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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1333123
審判番号 不服2016-18806  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-14 
確定日 2017-10-05 
事件の表示 特願2015-180761「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月23日出願公開、特開2017- 55801〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年9月14日に特許出願されたものであって、平成28年7月19日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対して同年9月16日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月14日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、平成29年2月2日に前置報告がされたものである。

第2 平成28年12月14日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年12月14日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、本件補正前の平成28年9月16日付けの手続補正書における請求項1の記載と、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ、次のとおりである(下線部は、補正箇所を示す。)。

(補正前:平成28年9月16日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技機であって、
遊技盤と、
第1の表示手段を介してそれぞれ配置される複数の第2の表示手段と、
前記第1の表示手段および前記第2の表示手段のそれぞれの表示内容を制御する表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記第1の表示手段の表示内容にかかわらず、前記第1の表示手段の一方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容と、前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容と、が互いに連動するように制御する
ことを特徴とする遊技機。」

(補正後:平成28年12月14日付け手続補正)
「【請求項1】
A 遊技機であって、
遊技盤と、
B 第1の表示手段を介してそれぞれ配置される複数の第2の表示手段と、
C 前記第1の表示手段および前記第2の表示手段のそれぞれの表示内容を制御する表示制御手段と、を備え、
D 前記表示制御手段は、前記第1の表示手段の表示内容にかかわらず、前記第1の表示手段の一方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容が、前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段に向かって移動するように制御する
ことを特徴とする遊技機。」
(下線部は補正箇所を示す。A?Dは本願補正発明を分説するために当審で付した。)。

2.補正の適否について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「表示制御手段」に関して、補正前の請求項1では、「前記第2の表示手段の表示内容と、前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容と、が互いに連動するように制御するように制御する」とされていたものを、補正後の請求項1では、「前記第1の表示手段の一方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容が、前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段に向かって移動するように制御する」ものに限定するものである。
そして、本件補正後の請求項1に係る発明においては、「表示制御手段」が制御する「前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段」の「表示内容」については、具体的にどのように制御するのかについて限定されていないから、補正後の請求項1に係る発明の「表示制御手段」は、「前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段」の「表示内容」を、「前記第1の表示手段の一方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容」と連動しない、例えば、静止した表示内容とするように制御するものも含むものであるといえる。
したがって、本件補正により、上記補正後の請求項1に係る発明の「表示制御手段」は、補正前の請求項1に係る発明の「表示制御手段」が有していた「前記第2の表示手段の表示内容と、前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容と、が互いに連動するように制御するように制御する」構成を有しないものも含むことになるという点で、補正前の請求項1に係る発明の「表示制御手段」による制御より技術的範囲が拡張されたものとなるから、本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものではなく、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものともいえない。
そして、本件補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことは明らかである。
以上のことから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.独立特許要件
本件補正については上記「2.補正の適否」のとおりであるが、仮に、本件補正が限定的減縮を目的とするものとして、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記「1.本件補正の概要」において示したとおりのものである。

(2)刊行物1に記載された発明
本願の出願日前に頒布された刊行物である、特開2015-29606号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。

(1-ア)「【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるパチンコ機100を背面側から見た外観図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態によるパチンコ機100の遊技盤200を正面から見た略示正面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態によるパチンコ機100の制御部の回路ブロック図である。」

(1-イ)「【0038】
次に、図4を用いて、パチンコ機100の制御部の回路構成について詳細に説明する。なお、同図は制御部の回路ブロック図を示したものである。パチンコ機100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」と呼ぶ)に応じて主に演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、主制御部300が送信するコマンドに応じて主に遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御部600と、遊技球の発射制御を行う発射制御部630と、パチンコ機100に供給される電源を制御する電源制御部660と、によって構成している。
・・・
【0046】
次に、パチンコ機100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、主に主制御部300が送信したコマンド等に基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、基本回路402には、CPU404と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412を搭載している。基本回路402のCPU404は、水晶発振器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。
【0047】
また、基本回路402には、スピーカ120(およびアンプ)の制御を行うための音源IC416と、各種ランプ418(例えば、チャンスボタンランプ138)の制御を行うための駆動回路420と、遮蔽装置の駆動制御を行うための駆動回路432と、遮蔽装置の現在位置を検出する遮蔽装置センサ430と、チャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタン検出センサ426と、遮蔽装置センサ430やチャンスボタンのチャンボタン検出センサ426からの検出信号を基本回路402に出力するセンサ回路428と、制御プログラムや各種演出データを記憶するためのROM406と、CPU404からの信号に基づいてROM406に記憶された画像データ等を読み出してVRAM436のワークエリアを使用して表示画像を生成して第一装飾図柄表示装置208および第二装飾図柄表示装置209に画像を表示するVDP434(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサー)と、を接続している。なお、ROM406は、制御プログラムと各種演出データとを別々のROMに記憶させてもよい。また、第一装飾図柄表示装置208と第二装飾図柄表示装置209のそれぞれに別個にVDP434やVRAM436を設けるようにしてもよい。」

(1-ウ)「【0443】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態によるパチンコ機100について図50?図69を用いて説明する。図50は本発明の第2の実施の形態によるパチンコ機100の遊技盤200を正面から見た略示正面図である。図50に示す遊技盤200には、第1の実施の形態での演出可動体224とは移動動作が異なる演出可動体224が搭載されている。演出可動体224以外の構成要素は図3に示す遊技盤200の構成要素と同一であるので同一の符号を付してその詳細説明は省略する。なお、図50では図示を省略したがシャッタも設けられている。」

(1-エ)「【0542】
(実施例5)
次に、本発明の第2の実施の形態によるパチンコ機100による演出例の実施例5について図65?図68を用いて説明する。図65は、本発明の第2の実施の形態によるパチンコ機100の演出可動体224を用いた具体的演出の実施例5(その1)を示している。図65は、実施例5におけるパチンコ機100の第一装飾図柄表示装置208と第二装飾図柄表示装置209と第三装飾図柄表示装置211で実行される演出を示している。図65(a)?(h)はこの順に時系列に並べられている。
【0543】
第一装飾図柄表示装置208の左方には、第二装飾図柄表示装置209が配置されている。図65(a)に示す状態では、第二装飾図柄表示装置209は初期位置に位置している。第二装飾図柄表示装置209の上部には、不図示の2つのプーリに巻き回したベルトを固定している。すなわち、第二装飾図柄表示装置209は、モータによりプーリを介して駆動するベルトの動作に伴って左右に移動する。第二装飾図柄表示装置209は、任意の位置で停止可能である。第二装飾図柄表示装置209は、第一装飾図柄表示装置208の表示領域前方平面内を水平方向に移動することができるようになっている。
【0544】
第一装飾図柄表示装置208の右方には、第三装飾図柄表示装置211が配置されている。図65(a)に示す状態では、第三装飾図柄表示装置211は初期位置に位置している。第三装飾図柄表示装置211の上部には、不図示の2つのプーリに巻き回したベルトを固定している。すなわち、第三装飾図柄表示装置211は、モータによりプーリを介して駆動するベルトの動作に伴って左右に移動する。第三装飾図柄表示装置211は、任意の位置で停止可能である。第三装飾図柄表示装置211は、第一装飾図柄表示装置208の表示領域前方平面内を水平方向に移動することができるようになっている。また、第二装飾図柄表示装置209と第三装飾図柄表示装置とは同一平面内で移動することができるようになっている。」

(1-オ)「【0552】
図66は、本発明の第2の実施の形態によるパチンコ機100の具体的演出の実施例5(その2)を示している。図66(a)?(h)は、図65(h)に引き続いて実行される演出であって、この順に時系列に並べられている。
・・・
【0556】
図66(d)は、第二装飾図柄表示装置209に殿様が表示され、第三装飾図柄表示装置211に剣豪が表示されて、殿様と剣豪とが対峙している状態を示している。この際、第一装飾図柄表示装置208は、所定の演出表示を表示してもよい。
【0557】
その後、図66(f)に示すように、殿様が剣豪に向かっていく画像が第二装飾図柄表示装置209に表示され、それに伴い、図66(g)、(h)に示すように、第二装飾図柄表示装置209が第三装飾図柄表示装置211に向かって移動を開始する。本例では、殿様が剣豪に向かっていく画像が第二装飾図柄表示装置209に表示された後、演出可動体224が移動を開始しているが、殿様が剣豪に向かっていく画像の表示と演出可動体224の移動は、同時に開始されてもよいし、いずれか一方が先に開始されてもよい。また、第二装飾図柄表示装置209の移動により、第一装飾図柄表示装置208での装飾図柄の表示が隠されるので、第三装飾図柄表示装置211に装飾図柄を表示するようになっている。」

(1-カ)「【0562】
図67(e)は、第二装飾図柄表示装置209および第三装飾図柄表示装置211が初期位置に移動した状態を示している。これにより、第一装飾図柄表示装置208の全体が視認可能になる。第一装飾図柄表示装置208には、剣豪に勝った殿様と、殿様に負けた剣豪とが表示される。また、第一装飾図柄表示装置208の全体が視認可能になって、図柄表示領域208a?208cの全体が視認可能になったので、第三装飾図柄表示装置211での装飾図柄の表示が消去される。第三装飾図柄表示装置211での装飾図柄の表示は、第一装飾図柄表示装置208での装飾図柄が視認可能になった後に消去されてもよいし、第二装飾図柄表示装置209および第三装飾図柄表示装置211の移動が完了した後に消去されてもよい。」

(1-キ)「【0572】
本実施例によるパチンコ機100は、表示を実行可能な第一の表示手段として第一装飾図柄表示装置208と、表示を実行可能な第二の表示手段として第二装飾図柄表示装置209と、表示を実行可能な第三の表示手段として第三装飾図柄表示装置を備えている。」

(1-ク)「【0584】
上記構成を備えたパチンコ機100によれば、演出のバリエーションを増やし、遊技の興趣を向上させることができる場合がある。
・・・
【0593】
第一の表示手段を少なくとも動作可能な動作手段(モータ、ソレノイド)を備えてもよい。
動作手段の動作を制御可能な動作制御手段(第一副制御部、第二副制御部)を備えてもよい。
表示手段の表示を制御可能な表示制御手段(第一副制御部、第二副制御部)を備えてもよい。」

(1-ケ)図4より、符号「400」で示された部材が、符号「434」で示された部材を有することがみてとれる。
また、(1-イ)の段落【0046】には、「第1副制御部400」と記載され、段落【0047】には、「基本回路402には、・・・画像データ等を読み出して・・・VDP434・・・を接続している。」と記載されている。また、上記(1-ア)の段落【0008】には、「【図4】本発明の第1の実施の形態によるパチンコ機100の制御部の回路ブロック図である。」と記載されている。
よって、図4により、第1の実施の形態によるパチンコ機100の第1副制御部400がVDP434を含むことについて図示されているといえる。

(1-コ)図66(e)及び図66(f)には、符号208で示された部材における上部中央の、符号「208a」、「208b」及び「208c」の位置に示された図柄があることが、みてとれる。
また、上記(1-エ)の段落【0542】には、「第一装飾図柄表示装置208」と記載され、上記(1-カ)の段落【0562】には「図柄表示領域208a?208c」と記載されている。
したがって、図66(e)及び図66(f)は、第一装飾図柄表示装置208の上部中央に装飾図柄が表示されることを図示している。
そして、上記(1-オ)の段落【0556】には、「図66(d)は、第二装飾図柄表示装置209に殿様が表示され、・・・殿様と剣豪とが対峙している状態を示している。」と記載されており、図66(d)?(e)には、符号209で示された部材に描かれたキャラクタが図示されており、図66(d)に図示されたキャラクタの位置及び姿勢は、図66(e)に図示されたキャラクタ及びその位置と同じであるから、図66(d)とキャラクタの位置が同じ位置に図示された図66(e)には、図66(d)と同様に、剣豪と対峙しているキャラクタ(殿様)が図示されているといえる。
また、上記(1-オ)の段落【0557】には、「図66(f)に示すように、殿様が剣豪に向かっていく画像が第二装飾図柄表示装置209に表示され」と記載され、図66(f)には、符号209で示された部材に描かれた、キャラクタが図示されている。
したがって、図66(e)には、第二装飾図柄表示装置209において剣豪と対峙している殿様の画像が表示されていることが図示されており、図66(f)には、剣豪に向かっていく殿様の画像が表示されていることが図示されているといえる。
そして、第二装飾図柄表示装置209により表示されている殿様の画像は、図66(e)に図示された剣豪と対峙している殿様の画像よりも、図66(f)に図示された、剣豪に向かっていく殿様の画像の方が、上半身が前傾となることにより、第三装飾図柄表示装置211に対して近い位置にあることがみてとれる。
したがって、以上の(1-エ)、(1-オ)の記載事項、図66(e)及び図66(f)の図示内容より、図66(e)と図66(f)とでは、第一装飾図柄表示装置208に表示される装飾図柄の位置は共に上部中央で同一であり、図66(e)に図示された剣豪と対峙している殿様の画像よりも、図66(f)に図示された、剣豪に向かっていく殿様の画像の方が、上半身が前傾となることにより、第三装飾図柄表示装置211に近い位置にあるといえる。
そして、上記(1-エ)の上記段落【0552】には、「図66(a)?(h)は、・・・この順に時系列に並べられている。」と記載されているから、図66(f)の図示内容は図66(f)の図示内容より後の状態を表すものといえる。
よって、図66(e)及び図66(f)には、第一装飾図柄表示装置208に装飾図柄が上部中央に表示され、第二装飾図柄表示装置209には剣豪と対峙している殿様の画像が表示され、その後、第一装飾図柄表示装置208に装飾図柄が上部中央の同一位置に表示され、第二装飾図柄表示装置209には剣豪に向かっていく殿様の画像が、第三装飾図柄表示装置211に対して、上半身が前傾となることにより、近づいた位置で表示されることが図示されているといえる。

上記(1-ア)?(1-ク)の記載事項、上記(1-ケ)?(1-コ)で認定された図示内容により、以下の事項が導かれる。

(1-サ)上記(1-ウ)の段落【0443】には、「パチンコ機100の遊技盤200」と記載されているから、刊行物1には、パチンコ機100が遊技盤200を備えることについて記載されているといえる。

(1-シ)上記(1-エ)の段落【0542】には、「パチンコ機100の第一装飾図柄表示装置208と第二装飾図柄表示装置209と第三装飾図柄表示装置211」と記載されており、上記(1-エ)の段落【0543】には、「第一装飾図柄表示装置208の左方には、第二装飾図柄表示装置209が配置されている。」と記載され、上記(1-エ)の段落【0544】には、「第一装飾図柄表示装置208の右方には、第三装飾図柄表示装置211が配置されている。」と記載されている。
よって、刊行物1には、パチンコ機100は、第一装飾図柄表示装置208の左方及び右方にそれぞれ配置される、第二装飾図柄表示装置209及び第三装飾図柄表示装置211を備えることが記載されているといえる。

(1-ス)上記(1-オ)の段落【0552】には、「第2の実施の形態によるパチンコ機100」と記載され、上記(1-キ)の段落【0572】には、「本実施例によるパチンコ機100は、・・・第一の表示手段として第一装飾図柄表示装置208と、表示を実行可能な第二の表示手段として第二装飾図柄表示装置209と、表示を実行可能な第三の表示手段として第三装飾図柄表示装置を備えている」と記載され、上記(1-エ)の段落【0544】には、「第三装飾図柄表示装置211」と記載されているから、表示手段として、第一装飾図柄表示装置208、第二装飾図柄表示装置209、及び第三装飾図柄表示装置211を備えているのは、第2の実施の形態によるパチンコ機100であるといえる。また、上記(1-ク)の段落【0584】には、「パチンコ機100」と記載され、段落【0593】には、「表示手段の表示を制御可能な表示制御手段(第一副制御部・・・)を備えてもよい。」と記載されている。
したがって、第2の実施の形態によるパチンコ機100は、表示手段による表示を制御可能な表示制御手段(第一副制御部)を備えているといえる。
よって、刊行物1には、パチンコ機100は、第一装飾図柄表示装置208、第二装飾図柄表示装置209、及び第三装飾図柄表示装置211を表示手段として備え、また、表示手段による表示を制御する表示制御手段(第一副制御部)を備えることについて記載されているといえる。

(1-セ)上記(1-ア)の段落【0008】には、「【図4】本発明の第1の実施の形態によるパチンコ機100の制御部の回路ブロック図である。」と記載され、上記(1-イ)の段落【0038】には、「図4を用いて、パチンコ機100の制御部の回路構成について詳細に説明する。」と記載され、上記(1-イ)の段落【0047】には「画像データ等を読み出して・・・表示画像を生成して第一装飾図柄表示装置208および第二装飾図柄表示装置209に画像を表示するVDP434」と記載されているから、第1の実施の形態によるパチンコ機100におけるVDP434は、第一装飾図柄表示装置208及び第二装飾図柄表示装置209で表示される表示画像を生成する、表示制御を行うものであるといえる。
そして、上記(1-イ)の段落【0046】には、「パチンコ機100の第1副制御部400」と記載され、また、上記(1-ケ)により、第1の実施の形態によるパチンコ機100のVDP434は第1副制御部400に含まれるものであるから、VDP434により行われる制御は、パチンコ機100の第1副制御部400により行われる制御でもあるといえる。
したがって、刊行物1には、第1の実施の形態によるパチンコ機100の第1副制御部400は、第一装飾図柄表示装置208及び第二装飾図柄表示装置209で表示される表示画像を生成する、表示制御を行うといえる。
また、上記(1-ス)により、第2の実施の形態によるパチンコ機100の有する第三装飾図柄表示装置211は、第一装飾図柄表示装置208、第二装飾図柄表示装置209と同様に表示制御手段(第一副制御部)より制御されるものであるといえる。
したがって、第1の実施の形態によるパチンコ機100の備える第1副制御部400は、第三装飾図柄表示装置211を有する第2の実施の形態によるパチンコ機100においても表示制御手段(第一副制御部)として適用されるものであり、第一装飾図柄表示装置208及び第二装飾図柄表示装置209に加え、第三装飾図柄表示装置211で表示される表示画像を生成する表示制御を行うものであることは明らかである。
よって、刊行物1には、パチンコ機100の第1副制御部400は、第一装飾図柄表示装置208、第二装飾図柄表示装置209、及び第三装飾図柄表示装置211で表示される表示画像を生成する表示制御を行うことについて記載されているといえる。

(1-ソ)上記(1-コ)により、第一装飾図柄表示装置208に装飾図柄が上部中央に表示され、第二装飾図柄表示装置209には剣豪と対峙している殿様の画像が表示され、その後、第一装飾図柄表示装置208に装飾図柄が上部中央の同一位置に表示され、第二装飾図柄表示装置209には剣豪に向かっていく殿様の画像が、第三装飾図柄表示装置211に対して上半身が前傾となることにより近づいた位置で表示されるといえる。
そして、上記(1-シ)により、第二装飾図柄表示装置209は第一装飾図柄表示装置208の左方に配置され、第三装飾図柄表示装置211は第一装飾図柄表示装置208の右方に配置されるものであり、上記(1-セ)により、第一装飾図柄表示装置208、第二装飾図柄表示装置209、及び第三装飾図柄表示装置211の表示は、パチンコ機100の第1副制御部400より制御されるといえる。
よって、刊行物1には、パチンコ機100の第1副制御部400は、第一装飾図柄表示装置208において中央上部に装飾図柄が表示されている間に、第一装飾図柄表示装置208の左方に配置される第二装飾図柄表示装置209に表示される殿様の画像は、剣豪と対峙している殿様の画像として表示された後に、第一装飾図柄表示装置208の右方に配置される第三装飾図柄表示装置211に対して上半身が前傾となることにより近づいた位置で、剣豪に向かっていく殿様の画像として表示されるように制御することについて記載されているといえる。

上記(1-ア)?(1-ク)の記載事項、上記(1-ケ)?(1-コ)で認定された図示内容、及び(1-サ)?(1-ソ)の認定事項により、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「刊行物1発明」という。)。

「a パチンコ機100であって、
遊技盤200と(上記(1-サ))、
b 第一装飾図柄表示装置208の左方、及び右方にそれぞれ配置される第二装飾図柄表示装置209、及び第三装飾図柄表示装置211と(上記(1-シ))、
c 第一装飾図柄表示装置208、第二装飾図柄表示装置209、及び第三装飾図柄表示装置211で表示される表示画像を生成する表示制御を行う第1副制御部400と、を備え(上記(1-セ))、
d 第1副制御部400は、第一装飾図柄表示装置208において中央上部に装飾図柄が表示されている間に、第一装飾図柄表示装置208の左方に配置される第二装飾図柄表示装置209に表示される殿様の画像は、剣豪と対峙している殿様の画像として表示された後に、第一装飾図柄表示装置208の右方に配置される第三装飾図柄表示装置211に対して上半身が前傾となることにより近づいた位置で、剣豪に向かっていく殿様の画像として表示されるように制御する、パチンコ機100(上記(1-ソ))。」

(3)対比・判断
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する。なお、刊行物1発明の構成a?dに対応して見出し(a)?(d)を付した。

(a)刊行物1発明の「パチンコ機100」及び「遊技盤200」は、それぞれ本願補正発明の「遊技機」及び「遊技盤」に相当するから、刊行物1発明の構成aは、本願補正発明の構成Aに相当する。

(b)刊行物1発明の「第一装飾図柄表示装置208」は、本願補正発明の「第1の表示手段」に相当する。したがって、刊行物1発明の「第一装飾図柄表示装置208の左方、及び右方にそれぞれ配置される」ことは、本願補正発明の「第1の表示手段を介してそれぞれ配置される」ことに相当する。
また、刊行物1発明の「第二装飾図柄表示装置209」及び「第三装飾図柄表示装置211」は、本願補正発明の「複数の第2の表示手段」に相当する。
よって、刊行物1発明の「第一装飾図柄表示装置208の左方、及び右方にそれぞれ配置される第二装飾図柄表示装置209、及び第三装飾図柄表示装置211」は、本願補正発明の「第1の表示手段を介してそれぞれ配置される複数の第2の表示手段」に相当する。

(c)上記(b)で検討したように、刊行物1発明の「第一装飾図柄表示装置208」は本願補正発明の「第1の表示手段」に相当し、刊行物1発明の「第二装飾図柄表示装置209」及び「第三装飾図柄表示装置211」は、本願補正発明の「複数の第2の表示手段」に相当する。
また、刊行物1発明の「表示される表示画像を生成する表示制御を行う」ことは、本願補正発明の「表示内容を制御する」ことに相当する。
よって、刊行物1発明の「第一装飾図柄表示装置208、第二装飾図柄表示装置209、及び第三装飾図柄表示装置211で表示される表示画像を生成する表示制御を行う第1副制御部400」は、本願補正発明の「前記第1の表示手段および前記第2の表示手段のそれぞれの表示内容を制御する表示制御手段」に相当する。

(d)上記(c)で検討したように、刊行物1発明の「第1副制御部400」は、本願補正発明の「表示制御手段」に相当する。
また、上記(b)で検討したように、刊行物1発明の「第一装飾図柄表示装置208」は、本願補正発明の「第1の表示手段」に相当するから、刊行物1発明の「第一装飾図柄表示装置208において」「中央上部に」「表示されている」「装飾図柄」は、本願補正発明の「前記第1の表示手段の表示内容」に相当する。
また、刊行物1発明の「殿様の画像」は、「剣豪と対峙している殿様の画像として表示された後に、第一装飾図柄表示装置208の右方に配置される第三装飾図柄表示装置211に対して上半身が前傾となることにより近づいた位置で、剣豪に向かっていく殿様の画像として表示される」ものであるから、「剣豪と対峙している殿様の画像」が「第三装飾図柄表示装置211に」「近づいた位置」に向かって移動するように表示されるものであるといえる。
したがって、刊行物1発明の「殿様の画像」は、本願補正発明の「向かって移動する」「表示内容」に相当する。
そうすると、刊行物1発明の「第一装飾図柄表示装置208の左方に配置される第二装飾図柄表示装置209」は、「殿様の画像」(本願補正発明の「向かって移動する」「表示内容」に相当)を表示するものである以上、本願補正発明において「表示内容」を表示する「前記第1の表示手段の一方の側に配置される前記第2の表示手段」に相当するといえる。
そして、刊行物1発明の「第一装飾図柄表示装置208の右方に配置される第三装飾図柄表示装置211」は、「殿様の画像」が「上半身が前傾となることにより近づいた位置」となるもの、すなわち、「殿様の画像」が「向かって移動する」ものであるから、本願補正発明の「表示内容」が「向かって移動する」「前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段」に相当する。
したがって、刊行物1発明の「第一装飾図柄表示装置208の左方に配置される第二装飾図柄表示装置209に表示される殿様の画像は、剣豪と対峙している殿様の画像として表示された後に、第一装飾図柄表示装置208の右方に配置される第三装飾図柄表示装置211に対して上半身が前傾となることにより近づいた位置で、剣豪に向かっていく殿様の画像として表示される」ことは、刊行物1発明の「前記第1の表示手段の一方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容が、前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段に向かって移動する」ことに相当する。
そして、刊行物1発明の「剣豪と対峙している殿様の画像として表示された後に、第一装飾図柄表示装置208の右方に配置される第三装飾図柄表示装置211に対して上半身が前傾となることにより近づいた位置で、剣豪に向かっていく殿様の画像として表示される」「殿様の画像」は、刊行物1発明の「第一装飾図柄表示装置208において」「中央上部に」「表示されている」「装飾図柄」にかかわらない表示内容であるということができる。
よって、刊行物1発明の「第1副制御部400は、第一装飾図柄表示装置208において中央上部に装飾図柄が表示されている間に、第一装飾図柄表示装置208の左方に配置される第二装飾図柄表示装置209に表示される殿様の画像は、剣豪と対峙している殿様の画像として表示された後に、第一装飾図柄表示装置208の右方に配置される第三装飾図柄表示装置211に対してより近づいた位置で、剣豪に向かっていく殿様の画像として表示されるように制御する」ことは、本願補正発明の「前記表示制御手段は、前記第1の表示手段の表示内容にかかわらず、前記第1の表示手段の一方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容が、前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段に向かって移動するように制御する」ことに相当し、刊行物1発明の構成dは、本願補正発明の構成Dに相当する。

したがって、上記(a)?(d)の検討事項により、本願補正発明と、刊行物1発明とは、
「遊技機であって、
遊技盤と、
第1の表示手段を介してそれぞれ配置される複数の第2の表示手段と、
前記第1の表示手段および前記第2の表示手段のそれぞれの表示内容を制御する表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記第1の表示手段の表示内容にかかわらず、前記第1の表示手段の一方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容が、前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段に向かって移動するように制御する
遊技機。」
で一致し、構成上の差異はない。

よって、本願補正発明は刊行物1発明と同一であり、刊行物1に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

また、仮に、本願補正発明が刊行物1発明と同一でないとしても、本願補正発明は、刊行物1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定に基づいて、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)まとめ
よって、仮に、本件補正が限定的減縮を目的とするものとしても、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

4.むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであり、また、仮に、本件補正が限定的減縮を目的とするものとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年9月16日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
A 遊技機であって、
遊技盤と、
B 第1の表示手段を介してそれぞれ配置される複数の第2の表示手段と、
C 前記第1の表示手段および前記第2の表示手段のそれぞれの表示内容を制御する表示制御手段と、を備え、
D’前記表示制御手段は、前記第1の表示手段の表示内容にかかわらず、前記第1の表示手段の一方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容と、前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容と、が互いに連動するように制御する
ことを特徴とする遊技機。」
(A?D’は本願発明を分説するために当審で付した。)

2.刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由(平成28年7月19日付け拒絶理由通知)に引用文献1として引用された特開2014-239744号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(2-ア)「【0042】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また、図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1及び図2を参照しつつパチンコ機1の全体構成について説明する。」

(2-イ)「【0049】
また、パチンコ機1は、遊技用ユニットとして上記の遊技盤ユニット8を備えている。遊技盤ユニット8は、一体扉ユニット4の背後(内側)で上記の内枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤ユニット8は、例えば一体扉ユニット4を前面側へ開放した状態で内枠アセンブリ7に対して着脱可能である。一体扉ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、一体扉ユニット4の裏側に図示しない取り付け具を介して取り付けられる。遊技盤ユニット8の前面には遊技領域8a(盤面、遊技盤)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。一体扉ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。」

(2-ウ)「【0074】
遊技盤ユニット8には、その中央位置から右側部分にかけて上記の演出ユニット40が設置されている。演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40c等を備えている。装飾部品40b,40cはその立体的な造形により遊技盤ユニット8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また、演出ユニット40の内側にはメイン液晶表示器42(画像表示器、メイン表示器)が設置されており、このメイン液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像や変動表示演出に関する画像が表示される。さらに、メイン液晶表示器42の上方には第1サブ液晶表示器210が配置されており、メイン液晶表示器42の左側下方には第2サブ液晶表示器220が配置されており、メイン液晶表示器42の右側下方には第3サブ液晶表示器230が配置されている。」

(2-エ)「【0097】
そして、図6に示すように、第1昇降用モータ211、第2昇降用モータ221及び第3昇降用モータ231が駆動し、第1ピニオンギヤ213、第2ピニオンギヤ223及び第3ピニオンギヤ233が手前側から見て反時計回りに回転すると、第1ピニオンギヤ213、第2ピニオンギヤ223及び第3ピニオンギヤ233の回転力が、それぞれ第1ラック215、第2ラック225及び第3ラック235に伝達され、第1昇降板214は下降し、第2昇降板224及び第3昇降板234は斜めに上昇する。これにより、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230がメイン液晶表示器42の前方に出没する。」

(2-オ)「【0114】
本実施形態によれば、一番奥がメイン液晶表示器42であり、その手前が第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230であり、一番手前が第1サブ液晶表示器210である。このように、「第1サブ液晶表示器210」と、「第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230」との配置位置を前後にずらすことにより、それぞれが可動したときに互いに干渉する(ぶつかる)ことがなくなり、サブ液晶表示器の可動の自由度を向上させることができる。なお、第2サブ液晶表示器220と第3サブ液晶表示器230との配置位置を前後にずらして配置してもよい。」

(2-カ)「【0137】
上記のメイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230は遊技盤ユニット8の裏側に設置されており、遊技盤ユニット8に形成された略矩形の開口や透明樹脂板で構成された遊技板8bを通じてその表示画面が視認可能となっている。また、遊技盤ユニット8の裏側にはインバータ基板158が設置されており、このインバータ基板158はメイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のバックライト(例えば冷陰極管)に印加される交流電源を生成している。さらに、遊技盤ユニット8の裏側には演出表示制御装置144が設置されており、メイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230による表示動作は、演出表示制御装置144により制御されている。演出表示制御装置144には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU146とともに、表示プロセッサであるVDP152を実装した回路基板(演出表示制御基板)が装備されている。このうち表示制御CPU146は、図示しないCPUコアとともにROM148、RAM150等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。また、VDP152は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM154やVRAM156等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なお、VRAM156は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
・・・
【0139】
表示制御CPU146は、VDP152に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP152は、制御信号に基づいて画像ROM154にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM156に転送する。さらに、VDP152は、VRAM156上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づきメイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動する。」

(2-キ)「【0562】
〔サブ液晶表示器での変動表示演出〕
そして、ここからはサブ液晶表示器での変動表示演出が開始される。具体的には、第1サブ液晶表示器210にて変動表示演出が実行され、第2サブ液晶表示器220にて変動表示演出が実行され、第3サブ液晶表示器230にて変動表示演出が実行されている。
【0563】
〔左演出図柄停止〕
図64中(J):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面の左側位置に数字の「5」を表す左演出図柄が停止する。
【0564】
〔右演出図柄停止〕
図64中(K):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面の右側位置に数字の「4」を表す右演出図柄が停止する。
【0565】
〔右演出図柄滑り演出〕
図64中(L):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面で一旦停止した右演出図柄が滑る演出が実行され、右演出図柄が再び変動を開始する。
【0566】
〔右演出図柄停止〕
図65中(M):滑り演出を経て、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面の右側位置に数字の「6」を表す右演出図柄が停止する。
【0567】
〔再変動専用演出図柄登場〕
図65中(N):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面にて左演出図柄及び右演出図柄が停止した状態で、画面の上部から再変動専用演出図柄がゆっくり落下してくる演出が実行される。
【0568】
〔再変動専用演出図柄停止〕
図65中(O):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面にて、表示画面の上部からゆっくり落下してきた再変動専用演出図柄が、左演出図柄と右演出図柄との間に停止される演出が実行される。再変動専用演出図柄が中央位置に停止することにより、再変動予告演出が継続することになる。
【0569】
〔仮停止(2回目)〕
図66中(P):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面にて、中央位置に停止された再変動専用演出図柄の画像が消滅し、画面下部には「NEXT」の文字情報が表示される。ここで、演出図柄は非当選の態様で仮停止されている。演出図柄の配列は、左演出図柄の数字に対して1を加算した数字を含む中演出図柄及び右演出図柄が停止するチャンス目(「5」-「6」-「6」)となっている。ただし、各演出図柄は、左右に揺れて表示されており、演出図柄の変動は完全には停止していない。
・・・
【0575】
〔リーチ発生後予告演出〕
図67中(T):リーチ状態が発生して暫くすると、例えば猫のキャラクターを表す画像が群をなして画面上を右から左に通過していくリーチ発生後予告演出(群予告演出)が行われる。このようなリーチ発生後予告演出を実行することで、遊技者に対してさらに大きな期待感を抱かせる効果が得られる。
【0576】
〔サブ液晶表示器の収納〕
リーチ状態が発生してからリーチ発生後予告演出が実行されるまでの間に、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230は元の退避位置に戻る。
そして、これ以降は上述したリーチ演出が実行されて大当りかはずれになるという演出が実行される。」

(2-ク)図64には、図64(J)、図64(K)及び図64(L)の順に進行することを示す矢印が図示されている。また、図64(J)、図64(K)及び図64(L)においては、符号「42」で示された部材が配置された領域に重なって、上側には、符号「210」で示される部材が配置され、下側には、符号「220」及び「230」で示される部材が配置されていることがみてとれる。
そして、上記(2-エ)の段落【0097】には、「第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230がメイン液晶表示器42の前方に出没する。」と記載されているから、図64、図65、図66において符号「42」、「210」、「220」及び「230」で示された部材は、それぞれ、メイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230であるといえる。
したがって、図64(J)、図64(K)及び図64(L)には、メイン液晶表示器42の前方上側に配置された第1サブ液晶表示器210と、メイン表示器42の前方下側に配置された第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230とが図示されているといえる。
また、上記(2-キ)の段落【0562】には、「ここからはサブ液晶表示器での変動表示演出が開始される。」と記載され、段落【0563】には、「図64中(J):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面の左側位置に数字の「5」を表す左演出図柄が停止する。」と記載され、段落【0564】には、「図64中(K):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面の右側位置に数字の「4」を表す右演出図柄が停止する。」と記載され、段落【0565】には、「図64中(L):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面で一旦停止した右演出図柄が滑る演出が実行され、右演出図柄が再び変動を開始する。」と記載されている。
よって、図64には、メイン液晶表示器42の前方上側に配置された第1サブ液晶表示器210、メイン表示器42の前方下側に配置された第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230において、各サブ液晶表示器での変動表示演出が開始されてから、左側位置に数字の「5」を表す左演出図柄が停止し、次に、右側位置に数字の「4」を表す右演出図柄が停止し、その後、一旦停止した右演出図柄が滑る演出が実行され、右演出図柄が再び変動を開始する表示がなされることが図示されているといえる。

(2-ケ)図65には、図65(M)、図65(N)及び図65(O)の順に進行することを示す矢印が図示されている。
また、上記(2-エ)の段落【0097】には、「第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230がメイン液晶表示器42の前方に出没する。」と記載されているから、図65、図66において符号「42」、「210」、「220」及び「230」で示された部材は、それぞれ、メイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220、第3サブ液晶表示器230であるといえる。
また、上記(2-キ)の段落【0566】には、「図65中(M):滑り演出を経て、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面の右側位置に数字の「6」を表す右演出図柄が停止する。」と記載され、段落【0567】には、「図65中(N):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面にて左演出図柄及び右演出図柄が停止した状態で、画面の上部から再変動専用演出図柄がゆっくり落下してくる演出が実行される。」と記載され、段落【0568】には、「図65中(O):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面にて、表示画面の上部から・・・落下してきた再変動専用演出図柄が、・・・停止される」と記載されている。
また、図65(P)及び図65(O)からは、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230により、「Replay」の文字からなる図柄が上部から落下してきて、停止される表示が行われることがみてとれる。そして、上記段落【0567】及び【0568】の記載により、この図柄が、「再変動専用演出図柄」であることは明らかである。
そして、上記段落【0566】に記載された「滑り演出」とは、上記認定事項(2-ク)における、図64に図示された「右演出図柄が滑る演出」であることは明らかである。
よって、図65には、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230において、右演出図柄が滑る滑り演出を経て、右側位置に数字の「6」を表す右演出図柄が停止し、次に、左演出図柄及び右演出図柄が停止した状態で、上部から落下してきた「Replay」の文字からなる再変動専用演出図柄が、停止する表示がなされることが図示されているといえる。

(2-コ)図65(O)の下部には、図65(O)、図66(P)の順に進行することを示す矢印が図示されている。そして、上記(2-エ)の段落【0097】には、「第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230がメイン液晶表示器42の前方に出没する。」と記載されているから、図65、図66において符号「42」、「210」、「220」及び「230」で示された部材は、それぞれ、メイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230であるといえる。
また、上記(2-キ)の段落【0568】には、「図65中(O):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面にて、・・・再変動専用演出図柄が、・・・停止される」と記載され、段落【0569】には、「図66中(P):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面にて、・・・再変動専用演出図柄の画像が消滅し、画面下部には「NEXT」の文字情報が表示される。・・・演出図柄は・・・仮停止されている。演出図柄の配列は、・・・チャンス目(「5」-「6」-「6」)となっている。」と記載されている。
よって、図65、図66には、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230において、停止した再変動専用演出図柄の画像が消滅し、演出図柄がチャンス目(「5」-「6」-「6」)で仮停止して「NEXT」の文字情報が表示されることが図示されているといえる。

(2-サ)、図64、図65、図66の下部には、図64、図65、図66の順に進行することを示す矢印が図示されている。そして、上記(2-エ)の段落【0097】には「第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230・・・メイン液晶表示器42」と記載されているから、図64、図65、図66において符号「42」、「210」、「220」及び「230」で示された部材は、それぞれ、「メイン液晶表示器42」、「第2サブ液晶表示器220」、「第3サブ液晶表示器230」であるといえる。
また、上記(2-キ)の段落【0562】には、「ここからはサブ液晶表示器での変動表示演出が開始される。」と記載され、段落【0563】には、「図64中(J):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面の左側位置に数字の「5」を表す左演出図柄が停止する。」と記載され、段落【0569】には、「図66中(P):第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230のそれぞれの表示画面にて、・・・再変動専用演出図柄の画像が消滅し、画面下部には「NEXT」の文字情報が表示される。・・・演出図柄は・・・仮停止されている。演出図柄の配列は、・・・チャンス目(「5」-「6」-「6」)となっている。」と記載され、段落【0575】には、「図67中(T):リーチ状態が発生して暫くすると、・・・リーチ発生後予告演出・・・が行われる。」と記載され、上記(2-キ)の段落【0576】には、「リーチ状態が発生してからリーチ発生後予告演出が実行される」と記載されている。
そして、図64ないし図67により、サブ液晶表示器での変動表示演出の開始された図64(J)以降から、図66(P)において、演出図柄がチャンス目(「5」-「6」-「6」)で仮停止して「NEXT」の文字情報が表示されることを経て、図67(T)において、メイン液晶表示器42におけるリーチ発生後予告演出が実行される直前までは、メイン液晶表示器42において少なくとも図柄変動表示に関する表示が行われないことがみてとれる。
よって、図64ないし図67には、メイン液晶表示器42において、各サブ液晶表示器における変動表示演出が開始されてから、演出図柄のチャンス目(「5」-「6」-「6」)での仮停止、及び「NEXT」の文字情報の表示を経て、メイン液晶表示器42におけるリーチ発生後予告演出が実行される直前までの期間は、少なくとも図柄変動表示に関する表示が行われないことが図示されているといえる。

上記(2-ア)?(2-キ)の記載事項及び上記(2-ク)?(2-サ)で認定された図示内容から、以下の事項が導かれる。

(2-シ)上記(2-イ)の段落【0049】には、「パチンコ機1は、・・・遊技盤ユニット8を備えている。・・・遊技盤ユニット8の前面には・・・遊技盤・・・が形成されており」と記載されているから、刊行物2には、パチンコ機1が遊技盤を備えることについて記載されているといえる。

(2-ス)上記(2-ウ)の段落【0074】には、「メイン液晶表示器42の上方には第1サブ液晶表示器210が配置されており、メイン液晶表示器42の・・・下方には第2サブ液晶表示器220が配置されており、メイン液晶表示器42の・・・下方には第3サブ液晶表示器230が配置されている。」と記載され、上記(1-オ)の段落【0114】には、「一番奥がメイン液晶表示器42であり、その手前が第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230であり、一番手前が第1サブ液晶表示器210である。」と記載されているから、メイン液晶表示器42の前面上方には第1サブ液晶表示器210が配置され、メイン液晶表示器42の前面下方には第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230が配置されているといえる。
また、上記(2-イ)により、段落【0049】には、「パチンコ機1は、・・・遊技盤ユニット8を備えている。」と記載され、上記(2-カ)の段落【0137】には、「第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230は遊技盤ユニット8の裏側に設置されており」と記載されている。したがって、パチンコ機1の遊技盤ユニット8の裏側に第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230が設けられているといえる。
よって、刊行物2には、パチンコ機1が、メイン液晶表示器42の前面上方に配置された第1サブ液晶表示器210と、メイン液晶表示器42の前面下方に配置された第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230とを備えることについて記載されているといえる。

(2-セ)上記(2-カ)の段落【0137】には、「メイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230による表示動作は、演出表示制御装置144により制御されている。演出表示制御装置144には、・・・表示制御CPU146とともに、表示プロセッサであるVDP152を実装した回路基板・・・が装備されている。」と記載されており、上記(2-カ)の段落【0139】には「表示制御CPU146は、・・・制御信号を出力する。これを受け取ったVDP152は、制御信号に基づいて・・・必要な画像データを読み出して・・・展開し、・・・画像データに基づき・・・第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230の各画素・・・を・・・駆動する。」と記載されている。
したがって、演出表示制御装置144の表示制御CPU146は、必要な画像データを読み出すための制御信号を送信し、演出表示制御装置144のVDP152は、必要な画像データを読み出して、当該画像データに基づき展開し、画像データに基づいて第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230の各画素を駆動すること、すなわち、演出表示制御装置144は、メイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230に表示される画像の制御を行うことが明らかである。
また、上記(2-カ)の段落【0137】には、「遊技盤ユニット8の裏側には演出表示制御装置144が設置されており」と記載され、上記(2-イ)の段落【0049】には、「パチンコ機1は、・・・遊技盤ユニット8を備えている。」と記載されているから、パチンコ機1は演出表示制御装置144を備えるといえる。
よって、刊行物2には、パチンコ機1が、メイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230に表示される画像の制御を行う演出表示制御装置144を備えることについて記載されているといえる。

(2-ソ)上記(2-ク)により、図64には、メイン液晶表示器42の前方上側に配置された第1サブ液晶表示器210、メイン表示器42の前方下側に配置された第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230において、各サブ液晶表示器での変動表示演出が開始されてから、左側位置に数字の「5」を表す左演出図柄が停止し、次に、右側位置に数字の「4」を表す右演出図柄が停止し、その後、一旦停止した右演出図柄が滑る演出が実行され、右演出図柄が再び変動を開始する表示がなされることが図示されている。
また、上記(2-ケ)により、図65には、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230において、右演出図柄が滑る滑り演出を経て、右側位置に数字の「6」を表す右演出図柄が停止し、次に、左演出図柄及び右演出図柄が停止した状態で、上部から落下してきた「Replay」の文字からなる再変動専用演出図柄が、停止する表示がなされることが図示されている。
また、上記(2-コ)により、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230において、停止した再変動専用演出図柄の画像が消滅し、演出図柄がチャンス目(「5」-「6」-「6」)で仮停止して「NEXT」の文字情報が表示されることが図示されている。
そして、上記(2-サ)により、図64ないし図67には、メイン液晶表示器42において、各サブ液晶表示器における変動表示演出が開始されてから、演出図柄のチャンス目(「5」-「6」-「6」)での仮停止、及び「NEXT」の文字情報の表示を経て、メイン液晶表示器42におけるリーチ発生後予告演出が実行される直前までの期間は、少なくとも図柄変動表示に関する表示が行われないことが図示されている。
また、上記(2-セ)により、パチンコ機1の演出表示制御装置144によりメイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230に表示される画像の制御が行われるといえる。
よって、上記(2-ク)?(2-サ)で認定される図示内容及び上記認定事項(2-セ)により、刊行物2には、
演出表示制御装置144は、
メイン液晶表示器42の前方上側に配置された第1サブ液晶表示器210、メイン表示器42の前方下側に配置された第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230において、
各サブ液晶表示器での変動表示演出の開始後、
左側位置に数字の「5」を表す左演出図柄を停止し、次に、右側位置に数字の「4」を表す右演出図柄を停止し、その後、一旦停止した右演出図柄が滑る演出を実行し、右演出図柄を再び変動開始し、
右側位置に数字の「6」を表す右演出図柄を停止し、次に、左演出図柄及び右演出図柄が停止した状態で、上部から落下してきた「Replay」の文字からなる再変動専用演出図柄を停止表示し、
停止した再変動専用演出図柄の画像の消滅後、演出図柄がチャンス目(「5」-「6」-「6」)で仮停止して「NEXT」の文字情報を表示する制御を行い、
一方、メイン液晶表示器42において、サブ液晶表示器における変動表示演出が開始されてから、演出図柄のチャンス目(「5」-「6」-「6」)での仮停止、及び「NEXT」の文字情報の表示を経て、メイン液晶表示器42におけるリーチ発生後予告演出が実行される直前までの期間は、少なくとも図柄変動表示に関する表示が行われないように制御を行うことについて記載されているといえる。

上記(2-ア)?(2-キ)の記載事項、上記(2-ク)?(2-サ)で認定された図示内容、及び(2-シ)?(2-ソ)の認定事項から、刊行物2には、遊技機に関し、以下の技術事項が記載されていると認められる(以下「刊行物2発明」という。)。

「a パチンコ機1であって、
遊技盤と(上記(2-シ))、
b メイン液晶表示器42の前面上方に配置された第1サブ液晶表示器210と、メイン液晶表示器42の前面下方に配置された第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230と(上記(2-ス))、
c メイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230に表示される画像の制御を行う演出表示制御装置144と、を備え(上記(2-セ))、
d 演出表示制御装置144は、
メイン液晶表示器42の前方上側に配置された第1サブ液晶表示器210、メイン表示器42の前方下側に配置された第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230において、
各サブ液晶表示器での変動表示演出の開始後、
左側位置に数字の「5」を表す左演出図柄を停止し、次に、右側位置に数字の「4」を表す右演出図柄を停止し、その後、一旦停止した右演出図柄が滑る演出を実行し、右演出図柄を再び変動開始し、
右側位置に数字の「6」を表す右演出図柄を停止し、次に、左演出図柄及び右演出図柄が停止した状態で、上部から落下してきた「Replay」の文字からなる再変動専用演出図柄を停止表示し、
停止した再変動専用演出図柄の画像の消滅後、演出図柄がチャンス目(「5」-「6」-「6」)で仮停止して「NEXT」の文字情報を表示する制御を行い、
一方、メイン液晶表示器42において、サブ液晶表示器における変動表示演出が開始されてから、演出図柄のチャンス目(「5」-「6」-「6」)での仮停止、及び「NEXT」の文字情報の表示を経て、メイン液晶表示器42におけるリーチ発生後予告演出が実行される直前までの期間は、少なくとも図柄変動表示に関する表示が行われないように制御を行う、パチンコ機1(上記(2-ソ))。」

3.対比・判断
本願発明と刊行物2発明とを対比する。なお、刊行物2発明の構成a?dに対応して見出し(a)?(d)を付した。

(a)刊行物2発明の「パチンコ機1」及び「遊技盤」は、それぞれ、本願発明の「遊技機」及び「遊技盤」に相当する。
よって、刊行物2発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当する。

(b)刊行物2発明の「メイン液晶表示器42」は、本願発明の「第1の表示手段」に相当し、刊行物2発明の「第1サブ液晶表示器210」、「第2サブ液晶表示器220」及び「第3サブ液晶表示器230」は、本願発明の「複数の第2の表示手段」に相当する。
また、刊行物2発明において、「メイン液晶表示器42の前面上方に配置された第1サブ液晶表示器210」と、「メイン液晶表示器42の前面下方に配置された第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230」は、「メイン液晶表示器42」を「介して配置されている」といえる。
よって、刊行物2発明の構成bは、本願補正発明の構成Bに相当する。

(c)刊行物2発明の「表示される画像」は、本願補正発明の「表示内容」に相当する。
したがって、刊行物2発明の「メイン液晶表示器42、第1サブ液晶表示器210、第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230に表示される画像の制御を行う演出表示制御装置144」は、本願発明の「前記第1の表示手段および前記第2の表示手段のそれぞれの表示内容を制御する表示制御手段」に相当する。

(d)刊行物2発明の「メイン液晶表示器42の前方上側に配置された第1サブ液晶表示器210」及び「メイン表示器42の前方下側に配置された第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230」は、それぞれ、本願発明の「前記第1の表示手段の一方の側に配置される前記第2の表示手段」及び「前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段」に相当する。
また、刊行物2発明の「左演出図柄」、「右演出図柄」、「「Replay」の文字からなる再変動専用演出図柄」及び「「NEXT」の文字情報」は、「第1サブ液晶表示器210」、「第2サブ液晶表示器220」及び「第3サブ液晶表示器230」に表示されるから、本願発明の「前記第2の表示手段の表示内容」に相当する。
また、刊行物2発明の「メイン液晶表示器42」は、本願発明の「第1の表示手段」に相当するから、刊行物2発明の「メイン液晶表示器42」における、「少なくとも図柄変動表示に関する表示が行われない」態様での表示は、本願発明の「第1の表示手段の表示内容」に相当する。
そして、刊行物2発明において、「第1サブ液晶表示器210」、「第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230」において、
「各サブ液晶表示器での変動表示演出の開始後、
左側位置に数字の「5」を表す左演出図柄を停止し、次に、右側位置に数字の「4」を表す右演出図柄を停止し、その後、一旦停止した右演出図柄が滑る演出を実行し、右演出図柄を再び変動開始し、
右側位置に数字の「6」を表す右演出図柄を停止し、次に、左演出図柄及び右演出図柄が停止した状態で、上部から落下してきた「Replay」の文字からなる再変動専用演出図柄を停止表示し、
停止した再変動専用演出図柄の画像の消滅後、演出図柄がチャンス目(「5」-「6」-「6」)で仮停止して「NEXT」の文字情報を表示する制御を行」うことは、「第1サブ液晶表示器210」と、「第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230」とで、「左演出図柄」、「右演出図柄」、「「Replay」の文字からなる再変動専用演出図柄」及び「「NEXT」の文字情報」(本願発明の「第2の表示手段の表示内容」に相当)が、互いに連動するように制御することであるといえることから、本願発明の「前記第1の表示手段の一方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容と、前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容と、が互いに連動する」ように制御することに相当する。
また、上述の「第1サブ液晶表示器210」と、「第2サブ液晶表示器220及び第3サブ液晶表示器230」とが連動する内容の表示は、「メイン液晶表示器42」における、「少なくとも図柄変動表示に関する表示が行われない」期間である、「各サブ液晶表示器における変動表示演出が開始されてから、演出図柄のチャンス目(「5」-「6」-「6」)での仮停止、及び「NEXT」の文字情報の表示を経て、メイン液晶表示器42におけるリーチ発生後予告演出が実行される直前までの期間」に実行されるものであるから、メイン液晶表示器42における表示内容にかかわらない表示内容であるということができる。
よって、刊行物2発明の構成dは、本願発明の構成D’に相当する。

したがって、上記(a)?(d)の検討事項により、本願発明と、刊行物2発明とは、
「遊技機であって、
遊技盤と、
第1の表示手段を介してそれぞれ配置される複数の第2の表示手段と、
前記第1の表示手段および前記第2の表示手段のそれぞれの表示内容を制御する表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記第1の表示手段の表示内容にかかわらず、前記第1の表示手段の一方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容と、前記第1の表示手段の他方の側に配置される前記第2の表示手段の表示内容と、が互いに連動するように制御する
遊技機。」
で一致し、構成上の差異はない。

よって、本願発明は刊行物2発明と同一であり、刊行物2に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

また、仮に、本願発明が刊行物2発明と同一でないとしても、本願発明は、刊行物2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定に基づいて、特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないか、又は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。

したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-31 
結審通知日 2017-08-01 
審決日 2017-08-21 
出願番号 特願2015-180761(P2015-180761)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武田 知晋  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 金田 理香
長井 真一
発明の名称 遊技機  
代理人 安藤 敏之  
代理人 上田 千織  
代理人 江間 路子  
代理人 飯田 昭夫  
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