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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1332922
審判番号 不服2016-8510  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-08 
確定日 2017-10-23 
事件の表示 特願2015-511968「熱調整ユニット、リソグラフィ装置、及びデバイス製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月21日国際公開、WO2013/171013、平成27年 8月20日国内公表、特表2015-524163、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の概要
本願は、2013年4月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年5月17日、米国、2012年12月13日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年8月11日付けで拒絶理由が通知され、同年11月9日に意見書が提出されるとともに手続補正書が提出されたが、平成28年2月4日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされた。
本件は、これに対して、平成28年6月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後、平成28年7月12日付けで前置報告がなされた。
さらに、その後、当審において、平成29年2月16日付けで拒絶理由(以下、「当審拒理1」という。)が通知され、同年5月16日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月18日付けで拒絶理由(以下、「当審拒理2」という。)が通知され、同年9月1日に意見書及び手続補正書が提出された。


第2 本願発明
本願の請求項1?14に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」?「本願発明14」、といい、「本願発明1」?「本願発明14」をまとめて「本願発明」という。)は、平成29年9月1日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明1?14は、次のとおりのものである。

「 【請求項1】
リソグラフィ装置内の基板を熱調整する熱調整ユニットであって、
使用時に、基板に面し、熱伝導率が100W/mK以上の材料からなる第1の層と、第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に位置する熱伝達部品とを備える熱調整要素と、
前記熱調整要素よりも剛性が高く、前記熱調整要素を支持してその機械的変形を低減する補剛部材であって、前記第2層が前記熱伝達部品と前記補剛部材との間に位置するように配置される、補剛部材と、を備え、
前記熱伝達部品は、熱伝達流体が通過する流路を備え、前記熱調整要素が前記補剛部材から熱的に分離され、
前記熱調整ユニットが別の流路を備え、前記流路と前記別の流路とに、熱伝達流体が並行して供給される、熱調整ユニット。
【請求項2】
前記第1の層が、アルミニウム、セラミック、マグネシウム、SiSiC、又は熱分解グラファイトから選択される少なくとも1つの材料製である、及び/又は、前記第1の層が、熱容量が3.0Jcm^(-3)K^(-1)未満の材料製である、及び/又は、前記第1の層の厚さが、5mm以下である、請求項1に記載の熱調整ユニット。
【請求項3】
前記第2の層が、アルミニウム、セラミック、マグネシウム、エアロゲル、ガラスセラミック、又はステンレス鋼から選択される少なくとも1つの材料製である、及び/又は、前記第2の層が、熱容量が3.0Jcm^(-3)K^(-1)未満の材料製である、及び/又は、前記第2の層の厚さが、5mm以下である、請求項1又は2に記載の熱調整ユニット。
【請求項4】
前記第1の層と第2の層とが異なる材料製である、請求項1?3のいずれかに記載の熱調整ユニット。
【請求項5】
前記第1の層の材料が、前記第2の層の材料より高い熱伝導率を有する、請求項1?4のいずれかに記載の熱調整ユニット。
【請求項6】
前記第2の層が、前記熱調整要素を前記補剛部材上に支持する、請求項1?5のいずれかに記載の熱調整ユニット。
【請求項7】
前記熱調整要素が、前記基板を前記熱調整要素上に少なくとも部分的に支持するように、
記基板の下側の部分を通って流れるガスフローをガスベアリングとして提供する複数の出口及び/又は入口を備える、請求項1?6のいずれかに記載の熱調整ユニット。
【請求項8】
前記熱調整要素が、その上に基板を配置するために突起部を備える、請求項1?6のいずれかに記載の熱調整ユニット。
【請求項9】
前記熱調整要素を前記補剛部材上に支持し、複数の別個の位置で前記熱調整要素に接触する支持構造をさらに備える、請求項1?7のいずれかに記載の熱調整ユニット。
【請求項10】
前記複数の別個の位置の少なくとも1つが、前記熱調整要素の縁部から離間している、請求項9に記載の熱調整ユニット。
【請求項11】
前記支持構造は、前記熱調整要素を前記補剛部材上に支持する複数の板バネを備える、請求項9又は10に記載の熱調整ユニット。
【請求項12】
前記熱調整要素を前記補剛部材上に支持するガスベアリングをさらに備える、請求項1?6及び8のいずれかに記載の熱調整ユニット。
【請求項13】
前記熱調整要素と連結されるヒータをさらに備える、請求項1?12のいずれかに記載の熱調整ユニット。
【請求項14】
請求項1?13のいずれかに記載の熱調整ユニットを備える、リソグラフィ装置。」


第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2000-349005号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0002】
【従来の技術】現在、DRAMやMCP等の半導体デバイスの製造においては最小線幅をより狭くする開発研究が盛んに行われており、デザインルール0.1μm以下の線幅を有するデバイスの実現に向けて種々の技術が開発されている。この最小線幅の問題と切っても切れない関係を有するのが、露光時に生じる光の回折現象であり、これに起因する像や集光点のボケが必要な最小線幅を実現する時の最大の問題点である。この問題の解決策として、より回折現象の少ない荷電粒子線、真空紫外線、X線を用いた露光装置の開発がなされている。このような露光装置を設計する際に留意すべき事項としては、
(1) 露光処理を行う室は常に真空状態に保つ;これは処理のスループットを確保するために絶対に必要な事項である。
(2) 大気雰囲気の中空容器内にウェハを置き、容器を短時間に真空状態にすると断熱膨張のためにウェハの温度が低下する。そこで、これによって生じるウェハの収縮の影響を除去する;具体的には、容積数十リットルの中空容器の大気雰囲気を排気して真空にすると、断熱膨張現象の影響によって内部にあるウェハの温度は約1℃低下する。この温度変化はウェハサイズが8インチの場合、0.5ミクロンの寸法変化をきたし、露光位置の精度が全く保証できなくなる。
(3) 露光後、化学増感型のレジストの場合には感度を高めるために加熱処理(post exposure baking、PEB)を行う;こと等である。この様な点を考慮した装置の例として、荷電粒子線露光装置の装置構成図を図7に示す。ウェハを露光装置内に搬入する場合、先ず大気状態にされたロードロック室12内にウェハを搬入する。次いで、この室を真空排気して真空状態にし、露光処理室と連結出来るようにする。この真空排気時に断熱膨張によってウェハの温度低下が生じる。しかしながら、次にウェハを常に真空状態が保たれている熱処理室13に搬入し、例えば23℃に設定されたホットプレート19上に載置し、加熱処理を行うとウェハの温度変化は無くなる。ウェハへの露光が終了するとウェハは搬入時とは反対の順序で露光装置より取り出される。露光装置外に取り出されたウェハは別に設置された熱処理室21中で、百数十℃に設定されたホットプレート19’上に載置されて加熱処理され化学的に増感がなされる。なお、上記の例とは違って、ロードロック室内に加熱手段(ホットプレート19)を設置し、直接露光処理室とロードロック室を接続する場合もあり、また加熱手段にしても、PEBのための加熱手段19を前述の熱処理室13内に設けてる場合もある。」

(2)「【0010】次にこの様な技術的思想を取り込んだ半導体露光装置の説明をする。図3は装置の全体図である。ゲートバルブ52が閉の状態でゲートバルブ51を開いてウェハ1を図示しないロボットアームによって大気室11よりロードロック室12に搬送し、搬入後ゲートバルブ51を閉じてロードロック室を真空ポンプ17によって排気する。ロードロック室12が所定の圧力になるとゲートバルブ52を開いて図1に示したロボットアーム2によってウェハ1が熱処理室に移され、同時にゲートバルブ52は閉じられる。ウェハ1がホットプレート19上に1秒間載置されると、ゲートバルブ53が開いてウェハ1は露光処理室に移され、ゲートバルブ53が閉じられて露光される。なお、ここでは一旦ウェハをホットプレートから離した状態で待機させることもある。露光が終了すると、ゲートバルブ53が開き、図示しないロボットアームによってウェハ1はロボットアーム2に渡され、ゲートバルブ53は閉じられる。(勿論、この時次に露光されるべきウェハが露光処理室に搬入される。)ロボットアーム2はウェハ1を30秒間ホットプレートに接触させる。以後、順次真空系から大気系にウェハは搬送されて、取り出される。この工程でのウェハの温度の変化を見ると図4のようになる。この様に露光装置に本発明を取り入れるとコスト高を招かず、装置の設置面積を増加させずに所定の処理を終えることが出来る。」

(3)「【図3】



(4)「【図7】



上記段落【0002】及び図7に記載された露光装置と、段落【0010】及び図3に記載された露光装置は、基本的な構成は同一である。

すると、上記引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。

「露光光学装置24に直接接続され、載置テーブル23を内側に備える露光処理室14に、ゲートバルブ53を介して接続されたウェハの熱処理室13の内側に備えられたホットプレート19。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2012-32805号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0011】
以下、本発明に係る露光ユニットの一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、一実施形態の露光ユニット1は、コーター81、ホットプレート82、及びコールドプレート83を備えた処理ユニット84と、露光装置PEと、搬出装置としてのコンベア86と、処理ユニット84、露光装置PE、及びコンベア86間で基板Wの受け渡しを行うロボット87と、露光ユニット1の各部を制御する制御部88と、を有する。なお、処理ユニット84及びコンベア86は、公知のものが適用される。」

(2)「【図1】



すると、上記引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。

「露光装置PEとの間で基板Wの受け渡しを行うロボット87により基板Wが受け渡しされる処理ユニット84に備えられたホットプレート82及びコールドプレート83。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(米国特許出願公開第2007/0023320号明細書)には、
ウェハの電気的特性を検査するためのウェハプローバに使用される「ウェハ保持体1」であって、「ウェハ保持体1」は、「チャックトップ導体層3」(本願発明1の「第1の層」に相当)、[チャックトップ2」(本願発明1の「熱伝達部品」に相当)、「発熱体6」(本願発明1の「第2の層」に相当)及び「台座部41」(本願の「補剛部材」に相当)が、この順に配置されたものであり、「チャックトップ2」の170W/mK以上の高い伝導率がウェハの均熱化の向上には好ましいという技術事項が記載されている。

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2004-103799号公報)には、
半導体露光装置等に使用されるウェハ等の基板を保持する基板保持装置(ウェハチャック)において、ウェハを静電吸着する「プレート2」が「ベース部材1」上に磁力により固定された状態で、「プレート2」と「ベース部材1」との間に形成された「密閉空間18a」に流体が供給されて、この流体によりウェハが温調されるように構成されるという技術事項が記載されている。

5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5(特開2007-194618号公報)には、
リソグラフィ装置に使用される「基板テーブルWT」において、「基板W」を保持する「基板ホルダ2」内に、熱交換流体を導くための複数の流路である「基板加熱装置4」を設けるという技術事項が記載されている。

第4 対比・判断
1 本願発明1と引用発明1を対比する。
本願発明1の「リソグラフィ装置」は、明細書段落【0003】の「リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、連続してパターンが与えられる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。」との記載及び図1の記載を参照すれば、基板上のレジストにパターン露光する装置を示し、本願発明1の「リソグラフィ装置内の基板を熱調整する熱調整ユニット」は、前記基板上のレジストにパターン露光する装置内に設置された「熱調整ユニット」を示すと解するのが相当である。
そして、引用発明1において、前記基板上のレジストにパターン露光する装置は、「露光光学装置24」及び「載置テーブル23」を内側に備える「露光処理室14」からなる装置であって、「露光処理室14に、ゲートバルブ53を介して接続されたウェハの熱処理室13の内側に備えられたホットプレート19」は、前記基板上のレジストにパターン露光する装置内に設置されたものではない。

すると、本願発明1と引用発明1は、
「基板を熱調整する熱調整ユニット。」
で一致し、次の点で相違する。

・本願発明1は、「リソグラフィ装置内の基板」を熱調整する熱調整ユニットであるのに対して、引用発明1は、「露光処理室14に、ゲートバルブ53を介して接続されたウェハの熱処理室13」内の「ウェハ」を加熱する「ホットプレート19」である点。(相違点1)

・本願発明1は、「使用時に、基板に面し、熱伝導率が100W/mK以上の材料からなる第1の層と、第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に位置する熱伝達部品とを備える熱調整要素と、
前記熱調整要素よりも剛性が高く、前記熱調整要素を支持してその機械的変形を低減する補剛部材であって、前記第2層が前記熱伝達部品と前記補剛部材との間に位置するように配置される、補剛部材と、を備え、
前記熱伝達部品は、熱伝達流体が通過する流路を備え、前記熱調整要素が前記補剛部材から熱的に分離され、
前記熱調整ユニットが別の流路を備え、前記流路と前記別の流路とに、熱伝達流体が並行して供給される、熱調整ユニット」であるのに対して、引用発明1は、「ホットプレート19」とのみ特定される点。(相違点2)

2 本願発明1と引用発明2を対比する。
引用発明2において、前記基板上のレジストにパターン露光する装置は、「露光装置PE」であって、「露光装置PEとの間で基板Wの受け渡しを行うロボット87により基板Wが受け渡しされる処理ユニット84に備えられたホットプレート82及びコールドプレート83」は、前記基板上のレジストにパターン露光する装置内に設置されたものではない。

すると、本願発明1と引用発明2は、上記本願発明1と引用発明1の一致点と同じ点で一致し、次の点で相違する。

・本願発明1は、「リソグラフィ装置内の基板」を熱調整する熱調整ユニットであるのに対して、引用発明2は、「露光装置PEとの間で基板Wの受け渡しを行うロボット87により基板Wが受け渡しされる処理ユニット84」内の「基板W」を加熱・冷却する「ホットプレート82及びコールドプレート83」である点。(相違点3)

・本願発明1は、「使用時に、基板に面し、熱伝導率が100W/mK以上の材料からなる第1の層と、第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に位置する熱伝達部品とを備える熱調整要素と、
前記熱調整要素よりも剛性が高く、前記熱調整要素を支持してその機械的変形を低減する補剛部材であって、前記第2層が前記熱伝達部品と前記補剛部材との間に位置するように配置される、補剛部材と、を備え、
前記熱伝達部品は、熱伝達流体が通過する流路を備え、前記熱調整要素が前記補剛部材から熱的に分離され、
前記熱調整ユニットが別の流路を備え、前記流路と前記別の流路とに、熱伝達流体が並行して供給される、熱調整ユニット」であるのに対して、引用発明2は、「ホットプレート82及びコールドプレート83」とのみ特定される点。(相違点4)

3 判断
以上の対比において、相違点1と相違点3は、実質的に、熱調整ユニットが前記基板上のレジストにパターン露光する装置内に設置されたものではない点で本願発明1と相違することで共通し、また、相違点2と相違点4は、実質的に、熱調整ユニットの詳細が特定されない点で本願発明1と相違することで共通する。
してみると、本願発明1と引用発明1、本願発明1と引用発明2は、ともに、同じ一致点を有するとともに、実質的に共通する相違点を有するから、以下、両者を併せて、判断する。

上記相違点1及び3について検討する。
引用文献3?5には、リソグラフィ装置(基板上のレジストにパターン露光する装置)内に熱調整ユニットを設けるという技術事項は記載も示唆もされていない。(引用文献4の基板保持装置(ウェハチャック)、引用文献5の基板テーブルWTは、いずれも、露光時のウェハを保持するものであり、本願発明1の「熱調整ユニット」に相当するものとはいえない。)
また、該技術事項が当業者には周知あるいは技術常識であるという事情もない。

すると、引用発明1又は2に、引用文献3?5に記載された技術事項を参照しても、上記相違点1及び3に係る本願発明1の発明特定事項を、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
よって、本願発明1は、少なくとも上記相違点1及び3により、引用発明1又は2に、引用文献3?5に記載された技術事項を参照しても、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえない。

4 小括
したがって、本願発明1は、当業者が引用発明1又は2及び引用文献3?5に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願発明2?14は本願発明1をさらに限定したものであるから、本願発明1と同様に、当業者が引用発明1又は2及び引用文献3?5に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。


第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、本願発明は、引用文献1、3?5又は2、3?5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかし、上記のとおり、本願発明1?14は、当業者が引用発明1又は2及び引用文献3?5に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。


第6 当審拒理について
1 当審拒理1の概要
(1)請求項1、10、11、12、14に係る発明及びこれらの請求項を引用する請求項2?9、13に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(2)請求項2、3、14に係る発明及びこれらの請求項を引用する請求項3?13に係る発明は、明確ではないから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2 当審拒理2の概要
(1)請求項14に係る発明及び請求項14を引用する請求項15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

(2)請求項13、15に係る発明及び請求項13を引用する請求項14に係る発明は、明確ではないから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

3 当審拒理1及び2の判断
平成29年5月16日及び平成29年9月1日の手続補正により、当審拒理1及び2はすべて解消した。

4 小括
そうすると、もはや、当審拒理1及び2で通知した拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。


第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-10-11 
出願番号 特願2015-511968(P2015-511968)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H01L)
P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 今井 彰赤尾 隼人  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 伊藤 昌哉
小松 徹三
発明の名称 熱調整ユニット、リソグラフィ装置、及びデバイス製造方法  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 大貫 敏史  

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