ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
---|---|
管理番号 | 1332897 |
審判番号 | 不服2017-258 |
総通号数 | 215 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-11-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-01-10 |
確定日 | 2017-09-28 |
事件の表示 | 特願2015-54903号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月6日出願公開、特開2016-174622号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成27年3月18日の出願であって、平成28年10月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年1月10日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたが、当審において同年5月30日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対して、同年6月9日付けで手続補正がなされたものである。 2 本願の請求項1に係る発明 平成29年6月9日付けの手続補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、当該補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。A?Fは本願発明を分説するため当審で付した。)。 「【請求項1】 A 駆動源と、 B 前記駆動源の動力により変位可能な演出部材と、 C 前記演出部材に対して一方端側が回転自在に支持された第一可動部材および第二可動部材と、 を備え、 D 前記駆動源の動力が前記演出部材に伝達されることで、当該演出部材が、それに支持された前記第一可動部材および前記第二可動部材との相対位置を変化させずに変位する状態と、 E 前記駆動源の動力が前記第一可動部材および前記第二可動部材の他方端側に伝達されることで、当該第一可動部材および第二可動部材の両方が前記演出部材に支持された一方端側を支点として回動するとともに、当該第一可動部材および第二可動部材の他方端側が互いに近づく方向または離れる方向に変位する状態と、 F が切り替えられることを特徴とする遊技機。」 3 当審の平成29年5月30日付け拒絶理由の概要 当審の平成29年5月30日付け拒絶理由の概要は、本願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された特開2011-224252号公報(以下、「刊行物1」という。)又は特開2015-2931号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し又は同条第2項の規定により、特許を受けることができないというものである。 4 刊行物に記載された事項 当審の拒絶の理由で引用された刊行物1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 (ア) 「【0010】 ・・・ 図1、図2は、本発明を適用したパチンコ遊技機の遊技盤面(遊技盤ユニット)を示す正面図である。 ・・・ 遊技領域中央には、画像表示器111が配置されている。画像表示器111は、例えば、液晶表示装置等の液晶表示パネルにより構成され、特別図柄に応じた装飾図柄、例えば数字図柄、アルファベット図柄、キャラクタ図柄等の画像が表示される。・・・画像表示器111の上方に設けた収容部120の背面側には、鳳凰を象った可動役物が収容されており、パチンコ遊技機における演出にあわせて、図2に示すように収容部120から出没させる。 この可動役物は、内部基板にLED(Light Emission Diode)を組み込むことで発光可能とした本発明のイルミネーションユニットである。」 (イ) 「【0012】 図3は、図2に示した可動役物であるイルミネーションユニット10を示す図であり、図4は、イルミネーションユニット10の分解図である。 図3、図4に示すように、本発明のイルミネーションユニットは、鳳凰の羽根先端部を象った第1の羽根部11、15と、鳳凰の頭部及び胴体を象った胴部13と、鳳凰の胴体から延びる羽根本体部を象った第2の羽根部12、14と、から構成されている。図5において詳述するが、イルミネーションユニット10において、第1の羽根部11、15はその基部を、第2の羽根部12、14に対して、それぞれ軸部16-1、16-2を中心として上下方向へ回動可能に接続されている。さらに、第2の羽根部12、14も、その基部を胴部13に対して軸部17-1、17-2を中心として回動可能に接続されている。・・・」 (ウ) 「【0013】 図5は、イルミネーションユニットの駆動機構を説明する図であり、(a)は収容状態を示す正面図、(b)はその背面図、(c)は、動作状態を示す正面図、(d)は、動作状態を示す背面図である。 図5に示すように、鳳凰を象った本発明の可動役物であるイルミネーションユニット10は、上下方向に長い略長方形のベース部材17によって支持されており、またベース部材17の上部に設けた左右の軸部70a、70bによって一端部を上下方向へ回動自在に軸支された略L字形の一対のアーム71a、71bの他端部が第1の羽根部11、15の先端部に設けた軸部11a、15aによって回動自在に軸支されている。 このため、一対のアーム71a、71bが同期して上下方向へ回動する過程で、第1の羽根部11、15が上下方向へ開閉動作するため、第1の羽根部11、15の基部に対して図4に示す軸16-1、16-2により軸支された第2の羽根部12、14も連動して上下方向へ開閉動作する(図5(c))。 【0014】 つまり、第1の羽根部11、15、第2の羽根部12,14からなる折り畳み式の羽根は、アーム71a、71bの回動によって図5(a)(b)に示した収納位置と図5(c)(d)に示した開放位置との間を動作する。 なお、図5(a)(b)に示す収納位置にある場合、イルミネーションユニット10は、図1に示すように収納部120の背面側に隠れているが、図5(c)(d)に示す開放位置にある場合、図2に示すように収納部120の外に現れる。 なお、イルミネーションユニット10を支持するベース部材17は、その左右両側端に設けたレール部16を介して図示しない支持部により上下動可能に支持されている。 なお、以下に説明する駆動機構によってベース部材17及びイルミネーションユニット10は上下動するが、イルミネーションユニット10が下降する際に、図示しない支持部に設けた左右一対のストッパ72a、72b(図5(c))が各アーム71a、71bと当接してアームを開放動作させる。 鳳凰は、駆動機構によって全体として上下動すると共に、上昇位置においては羽根が本体部の両側方に折り畳まれた収納状態となり、下降位置においては羽根が開放した開放状態となる。」 (エ) 「【0015】 以下に、図5(b)(d)を使用してイルミネーションユニット10を駆動する駆動機構を説明する。 駆動機構は、固定部としての、上述の図示しない支持部に固定されたモータ81と、モータ81の出力軸により軸心を支持された出力ギア82と、支持部によって回転自在に軸支されると共に出力ギア82と常時噛合する大径のギア83と、ギア83の前面側に配置されてギア83の回転によって上下動し、且つ左右両側縁にラックギア74a、74bを有した略矩形のスライドギア片73と、ギア83よりも下方の支持部に設けた軸部によって回転自在に軸支され且つスライドギア片73が上下動する移動経路において常時各ラックギア74a、74bと噛合する左右一対のギア84、85と、左右一対のギア84、85の下方の支持部により回転自在に軸支され且つ各ギア84、85と常時噛合する左右一対のギア86、87と、左右一対のギア86、87の下方の支持部により回転自在に軸支され且つ各ギア86、87と常時噛合し、かつベース部材17下面に設けたラックギア75a、75bと常時噛合する左右一対のギア(最終ギア対)88、89と、を備えている。 なお、ベース部17の下面には略長方形状の突部が設けられており、ラックギア75a、75bは、この突部の左右両側縁に沿って設けられている。 【0016】 また、図5(c)に示すように、ギア83の外周に沿った前面にはピン76が突設されており、このピン76はスライドギア片73の上部に設けた横長の長穴77に遊嵌している。このため、ギア83が一方向へ一回転する過程でピンが長穴77内を一往復し、その際にスライドギア片73が上下動する。 図5(d)に示すように、スライドギア片73が上下動すると、まずその左右側縁に設けたラックギア74a、74bと常時噛合するギア84、85に駆動力が伝達され、更に順次ギア86、87、ギア88、89に駆動力が伝達され、最後に88、89から鳳凰を支持するベース部材17下面に設けた左右一対のラックギア75a、75bに駆動力が伝達されてベース部材17及びイルミネーションユニット10が上下動する。」 (オ) 図5には、第1の羽根部11、15及び第2の羽根部12、14が重なって折り畳まれた状態の位置(図5(a)、(b)。以下、「上昇位置」という。)において、アーム71a、71bのうちストッパ72a、72bが当接する部分(図5(a)、(b)においてアーム71a、71bのうち略水平に図示されている部分。以下、「当接部分」という。)が出力ギア82よりも上方にあって、図5(c)、(d)ではストッパ72a、72bはギア84の近傍に位置しており、図5(a)、(b)ではアーム71a、71bの当接部分はギア84の上方に位置しているから、上昇位置ではアーム71a、71bはストッパ72a、72bと当接していないこと、及び、ストッパ72a、72bは出力ギア82よりも下方にあること(図5(c)、(d))が図示されている。 そして同図には、上昇位置においては、アーム71a、71bの当接部分はストッパ72a、72bと当接しておらず、また、ストッパ72a、72bは出力ギア82よりも下方にあるから、上昇位置からイルミネーションユニット10が下降し、当接部分が出力ギア82より下方に移動してストッパ72a、72bと当接する位置に至るまでの区間は、ストッパ72a、72bが各アーム71a、71bと当接していない状態にあることが図示されている。 (カ) 図5には、第1の羽根部11、15が、軸部16-1、16-2を中心として回動すると、当該第1の羽根部11、15の軸部16-1、16-2が位置する基部とは反対側の端部である先端部が互いに近づく方向(図5(a)、(b))または離れる方向(図5(c)、(d))に変位することが図示されている。 以上の記載事項及び図面の図示内容から、以下の認定をすることができる。 (キ) 上記(イ)【0012】には、「イルミネーションユニットは・・・第1の羽根部11、15と・・・胴部13と・・・第2の羽根部12、14と、から構成されている」、「第1の羽根部11、15はその基部を、第2の羽根部12、14に対して、それぞれ軸部16-1、16-2を中心として上下方向へ回動可能に接続されている」と記載されている。 そうすると、上記(イ)には、イルミネーションユニット10は第1の羽根部11、15、第2の羽根部12、14などから構成されること、及び、第2の羽根部12、14には、第1の羽根部11、15が接続されることが記載されている。 また、上記(エ)【0015】には、「イルミネーションユニット10を駆動する駆動機構・・・は、・・・支持部に固定されたモータ81と、モータ81の出力軸により軸心を支持された出力ギア82と、支持部によって回転自在に軸支されると共に出力ギア82と常時噛合する大径のギア83と・・・を備えている」と記載され、同【0016】には、「ギア83が一方向へ一回転する過程で・・・駆動力が伝達されて・・・イルミネーションユニット10が上下動する」と記載されている。 そうすると、上記(エ)には、駆動機構によってモータ81の出力が伝達されることで、イルミネーションユニット10が上下動することが記載されている。 ここで、イルミネーションユニット10は第1の羽根部11、15、第2の羽根部12、14などから構成され、当該イルミネーションユニット10はモータ81の出力が伝達されることで上下動するから、当該イルミネーションユニット10が上下動する際、当該モータ81の出力が第2の羽根部12、14に対しても伝達されていることは明らかである。 したがって、上記(イ)、(エ)には、イルミネーションユニット10が上下動する際、モータ81の出力が第2の羽根部12、14に伝達されることで、当該第2の羽根部12、14が、それに接続された第1の羽根部11、15とともに上下動することが記載されているということができる。 (ク) 上記(ウ)【0013】には、「イルミネーションユニット10は、・・・ベース部材17によって支持されており、またベース部材17の上部に設けた左右の軸部70a、70bによって一端部を上下方向へ回動自在に軸支された略L字形の一対のアーム71a、71bの他端部が第1の羽根部11、15の先端部に設けた軸部11a、15aによって回動自在に軸支され・・・一対のアーム71a、71bが同期して上下方向へ回動する過程で、第1の羽根部11、15が上下方向へ開閉動作するため・・・第2の羽根部12、14も連動して上下方向へ開閉動作する」と記載され、同【0014】には、「イルミネーションユニット10が下降する際に、図示しない支持部に設けた左右一対のストッパ72a、72b・・・が各アーム71a、71bと当接してアームを開放動作させる」と記載されている。 そうすると、上記(ウ)には、モータ81の出力が伝達されることで、イルミネーションユニット10が上下動し、イルミネーションユニット10が下降する際、ストッパ72a、72bが各アーム71a、71bと当接してアームを開放動作させ、アーム71a、71bが上方向へ回動する過程で、第1の羽根部11、15が上方向へ開動作し、第2の羽根部12、14も連動して上方向へ開動作することが記載されている。また、刊行物1には、第2の羽根部12、14と、それに接続された第1の羽根部11、15を開閉動作させる手段について、当該ストッパ72a、72bが各アーム71a、71bと当接することによること以外は、何ら記載されていない。 そして、第2の羽根部12、14と、それに接続された第1の羽根部11、15は、ストッパ72a、72bが各アーム71a、71bと当接して初めて開閉動作するものであって、ストッパ72a、72bが各アーム71a、71bと当接していない状態にあっては第2の羽根部12、14と、それに接続された第1の羽根部11、15との相対位置は変化しないことは明らかである。 そうすると、上記(オ)に示したとおり、上昇位置からイルミネーションユニット10が下降し、当接部分が出力ギア82より下方に移動してストッパ72a、72bと当接する位置に至るまでの区間は、ストッパ72a、72bが各アーム71a、71bと当接していない状態にあることから、当該区間では、第2の羽根部12、14と、それに接続された第1の羽根部11、15との相対位置が変化しないことが明らかである。 したがって、上記(ウ)、(オ)には、第2の羽根部12、14が、それに接続された第1の羽根部11、15との相対位置を変化させずに変位する状態を有することが記載されているということができる。 (ケ) 上記(キ)、(ク)より、刊行物1には、モータ81の出力が第2の羽根部12、14に伝達されることで、第2の羽根部12、14が、それに接続された第1の羽根部11、15との相対位置を変化させずに変位する状態を有することが記載されているということができる。 (コ) 上記(キ)に示したとおり、上記(エ)【0015】、【0016】には、駆動機構によってモータ81の出力が伝達されることで、イルミネーションユニット10が上下動することが記載されている。 また、上記(キ)に示したとおり、上記(ウ)【0013】には、「イルミネーションユニット10は、・・・ベース部材17の上部に設けた左右の軸部70a、70bによって一端部を上下方向へ回動自在に軸支された略L字形の一対のアーム71a、71bの他端部が第1の羽根部11、15の先端部に設けた軸部11a、15aによって回動自在に軸支され・・・一対のアーム71a、71bが同期して上下方向へ回動する過程で、第1の羽根部11、15が上下方向へ開閉動作する」と記載され、同【0014】には、「駆動機構によって・・・イルミネーションユニット10は上下動するが、イルミネーションユニット10が下降する際に、図示しない支持部に設けた左右一対のストッパ72a、72b・・・が各アーム71a、71bと当接してアームを開放動作させる」と記載されている。 ここで、駆動機構によってモータ81の出力が伝達されることで、イルミネーションユニット10が上下動し、当該上下動に伴うアーム71a、71bの動作によって第1の羽根部11、15が動作するということは、モータ81の出力がアーム71a、71bを介して、当該アーム71a、71bが接続された第1の羽根部11、15の先端部に伝達されていることであることは明らかである。 したがって、上記(エ)、(ウ)には、モータ81の出力が第1の羽根部11、15の先端部に伝達されることで動作する第1の羽根部11、15が記載されているということができる。 (サ) 上記(イ)【0012】には、「第1の羽根部11、15はその基部を、第2の羽根部12、14に対して、それぞれ軸部16-1、16-2を中心として上下方向へ回動可能に接続されている」と記載されている。 そうすると、上記(イ)には、第1の羽根部11、15が第2の羽根部12、14に接続された基部の軸部16-1、16-2を中心として回動することが記載されている。 また、上記(カ)に示したとおり図5には、第1の羽根部11、15が、軸部16-1、16-2を中心として回動すると、当該第1の羽根部11、15の先端部が互いに近づく方向または離れる方向に変位することが図示されている。 したがって、上記(イ)、(カ)には、第1の羽根部11、15が第2の羽根部12、14に接続された基部の軸部16-1、16-2を中心として回動するとともに、当該第1の羽根部11、15の先端部が互いに近づく方向または離れる方向に変位する状態となることが記載されているということができる。 (シ) 上記(コ)、(サ)より、刊行物1には、モータ81の出力が第1の羽根部11、15の先端部に伝達されることで、第1の羽根部11、15が第2の羽根部12、14に接続された基部の軸部16-1、16-2を中心として回動するとともに、当該第1の羽根部11、15の先端部が互いに近づく方向または離れる方向に変位する状態となることが記載されているということができる。 (ス) 上記(ケ)に示した「・・・相対位置を変化させずに変位する状態」と、上記(シ)に示した「・・・互いに近づく方向または離れる方向に変位する状態」は、上記(ク)に示したモータ81の出力が伝達されることでイルミネーションユニット10が下降する際に、前者の状態から後者の状態となるということができる。 以上の記載事項、図面の図示内容及び認定事項から、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。a?fは引用発明を分説するため当審で付した。)。 「a 支持部に固定されたモータ81と(【0015】)、 b モータ81の出力が伝達されることで上下動する第2の羽根部12、14と(認定事項(キ))、 c 第2の羽根部12、14に対して、その基部をそれぞれ軸部16-1、16-2を中心として上下方向へ回動可能に接続されている第1の羽根部11、15と(【0012】)、 を備え、 d モータ81の出力が第2の羽根部12、14に伝達されることで、第2の羽根部12、14が、それに接続された第1の羽根部11、15との相対位置を変化させずに変位する状態から(認定事項(ケ)、(ス))、 e モータ81の出力が第1の羽根部11、15の先端部に伝達されることで、第1の羽根部11、15が第2の羽根部12、14に接続された基部の軸部16-1、16-2を中心として回動するとともに、当該第1の羽根部11、15の先端部が互いに近づく方向または離れる方向に変位する状態となる(認定事項(シ)、(ス))、 f パチンコ遊技機(【0010】)。」 5 対比、判断 本願発明と引用発明とを対比する(対比の見出しとしての(a)?(f)は引用発明の分説構成と対応させた。)。 (a) 引用発明における「モータ81」は、本願発明における「駆動源」に相当する。 (b) 引用発明における「モータ81の出力」、「第2の羽根部12、14」は、それぞれ、本願発明における「前記駆動源の動力」、「演出部材」に相当する。 そして、引用発明において、モータ81の「出力が伝達されることで上下動する」ことは、本願発明において、駆動源の「動力により変位可能」であることに含まれる。 したがって、引用発明における「モータ81の出力が伝達されることで上下動する第2の羽根部12、14」は、本願発明における「前記駆動源の動力により変位可能な演出部材」に相当する。 (c) 引用発明における「第1の羽根部11、15」は、本願発明における「第一可動部材および第二可動部材」に相当する。 また、引用発明における「その基部」、つまり「第1の羽根部11、15」の「基部」は、第1の羽根部11、15の一方端側の部分であるから、引用発明において「その基部を・・・回動可能に接続」することは、本願発明において「一方端側が回転自在に支持され」ることに相当する。 したがって、引用発明における「第2の羽根部12、14に対して、その基部をそれぞれ軸部16-1、16-2を中心として上下方向へ回動可能に接続されている第1の羽根部11、15」は、本願発明における「前記演出部材に対して一方端側が回転自在に支持された第一可動部材および第二可動部材」に相当する。 (d) 引用発明において「第2の羽根部12、14が、それに接続された第1の羽根部11、15との相対位置を変化させずに変位する」ことは、本願発明において「演出部材が、それに支持された前記第一可動部材および前記第二可動部材との相対位置を変化させずに変位する」ことに相当する。 したがって、引用発明における「モータ81の出力が第2の羽根部12、14に伝達されることで、第2の羽根部12、14が、それに接続された第1の羽根部11、15との相対位置を変化させずに変位する状態」は、本願発明における「前記駆動源の動力が前記演出部材に伝達されることで、当該演出部材が、それに支持された前記第一可動部材および前記第二可動部材との相対位置を変化させずに変位する状態」に相当する。 (e) 上記(c)に示したとおり、引用発明における「基部」は、本願発明における「一方端」側の部分であり、そうすると、引用発明における「先端部」は、本願発明における「他方端」側の部分であるということができる。 そして、引用発明の構成eについて、以下、(e1)?(e3)に分けて検討する。 (e1) 引用発明における「第1の羽根部11、15の先端」は、本願発明における「前記第一可動部材および前記第二可動部材の他方端」に相当する。 また、引用発明において「先端部に伝達される」ことは、本願発明において「他方端側に伝達される」ことに相当する。 そうすると、引用発明において「モータ81の出力が第1の羽根部11、15の先端部に伝達されること」は、本願発明において「前記駆動源の動力が前記第一可動部材および前記第二可動部材の他方端側に伝達されること」に相当する。 (e2) 引用発明において「第2の羽根部12、14に接続」されること、「軸部16-1、16-2を中心として回動する」ことは、それぞれ、本願発明において「演出部材に支持」されること、「支点として回動する」ことに相当する。 また、引用発明において「基部の軸部16-1、16-2を中心として回動する」ことは、本願発明において「一方端側を支点として回動する」ことに相当する。 そうすると、引用発明において「第1の羽根部11、15が第2の羽根部12、14に接続された基部の軸部16-1、16-2を中心として回動する」ことは、本願発明において「当該第一可動部材および第二可動部材の両方が前記演出部材に支持された一方端側を支点として回動する」ことに相当する。 (e3) 引用発明における「当該第1の羽根部11、15の先端部が互いに近づく方向または離れる方向に変位する状態」は、本願発明における「当該第一可動部材および第二可動部材の他方端側が互いに近づく方向または離れる方向に変位する状態」に相当する。 したがって、引用発明における「モータ81の出力が第1の羽根部11、15の先端部に伝達されることで、第1の羽根部11、15が第2の羽根部12、14に接続された基部の軸部16-1、16-2を中心として回動するとともに、当該第1の羽根部11、15の他方端側が互いに近づく方向または離れる方向に変位する状態」は、本願発明における「前記駆動源の動力が前記第一可動部材および前記第二可動部材の他方端側に伝達されることで、当該第一可動部材および第二可動部材の両方が前記演出部材に支持された一方端側を支点として回動するとともに、当該第一可動部材および第二可動部材の他方端側が互いに近づく方向または離れる方向に変位する状態」に相当する。 (f) 引用発明における「パチンコ遊技機」は、本願発明における「遊技機」に相当する。 また、引用発明においては、構成dの「状態から」、構成eの「状態となる」から、当該二つの状態が「切り替えられ」ているということができる。 したがって、引用発明において、構成dの「状態から」、構成eの「状態となる」「パチンコ遊技機」は、本願発明において、二つの状態が「切り替えられる」「遊技機」に相当する。 以上の検討より、本願発明と引用発明とは全ての点で一致し相違点はないから、本願発明は刊行物1に記載された発明である。 また、仮に相違点があったとしても、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 請求人の主張について 本願発明について、請求人は、平成29年6月9日付けの意見書の「3.拒絶理由に対する反論」において、「3-1)・・・本願発明は、駆動源の動力が演出部材に伝達されることで、演出部材に対する第一可動部材および第二可動部材の相対位置が変化せずに演出部材が変位する状態(以下、形式的に第一状態と称することもある)と、同じ駆動源の動力が第一可動部材および第二可動部材に伝達されることで、第一可動部材および第二可動部材の両方が演出部材に支持された一方端側を支点として回動するとともに、当該第一可動部材および第二可動部材の他方端側が互いに近づく方向または離れる方向に変位する状態(以下、形式的に第二状態と称することもある)という、二つの状態が切り替えられることを特定する」、「3-2)・・・刊行物1に記載される発明は、第1の羽根部11、15およびそれを支持する部材を含む組体(イルミネーションユニット10)が、上下方向に移動するものであると認められるが、当該組体の全体が上下方向に移動しつつ、第1の羽根部11、15の先端が互いに離れる方向または近づく方向に変位するものである。すなわち、第1の羽根部11、15がそれを支持する部材との相対位置を変化させずに組体が上下方向に移動する状態と、第1の羽根部11、15の先端が互いに離れる方向または近づく方向に変位する状態とが切り替わるというものではない。したがって、刊行物1には、上述した第一状態と第二状態が切替わる構成が開示されているとはいえない」と主張する。 しかしながら、請求人が主張する「第一状態と第二状態が切替わる構成」、つまり本願発明の構成D?Fについては、上記5(d)?(f)に示したとおり、引用発明においても備えられている構成である。 したがって、請求人の主張は採用することができない。 7 まとめ 以上のように、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し又は同条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-07-19 |
結審通知日 | 2017-07-25 |
審決日 | 2017-08-14 |
出願番号 | 特願2015-54903(P2015-54903) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WZ
(A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 英司 |
特許庁審判長 |
平城 俊雅 |
特許庁審判官 |
樋口 宗彦 石原 徹弥 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人上野特許事務所 |