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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1333121
審判番号 不服2016-18739  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-13 
確定日 2017-10-05 
事件の表示 特願2016- 17410「携帯電話」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成28年2月1日の出願であって、 同年6月2日付けで拒絶理由が通知され、同年7月6日付けで手続補正がされ、同年9月5日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年12月13日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

2.本願発明
本願請求項1に係る発明は、平成28年7月6日付けの手続補正で補正された本願特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりの発明(以下、「本願発明」という。)であると認める。

「【請求項1】
フィーチャーフォンタイプの携帯電話であって、
画面を表示するディスプレイと、
一の物理キーと、を備え、
前記ディスプレイにロック画面以外の任意の画面を表示している際でも前記画面にノーティフィケーション画面を表示させることができるように、常に前記一の物理キーに前記ノーティフィケーション画面を表示させる機能を割り当てる、
ことを特徴とする、携帯電話。」

3.引用例、引用発明等
(1)引用発明
平成28年9月5日付けの拒絶査定(以下、「原査定」という。)の拒絶の理由に引用された特開2008-278065号公報(以下、「引用例1」という。)には、「携帯端末装置」(発明の名称)に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「
【0027】
ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。そして、開状態における表状態とは、後述する表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2におけるフロントケース2aに配置される操作キー群11とが同じ側を向くように配置された状態であり、裏状態とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30と操作部側筐体2における操作キー群11とが反対側を向くように配置された状態をいう。
・・・(略)・・・
【0033】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、図1から図3に示すように、2軸ヒンジ機構を備える連結部4を介して連結される。連結部4における一方の面(裏面)には、図3に示すように、副操作キー群33が該携帯電話機1の幅方向(短手方向)において一列に並んで配置される。この副操作キー群33を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1において、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
・・・(略)・・・
【0036】
なお、本実施形態においては、連結部4により折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でも良い。」(6?7頁)

イ.「【0050】
クリアキー14cは、前回キー操作した内容を消す或いは無効にするキーである。ファンクションキー13は、ある特定のモードに直接遷移したり、或いは操作内容に応じて機能を持たせることが可能なキーである(ユーザ操作により、所定のアプリケーションプログラムを割り当てることも可能)。それに対して、発信キー14aや終話キー4bは編集やアプリケーション機能を終了、或いは着信等により中断する以外には殆ど使用しない。尚、本実施形態では、アプリケーションプログラムが割り当てられていて、操作(ワンプッシュ)することにより、直ちに所定のアプリケーションが立ち上がる(起動される)専用キー325が設けられている。
【0051】
一方、携帯電話機の表示部30には、一般的には、電池(バッテリ)残量を表示するバッテリピクト320、電波状態を示す電波ピクト321、日付ピクト322、時刻ピクト323、及び未読メール有りを示すメールピクト324等の固定表示が有り、ユーザがキー操作等により意図的に消さない限り、CPU202の制御によって表示部30に固定的に、常時表示されている。しかし、これらの固定表示(ピクト)は、例えば電池残量に関しては残量が多い場合には特に常時表示しておく必要は無いし、日付や時間も必ず常時表示をしておく必要は無い。また、電波状態にしても電話としての機能を使用しているとき以外には常時表示をしておく必要は無い。」(9?10頁)

摘記事項ア.?イ.の記載及び図面(特に、図6参照。)ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、

摘記事項ア.の【0036】と図1、2より「折り畳み可能な携帯電話機」といえる。そして、摘記事項ア.の【0027】の「ディスプレイ30」と摘記事項イ.の【0050】の「直ちに所定のアプリケーションが立ち上がる(起動される)専用キー325が設けられている。」の記載より、「折り畳み可能な携帯電話機であって、ディスプレイと、専用キーと、を備え、」が記載されているといえる。
摘記事項イ.の【0050】の「尚、本実施形態では、アプリケーションプログラムが割り当てられていて、操作(ワンプッシュ)することにより、直ちに所定のアプリケーションが立ち上がる(起動される)専用キー325が設けられている。」の記載より、「前記専用キーにより、直ちに所定のアプリケーションが立ち上がる」ことが記載されていると認められる。

以上より、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

(引用発明)
「折り畳み可能な携帯電話機であって、
ディスプレイと、
専用キーと、を備え、
前記専用キーにより、直ちに所定のアプリケーションが立ち上がる、携帯電話機。」

(2)引用発明2
原査定に引用された「「SoftBank 007SH 取扱説明書」,[online], 2012年4月,ソフトバンクモバイル株式会社,第2版,pp.6-22,インターネット 」(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ウ.「キーの使い方
本機は、従来の携帯電話に近いテンキーを搭載しており、メールなどの文字入力がスムーズに行えます。また、電話やメール、ブラウザなどのアプリケーション/機能専用のキー、項目選択に便利なマルチガイドキーを採用しており、より軽快な操作が行えます。

おもなキーのはたらき(待受画面)
待受画面では、それぞれのキーは次の働きをします。

■1 ホーム画面を表示
■2 メールを起動
■3 着信履歴を表示
■4 メニュー画面を表示
■5 通話画面を表示
■6 検索ウィンドウを表示
■7 ホーム画面を表示
■8 電話帳画面を表示
■9 インターネットに接続
■10 通知パネルを表示
■11 起動中のアプリケーション一欄を表示
■12 電源ON(長押し) 携帯電話オプションを表示(長押し)
■13 カメラを起動、マナーモード設置(長押し)」(18頁左欄)
(当審注:■の中に白抜きで数字(例えば、1?13。)が記載されたものを、「■1」、・・・、「■13」のように表現した。)

以上の記載より、引用例2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認める。

(引用発明2)
「携帯電話機の1つのキーに、通知パネルを表示する機能を割り当てること。」

(3)周知の技術
エ.原査定で引用した特開2014-137753号公報には、「携帯情報端末」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0019】
<スリープ状態S1,ロック状態S2及び非ロック状態S3>
図2は、図1の携帯電話機1の動作状態の変化の一例を示した状態遷移図である。この携帯電話機1は、その動作状態がスリープ状態S1、ロック状態S2又は非ロック状態S3のいずれかに遷移可能である。スリープ状態S1は、タッチパネル11のバックライトを消灯して表示を行わない端末状態であり、上記動作状態の中では最も消費電力が少ない。例えば、スリープ状態S1では、タッチパネル11への電源供給が遮断される一方、通信回路などの一部のデバイスには電源供給が行われる。
【0020】
スリープ状態S1において、所定のスリープ解除操作を行えば、動作状態をロック状態S2に移行させることができる。例えば、いずれかの操作キー14a?14cに対し押下操作を行うことにより、携帯電話機1の動作状態はロック状態S2に遷移する。ロック状態S2は、ロック画面RSを表示装置11bに表示し、ロック解除操作以外のユーザ操作を受け付けない端末状態である。ロック画面RSには、ロック解除のためのロック解除操作子が表示される。ロック解除操作は、ロック解除操作子に対する所定の操作からなる。」(5頁)(当審注;下線部は当審で付記した。)

オ.原査定で引用した特開2014-41498号公報には、「通信端末装置」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

(イ)「【0038】
次に、図2?図6を参照して、本実施形態のタブレット型コンピュータ10のロック解除時の動作について詳細に説明する。なお、図2は、本実施形態のタブレット型コンピュータのロック解除時の動作の一例を示すフローチャートであり、図3は、本実施形態のタブレット型コンピュータの表示部に表示されるロック画面を示す図であり、図4は、右手操作モードに設定された際の、手書き文字入力画面を示す図であり、図5は、図3のロック画面を左手で解除する操作を行っている状態を示す図であり、図6は、左手操作モードに設定された際の、手書き文字入力画面を示す図である。
・・(略)・・
【0041】
ロック画面300には、さらに、画面下部に複数のソフトウェアボタン320が表示される。ソフトウェアボタン320は、左側から順に「HOME」ボタン321、「MENU」ボタン322、「BACK」ボタン323、「VOL+」ボタン324、「VOL-」ボタン325を備えて構成される。なお、これらのソフトウェアボタン320は、ロック画面300表示時には、仮にユーザが操作を行った場合であっても操作を受け付けないようになっている。また、これらソフトウェアボタン320は、ロック画面300の表示時には表示しないようにすることによってロック解除以外の操作を受け付けないようにしてもよい。」(7?8頁)(当審注;下線部は当審で付記した。)

以上より、「携帯電話機にロック機能を付加し、ロック画面を表示している際は、ロック解除操作キー以外のキーに対する入力を無効とすること。」は周知の技術(以下、「周知の技術」という。)と認める。

4,対比・判断
(1)本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
本願発明の「フィーチャーフォンタイプの携帯電話」について、明細書段落【0011】の「フィーチャーフォンタイプの携帯電話の一例として、いわゆる折りたたみ式(フリップ型又はクラムシェル型)のフィーチャーフォンを想定して説明する。」と記載されているから、引用発明の「折り畳み可能な携帯電話」は、本願発明の「フィーチャーフォンタイプの携帯電話」に含まれる。
引用発明の「ディスプレイ」は、本願発明の「画面を表示するディスプレイ」に相当する。
引用発明の「専用キー」について、引用文献1の【0049】、【0050】と図6より、「入力操作部11」に配置される物理キーであることは明らかである。よって、引用発明の「専用キー」は、本願発明の「一の物理キー」に含まれる。
そして、引用発明の「前記専用キーにより、直ちに所定のアプリケーションが立ち上がる」について、引用文献(【0033】)には、「起動されるアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる」と記載されていることから、「前記専用キーに特定の機能を割り当てる」と言い換えることができる。してみると、本願発明の「常に前記一の物理キーに前記ノーティフィケーション画面を表示させる機能を割り当てる」とは、「常に前記一の物理キーに所定の機能を割り当てる」で共通する。

したがって、本願発明と、引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。

(一致点)
「フィーチャーフォンタイプの携帯電話であって、
画面を表示するディスプレイと、
一の物理キーと、を備え、
常に前記一の物理キーに所定の機能を割り当てる、携帯電話。」

(相違点1)
一致点の「所定の機能」が、本願発明では「ノーティフィケーション画面を表示させる機能」であるのに対して、引用発明では、「所定のアプリケーション」により実現される機能について特定されていない点。それに伴い、本願発明では、「任意の画面を表示している際でも前記画面にノーティフィケーション画面を表示させることができるように」されているのに対し、引用発明には、そのような特定がない点。

(相違点2)
本願発明では、「前記ディスプレイにロック画面以外の任意の画面を表示している際」と限定していること、即ち「ロック画面」を表示している際は「前記前記一の物理キー」に対する入力を無効としているのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。

(2)相違点についての検討
(相違点1)について検討する。
本願発明の「ノーティフィケーション画面」について、明細書【0025】に「ノーティフィケーションは、上述したように、例えば通話の不在着信及びメールの受信などをユーザに知らせるための、1又は複数の各種情報の通知とすることができる。また、ノーティフィケーション画面とは、上述したノーティフィケーション及び設定アイコンなどを表示可能な画面を意味とすることかできる。ノーティフィケーション画面は、典型的には1又は複数のノーティフィケーションを表示するための画面である。」と記載されている。他方、引用発明2の「通知パネル」が、出願時の技術常識に照らして不在着信等の各種通知を行うための表示画面であることは自明の事項であるから、引用発明2の「通知パネル」は、本願発明の「ノ-ティフィケーション画面」に相当する。そして、引用発明の「専用キー」の機能の割り当てに、引用発明2を適用して、「専用キー」を、「通知パネルを表示させる」機能、即ち、「ノーティフィケーション画面を表示させる」機能を割り当てることは、当業者が容易に想到し得たことである。その場合、任意の画面を表示している際でも、ノーティフィケーション画面を表示させることができるようにすることは、当業者が適宜なし得る事項にすぎない。

(相違点2)について検討する。
上記「3.引用例、引用発明等」の「(3)周知の技術」の項に記載したように、「携帯電話機にロック機能を付加し、ロック画面を表示している際は、ロック解除操作キー以外のキーに対する入力を無効とすること。」は、周知の技術である。
引用発明に基づいて周知の技術を参酌することにより、ロック画面を表示している際は「専用キー」に対する入力を無効にすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

したがって、本願発明は、引用発明および引用発明2に基づいて周知の技術を参酌することにより当業者が容易に発明することができたものである。
そして、本願発明の作用効果も、引用発明および引用発明2に基づいて周知の技術を参酌することにより当業者が容易に予測できる範囲のものである。

5.むすび
本願発明は、引用発明および引用発明2に基づいて周知の技術を参酌することにより当業者が容易に発明することができたものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-26 
結審通知日 2017-08-01 
審決日 2017-08-23 
出願番号 特願2016-17410(P2016-17410)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北元 健太藤江 大望  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 吉田 隆之
山中 実
発明の名称 携帯電話  
代理人 杉村 憲司  
代理人 甲原 秀俊  
代理人 太田 昌宏  

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