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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1332808
審判番号 不服2015-21980  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-11 
確定日 2017-09-12 
事件の表示 特願2012-260408「ソーラーポスター」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月 9日出願公開、特開2014-106430〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願は、平成24年11月28日付けの特許出願であって、平成27年5月8日付けで手続補正書が提出され、同年9月7日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされ(同査定の謄本の送達(発送)日 同年同月15日)、これに対して、同年12月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。

第2.平成27年12月11日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正では、特許請求の範囲の請求項1に関して次のとおりの補正がされた。
本件補正前の、
「【請求項1】
公職選挙法ポスターの規格に合致する条件を備え、基材の片側に感圧性接着剤、リリースライナーを設け、該リリースライナーにはスリットを設け、このスリットは掲示板にポスターを貼る時に、そのスリットからリリースライナーの一部を剥がして接着面の一部をむき出しにして掲示板に位置決めして貼り、次に残りのリリースライナーを剥がしてポスター全面を貼るように構成され、蛍光体のごとき発光体を用いず、太陽エネルギーや車のヘッドライト等のエネルギーを吸収し、夜間又は暗所で所定部分が発光することを特徴とするソーラーポスター。」は、
本件補正により、
「【請求項1】
ポスターの人名に蓄光インクを使用せずに、逆にバックに蓄光インクを使用することにより大きな面積で強力な効果となり、また人名に蓄光インクを使用せずに人物の目のみに蓄光インクを使用することにより蓄光インクの量を人名に使うより最小限に少なくして大幅なコストダウンをし、しかも強力に目立ち、大効果があることを特徴とする高効果蓄光ポスター。」と補正された。(下線は審決で付した。以下の下線も同じ。)

2.本件補正の目的について
特許法第17条の2第5項各号の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする、特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明、のいずれかを目的とするものに限られる。

この点を本件補正についてみると、上記のとおり、本件補正は当該補正前の請求項1から、「公職選挙法ポスターの規格に合致する条件を備え」るという発明特定事項、及び「基材の片側に感圧性接着剤、リリースライナーを設け、該リリースライナーにはスリットを設け、このスリットは掲示板にポスターを貼る時に、そのスリットからリリースライナーの一部を剥がして接着面の一部をむき出しにして掲示板に位置決めして貼り、次に残りのリリースライナーを剥がしてポスター全面を貼るように構成され」るという発明特定事項を削除するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに当たらないものであるし、また、請求項の削除を目的とするもの、誤記の訂正を目的とするもの、明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも当たらない。

3.むすび
以上のように、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定を満たすものではないから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願の発明について
1.本願の発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成27年5月8日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲、明細書、及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める(以下「本願発明」という。)。
「【請求項1】
公職選挙法ポスターの規格に合致する条件を備え、基材の片側に感圧性接着剤、リリースライナーを設け、該リリースライナーにはスリットを設け、このスリットは掲示板にポスターを貼る時に、そのスリットからリリースライナーの一部を剥がして接着面の一部をむき出しにして掲示板に位置決めして貼り、次に残りのリリースライナーを剥がしてポスター全面を貼るように構成され、蛍光体のごとき発光体を用いず、太陽エネルギーや車のヘッドライト等のエネルギーを吸収し、夜間又は暗所で所定部分が発光することを特徴とするソーラーポスター。」

2.引用例
(1)原査定に係る拒絶理由通知で引用された、本願の出願日前である平成20年10月30日に頒布された刊行物である実用新案登録第3145939号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア.「【0006】
即ちこの考案は、ベース紙上に、文字、図形又は写真を単独又は複合表示したポスターにおいて、前記文字、図形又は写真の一部又は全部を、数時間以上の残光時間を有する蓄光インクを用いて表示したことを特徴とする政治用ポスターであり、ベース紙上に、文字、図形又は写真を単独又は複合表示したポスターにおいて、前記文字中、少なくとも氏名を、6時間以上の残光時間を有する蓄光インクを用いて表示したことを特徴とする政治用ポスターである。」
イ.「【0008】
前記における政治用ポスターとは、政党活動用ポスター、政治活動用ポスター、又は選挙用などのように政治に直接又は間接的に効果を発揮するポスターをいう。」

上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「ベース紙上に、文字、図形又は写真を単独又は複合表示したポスターにおいて、前記文字、図形又は写真の一部又は全部を、数時間以上の残光時間を有する蓄光インクを用いて表示した、政党活動や選挙などに用いる政治用ポスター。」

(2)原査定に係る拒絶理由で引用された、本願の出願日前である平成3年7月9日に頒布された刊行物である実願平1-130153号(実開平3-69193号)のマイクロフィルム(以下「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア.「ポスター用紙裏面に、接着剤若しくは発泡弾力性粘着剤等の粘着剤層を介して剥離紙を積層し、該剥離紙には、上下及び左右両側部に、個々の剥離紙に分離する切目を形成したことを特徴とするポスター。」(第1頁第5?9行)
イ.「従来、例えば選挙用のポスターにあっては、現場にあってポスター裏面全体に接着剤又はのりを塗布し、これを掲示板、電柱等に貼り付けていた。しかして、この場合、接着剤を塗布してから貼り付けねばならなかったので、作業能率が悪い欠点があるほか、全面に貼着しているので、剥がしにくい問題があった。そればかりか、凹凸部のある面に貼り付ける場合、全面貼着であるので、ポスター表面も凹凸となり、そのためポスターの美感が損なわれる問題があった。 又、ピンによってポスターの周辺を数箇所止める方法もあるが、これはコンクリート面の場合はは不可能であり、また裏面の四周辺に両面接着テープを予め貼り付け、現場で剥離紙を剥がして貼り付ける方法もあるが、多くの手間を煩わす欠点があった。
この考案は、このような点に着目してなされたものであり、ポスターを貼ったり、剥がしたりする作業が容易にできると共に、どのような貼着面にも美麗に貼ることができるポスターを提供することを目的とする。」(第1頁第16行?第2頁第15行)

上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「ポスター用紙裏面に、接着剤若しくは発泡弾力性粘着剤等の粘着剤層を介して剥離紙を積層し、該剥離紙には、上下及び左右両側部に、個々の剥離紙に分離する切目を形成した、ポスターを貼ったり、剥がしたりする作業が容易にできる、選挙用のポスター。」

(3)原査定に係る拒絶理由で引用された、本願の出願日前である平成18年8月31日に頒布された刊行物である特開2006-227051号公報(以下「引用例3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア.「【0013】
先ず、図6を参照して、本発明のラベル貼付台紙に貼付されるラベルシートの一例について説明する。
図6のa図は、ラベルシート3のラベル側である印字側の一例を示している。
ラベルシート3は、剥離ライナー32上にラベル状の支持体(以下、ラベルという。)31が粘着剤層を介して貼り合わされた粘着紙である。
それぞれのラベル31は、切り離し用のミシン33で連接され、ロール状に巻かれ、携帯端末に装着される。
ラベル31は、印字された後粘着剤層を伴って剥離ライナー(以下、剥離紙という。)32から引き剥がされ、切り離し用のミシン33で切り離され、対象物に貼付される。
切り離し用のミシン34を剥離紙32側にも形成することによって、ラベル31を剥離紙32を伴った状態で切り離すようにすることもできる。
印字内容は、本来1枚のラベル単位(1単位ラベル)で完結し、印字されたラベルは荷物に貼付されたり、応急的に配送伝票に貼付されて使用される。」
イ.「【0014】
図6のb図は、a図で説明したラベルシート3の裏側の一例を示したものである。
剥離紙32上には、ラベル31が1ラベル単位で印字,切り離しができるように光電管読取マーク321が印刷されている。
剥離紙32には、ラベルと剥離紙を一緒に、また、剥離紙だけを切り離しができるように、切り離しミシン34が形成されている。
また剥離紙32には、印字されたラベルが対象物の貼付位置に正しく貼付できるように切込み(スリット)322が形成されている。
対象物(配送物)にラベル31を貼付する際に、ラベルを剥離紙を剥がさない状態で配送物に貼付位置合わせを行い、剥離紙32に形成された切込み322の、例えば、狭い方の剥離紙を先に剥がしてラベルの一部を接着した後残りの剥離紙を剥がしてラベルの残り部分を貼付するようにして使用している。」

上記の記載事項を総合すると、引用例3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。
「剥離紙32上にラベル状の支持体31が粘着剤層を介して貼り合わされた粘着紙からなるラベルシート3であって、
剥離紙32には、印字されたラベルが対象物の貼付位置に正しく貼付できるように切込み(スリット)322が形成されていて、
対象物(配送物)にラベル31を貼付する際に、ラベルを剥離紙を剥がさない状態で配送物に貼付位置合わせを行い、剥離紙32に形成された切込み322の、例えば、狭い方の剥離紙を先に剥がしてラベルの一部を接着した後残りの剥離紙を剥がしてラベルの残り部分を貼付するようにして使用されるラベルシート3。」

3.対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
後者において、文字や図形などを表示するために用いられる「蓄光インク」は、蛍光体のごとき発光体を用いず、太陽エネルギーや車のヘッドライト等のエネルギーを吸収し、夜間又は暗所で発光する性質をもつものである。してみれば、後者も前者と同様に、「夜間又は暗所で所定部分が発光するソーラーポスター」ということができる。

したがって、両者は、
「蛍光体のごとき発光体を用いず、太陽エネルギーや車のヘッドライト等のエネルギーを吸収し、夜間又は暗所で所定部分が発光するソーラーポスター。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
本願発明が「公職選挙法ポスターの規格に合致する条件を備え」るものであるのに対し、引用発明1では、このことが明確ではない点。
[相違点2]
本願発明では「基材の片側に感圧性接着剤、リリースライナーを設け、該リリースライナーにはスリットを設け、このスリットは掲示板にポスターを貼る時に、そのスリットからリリースライナーの一部を剥がして接着面の一部をむき出しにして掲示板に位置決めして貼り、次に残りのリリースライナーを剥がしてポスター全面を貼るように構成され」ているのに対し、引用発明1では、その点につき、明らかでない点。

4.判断
上記相違点について以下検討する。
(1)相違点1について
引用発明1の「政治用ポスター」も、「政党活動や選挙などに用いる」ものである以上、本願発明と同様に、「公職選挙法ポスターの規格に合致する条件を備え」るものとするのは、当業者であれば通常なしうる程度の事項といえる。
したがって、引用発明1において、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
(2)相違点2について
引用発明3の「粘着剤」は「感圧性接着剤」と同義であり、また引用発明3の「剥離紙32」及び「切込み322」は、本願発明の「リリースライナー」及び「スリット」に相当する。
そして、引用発明3において、「対象物(配送物)にラベル31を貼付する際に、ラベルを剥離紙を剥がさない状態で配送物に貼付位置合わせを行い、剥離紙32に形成された切込み322の、例えば、狭い方の剥離紙を先に剥がしてラベルの一部を接着した後残りの剥離紙を剥がしてラベルの残り部分を貼付するようにして使用される」としているのは、本願発明において、「このスリットは掲示板にポスターを貼る時に、そのスリットからリリースライナーの一部を剥がして接着面の一部をむき出しにして掲示板に位置決めして貼り、次に残りのリリースライナーを剥がしてポスター全面を貼る」としているのと基本的には同様の態様をいえるものである。
引用発明3に示されている、上記のような剥離紙(リリースライナー)と切込み(スリット)の形状や利用の態様は、多種類の貼着物及び被貼着物を通じて常套的に採用されているところであるし、引用発明2には、選挙用などのポスターの裏面(片側)に、粘着剤層(感圧性接着剤)を介して剥離紙(リリースライナー)を積層して、ポスターを貼ったり、剥がしたりする作業を容易にできるようにすることも示されており、このようなことも本件出願の出願前において既に知られている。
してみれば、引用発明1において、引用発明2、3を適用して、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得る程度の事項である。
(3)また、本願発明の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明1ないし3から当業者が予測し得る範囲内のものといえる。

よって、本願発明は、引用発明1ないし3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1ないし3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-10-20 
結審通知日 2016-10-25 
審決日 2016-11-07 
出願番号 特願2012-260408(P2012-260408)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09F)
P 1 8・ 572- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 藤本 義仁
黒瀬 雅一
発明の名称 ソーラーポスター  

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