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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09G
管理番号 1333133
審判番号 不服2017-2571  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-22 
確定日 2017-10-24 
事件の表示 特願2012-127118「表示制御装置および表示制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月12日出願公開、特開2013-250512、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年6月4日の出願であって、平成27年4月28日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月26日付けで手続補正がされ、同年11月5日付けで拒絶理由通知がされ、同年12月25日付けで手続補正がされ、平成28年5月30日付けで拒絶理由通知がされ、同年7月28日付けで手続補正がされ、同年12月16日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成29年2月22日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年12月16日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-3、5、6に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2010-283772号公報
2.特開2009-060373号公報
3.特表平06-510868号公報
5.国際公開第2007/052382号
6.特開平10-285587号公報

第3 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成29年2月22日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
第1のプレーン上に画像を描画する第1の描画部と、前記第1のプレーン上の画像位置とは無関係に第2のプレーン上に画像を描画する第2の描画部とを備え、少なくとも前記第1のプレーンと前記第2のプレーンを重ね合わせた合成画像データを出力する表示制御装置において、
前記第2のプレーンへの画像表示要求に応じて前記第2の描画部が描画した前記第2のプレーン上の画像表示領域を判別する判別部と、
前記第2のプレーン上の前記画像表示領域に重ならないように、前記第1の描画部を制御して前記第1のプレーンの画像表示位置を変更する制御部とを備え、
前記判別部は、前記第2のプレーンを分割するエリアを、前記第1のプレーンに描画される画像の表示領域のサイズに合わせて動的に変更し、当該エリアごとに分割した前記第2のプレーンを分割エリア単位で走査して前記画像表示領域を判別し、前記画像表示領域に該当しない分割エリアが発見された時点で、前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記第1のプレーン上の位置であって、前記判別部から通知された当該分割エリアに対応する位置が、前記第1のプレーンの画像表示位置となるように前記第1の描画部を制御し、
前記第2のプレーンは、IG(Interactive Graphic)プレーンであり、
前記第1のプレーンは、前記IGプレーン上に重ね合わせて合成されるユーザプレーンであり、
前記第1の描画部は、前記ユーザプレーンに画像を描画し、
前記第2の描画部は、ポップアップメニューの表示要求に応じて、前記ユーザプレーン上の画像位置とは無関係に前記IGプレーンにポップアップメニュー画像を描画することを特徴とする表示制御装置。」

本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明6は、本願発明1に対応する方法の発明をさらに減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図とともに次の事項が記載されている(下線は、当審による。)。

ア 「【0001】
この発明は、簡易アプリケーションの表示やオンスクリーン表示などの映像表示制御を行う映像表示制御装置、映像表示制御方法および、この制御方法を用いる映像機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ウィジェット(Widget)は、アプリケーションの一形態として2005年末頃から注目を集めるようになっている。Widgetとは、パーソナルコンピュータなどのデスクトップ上で特定の機能を実行するための簡易的なアプリケーションの総称である。Widgetは、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の要素が強い簡易なプログラムである。Widgetとして提供される機能は多様であり、計算機のようなものからニュースリーダー、スケジュール管理や天気予報、ウェブカメラ映像の表示、簡単なゲーム、株価チェックなど、様々なものが提供されている。オンラインで提供されているWebサービスをデスクトップ環境で利用できるようにしたWidgetも多数開発されている。なおWidgetとは、元々、小型の装置や仕掛け、部品、名前がない(あるいは思い出せないような)規格品、といった意味の英語である。簡易なアプリケーションとしてのWidgetは、これらの意味に加えて、ウィンドウ(window)やガジェット(gadget)の意味も含んだ言葉として理解されている。
【0003】
近年のデジタル再生機器では、再生中の動画上にGUIの画像をオンスクリーン表示(OSD)したり、動画表示領域に別の画像情報(Widgetの画像情報など)を表示したりする機能が追加されている。このような機器においては、OSD画像と同時に別画像情報を表示する際に、別画像情報がOSD画像に隠されて、別画像情報の内容が見づらくなることが起き得る。このような不便を解消する方法として、OSD画像の表示位置を適宜シフトすることが考えられる(特許文献1参照)。」

イ 「【0011】
以下、図面を参照してこの発明の種々な実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施の形態に係る映像表示制御装置を説明する図である。この映像表示制御装置は、マイクロコンピュータ(MPU)の処理機能の一部として、表示再生装置(デジタル映像機器)10に組み込まれている。
…。
【0015】
図2は、図1の装置10におけるシステムモデルの一例を説明する図である。ビデオCDあるいはDVD(もしくはBD)等の映像メディア106aに記録された映像情報はMedia Player(図1のメディアドライブ部に対応)106により再生される。Memory Card(ギガバイトクラスの大容量フラッシュメモリ)106bに記録された映像情報もMedia Player106により再生される。
【0016】
Media Player106により再生された映像情報のうち、ビデオ情報部分(例えばMPEG2-PS、MPEG2-TS、またはMPEG4-AVCでエンコードされたデータストリーム)は、Video Decoder1007aによりデコードされ、背景画像1007cとしてビデオ表示プレーンに描画される。また、Media Player106により再生された映像情報のうち、副映像情報部分(例えばDVDビデオの字幕情報)は、Subtitle Decoder1007bによりデコードされ、字幕1007dとしてビデオ表示プレーン上の字幕表示プレーンに描画される。
【0017】
一方、インターネットなどのネットワーク118経由で取得したWidget Contents1001aは、Widget Engine1004aにより処理されWidget Renderer1004bにより画像化される。画像化されたWidget画像1004cは、ビデオ表示プレーンまたは字幕表示プレーンより上のWidget画像表示プレーンに描画される。
【0018】
また、装置10に固有のオンスクリーン表示はOSD Engine1002aにより処理され、OSD Renderer1002bにより画像化される。画像化されたOSD画像1002c?1002eは、Widget画像表示プレーンより上のOSD画像表示プレーンに描画される。
【0019】
背景画像1007cのビデオ表示プレーンと字幕1007dの字幕表示プレーンとWidget画像1004cのWidget画像表示プレーンとOSD画像1002c?1002eのOSD画像表示プレーンはBlender1008において合成され、背景画像上にWidget画像とOSD画像が配置された合成画像が主画面(画像表示スクリーン400など)に出画する。
【0020】
Blender1008内の合成処理では、Widget画像表示プレーンにおいてWidget画像が存在しないエリアの画素は透明となっており、透明な画素を通してその下の背景画像や字幕が見えるようになっている。同様に、OSD画像表示プレーンにおいてOSD画像が存在しないエリアの画素は透明となっており、透明な画素を通してその下の背景画像、字幕、Widget画像などが見えるようになっている。この例では、一番上の表示プレーンはOSDで、一番下の表示プレーンはビデオとなっている。
【0021】
なお、Widget画像の画素および/またはOSD画像の画素は、通常は不透明画素(その下の表示プレーンの画素が見えない)であることが多いが、半透明画素(その下の表示プレーンの画素がうっすらと見える)でもよい。あるいは、Widget画像を構成する画素群および/またはOSD画像を構成する画素群の中に、透明あるいは半透明の画素が部分的に含まれていてもよい。」

ウ 「【0024】
図5は、図1の装置10におけるOSDとWidgetの表示例(この発明を用る場合)を説明する図である。表示スクリーン(主画面)400での表示が背景画像とOSD画像1002c?1002eだけの場合(図5(a))は、この発明を実施しなくても問題はない。しかし、Widget画像1004cと被る位置でOSD表示が行われると、Widget画像に対するOSD画像の重なりによってWidget部分の視認性が悪くなるという問題が生じる。この問題は、この発明を実施することで解決できる。」

エ 「【0028】
図6は、図1の装置10における表示制御の一例を説明するフローチャートである。この制御により、図5(b)?(e)に例示されるような表示制御を行うことができる。なお、背景画像とWidget画像とOSD画像の表示順序は特に限定されないが、ここでは、初めに背景画像が表示され、次にWidget画像が表示され、そのあとにOSD画像が表示される場合を例にとって説明する。
【0029】
まず、図1のメディアドライブ106に例えばDVDディスクが装填され、そのディスクからビデオ再生が始まったとする。再生されたビデオ映像は、表示部114の表示スクリーン(図示せず)および/または映像表示装置40の表示スクリーン400に、背景画像として表示される(ST10)。(以下、表示スクリーンについては映像表示装置40の表示スクリーン400で代表する。)続いて、図1のネットワーク118から装置10内にWidget画像が取り込まれ、その画像が表示スクリーン400に表示される(ST12)。
【0030】
その後、ユーザのリモコン操作などによりOSD表示が要求されると(ST14yes)、その時点でのWidgetの表示状態(図3参照)が取得される(ST16)。取得したWidgetの表示状態がFull mode(図3(d))であれば(ST18yes)、Widget画像と被らないOSD表示スペースがないので、OSDは消去され(ST32)、OSDの表示処理は終了する。その場合の画面表示状態は、例えば図5(e)のようになる。
【0031】
取得したWidgetの表示状態がFull modeでないときは(ST18no)、表示しようとしているOSD画像の表示位置が表示しているWidget画像の表示位置と被るか(OSD画像の少なくとも一部がWidget画像重なるか)をチェックする(ST20)。このチェックは、Widget画像の表示プレーンとOSD画像の表示プレーンを画素毎に比較することで行うことができる。Widget画像表示プレーンの非透明画素位置とOSD画像表示プレーンの非透明画素位置との間に重複が見つかれば、OSD画像の表示位置がWidget画像の表示位置と被る(少なくとも部分的に重なる)ことになる。
【0032】
表示しようとしているOSD画像の表示位置が表示しているWidget画像の表示位置と被る(少なくとも部分的に重なる)場合は(ST20yes)、Widget画像表示プレーンのうち、透明な画素群の領域を空き領域として検出する(ST22)。Widgetアプリケーションから直接Widget画像の表示位置情報が得られるときは、Widget画像表示プレーンのうちWidget画像の表示位置を除いた領域を、空き領域として検出できる。WidgetアプリケーションからWidget画像の表示位置情報が得られないときは、図7?図9を参照して後述する方法で、この空き領域を検出できる。
【0033】
空き領域が検出されたら、その空き領域の画素位置にOSD画像が移動する(感覚的にはOSD画像がWidget画像を避けて空き領域に逃げ込む)ように、OSDの表示位置を制御する(ST24)。移動先の空き領域のサイズがOSD画像サイズより小さいときは、その空き領域サイズに収まるようにOSD画像サイズを調整する処理も、適宜行う(ST24)。」

オ 「【0044】
図10は、図6の表示制御における空き領域関連処理(ST22?ST24)の具体例を説明するフローチャートである。まず、図8、図9を参照して説明した方法で、Widget画像表示プレーンにおける空き領域を検索する(ST22a)。検索された空き領域(例えば図9の透明画素領域A、B、C、D)のうち、どれか(例えば一番広い透明画素領域C)に、表示しようとしているOSD画像が収まるかどうかチェックする(ST22b)。収まるときは(ST22byes)、OSD画像の表示位置を調整して、検出された空き領域の1つ(例えば図9の領域C)に対応する位置に移動させる(ST24a)。空き領域があってもそこにOSD画像が収まらないときは(ST22bno)、OSD画像の表示位置およびその表示サイズを調整して、検出された空き領域の1つ(例えば図9の領域C)に対応する位置に移動させる(ST24b)。ここでの表示サイズ調整は、OSD画像のX軸方向および/またはY軸方向のサイズが空き領域(領域C)に収まるように行われる。このような調整がなされたあと、OSD表示処理(図6のST26)に戻る。」

したがって、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「背景画像がビデオ表示プレーンに描画され(段落【0016】より)、Widget画像は、ビデオ表示プレーンより上のWidget画像表示プレーンに描画され(段落【0017】より)、OSD画像は、Widget画像表示プレーンより上のOSD画像表示プレーンに描画され(段落【0018】より)、背景画像のビデオ表示プレーンとWidget画像のWidget画像表示プレーンとOSD画像のOSD画像表示プレーンは合成され、背景画像上にWidget画像とOSD画像が配置された合成画像が表示スクリーンに出画する(段落【0019】より)映像表示制御装置(段落【0001】より)であって、
表示スクリーンに背景画像が表示され、Widget画像が表示スクリーンに表示され(段落【0029】より)、ユーザのリモコン操作などによりOSD表示が要求されると、その時点でのWidgetの表示状態が取得され(段落【0030】より)、表示しようとしているOSD画像の表示位置が表示しているWidget画像の表示位置と被るかをチェックし(段落【0031】より)、
表示しようとしているOSD画像の表示位置が表示しているWidget画像の表示位置と被る場合は、Widget画像表示プレーンのうち、透明な画素群の領域を空き領域として検出し(段落【0032】より)、
空き領域が検出されたら、その空き領域の画素位置にOSD画像が移動するように、OSDの表示位置を制御する(段落【0033】より)、
映像表示制御装置(段落【0001】より)。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2は、本願発明2に対するものであって、引用文献2には、新しく描画を始める前に現在描画されているビットマップ画像を消去する処理を行うことが記載されている(段落【0030】-【0032】)。

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3は、本願発明3に対するものであって、引用文献3には、オフセット座標を調節することにより、オーバーレイ表示を制御することが記載されている(第7頁左上欄21-26行目)。

4 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5は、本願発明5に対するものであって、引用文献5には、重なって表示されるオブジェクトについては、半透明化して表示することが記載されている(段落[0040]、図4)。

5 引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6には、次の事項が記載されている(下線は、当審による。)。
ア 「【0012】(1)一つの表示画面に、第1の画像と第2の画像とをマルチウインドウ表示するマルチウインドウ画像表示方式において、前記表示画面に表示される第1の画像中から精細度が所定レベルに満たない低精細領域および精細度が所定レベル以上の高精細領域のうちの少なくとも一方を検出し、その検出結果を基に第2の画像を表示するに適当なぼけ領域を検出する検出手段と、この検出手段により検出された前記第1の画像中のぼけ領域に前記第2の画像を重ねて表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】一般に患部等を撮像した場合、その静止画像は重要部分には焦点が合って高精細の画像となるが、その他の部位では焦点が外れて画像にぼけが生じる傾向がある。したがって、上記したように第1の画像中からぼけ領域を検出してこの領域に第2の画像を表示すれば、第1の画像の重要部分を常に避けた状態で第2の画像を表示することができる。」

イ 「【0019】(6)前記検出手段は、第1の画像を大きさの等しい複数の単位領域に分け、これらの単位領域ごとに精細度の判定を行ってその判定結果からぼけ領域を検出することを特徴とする。
【0020】(7)前記検出手段は、前記単位領域の大きさおよび形状をを、第2の画像の大きさおよび第1の画像中の重要部分の大きさに応じて動的に可変設定することを特徴とする。」

したがって、引用文献6には、「第1の画像中のぼけ領域に第2の画像を重ねて表示するマルチウインドウ画像表示方式において、第1の画像を大きさの等しい複数の単位領域に分け、これらの単位領域ごとに精細度の判定を行ってその判定結果からぼけ領域を検出すること、及び、その単位領域の大きさおよび形状を、第2の画像の大きさおよび第1の画像中の重要部分の大きさに応じて動的に可変設定すること」が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「OSD画像表示プレーン」が本願発明1の「第1のプレーン」に相当するところであり、引用発明において「(OSD画像が)OSD画像表示プレーンに描画され」るから、引用発明の「映像表示制御装置」は、本願発明1の「表示制御装置」と同様に「第1のプレーン上に画像を描画する第1の描画部」を備えるものといえる。
イ 引用発明の「Widget画像表示プレーン」が本願発明1の「第2のプレーン」に相当するところであり、引用発明において、「Widget画像」は、「Widget画像表示プレーンに描画され」るから、引用発明の「映像表示制御装置」は、本願発明1の「表示制御装置」における「前記第1のプレーン上の画像位置とは無関係に第2のプレーン上に画像を描画する第2の描画部」とは、「第2のプレーン上に画像を描画する第2の描画部」を備える点で共通する。
ウ 引用発明において「背景画像のビデオ表示プレーンとWidget画像のWidget画像表示プレーンとOSD画像のOSD画像表示プレーンは合成され、背景画像上にWidget画像とOSD画像が配置された合成画像が表示スクリーンに出画する」から、引用発明の「映像表示制御装置」は、本願発明1の「表示制御装置」と同様に「少なくとも前記第1のプレーンと前記第2のプレーンを重ね合わせた合成画像データを出力する」ものといえる。
エ 引用発明は、「表示しようとしているOSD画像の表示位置が表示しているWidget画像の表示位置と被るかをチェック」するものであるから、引用発明の「映像表示制御装置」は、「Widget画像表示プレーンに描画され」た「Widget画像」の表示領域を判別しているものと認められ、本願発明1の「表示制御装置」と同様に「前記第2のプレーンへの画像表示要求に応じて前記第2の描画部が描画した前記第2のプレーン上の画像表示領域を判別する判別部」を備えるものと認められる。
オ 引用発明は、「表示しようとしているOSD画像の表示位置が表示しているWidget画像の表示位置と被る場合は、Widget画像表示プレーンのうち、透明な画素群の領域を空き領域として検出し、その空き領域の画素位置にOSD画像が移動するように、OSDの表示位置を制御する」ものであるから、引用発明の「映像表示制御装置」は、本願発明1の「表示制御装置」と同様に「前記第2のプレーン上の前記画像表示領域に重ならないように、前記第1の描画部を制御して前記第1のプレーンの画像表示位置を変更する制御部」を備えるものと認められる。
カ 引用文献1の【0002】には、「Widgetは、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の要素が強い簡易なプログラムである。」と記載されているから、引用発明の「(Widget画像が描画される)Widget画像表示プレーン」は、本願発明1の「第2のプレーン」と同様に「IG(Interactive Graphic)プレーン」といえる。
キ 引用発明において、「OSD画像は、Widget画像表示プレーンより上のOSD画像表示プレーンに描画され、」「Widget画像のWidget画像表示プレーンとOSD画像のOSD画像表示プレーンは合成され」るから、引用発明の「OSD画像表示プレーン」は、「Widget画像表示プレーン」上に重ね合わせて合成されるものと認められ、また、「OSD画像」の表示は、「ユーザのリモコン操作など」により要求されるものであるから、引用発明の「OSD画像表示プレーン」は、本願発明1の「第1のプレーン」と同様に「前記IGプレーン上に重ね合わせて合成されるユーザプレーン」といえる。
ク 引用発明は、上記アで指摘したとおり、引用発明の「OSD画像表示プレーン」に「OSD画像」を描画するから、本願発明と同様に「前記第1の描画部は、前記ユーザプレーンに画像を描画」するものといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「第1のプレーン上に画像を描画する第1の描画部と、第2のプレーン上に画像を描画する第2の描画部とを備え、少なくとも前記第1のプレーンと前記第2のプレーンを重ね合わせた合成画像データを出力する表示制御装置において、
前記第2のプレーンへの画像表示要求に応じて前記第2の描画部が描画した前記第2のプレーン上の画像表示領域を判別する判別部と、
前記第2のプレーン上の前記画像表示領域に重ならないように、前記第1の描画部を制御して前記第1のプレーンの画像表示位置を変更する制御部とを備え、
前記第2のプレーンは、IG(Interactive Graphic)プレーンであり、
前記第1のプレーンは、前記IGプレーン上に重ね合わせて合成されるユーザプレーンであり、
前記第1の描画部は、前記ユーザプレーンに画像を描画する表示制御装置。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1は、「前記判別部は、前記第2のプレーンを分割するエリアを、前記第1のプレーンに描画される画像の表示領域のサイズに合わせて動的に変更し、当該エリアごとに分割した前記第2のプレーンを分割エリア単位で走査して前記画像表示領域を判別し、前記画像表示領域に該当しない分割エリアが発見された時点で、前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記第1のプレーン上の位置であって、前記判別部から通知された当該分割エリアに対応する位置が、前記第1のプレーンの画像表示位置となるように前記第1の描画部を制御し、」というものであるのに対し、引用発明がこのようなものであるか不明な点。

(相違点2)本願発明1は、「前記第2の描画部は、ポップアップメニューの表示要求に応じて、前記ユーザプレーン上の画像位置とは無関係に前記IGプレーンにポップアップメニュー画像を描画する」ものであるのに対し、引用発明の「Widget画像」がこのような「ポップアップメニュー画像」であるか不明な点。

(相違点3)本願発明1における第2の描画部は、「前記第1のプレーン上の画像位置とは無関係」に第2のプレーン上に画像を描画する描画しているのに対し、引用発明における映像表示制御装置は、「OSD画像表示プレーン」における「OSD画像」の位置とは無関係に、Widget画像表示プレーンにWidget画像を描画しているか、明らかでない点。


(2)相違点についての判断
事例に鑑み、上記相違点1について検討すると、引用文献1には、段落【0044】に具体例として、Widget画像表示プレーンにおける空き領域を検索し、検索された空き領域のうち、どれかに、表示しようとしているOSD画像が収まるかどうかチェックし、収まるときは、OSD画像の表示位置を調整して、検出された空き領域の1つに対応する位置に移動させることが記載されており、この「Widget画像表示プレーンにおける空き領域」は、本願発明1の「第2のプレーンにおける画像表示領域に該当しないエリア」に相当すると認められるが、本願発明1のごとく、「(第1のプレーンに描画される画像の表示領域のサイズに合わせて動的に変更された)第2のプレーンを分割するエリア」に相当するものではない。
また、引用文献1の段落【0044】の「検索された空き領域(例えば図9の透明画素領域A、B、C、D)のうち、どれか(例えば一番広い透明画素領域C)に、表示しようとしているOSD画像が収まるかどうかチェックする」との記載は、検索された空き領域のうち、どれかに、表示しようとしているOSD画像が収まるかどうかチェックすることを説明しているにとどまり、本願発明1のごとく「当該エリアごとに分割した前記第2のプレーンを分割エリア単位で走査して前記画像表示領域を判別し、前記画像表示領域に該当しない分割エリアが発見された時点で、前記制御部に通知」することを記載ないし示唆するものとはいえない。
引用文献6には、「第1の画像中のぼけ領域に第2の画像を重ねて表示するマルチウインドウ画像表示方式において、第1の画像を大きさの等しい複数の単位領域に分け、これらの単位領域ごとに精細度の判定を行ってその判定結果からぼけ領域を検出すること、及び、その単位領域の大きさおよび形状を、第2の画像の大きさおよび第1の画像中の重要部分の大きさに応じて動的に可変設定すること」が記載されているが、第1の画像を第2の画像の大きさに応じて設定した大きさの等しい複数の単位領域に分け、当該単位領域を走査してぼけ領域であるかを判別し、当該単位領域がぼけ領域と判定された時点で、第1の画像中の当該単位領域に第2の画像を重ねて表示することは、引用文献6に記載されていないから、仮に引用文献6の「第1の画像」、「第1の画像中のぼけ領域」及び「第2の画像」をそれぞれ、引用発明の「(Widget画像が描画された)Widget画像表示プレーン」、「(Widget画像表示プレーンの)空き領域」及び「OSD画像」に対応させ、引用文献6に記載された技術を引用発明に適用したとしても、本願発明1のごとく、「(Widget画像が描画された)Widget画像表示プレーン」を「OSD画像」のサイズに合わせたエリアに分割し、当該エリアごとに分割した「(Widget画像が描画された)Widget画像表示プレーン」を分割エリア単位で走査して「(Widget画像表示プレーンの)空き領域」を判別し、「空き領域」と判別された分割エリアが発見された時点で、「(Widget画像表示プレーンの)空き領域」に相当するOSD画像表示プレーンの領域に「OSD画像」を描画するようにすることにはならない。
よって、上記相違点1に係る本願発明1の構成は、当業者といえども、引用発明及び引用文献6に記載された技術から容易に想到し得たこととはいえない。

また、引用文献2、3、5の記載内容は、前記 第4 2-4のとおりであって、上記相違点1に係る事項を示唆するものではない。

したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、引用文献1-3、5、6に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2-5について
本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1-3、5、6に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明6について
本願発明6は、本願発明1に対応する方法の発明をさらに減縮した発明であり、実質的に本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1-3、5、6に基づいて容易に発明できたものとはいえない。。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-6は、当業者が引用文献1-3、5、6に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-10-10 
出願番号 特願2012-127118(P2012-127118)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G09G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山崎 仁之波多江 進  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 須原 宏光
清水 稔
発明の名称 表示制御装置および表示制御方法  
代理人 坂元 辰哉  
代理人 井上 和真  
代理人 辻岡 将昭  
代理人 濱田 初音  
代理人 中島 成  
代理人 田澤 英昭  
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