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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61C
管理番号 1333099
審判番号 不服2015-21696  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-07 
確定日 2017-10-05 
事件の表示 特願2009-252956号「固定ピン」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 6月10日出願公開、特開2010-125322号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成21年11月4日(パリ条約による優先権主張 2008年12月1日 欧州特許庁)の出願であって、平成25年10月29日付けの拒絶理由通知に対し、平成26年4月30日付けで手続補正書及び意見書が提出され、同年7月25日付けの最後の拒絶理由通知に対し、平成27年1月23日付けで手続補正書及び意見書が提出されたが、同年7月28日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年12月7日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものであり、その後、当審において、平成28年11月7日付けで拒絶理由が通知され、平成29年2月8日付けで意見書が提出されたものである。


II.本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成27年1月23日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
歯科用の孔明け用テンプレートを固定するための固定ピンであって、
前記孔明け用テンプレート又は前記孔明け用テンプレートに含まれるスリーブの上の少なくとも一部を支持するための支持用表面を有するヘッドと、
円筒形状を有し、かつ、前記ヘッドの前記支持用表面から、直角に延びるロッドと、
を含み、
該ロッドが、前記孔明け用テンプレート又は前記孔明け用テンプレートに含まれるスリーブに挿入され、
前記ヘッドが、くびれ状周面部を有することを特徴とする固定ピン。」


III.刊行物の記載事項
(1)刊行物1
当審における拒絶理由通知で引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開昭63-275335号公報(以下「刊行物1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
1a:「2.特許請求の範囲
(1)・棒状ハンドルの先端に連結したブロック部材の上面に、人工歯根のインプラントヘッドに対応して配列したヘッドピンを立設し、かつ、人工歯根の形状に対応した中心間距離を有して前記ブロック部材の上下に貫通する平行一対のドリルガイド孔を設けたチヤンネルスタートガイドと、
・ブロック部材の下面に、前記ドリルガイド孔と同一中心間距離を有して平行する脚状の位置決めピンを有し、かつ、該位置決めピンの中心線上に中心を有し、該位置決めピンと平行する加工ガイド孔群または加工ガイド溝を、前記ブロック部材の上下に貫設した加工ガイド、との組合せからなり、
前記チヤンネルスタートガイドを歯槽骨部位に載せてヘッドピンによって位置決めすると共に、ドリルガイド孔に基づいてチヤンネルの近心端孔と遠心端孔を穿設し、該近心端孔と遠心端孔に、前記加工ガイドの位置決めピンを挿着して固定し、加工ガイド孔または加工ガイド溝に基づいてチヤンネルを加工形成する構造を特徴とする人工歯根用チヤンネル成形器。」(第1頁左下欄第3行?右下欄第5行)

1b:「3.発明の詳細な説明
「産業上の利用分野」
本発明は、金属製またはセラミックス製の人工歯根を、歯槽骨に形成したチヤンネル(溝)に植設するインプラント治療において、そのチヤンネルの加工形成に用いるインプラント用チヤンネル成形器に関するものである。」(第1頁右下欄第6?12行)

1c:「そして、チヤンネルスタートガイド10には、ドリルガイド孔5Aまたは5Bのガタつきなく挿着され下半部分を下方に突出できるチヤンネル端固定ピン8が付設してある。
詳しくは、チヤンネルスタートガイド10のブロック部材3Aは、チヤンネル12を形成すべき歯槽骨14の患部に載置できる直方体状を成し、中心間距離L_(1)を有するドリルガイド孔5A5Bの外側端距離L′は、人工歯根1の長さLに対応すると共に、ドリルガイド孔5A5Bの太さは人工歯根1の厚さに対応させてあり、後述する用法によってチヤンネル12を形成したとき、チヤンネル12に、人工歯根1をガタつきなく受け入れると共に、受け入れた人工歯根1のインプラントヘッド2とヘッドピン4A4Bの位置が一致するようにしてある。
・・・
以上の構成から成る本発明のチヤンネル成形器は、以下の様に使用される。即ち、第1図実施例の使用方法の手順を示す第3図を参照して、
・まづ、第3図(A)参照、患部の歯肉を切開して歯槽骨14を露出させ、その歯槽骨14の上にチヤンネルスタートガイド10を載せる。そして、ヘッドピン4A4Bを対合歯の機能咬頭に対向させて、植設する人工歯根1のインプラントヘッド2と対合歯との対向姿勢と対向位置を確認し、チヤンネルスタートガイド10の姿勢と位置を調整する。そして、その状態においてドリル15をドリルガイド孔5Bに挿入し、ドリルガイド孔5Bによってドリル15を案内させながら、形成すべきチヤンネル12の近心端孔16Bを、歯槽骨14に所要深さに穿孔する。なお、このときチヤンネルスタートガイド10は、口腔外に突き出た棒状ハンドル6によって操作され保持される。
・つぎに、第3図(B)参照、ドリルガイド孔5Bと穿孔された近心端孔16Bに、チヤンネル端固定ピン8を挿着し、チヤンネルスタートガイド10を歯槽骨14上に固定する。そして、ドリルガイド孔5Aにドリル15を挿入し、同じく歯槽骨14に形成すべきチヤンネル14に遠心端孔16Aを穿設し、ドリルスタートガイド10を外す。」(第3頁左上欄第12行?左下欄第19行)

続いて図面を参照しつつ、上記の各記載について検討する。
1A)摘記事項1cの「チヤンネルスタートガイド10の姿勢と位置を調整する。そして、その状態においてドリル15をドリルガイド孔5Bに挿入し、ドリルガイド孔5Bによってドリル15を案内させながら、形成すべきチヤンネル12の近心端孔16Bを、歯槽骨14に所要深さに穿孔する。」、「ドリルガイド孔5Aにドリル15を挿入し、同じく歯槽骨14に形成すべきチヤンネル14に遠心端孔16Aを穿設し、」等の記載から、「チャネルスタートガイド10」は、穿孔用のガイドといえるし、さらに、摘記事項1bの「インプラント治療において、そのチヤンネルの加工形成に用いるインプラント用チヤンネル成形器に関する」の記載を併せみれば、インプラント治療で用いるガイドともいえる。

1B)摘記事項1cの「チヤンネル端固定ピン8を挿着し、チヤンネルスタートガイド10を歯槽骨14上に固定する。」の記載から、「チヤンネル端固定ピン8」は、チヤンネルスタートガイド10を歯槽骨14上に固定するものであって、その具体的形状に関し第1図(A)を見れば、当該「チヤンネル端端固定ピン8」は、大径の円筒形状の頭部と、この頭部の下面から垂直に延在する細長円筒形部とから成る部材であることが看取できる。
また、第3図(B)に図示されたチヤンネル端固定ピン8の下端部と近心端孔16Bの位置関係によれば、同図からは、チヤンネル端固定ピン8の当該頭部の下面は、チヤンネルスタートガイド10の上面と当接する下面であるものと把握できる。
さらに、摘記事項1aの「ドリルガイド孔を設けたチヤンネルスタートガイド」、摘記事項1cの「第3図(B)参照、ドリルガイド孔5Bと穿孔された近心端孔16Bに、チヤンネル端固定ピン8を挿着し、」の各記載及び第3図(B)を併せみれば、上記細長円筒形部は、チヤンネルスタートガイド10に設けられたドリルガイド孔5Bに挿着されることも分かる。


よって、以上の記載事項及び図面の図示内容を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「インプラント治療で用いる穿孔用のチヤンネルスタートガイド10を歯槽骨14上に固定するチヤンネル端固定ピン8であって、
円筒形状の頭部と、
この頭部の下面から垂直に延在する細長円筒形部と、
から成り、
前記頭部の下面は、穿孔用のチヤンネルスタートガイド10の上面と当接する下面であり、
前記細長円筒形部は、穿孔用のチヤンネルスタートガイド10に設けられたドリルガイド孔5Bに挿着されるチヤンネル端固定ピン8。」

(2)刊行物2
当審における拒絶理由通知で引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2003-63181号公報(以下「刊行物2」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
2a:「【0001】
【発明の属する技術分野】磁石式押え具と云うのは磁石が埋め込まれた小物道具でスチ-ル家具の表面に紙を止めておくときの押えに使ったり、教室の黒板とか掲示板に文書や表を留めておくのに使用される物品である。」

2b:「【0007】図3は本発明の他の実施形態で、図3Aでは本体1は板状であり、周側面の一部が平らにしてあって、そこに磁石2が埋設してある。使用形態は図2の場合と同じである。取り外すときは本体を指でつまんで引っ張るか少し倒し気味にして引っ張ればよい。本体は板状であるが、中央を少し凹ませてつまみ易いようにしてもよい。・・・」

(3)刊行物3
当審における拒絶理由通知で引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2007-10592号公報(以下「刊行物3」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
3a:「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の自動車では、エンジンルームのコンパクト化やエンジン補器類の増加等に起因して、オイルレベルゲージの取手と周辺部品とのクリアランスが非常に小さくなることが多い。・・・特許文献4のオイルレベルゲージを採用した場合、球状の把持部を指で摘むことは比較的容易にできるが、指が球面で滑りやすいためにつまみを安定して保持し難く、抜き出したオイルレベルゲージを落下させてしまうこと等があった。」

3b:「【発明の効果】
【0008】
請求項1のオイルレベルゲージによれば、把持部が球形であるために取手の保持が容易かつ確実に行えるとともに、凹部に指先を入れることで把持部を摘んだ手の先端がすぼまるかたちとなり、把持部の周囲にエンジン部品が存在する場合にも、それらに手が干渉し難くなる。また、請求項2のオイルレベルゲージによれば、把持部の保持がより確実に行えるとともに、エンジン部品と手との干渉もより生じ難くなる。」

(4)刊行物4
当審における拒絶理由通知で提示され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2001-218776号公報(以下「刊行物4」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
4a:「【特許請求の範囲】
【請求項1】 歯科修復物等を粘着する粘着部(2)を取り付けた誤嚥下防止紐(1)。
【請求項2】 歯科修復物等の着脱作業域と患者の咽頭との間に位置させる、歯科修復物等の誤嚥下防止用口腔内隔壁(3)。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、歯科治療等での歯科修復物等の着脱操作において、歯科修復物等が患者の口腔内に誤って落下した際の回収作業を容易にし、かつ、歯科修復物等の誤嚥下や喉頭・気管支迷入等の危険を可及的に小さくするために考案された、歯科修復物等の誤嚥下防止具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、歯科医師などの術者は、修復物等が手から滑って患者の口腔内に落下しないようにするため、ひたすら注意するしかなかった。しかし、しばしば患者の口腔内に歯科修復物等を落とし、常に誤嚥下や喉頭・気管支迷入等の危険に直面し、落とした歯科修復物等の回収に、思いのほか時間を取られていた。」


IV.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「インプラント治療で用いる」は、文言の意味又は機能等からみて本願発明の「歯科用の」に相当し、以下同様に、「穿孔用のチヤンネルスタートガイド10」は「孔明け用テンプレート」に、「歯槽骨14上に固定する」は「固定するための」に、「チヤンネル端固定ピン8」は「固定ピン」に、それぞれ相当する。
(イ)引用発明の「円筒形状の頭部」、「細長円筒形部」は、その形状等からみて本願発明の「ヘッド」、「ロッド」にそれぞれ相当する。
また、引用発明の「頭部の下面」は、「チヤンネルスタートガイド10の上面と当接する下面」であることから、本願発明の「孔明け用テンプレート又は前記孔明け用テンプレートに含まれるスリーブの上の少なくとも一部を支持するための支持用表面」に相当する。
そうすると、引用発明の「円筒形状の頭部と、この頭部の下面から垂直に延在する細長円筒形部と、から成り、前記頭部の下面は、チヤンネルスタートガイド10の上面と当接する下面であ」る「チヤンネル端固定ピン8」は、「孔明け用テンプレート又は前記孔明け用テンプレートに含まれるスリーブの上の少なくとも一部を支持するための支持用表面を有するヘッドと、円筒形状を有し、かつ、前記ヘッドの前記支持用表面から、直角に延びるロッドと、を含」む「固定ピン」である点で、本願発明と一致する。
また、引用発明の「前記細長円筒形部は、穿孔用のチヤンネルスタートガイド10に設けられたドリルガイド孔5Bに挿着され」は、本願発明の「該ロッドが、前記孔明け用テンプレート又は前記孔明け用テンプレートに含まれるスリーブに挿入され」に相当する。
(ウ)引用発明の「頭部」は「円筒形状の」部材であって、その周囲には適宜の面部を有することは明らかであるから、引用発明は、“ヘッドが、周面部を有する”点で本願発明と共通する。

よって、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
歯科用の孔明け用テンプレートを固定するための固定ピンであって、
前記孔明け用テンプレート又は前記孔明け用テンプレートに含まれるスリーブの上の少なくとも一部を支持するための支持用表面を有するヘッドと、
円筒形状を有し、かつ、前記ヘッドの前記支持用表面から、直角に延びるロッドと、
を含み、
該ロッドが、前記孔明け用テンプレート又は前記孔明け用テンプレートに含まれるスリーブに挿入され、
前記ヘッドが、周面部を有する固定ピン。

(相違点)
本願発明では、「ヘッドが、くびれ状周面部を有する」のに対し、引用発明では、ヘッドが周面部を有するものの、その周面部は「くびれ状周面部」であるとまでの特定のない点。


V.相違点の判断
上記相違点について検討する。
例えば、上記刊行物2に「中央を少し凹ませてつまみ易いようしにしてもよい」(摘記事項2b参照。)と、また、上記刊行物3に「凹部に指先を入れることで・・・把持部の保持がより確実に行える」(摘記事項3b参照。)と示されるように、指先で物を把持するに当たり、把持対象である摘み部にくびれを形成しておくことは、技術分野のいかんを問わず、摘み部をつまみ易くするための手段として従来周知の技術にすぎず、このようなくびれに指先をあてがうことで、摘み部の安定した把持ができるようになることは、日常、誰もが普通に経験するところである。
他方、例えば、上記刊行物4に「従来、歯科医師などの術者は、修復物等が手から滑って患者の口腔内に落下しないようにするため、ひたすら注意するしかなかった。しかし、しばしば患者の口腔内に歯科修復物等を落とし、常に誤嚥下や喉頭・気管支迷入等の危険に直面し・・・」(摘記事項4a参照。)と示されるように、修復物等が術者の手から滑って患者の口腔内に落下しないようにすることは、歯科治療において従来より普通に知られた課題といえるところ、インプラント治療に係る引用発明においても同様に、固定ピンが術者の手から滑って患者の口腔内に落下しないよう固定ピンを安定して保持すべきことは、固定ピンの誤嚥下防止の観点から当然に要請される技術課題にすぎない。
そうすると、引用発明の固定ピンにおいて、斯かる技術課題を解決するための手段として刊行物2ないし3に開示されるような従来周知の技術を採用することにより、固定ピンにおけるヘッドの周面部にくびれを設けてくびれ状周面部とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、本願発明の効果も、当業者が引用発明及び上記周知の技術から予測し得る程度のものであって、格別のものとはいえない。


VI.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-09 
結審通知日 2017-05-10 
審決日 2017-05-23 
出願番号 特願2009-252956(P2009-252956)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 胡谷 佳津志  
特許庁審判長 長屋 陽二郎
特許庁審判官 平瀬 知明
関谷 一夫
発明の名称 固定ピン  
代理人 ▲高▼ 昌宏  
代理人 宮崎 嘉夫  
代理人 萼 経夫  
代理人 田上 明夫  

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