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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61C
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61C
管理番号 1333039
審判番号 不服2015-21478  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-03 
確定日 2017-10-03 
事件の表示 特願2012-541332号「CAD/CAMによる個々の義歯の製造およびデジタル印象データからのラピッドマニュファクチャリング/ラピッドプロトタイピング」拒絶査定不服審判事件〔平成23年6月9日国際公開、WO2011/066895、平成25年4月18日国内公表、特表2013-512695号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成22年11月5日(パリ条約による優先権主張 平成21年12月4日 (DE) ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする特許出願であって、平成27年7月28日付けで拒絶すべき旨の査定がなされた。
これに対し、平成27年12月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正書が提出され、特許請求の範囲および明細書について補正がなされた。その後、平成28年9月1日付けで当審より拒絶の理由が通知され、同年12月5日に意見書とともに手続補正書が提出され、特許請求の範囲についてさらに補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?6に係る発明は、上記平成28年12月5日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されたものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

【請求項1】
「義歯の自動化された製造のための方法であって、
製造すべき個々の義歯のデジタルデータセットを用意するステップであって、前記製造すべき義歯のデジタルモデルのデジタルデータセットを、歯列弓のデジタルモデルにおけるバーチャル歯排列(バーチャル咬合)により用意するステップと、
前記デジタルデータセットが構成するデジタルモデルを、個別の製造のために、歯列弓のデジタルモデルと歯肉のデジタルモデルとにデジタル的に分離するステップと、
前記歯列弓のデジタルモデルに基づいて、切削技術を用いて、セラミックまたはプラスチックから歯列弓を形成するステップと、
前記歯肉のデジタルモデルに基づいて、(メタ)アクリレート系のプラスチック材料から、光造形法により歯肉を製造するステップと、
前記歯列弓および前記歯肉を、接着、接合あるいは接着および接合の組み合わせにより接続するステップと、
を含み、
前記デジタルデータセットは口内スキャナを用いて得られ、
前記デジタルモデルのデジタル的な分離をソフトウェアにより行う、
ことを特徴とする方法。」

第3 引用刊行物記載の発明
1 刊行物1
これに対して、当審の平成28年9月1日付けの拒絶の理由に引用され、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特開平9-238959号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「総義歯作製方法」について、図1?4とともに、以下の事項が記載されている。

(1-ア)
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述した従来技術の欠点を改善し、総義歯の精度向上を容易にし、また総義歯の作製を任意のときに自動的に行うことができる新規な総義歯作製方法を提供することを課題とする。」

(1-イ)
「【0008】次いで、その石膏模型1から図1に示す如く接触式又は非接触式の測定器2を用いて患者の上顎と下顎の口腔内形状の三次元座標データを計測する。この三次元座標データはデジタル信号としてコンピュータ3内のメモリに蓄積する。このコンピュータ3内のメモリとしては、RAMボードを使用しても、磁気ディスク等を使用しても、またこの三次元座標データを保持し管理しておく場合を考えてコンピュータにセットされるフロッピーディスクを使用しても良い。
【0009】しかる後、その患者の上顎と下顎の粘膜面形状をコンピュータ3のCRT画面等の図形表示装置4に表示する。この表示は、ワイヤフレーム等を使用してグラフィック表示することが好ましい。上下の粘膜面形状の位置関係は、前述した如く上下の石膏模型の咬合関係が予め求めてあるので、この咬合関係に合わせて上側粘膜の形状測定データと下側粘膜の形状測定データとを前記図形表示装置4に同時に表示することができる。」

(1-ウ)
「【0010】かくして患者の上顎と下顎の口腔内形状の三次元座標データから患者の粘膜面形状を図形表示装置4に表示し、その粘膜面形状において図2に示す如く顎堤の中心線Aを仮定してその長さに基づいて予め登録されている人工歯の中から適切な大きさの人工歯列を選択して上下の歯が解剖学的に正しく咬合される状態に図形表示装置4上で顎堤上にその人工歯Bの人工歯列を配列する。このように予め登録されている人工歯Bは上下の歯が解剖学的に正しく咬合される状態として登録されているから、上下の一方の顎について配置すれば、必然的に他方の顎の配置位置も自動的に決定される。尚、この予め登録されている人工歯Bとしては、フルバランスタイプであってもリンガライズドタイプであっても良く、更に患者の顔面形態との関連を考慮して前歯に関しては方型、尖型、卵円型、方円型、方尖型、尖円型、方尖円型等の種々の形態を、臼歯に関しては解剖学的、準解剖学的、非解剖学的等の種々の形態を準備しておくと便利である。そして、予め登録されている人工歯Bとしてその下部(床側)が総義歯床に嵌合される形態のものを使用すると、製作した総義歯床の顎堤上に人工歯列を配置固着する作業が容易でしかも寸法精度も低下しないので好ましい。
【0011】次いで、この人工歯Bの人工歯列をその位置に保持できる状態に総義歯床を図形表示装置4上に図3に示すようにコンピュータ3のキーボード、マウス又はタブレット等を使用して作図してその総義歯床の三次元座標データを取り込む。この作図は、ワイヤフレーム等を使用してグラフィック表示することが好ましい。しかる後に前記人工歯Bの人工歯列を総義歯床から取り外した状態でその人工歯Bの下部(床側)面の三次元座標データを前記総義歯床の顎堤面上に呼び込み、この総義歯床全体の三次元座標データはデジタル信号としてコンピュータ3内のメモリに蓄積する。このコンピュータ3内のメモリとしては、RAMボードを使用しても、磁気ディスク等を使用しても、またこの三次元座標データを保持し管理しておく場合を考えてコンピュータ3にセットされるフロッピーディスクを使用しても良い。
【0012】かくして前記総義歯床全体の三次元座標データが得られたら、コンピュータ3からこれらの三次元座標データをNC制御の3軸以上の加工機5に加工指令として伝達してこれらの三次元座標データに基づいて総義歯床を構成する義歯床用レジン材料のブロック体を削り出して総義歯床6を製作した後、この総義歯床6の顎堤上に前記人工歯Bの人工歯列を配置固着すれば、総義歯を作製することができるのである。」

(1-エ)刊行物1における「作製」とは、その用語の意味及び刊行物1の記載事項からみて、「製造」ということができるから、上記摘記事項(1-ア)の「総義歯の作製を任意のときに自動的に行うことができる新規な総義歯作製方法を提供する」との記載からみて、刊行物1には「総義歯の自動化された製造のための方法」が記載されているといえる。

(1-オ)上記摘記事項(1-イ)の「口腔内形状の・・・三次元座標データはデジタル信号としてコンピュータ3内のメモリに蓄積する・・・コンピュータ3のCRT画面等の図形表示装置4に表示する。この表示は、ワイヤフレーム等を使用してグラフィック表示する」との記載からみて、図形表示装置4はコンピュータ3からのデジタル信号である三次元座標データをグラフィック表示するためのものであることが解る。そして、そのことを踏まえ、同(1-ウ)の「【0010】かくして患者の上顎と下顎の口腔内形状の三次元座標データから患者の粘膜面形状を図形表示装置4に表示し、その粘膜面形状において図2に示す如く顎堤の中心線Aを仮定してその長さに基づいて予め登録されている人工歯の中から適切な大きさの人工歯列を選択して上下の歯が解剖学的に正しく咬合される状態に図形表示装置4上で顎堤上にその人工歯Bの人工歯列を配列する。・・・【0011】次いで、この人工歯Bの人工歯列をその位置に保持できる状態に総義歯床を図形表示装置4上に図3に示すようにコンピュータ3のキーボード、マウス又はタブレット等を使用して作図してその総義歯床の三次元座標データを取り込む。この作図は、ワイヤフレーム等を使用してグラフィック表示することが好ましい。」との記載および図3をみれば、刊行物1には「製造すべき個々の総義歯のデジタル信号である三次元座標データをグラフィック表示する際に、口腔内形状の三次元座標データから患者の粘膜面形状をコンピュータ3の図形表示装置4に表示し、予め登録されている人工歯の中から適切な大きさの人工歯列を選択して上下の歯が解剖学的に正しく咬合される状態に図形表示装置4上で顎堤上にその人工歯Bの人工歯列を配列し、次いで、人工歯Bの人工歯列をその位置に保持できる状態に総義歯床を図形表示装置4上に作図してその総義歯床の三次元座標データを取り込む」ことが記載されているといえる。

(1-カ)上記摘記事項(1-ウ)の「【0011】・・・この人工歯Bの人工歯列をその位置に保持できる状態に総義歯床を図形表示装置4上に図3に示すようにコンピュータ3のキーボード、マウス又はタブレット等を使用して作図して・・・前記人工歯Bの人工歯列を総義歯床から取り外した状態でその人工歯Bの下部(床側)面の三次元座標データを前記総義歯床の顎堤面上に呼び込み、この総義歯床全体の三次元座標データはデジタル信号としてコンピュータ3内のメモリに蓄積する。」との記載からみて、刊行物1には「図形表示装置4上において、人工歯Bの人工歯列を総義歯床から取り外した状態でその人工歯の下部(床側)面の三次元座標データを総義歯床の顎堤面上に呼び込」むことが記載されているといえる。

(1-キ)上記摘記事項(1-ウ)の「【0012】かくして前記総義歯床全体の三次元座標データが得られたら、コンピュータ3からこれらの三次元座標データをNC制御の3軸以上の加工機5に加工指令として伝達してこれらの三次元座標データに基づいて総義歯床を構成する義歯床用レジン材料のブロック体を削り出して総義歯床6を製作した」との記載からみて、刊行物1には「総義歯床全体の三次元座標データに基づいて、義歯床用レジン材料から、NC制御の3軸以上の加工機により削り出して総義歯床を製造する」ことが記載されているといえる。

(1-ク)上記摘記事項(1-ウ)の「【0012】・・・総義歯床6の顎堤上に前記人工歯Bの人工歯列を配置固着すれば、総義歯を作製することができる」との記載からみて、刊行物1には「人工歯Bの人工歯列を総義歯床の顎堤上に配置固着する」ことが記載されているといえる。

(1-ケ)上記認定事項(1-オ)と上記摘記事項(1-イ)の「【0008】次いで、その石膏模型1から図1に示す如く接触式又は非接触式の測定器2を用いて患者の上顎と下顎の口腔内形状の三次元座標データを計測する。この三次元座標データはデジタル信号としてコンピュータ3内のメモリに蓄積する。」との記載を併せ見れば、刊行物1には「製造すべき個々の総義歯の三次元座標データの内、口腔内形状の三次元座標データは石膏模型から接触式又は非接触式の測定器を用いて得る」ことが記載されているといえる。

そこで、刊行物1の上記摘記事項(1-ア)ないし(1-ウ)及び上記認定事項(1-エ)ないし(1-ケ)を図面を参照しつつ技術常識を踏まえて整理すると、刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる。(以下「刊行物1発明」という。)

「総義歯の自動化された製造のための方法であって、
製造すべき個々の総義歯のデジタル信号である三次元座標データをグラフィック表示するステップであって、口腔内形状の三次元座標データから患者の粘膜面形状をコンピュータ3の図形表示装置4に表示し、予め登録されている人工歯の中から適切な大きさの人工歯列を選択して上下の歯が解剖学的に正しく咬合される状態に図形表示装置4上で顎堤上にその人工歯Bの人工歯列を配列し、次いで、人工歯Bの人工歯列をその位置に保持できる状態に総義歯床を図形表示装置4上に作図してその総義歯床の三次元座標データを取り込む、ステップと、
図形表示装置4上において、人工歯Bの人工歯列を総義歯床から取り外した状態でその人工歯の下部(床側)面の三次元座標データを総義歯床の顎堤面上に呼び込むステップと、
総義歯床全体の三次元座標データに基づいて、義歯床用レジン材料から、NC制御の3軸以上の加工機により削り出して総義歯床を製造するステップと、
前記人工歯Bの人工歯列を前記総義歯床の顎堤上に配置固着するステップと、
を含み、
前記製造すべき個々の総義歯の三次元座標データの内、口腔内形状の三次元座標データは石膏模型から接触式又は非接触式の測定器を用いて得る、
方法。」

2 刊行物2
当審での平成28年9月1日付けの拒絶の理由に引用され、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特表2009-542342号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「総義歯および部分義歯を製造するシステムならびに方法」について、図1?9とともに、以下の事項が記載されている。

(2-ア)
「【0001】
本発明は、医療機器製造に関する。より詳細には、本発明は、ラピッドプロトタイプ技術を使用する総義歯および部分義歯の最新式製造に関する。」

(2-イ)
「【0008】
・・・走査デバイスは、上側もしくは下側の口蓋の諸部分を直接走査することもでき、上側および/もしくは下側の口蓋の印象またはモデルを走査することもできる。口蓋には、歯肉線(gum line)、歯肉線を取り囲む筋肉組織および組織、ならびに歯列弓(arch)または歯肉線間領域を形成する組織が含まれる。・・・」

(2-ウ)
「【0011】
走査デバイス、すなわち、スキャナ105は、義歯テンプレートの形状を表すデータを取得するために光源を好ましくは使用する、3次元(3D)スキャナである。スキャナ105は、義歯テンプレートの任意の部分の形状を測定するように構成することができる。義歯テンプレートは、上下の歯肉線、上下の歯列弓、および口蓋を含め、患者の頬側口腔のすべてまたは一部を含む。・・・」

(2-エ)
「【0030】
走査工程では、歯科医などのユーザがスキャナ105を使用して口腔を走査し、この走査結果が自動的にコンピュータ110へと転送される。走査結果は、様々な方法によって得ることができる。一方法では、歯肉線の形状を模倣するように設計された赤外線カメラが、口腔内または口腔の近くに位置決めされる。カメラは、好ましくは、反射した赤外線を受け取ることによって、上側および/または下側の歯肉線全体の輪郭を捉えるように設計される。カメラがイメージを見当合わせするのに役立つように、赤外線を反射するスプレー、ペースト、もしくはマウスウォッシュを、走査前に上側または下側の歯肉線に適用することができる。赤外線カメラは、次いで、頬側口腔全体を走査し、上側または下側の歯列弓のイメージを捉える。他の実施形態では、カメラは、上下の歯肉線両方のイメージを同時に捉えることができる。
【0031】
走査工程の他の実施形態では、口腔を直接走査する代わりに、歯肉線および/もしくは口蓋のモデルまたはキャスト、あるいは既存の義歯が、スキャナ105によって走査される。この実施形態は、図2?4に示されている。」

(2-オ)
摘記事項(2-イ)「走査デバイスは、上側もしくは下側の口蓋の諸部分を直接走査する・・・口蓋には、歯肉線(gum line)、歯肉線を取り囲む筋肉組織および組織、ならびに歯列弓(arch)または歯肉線間領域を形成する組織が含まれる。」および同(2-エ)「ユーザがスキャナ105を使用して口腔を走査し、・・・一方法では、・・・赤外線カメラが、口腔内または口腔の近くに位置決めされる。」との記載からみて、刊行物2の走査デバイスすなわちスキャナ105は、歯肉線(gum line)、歯肉線を取り囲む筋肉組織および組織、ならびに歯列弓(arch)または歯肉線間領域を形成する組織が含まれる口蓋を走査するものであり、またそのために口腔内または口腔の近くに位置決めされることからみて、口内スキャナということができる。

(2-カ)
摘記事項(2-イ)「走査デバイスは、上側もしくは下側の口蓋の諸部分を直接走査する・・・口蓋には、歯肉線(gum line)、歯肉線を取り囲む筋肉組織および組織、ならびに歯列弓(arch)または歯肉線間領域を形成する組織が含まれる。」および同(2-ウ)「走査デバイス、すなわち、スキャナ105は・・・3次元(3D)スキャナである。」との記載及び技術常識からみて、刊行物2の走査デバイスすなわちスキャナ105により得られるデータは、口腔内形状の三次元座標データということができる。

刊行物2の上記摘記事項(2-ア)ないし(2-エ)並びに認定事項(2-オ)及び(2-カ)を技術常識を踏まえて整理すると、刊行物2には以下の事項(以下「刊行物2事項」という。)が記載されていると認められる。

「義歯を製造する際に、口内スキャナを用いて口腔内形状の三次元座標データを得ること」

第4 対比
本願発明と刊行物1発明を比較する。
ア 「総義歯」は「義歯」の一種であるから、刊行物1発明の「総義歯の自動化された製造のための方法」は、本願発明の「義歯の自動化された製造のための方法」に相当するといえる。

イ 刊行物1発明の「デジタル信号である三次元座標データ」はデジタルデータといえること、総義歯の複雑な形状を表現するデジタルデータは多数のデータの集合であるからデジタルデータセットといえること、デジタルデータを元にコンピュータの図形表示装置にグラフィック表示されるものはそのデジタルデータが表現する対象を視覚的に把握するためのものであるからデジタルモデルということができることは、いずれも技術常識であることを踏まえると、刊行物1発明の「総義歯のデジタル信号である三次元座標データ」は、本願発明の「義歯のデジタルデータセット」ということができるとともに、図形表示装置に表示されるデジタルモデルのデジタルデータセットという観点から表現すれば、本願発明の「義歯のデジタルモデルのデジタルデータセット」ともいうことができる。そして、コンピュータ3の図形表示装置4にグラフィック表示するということは、そのためのデータが用意されていることは明らかであるから、刊行物1発明の「製造すべき個々の総義歯のデジタル信号である三次元座標データをグラフィック表示する」は、本願発明の「製造すべき個々の義歯のデジタルデータセットを用意する」に相当するといえる。

ウ 本件出願明細書の段落【0019】「この工程は、現在の製造工程を非常に簡単なものとし、したがって、時間と費用の節約となる。2つの主要な部材である歯列弓と歯肉は、製造後速やかに、確立された接合方法・・・によって互いにしっかりと接続される。」及び同【0021】の「・既知の歯科的な接着または接合方法による2つの主要部材の組み合わせ。」との記載からみて、本願発明の「歯列弓」は、1つの部材からなる「歯列弓」を意味しているといえる。それに対して、刊行物1発明の「人工歯Bの人工歯列」は、歯列となる複数の「人工歯」を意味するから、両者は、列状の人工歯である点で共通するといえる。

エ 上記イで指摘したデジタルモデルに関する技術常識および上記ウを踏まえ、刊行物1発明の「図形表示装置4上で顎堤上に」「配列」される「人工歯Bの人工歯列」は、図形表示装置上で配列される際に表示されることは明らかであることを考え合わせれば、刊行物1発明の「図形表示装置4上で顎堤上に」「配列」される「人工歯Bの人工歯列」と本願発明の「歯列弓のデジタルモデル」とは、列状の人工歯のデジタルモデルである点で共通する。

オ 刊行物1発明の「口腔内形状の三次元座標データから患者の粘膜面形状をコンピュータ3の図形表示装置4に表示し、予め登録されている人工歯の中から適切な大きさの人工歯列を選択して上下の歯が解剖学的に正しく咬合される状態に図形表示装置4上で顎堤上にその人工歯Bの人工歯列を配列」することは、図形表示装置4上において、予め用意された「人工歯Bの人工歯列」を表示し、顎堤上にその「人工歯Bの人工歯列」を仮想的(バーチャル)に配列することであることが理解できる。さらに、刊行物1発明では、「総義歯床を図形表示装置4上に作図してその総義歯床の三次元座標データを取り込む」のであるから、総義歯床の三次元座標データを作成していることも明らかである。そして、上記イ、エと考え合わせれば、刊行物1発明の「口腔内形状の三次元座標データから患者の粘膜面形状をコンピュータ3の図形表示装置4に表示し、予め登録されている人工歯の中から適切な大きさの人工歯列を選択して上下の歯が解剖学的に正しく咬合される状態に図形表示装置4上で顎堤上にその人工歯Bの人工歯列を配列し、次いで、人工歯Bの人工歯列をその位置に保持できる状態に総義歯床を図形表示装置4上に作図してその総義歯床の三次元座標データを取り込む」と本願発明の「製造すべき義歯のデジタルモデルのデジタルデータセットを、歯列弓のデジタルモデルにおけるバーチャル歯排列(バーチャル咬合)により用意する」とは、「製造すべき義歯のデジタルモデルのデジタルデータセットを、列状の人工歯のデジタルモデルにおけるバーチャル歯排列(バーチャル咬合)により用意する」点で共通する。

カ 刊行物1発明の「人工歯Bの人工歯列を総義歯床から取り外した状態」とは、「人工歯Bの人工歯列」の三次元座標データと「総義歯床の三次元座標データ」と別々に取り扱える状態を意味しており、同「人工歯の下部(床側)面の三次元座標データを総義歯床の顎堤面上に呼び込む」ということは、「人工歯Bの人工歯列」の「三次元座標データ」と「総義歯床の三次元座標データ」とを、コンピュータの処理により、すなわち、「ソフトウェア」により「デジタル的」に「分離」しているということができる。
そして、刊行物1発明の「総義歯床」は本願発明の「歯肉」を含むことは明らかであり、さらに上記認定事項エおよび技術常識を考慮すれば、刊行物1発明の「人工歯Bの人工歯列を総義歯床から取り外した状態でその人工歯の下部(床側)面の三次元座標データを総義歯床の顎堤面上に呼び込む」と、本願発明の「デジタルデータセットが構成するデジタルモデルを、個別の製造のために歯列弓のデジタルモデルと歯肉のデジタルモデルとにデジタル的に分離する」および「前記デジタルモデルのデジタル的な分離をソフトウェアにより行う」とは、「製造すべき個々の義歯のデジタルデータセットが構成するデジタルモデルを列状の人工歯のデジタルモデルと歯肉のデジタルモデルとにデジタル的に分離する」および「前記デジタルモデルのデジタル的な分離をソフトウェアにより行う」という点で共通するといえる。

キ 上記イで指摘したデジタルモデルに関する技術常識を踏まえれば、刊行物1発明の「総義歯床全体の三次元座標データ」は本願発明の「歯肉のデジタルモデル」のデータであることは明らかであること、さらに、「レジン材料」が一般的に「プラスチック材料」を意味することは明らかであるから、刊行物1発明の「総義歯床全体の三次元座標データに基づいて、義歯床用レジン材料から、NC制御の3軸以上の加工機により削り出して義歯床を製造する」と、本願発明の「歯肉のデジタルモデルに基づいて、(メタ)アクリレート系のプラスチック材料から、光造形法により歯肉を製造する」とは、「歯肉のデジタルモデルに基づいて、プラスチック材料から、歯肉を製造する」という点で共通する。

ク 刊行物1発明の「総義歯床の顎堤」は本願発明の「歯肉」の一部分を指すことは明らかであり、刊行物1発明の「固着する」に「接着、接合あるいは接着および接合の組み合わせにより接続する」ことが含まれることは技術常識であるから、刊行物1発明の「人工歯Bの人工歯列を総義歯床の顎堤上に配置固着する」と本願発明の「前記歯列弓および前記歯肉を、接着、接合あるいは接着および接合の組み合わせにより接続する」とは、「列状の人工歯および歯肉を、接着、接合あるいは接着および接合の組み合わせにより接続する」という点で共通する。

ケ 刊行物1発明の「前記製造すべき個々の総義歯の三次元座標データの内、口腔内形状の三次元座標データ」の、「口腔内形状の三次元座標データ」は「前記製造すべき個々の総義歯の三次元データ」の一部であることが明らかであるから、上記認定事項イを踏まえれば、刊行物1発明の「前記製造すべき個々の総義歯の三次元座標データの内、口腔内形状の三次元座標データは石膏模型から接触式又は非接触式の測定器を用いて得る」は、「前記デジタルデータセットは石膏模型から接触式又は非接触式の測定器を用いて得られ」るものということができる。

そうすると、本願発明と刊行物1発明とは、
(一致点)
「義歯の自動化された製造のための方法であって、
製造すべき個々の義歯のデジタルモデルのデータセットを用意するステップであって、前記製造すべき義歯のデジタルモデルのデジタルデータセットを、列状の人工歯のデジタルモデルにおけるバーチャル歯排列(バーチャル咬合)により用意するステップと、
前記デジタルデータセットが構成するデジタルモデルを、列状の人工歯のデジタルモデルと歯肉のデジタルモデルとにデジタル的に分離するステップと、
前記歯肉のデジタルモデルに基づいて、プラスチック材料から、歯肉を製造するステップと、
前記列状の人工歯および歯肉を、接着、接合あるいは接着および接合の組み合わせにより接続するステップと、
を含み、
前記デジタルモデルのデジタル的な分離をソフトウェアにより行う、
方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
「デジタルデータセットが構成するデジタルモデルを、列状の人工歯のデジタルモデルと歯肉のデジタルモデルとにデジタル的に分離する」目的について、本願発明では「個別の製造のために」であるのに対して、刊行物1発明では明らかでない点。

(相違点2)
「列状の人工歯」について、本願発明では「歯列弓」であって、「歯列弓のデジタルモデルに基づいて、切削技術を用いて、セラミックまたはプラスチックから」「形成する」のに対して、刊行物1発明では「人工歯Bの人工歯列」であって、どのように形成するのか記載されていない点。

(相違点3)
「歯肉」について、本願発明では「(メタ)アクリレート系のプラスチック材料から、光造形法により」製造されるのに対して、刊行物1発明では「義歯床用レジン材料から、NC制御の3軸以上の加工機により削り出して」製造される点。

(相違点4)
「デジタルデータセット」の取得について、本願発明では「口内スキャナを用いて得られ」るのに対して、刊行物1発明では「石膏模型から接触式又は非接触式の測定器を用いて得られ」る点。

第5 相違点の検討
1 相違点1及び2について
事案に鑑み、相違点1及び2を併せて検討する。

(1)「列状の人工歯列」について
まず、刊行物1発明における「人工歯Bの人工歯列」について検討すると、上記摘記事項(1-ウ)「・・・予め登録されている人工歯の中から適切な大きさの人工歯列を選択して・・・顎堤上にその人工歯Bの人工歯列を配列する。このように予め登録されている人工歯Bは上下の歯が解剖学的に正しく咬合される状態として登録されているから、上下の一方の顎について配置すれば、必然的に他方の顎の配置位置も自動的に決定される。尚、この予め登録されている人工歯Bとしては、フルバランスタイプであってもリンガライズドタイプであっても良く、更に患者の顔面形態との関連を考慮して前歯に関しては方型、尖型、卵円型、方円型、方尖型、尖円型、方尖円型等の種々の形態を、臼歯に関しては解剖学的、準解剖学的、非解剖学的等の種々の形態を準備しておくと便利である。・・・かくして前記総義歯床全体の三次元座標データが得られたら、コンピュータ3からこれらの三次元座標データをNC制御の3軸以上の加工機5に加工指令として伝達してこれらの三次元座標データに基づいて総義歯床を構成する義歯床用レジン材料のブロック体を削り出して総義歯床6を製作した後、この総義歯床6の顎堤上に前記人工歯Bの人工歯列を配置固着すれば、総義歯を作製することができるのである。」との記載からみて、刊行物1発明においては、人工歯Bの人工歯列をその位置に保持できる状態に作図され、その後、人工歯Bの人工歯列を総義歯床から取り外した状態でその人工歯の下部(床側)面の三次元座標データを総義歯床の顎堤面上に呼び込むことにより作成された、総義歯床全体の三次元座標データに基づいて総義歯床を製造するものの、当該総義歯床に配置固着される人工歯Bの人工歯列については、総義歯床6への配置固着以前に、どのように形成されたのか明らかでない。
しかしながら、刊行物1発明において、人工歯Bの人工歯列を配置固定する総義歯床については、人工歯Bの人工歯列を総義歯床から取り外した後の、総義歯床全体の三次元座標データに基づいて製造しているのであるから、これを人工歯Bの人工歯列の形成にも適用することにより、人工歯Bの人工歯列を総義歯床から取り外した後の、デジタルモデルである人工歯Bの人工歯列の三次元座標データに基づいて、人工歯Bの人工歯列を形成することは、当業者が容易に想到し得たことといえる。
さらに、人工歯Bの人工歯列の具体的な形成方法及び材料について、当審での平成28年9月1日付けの拒絶の理由に引用され、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特開2008-154927号公報(以下「周知例1」という)の段落【0013】「前記一体構造は、所定材料の一体成形により実現することができる。・・・前記一体構造は、所定素材からの切り出しによって実現することもできる。例えば、硬質レジン等の素材からの切り出しによる複数の人工歯の一体形成により上顎側人工歯列を形成することができる。」、同【0019】「図2及び図3において、この上顎側人工歯列10は、・・・標準的な歯列弓Q(図3参照)に沿って連なっている。・・・」と記載されているように、義歯の製造の技術分野において、「列状の人工歯を1つの材料からなる歯列弓とし、切削技術を用いて、セラミックまたはプラスチックから」形成することは、本件出願の優先日前に周知の事項であるといえる。

(2)「デジタルデータセットが構成するデジタルモデルを、列状の人工歯のデジタルモデルと歯肉のデジタルモデルとにデジタル的に分離する」目的について
まず、本願発明における「個別の製造のために」の技術的意義について検討すると、本件明細書段落【0021】「詳細には、図1における本発明に係る方法の実施形態の各工程は、以下である:
・シリコーン型または口内スキャナを用いた歯科医による従来の印象取得(1)。
・歯科技工室へのデジタルモデルの送付および歯のデジタル排列(2)。
・(任意)医用製品として承認されている歯科用ワックスによる光造形法などを用いたRPによるワックスモデルの製造(3)。
・(任意)患者へのワックスモデルの試適および、場合により、修正(4)。
・(任意)3Dスキャンによる再デジタル化。
・歯列弓、および、歯列弓に対応する凹みを有する歯肉素材におけるモデルのデジタル上の分離およびその個別の製造(5)。
・既知の歯科的な接着または接合方法による2つの主要部材の組み合わせ。
・(任意)切削および研磨などの再処理。
・顧客への引き渡し。」との記載及び【図1】からみて、本願発明において、前記デジタルデータセットが構成するデジタルモデルを、「個別の製造のために」、歯列弓のデジタルモデルと歯肉のデジタルモデルとにデジタル的に分離することの技術的意義は、歯列弓と歯肉とが一体となった義歯のデジタルモデルを、歯列弓のデジタルモデルと歯肉のデジタルモデルとに分離することにより、それぞれのデジタルモデルのデータから、歯列弓と歯肉とを個別に製造することにあると解される。
一方、上記(1)で検討したように、刊行物1発明において、人工歯Bの人工歯列を総義歯床から取り外した後の、デジタルモデルである人工歯Bの人工歯列の三次元座標データに基づいて、人工歯Bの人工歯列を形成した場合には、人工歯Bの人工歯列を総義歯床から取り外した後の、それぞれのデジタルモデルから、人工歯Bの人工歯列と総義歯床とを個別に製造することになるから、人工歯Bの人工歯列を総義歯床から取り外すことは、人工歯Bの人工歯列と総義歯床との「個別の製造のために」なされているといえる。

(3)まとめ
してみると、刊行物1発明において、デジタルモデルである人工歯Bの人工歯列の三次元座標データに基づいて、人工歯Bの人工歯列を形成するとともに、その具体的な形成方法及び材料として、上記周知の事項を適用して、相違点1及び2に係る本願発明の構成とすることは、当業者ならば容易に想到し得る事項であるといえる。

2 相違点3について
当審での平成28年9月1日付けの拒絶の理由において周知例2として引用され、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特許第3859737号公報(以下「周知例2」という)の段落【0002】「一般に、(メタ)アクリレート系の材料はその優れた透明性、表面光沢および成形加工性に優れていることから歯科材料として広く用いられている。・・・例えば義歯床とした場合」、段落【0005】「本発明者らは、上述した如き現状に鑑み、(メタ)アクリレート系材料が本来有する優れた透明性、表面光沢、成形加工性を損なうことなく、剛性および耐摩耗性が付与された(メタ)アクリレート系歯科用複合材料を得るべく鋭意検討した結果、単官能(メタ)アクリレートに、特定の粒子径を有するコロイダルシリカを分散させた複合体が所期の目的を達成し得ることを見い出し本発明に到達した。」、段落【0043】「本発明の成分(c)として用いられる重合開始剤は、歯科用複合部材としての目的に適した重合形式に応じて任意に選択される。・・・可視光や紫外線による光重合の場合には、ベンゾフェノン類、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキサイド類およびα-ジケトン類等を用いることができる。また、光重合の場合には、第3級アミン等の還元剤を併用してもよい。」と記載されているように、義歯の製造の技術分野において、「義歯床を(メタ)アクリレート系のプラスチック(レンジ)材から製造する」ことは、本件出願の優先日前に周知の事項である。
さらに、当審での平成28年9月1日付けの拒絶の理由において周知例4として引用され、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特許第3318364号公報(以下「周知例3」という)の段落【0022】?【0023】に「上記第8工程における義歯床および人工歯の作製は、自動機械加工法による樹脂の削り出し加工であってもよく、また、紫外線硬化性樹脂を用い、これに紫外線を照射して義歯床および人工歯を作製してもよい。・・・・・また、上記第8工程において、義歯の表面層(歯側)と裏面層(顎堤側)とを、光造形法や機械的削り出しによって、透明樹脂で別個に製作しておき」と記載されているように、「義歯床を光造形法により製造する」ことも、本件出願の優先日前周知の事項であるといえる。
してみると、刊行物1発明において、義歯床用レジン材料として周知の「(メタ)アクリレート系のプラスチック(レンジ)材」を採用するとともに、義歯床の製造方法として周知の「光造形法により製造する」ことを採用して、相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

3 相違点4について
義歯を製造する際に、口腔内形状との正確な適合を図るために、口腔内形状のデータを取得しなければならないことは自明の課題であって、そのための具体的な取得方法として、刊行物2には、口内スキャナを用いて口腔内形状の三次元座標データを得ること、すなわち刊行物2事項が記載されている。
してみると、刊行物1発明の口腔内形状のデータ取得方法である、石膏模型から接触式又は非接触式の測定器によって取得することに代えて、刊行物2事項を採用して、相違点4に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことといえる。

4 効果について
本願明細書に記載された、上記相違点1?4による効果も、刊行物1、2記載の事項および上記周知の事項から当業者が予測し得る範囲のものであって、格別顕著なものとはいえない。

5 小括
したがって、本願発明は、刊行物1発明並びに刊行物2事項及び本願出願前に周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1発明並びに刊行物2事項及び本願出願前に周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-04-26 
結審通知日 2017-05-08 
審決日 2017-05-23 
出願番号 特願2012-541332(P2012-541332)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (A61C)
P 1 8・ 121- WZ (A61C)
P 1 8・ 537- WZ (A61C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮部 愛子川島 徹  
特許庁審判長 山口 直
特許庁審判官 根本 徳子
内藤 真徳
発明の名称 CAD/CAMによる個々の義歯の製造およびデジタル印象データからのラピッドマニュファクチャリング/ラピッドプロトタイピング  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 久野 琢也  

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