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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H01R
管理番号 1333243
異議申立番号 異議2017-700618  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-06-16 
確定日 2017-10-02 
異議申立件数
事件の表示 特許第6055939号発明「リセプタクルコネクタ及びリセプタクルコネクタの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6055939号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6055939号の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、平成25年11月19日に特許出願された特願2013-239003号の一部を平成28年2月2日に新たな特許出願としたものであって、平成28年12月9日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人赤澤正験(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

2 本件発明
特許第6055939号の請求項1ないし3の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものである。

3 申立理由の概要
特許異議申立人は、主たる証拠として特開2010-225401号公報(以下、「刊行物1」という。)並びに従たる証拠として特開2008-218095号公報(以下、「刊行物2」という。)及び特開2012-164528号公報(以下、「刊行物3」という。)を提出し、請求項1ないし3に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1ないし3に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。

4 刊行物の記載
(1)刊行物1の段落【0002】及び【0022】-【0033】の記載事項及び【図1】-【図8】の図示内容を総合し、本願請求項1の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

[引用発明]
「嵌合凸部を有するヘッダ本体6;ヘッダ側プリント配線基板に実装可能でありかつ前記ヘッダ本体6に支持された複数のヘッダ用コンタクト21;及びヘッダ側プリント配線基板に実装可能でありかつ前記ヘッダ本体6に支持されたヘッダ用ロック金具20;を有するヘッダ3に対して嵌合可能に構成されたソケット2であって、
前記嵌合凸部が嵌合する嵌合凹部を形成する外周壁を有するソケット本体5;
ソケット側プリント配線基板に実装可能でありかつ前記ソケット本体5に支持された複数のソケット用コンタクト12であって、前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌合したときに前記複数のヘッダ用コンタクト21に接触する複数のソケット用コンタクト12;及び
前記ソケット側プリント配線基板に実装可能でありかつ前記ソケット本体5に支持されたソケット用ロック金具10であって、前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌合したときに前記ヘッダ用ロック金具20に接触するソケット用ロック金具10;
を有し、
前記ソケット本体5と前記ソケット用ロック金具10がインサート成型により一体化されていること;及び
前記ソケット用ロック金具10の弾性接触片は、前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌合したときに、前記ヘッダ3の前記ヘッダ用ロック金具20に形成されたロック部20bに嵌合するロック部10bを有するソケット2。」

(2)刊行物2には、保持部77をレセプタクル側ハウジング3のインサート成形時に一体成形するという技術的事項が記載されており、刊行物3には、ガイド部31dを設けたソケット側保持金具30を、ソケットハウジング11を型成形する際にインサート成形するという技術的事項が記載されている。

5 判断
(1)請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明と引用発明とを対比すると、引用発明は「前記リセ側固定金具は、前記インサート成形後の自由状態において前記リセプタクルインシュレータの前記外周壁の内周面から内周側に離間するように延びる弾性接触片を有し、前記嵌合凸部に対する前記嵌合凹部の嵌合方向に沿った前記弾性接触片を含む断面視において、前記内周面と連続する前記嵌合方向側の表面及び外周面にわたって埋設され、前記外周壁を内側に挟むように配置されること」に相当する構成を有していない。この点は、刊行物2及び刊行物3にも記載されていないし、周知技術であるとも認められない。したがって、請求項1に係る発明は、引用発明、刊行物2及び刊行物3に記載された技術的事項並びに周知技術から当業者が容易になし得たものではない。

特許異議申立人は、請求項1に係る発明の「前記リセ側固定金具は、前記インサート成形後の自由状態において前記リセプタクルインシュレータの前記外周壁の内周面から内周側に離間するように延びる弾性接触片を有し、」の点は、刊行物1に「ソケット用ロック金具10は、前記インサート成形後の自由状態においてソケット本体5の前記外周面の内周壁から内周側に離間するように延びるロック部10bを有し、」という構成として記載されている旨主張している。
しかし、刊行物1の図8において、ソケット側ロック金具10によって囲われている部分にはハッチングが描かれていない。これを同図の、ヘッダ側ロック金具20によって囲われているヘッダ3の部分にハッチングが描かれている事と対比すれば、ハッチングの無いソケット側ロック金具10によって囲われている部分に、ソケット2の内周壁は設けられていないと解される。そうすると、引用発明は、「ソケット用ロック金具10は、前記インサート成形後の自由状態においてソケット本体5の前記外周面の内周壁から内周側に離間するように延びるロック部10bを有し」という構成を有していないと認められるから、特許異議申立人の刊行物1に関する上記主張は採用できない。

また、刊行物2の図6からは、シェル接触部72が鉛直方向に延びている状態が看取できる。したがって、刊行物2には、シェル接触部72について「レセプタクル側嵌合部32の側壁部32cの内周面から内周側に離間するように延びている自由状態としての弾性復帰状態」が記載されている旨の特許異議申立人の主張は理由がない。

さらにまた、刊行物3の図13からは、ソケット側保持金具30係合片31が周壁部13の内周面に接触している状態が看取できる。したがって、刊行物3には、インサート成形後の自由状態においてソケットハウジング11の周壁部13の内周面から内周側に伸びる係合片31が記載されている旨の特許異議申立人の主張は理由がない。

(2)請求項2及び請求項3に係る発明について
請求項2及び請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明を更に減縮したものであるから、上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により、引用発明、刊行物2及び刊行物3に記載された技術的事項並びに周知技術から当業者が容易になし得たものではない。

以上のとおり、請求項1ないし3に係る発明は、引用発明、刊行物2及び刊行物3に記載された技術的事項並びに周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-09-21 
出願番号 特願2016-17987(P2016-17987)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (H01R)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 康孝  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 滝谷 亮一
内田 博之
登録日 2016-12-09 
登録番号 特許第6055939号(P6055939)
権利者 京セラ株式会社
発明の名称 リセプタクルコネクタ及びリセプタクルコネクタの製造方法  
代理人 橋本 大佑  
代理人 杉村 憲司  

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