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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1332915 |
審判番号 | 不服2017-1729 |
総通号数 | 215 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-11-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-02-06 |
確定日 | 2017-10-17 |
事件の表示 | 特願2014-185974「変化するシート抵抗を有するタッチスクリーンセンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月 8日出願公開、特開2015- 5306、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成21年2月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年2月28日、米国、2008年2月28日、米国)を国際出願日とする出願である特願2010-548859号(原出願)の一部を平成26年9月12日に新たな特許出願としたものであって、平成27年10月23日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年2月19日付けで手続補正がされ、同年3月9日付けで拒絶理由通知(最後)がされ、同年9月14日付けで意見書が提出され、同年9月30日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年2月6日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同年2月10日付けで審判請求書の手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年9月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項 1-11 ・引用文献等 1 <引用文献等一覧> 1.特開2006-344163号公報 第3 本願発明 本願請求項1?11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明11」という。)は、平成28年2月19日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 タッチスクリーンセンサであって、 可視光透明基材と、 前記可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンであって、前記微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン及び第2区域微小パターンを含み、前記第1区域微小パターン及び前記第2区域微小パターンの各々は、均一の厚さ及び組成を有する金属配線を含む、導電性微小パターンと、 を含み、 前記第1区域微小パターンは、第1の方向において、第1シート抵抗値を有する第1メッシュを含み、可視光透明であり、少なくとも90%の開口を有し、 前記第2区域微小パターンは、前記第1メッシュと異なる第2メッシュを含み、前記第1の方向において、第2シート抵抗値を有し、 前記第1シート抵抗値は、前記第2シート抵抗値とは異なり、 該タッチスクリーンセンサは、1mm×1mmの正方形区域を有する該接触感知領域に対して、該正方形区域のいずれもが該正方形区域全体の平均から10%超異なる遮蔽面積率を有しないようにして、該接触感知領域にわたって均一な光透過率を有する、 タッチスクリーンセンサ。 【請求項2】 該第1メッシュと該第2メッシュとが不均一である、請求項1に記載のタッチスクリーンセンサ。 【請求項3】 シート抵抗が、該第1区域から該第2区域へと連続的に変化する、請求項1に記載のタッチスクリーンセンサ。 【請求項4】 タッチスクリーンセンサであって、 可視光透明基材と、 前記可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンであって、前記微小パターンは、接触感知領域内に均一の厚さ及び組成を有する二次元の不均一な第1金属メッシュを含む第1区域微小パターンを含む、導電性微小パターンと、 を含み、 前記第1区域微小パターンは、異方性第1シート抵抗を有し、可視光透明であり、少なくとも90%の開口を有し、 該タッチスクリーンセンサは、1mm×1mmの正方形区域を有する該接触感知領域に対して、該正方形区域のいずれもが該正方形区域全体の平均から10%超異なる遮蔽面積率を有しないようにして、該接触感知領域にわたって均一な光透過率を有する、 タッチスクリーンセンサ。 【請求項5】 該微小パターンが、該第1金属メッシュと異なる二次元の第2金属メッシュを含む第2区域微小パターンを更に含み、該第1金属メッシュが該接触感知領域内に位置し、該第2金属メッシュが該接触感知領域内に位置しない、請求項4に記載のタッチスクリーンセンサ。 【請求項6】 該第2金属メッシュが不均一である、請求項5に記載のタッチスクリーンセンサ。 【請求項7】 該異方性第1シート抵抗が周期的なシート抵抗を含む、請求項4に記載のタッチスクリーンセンサ。 【請求項8】 該第1区域微小パターンが、該第1金属メッシュの導電配線に選択的な断絶部を有することによって異方性第1シート抵抗を有する、請求項4に記載のタッチスクリーンセンサ。 【請求項9】 該異方性第1シート抵抗が、連続的に変化するシート抵抗を含む、請求項4に記載のタッチスクリーンセンサ。 【請求項10】 タッチスクリーンセンサであって、 可視光透明基材と、 前記可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンであって、前記微小パターンは、 接触感知領域内の第1区域微小パターン及び第2区域微小パターンを含み、前記第1区域微小パターン及び前記第2区域微小パターンの各々は、均一の厚さを有する金属配線を含み、 前記導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5?5マイクロメートルの幅を有する金属の線形導電性構造を含み、 前記第1区域微小パターンは、第1の方向において5?500Ω/スクエアの第1シート抵抗値を有する第1不均一メッシュを含み、可視光透明であり、95%?99.5%の開口を有し、 前記第2区域微小パターンは、前記第1不均一メッシュと異なる第2不均一メッシュを含み、前記第1の方向において、第2シート抵抗値を有する、 導電性微小パターンと、 を含み、 前記第1シート抵抗値は、前記第2シート抵抗値とは異なり、 該タッチスクリーンセンサは、1mm×1mmの正方形区域を有する該接触感知領域に対して、該正方形区域のいずれもが該正方形区域全体の平均から10%超異なる遮蔽面積率を有しないようにして、該接触感知領域にわたって均一な光透過率を有する、 タッチスクリーンセンサ。 【請求項11】 シート抵抗が、該第1区域から該第2区域へと連続的に変化する、請求項10に記載のタッチスクリーンセンサ。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。 a)「【0020】 図1は、本発明の静電容量型タッチパネル1の断面を示したものである。 【0021】 同図において、静電容量型タッチパネル1は、電気絶縁性を有する透明基体1a上に、電極として金属細線からなる導電部1bが面状に形成されており、該導電部1bは透視を必要とする部分で網目構造をとっている。また、その導電部1bの表面に透明カバー層1eが形成され、反対面には透明粘着層1g、剥離シート1hが形成されている。導電部1bの端にある透明カバー層1eで被覆されていない部分には、電極端子1cが設けられている。 【0022】 上記透明基板1aは、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース等の透明樹脂フィルム、或いは透明樹脂板を使用することができるが、透明ガラス板を使用することもできる。 【0023】 また、上記導電部(電極)1bの材質としては、銀、銅、アルミニウム、金、ニッケル、ステンレス鋼等の金属膜、またはこれらの金属微粒子を含有する導電性ペースト材、カーボンペースト材等が用いられ、透明基体1a上に形成した金属薄膜のフォトエッチング、印刷レジストによるエッチング、または導電ペーストの印刷等により幾何学図形からなる多数の開口部Cを持つ導電パターンが形成される。導電性が高く、安価な点から銅或いは銅合金が好ましい。 【0024】 導電部(電極)1bは、開口部Cを形成した状態で4端子法による表面抵抗値が1Ω/cm^(2)以下となるように、使用する材質、厚みが決定される。1Ω/cm^(2)以下であれば、電極の前面に厚みの大きい板を配置しても、また電極の前面に隙間をあけて前面板を配置しても感度が良く、誤作動のないタッチスイッチが作成可能である。 【0025】 上記網目開口の形状は、多角形で構成するのが好ましい。多角形でないもの、例えば円形や楕円形の開口を設けたものでは、開口を最大限密に並べて配置しても開口同士の間に太帯部分ができてしまうことから、その太帯部分が目立つとともに光線透過率を低下させる要因となるからである。また、三角形、四角形、六角形等の図形のうち、一種類あるいはそれらの複数種類の組み合わせで構成することができるが、一種類の図形からなる網目を規則正しく配列されたものの方が目立ちにくいという利点がある。 【0026】 図4?図6は上記網目構造の一部を拡大して示したものである。 【0027】 図4に示す電極の網目パターンは、X方向およびY方向に伸びる直線状の導電部1bが格子状に形成されており、静電容量型タッチパネル1における光線透過率が70%以上確保できるようになっている。 【0028】 透明性の尺度である上記光線透過率とは、特定の色温度をもった光源から出たあらゆる波長の光が試料面を通過した全光量を対象とする全光線透過率を意味する。また、光線透過率が70%を下回ると、静電容量型タッチパネル1の導電部(電極)1bが暗く見えてしまう。そのため、その存在が目障りになる。 【0029】 上記光線透過率は日本電色工業社製の分光測定器(型番NDH2000)を用いて測定したものである。ただし、空気層における光線透率100%を基準としている。 【0030】 また、光線透過率は導電部(電極)1b上に透明カバー層1eが形成されている場合は、その透明カバー層1eを含めた状態で測定され、透明粘着層1gが設けられている場合は、その透明粘着層1gを含めた状態で測定される。 【0031】 また、方形の輪郭を形取るX方向の極細金属線(極細帯)1iおよびY方向の極細金属線(極細帯)1jの線幅wはそれぞれ30μm以下の等幅に形成されている。線幅wが30μmを上回ると、電極の網目が目立ってしまい、且つデザイン性も悪くなる。線幅wが30μm以下であると、電極の存在が認識されにくい。なお、極細金属線の膜厚は、線幅w/膜厚tのアスペクト比が0.5以上になるようにすると、精度の良い電極のパターンを作りやすくなる。 【0032】 本実施形態において、静電容量型タッチパネル1の光線透過率は、上記極細金属線1iおよび1jの線幅とそれら極細金属線1iおよび1jで囲まれることによって形成される開口部Cのサイズとの組み合わせを選択することによって70%以上の光線透過率を確保できるようにしている。」(【0020】?【0032】の記載。下線は当審で付与。以下、同様。) b)「【0040】 更にLCD等の画素を有するディスプレイの前面に静電容量型タッチパネル1を配置する場合は、ディスプレイの画素との干渉によってモアレ模様が出ないように網目パターンのバイアス角を調整して設計される。」(【0040】の記載。) c)「【0057】 更に、入力者の目に触れる部分でも、複数の網目内に対して線状に付加され、または複数の網目輪郭に対して帯状に付加され、それらの網目を通過する光量を減衰し得る減光部を形成し、当該減光部を連続的または断続的に形成することにより文字、図柄を表現してもよい。このような文字、図柄の形成法は、印刷にはないような視覚効果が期待できる。 【0058】 例えば、図15は文字部及び文字影部の形成された部分を拡大したものである。ロゴ1dは導電部1bで構成されたメッシュ部10a上に形成されており、文字部10bとその文字部10bの影を表す文字影部10cとの組み合わせによって構成されている。 【0059】 文字部10bは、それをさらに拡大した図16に示すように、メッシュ部10aの導電線よりも太幅の導電線からなる導電部(太帯)10dで構成されており、メッシュ部10aにおける開口部10fの開口面積よりも文字部10bにおける開口部10eの開口面積を小さく設定することにより光線透過率を変化させ、それにより、メッシュ部10aと文字部10bとの境界を強調させるとともに、文字部10bが浮き立つようにしている。 【0060】 一方、図15に示した文字影部10cは、それをさらに拡大した図17に示すように、文字部10bの導電線と同幅であるが、文字部10bよりもさらに密な網目パターンからなる導電部10gで構成されており、文字部10cにおける開口部10eの開口面積よりも文字影部10cにおける開口部10hの開口面積を小さく設定することにより、文字影部10cが強調されるようになっている。なお、文字影部10cにおける開口部10hの開口面積は文字部10bの開口面積の略3/4?1/4に設定されている。」(【0057】?【0060】の記載。) d)「【0088】 <実施例2> 厚さ130μmの透明なポリカーボネートフィルム上に、両面に化成処理を施すことで低反射処された厚さ12μmの銅箔を透明接着剤で接着し、フォトリソグラフィによってスリット6の入った網目パターン5からなるレジスト層を形成し、化学エッチングを行うことで図22(図中、網目は省略)のような透光性電極を作製した。 【0089】 この透光性電極は、網目5aの開口が正六角形となるように主として導電部の線幅が25μm、一つの網目5aにおける一辺の長さSbが500μmに設定されており、周縁部の一部には電極端子のための非開口部2が複数形成されている。このような網目パターン上に特定入力領域および該領域から電極端子までの回路パターンを構成するようにスリット幅Sが60μmからなるスリット6を形成した。また、上記特定入力領域においては、線幅を100μmとすることにより他の部分とは開口率を変化させた正六角形格子を記号等の形に沿って形成し、「入力ボタン柄」を設けている。 【0090】 次いで、この透光性電極が形成されたフィルムを射出成形用金型内に挿入し、ポリカーボネート樹脂をキャビティ内に射出することにより、透光性電極が形成されたフィルムの電極面側に厚さ1mmの断面太鼓型の成形板を電極端子が露出するように一体化した。 【0091】 次に、ポリカーボネートフィルムの成形板と一体化した面とは反対側の面には、セパレーターつきの透明アクリル系両面粘着フィルムを貼り付けた。 【0092】 端子部上には、カーボンペーストを印刷、乾燥してカーボン膜を形成し、静電容量型タッチパネルを得た。 【0093】 このようにして作製した静電容量型タッチパネルの光線透過率は78%であった。また、成形板との一体化前に測定した透光性電極の4端子法による表面抵抗値が0.6Ω/cm2であった。 【0094】 剥離シートを剥がし、この静電容量型タッチパネルをDVDプレイヤーの有機EL面発光パネルに貼り付けた。」(【0088】?【0094】の記載。) 上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、静電容量型タッチパネルとして、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「電気絶縁性を有する透明基体1a上に、電極として金属細線からなる導電部1bが面状に形成されており、該導電部1bは透視を必要とする部分で網目構造をとっており、また、その導電部1bの表面に透明カバー層1eが形成され、反対面には透明粘着層1gが形成されている、静電容量型タッチパネル1であり、 上記導電部(電極)1bの材質としては、金属膜が用いられ、透明基体1a上に形成した金属薄膜のエッチングにより幾何学図形からなる多数の開口部Cを持つ導電パターンが形成され、 導電部(電極)1bは、開口部Cを形成した状態で4端子法による表面抵抗値が1Ω/cm^(2)以下となるように、使用する材質、厚みが決定され、 上記網目開口の形状は、多角形で構成するのが好ましく、三角形、四角形、六角形等の図形のうち、一種類の図形からなる網目を規則正しく配列されたものの方が目立ちにくいという利点があり、 電極の網目パターンは、静電容量型タッチパネル1における光線透過率が70%以上確保できるようになっており、 方形の輪郭を形取るX方向の極細金属線(極細帯)1iおよびY方向の極細金属線(極細帯)1jの線幅wはそれぞれ30μm以下の等幅に形成され、電極の存在が認識されにくく、 静電容量型タッチパネル1の光線透過率は、上記極細金属線1iおよび1jの線幅とそれら極細金属線1iおよび1jで囲まれることによって形成される開口部Cのサイズとの組み合わせを選択することによって70%以上の光線透過率を確保できるようにしており、 ディスプレイの前面に静電容量型タッチパネル1が配置されるものであり、 更に、入力者の目に触れる部分でも、複数の網目内に対して線状に付加され、または複数の網目輪郭に対して帯状に付加され、それらの網目を通過する光量を減衰し得る減光部を形成し、当該減光部を連続的または断続的に形成することにより文字、図柄を表現するものであり、 ロゴ1dは導電部1bで構成されたメッシュ部10a上に形成されており、文字部10bとその文字部10bの影を表す文字影部10cとの組み合わせによって構成されており、 文字部10bは、メッシュ部10aの導電線よりも太幅の導電線からなる導電部(太帯)10dで構成されており、メッシュ部10aにおける開口部10fの開口面積よりも文字部10bにおける開口部10eの開口面積を小さく設定することにより光線透過率を変化させ、文字部10bが浮き立つようにしており、 文字影部10cは、文字部10bの導電線と同幅であるが、文字部10bよりもさらに密な網目パターンからなる導電部10gで構成されており、文字部10cにおける開口部10eの開口面積よりも文字影部10cにおける開口部10hの開口面積を小さく設定することにより、文字影部10cが強調されるようになっているものであり、 実施例としては、 透明なポリカーボネートフィルム上に、厚さ12μmの銅箔を透明接着剤で接着し、フォトリソグラフィによってスリット6の入った網目パターン5からなるレジスト層を形成し、化学エッチングを行うことで透光性電極を作製し、 この透光性電極は、網目5aの開口が正六角形となるように主として導電部の線幅が25μm、一つの網目5aにおける一辺の長さSbが500μmに設定されており、 このような網目パターン上に特定入力領域および該領域から電極端子までの回路パターンを構成するようにスリット幅Sが60μmからなるスリット6を形成し、 上記特定入力領域においては、線幅を100μmとすることにより他の部分とは開口率を変化させた正六角形格子を記号等の形に沿って形成し、『入力ボタン柄』を設け、 透光性電極が形成されたフィルムの電極面側に厚さ1mmの断面太鼓型の成形板を一体化し、 反対側の面には、透明アクリル系両面粘着フィルムを貼り付け、 このようにして作製した静電容量型タッチパネルの光線透過率は78%であり、また、成形板との一体化前に測定した透光性電極の4端子法による表面抵抗値が0.6Ω/cm^(2)であり、 この静電容量型タッチパネルをDVDプレイヤーの有機EL面発光パネルに貼り付けた、 静電容量型タッチパネル1。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア.引用発明は「ディスプレイの前面に静電容量型タッチパネル1が配置されるもの」であるから、引用発明の「静電容量型タッチパネル1」は本願発明1の「タッチスクリーンセンサ」に相当する。 イ.引用発明の「電気絶縁性を有する透明基体1a」は、本願発明1の「可視光透明基材」に相当する。 ウ.引用発明の「透明基体1a上に形成した金属薄膜のエッチングにより」形成された「幾何学図形からなる多数の開口部Cを持つ導電パターン」は、「方形の輪郭を形取るX方向の極細金属線(極細帯)1iおよびY方向の極細金属線(極細帯)1jの線幅wはそれぞれ30μm以下の等幅に形成され、電極の存在が認識されにく」いものであるから、「金属配線」を含む「導電性微小パターン」といい得るものである。 引用発明は「このような網目パターン上に特定入力領域および該領域から電極端子までの回路パターンを構成するようにスリット幅Sが60μmからなるスリット6を形成」するものであるから、引用発明の「導電パターン」は「特定入力領域」にも設けられるものであり、タッチパネルは指等の接触を感知して入力を行うものであることを考慮すれば、当該「特定入力領域」は「接触感知領域」といい得るものである。 また、引用発明は「特定入力領域においては、線幅を100μmとすることにより他の部分とは開口率を変化させた正六角形格子を記号等の形に沿って形成し、「入力ボタン柄」を設け」るものであるから、引用発明の「特定入力領域」に設けられた「導体パターン」は、「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とから成るものであり、「『入力ボタン柄』を形成する部分」は「複数の網目内に対して線状に付加され、または複数の網目輪郭に対して帯状に付加され、それらの網目を通過する光量を減衰し得る減光部を形成」することにより形成されたものであるから、「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで導体のパターンは異なるものであり、「『入力ボタン柄』を形成する部分」は「第2区域微小パターン」と、「他の部分」は「第1区域微小パターン」ともいい得る。 以上のことを総合すると、引用発明の「透明基体1a上に形成した金属薄膜のエッチングにより」形成された「幾何学図形からなる多数の開口部Cを持つ導電パターン」は、本願発明1の「前記可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンであって、前記微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン及び第2区域微小パターンを含み、前記第1区域微小パターン及び前記第2区域微小パターンの各々は、均一の厚さ及び組成を有する金属配線を含む、導電性微小パターン」と「前記可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンであって、前記微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン及び第2区域微小パターンを含み、前記第1区域微小パターン及び前記第2区域微小パターンの各々は、金属配線を含む、導電性微小パターン」である点で共通するといえる。 エ.引用発明の「導電部(電極)1bは、開口部Cを形成した状態で4端子法による表面抵抗値が1Ω/cm^(2)以下となるように、使用する材質、厚みが決定され」、「電極の網目パターンは、静電容量型タッチパネル1における光線透過率が70%以上確保できるようになって」いるものであるから、引用発明の「導電パターン」が、所定の方向において抵抗値を有し、一定の透明性を有するものであることは明らかであり、引用発明の「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」のうち「他の部分」の「導電パターン」は、本願発明1の「前記第1区域微小パターンは、第1の方向において、第1シート抵抗値を有する第1メッシュを含み、可視光透明であり、少なくとも90%の開口を有」することと「前記第1区域微小パターンは、第1の方向において、第1シート抵抗値を有する第1メッシュを含み、可視光透明であり、開口を有」する点で共通するといえる。 オ.上記ウ.で述べたように、引用発明は、「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで導体のパターンは異なるものであり、導体パターンが異なれば、抵抗値も異なったものとなることは明らかであるから、引用発明の「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」のうち「『入力ボタン柄』を形成する部分」の「導電パターン」は、本願発明1の「前記第2区域微小パターンは、前記第1メッシュと異なる第2メッシュを含み、前記第1の方向において、第2シート抵抗値を有し、 前記第1シート抵抗値は、前記第2シート抵抗値とは異な」ることに相当する。 したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。 〈一致点〉 「タッチスクリーンセンサであって、 可視光透明基材と、 前記可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンであって、前記微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン及び第2区域微小パターンを含み、前記第1区域微小パターン及び前記第2区域微小パターンの各々は、金属配線を含む、導電性微小パターンと、 を含み、 前記第1区域微小パターンは、第1の方向において、第1シート抵抗値を有する第1メッシュを含み、可視光透明であり、開口を有し、 前記第2区域微小パターンは、前記第1メッシュと異なる第2メッシュを含み、前記第1の方向において、第2シート抵抗値を有し、 前記第1シート抵抗値は、前記第2シート抵抗値とは異なる、 タッチスクリーンセンサ。」 〈相違点1〉 本願発明1の「第1区域微小パターン及び第2区域微小パターン」の各々は、「均一の厚さ及び組成を有する金属配線を含む」ものであるのに対し、引用発明の「導電パターン」は、当該導電パターンを形成する「極細金属線」が「均一の厚さ及び塑性を有する」と特定されていない点。 〈相違点2〉 本願発明1の「第1区域微小パターン」は、「少なくとも90%の開口」を有するものであるのに対し、引用発明の「導電パターン」は、「開口部C」を有するものの、当該「開口部C」が「少なくとも90%の開口」であると特定されていない点。 〈相違点3〉 本願発明1は、「1mm×1mmの正方形区域を有する該接触感知領域に対して、該正方形区域のいずれもが該正方形区域全体の平均から10%超異なる遮蔽面積率を有しないようにして、該接触感知領域にわたって均一な光透過率を有する」ものであるのに対して、引用発明は、そのような光透過率を有するものと特定されていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討する。 引用発明の「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」のうち「『入力ボタン柄』を形成する部分」の「導電パターン」は、「線幅を100μmとすることにより他の部分とは開口率を変化させた正六角形格子を記号等の形に沿って形成」したものであり、引用発明は、「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」の「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで、光透過率を変えることにより文字、図柄を表現するものである。 そして、「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで、光透過率を均一とすると、『入力ボタン柄』を視認できなくなることは明らかであるから、引用発明において、「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」の「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで、光透過率を均一する、即ち、「特定入力領域」(接触感知領域)にわたって均一な透過率とすることには、阻害要因があるといえる。 したがって、引用発明において、「特定入力領域」(接触感知領域)にわたって均一な透過率とし、本願発明1の相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえず、本願発明1は、相違点1,2を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.請求項2,3について 本願発明2,3は、本願発明1を直接引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3.請求項4について (1)対比 本願発明4と引用発明とを対比する。 ア.引用発明は「ディスプレイの前面に静電容量型タッチパネル1が配置されるもの」であるから、引用発明の「静電容量型タッチパネル1」は本願発明4の「タッチスクリーンセンサ」に相当する。 イ.引用発明の「電気絶縁性を有する透明基体1a」は、本願発明4の「可視光透明基材」に相当する。 ウ.引用発明の「透明基体1a上に形成した金属薄膜のエッチングにより」形成された「幾何学図形からなる多数の開口部Cを持つ導電パターン」は、「方形の輪郭を形取るX方向の極細金属線(極細帯)1iおよびY方向の極細金属線(極細帯)1jの線幅wはそれぞれ30μm以下の等幅に形成され、電極の存在が認識されにく」いものであるから、「二次元の金属メッシュ」を含む「導電性微小パターン」といい得るものである。 引用発明は「このような網目パターン上に特定入力領域および該領域から電極端子までの回路パターンを構成するようにスリット幅Sが60μmからなるスリット6を形成」するものであるから、引用発明の「導電パターン」は「特定入力領域」にも設けられるものであり、タッチパネルは指等の接触を感知して入力を行うものであることを考慮すれば、当該「特定入力領域」は「接触感知領域」といい得るものである。 そして、引用発明の「特定入力領域」に設けられた「導体パターン」は、他の箇所に設けられた「導体パターン」と区別するために、「第1区域微小パターン」といい得る。 以上のことを総合すると、引用発明の「透明基体1a上に形成した金属薄膜のエッチングにより」形成された「幾何学図形からなる多数の開口部Cを持つ導電パターン」は、本願発明4の「前記可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンであって、前記微小パターンは、接触感知領域内に均一の厚さ及び組成を有する二次元の不均一な第1金属メッシュを含む第1区域微小パターンを含む、導電性微小パターン」と「前記可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンであって、前記微小パターンは、接触感知領域内に二次元の第1金属メッシュを含む第1区域微小パターンを含む、導電性微小パターン」である点で共通するといえる。 エ.引用発明の「導電部(電極)1bは、開口部Cを形成した状態で4端子法による表面抵抗値が1Ω/cm^(2)以下となるように、使用する材質、厚みが決定され」、「電極の網目パターンは、静電容量型タッチパネル1における光線透過率が70%以上確保できるようになって」いるものであるから、引用発明の「導電パターン」が、抵抗値を有し、一定の透明性を有するものであることは明らかであり、引用発明の「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」は、本願発明4の「前記第1区域微小パターンは、異方性第1シート抵抗を有し、可視光透明であり、少なくとも90%の開口を有」することと「前記第1区域微小パターンは、第1シート抵抗を有し、可視光透明であり、開口を有」する点で共通するといえる。 したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。 〈一致点〉 「タッチスクリーンセンサであって、 可視光透明基材と、 前記可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンであって、前記微小パターンは、接触感知領域内に二次元の第1金属メッシュを含む第1区域微小パターンを含む、導電性微小パターンと、 を含み、 前記第1区域微小パターンは、第1シート抵抗を有し、可視光透明であり、開口を有する、 タッチスクリーンセンサ。」 〈相違点1〉 本願発明4の「第1区域微小パターン」は、「均一の厚さ及び組成を有する二次元の不均一な第1金属メッシュを含む」ものであるのに対し、引用発明の「透明基体1a上に形成した金属薄膜のエッチングにより」形成された「幾何学図形からなる多数の開口部Cを持つ導電パターン」を形成する「極細金属線」が「均一の厚さ及び塑性を有する二次元の不均一な」金属メッシュであると特定されていない点。 〈相違点2〉 本願発明4の「第1区域微小パターン」は、「異方性第1シート抵抗」を有するものであるのに対し、引用発明の「導電パターン」は、抵抗値を有するものの、「異方性」抵抗ではない点。 〈相違点3〉 本願発明4の「第1区域微小パターン」は、「少なくとも90%の開口」を有するものであるのに対し、引用発明の「導電パターン」は、「開口部C」を有するものの、当該「開口部C」が「少なくとも90%の開口」であると特定されていない点。 〈相違点4〉 本願発明4は、「1mm×1mmの正方形区域を有する該接触感知領域に対して、該正方形区域のいずれもが該正方形区域全体の平均から10%超異なる遮蔽面積率を有しないようにして、該接触感知領域にわたって均一な光透過率を有する」ものであるのに対して、引用発明は、そのような光透過率を有するものと特定されていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点4について先に検討する。 引用発明の「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」のうち「『入力ボタン柄』を形成する部分」の「導電パターン」は、「線幅を100μmとすることにより他の部分とは開口率を変化させた正六角形格子を記号等の形に沿って形成」したものであり、引用発明は、「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」の「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで、光透過率を変えることにより文字、図柄を表現するものである。 そして、「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで、光透過率を均一とすると、『入力ボタン柄』を視認できなくなることは明らかであるから、引用発明において、「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」の「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで、光透過率を均一する、即ち、「特定入力領域」(接触感知領域)にわたって均一な透過率とすることには、阻害要因があるといえる。 したがって、引用発明において、「特定入力領域」(接触感知領域)にわたって均一な透過率とし、本願発明4の相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえず、本願発明4は、相違点1?3を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 4.請求項5?9について 本願発明5?9は、本願発明4を直接又は間接的に引用するものであり、上記「3.請求項4について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 5.請求項10について (1)対比 本願発明10と引用発明とを対比する。 ア.引用発明は「ディスプレイの前面に静電容量型タッチパネル1が配置されるもの」であるから、引用発明の「静電容量型タッチパネル1」は本願発明10の「タッチスクリーンセンサ」に相当する。 イ.引用発明の「電気絶縁性を有する透明基体1a」は、本願発明10の「可視光透明基材」に相当する。 ウ.引用発明の「透明基体1a上に形成した金属薄膜のエッチングにより」形成された「幾何学図形からなる多数の開口部Cを持つ導電パターン」は、「方形の輪郭を形取るX方向の極細金属線(極細帯)1iおよびY方向の極細金属線(極細帯)1jの線幅wはそれぞれ30μm以下の等幅に形成され、電極の存在が認識されにく」いものであるから、「金属配線」を含む「導電性微小パターン」といい得るものである。 引用発明は「このような網目パターン上に特定入力領域および該領域から電極端子までの回路パターンを構成するようにスリット幅Sが60μmからなるスリット6を形成」するものであるから、引用発明の「導電パターン」は「特定入力領域」にも設けられるものであり、タッチパネルは指等の接触を感知して入力を行うものであることを考慮すれば、当該「特定入力領域」は「接触感知領域」といい得るものである。 また、引用発明は「特定入力領域においては、線幅を100μmとすることにより他の部分とは開口率を変化させた正六角形格子を記号等の形に沿って形成し、「入力ボタン柄」を設け」るものであるから、引用発明の「特定入力領域」に設けられた「導体パターン」は、「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とから成るものであり、「『入力ボタン柄』を形成する部分」は「複数の網目内に対して線状に付加され、または複数の網目輪郭に対して帯状に付加され、それらの網目を通過する光量を減衰し得る減光部を形成」することにより形成されたものであるから、「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで導体のパターンは異なるものであり、「『入力ボタン柄』を形成する部分」は「第2区域微小パターン」と、「他の部分」は「第1区域微小パターン」ともいい得る。 以上のことを総合すると、引用発明の「透明基体1a上に形成した金属薄膜のエッチングにより」形成された「幾何学図形からなる多数の開口部Cを持つ導電パターン」は、本願発明10の「前記可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンであって、前記微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン及び第2区域微小パターンを含み、前記第1区域微小パターン及び前記第2区域微小パターンの各々は、均一の厚さを有する金属配線を含み、前記導電性微小パターンは、500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5?5マイクロメートルの幅を有する金属の線形導電性構造を含」む「導電性微小パターン」と「前記可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンであって、前記微小パターンは、接触感知領域内の第1区域微小パターン及び第2区域微小パターンを含み、前記第1区域微小パターン及び前記第2区域微小パターンの各々は、金属配線を含」む「導電性微小パターン」である点で共通するといえる。 エ.引用発明の「導電部(電極)1bは、開口部Cを形成した状態で4端子法による表面抵抗値が1Ω/cm^(2)以下となるように、使用する材質、厚みが決定され」、「電極の網目パターンは、静電容量型タッチパネル1における光線透過率が70%以上確保できるようになって」いるものであるから、引用発明の「導電パターン」が、所定の方向において抵抗値を有し、一定の透明性を有するものであることは明らかであり、引用発明の「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」のうち「他の部分」の「導電パターン」は、本願発明10の「前記第1区域微小パターンは、第1の方向において5?500Ω/スクエアの第1シート抵抗値を有する第1不均一メッシュを含み、可視光透明であり、95%?99.5%の開口を有」することと「前記第1区域微小パターンは、第1の方向において第1シート抵抗値を有する第1メッシュを含み、可視光透明であり、開口を有」する点で共通するといえる。 オ.上記ウ.で述べたように、引用発明は、「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで導体のパターンは異なるものであり、導体パターンが異なれば、抵抗値も異なったものとなることは明らかであるから、引用発明の「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」のうち「『入力ボタン柄』を形成する部分」の「導電パターン」は、本願発明10の「前記第2区域微小パターンは、前記第1不均一メッシュと異なる第2不均一メッシュを含み、前記第1の方向において、第2シート抵抗値を有する」ものであり「前記第1シート抵抗値は、前記第2シート抵抗値とは異な」ることと「前記第2区域微小パターンは、前記第1メッシュと異なる第2メッシュを含み、前記第1の方向において、第2シート抵抗値を有する」ものであり「前記第1シート抵抗値は、前記第2シート抵抗値とは異な」る点で共通するといえる。 したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。 〈一致点〉 「タッチスクリーンセンサであって、 可視光透明基材と、 前記可視光透明基材の上又は中に配置される導電性微小パターンであって、前記微小パターンは、 接触感知領域内の第1区域微小パターン及び第2区域微小パターンを含み、前記第1区域微小パターン及び前記第2区域微小パターンの各々は、金属配線を含み、 前記第1区域微小パターンは、第1の方向において第1シート抵抗値を有する第1メッシュを含み、可視光透明であり、開口を有し、 前記第2区域微小パターンは、前記第1メッシュと異なる第2メッシュを含み、前記第1の方向において、第2シート抵抗値を有する、 導電性微小パターンと、 を含み、 前記第1シート抵抗値は、前記第2シート抵抗値とは異なる、 タッチスクリーンセンサ。」 〈相違点1〉 本願発明10の「第1区域微小パターン及び第2区域微小パターン」の各々は、「均一の厚さを有する金属配線を含む」ものであるのに対し、引用発明の「導電パターン」は、当該導電パターンを形成する「極細金属線」が「均一の厚さを有する」と特定されていない点。 〈相違点2〉 本願発明10の「導電性微小パターン」は、「500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5?5マイクロメートルの幅を有する金属の線形導電性構造」を含むものであるのに対し、引用発明の「導体パターン」は、「X方向の極細金属線(極細帯)1iおよびY方向の極細金属線(極細帯)1jの線幅wはそれぞれ30μm以下の等幅に形成」されるものであり、「厚さ12μmの銅箔」をエッチングし「導電部の線幅が25μm」の透光性電極とするものであるが、「500ナノメートル未満の厚さ、及び0.5?5マイクロメートルの幅を有する金属の線形導電性構造」とすると特定されていない点。 〈相違点3〉 本願発明10の「第1区域微小パターン」は、「第1の方向において5?500Ω/スクエアの第1シート抵抗値を有する第1不均一メッシュを含み、可視光透明であり、95%?99.5%の開口」を有するものであるのに対し、引用発明の「導電パターン」は、シート抵抗値が「第1の方向において5?500Ω/スクエア」であること及びパターンが「不均一メッシュ」であることが特定されておらず、また、「開口部C」を有するものの、当該「開口部C」が「少なくとも90%の開口」であると特定されていない点。 〈相違点4〉 本願発明10の「第2区域微小パターン」は、「前記第1不均一メッシュと異なる第2不均一メッシュを含」むものであるのに対し、引用発明の「導体パターン」は、「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで導体のパターンは異なるものであるものの、パターンが「不均一メッシュ」であることが特定されていない点。 〈相違点5〉 本願発明10は、「1mm×1mmの正方形区域を有する該接触感知領域に対して、該正方形区域のいずれもが該正方形区域全体の平均から10%超異なる遮蔽面積率を有しないようにして、該接触感知領域にわたって均一な光透過率を有する」ものであるのに対して、引用発明は、そのような光透過率を有するものと特定されていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点5について先に検討する。 引用発明の「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」のうち「『入力ボタン柄』を形成する部分」の「導電パターン」は、「線幅を100μmとすることにより他の部分とは開口率を変化させた正六角形格子を記号等の形に沿って形成」したものであり、引用発明は、「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」の「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで、光透過率を変えることにより文字、図柄を表現するものである。 そして、「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで、光透過率を均一とすると、『入力ボタン柄』を視認できなくなることは明らかであるから、引用発明において、「特定入力領域」に設けられた「導電パターン」の「『入力ボタン柄』を形成する部分」と「他の部分」とで、光透過率を均一する、即ち、「特定入力領域」(接触感知領域)にわたって均一な透過率とすることには、阻害要因があるといえる。 したがって、引用発明において、「特定入力領域」(接触感知領域)にわたって均一な透過率とし、本願発明10の相違点5に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえず、本願発明10は、相違点1?4を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 6.請求項11について 本願発明11は、本願発明10を直接引用するものであり、上記「5.請求項10について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1?11は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明することができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-09-28 |
出願番号 | 特願2014-185974(P2014-185974) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | ▲高▼瀬 健太郎 |
特許庁審判長 |
高瀬 勤 |
特許庁審判官 |
山田 正文 千葉 輝久 |
発明の名称 | 変化するシート抵抗を有するタッチスクリーンセンサ |
代理人 | 南山 知広 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 榎原 正巳 |
代理人 | 青木 篤 |