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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F02C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02C
管理番号 1332955
審判番号 不服2016-9770  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-30 
確定日 2017-09-27 
事件の表示 特願2012-555010「タービンシュラウド支持熱シールド」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 9月 1日国際公開、WO2011/106121、平成25年 6月 6日国内公表、特表2013-520613〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年1月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年2月25日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成24年8月17日に国内書面とともに明細書、請求の範囲、要約書及び図面の翻訳文が提出され、平成27年2月13日付けで拒絶理由が通知され、平成27年8月21日に意見書が提出されたが、平成28年2月24日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成28年6月30日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成28年6月30日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年6月30日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成28年6月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成24年8月17日に国内書面とともに提出された請求の範囲の翻訳文の)下記の(1)に示す請求項1ないし20の記載を下記の(2)に示す請求項1ないし20の記載に補正するものである。

(1) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし20
「【請求項1】
ガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体であって、
環状シュラウド支持体の半径方向外側表面の周りに円周方向に配置された環状熱シールドを備え、該熱シールドが、半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体に取り付けられたハニカム層を含み、前記熱シールドが、前記ハニカム層の半径方向外側側部に知って前記ハニカム層に取り付けられたヒートシールドを含む、ガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項2】
前記ハニカム層が前記シュラウド支持体にろう付けされ、前記ヒートシールドが前記ハニカム層にろう付けされる、請求項1に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項3】
前記ヒートシールドの前方端部から半径方向内向きに垂下するリップを更に備える、請求項1に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項4】
前記ハニカム層の後方端部を超えて軸方向に延びる軸方向延長部を更に備える、請求項3に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項5】
前記ハニカム層が前記シュラウド支持体にろう付けされ、前記ヒートシールドが前記にろう付けされる、請求項4に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項6】
前記熱シールドがセグメント化される、請求項5に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項7】
ガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体であって、
環状シュラウド支持体の半径方向外側表面の周りに円周方向に配置された少なくとも軸方向に離間した第1及び第2段熱シールドを備え、該第1及び第2段熱シールドが、それぞれの半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体に取り付けられた第1及び第2のハニカム層を含み、前記第1及び第2段熱シールドが、前記第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部に知って前記第1及び第2のハニカム層に取り付けられた第1及び第2のヒートシールドを含む、ガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項8】
前記第1及び第2のハニカム層が、該第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体にろう付けされ、前記第1及び第2のヒートシールドが、前記第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部に沿って前記第1及び第2のハニカム層にろう付けされる、請求項7に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項9】
前記第1及び第2のヒートシールドの第1及び第2の前方端部から半径方向内向きに垂下する第1及び第2のリップを更に備える、請求項7に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項10】
前記第1及び第2のハニカム層の第1及び第2の後方端部を超えて軸方向に延びる第1及び第2の軸方向延長部を更に備える、請求項9に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項11】
前記第1のリップが、前記シュラウド支持体の前縁を軸方向に覆うよう半径方向内向きに延びる、請求項10に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項12】
前記第1及び第2段熱シールドがセグメント化される、請求項10に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項13】
前記第1及び第2のハニカム層が、該第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体にろう付けされ、前記第1及び第2のヒートシールドが、前記第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部に沿って前記第1及び第2のハニカム層にろう付けされる、請求項12に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項14】
ガスタービンエンジン高圧タービンであって、
第1及び第2段ディスクそれぞれを有する第1及び第2の高圧タービン段と、
前記第1及び第2段ディスクそれぞれから半径方向外向きに延びる第1段及び第2段ブレードから半径方向に離間し且つ該第1段及び第2段ブレードに外接する環状高圧タービン第1及び第2段シュラウド組立体と、
を備え、前記第1及び第2段シュラウド組立体が、第1及び第2段シュラウドハンガーそれぞれに結合された第1及び第2段シュラウドを含み、
前記ガスタービンエンジン高圧タービンが更に、
前記第1及び第2段シュラウドハンガーを半径方向内向きに支持する前方及び後方フックを含むシュラウド支持体と、
前記環状のシュラウド支持体の半径方向外側表面の周りに円周方向に配置され且つ前記第1及び第2段シュラウド組立体とほぼ同心状の第1及び第2段熱シールドと、
を備え、前記第1及び第2段熱シールドが、それぞれの第1及び第2の半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体に取り付けられた第1及び第2のハニカム層を含み、前記第1及び第2段熱シールドが、前記第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部に沿って前記第1及び第2のハニカム層に取り付けられた第1及び第2のヒートシールドを含む、ガスタービンエンジン高圧タービン。
【請求項15】
前記第1及び第2のハニカム層が、該第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体にろう付けされ、前記第1及び第2のヒートシールドが、前記第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部に沿って前記第1及び第2のハニカム層にろう付けされる、請求項14に記載のガスタービンエンジン高圧タービン。
【請求項16】
前記第1及び第2のヒートシールドの第1及び第2の前方端部から半径方向内向きに垂下する第1及び第2のリップを更に備える、請求項14に記載のガスタービンエンジン高圧タービン。
【請求項17】
前記第1のリップが、前記シュラウド支持体の前縁を軸方向に覆うよう半径方向内向きに延びる、請求項16に記載のガスタービンエンジン高圧タービン。
【請求項18】
前記第1及び第2のハニカム層の第1及び第2の後方端部を超えて軸方向に延びる第1及び第2の軸方向延長部を更に備える、請求項16に記載のガスタービンエンジン高圧タービン。
【請求項19】
前記第1及び第2段熱シールドがセグメント化される、請求項18に記載のガスタービンエンジン高圧タービン。
【請求項20】
前記第1及び第2のハニカム層が、該第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体にろう付けされ、前記第1及び第2のヒートシールドが、前記第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部に沿って前記第1及び第2のハニカム層にろう付けされる、請求項19に記載のガスタービンエンジン高圧タービン。」

(2) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20
「【請求項1】
ガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体であって、
環状シュラウド支持体の半径方向外側表面の周りに円周方向に配置された環状熱シールドを備え、該熱シールドが、半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体に取り付けられたハニカム層を含み、前記熱シールドが、前記ハニカム層の半径方向外側側部に沿って前記ハニカム層に取り付けられ該ハニカム層をシールするヒートシールドを含む、ガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項2】
前記ハニカム層が前記シュラウド支持体にろう付けされ、前記ヒートシールドが前記ハニカム層にろう付けされる、請求項1に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項3】
前記ヒートシールドの前方端部から半径方向内向きに垂下するリップを更に備える、請求項1に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項4】
前記ハニカム層の後方端部を超えて軸方向に延びる軸方向延長部を更に備える、請求項3に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項5】
前記ハニカム層が前記シュラウド支持体にろう付けされ、前記ヒートシールドが前記にろう付けされる、請求項4に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項6】
前記熱シールドがセグメント化される、請求項5に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項7】
ガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体であって、
環状シュラウド支持体の半径方向外側表面の周りに円周方向に配置された少なくとも軸方向に離間した第1及び第2段熱シールドを備え、該第1及び第2段熱シールドが、それぞれの半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体に取り付けられた第1及び第2のハニカム層を含み、前記第1及び第2段熱シールドが、前記第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部に沿って前記第1及び第2のハニカム層に取り付けられ該第1及び第2のハニカム層をシールする第1及び第2のヒートシールドを含む、ガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項8】
前記第1及び第2のハニカム層が、該第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体にろう付けされ、前記第1及び第2のヒートシールドが、前記第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部に沿って前記第1及び第2のハニカム層にろう付けされる、請求項7に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項9】
前記第1及び第2のヒートシールドの第1及び第2の前方端部から半径方向内向きに垂下する第1及び第2のリップを更に備える、請求項7に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項10】
前記第1及び第2のハニカム層の第1及び第2の後方端部を超えて軸方向に延びる第1及び第2の軸方向延長部を更に備える、請求項9に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項11】
前記第1のリップが、前記シュラウド支持体の前縁を軸方向に覆うよう半径方向内向きに延びる、請求項10に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項12】
前記第1及び第2段熱シールドがセグメント化される、請求項10に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項13】
前記第1及び第2のハニカム層が、該第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体にろう付けされ、前記第1及び第2のヒートシールドが、前記第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部に沿って前記第1及び第2のハニカム層にろう付けされる、請求項12に記載のガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。
【請求項14】
ガスタービンエンジン高圧タービンであって、
第1及び第2段ディスクそれぞれを有する第1及び第2の高圧タービン段と、
前記第1及び第2段ディスクそれぞれから半径方向外向きに延びる第1段及び第2段ブレードから半径方向に離間し且つ該第1段及び第2段ブレードに外接する環状高圧タービン第1及び第2段シュラウド組立体と、
を備え、前記第1及び第2段シュラウド組立体が、第1及び第2段シュラウドハンガーそれぞれに結合された第1及び第2段シュラウドを含み、
前記ガスタービンエンジン高圧タービンが更に、
前記第1及び第2段シュラウドハンガーを半径方向内向きに支持する前方及び後方フックを含むシュラウド支持体と、
前記環状のシュラウド支持体の半径方向外側表面の周りに円周方向に配置され且つ前記第1及び第2段シュラウド組立体とほぼ同心状の第1及び第2段熱シールドと、
を備え、前記第1及び第2段熱シールドが、それぞれの第1及び第2の半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体に取り付けられた第1及び第2のハニカム層を含み、前記第1及び第2段熱シールドが、前記第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部に沿って前記第1及び第2のハニカム層に取り付けられ該第1及び第2のハニカム層をシールする第1及び第2のヒートシールドを含む、ガスタービンエンジン高圧タービン。
【請求項15】
前記第1及び第2のハニカム層が、該第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体にろう付けされ、前記第1及び第2のヒートシールドが、前記第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部に沿って前記第1及び第2のハニカム層にろう付けされる、請求項14に記載のガスタービンエンジン高圧タービン。
【請求項16】
前記第1及び第2のヒートシールドの第1及び第2の前方端部から半径方向内向きに垂下する第1及び第2のリップを更に備える、請求項14に記載のガスタービンエンジン高圧タービン。
【請求項17】
前記第1のリップが、前記シュラウド支持体の前縁を軸方向に覆うよう半径方向内向きに延びる、請求項16に記載のガスタービンエンジン高圧タービン。
【請求項18】
前記第1及び第2のハニカム層の第1及び第2の後方端部を超えて軸方向に延びる第1及び第2の軸方向延長部を更に備える、請求項16に記載のガスタービンエンジン高圧タービン。
【請求項19】
前記第1及び第2段熱シールドがセグメント化される、請求項18に記載のガスタービンエンジン高圧タービン。
【請求項20】
前記第1及び第2のハニカム層が、該第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体にろう付けされ、前記第1及び第2のヒートシールドが、前記第1及び第2のハニカム層それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部に沿って前記第1及び第2のハニカム層にろう付けされる、請求項19に記載のガスタービンエンジン高圧タービン。」(下線は補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

2 本件補正の目的
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1についてみると、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明における発明特定事項である「ヒートシールド」について、「該ハニカム層をシールする」という事項を追加して機能を限定する補正を含むものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

3 独立特許要件
(1) 刊行物
(1-1) 刊行物1
ア 刊行物1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許第5562408号明細書(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている(なお、[・・・]内の記載は、当審において作成した当審仮訳である。)。

(ア) 「The first stage turbine shroud 10 illustrated in FIG. 1 is an assembly including a corresponding portion of an annular outer stator casing 26 which provides a stationary support for the several components thereof. The outer casing 26 is axially split at a pair of adjacent first and second radial flanges 26a and 26b which complement each other and are formed as respective integral ends of the casing 26 at the splitline. An annular, one-piece shroud ring or support 28 is suspended from the casing first and second flanges 26a,b and is used in both the first and second stage shrouds 10,10b, as well as supports the second stage nozzle 20b. The shroud support 28 is generally L-shaped in transverse section and has an annular radial support flange 30 and an integral annular forward support leg 32 which extends axially forwardly from a radially inner end of the support flange 30. The forward support leg 32 extends axially forwardly for supporting respective components of both the first and second stage turbine shrouds and the nozzle 20b.
An annular, multi-segmented first stage shroud hanger 34 is suspended from the forward, free distal end of the support 28. An annular one-piece second stage shroud ring or hanger 34b is also suspended from the aft end of the support 28 at the casing first and second flanges 26a,b and is disposed with the shroud support 28 coaxially about the centerline axis 12. The second stage shroud hanger 34b is generally Y-shaped in transverse section and has an annular radial hanger flange, and integral annular forward and aft hanger legs at a radially inner end thereof. The forward and aft legs extend axially oppositely to each other, with the forward leg having a forward hook being conventionally supported on a corresponding aft hook 32a of the forward support leg 32. The first stage shroud hanger 34 is generally H-shaped in transverse section with top forward and aft hooks being conventionally supported on a corresponding pair of forward hooks 32b and 32c at the distal forward end of the support leg 32.
A plurality of arcuate first stage shroud panels 36 are conventionally removably fixedly joined to the forward hanger hooks 32b,c by corresponding hooks. And, a plurality of arcuate second stage shroud panels 36b are conventionally removably fixedly joined to the second stage shroud hanger 34b. Any suitable mounting arrangement of the respective shroud panels 36, 36b may be used for joining them to the respective shroud hangers 34, 34b and in turn to the shroud support 28 and outer casing 26.」(第3欄第5ないし49行)
[当審仮訳:第1図において、第1段タービンシュラウド10は、複数の構成要素を支持する環状外部ケーシング26の対応部分を含む組立体である。外部ケーシング26は、近接する第1及び第2の径方向フランジ26a,26bにおいて軸方向に分離している。第1及び第2の径方向フランジ26a,26bは相補的であり、分離部におけるケーシング26の固定端部となっている。環状の一体的なシュラウド支持体28は、ケーシングの第1及び第2フランジ26a,26bから垂下されており、第1段及び第2段シュラウド10,10b並びに第2段ノズル20bを支持している。シュラウド支持体28は、横断面で概ねL形状であり、環状の径方向支持フランジ30及び前方方向に延びる環状の支持脚部32を備えている。支持脚部32は、支持フランジ30の内径側端部から軸方向で前方方向に延びている。支持脚部32は、第1段及び第2段のシュラウド並びにノズル20bを支持する。
環状の第1段シュラウドハンガー34は、シュラウド支持体28の前方側自由端部から垂下されている。環状の第2段シュラウドハンガー34bは、ケーシングの第1及び第2フランジ26a,26bの位置において、シュラウド支持体28の後端部から垂下されており、中心軸12に関して、シュラウド支持体28と同軸状に配置されている。第2段シュラウドハンガー34bは、横断面で概ねY形状であり、環状の径方向ハンガーフランジ及び、その内径側端部に前方及び後方ハンガー脚部を備えている。前方及び後方の脚部は軸方向に反対方向に延び、前方の脚部の前方フックは、支持脚部32の後方フック32aに支持されている。第1段シュラウドハンガー34は、横断面で概ねH形状であり、上部の前方及び後方のフックは、支持脚部32の前方側端部で、フック32b,32cに支持されている。
複数の円弧状第1段シュラウドパネル36は、対応するフックを介して、フック32b,32cに相対変位可能に連結されている。そして、複数の円弧状第2段シュラウドパネル36bは、第2段シュラウドハンガー34bに相対変位可能に連結されている。シュラウドパネル36,36bをシュラウドハンガー34,34bに連結し、さらにシュラウド支持体28及び外部ケーシング26に連結するために、任意の適切な結合手段を用いることができる。]

(イ) 「In accordance with the present invention as illustrated in FIG. 1, a thermal isolation shield 44 is suitably fixedly joined to the shroud support 28 at least in part radially above the first stage shroud panels 36 for reducing the thermal response time of the first stage shroud 10 for in turn reducing the variation in the blade tip clearance C for improving performance. The isolation shield 44 as illustrated in more particularity in FIGS. 2 and 3 and includes a plurality of radially extending open-ended cells 46 facing radially outwardly in the flow duct 42 toward the outer casing 26 for inducing drag and boundary layer turbulence in the bleed air 14a flowable axially through the duct 42 to thermally isolate at least the distal end portion of the shroud support 28 from the thermal affect of the bleed air 14a for controlling the tip clearance C above the first stage blades 22.」(第4欄第35ないし49行)
[当審仮訳:第1図に示す発明において、第1段シュラウドパネル36の径方向上部の少なくとも一部において、熱シールド44がシュラウド支持体28に設けられており、それにより、第1段シュラウド10の熱応答時間を低減し、ブレード先端間隙Cの変化を低減する。熱シールド44は、図2及び図3に詳しく示されているように、複数の径方向に延びる端部開放セル46を備え、セル46は外径方向の流路42に面している。これにより、抽気14aに抵抗と境界層乱れが誘起されて、抽気14aの熱影響から、シュラウド支持体28の少なくとも遠隔側端部が遮蔽され、第1段ブレード先端間隙Cが制御される。]

イ 刊行物1発明
上記ア及び図面の記載を総合すると、刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認める。

<刊行物1発明>
「ガスタービンエンジンの第1段タービンシュラウド10であって、
環状シュラウド支持体28の半径方向外側表面の周りに円周方向に配置された環状熱シールド44を備え、該熱シールド44が、半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体28に取り付けられた複数の端部開放セル46から成る、ガスタービンエンジンの第1段タービンシュラウド10。」

(1-2) 刊行物2
ア 刊行物2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平5-187262号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

(ア) 「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ガスタービンエンジンに用いる熱シールドに関し、特に、タービンケーシングを高温流体流れから断熱する熱シールドに関する。」(段落【0001】)

(イ) 「【0005】
【発明の概要】この発明の熱シールドでは、ハニーカム型構造を複数の所定の寸法のセルを有する絶縁シートとして形成する。裏当てプレートをハニーカムシートの片面に取付け、セルの一端を閉じる。絶縁シートをエンジンケーシングの選択区域に隣接配置し、セルの開放端をケーシングに向け、裏当てプレートで高温ガス用の内方流れガイドを画定する。1形態の熱シールドは、複数の絶縁シートをエンジンのまわりに円周方向に、だいたい当接関係にて配列し、ハニーカムセルの開放端を保護すべきケーシング面に対してほぼ拘束する。セル開放端と隣接するケーシング面との間に隙間ができた場合、そのような隙間を通り抜けようとする気体が、セル開放端が与えるでこぼこな表面から流れ妨害を受ける。セルは所定の寸法として、局部的な流れうずを生じさせ、隙間を通る気体流れをさらに妨害する。熱伝達の速度は流量に関係しているので、このようなうず効果により隙間を通る流れを遅くすることにより、このような隙間に入る気体の加熱効果を小さくする。」(段落【0005】)

(ウ) 「【0011】このような冷却空気を用いる場合、冷却空気がエンジンケーシングに隣接して流れると、ケーシングおよびそれに取り付けた構造に応力および熱変形をもたらすような加熱効果を生じる欠点がある。このような変形は、タービンブレードとケーシングとの間のクリアランスに影響するので、望ましくない。このクリアランスが変化すると、ガス流の一部がブレードをバイパスし、したがってブレードを回転させる仕事に寄与しないのを許すことになり、タービン効率が悪くなる。したがって、ガスタービンエンジンには通常、タービンベーンに供給する冷却空気の高温の影響からエンジンケーシングを守るために、なんらかの形態の断熱が施されている。」(段落【0011】)

(エ) 「【0015】図4は、この発明の熱シールド構成を組み込んだ、図2と同様の部分の図である。この発明の改良熱シールド72は、ケーシング38の半径方向内面に隣接して支持された複数の開放端セル74を有するハニーカム型構造を備える。裏当てシート76がセル74の半径方向内端をカバーする。図5は、ハニーカム熱シールド72の拡大図で、セル74および裏当てシート76を示す。1実施例では、セル74は六面金属管状部材からなり、金属裏当てシート76をセルの一端にろう付けして図示の構造を形成することができる。この形態のハニーカム構造は、種々の厚さdおよび種々のセル寸法のものが市販されている。再び図4に戻ると、ハニーカム熱シールド72は複数のあらかじめ成形した円弧状セグメントを含み、これらのセグメントをそれぞれ個別にケーシング38にボルト78およびナット80により固着することができる。シールドセグメントを別の方法で、たとえば、シールドセグメント内のねじ切りインサートとケーシングの外側から挿入したボルトとを用いることにより、取り付けることもできる。さらに、ベーン40への空気流に干渉せずに、確実にシールド72をケーシング38に対して継続して押しつける取付け具であれば、どのようなものでも使用できる。さらに、シールド72を大きな円周円弧セクションとして形成してもよく、極端な場合には単一の円周方向リングとして形成してもよい。単一リングは、シールドをケーシング38と接触関係に押しつけることと関連した問題を緩和する。組立を簡単にするため、単一リングを1点で切り、閉じたC形状とし、挿入時にリングを変形できるようにする。」(段落【0015】)

(2) 対比・判断
本願補正発明と刊行物1発明とを対比すると、刊行物1発明における「第1段タービンシュラウド10」は、その構造、機能又は技術的意義からみて、本願補正発明における「タービンシュラウド組立体」に相当し、同様に、「複数の端部開放セル46」は「ハニカム層」に相当する。
したがって、本願補正発明の記載に倣って整理すると、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「ガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体であって、
環状シュラウド支持体の半径方向外側表面の周りに円周方向に配置された環状熱シールドを備える、ガスタービンエンジンのタービンシュラウド組立体。」である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点>
本願補正発明においては、「該熱シールドが、半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体に取り付けられたハニカム層を含み、前記熱シールドが、前記ハニカム層の半径方向外側側部に沿って前記ハニカム層に取り付けられ該ハニカム層をシールするヒートシールドを含む」のに対し、
刊行物1発明においては、「該熱シールド44が、半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体28に取り付けられた複数の端部開放セル46から成る」点(以下、「相違点」という。)。

上記相違点について検討する。
刊行物1発明における熱シールド44は、半径方向内側側部に沿って前記シュラウド支持体28に取り付けられた複数の端部開放セル46から成るものであるが、このような熱シールドは、これに限られるものではなく、種々多様なものが知られている。例えば、刊行物2には、静止ブレード列に対向するケーシング38の半径方向内面に設けた熱シールドであるが、複数の開放端セル74を有するハニカム型構造と、該セル74の一端にろう付けされ、該セル74の該一端をカバーする裏当てシート76を含む熱シールド72が開示されており(以下、「刊行物2技術」という。)、熱影響による動翼先端間隙の変化に対処する点において、刊行物1発明と共通ないし関連している。また、このように、複数の開放端セルを有するハニカム型構造と、その開放端セルの一端をカバーする板状部材を含む熱シールドは、刊行物2技術のほか、特開2002-4806号公報(段落【0002】、【0006】及び【0009】並びに図1及び図3等参照。特に、ハニカム状の中空小室集合構造体10等と内壁部5に着目のこと。)、及び、特開2008-180149号公報(段落【0042】及び【0058】ないし【0061】等。特に、ハニカム構造の複数の筒体部31と閉止板41に着目のこと。)等に示されているように、本願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術」という。)である。
補足すると、本願補正発明の「前記ハニカム層に取り付けられ該ハニカム層をシールするヒートシールド」に関して、本願明細書には、「【0026】・・・。第1及び第2のヒートシールド300、302は、第1及び第2のハニカム層284、286それぞれの第1及び第2の半径方向外側側部304、306にろう付けされるのが好ましい。【0027】或いは、第1及び第2のハニカム層284、286の開放セル301は、第1及び第2のヒートシールド300、302によりシールされ、・・・」(段落【0026】及び【0027】)と記載されているが、刊行物2技術及び周知技術においても、裏当てシート76ないし裏当てシート76等の板状部材は、本願補正発明のヒートシールドと同様に、ハニカム型構造の開放端セルの一端にろう付け等により接続され、該セルの該一端を閉じて(閉塞して)いる。そして、セルの該一端をカバーする裏当てシート76ないし裏当てシート76等の板状部材は冷却空気流に面し、比較的滑らかな流路壁面を形成するから、板状部材がなく冷却空気流にセルが露出している場合と比べて、少なくとも、対流熱伝達が低減することは明らかである。
また、上記の特開2008-180149号公報(特に、段落【0060】及び【0061】)をみると、セルの一端を閉塞する閉止板41がある例(図5)の場合、該閉止板41がない例(図4)に比べて、熱伝達を低減し得ることが記載ないし示唆されている。
してみると、刊行物1発明において、どのような熱シールドを採用するかは、所要の遮熱性・断熱性や、冷却空気の流れ状況等による熱伝達特性等を考慮して適宜設計する事項であって、例えば、冷却空気流の渦・乱れ等による相当の熱伝達が予想される場合に、複数の端部開放セル46から成る熱シールド44に代えて、刊行物2技術ないし周知技術の熱シールドを採用して、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到できたことである。
そして、本願補正発明は、全体としてみても、刊行物1発明、刊行物2技術ないし周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願補正発明は、刊行物1発明、刊行物2技術ないし周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

(3) まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、[補正却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成28年6月30日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、平成24年8月17日に国内書面とともに提出された明細書、請求の範囲及び図面の翻訳文の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に示した請求項1に記載したとおりのものである。

2 刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物1及び刊行物2には、図面とともに、上記第2[理由]3(1)に摘記したとおりの事項及び発明が記載されている。

3 対比・判断
上記第2[理由]2で検討したしたとおり、本願補正発明は本願発明の発明特定事項を限定したものである。そして、本願発明の発明特定事項を限定した本願補正発明が上記第2[理由]3(2)のとおり、刊行物1発明、刊行物2技術ないし周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、実質的に同様の理由により、刊行物1発明、刊行物2技術ないし周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2技術ないし周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 結語
上記第3のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-04-17 
結審通知日 2017-04-18 
審決日 2017-05-16 
出願番号 特願2012-555010(P2012-555010)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02C)
P 1 8・ 575- Z (F02C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西中村 健一  
特許庁審判長 佐々木 芳枝
特許庁審判官 槙原 進
伊藤 元人
発明の名称 タービンシュラウド支持熱シールド  
代理人 黒川 俊久  
代理人 荒川 聡志  
代理人 田中 拓人  
代理人 小倉 博  

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