定し、セルラ端末20が屋内にあるとされた場合は、GPS測位は有効でないと推定し(【0043】)、
GPS測位制御部16は、
セルラ端末20が屋外にあるとされた場合は、GPS測位演算部12に対して、GPS測位を実行させるように制御し(【0043】、【0045】)、GPS受信部23は、GPS衛星40から送信される、測位に用いられる信号を受信し(【0024】)、
セルラ端末20が屋内にあるとされた場合は、基地局測位演算部13に対して基地局測位を実行させるように制御し(【0043】、【0045】)、セルラ通信部22は、測位のために用いられるセルラ通信による情報を取得する(【0022】)、
方法。」

2 引用文献9について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献9(特開平10-68787号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0028】高照度光照射装置を用いるのではなく、太陽光などの環境光を用いてもよい。この場合、時差ぼけ解消装置に環境光の照度や色温度などの光環境を計測する光環境計測部を設けておくことで、光環境の利用を使用者に指示することができる。」

3 引用文献10について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献10(特開平4-70225号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「ホワイトバランスセンサ14は被写界の色温度を検出するもので、得られた色温度データから撮影が螢光灯下で行われたのか太陽光下で行われたのかを判別して前記適切なホワイトバランスを施す。」(第2頁右下欄第17行?第3頁左上欄1行)

4 引用文献3-7について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3-7は、次の通りである。
引用文献3:特表2005-502889号公報
引用文献4:特開2007-36480号公報
引用文献5:特開2009-250932号公報
引用文献6:特開2007-64978号公報
引用文献7:特開2004-157047号公報

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「GPS受信部23」は、「GPS衛星40から送信される、測位に用いられる信号を受信し」ているので、「GPS受信部23」は、「GPS衛星40から送信される」「信号」を探索しているといえる。
よって、引用発明の「方法」は、「セルラ端末20が屋外にあるとされた場合」に、「GPS受信部23は、GPS衛星40から送信される、測位に用いられる信号を受信し」ているので、下記の相違点を除いて、本願発明1の「SPS信号を探索するための探索モードを開始する方法」に相当するといえる。

イ 引用発明の「自端末20に係る環境を検出する手段で」ある「センサ21が検出する」「セルラ端末20に照射される紫外線の量」である「情報」を、環境情報取得部14が「受信」することは、本願発明1の「モバイルデバイスの環境に基づいた光情報を受信する」ことに相当する。

ウ 時刻、季節、緯度等が、「太陽」の角度に関係していることは明らかであるから、引用発明の「時刻、季節、緯度等の情報を取得」することと、本願発明1の「位置支援情報を受信すること、ここにおいて、前記位置支援情報は太陽の角度を含む」こととは、「位置支援情報を受信すること、ここにおいて、前記位置支援情報は太陽の角度に関係している」点で共通する。

エ 引用発明は「環境情報取得部14は、時刻、季節、緯度等の情報に応じた閾値(あるいは、閾値を補正する値)を予め記憶しておき、時刻、季節、緯度等の情報を取得してそれらの情報に基づいた閾値を自動的に設定する」ので、
引用発明の「閾値」は、本願発明1の「前記位置支援情報に基づいて判断されるしきい値」に相当する。
よって、引用発明の「予め紫外線の量に関する閾値を記憶しておき、セルラ端末20によって検出された紫外線の量がその閾値を下回っているか否かを判断して、下回っていると判断される場合にはセルラ端末20が屋内にいると判断し、そうでない場合は屋外にいると判断する」ことは、本願発明1の「前記受信された光情報を、前記位置支援情報に基づいて判断されるしきい値と比較することによって、前記モバイルデバイスの特徴付けられる環境を判断する」ことに相当する。

オ 引用発明の「セルラ端末20が屋外にあるとされた場合は、」「GPS受信部23は、GPS衛星40から送信される、測位に用いられる信号を受信し」は、本願発明1の「前記特徴付けられる環境に基づいて前記探索モードを開始すること」に相当する。

カ 引用発明の「紫外線の量がその閾値を下回っているか否かを判断して、下回っていると判断される場合にはセルラ端末20が屋内にいると判断し、そうでない場合は屋外にいると判断」し、「セルラ端末20が屋外にあるとされた場合は、」「GPS受信部23は、GPS衛星40から送信される、測位に用いられる信号を受信」することは、本願発明1の「前記受信された光情報が、前記屋外しきい値を超える場合、屋外探索モードを開始すること」に相当する。

すると、本願発明1と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「SPS信号を探索するための探索モードを開始する方法であって、
モバイルデバイスの環境に基づいた光情報を受信すること、
位置支援情報を受信すること、ここにおいて、前記位置支援情報は太陽の角度に関係していること、と、
前記受信された光情報を、前記位置支援情報に基づいて判断されるしきい値と比較することによって、前記モバイルデバイスの特徴付けられる環境を判断すること、
前記特徴付けられる環境に基づいて前記探索モードを開始すること、ここにおいて、前記探索モードを前記開始することは、
前記受信された光情報が、前記屋外しきい値を超える場合、屋外探索モードを開始することと、
を備える、と、
を備える、方法。」

(相違点1)
本願発明1は、モバイルデバイスの環境に基づいた「光情報」が、「色温度を示す情報」を備えるのに対して、引用発明は、そのような特定がない点。
(相違点2)
本願発明1は、「位置支援情報」が「太陽の角度を含む」のに対して、引用発明は、「時刻、季節、緯度等の情報を取得」しているが、「太陽の角度」を取得しているわけではない点。
(相違点3)
本願発明1は、「しきい値」が、「屋内しきい値及び屋外しきい値を含み、前記屋内しきい値及び前記屋外しきい値は、少なくとも前記太陽の角度に基づく色温度に基づいて判断される」のに対して、引用発明は、そのような特定がない点。
(相違点4)
本願発明1は、「受信された光情報」が、「前記屋外しきい値を超えず、前記屋内しきい値を超える場合、屋内探索モードを開始する」のに対して、引用発明は、「紫外線の量がその閾値を下回っているか否かを判断して、下回っていると判断される場合にはセルラ端末20が屋内にいると判断し」、「セルラ端末20が屋内にあるとされた場合は、」「セルラ通信部22は、測位のために用いられるセルラ通信による情報を取得する」点。
(相違点5)
本願発明1は、「受信された光情報」が、「前記屋外しきい値と前記屋内しきい値とのいずれも超えない場合、探索ウィンドウを広げること又は受信機の感度を高めることの少なくとも1つを備える一般探索モードを開始する」のに対して、引用発明は、そのような特定がない点。

(2)判断
上記相違点1について検討する。
引用発明は、「センサ21が検出する情報は、セルラ端末20に照射される紫外線の量」であり、また、引用文献1には「センサ21が検出する情報は、セルラ端末20に照射される光の量である」ことが記載されているが(上記「第3 1 a 【0021】」)、「センサ21」が、色温度を示す情報を検出することは記載されていない。

一方、引用文献9、10に記載されてるように、色温度を計測する技術は周知である(上記「第3 2」「第3 3」)。
しかしながら、引用発明は、「センサ21が検出する情報」である「紫外線の量がその閾値を下回っているか否かを判断」するもので、紫外線の「量」と「閾値」の比較によって判断を行っており、センサが、色温度を示す情報を検出する必要性はなく、
引用発明において、上記周知技術を適用し、「センサ21」を、色温度を示す情報を検出するセンサに換えることは、当業者が容易に想到し得えたことであるとはいえない。

したがって、上記相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明、引用文献9、10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得えたことであるとはいえない。

よって、本願発明1は、上記相違点2-5について検討するまでもなく、引用発明、引用文献9、10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

また、引用文献2-7にも、上記相違点1に係る本願発明1の構成に相当する、モバイルデバイスの環境に基づいた、色温度を示す情報を検出することは記載も示唆もされていない。

2 本願発明2について
本願発明1を引用する本願発明2は、本願発明1をさらに限定した発明であるから、引用発明、引用文献2、9,10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3 本願発明3、4について
本願発明1を引用する本願発明3、4は、本願発明1をさらに限定した発明であるから、引用発明、引用文献9、10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

4 本願発明5について
本願発明1を間接的に引用する本願発明5は、本願発明1をさらに限定した発明であるから、引用発明、引用文献3、4、9、10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

5 本願発明6について
本願発明1を間接的に引用する本願発明6は、本願発明1をさらに限定した発明であるから、引用発明、引用文献4-6、9、10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

6 本願発明7、8について
本願発明1を直接または間接的に引用する本願発明7、8は、本願発明1をさらに限定した発明であるから、引用発明、引用文献7、9、10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

7 本願発明9について
本願発明9は、本願発明1に対応する装置の発明であり、上記相違点1に係る本願発明1の「前記光情報が色温度を示す情報を備える」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由によって、引用発明、引用文献9、10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

8 本願発明10について
本願発明9を引用する本願発明10は、本願発明9をさらに限定した発明であるから、引用発明、引用文献9、10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

9 本願発明11について
本願発明1を直接または間接的に引用する本願発明11は、本願発明1をさらに限定した発明であるから、引用発明、引用文献9、10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。


第5 原査定の拒絶の理由の概要及び原査定の理由についての判断
原査定の拒絶の理由は、請求項1、3-5、13-15について上記引用文献1、9、10に基づいて、請求項2について上記引用文献1、2、9、10に基づいて、請求項6について上記引用文献1、3、4、9、10に基づいて、請求項7について上記引用文献1、3-5、9、10に基づいて、請求項8-10について上記引用文献1、4-6、9、10に基づいて、請求項11、12について上記引用文献1、7、9、10に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

しかしながら、平成29年8月2日付け手続補正により補正された請求項1-11は、「前記光情報が色温度を示す情報を備える」という事項を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1、3、4、9-11は、引用発明、引用文献9、10に記載された事項に基づいて、本願発明2は、引用発明、引用文献2、9,10に記載された事項に基づいて、本願発明5は、引用発明、引用文献3、4、9、10に記載された事項に基づいて、本願発明6は、引用発明、引用文献4-6、9、10に記載された事項に基づいて、本願発明7、8は、引用発明、引用文献7、9、10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
特許法第36条第6項第1号について
当審では、請求項1、13に記載された「SPSを探索するための探索モードを開始する」は、発明の詳細な説明に記載したものでないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年8月2日付けの手続補正により、「前記探索モードを前記開始することは、前記受信された光情報が、前記屋外しきい値を超える場合、屋外探索モードを開始することと、前記受信された光情報が、前記屋外しきい値を超えず、前記屋内しきい値を超える場合、屋内探索モードを開始することと、前記受信された光情報が、前記屋外しきい値と前記屋内しきい値とのいずれも超えない場合、探索ウィンドウを広げること又は受信機の感度を高めることの少なくとも1つを備える一般探索モードを開始することと、を備える」ことが追加された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1、3、4、9-11は、引用発明、引用文献9、10に記載された事項に基づいて、本願発明2は、引用発明、引用文献2、9,10に記載された事項に基づいて、本願発明5は、引用発明、引用文献3、4、9、10に記載された事項に基づいて、本願発明6は、引用発明、引用文献4-6、9、10に記載された事項に基づいて、本願発明7、8は、引用発明、引用文献7、9、10に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-09-15 
出願番号 特願2013-549499(P2013-549499)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01S)
P 1 8・ 537- WY (G01S)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 説志目黒 大地  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 須原 宏光
清水 稔
発明の名称 光情報を使用した測位システム  
代理人 福原 淑弘  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 井関 守三  
代理人 岡田 貴志  

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