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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03G
管理番号 1333132
審判番号 不服2017-4870  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-06 
確定日 2017-10-24 
事件の表示 特願2012-264921「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月12日出願公開、特開2014-109736、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年12月4日付けの特許出願であって、原審において平成28年8月1日付けで拒絶理由通知がされた後、同年10月3日付けで手続補正がされ、同年12月28日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。原査定の謄本の送達(発送)日 平成29年1月10日。)がされ、これに対して、平成29年4月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定に係る拒絶理由の概要は、次のとおりである。
原査定時の請求項1、3、4、6に係る各発明は、下記の引用文献1ないし3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、同じく請求項7に係る発明は、下記の引用文献1ないし4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該各請求項に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2003-15503号公報
2.特開2001-125332号公報
3.特開2007-126235号公報
4.特開2006-98933号公報

第3 審判請求時の補正について
以下のとおり、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までに規定されている要件に違反するものではない。
審判請求時にされた、上記補正前の請求項1における「前記装置本体から離間した所定の離間位置との間で、前記装置本体に対する離接方向に水平移動自在であり、」という記載を、上記補正後の「前記装置本体から離間した所定の離間位置との間で、画像形成処理された前記用紙が前記装置本体から前記第2処理ユニットに搬送される搬送方向であって前記装置本体に対して当該搬送方向と同一の方向である離接方向に水平移動自在であり、」という下線部の事項を追加する記載とした補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、上記の追加事項は、当初明細書の段落【0026】、【0039】、図1ないし5の記載に基づくものであり、審判請求時の補正は新規事項を追加するものではない。
そして、「第4 本願の発明」から「第6 対比・判断」までに示されているように、補正後の請求項1ないし7に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願の発明
本願の請求項1ないし7に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、平成29年4月6日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は次のとおりのものである。
「【請求項1】
用紙に画像形成処理を行う装置本体と、
前記装置本体の同一の側面側に互いに上下方向に重ねて配置された第1処理ユニット及び第2処理ユニットと、を備え、
前記第2処理ユニットは、前記第1処理ユニットの上であって前記装置本体に対する対向面が前記側面に沿って配置された通常姿勢で前記装置本体に接続される接続位置と、前記装置本体から離間した所定の離間位置との間で、画像形成処理された前記用紙が前記装置本体から前記第2処理ユニットに搬送される搬送方向であって前記装置本体に対して当該搬送方向と同一の方向である離接方向に水平移動自在であり、前記離間位置での前記通常姿勢と所定の回動軸を中心に前記装置本体から離間する方向に前記通常姿勢から回動した所定の回動姿勢との間で回動自在に構成される、画像形成装置。」

なお、本願発明2ないし7は、本願発明1を引用し、これを更に減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前の平成15年1月17日に頒布された刊行物である引用文献1(特開2003-15503号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。(以下の下線は、いずれも審決で付した。引用文献2以下についても同様である。)
「【0010】
【実施例】図示される例にしたがって、本発明の画像形成装置の構成を説明する。図1に示す例は、画像形成装置本体の構成を示すもので、画像形成装置1は装置本体2の側部に、ヒンジ4を介して開閉ドア3を設けており、上部には排出トレイ17を配置している。また、装置本体2の内部に配置する1つの給紙トレイ6は、従来の画像形成装置の場合と同様に、装置のフロント側に引き出し可能に設けて、用紙の補給の動作を容易に行い得るものとして構成している。・・・なお、前記側部の開閉ドア3は、装置本体の用紙搬送路でのジャム処理等を行う際に使用するもので、その他に、フロント側から見ることのできない部材に対してもメンテナンス等を行う際に用いる。」
「【0012】前記画像形成装置1では、定着装置14の下流部(上部)に、ゲート15を介して左右両側に用紙を排出させる経路を設けており、図の右側の排出路からは、排出ローラ装置16を介して排出トレイ17に向けて、用紙の画像面を下に向けた状態で排出させる。また、ゲート15の左側に設けた排出路からは、排出ローラ装置18を介して、用紙の画像面を上に向けて状態で、排出トレイ19に排出させるようにする。前記画像形成装置本体の左側の側部には、基準モジュール30を取り付けており、前記基準モジュール30に対して、手差しトレイ40をヒンジ部材41を介して開閉可能に配置して、用紙を給紙ローラ45を用いて用紙搬送路に向けて給紙可能な装置を構成している。さらに、前記画像形成装置の用紙搬送路に対して、手差しトレイ40からの給紙路に合流する給紙路を配置しているが、前記給紙路は、後述するように、両面用のオプションモジュールの用紙搬送路に接続して、両面コピー等の動作に対処させることができるようにする。」
「【0013】前述したように構成した画像形成装置においては、一般の小型の画像形成装置と同様に、本体の底部の四隅部分に、持ち運びに際して手を掛けるための凹部等で形成したハンドル部を設けている。そして、オプションモジュールを取り付けない状態では、それぞれのハンドル部を用いて装置の移動の動作に対応させることができるようにしている。さらに、本実施例では、装置本体の側部に基準モジュール30を着脱可能に配置するが、前記基準モジュール30に対して、フロントとリヤ側のそれぞれの下面にハンドル部31を設け、移動の際の補助に使用できるようにしている。」
「【0015】前述したように、画像形成装置本体の側部に配置する基準モジュール30は、図3に示すように構成することができるもので、装置本体2の側部に対して、フレーム32を図示を省略した固着手段を用いて取り付けるようにする。また、前記フレームの内部には、補強部材33を配置して、前記図2に示されるようなハンドル部31に対応する補強を行っており、前記補強部材33はオプションモジュールの重量に対応させて構成するが、オプションモジュールのハンドルを介して、装置本体の移動を行うので、フレーム32は強固なものとして構成する。」
「【0017】前記図2、3に示されるように、基準モジュール30に対して手差しトレイのみを設ける場合の他に、前記基準モジュール30に対しては、図4に示すように、用紙反転ユニット等の別のオプションモジュール35を配置することができる。前記オプションモジュール35は、前記図6に示したような用紙反転ユニット等を構成することができるもので、そのオプションモジュールのフレームの下部に突出させて設けたヒンジ部材36を介して、基準モジュール30の支軸34に支持させている。そして、支軸34を介してオプションモジュール35を揺動させた際に、手差しトレイ40に当接しないような位置に規制できるようにしており、手差しトレイ40とオプションモジュール35を、各々画像形成装置本体2の側面から離間させる方向に揺動させた状態で、装置本体の側部の開閉ドア3を開くことができるようにする。」

上記の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認定できる。
「画像形成装置本体2の側部に、ヒンジ4を介して開閉ドア3を設けた画像形成装置1であって、
側部の開閉ドア3は、装置本体の用紙搬送路でのジャム処理等を行う際に使用するものであり、
画像形成装置本体の左側の側部には、基準モジュール30を取り付けており、基準モジュール30に対して、フロントとリヤ側のそれぞれの下面にハンドル部31を設け、移動の際の補助に使用できるようにしていて、
基準モジュール30は、装置本体2の側部に対して、フレーム32を固着手段を用いて取り付けるようにし、また、前記フレームの内部には、補強部材33を配置してハンドル部31に対応する補強を行っており、
基準モジュール30に対しては、用紙反転ユニット等の別のオプションモジュール35を、そのオプションモジュールのフレームの下部に突出させて設けたヒンジ部材36を介して、基準モジュール30の支軸34に支持させて、オプションモジュール35を、画像形成装置本体2の側面から離間させる方向に揺動させた状態で、装置本体の側部の開閉ドア3を開くことができる、画像形成装置1。」

2.引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前の平成13年5月11日に頒布された刊行物である引用文献2(特開2001-125332号公報)には図面と共に次の事項が記載されている。
「【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明するが、各形態において同一機能を有する構成要素には同一符号を付し、後に説明する実施の形態での重複説明は省略する。
(第1の形態)図1に示す画像形成装置は、画像を形成する作像部10を有する装置本体としての作像ユニット1と、作像部10で形成された画像を転写される記録材としての転写紙14を供給、搬送、仕分けする記録材処理ユニット100(以下、単に「ユニット100」と記す)とを備えている。作像ユニット1とユニット100とは個別に設けられ、作像ユニット1がユニット100に対して開閉かつ、着脱可能に設けられている。本形態にかかる画像形成装置は、例えばオフィスなどの装置設置場所のフロアに設置されている。
【0041】本形態における作像ユニット1は、図示しない駆動手段で図1において反時計周りに回転される像担持体としてのドラム状の感光体10a、その周部に設けられた図示しない帯電、露光、現像、クリーニング、除電の各装置を備え、感光体10aの外周面に形成される静電潜像を現像してトナー画像を転写部18で転写紙14に静電的に転写する周知の電子写真方式のものとなっている。本形態においては、感光体10aの外周面には、黒色のトナー画像が担持される。
【0042】ユニット100は、転写紙14を収納する複数の記録材トレイとしての給紙トレイ3,4,5が積層配置された記録材供給部としての給紙カセット6、画像転写後の転写紙14が排出される複数の仕分けトレイ8が上下方向に積層配置された仕分け部としてのソータ2、給紙カセット6に収納された転写紙14を転写部18からソータ2へと搬送する搬送部としての搬送部7の3つの基本ユニットを備え、各ユニットが着脱、組み替え交換に構成されている。作像ユニット1は、搬送部7に対して着脱可能に設けられている。
【0043】給紙カセット6およびソータ2は、給紙カセット6における給紙トレイ3,4,5に積載収納された転写紙14を給紙する記録材供給側3a,3b,3cと、ソータ2における各仕分けトレイ8(トレイ群ともいう)に転写紙14が導入される記録材導入側8aとが、同一側に位置するように、給紙カセット6の上方にソータ2を積層配置する位置関係となっている。給紙トレイ3,4,5は、転写紙14を積載する積載面が略水平となるように配置されている。ソータ2は、給紙カセット6の設置面積内に収まるように設けられている。」
「【0046】搬送部7は、記録材供給側3a,3b,3cおよび記録材導入側8aと対向する位置に、給紙カセット6とソータ2の一側面2aを略全域覆うように配置されている。・・・」

上記の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認定できる。
「画像を形成する作像部10を有する作像ユニット1と、作像部10で形成された画像を転写される記録材としての転写紙14を供給、搬送、仕分けする記録材処理ユニット100とを備えている画像形成装置であって、
記録材処理ユニット100は、転写紙14を収納する複数の記録材トレイとしての給紙トレイ3,4,5が積層配置された記録材供給部としての給紙カセット6、画像転写後の転写紙14が排出される複数の仕分けトレイ8が上下方向に積層配置された仕分け部としてのソータ2、給紙カセット6に収納された転写紙14を転写部18からソータ2へと搬送する搬送部としての搬送部7の3つの基本ユニットを備え、
給紙カセット6およびソータ2は、給紙カセット6の給紙トレイ3,4,5に積載収納された転写紙14を給紙する記録材供給側3a,3b,3cと、ソータ2における各仕分けトレイ8に転写紙14が導入される記録材導入側8aとが、同一側に位置するように、給紙カセット6の上方にソータ2を積層配置する位置関係となっていて、
搬送部7は、給紙カセット6とソータ2の一側面2aを略全域覆うように配置されている
画像形成装置。」

3.引用文献3について
また、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前の平成19年5月24日に頒布された刊行物である引用文献3(特開2007-126235号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置や事務機から排出されるシートを受け入れて昇降可能な積載トレイに積載するシート処理装置、およびシート処理装置を内蔵/接続した画像形成装置に関し、詳しくは、紙詰まりの発生時等に、シート処理装置に備えられた穿孔装置から容易にシートを除去し得る穿孔装置の構造に関する。」
「【0046】
図6に示すように、穿孔装置2の筐体構造は、下部のベース63と上部の処理ユニット61とに分割されており、処理ユニット61側に上述のパンチユニット40が組み立てられる一方、ベース63の底の駆動軸38の直下位置にダストボックス58が配置される。ダストボックス58は、図1の複写機500の前面側へ引き出し可能で、パンチ47とダイ50bとで打ち抜かれたシートのパンチ屑67を貯留する。」
「【0048】
図7に示すように、穿孔装置2は、ベース63に対して処理ユニット61を上流側へスライドさせることにより、シート搬送パス51を上下に分割して、ダイ50の上面を開放可能である。処理ユニット61は、搬送されるシートPの幅方向の両端部において、支軸62により処理装置本体2に回動自在に装着されている。」
「【0050】
図8に示すように、シート処理装置400を支持する装置本体500Aの床面503には、奥側から手前側へ斜めに走るレール502が設置されており、穿孔装置2を一体に組み立てたシート処理装置400は、レール502に支持されて斜め前方へ、シート処理装置400の奥行きの半分の距離だけ水平に移動可能である。
【0051】
また、上述の支軸62の低い配置によって、空間SP(図1)の高さ範囲で処理ユニット61は開閉可能である。従って、紙詰まり等の際には、装置本体500Aから穿孔装置2を手前方向に対して左側斜めに少しだけ引き出すことにより、装置本体500の排紙部501と穿孔装置2との間に、回動した処理ユニット61を退避させる空間を形成して、実際に処理ユニット61を開閉でき、シート処理装置400を前方へ引き出すことにより、上方から手指を差し込んで、開放されたフレーム体49とダイ50との間からシートを容易に取り出すことができる。」

上記の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認定できる。
「複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置であって、
画像形成装置には、シート処理装置が内蔵/接続されていて、紙詰まりの発生時等に、シート処理装置に備えられた穿孔装置から容易にシートを除去し得るようにされており、
穿孔装置2の筐体構造は、下部のベース63と上部の処理ユニット61とに分割されて、処理ユニット61側にパンチユニット40が組み立てられる一方、ベース63の底の駆動軸38の直下位置にダストボックス58が配置されており、処理ユニット61は、搬送されるシートPの幅方向の両端部において、支軸62により処理装置本体2に回動自在に装着されていて、ベース63に対して処理ユニット61を上流側へスライドさせることにより、シート搬送パス51を上下に分割して、ダイ50の上面を開放可能であり、
穿孔装置2を一体に組み立てたシート処理装置400は、レール502に支持されて斜め前方へ、シート処理装置400の奥行きの半分の距離だけ水平に移動可能であり、
紙詰まり等の際には、装置本体500Aから穿孔装置2を手前方向に対して左側斜めに少しだけ引き出すことにより、装置本体500の排紙部501と穿孔装置2との間に、回動した処理ユニット61を退避させる空間を形成して、実際に処理ユニット61を開閉でき、シート処理装置400を前方へ引き出すことにより、上方から手指を差し込んで、開放されたフレーム体49とダイ50との間からシートを容易に取り出すことができる、画像形成装置。」

4.なお、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前の平成18年4月13日に頒布された刊行物である引用文献4(特開2006-98933号公報)には、画像形成装置のジャム処理操作時のアクセス性を良好にするべく、シート処理部3を「スライド移動可能に」(【0033】、図3)、あるいは「(水平方向に配置された)支点軸36」(【0038】、図4)または「(垂直方向に配置された)支点軸37」(【0041】、図5)を中心に「回動可能に」保持するという技術事項(以下「引用文献4に記載の技術事項」という。)が記載されている。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、両者は「画像形成装置」である点において共通しており、後者の「画像形成装置本体2」は、その機能等からみて、前者の「用紙に画像形成処理を行う装置本体」に相当する。そして、同様に「(用紙反転ユニット等の別の)オプションモジュール35」は、「第2処理ユニット」といえるものである。また、後者において、「そのオプションモジュールのフレームの下部に突出させて設けたヒンジ部材36を介して、基準モジュール30の支軸34に支持させて、オプションモジュール35を、画像形成装置本体2の側面から離間させる方向に揺動させた状態(で、装置本体の側部の開閉ドア3を開くことができる)」としているところから、当該「オプションモジュール35」は、前者の第2処理ユニットと同様に、「通常姿勢と所定の回動軸(支軸34)を中心に装置本体から離間する方向に前記通常姿勢から回動した所定の回動姿勢との間で回動自在に構成される」ものといえる。

したがって、両者は、
「用紙に画像形成処理を行う装置本体と、
前記装置本体の側面側に配置された第2処理ユニットと、を備え、
第2処理ユニットは、装置本体に対する対向面が前記側面に沿って配置された通常姿勢と所定の回動軸を中心に前記装置本体から離間する方向に前記通常姿勢から回動した所定の回動姿勢との間で回動自在に構成される、画像形成装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1] 本願発明1は「装置本体の同一の側面側に互いに上下方向に重ねて配置された第1処理ユニット及び第2処理ユニット」を備えるのに対し、引用発明1は「オプションモジュール35」を備える点。
[相違点2] 本願発明1では、前記第2処理ユニットは、「前記第1処理ユニットの上であって」前記装置本体に対する対向面が前記側面に沿って配置された通常姿勢で前記装置本体に接続される接続位置と、「前記装置本体から離間した所定の離間位置との間で、画像形成処理された前記用紙が前記装置本体から前記第2処理ユニットに搬送される搬送方向であって前記装置本体に対して当該搬送方向と同一の方向である離接方向に水平移動自在」であり、「前記離間位置での」前記通常姿勢と所定の回動軸を中心に前記装置本体から離間する方向に前記通常姿勢から回動した所定の回動姿勢との間で回動自在に構成されるのに対し、引用発明1では、そのようなものではない点。

(2)相違点についての判断
上記の相違点2について検討する。
先ず、引用発明2についてみると、引用発明2に係る「画像形成装置」では、作像ユニット1と、記録材処理ユニット100とが備える搬送部7とによって、本願発明1の「画像形成処理を行う装置本体」に相当するものが形成されており、搬送部7(装置本体)は、「給紙カセット6とソータ2の一側面2aを略全域覆うように配置されて」、「給紙カセット6の上方にソータ2を積層配置する位置関係」とされているところから、上記の「給紙カセット6とソータ2」が、本願発明1の「装置本体の同一の側面側に互いに上下方向に重ねて配置された第1処理ユニット(給紙カセット6)及び第2処理ユニット(ソータ2)」に相当するものといえる。
したがって、引用発明2は、画像形成装置の装置本体の同一の側面側に、第1処理ユニット(給紙カセット6)及び第2処理ユニット(ソータ2)を互いに上下方向に重ねて配置することを開示したものといえるが、第2処理ユニットが第1処理ユニットの上で「水平移動」することまでを開示したものではない。
次に、引用発明3についてみると、引用発明3では、「下部のベース63と上部の処理ユニット61とに分割」された穿孔装置2を、シート処理装置400と共に、「水平に移動可能」としているが、これは「下部のベース63と上部の処理ユニット61」とが一体となって水平移動するのであって、「上部の処理ユニット61が下部のベース63の上で」水平移動するというわけではない。しかも、引用発明3では「上部の処理ユニット61(パンチユニット)と下部のベース63(ダストボックス)」で、「穿孔装置2」という、単一の処理ユニットが構成されているとみるべきで、「下部のベース63と上部の処理ユニット61」が、本願発明1における「互いに上下方向に重ねて配置された第1処理ユニット及び第2処理ユニット」に相当するとみるのは妥当ではない。
してみれば、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明2、3のいずれにも開示されていないし、これを示唆するものもない。
また、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。
そして、本願発明1は上記の相違点2に係る発明特定事項を備えることによって、「設置面積を減少できるとともに、装置本体の側面に備えられた第1処理ユニット及び第2処理ユニットのメンテナンスを容易に行うことができる」(段落【0017】参照。)という作用効果を奏するものである。
したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1ないし3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2ないし7について
本願発明2ないし7は、本願発明1を引用し、これを更に減縮した発明であり、これらの発明も、本願発明1の上記相違点1、2に係る発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1についてと同様の理由で、引用発明1?3、または引用発明1?3及び引用文献4に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1、3、4、6、及び7は、前記第2処理ユニットは、「前記第1処理ユニットの上であって」前記装置本体に対する対向面が前記側面に沿って配置された通常姿勢で前記装置本体に接続される接続位置と、「前記装置本体から離間した所定の離間位置との間で、画像形成処理された前記用紙が前記装置本体から前記第2処理ユニットに搬送される搬送方向であって前記装置本体に対して当該搬送方向と同一の方向である離接方向に水平移動自在」であり、「前記離間位置での」前記通常姿勢と所定の回動軸を中心に前記装置本体から離間する方向に前記通常姿勢から回動した所定の回動姿勢との間で回動自在に構成されるという事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用発明1?3、及び引用文献4に記載の技術事項に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1ないし7は、当業者が引用発明1?3、及び引用文献4に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-10-10 
出願番号 特願2012-264921(P2012-264921)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G03G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 三橋 健二  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 藤本 義仁
黒瀬 雅一
発明の名称 画像形成装置  
代理人 特許業務法人 楓国際特許事務所  

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