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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1333162
審判番号 不服2015-22585  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-24 
確定日 2017-10-24 
事件の表示 特願2015- 39444「ゲームプログラム、ゲーム処理方法および情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 9日出願公開、特開2015-126907、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年9月27日に出願した特願2013-200687号(以下「原出願」という。)の一部を平成26年3月6日に新たな特許出願とした特願2014-43919号の一部を平成27年2月27日に新たな特許出願としたものであって、平成27年9月17日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年12月24日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がなされ、平成29年6月23日付けで拒絶理由通知がされ、同年8月10日付けで手続補正がされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1乃至5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」乃至「本願発明5」という。)は、平成29年8月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
電子デバイスでゲームのプレイを行うためのゲームプログラムであって、コンピュータに、
ユーザに対し、前記ゲーム内の第1のイベントにおいて前記ユーザが獲得したポイントである初期ポイントを付与する初期ポイント付与機能と、
前記初期ポイントに基づいて、複数の初期グループを作成する初期グループ作成機能と、
前記ユーザに対し、前記ゲーム内において前記第1のイベントの後に行われた第2のイベントにおける、前記ユーザの強さの第1の基準である第1のポイントを付与する第1のポイント付与機能と、
前記ユーザに対し、前記第2のイベントにおける前記ユーザの強さの第2の基準である第2のポイントとして付与する第2のポイント付与機能と、
前記第1のポイントおよび前記第2のポイントに基づいて、複数の第1のグループを作成する第1のグループ作成機能と、
を実現させ、
前記第1のポイント付与機能は、前記初期グループの各々において、前記ユーザに、前記第2のポイント付与機能により付与された第2のポイントに基づいて、前記第1のポイントを付与し、
前記第2のポイント付与機能は、前記コンピュータに記憶された前記ユーザのプレイ履歴に基づいて、前記第2のイベントにおいて前記ユーザが獲得したポイントである前記第2のポイントを付与するゲームプログラム。」

なお、本願発明2乃至5の概要は以下のとおりである。
本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明3は、本願発明1または本願発明2を減縮した発明である。
本願発明4は、本願発明1に対応するゲーム処理方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明5は、本願発明1に対応する情報処理装置の発明であり、本願発明1と実質的な構成の差異がない発明である。


第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の原出願日前の平成16年2月12日に頒布された引用文献1(特開2004-41719号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム機からユーザのスコアを受信するステップと、
少なくとも部分的にスコアに基づいて、ユーザの識別子が挿入されるスコアテーブル内の位置を識別するステップと、
ユーザに複数のグループの1つを割り当てるステップと、
ユーザが割り当てられたグループに関連するユーザのカウントを修正するステップと、
ユーザの識別子に、割り当てられたグループ内でのユーザの相対位置を関連付けるステップであって、関連付けは、少なくとも部分的にユーザのスコアに関連する、ステップと、
ユーザより低いスコアを有し、割り当てられたグループ内のユーザのそれぞれについて、各ユーザに関連する相対位置を修正するステップと
を含むことを特徴とする方法。

【請求項5】
ユーザのスコアは、ユーザによってプレイされるゲームに関連し、さらに、
ユーザによってプレイされるゲームに基づいて、複数のスコアテーブルのうちの1つのスコアテーブルでユーザの識別子が挿入されるスコアテーブルを識別するステップ
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータおよびオンラインシステムに関し、具体的には、オンラインのコンソールベースのゲームの統計システムに関する。」
(3)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プレーヤの数が増えるにつれて、そのようなランキングを保持するシステムを設計する際に直面する複雑さおよび難しさも、高まる。インターネットを用いると、世界中の個人の間での比較的簡単な通信が可能になり、したがって、ランキングを保持する必要がある可能性があるプレーヤの数が、数百万とは言わないまでも、簡単に数万程度になる可能性がある。現在、システムは、そのような多数のプレーヤと共に提示される時にプレーヤランキングに関するそのような情報を提供できない。」
(4)「【0008】
ある他の実施形態によれば、ランキングを取り出すためのユーザ識別子が受信され、このランキングは、識別されたユーザに関連するレーティング(格付け)を他のユーザに関連する他のレーティングとどのように比較するかを示す。ユーザ識別子が複数のレーティンググループのどれに割り当てられるかが識別され、ツリーの葉ノードも識別される。この葉ノードは、ユーザ識別子が割り当てられるレーティンググループに対応する。ツリー内のパスを、葉ノードからツリーのルートノードまで追跡(トラバース)し、パスに沿って選択されたユーザカウントを合計する。ユーザ識別子が割り当てられたレーティンググループ内のユーザ識別子の相対位置が識別され、相対位置と、パスに沿った選択されたユーザカウントの合計との合計としてランキングが生成される。」
(5)「【0010】
図1は、例示的環境100のブロック図である。複数のクライアントデバイス102(1)、...、102(n)が、統計システム104に結合される。デバイス102およびシステム104の間の結合は、システム104およびデバイス102のそれぞれの間の通信を可能にするさまざまな結合のいずれかとすることができる。一実施形態では、結合に、インターネットが含まれ、任意選択として、1つまたは複数の他のネットワーク(たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN))も含めることができる。
【0011】
ゲーム機102は、専用ゲーム機とすることができ、その代わりに、追加の機能性を含めることができる。たとえば、ゲーム機に、ディジタルVCRとして動作できるようにディジタルビデオ録画機能性を含めることができ、ゲーム機に、テレビジョン信号(放送信号、ケーブル信号、衛星信号など)に同調し、これを復号化できるようにチャネル同調機能性を含めることができるなどである。さらに、異なるタイプのゲーム機102が、統計システム104を同時に使用することができる。たとえば、2つの異なるゲーム機プラットフォーム(たとえば、2つの異なる製造業者によって製造された専用ゲーム機)の両方が、同一のおよび/または異なるゲームタイトルについてレーティング、属性、および/またはランキングを送信し、受信することができる。」
(6)「【0016】
動作中に、ゲーム機102は、そのゲーム機のユーザによってプレイされるゲームの異なる属性に基づくレーティングを生成する。これらのレーティングが生成される正確な形ならびにレーティングが何を表すかは、ゲームタイトルおよびゲーム設計者の望みによって変化する可能性がある。ユーザについて生成されるレーティングは、プレーヤのランキングを生成するのに使用される。これらのランキングを一緒にして、スコアボードとも称する。スコアボードは、全世界に分散した多数のプレーヤのランキングを有することができ、たとえば、1万個または10万個あるいはそれ以上のユーザランキングを含めることができる。
【0017】
異なる属性を使用して、レーティングを生成することができる。特定のレーティングを生成するのに使用される属性は、ゲーム設計者またはゲーム製造業者によって定義される。そのような属性の例に、勝ったゲームの数、負けたゲームの数、引き分けのゲームの数、ゲームで得たポイントの総計、ある行動をどれほど速く実行したか、作業を完了するのにどれほどの助けを受けたか、ある時間期間内にユーザが得たアイテムまたはオブジェクトの数、ゲームをプレイした時間などが含まれる。属性は、ゲーム設計者またはゲーム製造業者が望む任意の形で組み合わせることができ、属性が組み合わされる形は、ゲーム設計者またはゲーム製造業者によって定義される(通常は、そのような組合せが、実行中にゲームタイトルによって実行される)。
【0018】
各ゲームタイトルが、1つまたは複数のレーティングを有する可能性がある。したがって、各レーティングの意味は、変化する可能性がある。たとえば、特定のゲームタイトルが、ユーザのスコアだけである1つのレーティングと、ユーザの最速時間だけであるもう1つのレーティングと、複数の上の属性の組合せであるもう1つのレーティングを有する場合がある。」
(7)「【0021】
統計システム104を用いると、ゲーム機102が、保存のためにシステム104にデータを送信し、システム104によって保存されたデータを取り出し、システム104からランキングを取り出すことができるようになる。ゲーム機は、特定のユーザに関するレーティングならびにこれらのレーティングを生成するのに使用された属性データの両方をシステム104に送信することができる。統計システム104が、レーティングが生成される形に関係する必要はない。しかし、統計システム104は、ゲーム機102のストレージデバイスとして動作し、ゲーム機から受信した個々の属性の値を属性ストア114に保存する。これらの属性値は、ユーザ識別子によって保存され、ゲーム機が後にユーザに関する情報を取り出すできるようになっている。たとえば、最近のゲームプレイに鑑みてユーザのレーティングを再計算するゲーム機102が、システム104によって保存された前の属性を取り出し、これらの属性をユーザの新しいレーティングの計算に使用することができる。」
(8)「【0027】
グループテーブル112およびレーティングテーブル110を、それぞれ、本明細書ではスコアボードごとの単一のテーブルとして説明するが、その代わりに、特定のスコアボードに関するレーティングテーブルを、複数のテーブルに分割することができ、特定のスコアボードに関するグループテーブルも、複数のテーブルに分割することができる。
【0028】
図2に、例示的なレーティングテーブル150を示し、図3に、例示的なグループテーブル160を示す。図からわかるように、レーティングテーブル150では、グループ識別子、レーティング、および相対位置を含む、ユーザ識別子ごとの情報が保持される。レー
ティングテーブル150のグループ識別子によって、図3のテーブル160内のグループが識別される。グループテーブル160では、グループが対応するレーティングの範囲(下および上の値として示されている)、現在各グループに割り当てられているユーザ識別子の数のカウント、およびフルインデックスを含む各グループに関する情報が保持される。代替案では、現在各グループに割り当てられているユーザ識別子の数のカウントを、テーブル160内ではなく、テーブル150および160に対応するメモリツリーで保持することができる。」
(9)「【0031】
図4は、レーティングテーブル110にエントリを追加し、レーティングテーブル110からエントリを削除する例示的処理200を示す流れ図である。図4の処理は、統計システム104によって実施され、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはその組合せによって実行することができる。図4の処理を、図1のコンポーネントに関して説明する。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「複数のゲーム機が、統計システムに結合され、統計システムによってソフトウェアが実行され、
ゲーム機からユーザのスコアを受信するステップと、
少なくとも部分的にスコアに基づいて、ユーザの識別子が挿入されるスコアテーブル内の位置を識別するステップと、
ユーザに複数のグループの1つを割り当てるステップと、
ユーザが割り当てられたグループに関連するユーザのカウントを修正するステップと、
ユーザの識別子に、割り当てられたグループ内でのユーザの相対位置を関連付けるステップであって、関連付けは、少なくとも部分的にユーザのスコアに関連する、ステップと、
ユーザより低いスコアを有し、割り当てられたグループ内のユーザのそれぞれについて、各ユーザに関連する相対位置を修正するステップと
ユーザのスコアは、ユーザによってプレイされるゲームに関連し、さらに、
ユーザによってプレイされるゲームに基づいて、複数のスコアテーブルのうちの1つのスコアテーブルでユーザの識別子が挿入されるスコアテーブルを識別するステップ
を含む方法。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の原出願日前の平成22年9月2日に頒布された引用文献2(特開2010-187908号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【請求項8】
現在の貯留クレジット数のデータを保持する貯留クレジット記憶手段と、前記貯留クレジット数のデータをゲームのプレイ回数若しくはプレイ時間に変換して所定のゲームを実行する機能を有するゲーム処理手段と、を備えたゲーム装置と、
前記ゲーム装置がネットワークを介して複数台接続されると共に、前記ゲーム装置が所定回数若しくは所定時間以上連続して前記ゲームの実行が可能な状況下にあるプレイヤ同士を組み合わせて所定の通信ゲームを実行させるためのマッチング処理を行うマッチングサーバと、
を有するゲームシステムであって、
前記ゲーム装置は、
ゲームプレイに関するデータに基づいて前記状況下にあるか否かを判定するゲーム状況判定手段
を有することを特徴とするゲームシステム。」
(2)「【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームのプレイ回数やプレイ時間に変換可能なクレジットの量を示すデータを基に所定のゲームを実行する機能を有するゲーム装置及びゲームシステムに関し、特に、ゲームに対するプレイヤ(遊戯者)の意欲を持続させるように、通常のプレイ時とは異なるゲーム内容やゲーム動作に変化させることが可能なゲーム装置及びゲームシステムに関する。」
(3)「【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように従来のゲーム装置やゲームシステムでは、何らかの工夫をしてゲームに対するプレイヤの意欲を持続させるようにしている。
【0012】
ところで、ゲーム装置には、現在の貯留クレジット数のデータを保持する機能を備えたものがある。この種の従来のゲーム装置では、コイン(通貨)などのプレイポイントに相当する「クレジット」をあらかじめ複数投入することにより、プレイ回数が1回増えるといったサービスを付与し、プレイヤがゲームを始める際に複数プレイ回数があるという前提のもと、いろいろな戦略を立てることでき、ゲームに対するプレイヤの意欲を持続させるようにしていた。また、「クレジット」の複数投入をさせることにより、プレイヤ一人当たりのゲーム装置に対する単価を上げることができた。
【0013】
しかし、ゲーム装置によっては、クレジット数に関係なく何回でもプレイすることができる「フリープレイモード」が存在したり、「フリープレイモード」が存在しないゲーム装置において装置内部のクレジット部を操作することで実質的に何回でもプレイ可能としたりする場合があった。
【0014】
「フリープレイモード」が存在しないゲーム装置の場合、例えば、店舗がゲーム装置を時間貸しする際に、店員が筐体内のコイン貯留部に多量のコインを一気に投入したり、クレジット部を操作することによって、通常のプレイでは考えにくい数値にまで残存クレジット数(記憶部に貯留されているクレジット数)を増加させることで、何回でもプレイできるようにしていた。
【0015】
上述のようなゲーム装置の場合、プレイヤは、ゲームをプレイする毎に料金を支払う必要がなく実質的に何回でもプレイすること(以下「フリープレイ」と呼ぶ)が可能なため、緊張感が欠けることにより、プレイが雑になる恐れがあった。
【0016】
さらに、上記のようなフリープレイが可能なゲーム装置を接続したゲームシステムにおいては、例えば、ネットワーク対戦において、残存クレジット数(貯留クレジット数)が異常に多いような「フリープレイのゲーム装置」と、残存クレジット数が通常の「通常プレイのゲーム装置」とがマッチングした場合、前者のゲーム装置でプレイしているユーザはプレイが雑になり、後者のゲーム装置でプレイしているユーザの真剣に対戦したいという競争心を失わせる恐れがあった。
【0017】
本発明は上述のような事情から成されたものであり、本発明の目的は、常に一定の緊張感をプレイヤに持たせながらゲームをプレイさせることが可能なゲーム装置、ゲームシステム及びプログラムを提供することにある。
【0018】
より詳しくは、本発明の目的は、ゲームをプレイする毎に料金を支払う必要がなく実質的に何回でもプレイすることができるフリープレイの場合でも、常に一定の緊張感をプレイヤに持たせながらゲームをプレイさせることが可能なゲーム装置を提供することにある。また、本発明の更なる目的は、例えば各店舗のゲーム装置がネットワークを介して接続されたゲームシステムにおいて、プレイヤがどのような店舗のゲーム装置でプレイしたとしても、同一目的のプレイヤ同士でマッチングさせることにより、常に一定の緊張感を持たせながらゲームをプレイさせることができるゲームシステムを提供することにある。」
(4)「【0093】
マッチングサーバ3は、例えば、離れた場所(店舗等)に存在するゲーム装置同士で1対1の対戦ゲームや2人以上のグループ間での対戦ゲームにおいて、対戦対象のゲーム装置を決定するためのマッチング処理を実行する。例えば、当該プレイヤのプレイ状況データ(当該プレイヤの戦歴,ランクなどを示すデータ)が記録された記憶媒体を用いた対戦ゲームの場合は、マッチングサーバ3のマッチング処理部301では、プレイヤがログインしている各ゲーム装置からマッチング要求を受信すると共に、受信したマッチング要求に含まれるプレイ状況データに基づいて同類のプレイヤ(同一ランクのプレイヤ同士,ログイン時間が早いプレイヤ同士など)をマッチングし、対戦対象のゲーム装置を決定する。そして、マッチング要求元のゲーム装置に対してマッチング結果を返信する。」

したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「現在の貯留クレジット数のデータを保持する貯留クレジット記憶手段と、前記貯留クレジット数のデータをゲームのプレイ回数若しくはプレイ時間に変換して所定のゲームを実行する機能を有するゲーム処理手段と、を備えたゲーム装置と、
前記ゲーム装置がネットワークを介して複数台接続されると共に、前記ゲーム装置が所定回数若しくは所定時間以上連続して前記ゲームの実行が可能な状況下にあるプレイヤ同士であって、プレイ状況データに基づいて同類のプレイヤ(同一ランクのプレイヤ同士)を組み合わせて所定の通信ゲームを実行させるためのマッチング処理を行うマッチングサーバと、
を有するゲームシステムであって、
前記ゲーム装置は、
ゲームプレイに関するデータに基づいて前記状況下にあるか否かを判定するゲーム状況判定手段
を有するゲームシステム。」


第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、
後者の「ゲーム機」、「ゲーム」、「プレイ」、「統計システム」、「ユーザ」、「ユーザのスコア」、及び「グループ」は、それぞれ、前者の「電子デバイス」、「ゲーム」、「プレイ」、「コンピュータ」、「ユーザ」、「ユーザが獲得したポイント」、及び「グループ」に相当する。
後者の「ソフトウェア」は、複数のゲーム機が結合された統計システムによって実行されるものであるから、「ゲームのプレイを行うためのゲームプログラム」といえる。
後者の「ユーザのスコア」は、「ユーザによってプレイされるゲームに関連」するものであって、ゲームにおいて「ユーザが獲得したポイント」であるから、「ユーザのスコア」は、ユーザに付与されるものといえ、後者の「ゲーム機」は、「ゲーム内のイベントにおいてユーザが獲得したポイントを付与するポイント付与機能」を備えるといえる。
後者の「統計システム」によって、少なくとも部分的にスコアに基づいて、ユーザの識別子が挿入されるスコアテーブル内の位置を識別するステップと、ユーザに複数のグループの1つを割り当てるステップ、とが実行されるものであるから、「ポイントに基づいて、複数のグループを作成するグループ作成機能」を備えるといえる。
そして、後者の「方法」における各ステップは、「プログラム」における手順といえるから、実質的に「ゲームプログラム」といえる。

したがって、両者は、
「電子デバイスでゲームのプレイを行うためのゲームプログラムであって、コンピュータに、
ユーザに対し、前記ゲーム内のイベントにおいて前記ユーザが獲得したポイントを付与するポイント付与機能と、
前記ポイントに基づいて、複数のグループを作成するグループ作成機能と、
を実現させるゲームプログラム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
本願発明1が、「ユーザに対し、ゲーム内の「第1の」イベントにおいて前記ユーザが獲得したポイントである「初期」ポイントを付与する「初期」ポイント付与機能と、「前記初期」ポイントに基づいて、複数の「初期」グループを作成する「初期」グループ作成機能と、「前記ユーザに対し、前記ゲーム内において前記第1のイベントの後に行われた第2のイベントにおける、前記ユーザの強さの第1の基準である第1のポイントを付与する第1のポイント付与機能と、前記ユーザに対し、前記第2のイベントにおける前記ユーザの強さの第2の基準である第2のポイントとして付与する第2のポイント付与機能と、前記第1のポイントおよび前記第2のポイントに基づいて、複数の第1のグループを作成する第1のグループ作成機能と、を実現させ、前記第1のポイント付与機能は、前記初期グループの各々において、前記ユーザに、前記第2のポイント付与機能により付与された第2のポイントに基づいて、前記第1のポイントを付与し、前記第2のポイント付与機能は、前記コンピュータに記憶された前記ユーザのプレイ履歴に基づいて、前記第2のイベントにおいて前記ユーザが獲得したポイントである前記第2のポイントを付与する」ものであるのに対し、引用発明1は、そのようなものでない点。

(2)相違点についての判断
引用発明2の「プレイヤ」、「ゲーム」、「プレイ」、「プレイ状況データ」は、それぞれ、本願発明1の「ユーザ」、「ゲーム内のイベント」、「プレイ」、「ユーザが獲得したポイント」に相当する。
引用発明2の「マッチングサーバ」は、「プレイ状況データに基づいて同類のプレイヤ(同一ランクのプレイヤ同士)を組み合わせて所定の通信ゲームを実行させるための」ものであるから、「ポイントに基づいて、グループを作成するグループ作成機能」を備えるといえる。
しかし、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明2に、記載も示唆もされていない。
また、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項が設計的事項といえる理由もない。
そして、本願発明1は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項により、「ユーザを適切にグループ分けすることにより、ユーザのゲームへの参加意欲を向上させることができる。」(本願明細書【0016】参照。)との効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

2.本願発明2乃至5について
本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本願発明2及び3は、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
また、本願発明4は、本願発明1に対応するゲーム処理方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であるし、本願発明5は、本願発明1に対応する情報処理装置の発明であり、本願発明1と実質的な構成の差異がない発明であるから、本願発明4及び本願発明5は、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、
「この出願の下記の請求項に係る発明は、その分割原出願日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その分割原出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1-5に対して、引用文献等1、2
<引用文献等一覧>
1.特開2004-41719号公報
2.特開2010-187908号公報」
というものである。
しかしながら、平成29年8月10日付け手続補正により補正された請求項1乃至5は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項である「ユーザに対し、ゲーム内の「第1の」イベントにおいて前記ユーザが獲得したポイントである「初期」ポイントを付与する「初期」ポイント付与機能と、「前記初期」ポイントに基づいて、複数の「初期」グループを作成する「初期」グループ作成機能と、「前記ユーザに対し、前記ゲーム内において前記第1のイベントの後に行われた第2のイベントにおける、前記ユーザの強さの第1の基準である第1のポイントを付与する第1のポイント付与機能と、前記ユーザに対し、前記第2のイベントにおける前記ユーザの強さの第2の基準である第2のポイントとして付与する第2のポイント付与機能と、前記第1のポイントおよび前記第2のポイントに基づいて、複数の第1のグループを作成する第1のグループ作成機能と、を実現させ、前記第1のポイント付与機能は、前記初期グループの各々において、前記ユーザに、前記第2のポイント付与機能により付与された第2のポイントに基づいて、前記第1のポイントを付与し、前記第2のポイント付与機能は、前記コンピュータに記憶された前記ユーザのプレイ履歴に基づいて、前記第2のイベントにおいて前記ユーザが獲得したポイントである前記第2のポイントを付与する」ものという構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1乃至5は、上記引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。


第6 当審拒絶理由について
当審では、
「1.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項1?3において、「初期ポイント付与機能」は、「ユーザに対し、前記ゲーム内の第1のイベントにおけるポイントである初期ポイントを付与する」と記載され、「第2のポイント付与機能」は、「前記ユーザに対し、前記第2のイベントにおける第2の基準である第2のポイントを付与する」及び「前記コンピュータに記憶された前記ユーザのプレイ履歴に基づいて、前記第2のポイントを付与する」と記載されているだけである。
これに対し、本願発明の課題は、「全ユーザを対象として一つの基準で順位付けを行うと、限られた一部の強いユーザしか上記報酬を入手する機会がなく、弱いユーザの参加意欲を低下させ、参加ユーザを幅広く活性化させる仕掛けとしては不十分であった。」であるところ、上記「初期ポイント付与機能」及び「第2のポイント付与機能」の記載だけでは、ゲーム内のイベントにおけるユーザの強さを表すものではないから、請求項1?3に係る発明は、発明が解決しようとする課題を解決するための手段の前提条件が記載されていない。

2.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
また、上記「初期ポイント付与機能」及び「第2のポイント付与機能」の記載だけでは、どの様にポイントを付与するのか定かでないから、請求項1?3に係る発明は不明確である。
請求項4及び5についても、同様の記載不備がある。」
との拒絶の理由を通知しているが、平成29年8月10日付けの補正において、上記指摘1に対して、請求項1、4及び5は、「ユーザの強さの第1の基準である第1のポイントを付与する第1のポイント付与」及び「第2のイベントにおけるユーザの強さの第2の基準である第2のポイントとして付与する第2のポイント付与」との補正がなされ、上記指摘2に対して、請求項1、4及び5は、「ゲーム内の第1のイベントにおいてユーザが獲得したポイント」及び「第2のイベントにおいてユーザが獲得したポイント」との補正がなされた結果、この拒絶の理由は解消した。


第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-10-02 
出願番号 特願2015-39444(P2015-39444)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
P 1 8・ 537- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宇佐田 健二  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 森次 顕
藤本 義仁
発明の名称 ゲームプログラム、ゲーム処理方法および情報処理装置  
代理人 白坂 一  
代理人 特許業務法人白坂  
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