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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02B
管理番号 1333011
審判番号 不服2015-18732  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-16 
確定日 2017-10-04 
事件の表示 特願2013-510195「排気ガスターボチャージャ」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月17日国際公開、WO2011/143079、平成25年 6月24日国内公表、特表2013-526672〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、2011年5月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年5月14日、ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成24年10月19日に国内書面が提出され、平成26年8月15日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成26年11月17日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年6月5日付けで拒絶査定がされ、平成27年10月16日に拒絶査定不服審判が請求され、当審において平成28年7月22日付けで拒絶理由が通知され、平成28年10月24日に意見書及び手続補正書が提出され、当審においてさらに平成28年12月1日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成29年3月3日に意見書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 本件発明
本件出願の請求項1ないし11に係る発明は、平成24年10月19日に提出された国内書面により提出された明細書の翻訳文、平成29年3月3日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲及び平成24年10月19日に提出された国内書面により提出された図面の翻訳文(以下、「本件明細書等」ともいう。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】
排気ガスターボチャージャ(1)であって、
-コンプレッサ(2)を有し、
-タービン(3)を有し、
-軸受ハウジング(4)であって、
-一方の端部で前記コンプレッサ(2)に接続され、他方のタービン側端部(5)で前記タービン(3)に接続され、
-前記タービン側端部(5)にオイル収集チャンバ(6)を有し、
-ロータシャフト(8)用のすべり軸受装置(7)を有する軸受ハウジング(4)を有し、
・前記すべり軸受装置が、内側軸受面と外周面とを有するコンプレッサ側軸受ブッシュ(9)を備え、
・また前記コンプレッサ側軸受ブッシュ(9)から軸方向に間隔を空けられ、かつ内側軸受面(11)と外周面(12)とを有するタービン側軸受ブッシュ(10)を備え、
-前記コンプレッサ側軸受ブッシュ(9)と、前記タービン側軸受ブッシュ(10)とが異なる設計であり、
-前記タービン側軸受ブッシュ(10)が前記オイル収集チャンバ(6)の領域に延在し、
前記内側軸受面(11)が、2つの間隔を空けた軸受面領域(13、14)に分割され、
前記軸受面領域(13、14)が、半径方向外側に凹設された隙間(15)によって互いに分離され、
前記タービン側軸受ブッシュ(10)が、肩部(16)によって2つの外周面領域(17、18)に分割された外周面(12)を有する非対称の設計であり、
前記タービン側軸受ブッシュ(10)の軸方向延長のために前記オイル収集チャンバ(6)が利用される、
排気ガスターボチャージャ(1)。」

第3 引用文献
1 引用文献1
(1) 引用文献1の記載
本願の優先日前に頒布され、当審の拒絶理由において引用された特開昭57-157817号公報(以下、「引用文献1」という。)には、ターボチヤージヤのスラスト軸受機構に関し、図面とともに次の記載がある。

ア 「従来の一般周知なものとしては、第1図に示す如く、ターボチヤージヤ10はエンジン燃焼ガスの排気通路の排気入口11と排気出口12間に位置したタービンホイール13を一方側に装着した回転軸14の他方側にはエンジン吸気通路の空気入口15と加圧空気出口16間に位置したコンプレツサホイール17を装着し、排気通路の排気圧にてタービンホイール18を回転させ、この回転を軸14を介してコンプレツサホイール17に伝え、コンプレツサホイール17の作動にてエンジン吸気を加圧するものである。」(第1ページ左下欄19行ないし右下欄10行)

イ 「本発明に係るターボチヤージヤ40はエンジン燃焼ガスの排気通路の排気入口41と排気出口42間に位置したタービンホイール43を一方側に装着した回転軸44の他方側にはエンジン吸気通路の空気入口45と加圧空気出口46間に位置したコンプレツサホイール47が装着されている。回転軸44には軸方向にスペーサ48を介在させてラジアル軸受49・50を並置し、タービンホイール48側に位置するラジアル軸受49は、オイル通路51・52・58を介してオイルにて強制潤滑される。」(第2ページ左下欄16行ないし右下欄6行)

ウ 「54は潤滑したオイルをオイルパン(図示略)へ送出する排出口を示す。コンプレツサホイール47側に配置したラジアル軸受50は、オイルにて強制潤滑する必要のない無潤滑型式としたもので、後述のスラスト軸受と同一の材質にて形成すれば足りるものである。」(第2ページ右下欄6ないし12行)

エ 「55は回転軸14のコンプレツサホイール47側に配置したスラスト軸受であり、このスラスト軸受55は170〔℃〕の耐熱性とPV値が30〔kg/cm^(2)・m/s〕以上の耐摩耗性を有する材料即ち(中略)芳香族ポリアミドの合成樹脂あるいはオイルを含浸した焼結金属から成る軸受材料にて形成すればオイルにて強制潤滑することなく、無潤滑にてスラスト軸受55の焼損を防止できるものである。スラスト軸受55はテーパ状のスナツプリング56にて固定側即ちケーシング57に対して固定されるとともに、(後略)」(第2ページ右下欄12行ないし第3ページ左上欄4行)

(2) 引用文献1記載の事項
上記(1)アないしエ及び第2図の記載から、次のことが分かる。

サ 上記(1)ア及びイ並びに第2図の記載から、引用文献1には、コンプレツサホイール47、タービンホイール43、ケーシング57を備え、排気ガスでタービンを回転させることでコンプレツサホイールを作動させて加圧空気をエンジンに送り込む、即ち排気ガス式のターボチヤージヤ40が記載されていることが分かる。

シ 上記(1)イ及びエ並びに第2図の記載から、引用文献1記載のターボチヤージヤ40において、ケーシング57は、ラジアル軸受49、50、スラスト軸受55及びスナツプリング56が配置される部材を有することが分かる。

ス 上記(1)イ及びエ並びに第2図の記載から、引用文献1記載のターボチヤージヤ40において、ケーシング57におけるラジアル軸受49、50、スラスト軸受55及びスナツプリング56が配置される部材の、エンジン給気通路の空気入口45及び加圧空気出口46側の端部にコンプレツサホイール47が配設され、エンジン燃焼ガスの排気通路の排気入口41及び排気出口42側の端部にタービンホイール43が配設され、さらに回転軸44を支えるラジアル軸受49及び50が、軸方向にスペーサ48を介して並置されていることが分かる。

セ 上記(1)ウ及び第2図の記載から、ケーシング57におけるラジアル軸受49、50、スラスト軸受55及びスナツプリング56が配置される部位には、オイルの排出口54と連通する空間が形成されることが分かる。

ソ 上記(1)イないしエの記載から、ラジアル軸受49はオイルで強制潤滑される軸受であり、ラジアル軸受50はオイルを含浸した焼結材料又は樹脂材料からなる軸受であることが分かる。そうすると、引用文献1記載のターボチヤージヤ40の備えるラジアル軸受49はオイルにて強制潤滑される設計のすべり軸受であり、ラジアル軸受50は強制潤滑されない設計のすべり軸受であること、すなわち、ラジアル軸受49とラジアル軸受50とが異なる設計のすべり軸受であることが分かる。

タ 第2図において、引用文献1記載のターボチヤージヤ40の備えるラジアル軸受49は、オイルの排出口54に連通するラジアル軸受49の近傍の空間に少なからず延在することが看取できる。

チ 第2図において、ラジアル軸受49及び50は、内周面で軸を受けること及び外周面を備えることが看取できる。

(3) 引用発明
上記(1)及び(2)並びに第2図から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「排気ガス式のターボチヤージヤ40であって、
エンジン吸気通路の空気入口45、加圧空気出口46及びエンジン吸気通路の空気入口45と加圧空気出口46間に位置したコンプレツサホイール47を有し、
エンジン燃焼ガスの排気通路の排気入口41、排気出口42及び排気入口41と排気出口42間に位置したタービンホイール43を有し、
ケーシング57におけるラジアル軸受49、50、スラスト軸受55及びスナツプリング56が配置される部材であって、
一方の端部で前記エンジン吸気通路の空気入口45、加圧空気出口46及び空気入口45と加圧空気出口46間に位置したコンプレツサホイール47に接続され、他方の端部で前記エンジン燃焼ガスの排気通路の排気入口41、排気出口42及び排気入口41と排気出口42間に位置したタービンホイール43に接続され、
前記他方の端部にオイルの排出口54と連通するラジアル軸受49の近傍の空間を有し、
回転軸44用のラジアル軸受49及び50を有する、ケーシング57におけるラジアル軸受49、50、スラスト軸受55及びスナツプリング56が配置される部材を有し、
前記ラジアル軸受49及び50が、内側の軸受面と外周面とを有するコンプレツサ側のラジアル軸受50を備え、
また、前記コンプレツサ側のラジアル軸受50から軸方向にスペーサを介してかつ内側の軸受面及び外周面とを有するラジアル軸受49を備え、
前記ラジアル軸受50はオイルにて強制潤滑されない設計のすべり軸受であり、前記ラジアル軸受49はオイルにて強制潤滑される設計のすべり軸受であり、
前記ラジアル軸受49がオイルの排出口54に連通するラジアル軸受49の近傍の空間に延在する、
排気ガス式のターボチヤージヤ40。」

2 引用文献2
本願の優先日前に頒布され、当審の拒絶理由において引用された特開2002-194403号公報(以下、「引用文献2」という。)の段落【0002】及び【0018】ないし【0021】並びに図4(ヌ)ないし(ヲ)及び図5の記載からみて、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認める。

<引用文献2記載技術>
「内側の軸受部が、2つの間隔を空けた内周上端と下端に分割され、軸受部の内周上端と下端は中間の逃げ部によって分離され、外径の中間と下部との間に形成された段差により、2つの領域に分割された外周面を有する設計のターボチャージャ用軸受ブッシュ。」

第3 対比
本件発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「ターボチヤージヤ40」は、その構成、機能又は技術的意義からみて本件発明の「ターボチャージャ(1)」に相当し、以下同様に、「エンジン吸気通路の空気入口45、加圧空気出口46及びエンジン吸気通路の空気入口45と加圧空気出口46間に位置したコンプレツサホイール47」は「コンプレッサ(2)」に、「エンジン燃焼ガスの排気通路の排気入口41、排気出口42及び排気入口41と排気出口42間に位置したタービンホイール43」は「タービン(3)」に、「ケーシング57におけるラジアル軸受49、50、スラスト軸受55及びスナツプリング56が配置される部材」は「軸受ハウジング(4)」に、「一方の端部」は「一方の端部」に、「接続され」は「接続され」に、「他方の端部」は「タービン側端部(5)」に、「回転軸44」は「ロータシャフト(8)」に、「ラジアル軸受49及び50」は「すべり軸受装置(7)」に、「ラジアル軸受50」は「コンプレッサ側軸受ブッシュ(9)」に、「ラジアル軸受49」は「タービン側軸受ブッシュ(10)」に相当する。
また、引用発明において「前記ラジアル軸受49及び50が、内側の軸受面と外周面とを有するコンプレツサ側のラジアル軸受50を備え、
また、前記コンプレツサ側のラジアル軸受50から軸方向にスペーサを介してかつ内側の軸受面及び外周面とを有するラジアル軸受49を備え」ることは、本件発明において「前記すべり軸受装置が、内側軸受面と外周面とを有するコンプレッサ側軸受ブッシュ(9)を備え、
また前記コンプレッサ側軸受ブッシュ(9)から軸方向に間隔を空けられ、かつ内側軸受面(11)と外周面(12)とを有するタービン側軸受ブッシュ(10)を備え」ることに相当する。
そして、引用発明において、「前記ラジアル軸受50はオイルにて強制潤滑されない設計のすべり軸受であり、前記ラジアル軸受49はオイルにて強制潤滑される設計のすべり軸受」であることは、本件発明において「前記コンプレッサ側軸受ブッシュ(9)と、前記タービン側軸受ブッシュ(10)とが異なる設計」であることに相当する。
さらに、「空間」という限りにおいて、引用発明における「オイルの排出口54と連通するラジアル軸受49の近傍の空間」は「オイル収集チャンバ」に相当し、「タービン側軸受ブッシュが空間の領域に延在」するという限りにおいて、引用発明において「前記ラジアル軸受49がオイルの排出口54に連通するラジアル軸受49の近傍の空間に延在する」ことは引用発明において「前記タービン側軸受ブッシュ(10)が前記オイル収集チャンバ(6)の領域に延在し」に相当する。

してみると、本件発明と引用発明は、「排気ガスターボチャージャであって、
-コンプレッサを有し、
-タービンを有し、
-軸受ハウジングであって、
-一方の端部で前記コンプレッサに接続され、他方のタービン側端部で前記タービンに接続され、
-前記タービン側端部に空間を有し、
-ロータシャフト用のすべり軸受装置を有する軸受ハウジングを有し、
・前記すべり軸受装置が、内側軸受面と外周面とを有するコンプレッサ側軸受ブッシュを備え、
・また前記コンプレッサ側軸受ブッシュから軸方向に間隔を空けられ、かつ内側軸受面と外周面とを有するタービン側軸受ブッシュを備え、
-前記コンプレッサ側軸受ブッシュと、前記タービン側軸受ブッシュ
とが異なる設計であり、
-前記タービン側軸受ブッシュが空間の領域に延在する、
排気ガスターボチャージャ。」という点で一致し、以下の点で相違又は一応相違する。

<相違点1-1>
「空間」に関し、本件発明においては、軸受ハウジング(4)のタービン側軸受端部(5)に「オイル収集チャンバ(6)」を有するのに対し、引用発明においては、ケーシング57におけるラジアル軸受49、50、スラスト軸受55及びスナッツプリング56が配置される部材の他方の端部に「オイルの排出口54と連通するラジアル軸受49の近傍の空間」を有する点(以下、「相違点1-1」という。)。

<相違点1-2>
「前記タービン側軸受ブッシュが空間の領域に延在する」ことに関し、本件発明においては「前記タービン側軸受ブッシュ(10)が前記オイル収集チャンバ(6)の領域に延在」するのに対し、引用発明においては「前記ラジアル軸受49がオイルの排出口54に連通するラジアル軸受49の近傍の空間に延在」する点(以下、「相違点1-2」という。)。

<相違点2>
本件発明においては、タービン側軸受ブッシュ(10)が「前記内側軸受面(11)が、2つの間隔を空けた軸受面領域(13、14)に分割され、
前記軸受面領域(13、14)が、半径方向外側に凹設された隙間(15)によって互いに分離され、
前記タービン側軸受ブッシュ(10)が、肩部(16)によって2つの外周面領域(17、18)に分割された外周面(12)を有する非対称の設計」であるのに対し、引用発明においてはラジアル軸受49の設計が明示されていない点(以下、「相違点2」という。)。

<相違点3>
本件発明においては「前記タービン側軸受ブッシュ(10)の軸方向延長のために前記オイル収集チャンバ(6)が利用される」のに対し、引用発明においてはラジアル軸受49の軸方向延長のためにオイルの排出口54と連通するラジアル軸受49の近傍の空間を利用しているか否か明らかでない点(以下、「相違点3」という。)。

第4 判断
上記各相違点について検討する。

1 相違点1-1についての検討
例えば特開2004-68820号公報(特に、段落【0013】、【0014】、【0017】、【0018】、【0027】及び【0030】並びに図2及び3参照。)に記載されたオイル戻り溝28及び実願平1-66102号(実開平3-6029号)のマイクロフィルム(特に、明細書第7ページ19行ないし第8ページ5行及び第1図)に記載された凹部23などに示されるように、ターボチャージャのシャフト周囲にオイル収集チャンバを設けることは技術常識である。
してみると、引用発明におけるオイルの排出口54に連通するラジアル軸受49の近傍の空間も潤滑済みのオイルを収集する機能を備える空間、すなわちオイル収集チャンバであるといえる。
そうすると、技術常識を考慮すれば、引用発明における「オイルの排出口54に連通するラジアル軸受49の近傍の空間」は本件発明における「オイル収集チャンバ」に相当するといえるから、相違点1-1は実質的な相違点ではない。

2 相違点1-2についての検討
上記(1)における相違点1-1についての検討を踏まえると、引用発明における「オイルの排出口54に連通するラジアル軸受49の近傍の空間」は本件発明における「オイル収集チャンバ」に相当するといえるから、引用発明において「前記ラジアル軸受49がオイルの排出口54に連通するラジアル軸受49の近傍の空間に延在」することは本件発明において「前記タービン側軸受ブッシュ(10)が前記オイル収集チャンバ(6)の領域に延在」することに相当するといえる。
そうすると、相違点1-2は実質的な相違点ではない。

3 相違点2についての検討
循環されるオイルで潤滑されるターボチャージャ用軸受ブッシュという、本件発明におけるタービン側軸受ブッシュ及び引用発明におけるラジアル軸受49と共通の技術分野に属し、ターボチャージャの軸を支えるという共通の機能を有する引用文献2記載技術と、相違点2に係る本件発明の発明特定事項とを対応させると、引用文献2記載技術において「内側の軸受部が、2つの間隔を空けた内周上端と下端に分割され」ることは、その構成、機能又は技術的な意義からみて、相違点2に係る本件発明特定事項において「内側軸受面(11)が、2つの間隔を空けた軸受面領域(13、14)に分割され」ることに対応し、以下同様に、「軸受部の内周上端と下端は中間の逃げ部によって分離され、」ることは「前記軸受面領域(13、14)が、半径方向外側に凹設された隙間(15)によって互いに分離され」ることに、ターボチャージャ用軸受ブッシュが「外径の中間と下部との間に形成された段差により、2つの領域に分割された外周面を有する」非対称の設計であることは「前記タービン側軸受ブッシュ(10)が、肩部(16)によって2つの外周面領域(17、18)に分割された外周面(12)を有する非対称の設計」であることに対応する。
そうすると、引用文献2記載技術を本件発明の用語に倣って整理すると、引用文献2記載技術は
「内側軸受面が、2つの間隔を空けた軸受面領域に分割され、前記軸受面領域が、半径方向外側に凹設された隙間によって互いに分離され、前記タービン側軸受ブッシュが、肩部によって2つの外周面領域に分割された外周面を有する非対称の設計のターボチャージャ用軸受ブッシュ。」であるといえる。

そして、引用発明においては、ラジアル軸受49の形状設計について特段の制限を受けるものではないから、その形状設計は適宜な設計を採用し得るものである。
したがって、引用発明に引用文献2記載技術を適用し、ラジアル軸受49の形状設計を引用文献2記載技術のものとして相違点2に係る本件発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

4 相違点3についての検討
引用文献1において、従来の一般周知なターボチャージャを示すとされる第1図と引用発明に係るターボチャージャを示す第2図とを比較すると、第2図においてはタービン側に配置されるラジアル軸受のタービン側端部が、オイル収集チャンバに少なからず延在していることが看取できる。
してみると、引用文献1は、従来の一般周知なターボチャージャにおけるタービン側のラジアル軸受のタービン側の端部の位置が、オイル収集チャンバ内に延在するよう設計を改良したものともいえるから、引用発明は、その限りにおいて、タービン側に配置されるラジアル軸受のタービン側の端部をオイル収集チャンバに延在させることをも開示しているといえる。
そこで検討するに、引用発明において、ラジアル軸受49の端部をオイル収集チャンバに延在させるのは、軸受全体をタービン側へ移設するためにラジアル軸受49のタービン側端部をオイル収集チャンバ内に延在させるか、或いはラジアル軸受49の軸方向長を延伸するためにラジアル軸受49のタービン側端部をオイル収集チャンバ内に延在させるかのいずれかであることは明らかであるところ、ラジアル軸受49の端部がオイル収集チャンバに少なからず延在していることが明らかな引用発明に接した当業者であれば、引用発明がそのいずれかを目的としていることを認識するといえる。
してみると、ラジアル軸受49の端部がオイル収集チャンバに少なからず延在していることが明らかな引用発明において、ラジアル軸受49の軸方向長を延伸させるためにオイル収集チャンバ内に端部を延在させるようにして相違点4に係る本願発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本件発明は、全体としてみても、引用発明及び引用文献2記載技術から当業者が予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

よって、本件発明は、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 まとめ
以上のとおり、本件発明は、引用発明及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第6 むすび
上記第5のとおり、本件発明は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本件出願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-08 
結審通知日 2017-05-09 
審決日 2017-05-22 
出願番号 特願2013-510195(P2013-510195)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 寺川 ゆりか  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 三島木 英宏
金澤 俊郎
発明の名称 排気ガスターボチャージャ  
代理人 大賀 眞司  
代理人 百本 宏之  
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