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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1332960
審判番号 不服2016-14411  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-27 
確定日 2017-10-17 
事件の表示 特願2014-234793「情報提供システム、情報提供方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月30日出願公開、特開2016- 99728、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由
第1 手続の経緯
本願は、平成26年11月19日の出願であって、平成28年4月7日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年5月10日付けで手続補正がされ、平成28年6月30日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成28年9月27日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成28年6月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-18に係る発明は、以下の引用文献1,2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2012/0323934号明細書
2.国際公開第2010/035617号


第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正は、請求項1,6,11に記載された、「磁気テープ媒体」について、「長手方向の一端と他端との間を、該長手方向に垂直な幅方向の位置に応じて記録方向を変えて記録される」との限定を付加し、同じく、「ファイル」について、「前記ファイルは、第1のデータと、前記第1のデータに追記され、該第1のデータが記録される前記磁気テープ媒体上のブロックから離れた別のブロックに記録される1以上の第2のデータとを含み、」との限定を付加し、同じく、「ファイルの記録位置の情報」について、「前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記長手方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の情報と、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の情報」と限定し、また、同じく、「記録手段」、「計算手段」について、「前記記録手段は、前記インデックスに前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々の記録開始位置および記録終了位置の情報を書き込み、前記計算手段は、前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の関数を含む計算式を用いて計算した各データの読み出しにかかる時間を加算して、該ファイルの読み出しにかかる時間を計算する」という限定を付加するものである。
審判請求時の補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、また、当該補正により限定された事項は、当初明細書の段落【0039】?【0041】,【0047】?【0050】,図6,7に記載された事項であって、新規事項を追加するものではない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-15に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。


第4 本願発明
本願請求項1-15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明15」という。)は、平成28年9月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ファイルの読み出しにかかる時間を提供する情報提供システムであって、
記憶装置にファイルを記録した際、該ファイルの記録位置の情報を取得する取得手段と、
取得された前記記録位置の情報を、前記ファイルにアクセスするために参照されるインデックスに書き込む記録手段と、
前記ファイルの読み出しにかかる時間の取得要求を受けて、前記インデックスに書き込まれた前記記録位置の情報を使用して該時間を計算し、前記ファイルの読み出しにかかる時間を要求する要求元へ計算した該時間を提供する計算手段とを含み、
前記記憶装置は、長手方向の一端と他端との間を、該長手方向に垂直な幅方向の位置に応じて記録方向を変えて記録される磁気テープ媒体であり、
前記ファイルは、第1のデータと、前記第1のデータに追記され、該第1のデータが記録される前記磁気テープ媒体上のブロックから離れた別のブロックに記録される1以上の第2のデータとを含み、
前記取得手段は、前記ファイルを前記磁気テープ媒体に記録するテープ・ドライブ装置から、該ファイルの記録位置の情報として、前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記長手方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の情報と、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の情報とを取得し、
前記記録手段は、前記インデックスに前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々の記録開始位置および記録終了位置の情報を書き込み、
前記計算手段は、前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の関数を含む計算式を用いて計算した各データの読み出しにかかる時間を加算して、該ファイルの読み出しにかかる時間を計算する、情報提供システム。
【請求項2】
前記記憶装置から読み出された前記インデックスを保存する保存手段をさらに含み、前記計算手段は、前記保存手段に保存された前記インデックスを使用して前記ファイルの読み出しにかかる時間を計算する、請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記計算手段は、前記ファイルのデータを読み始めるまでの第1の時間と、該データを読み始めてから読み終えるまでの第2の時間とを計算し、該第1の時間と該第2の時間とを、前記ファイルの読み出しにかかる時間として提供する、請求項1または2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記磁気テープ媒体がマウントされているか否かを判断する第1の判断手段と、前記磁気テープ媒体がマウントされていると判断された場合に、前記テープ・ドライブ装置が読み書きを行うために使用するヘッドが、磁気テープの前記ファイルが記録された部分上にあるかどうかを判断する第2の判断手段とをさらに含み、
前記磁気テープの前記ファイルが記録された部分上にあると判断された場合、前記計算手段は、前記ヘッドの現在位置を前記ファイルの読み始めの位置として、前記ファイルの残りの部分の読み出しにかかる時間を計算する、請求項1?3のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記インデックスは、前記磁気テープ媒体をマウントするために該磁気テープ媒体を移動する時間の情報を含み、
前記第1の判断手段で前記磁気テープ媒体がマウントされていないと判断された場合、前記計算手段は、前記磁気テープ媒体を移動する時間を加算して、前記ファイルの読み出しにかかる時間を計算する、請求項4に記載の情報提供システム。
【請求項6】
ファイルの読み出しにかかる時間を提供する情報提供システムにより実行される方法であって、前記情報提供システムが、取得手段と、記録手段と、計算手段とを含み、
記憶装置にファイルを記録した際、前記取得手段が、該ファイルの記録位置の情報を取得するステップと、
前記記録手段が、取得された前記記録位置の情報を、前記ファイルにアクセスするために参照されるインデックスに書き込むステップと、
前記計算手段が、前記ファイルの読み出しにかかる時間の取得要求を受けて、前記インデックスに書き込まれた前記記録位置の情報を使用して該時間を計算するステップと、
前記計算手段が、前記ファイルの読み出しにかかる時間を要求する要求元へ計算した前記時間を提供するステップとを含み、
前記記憶装置は、長手方向の一端と他端との間を、該長手方向に垂直な幅方向の位置に応じて記録方向を変えて記録される磁気テープ媒体であり、
前記ファイルは、第1のデータと、前記第1のデータに追記され、該第1のデータが記録される前記磁気テープ媒体上のブロックから離れた別のブロックに記録される1以上の第2のデータとを含み、
前記取得するステップでは、前記取得手段が、前記ファイルを前記磁気テープ媒体に記録するテープ・ドライブ装置から、該ファイルの記録位置の情報として、前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記長手方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の情報と、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の情報とを取得し、
前記書き込むステップでは、前記記録手段が、前記インデックスに前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々の記録開始位置および記録終了位置の情報を書き込み、
前記計算するステップでは、前記計算手段が、前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の関数を含む計算式を用いて計算した各データの読み出しにかかる時間を加算して、該ファイルの読み出しにかかる時間を計算する、方法。
【請求項7】
前記記憶装置から読み出された前記インデックスを保存手段に保存するステップをさらに含み、前記計算するステップでは、前記計算手段が、前記保存手段に保存された前記インデックスを使用して前記ファイルの読み出しにかかる時間を計算する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記計算するステップでは、前記計算手段が、前記ファイルのデータを読み始めるまでの第1の時間と、該データを読み始めてから読み終えるまでの第2の時間とを計算し、前記提供するステップでは、前記第1の時間と前記第2の時間とを、前記ファイルの読み出しにかかる時間として提供する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記情報提供システムは、第1の判断手段と、第2の判断手段とをさらに含み、
前記第1の判断手段が、前記磁気テープ媒体がマウントされているか否かを判断するステップと、前記第2の判断手段が、前記磁気テープ媒体がマウントされていると判断された場合に、前記テープ・ドライブ装置が読み書きを行うために使用するヘッドが、磁気テープの前記ファイルが記録された部分上にあるかどうかを判断するステップとをさらに含み、
前記磁気テープの前記ファイルが記録された部分上にあると判断された場合、前記計算するステップでは、前記計算手段が、前記ヘッドの現在位置を前記ファイルの読み始めの位置として、前記ファイルの残りの部分の読み出しにかかる時間を計算する、請求項6?8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記インデックスは、前記磁気テープ媒体をマウントするために該磁気テープ媒体を移動する時間の情報を含み、
前記マウントされているか否かを判断するステップで前記磁気テープ媒体がマウントされていないと判断された場合、前記計算するステップでは、前記計算手段が、前記磁気テープ媒体を移動する時間を加算して、前記ファイルの読み出しにかかる時間を計算する、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ファイルの読み出しにかかる時間を提供する方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
記憶装置にファイルを記録した際、該ファイルの記録位置の情報を取得するステップと、
取得された前記記録位置の情報を、前記ファイルにアクセスするために参照されるインデックスに書き込むステップと、
前記ファイルの読み出しにかかる時間の取得要求を受けて、前記インデックスに書き込まれた前記記録位置の情報を使用して該時間を計算するステップと、
前記ファイルの読み出しにかかる時間を要求する要求元へ計算した前記時間を提供するステップとを前記コンピュータに実行させ、
前記記憶装置は、長手方向の一端と他端との間を、該長手方向に垂直な幅方向の位置に応じて記録方向を変えて記録される磁気テープ媒体であり、
前記ファイルは、第1のデータと、前記第1のデータに追記され、該第1のデータが記録される前記磁気テープ媒体上のブロックから離れた別のブロックに記録される1以上の第2のデータとを含み、
前記取得するステップでは、前記ファイルを前記磁気テープ媒体に記録するテープ・ドライブ装置から、該ファイルの記録位置の情報として、前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記長手方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の情報と、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の情報とを取得し、
前記書き込むステップでは、前記インデックスに前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々の記録開始位置および記録終了位置の情報を書き込み、
前記計算するステップでは、前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の関数を含む計算式を用いて計算した各データの読み出しにかかる時間を加算して、該ファイルの読み出しにかかる時間を計算する処理を実行させる、プログラム。
【請求項12】
前記記憶装置から読み出された前記インデックスを保存手段に保存するステップをさらに実行させ、前記計算するステップでは、前記保存手段に保存された前記インデックスを使用して前記ファイルの読み出しにかかる時間を計算する、請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記計算するステップでは、前記ファイルのデータを読み始めるまでの第1の時間と、
該データを読み始めてから読み終えるまでの第2の時間とを計算し、前記提供するステップでは、前記第1の時間と前記第2の時間とを、前記ファイルの読み出しにかかる時間として提供する、請求項11または12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記磁気テープ媒体がマウントされているか否かを判断するステップと、前記磁気テープ媒体がマウントされていると判断された場合に、前記テープ・ドライブ装置が読み書きを行うために使用するヘッドが、磁気テープの前記ファイルが記録された部分上にあるかどうかを判断するステップとをさらに実行させ、前記磁気テープの前記ファイルが記録された部分上にあると判断された場合、前記計算するステップでは、前記ヘッドの現在位置を前記ファイルの読み始めの位置として、前記ファイルの残りの部分の読み出しにかかる時間を計算する、請求項11?13のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項15】
前記インデックスは、前記磁気テープ媒体をマウントするために該磁気テープ媒体を移動する時間の情報を含み、
前記マウントされているか否かを判断するステップで前記磁気テープ媒体がマウントされていないと判断された場合、前記計算するステップでは、前記磁気テープ媒体を移動する時間を加算して、前記ファイルの読み出しにかかる時間を計算する、請求項14に記載のプログラム。」


第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次のア?オのとおりの記載がある。(下線は、注目箇所に当審が付した。以下、同様。)

「[0002] Linear storage media may include magnetic tape storage, such as the Linear Tape Open (LTO). In general, data is stored on linear storage tape in blocks of fixed or variable size. Managing data blocks on linear storage tape may be done in various ways, such as using the Tape Archive Format (TAR), a data backup system, a data storage system, as well as a file system on tape. The Long Term File System (LTFS) is a file system that allows a user to store individual files to a tape, in the same manner as files are stored on other file-based storage device, such as a hard disk, a FLASH memory, a Solid State Drive (SSD) or any other conventional file storage medium. To use a tape cartridge with LTFS, the cartridge has to first be formatted, similar to formatting of hard drives. A formatted tape may be loaded into a drive, mounted by LTFS as a file system, and then be accessed and used to store and retrieve files.」
(当審訳:[0002] リニア記録媒体としては、リニアテープオープン(LTO)のような磁気記憶テープを含むことができる。一般に、データは、固定又は可変サイズのブロック単位でリニア記憶テープに記憶される。リニア記憶テープ上の管理データブロックは、テープアーカイブフォーマット(TAR)、データバックアップシステム、データ記憶システム、ならびにテープ上のファイルシステムを使用するなど、様々な方法で行ってよい。長期ファイルシステム(LTFS)は、ハードディスク、フラッシュメモリ、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)または他の任意の従来のファイル記憶媒体のように、ファイルが他のファイルベースの記憶装置に記憶されているのと同様に、ユーザがテープに個々のファイルを格納することができるファイルシステムである。LTFSを用いてテープカートリッジを使用するためには、カートリッジは、ハードドライブのフォーマットと同様に、最初に、フォーマットされなければならない。フォーマットされたテープは、ドライブにロードされ、LTFSによりファイルシステムとしてマウントされ、次いでアクセスされ、ファイルを格納および検索するために使用される。)

「[0025] Currently, a single user interface is used for both disk file systems and tape file systems. However, disk and tape file system are considerably different in their behavior. Specifically, tape file systems have much longer access time and require more time for certain operations. The illustrative embodiments provide a mechanism for rendering tape file system information and presenting the information to the user before and/or during a file opening, reading, and writing operation. As an example, tape specific information may include tape drive status and current operation, tape position during a seek operation, location of files on the tape, location of the tape head itself, or the like.
[0026] The interface allows a user of a tape file system to know how long it will take to open a file before or even after selecting the file. During file access, the user may expect to wait while the system appears to not respond during the seek operation. Knowing the delay time in advance makes interactions with the file system more efficient and pleasant.」
(当審訳:[0025] 現在、単一のユーザインターフェースが、ディスクファイルシステムおよびテープファイルシステムの両方で使用されている。しかしながら、ディスクおよびテープファイルシステムは、それらの挙動が大きく異なる。具体的には、テープファイルシステムは、はるかに長いアクセス時間と所定の動作のために多くの時間を必要とする。例示の実施形態は、テープファイルシステム情報をレンダリングし、ファイルオープン、読み出し、及び書き込み操作前及び/又は操作中の情報をユーザに提示するための機構を提供する。一例として、テープ固有情報は、テープドライブ状態と現在の動作、シーク動作中のテープ位置、テープ上のファイルの場所、テープヘッド自体の位置などを含むことができる。
[0026] インターフェースは、テープファイルシステムのユーザに、ファイルを選択する前または後に、ファイルをオープンするのにかかる時間を知らせることができる。ファイルにアクセスしている間、システムがシーク動作中に応答しないように見える間、ユーザは、待つことを予期するかもしれない。予め遅延時間を知ることにより、ファイルシステムとの相互作用はより効率的かつ快適になる。)

「[0042] The Linear Tape Open (LTO) standard is an open standard that allows for interchangeability of tape cartridges between drives. FIG. 3A shows the layout of the tape in the LTO format specification in accordance with an illustrative embodiment. The format specifies four data bands 300 sandwiched between five servo bands 302. A tape drive designed to read the LTO format typically has a head assembly containing multiple rows of read and or write elements. Each row has one or more servo read elements at either end of a group of read and/or write elements. The servo readers are positioned to allow simultaneous alignment with any two adjacent servo tracks during operation. This places the read/write elements over the corresponding data tracks within a data band. The data band can thus be selected by choosing the appropriate set of servo tracks.
[0043] Data is written to 8 or 16 tracks simultaneously. The tracks are spaced evenly throughout the data band. The set of tracks written at the same time is referred to as a "wrap". FIG. 3B shows an enlargement of a region that a single read/write element would interact with while writing in one data band in accordance with the LTO format and an illustrative embodiment. During the writing of a wrap, element 304 will follow a single track on the tape. The tracks that are written during alternate forward and reverse wraps are labeled in the figure with the respective wrap numbers: 0, 1, 2, 3, 4, 5, etc. Wraps are written sequentially and serpentine fashion starting with the top and bottom of each data band for the forward and reverse directions respectively. Subsequently written tracks partially overlap earlier tracks in a shingling fashion. In this manner, the written tracks may be narrower than the width of the writer.
[0044] When the first data band is filled, the head is moved to the second data band and a new set of wraps is written. Taking LTO-5 as an example, the total number of tracks on the tape is (4 data bands)x(20 wraps per band)x(16 tracks per wrap)=1280. Since 16 tracks are written simultaneously, 80 passes are required to fill the tape.
[0045] Building on the LTO format specification, there may be additional file system specifications. One such specification which will be used here as an illustrative example is the long term file system (LTFS). FIG. 4 depicts an example showing how one of the write elements writes data to a section of tape in the LTO format and also in accordance with the LTFS specification and an illustrative embodiment. As tape 402 moves past read/write head 404, the read/write head 404 writes to tape 402 in sequential logical blocks 406, of constant or varying size, numbered sequentially with Block Numbers (BN). Read/write head 404 writes content to tape 402 in a serpentine fashion, along wraps 408. Each travel to the end and back of the linear tape 402 covers two wraps.
[0046] As tape 402 moves, the relative location of the magnetic head on the tape is measured and denoted by a LPOS (Longitudinal Position). The LPOS starts at the beginning of the tape with one integer value and linearly increases toward the end of tape. Hence, the physical location of a logical block 406 on linear tape 402 may be characterized by its wrap number and a beginning LPOS and an end LPOS of the logical block 406, for example, beginning LPOS 410 and ending LPOS 412.
[0047] The Linear Tape File System (LTFS) format is for storing data on tape. The LTFS format may apply to tapes having two partitions: an Index partition and a Data partition. The Index partition is in general smaller in size, and is used primarily to store the files index and metadata about files. The Data partition is used primarily to store the file content and may consist of the remaining space available on the tape. For example, with LTO-5 tapes, the Index partition may consist of two wraps, amounting to about 47 GB, and the Data partition may consist of 76 wraps. Another two wraps are used as a buffering zone between the two partitions, for a total of 80 wraps on tape. The LTFS index contains information about files and directories stored on tape, such as file names, file size, date of last change, and other file properties. The LTFS index may further contain Extended Attributes (EAs), which may be defined by LTFS itself, by the operating system, by various applications, or directly defined by users. An EA may comprise a name and value pair, and may be used to store metadata and other information for the use by systems, applications, and users.
[0048] The LTFS index further contains information about the location of the file's content on tape, represented by an extents list. In LTFS, each file may contain one or more extents, where each extent is a contiguous sequence of one or more logical blocks 406 on linear tape 402. An extent may be represented by its beginning block number and its end block number. An extent may start at the beginning of its first block or within a specified bytes offset inside its first block. Similarly, an extent may end at the end of its last block or at a specified offset inside its last block. A file may have multiple extents for multiple reasons, for example, appending content to an existing file on tape, modifying a file on tape, or while writing multiple files in parallel, interleaving extents from all files. All the information pertaining to the files on tape 402 is then stored on tape 402 in the file Index.
[0049] Due to the serpentine writing on tape, any file (extent or block) may be located at any position on tape 402. Note that because of wrapping, two files may have two very different block numbers 406 but may be physically located very closely on tape 402, for example, on two different wraps but with the same LPOS.
[0050] The reader may be aware that the order of blocks, extents or files by their begin-block number may differ from their order by LPOS which reflects their arrangements of position on tape. For example, consider the four files 404. Their order by beginning block number would be file_a 1 (block number 21), file_a 2 (block number 24), file_b 1 (block number 68), and lastly file_b 2 (block number 70). However, when these four files are sorted by LPOS position on tape, the order would be, from left to right, file_a 1, file_b 2, file_a 2, and lastly file_b 1. While begin-block and LPOS provide two different methods to sort a list of files stored on tape, there may be many other ways to sort such lists. Furthermore, similar ordering methods may apply not only to lists of files stored on the tape but also to individual extents, blocks, and other objects stored on tape. One of ordinary skill in the art would be able to apply similar properties to other linear data storage media, partially-linear data storage and other serial data storage systems.」

「[0052] FIG. 5 depicts a functional block diagram of a linear tape file system (LTFS) that uses a rendering mechanism and a graphical user interface in accordance with an illustrative embodiment. While the following illustration depicts components of Linear Tape File System (LTFS) 502 residing within the data processing system 500, the illustration is solely intended for illustration purposes in order to indicate how the components needed to render linear tape file information interact. That is, one or more of the components shown within data processing system 500 may reside within a data processing system to which a tape device 504 is coupled, within the tape device itself, or a combination of the data processing system and the tape device.
[0053] Data processing system 500 comprises file system viewer 506 and virtual file system (VFS) 508. File system viewer 506 provides browsing of file systems, directories, and listing files. VFS 508 module provides for receiving file system commands, such as Portable Operating System Interface (POSIX) commands from applications such as tape graphical user interface (GUI) 510. VFS 508 also provides for routing commands to any of a plurality of file systems present to data processing system 500, such as a disk or a tape file system, and returning information such as directory listings, file properties and/or file content to the file system viewer or other application. In this illustration, the file system commands are routed by VFS 508 to LTFS 502, which interprets, executes and responds to these commands. LTFS 502 communicates with tape device 504 via device driver 512 and host bus adapter 514, together facilitating the logical and physical communication between data processing system 500 and tape device 504 comprising tape cartridge 516.
[0054] LTFS 502 may maintain a files index and directory of the tape's content in main memory 518, on hard disk drive 520, a flash memory (not shown in the figure), and/or on any other storage device. LTFS 502 is capable of creating, reading, writing and updating files and directories, as well as the index, as POSIX commands are processed and executed. LTFS 502 keeps the index consistent with the files and the content on the tape cartridge 516.」
(当審訳:[0042] Linear Tape-Open(LTO)規格は、ドライブとの間でテープカートリッジの互換性を可能にするオープンスタンダードである。図3aは、例示的実施形態による、LTOフォーマット仕様でのテープのレイアウトを示している。フォーマットは、5本のサーボバンド302の間に挟まれた4本のデータバンド300を特定する。LTOフォーマットを読み取るように設計されたテープドライブは、通常、複数の行読み出し及び/又は書き込み素子を含むヘッドアセンブリとを有する。各行は、読取及び/又は書込素子群の両端に1つ以上のサーボ読取り素子を有している。サーボ・リーダは、動作中に任意の2つの隣接するサーボ・トラックと同時にアライメントを可能にするように配置されている。このことは、データバンド内の対応するデータ・トラック上に読取り/書込要素を配置する。データバンドは、サーボトラックの適切なセットを選択することによって選択することができる。
[0043] データは、同時に8または16トラックに書き込まれる。トラックは、データバンド全体にわたって均等に間隔を置いて配置されている。同時に書込まれたトラックの集合は、「ラップ」と呼ばれる。図3Bは、LTOフォーマット及び例示的な実施形態による、1つのデータバンドに書込む間に単一の読取り/書込み要素が相互作用するであろう領域を拡大して示す。ラップの書き込み中に、素子304は、テープ上の1つのトラックを追従することになる。順方向、逆方向に交互にラップに書き込まれるトラックは、それぞれのラップ番号:0 ,1, 2, 3, 4, 5…でラベル付けされる。ラップはシーケンシャルに、各データバンドの頂部及び底部から各々順方向、逆方向に蛇行方式で、記録される。続いて書き込まれるトラックは、部分的にシングリング方式で先のトラックと重なっている。このように、書込まれるトラックは、ライターの幅よりも狭くてもよい。
[0044] 最初のデータバンドが一杯になると、ヘッドは第2のデータ・バンドに移動され、新しいセットのラップが書き込まれる。LTO-5を例にとると、テープ上のトラックの総数は(4本のデータ・バンド)×(1バンド当たり20のラップ)×(ラップ当たり16トラック)=1280となる。16トラックを同時に書き込むため、テープをいっぱいにするためには、80回のパスが必要とされる。
[0045] LTOフォーマット仕様に基づいて構築は、ファイルシステムの追加の仕様があってもよい。例示的な例としてここで使用される1つのそのような仕様は、long term file system(LTFS)である。図4は、LTOフォーマットで、かつ、LTFS仕様で、例示的な実施形態による、書き込み素子の内の1つが、テープのセクションにデータを書き込む様子を示す一例を示す。テープ402は、読取り/書込みヘッド404を移動させながら、読取り/書込みヘッド404が、テープ402に、一定または可変のサイズの、連続的にブロック番号(BN)を番号付けられた、連続的な論理ブロック406で書き込む。読取/書込ヘッド404は、ラップ408に沿って、蛇行状にテープ402に、コンテンツを書き込でいる。リニアテープ402の終端と戻りの各々の移動は、2つのラップをカバーしている。
[0046] テープ402が動くと、テープ上の磁気ヘッドの相対位置は、LPOS(Longitudinal position)により測定され、示されている。LPOSは、テープの始めで1つの整数値で開始し、テープの端部に向かってリニアに増加する。それ故、リニアテープ402上の論理ブロック406の物理的な位置は、論理ブロック406の、ラップ番号、先頭LPOSと最終LPOS、例えば、先頭LPOS410と最終LPOS412によって、特徴付けることができる。
[0047] リニアテープファイルシステム(LTFS)フォーマットは、テープにデータを記憶するものである。LTFSフォーマットは、インデックスパーティションとデータパーティションの2個のパーティションを有するテープに適用することができる。インデックスパーティションは、一般的にサイズが小さく、主に、ファイルに関するファイルインデックスとメタデータとを格納するために使用される。データパーティションは、主に、ファイルの内容を格納するために使用され、テープ上で利用可能な残りの空間であってもよい。例えば、LTO-5テープで、インデックスパーティションは2ラップの分の47GB程度に構成されてもよく、データパーティションは、76ラップで構成することができる。テープ上の全80ラップのうち、他の2ラップは、2個のパーティション間の緩衝ゾーンとして用いられる。LTFSインデックスは、ファイル名、ファイルサイズ、最終変更日付、および他のファイル・プロパティ情報のような、テープに記録されているファイルやディレクトリに関する情報を含む。LTFSインデックスは、LTFS自体により、オペレーティング・システムにより、各種アプリケーションにより、ユーザによって直接定義される、拡張属性(EA)を含んでもよい。EAは、名前と値の対を含むことができ、システム、アプリケーション、およびユーザによる使用のためにメタデータおよび他の情報を格納するために使用することができる。
[0048] LTFSインデックスは、エクステントリストで表される、テープ上のファイルのコンテンツの所在情報を含んでいる。LTFSでは、各ファイルは、リニアテープ402上の1つ以上の論理ブロック406の連続的なシーケンスである、1つ又はそれ以上のエクステントを有することができる。エクステントは、その先頭ブロック番号及び終了ブロック番号で表されてもよい。エクステントは、第1ブロックの最初からか、また、第1ブロック内の指定されたバイトほどオフセットされた範囲内で開始してもよい。同様に、エクステントは、最後のブロックの端部、または、最後のブロック内の指定されたオフセットで終了してもよい。ファイルは、様々な理由、例えば、テープ上の既存のファイルにコンテンツを付加する、テープ上のファイルを変更する、又は、複数のファイルを並行して書き込むときに、全てのファイルのエクステントをインターリーブするなどの理由で、複数のエクステントを有することができる。テープ402上のファイルに関する全ての情報は、テープ402上で、ファイル・インデックスに格納される。
[0049] テープ上の蛇行書き込みにより、任意のファイル(エクステントまたはブロック)は、テープ402上の任意の位置に配置することができる。ラップにより、2つのファイルは、大きく異なるブロック番号406を有するかもしれないが、テープ402上の物理的に非常に近い場所、例えば、2つの異なるラップであるが、LPOSが同じ場所に配置されることもある。
[0050] リーダは、ブロック、エクステントまたはファイルの順序は、テープ上の位置の配置を反映したLPOSによる順序とは異なる場合があることを知ることができる。例えば、4つのファイル404を考える。先頭ブロック番号によりその順序はFile_a1(ブロック番号21)、File_a2(ブロック番号24)、file_b1(ブロック番号68)、最後にfile_b2(ブロック番号70)であろう。しかしながら、これらの4つのファイルをテープ上のLPOS位置によってソートした場合、その順序は、左から右に向かってFile_a1、file_b2、File_a2、最後にfile_b1である。開始ブロックとLPOSは、テープに格納されているファイルのリストをソートするために2つの異なる方法を提供するが、このようなリストをソートするためには他にも多くの方法があるであろう。さらに、同様の順序付けの方法は、テープに格納されているファイルのリストだけでなく、テープに記憶された個々のエクステント、ブロック、及び他のものにも適用することができる。当業者であれば、他のリニアデータ記憶媒体、部分的なリニアデータ記憶やその他のシリアルデータ記憶システムに、類似した特性を付与することができるであろう。
[0051] 簡略化のために、以下の説明は、単一のエクステントを有するファイルに向けられている。しかしながら、例示的な実施形態は、例えば、単一のエクステントファイル、複数のエクステントファイル、ファイルのグループ(例えば、ディレクトリ内の全てのファイル)、ブロックのグループ、サブグループ(例えば、ディレクトリ内の全てのJPEGファイルの開始ブロック)、テープ402に書き込まれた任意のオブジェクトタイプのような、どのようなファイルのセットにでも適用されることは明らかであろう。
[0052] 図5は、例示的な実施形態による描画手段及びグラフィカルユーザインタフェースを用いたリニアテープファイルシステム(LTFS)の機能ブロック図を示す。以下の図示では、データ処理システム500内に存在するリニアテープファイルシステム(LTFS)502の構成要素を示しているが、図示は、リニア・テープ・ファイル情報をレンダリングするのに必要な構成要素がどのように相互作用するかを示すための、単に例示目的のためのものである。すなわち、テープ装置504に接続されたデータ処理システム500内に示されているコンポーネントのうちの1つまたは複数は、テープ装置自体、又はデータ処理システム及びテープ装置の組み合わせの内にあってもよい。
[0053] データ処理システム500は、ファイルシステムビューワ506とバーチャルファイルシステム(VFS)508を有している。ファイルシステムビューワ506は、ファイルシステム、ディレクトリ、およびファイルの一覧の閲覧を提供する。VFS508モジュールは、テープグラフィカルユーザインタフェース(GUI)510のようなアプリケーションからポータブルオペレーティングシステムインターフェース(POSIX)コマンドのようなファイルシステムコマンドの受信を提供する。VFS508は、データ処理システム500に存在する、例えば、ディスク又はテープファイルシステムのようなファイルシステムの様々なコマンドをルーティングし、ディレクトリリスト、ファイル属性、ファイル内容のような情報をファイルシステムビューワや他のアプリケーションに返す。この例では、ファイルシステムコマンドは、VFS508によりLTFS502にルーティングされ、これが解釈し、実行し、これらのコマンドに応答する。LTFS502は、データ処理システム500とテープカートリッジ516を備えるテープ装置504との間の論理的および物理的な通信を容易にする、デバイスドライバ512とホストバスアダプタ514を介して、テープ装置504と通信する。
[0054] LTFS502が、メインメモリ518内のテープ内容のファイルインデックスとディレクトリを、ハードディスクドライブ520、フラッシュメモリ(図示せず)、及び/又は任意の他の記憶装置上に維持してもよい。LTFS502は、POSIXコマンドが処理されて実行されることにより、ファイル、ディレクトリだけでなく、インデックスも同じように、作成、読み出し、書き込み、更新することができる。LTFS502は、テープカットリッジ516上のファイルとその内容とインデックスとの一貫性を保っている。)

「[0056] In current systems, the physical position is managed inside tape device 504 and is not exposed to the operating system of a data processing system. Thus, in the illustrative embodiments, LTFS 502 obtains this information by sending a command along with the write of the file to the tape within tape cartridge 516 so that tape device 504 will return the longitudinal position of the file once the file is written to the tape within tape cartridge 516. This command may be in the form of a Small Computer System Interface (SCSI) command, a pass-through command, or any other suitable command, and may be passed through the main drive interface, or a secondary communication channel to the drive such as RS232, USB or Ethernet, or be communicated in various other ways. Thus, after tape device 504 writes the file to the tape within tape cartridge 516, tape device 504 passes longitudinal positions (LPOS) information associated with the file to LTFS 502. Tape device 504 may also pass information such as logical position, block number, data band number, wrap number, partition, file marks, and/or physical position. LTFS 502 then records the location information associated with the file information in the files index and directory of the tape's content to include the location information received from tape device 504. This information may be kept as part of the LTFS Index on tape, or using EAs for the file, or using other data structures, indexes, and/or files.
[0057] Since a file may comprise multiple extents, then a file may also have multiple longitudinal positions associated with the file. For example, each extent may be associated with one LPOS indicator such as its begin LPOS, or with two LPOS indicators, one for its begin LPOS and a second one for its end LPOS. Additionally, various points of reference in the file, including such points represented by their byte offset from the beginning of the file, may also be associated with the LPOS corresponding to the longitudinal location of those points on the tape. Additionally, if a file has already been written to the tape within tape cartridge 516 without the associated longitudinal position information been appended to the file information in file index, LTFS 502 may send a request to tape device 504 for the block numbers and longitudinal positions associated with the file. Once LTFS 502 captures the block numbers and longitudinal positions associated with a file, consequent requests for LPOS information do not require access to tape device 504 as the LPOS of a BN is determined when the block was written to the tape within tape cartridge 516 and does not change in future mounts and accesses of the tape within tape cartridge 516.
[0058] Finally, to create a graphical representation of the files on the tape within tape cartridge 516, tape graphical user interface (GUI) 510 uses the information stored by LTFS 502 in the LTFS Index about each file on the tape within tape cartridge 516 to render a graphical representation on display 522. This representation may be incorporated as part of the graphical user interface of file system viewer 506. For example, based on selected user preferences, tape GUI 510 may render a rectangle that represents the tape within tape cartridge 516 as well as a marker within the rectangle that represents the relative longitudinal position of the file on the tape within tape cartridge 516 in addition to providing a name of the file, a size of the file, a type of the file, created date, modified date, or the like. Tape GUI 510 may also render information such as logical position, block number, data band number, wrap number, partition, file marks, or physical position. In another example, in addition to providing the location of the file on the tape within tape cartridge 516, graphical user interface may provide a location of the read/write heads in relation to the tape within tape cartridge 516 as well as information on the estimated time it will take to access the specified file. The estimated time is based on the location of the read/write heads in relation to the longitudinal position of the file, a time it will take to arrive at the desired longitudinal position of the file, and the time it takes to change to the desired data band.」
(当審訳:[0056] 現在のシステムでは、物理的な位置は、テープ装置504内で管理され、データ処理システムのオペレーティングシステムには知らされない。よって、例示の実施形態では、LTFS502は、ファイルがテープカートリッジ516内のテープに一旦書き込まれると、テープ装置504は、ファイルの長手方向位置を返すよう、テープ・カートリッジ516内のテープへのファイルの書き込みに伴って、コマンドを送信することによりこの情報を取得する。このコマンドは、Small Computer System Interface(SCSI)コマンド、パススルーコマンド、または任意の他の適切なコマンドの形態をとることができ、メインドライブインターフェースを通過するか、または、RS232、USBやイーサネットのような二次通信チャネルを介して通信するか、または、さまざまな他の方法で通信することができる。こうして、テープ装置504は、テープ・カートリッジ516内のテープにファイルを書き込んだ後、テープ装置504は、ファイルに関連付けられた長手方向位置(LPOS)情報をLTFS502に出力する。テープ装置504は、論理的位置、ブロック番号、データバンド番号、ラップ番号、パーティション、ファイルマーク、及び/又は物理的な位置などの情報を渡すことができる。LTFS502は、ファイル情報に関連する位置情報を、テープ装置504から受信したロケーション情報を含めるために、テープ内容のファイルインデックス及びディレクトリに記録する。この情報は、テープのLTFSインデックスの一部として、またはファイルのEA、又は他のデータ構造、インデックス、及び/又はファイルを使用して保持されてもよい。
[0057] ファイルは、複数のエクステントを備えていてもよいので、ファイルはまた、ファイルに関連付けられた複数の長手方向位置を有することができる。例えば、各エクステントは、1つのLPOSインジケータ、すなわち、その開始LPOS、あるいは、2つのLPOS、すなわち、1つ目は開始LPOSインジケータ、2つ目は最終LPOSインジケータと関連付けることができる。さらに、ファイルの先頭からのオフセットのバイトで表されるような点を含むファイルの種々の参照点は、テープ上のこれらの点の長手方向位置に対応するLPOSに関連付けることができる。さらに、ファイルが、すでに、関連する長手方向位置情報がファイル・インデックス内のファイル情報に付加されていないテープカートリッジ516内のテープに書き込まれた場合、LTFS502は、ファイルに関連付けられているブロック番号、長手方向位置を、テープ装置504に要求することができる。LTFS502は、ファイルに対応付けられているブロック番号と長手方向位置を一旦得ると、ブロックがテープカートリッジ516内のテープに記録され、テープカートリッジ516内の将来のマウントおよびアクセスに変化がないときにには、BNのLPOSは決定されるので、その後のLPOS情報のリクエストは、テープ装置504へのアクセスを必要としない。
[0058] 最後に、テープカートリッジ516内のテープ上のファイルのグラフィカル表現を生成するため、テープグラフィカルユーザインタフェース(GUI)510は、、テープカートリッジ516内のテープ上の各ファイルについて、LTFS502によってLTFSインデックスに記憶された情報を使用し、ディスプレイ522上にグラフィカル表現をレンダリングする。この表現は、ファイルシステムビューワ506のグラフィカル・ユーザ・インタフェースの一部として組み込まれてもよい。例えば、選択されたユーザの好みに基づいて、テープGUI510は、テープ・カートリッジ516内のテープを表す矩形、及び、ファイル名、ファイルサイズ、ファイルタイプ、作成日、更新日等に加えて、テープカートリッジ516内のテープ上のファイルの相対的な長手方向位置を表す、矩形内のマーカを描画することができる。テープGUI(510)は、論理的位置、ブロック番号、データバンド番号、ラップ番号、パーティション、ファイルマーク、または物理的位置などの情報をレンダリングすることができる。別の例では、テープカートリッジ516内のテープ上のファイルの位置を提供するのに加えて、グラフィカル・ユーザ・インターフェースは、テープ・カートリッジ516内のテープに対する読取り/書込みヘッドの位置、及び、指定されたファイルにアクセスするのに要すると推定される予測時間の情報を提供することができる。予測時間は、ファイルの長手方向位置に対する読取り/書込みヘッドの位置に基づいて、ファイルの所望の長手位置に到達するのにかかる時間、および、所望のデータ・バンドに移動する際に要する時間である。)

上記下線部の記載によれば、引用文献1には、
「データを、固定又は可変サイズのブロック単位でリニア記憶テープに記憶するテープファイルシステムにおいて、
インターフェースは、テープファイルシステムのユーザに、ファイルを選択する前または後に、ファイルをオープンするのにかかる時間を知らせることができ、
テープのフォーマットは、5本のサーボバンド302の間に挟まれた4本のデータバンド300からなり、データは、同時に8または16トラックに書き込まれ、トラックは、データバンド全体にわたって均等に間隔を置いて配置され、同時に書込まれたトラックの集合を、「ラップ」といい、ラップはシーケンシャルに、各データバンドの頂部及び底部から各々順方向、逆方向に蛇行方式で、記録され、
テープ402は、読取り/書込みヘッド404を移動させながら、読取り/書込みヘッド404が、テープ402に、一定または可変のサイズの、連続的にブロック番号(BN)を番号付けられた、連続的な論理ブロック406で書き込み、読取/書込ヘッド404は、ラップ408に沿って、蛇行状にテープ402に、コンテンツを書き込み、テープ上の蛇行書き込みにより、任意のファイル(エクステントまたはブロック)は、テープ402上の任意の位置に配置することができ、
LPOSは、テープの始めで1つの整数値で開始し、テープの端部に向かってリニアに増加するテープの長手方向位置であり、
リニアテープ402上の論理ブロック406の物理的な位置は、論理ブロック406の、ラップ番号、先頭LPOSと最終LPOS、例えば、先頭LPS410と最終LPOS412によって、特徴付けることができ、
テープ402が動くと、テープ上の磁気ヘッドの相対位置は、LPOSにより測定され、
LTFS(linear tape file system)フォーマットは、インデックスパーティションとデータパーティションの2個のパーティションを有し、インデックスパーティションは、ファイルに関するファイルインデックスとメタデータとを格納するために使用され、LTFSインデックスは、ファイル名、ファイルサイズ、最終変更日付、および他のファイル・プロパティ情報のような、テープに記録されているファイルやディレクトリに関する情報を含み、
LTFSインデックスは、エクステントリストで表される、テープ上のファイルのコンテンツの所在情報を含み、
LTFSでは、各ファイルは、リニアテープ402上の1つ以上の論理ブロック406の連続的なシーケンスである、1つ又はそれ以上のエクステントを有することができ、エクステントは、その先頭ブロック番号及び終了ブロック番号で表されてもよく、
ファイルは、テープ上の既存のファイルにコンテンツを付加する、テープ上のファイルを変更するなどの理由で、複数のエクステントを有することができ、テープ402上のファイルに関する全ての情報は、テープ402上で、ファイル・インデックスに格納され、
ファイルが、複数のエクステントを備える場合、ファイルに関連付けられた複数のLPOSを有することができ、各エクステントは、2つのLPOS、すなわち、1つ目は開始LPOSインジケータ、2つ目は最終LPOSインジケータと関連付けることができ、
テープ装置504は、テープ・カートリッジ516内のテープにファイルを書き込んだ後、ファイルに関連付けられたLPOS情報をLTFS502に出力し、論理的位置、ブロック番号、データバンド番号、ラップ番号、パーティション、ファイルマーク、及び/又は物理的な位置などの情報を渡すことができ、
LTFS502は、ファイル情報に関連する位置情報を、テープ装置504から受信したロケーション情報を含めるために、テープ内容のファイルインデックス及びディレクトリに記録し、
テープカートリッジ516内のテープ上のファイルの位置を提供するのに加えて、グラフィカル・ユーザ・インターフェースは、テープ・カートリッジ516内のテープに対する読取り/書込みヘッドの位置、及び、指定されたファイルにアクセスするのに要すると推定される予測時間の情報を提供することができ、予測時間は、ファイルの長手方向位置に対する読取り/書込みヘッドの位置に基づいて、ファイルの所望の長手位置に到達するのにかかる時間、および、所望のデータ・バンドに移動する際に要する時間である、
テープファイルシステム。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

2 引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次のとおりの記載がある。
「[0042] 第1待ち時間予測部325は、キュー・テーブル315への要求Xの格納に応答して、キュー・テーブル315内に格納されている全要求の考え得る全実行順のそれぞれについて、該実行順で処理した場合の各要求についての待ち時間を予測する。ここで、待ち時間とは、要求受付部305による要求Xの受け付けから要求Xのライブラリ・システム115における処理の完了までの時間を意味する。このような要求Xの待ち時間T X は、次の式により表すことができる。
T_(X) =W_(X) (o)+A_(X) (p、n) -(1)
[0043] 式(1)において、W_(X) (o)は、要求受付部305において要求Xが受け付けられてから要求Xの処理が開始されるまでの、開始前待ち時間を表す。W_(X) (o)は、キュー・テーブル315に格納されている全要求の処理順に依存する関数である。また、A_(X)(p、n)は、要求Xの処理が開始されてから終了するまでの処理所要時間を表す。A_(X)(p、n)は、直前及び直後に処理される要求に依存する関数である。処理所要時間を表すA_(X)(p、n)はまた、次の式により表すことができる。
A_(X)(p、n)=L_(X)(p)+S_(X)(p)+C_(X)+R_(X)(n)+U_(X)(n) -(2)
[0044] L_(X)(p)は、要求Xが対象とするデータを記録するメディア、即ちテープ・カートリッジ145をテープ・ドライブ装置135にロードするのに必要なロード時間を表す。ロード時間は、厳密にはテープ・カートリッジ145の格納場所とテープ・ドライブ装置135の物理的な位置関係に依存すると考えられる。しかし、テープドライブ装置135がテープ・カートリッジ145をアンロードしている間に、アクセス機構140が次に使用するテープ・カートリッジ145をテープドライブ装置135のすぐ傍に移動させるライブラリ・システム115の下では、違いはない。本実施例ではL_(X)(p)は、予め定めたロード時間、例えば10秒とする。但し、要求Xが対象とするデータが、直前に処理される要求と同じテープ・カートリッジ145に記録されている場合、テープ・カートリッジ145をロードする必要はないため、L_(X)(p)は0となる。以上のようにL_(X)(p)は、直前に処理される要求に依存する関数である。
[0045] S_(X)(p)は、要求Xが対象とするデータの読出し開始位置にテープを移動させるのに必要な位置合わせ時間を表す。S_(X)(p)は、テープの先頭から要求Xが対象とするデータの読出し開始位置までのテープの長さを、テープの移動速度で割ることにより求められる。テープの移動速度は、デフォルト設定されているテープの移動速度(例えば、10m/sec)を利用できる。但し、要求Xが対象とするデータが、直前に処理される要求と同じテープ・カートリッジ145に記録されている場合、関数S_(X)(p)は、直前の要求のデータの読出し終了位置から、要求Xが対象とするデータの読出し開始位置までのテープの長さを、テープの移動速度で割ることにより求められる。以上のようにS_(X)(p)は、直前に処理される要求に依存する関数である。
[0046] C_(X)は、上述した、目的のデータの読出しに実際にかかる実行時間を表す。R_(X)(n)は、目的のデータの読出し終了後に、テープをその先頭まで巻き戻すのに必要な巻き戻し時間を表す。R_(X)(n)は、要求Xが対象とするデータの読出し終了位置からテープの先頭からまでのテープの長さを、テープの移動速度で割ることにより求められる。テープの移動速度は、上述したようにデフォルト設定されているテープの移動速度(例えば、10m/sec)を利用できる。但し、要求Xが対象とするデータが、直後に処理される要求と同じテープ・カートリッジ145に記録されている場合、テープの巻き戻しは必要ないため、R_(X)(n)は0となる。以上のようにR_(X)(p)は、直後に処理される要求に依存する関数である。」

上記下線部の記載によれば、引用文献2には、「テープに格納されたデータを読み出す時間は、データの読出し開始位置にテープを移動させるのに必要な位置合わせ時間と、目的のデータの読出しに実際に係る実行時間とを含む。」という技術的事項(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されているいえる。


第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明の「ファイルをオープンするのにかかる時間を知らせる」「テープファイルシステム」と、本願発明1の「ファイルの読み出しにかかる時間を提供する情報提供システム」とは、いずれも、「ファイルの読み出しに関する時間を提供する情報提供システム」である点で共通する。

引用発明の「テープ装置504は、テープ・カートリッジ516内のテープにファイルを書き込んだ後、ファイルに関連付けられたLPOS情報をLTFS502に出力し、論理的位置、ブロック番号、データバンド番号、ラップ番号、パーティション、ファイルマーク、及び/又は物理的な位置などの情報を渡」し、「LTFS502は、ファイル情報に関連する位置情報を、テープ装置504から受信したロケーション情報を含めるために、テープ内容のファイルインデックス及びディレクトリに記録」する構成は、本願発明1の「記憶装置にファイルを記録した際、該ファイルの記録位置の情報を取得する取得手段」に相当する。

引用発明の「グラフィカル・ユーザ・インターフェースは、テープ・カートリッジ516内のテープに対する読取り/書込みヘッドの位置、及び、指定されたファイルにアクセスするのに要すると推定される予測時間の情報を提供することができ、予測時間は、ファイルの長手方向位置に対する読取り/書込みヘッドの位置に基づいて、ファイルの所望の長手位置に到達するのにかかる時間、および、所望のデータ・バンドに移動する際に要する時間である」構成において、「指定されたファイル」の「所望の長手位置」は、「ファイルインデックス及びディレクトリ」に記録された「ファイル情報に関連する位置情報」のことであることは明らかであるから、「予測時間は、」「ファイルインデックス及びディレクトリ」に記録された「ファイル情報に関連する位置情報」と「テープに対する読取り/書込みヘッドの位置」とに基づいて計算されるものである。
そうすると、引用発明の「グラフィカル・ユーザ・インターフェースは、テープ・カートリッジ516内のテープに対する読取り/書込みヘッドの位置、及び、指定されたファイルにアクセスするのに要すると推定される予測時間の情報を提供することができ、予測時間は、ファイルの長手方向位置に対する読取り/書込みヘッドの位置に基づいて、ファイルの所望の長手位置に到達するのにかかる時間、および、所望のデータ・バンドに移動する際に要する時間である」構成と、本願発明1の「前記ファイルの読み出しにかかる時間の取得要求を受けて、前記インデックスに書き込まれた前記記録位置の情報を使用して該時間を計算し、前記ファイルの読み出しに係る時間を要求する要求元へ計算した該時間を提供する計算手段」とは、いずれも、「前記ファイルの読み出しに関する時間について、前記インデックスに書き込まれた前記記録位置の情報を使用して該時間を計算し、前記ファイルの読み出しに関する時間を提供する計算手段」である点で共通する。

引用発明の「テープのフォーマットは、5本のサーボバンド302の間に挟まれた4本のデータバンド300からなり、データは、同時に8または16トラックに書き込まれ、トラックは、データバンド全体にわたって均等に間隔を置いて配置され、同時に書込まれたトラックの集合を、「ラップ」といい、ラップはシーケンシャルに、各データバンドの頂部及び底部から各々順方向、逆方向に蛇行方式で、記録され」る「テープ」は、本願発明1の「前記記憶装置は、長手方向の一端と他端との間を、該長手方向に垂直な幅方向の位置に応じて記録方向を変えて記録される磁気テープ媒体であ」ることに相当する。

引用発明において、ファイルは、複数のエクステントを備えてもよく、複数のエクステントは、連続する必要はないから、引用発明の「ファイルは、テープ上の既存のファイルにコンテンツを付加する、テープ上のファイルを変更するなどの理由で、複数のエクステントを有することができ、テープ402上のファイルに関する全ての情報は、テープ402上で、ファイル・インデックスに格納され」、「テープ上の蛇行書き込みにより、任意のファイル(エクステントまたはブロック)は、テープ402上の任意の位置に配置することができ」ることは、本願発明1の「前記ファイルは、第1のデータと、前記第1のデータに追記され、該第1のデータが記録される前記磁気テープ媒体上のブロックから離れた別のブロックに記録される1以上の第2のデータとを含」むことに相当する。

引用発明において、LPOSは、長手方向の記録位置の情報、ラップ番号は、幅方向の記録位置の情報であるから、引用発明の「ファイルは、テープ上の既存のファイルにコンテンツを付加する、テープ上のファイルを変更するなどの理由で、複数のエクステントを有することができ、テープ402上のファイルに関する全ての情報は、テープ402上で、ファイル・インデックスに格納され、ファイルが、複数のエクステントを備える場合、ファイルに関連付けられた複数のLPOSを有することができ、各エクステントは、2つのLPOS、すなわち、1つ目は開始LPOSインジケータ、2つ目は最終LPOSインジケータと関連付けることができ、テープ装置504は、テープ・カートリッジ516内のテープにファイルを書き込んだ後、ファイルに関連付けられたLPOS情報をLTFS502に出力し、論理的位置、ブロック番号、データバンド番号、ラップ番号、パーティション、ファイルマーク、及び/又は物理的な位置などの情報を渡すことができ、LTFS502は、ファイル情報に関連する位置情報を、テープ装置504から受信したロケーション情報を含めるために、テープ内容のファイルインデックス及びディレクトリに記録」することは、本願発明1の「前記取得手段は、前記ファイルを前記磁気テープ媒体に記録するテープ・ドライブ装置から、該ファイルの記録位置の情報として、前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記長手方向のデータの記録開始位置および記録終了位置と、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の情報とを取得し、前記記録手段は、前記インデックスに前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々の記録開始位置および記録終了位置の情報を書き込」むことと、「前記取得手段は、前記ファイルを前記磁気テープ媒体に記録するテープ・ドライブ装置から、該ファイルの記録位置の情報として、前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記長手方向のデータの記録開始位置および記録終了位置と、前記幅方向のデータの記録位置の情報とを取得し、前記記録手段は、前記インデックスに前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々の記録開始位置および記録終了位置の情報を書き込」む点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「ファイルの読み出しに関する時間を提供する情報提供システムであって、
記憶装置にファイルを記録した際、該ファイルの記録位置の情報を取得する取得手段と、
取得された前記記録位置の情報を、前記ファイルにアクセスするために参照されるインデックスに書き込む記録手段と、
前記ファイルの読み出しに関する時間について、前記インデックスに書き込まれた前記記録位置の情報を使用して該時間を計算し、前記ファイルの読み出しに関する時間を提供する計算手段とを含み、
前記記憶装置は、長手方向の一端と他端との間を、該長手方向に垂直な幅方向の位置に応じて記録方向を変えて記録される磁気テープ媒体であり、
前記ファイルは、第1のデータと、前記第1のデータに追記され、該第1のデータが記録される前記磁気テープ媒体上のブロックから離れた別のブロックに記録される1以上の第2のデータとを含み、
前記取得手段は、前記ファイルを前記磁気テープ媒体に記録するテープ・ドライブ装置から、該ファイルの記録位置の情報として、前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記長手方向のデータの記録開始位置および記録終了位置と、前記幅方向のデータの記録位置の情報とを取得し、
前記記録手段は、前記インデックスに前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々の記録開始位置および記録終了位置の情報を書き込む、情報提供システム。」

[相違点]
(相違点1)「ファイルの読み出しに関する時間」が、本願発明1では、「ファイルの読み出しにかかる時間」であるのに対し、引用発明では、「ファイルをオープンするのにかかる時間」である点。
(相違点2)「ファイルの読み出しに関する時間」の提供が、本願発明1では、「取得要求を受けて」「要求する要求元」に提供するのに対して、引用発明では、取得要求については特定のない点。
(相違点3)「取得手段は、前記ファイルを前記磁気テープ媒体に記録するテープ・ドライブ装置から、該ファイルの記録位置の情報として、前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、」取得する情報が、本願発明1では、「前記長手方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の情報」と「前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の情報」とであるのに対し、引用発明では、「前記長手方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の情報と、前記幅方向のデータの記録位置の情報」とを取得しているものの、「幅方向のデータの記録位置」について、「記録開始位置及び記録終了位置」との特定のない点。
(相違点4)「計算手段」が、本願発明1では、「前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の関数を含む計算式を用いて計算した各データの読み出しにかかる時間を加算して、該ファイルの読み出しにかかる時間を計算する」のに対し、引用発明では、「ファイルの長手方向位置に対する読取り/書込みヘッドの位置に基づいて、ファイルの所望の長手位置に到達するのにかかる時間、および、所望のデータ・バンドに移動する際に要する時間」を「指定されたファイルにアクセスするのに要すると推定される予測時間」としている点。

(2)相違点についての判断
上記相違点4について検討する。
上記「第5 引用文献、引用発明等」、「2 引用文献2について」に記載のとおり、引用文献2には、「テープに格納されたデータを読み出す時間は、データの読出し開始位置にテープを移動させるのに必要な位置合わせ時間と、目的のデータの読出しに実際に係る実行時間とを含む。」という技術的事項が記載されている。
しかしながら、目的のデータの読み出しに実際に係る実行時間を具体的にどのように計算するかは、引用文献1,2には、記載も示唆もされておらず、当業者といえども、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項から、相違点4に係る本願発明1の「前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の関数を含む計算式を用いて計算した各データの読み出しにかかる時間を加算して、該ファイルの読み出しにかかる時間を計算する」という構成を、容易に想到することはできない。
したがって、上記相違点1?3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?5について
請求項2?5は、本願発明1に従属する請求項であり、本願発明1の「前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の関数を含む計算式を用いて計算した各データの読み出しにかかる時間を加算して、該ファイルの読み出しにかかる時間を計算する」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明2?5は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明6について
本願発明6は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の関数を含む計算式を用いて計算した各データの読み出しにかかる時間を加算して、該ファイルの読み出しにかかる時間を計算する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本願発明7?10について
請求項7?10は、請求項6に従属する請求項であり、本願発明6の「前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の関数を含む計算式を用いて計算した各データの読み出しにかかる時間を加算して、該ファイルの読み出しにかかる時間を計算する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明7?10は、本願発明6と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

5 本願発明11について
本願発明11は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の「前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の関数を含む計算式を用いて計算した各データの読み出しにかかる時間を加算して、該ファイルの読み出しにかかる時間を計算する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

6 本願発明12?15について
請求項12?15は、請求項11に従属する請求項であり、本願発明11の「前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の関数を含む計算式を用いて計算した各データの読み出しにかかる時間を加算して、該ファイルの読み出しにかかる時間を計算する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明12?15は、本願発明11と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。


第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-15は「前記第1のデータおよび前記1以上の第2のデータの各々につき、前記幅方向のデータの記録開始位置および記録終了位置の関数を含む計算式を用いて計算した各データの読み出しにかかる時間を加算して、該ファイルの読み出しにかかる時間を計算する」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1,2に記載された発明に基づいて、容易に発明することができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-09-28 
出願番号 特願2014-234793(P2014-234793)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 575- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田名網 忠雄田中 啓介  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 千葉 輝久
高瀬 勤
発明の名称 情報提供システム、情報提供方法およびプログラム  
代理人 上野 剛史  
復代理人 間山 進也  
代理人 太佐 種一  

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