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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B31B 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B31B |
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管理番号 | 1333269 |
異議申立番号 | 異議2017-700319 |
総通号数 | 215 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-11-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-03-29 |
確定日 | 2017-10-19 |
異議申立件数 | 3 |
事件の表示 | 特許第6068707号発明「両底貼り袋の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6068707号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第6068707号(以下「本件特許」という。)の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成26年8月4日(優先権主張 平成26年3月25日 日本国)に出願した特願2014-158942号の一部を平成28年4月6日に新たに特許出願したもので、平成29年1月6日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成29年3月29日付けで特許異議申立人日本製袋株式会社及び名糖株式会社により、平成29年7月10日付けで特許異議申立人石川株式会社により、平成29年7月24日付けで特許異議申立人山本陽一により、それぞれ特許異議の申立てがされたものである。 2.本件発明 本件特許の請求項1?4に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 【請求項1】 筒状の袋本体(1)の開口端部を折り曲げて両底面を形成する両底貼り袋の製造方法において、 袋本体(1)の開口端部の左右両側を内方に折り曲げて、左右に三角形状の折込部(7、8)がそれぞれ形成された展開面(2A)を形成し、当該展開面(2A)の上下に左右方向に延びる袋本体折筋(9、10)それぞれを折曲線として内方に折り曲げて重ね合わせることにより前記両底面を形成するに際して、 前記両底面のうちの一方の底面の上下幅(D)よりも広い幅(W)を有し、前記展開面(2A)における左右の三角形状の折込部(7、8)それぞれに貼着できる程度の左右方向の長さ(L)を有し、前記袋本体(1)の内側に連通する孔(17a)であって、当該孔(17a)の幅(R)が、前記一方の底面の上下幅(D)よりも長い孔(17a)が形成された内補強紙(16)が、前記一方の底面(2)の展開面(2A)に貼着された状態で、 前記一方の底面(2)の展開面(2A)における袋本体折筋(9、10)を折曲線として内方に折り曲げることによって、前記内補強紙(16)における内補強紙側折筋(16d、16e)を折曲線として内方に折り曲げることで、前記孔(17a)のうち前記袋本体折筋(9、10)より外側の部分が一緒に内方に折り込まれ、 前記内補強紙(16)の左右端部のうち一方のノズル吹込み口(16a)側の端部から前記孔(17a)に連通する通路(16c)および前記孔(17a)を除く部分が貼り合わされて前記一方の底面(2)が形成され、 前記一方の底面(2)に、外補強紙(5)がさらに貼着されることを特徴とする両底貼り袋の製造方法。 【請求項2】 前記一方の底面の上下幅(D)よりも広い幅(W)を有し、前記展開面(2A)における左右の三角形状の折込部(7、8)それぞれに貼着できる程度の左右方向の長さ(L)を有し、前記袋本体(1)の内側に連通する切り込み(17b)であって、当該切り込み(17b)の幅(R)が、前記一方の底面の上下幅(D)よりも長い切り込み(17b)が入れられた内補強紙(16)が用意され、 前記内補強紙(16)が、前記一方の底面(2)の展開面(2A)に貼着され、 前記一方の底面(2)の展開面(2A)における袋本体折筋(9、10)を折曲線として内方に折り曲げることによって、前記内補強紙(16)における内補強紙側折筋(16d、16e)を折曲線として内方に折り曲げることで、前記切り込み(17b)のうち前記袋本体折筋(9、10)より外側の部分が一緒に内方に折り込まれることを特徴とする請求項1に記載の両底貼り袋の製造方法。 【請求項3】 前記一方の底面の上下幅(D)よりも広い幅(W)を有し、前記展開面(2A)における左右の三角形状の折込部(7、8)それぞれに貼着できる程度の左右方向の長さ(L)を有し、切り込み(17b)が入れられた折り返し箇所(17c)を折り返すことで前記袋本体(1)の内側に連通する孔(17a)を形成することができる当該切り込み(17b)であって、当該切り込み(17b)の幅(R)が、前記一方の底面の上下幅(D)よりも長い切り込み(17b)が入れられた内補強紙(16)が用意され、 前記内補強紙(16)が、前記一方の底面(2)の展開面(2A)に貼着され、 前記切り込み(17b)が入れられた折り返し箇所(17c)が、折り返された状態で、前記一方の底面(2)の展開面(2A)における袋本体折筋(9、10)を折曲線として内方に折り曲げることによって、前記内補強紙(16)における内補強紙側折筋(16d、16e)を折曲線として内方に折り曲げることで、前記切り込み(17b)および前記折り返し箇所(17c)のうち前記袋本体折筋(9、10)より外側の部分が一緒に内方に折り込まれることを特徴とする請求項1に記載の両底貼り袋の製造方法。 【請求項4】 前記一方の底面の上下幅(D)よりも広い幅(W)を有し、前記展開面(2A)における左右の三角形状の折込部(7、8)それぞれに貼着できる程度の左右方向の長さ(L)を有し、前記袋本体(1)の内側に連通する孔(17a)であって、当該孔(17a)の幅(R)が、前記一方の底面の上下幅(D)よりも長い孔(17a)が打ち抜かれた内補強紙(16)が用意され、 前記内補強紙(16)が、前記一方の底面(2)の展開面(2A)に貼着され、 前記一方の底面(2)の展開面(2A)における袋本体折筋(9、10)を折曲線として内方に折り曲げることによって、前記内補強紙(16)における内補強紙側折筋(16d、16e)を折曲線として内方に折り曲げることで、前記孔(17a)のうち前記袋本体折筋(9、10)より外側の部分が一緒に内方に折り込まれることを特徴とする請求項1に記載の両底貼り袋の製造方法。 3.申立理由の概要 特許異議申立人日本製袋株式会社及び名糖株式会社は、主たる証拠として特開2002-326640号公報(以下「刊行物1」という。)及び従たる証拠として実願昭56-124806号(実開昭58-29936号)のマイクロフィルム(以下「刊行物2」という。)、米国特許第3129871号明細書(以下「刊行物3」という。)、特開2003-261151号公報(以下「刊行物4」という。)、特許第4076044号公報(以下「刊行物5」という。)を提出し、請求項1?4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1?4に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 特許異議申立人石川株式会社は、主たる証拠として上記刊行物5、特開2003-26190号公報(以下「刊行物6」という。)を提出し、請求項1?4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1?4に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 特許異議申立人山本陽一は、主たる証拠として上記刊行物1及び従たる証拠として米国特許第3143936号明細書(以下「刊行物7」という。)、特開昭62-4059号公報(以下「刊行物8」という。)、特開2001-328643号公報(以下「刊行物9」という。)、登録実用新案第3049096号公報(以下「刊行物10」という。)を提出し、請求項1?4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1?4に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。また、本件特許の特許請求の範囲の記載は、請求項ごとの記載が簡潔であるとはいえず、請求項1?4に係る特許は特許法第36条第6項第3号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、請求項1?4に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 4.判断 (1)進歩性(特許法第29条第2項)について 上記刊行物1?10のいずれにも、本件特許の請求項1に係る発明の「前記袋本体(1)の内側に連通する孔(17a)であって、当該孔(17a)の幅(R)が、前記一方の底面の上下幅(D)よりも長い孔(17a)が形成され」、「前記孔(17a)のうち前記袋本体折筋(9、10)より外側の部分が一緒に内方に折り込まれ」る「内補強紙(16)」という事項は記載されていない。 この点に関して、刊行物3及び7には、開口Oのサイドカット25の内側に位置する折り目59に沿って、ウェブWの両側を折り畳むことにより、一体に繋がった管状の弁スリーブSの連続的なストリングを形成するステップが記載されており、一見すると上記事項が記載されているようにもみえる。しかし、袋の展開面に貼着されるのは連続的なストリングではなく、該ストリングを開口Oの破断線75で個々に分離した管状の弁スリーブSであって、該弁スリーブSには孔が存在しない(開口Oは、破断線75の分離により、孔ではなく切欠きとなっており、「…一緒に内方に折り込まれ」る孔は存在しない)。 そして、請求項1に係る発明は上記事項を備えることで、「孔17aに内容物を通して充填する時において切り込み17bの周囲で破れが生じることを防止することができる」(段落【0047】)ものである。 したがって、本件発明は、刊行物1?10に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、請求項2?4に係る発明は、請求項1に係る発明の発明特定事項をすべて含むものであるから、請求項1に係る発明と同様に、刊行物1?10に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)簡潔性(特許法第36条第6項第3号)について 本件特許の請求項1には「前記一方の底面(2)の展開面(2A)における袋本体折筋(9、10)を折曲線として内方に折り曲げることによって、前記内補強紙(16)における内補強紙側折筋(16d、16e)を折曲線として内方に折り曲げることで、前記孔(17a)のうち前記袋本体折筋(9、10)より外側の部分が一緒に内方に折り込まれ」と記載されているのに対して、当該請求項1を引用する請求項2には「前記一方の底面(2)の展開面(2A)における袋本体折筋(9、10)を折曲線として内方に折り曲げることによって、前記内補強紙(16)における内補強紙側折筋(16d、16e)を折曲線として内方に折り曲げることで、前記切り込み(17b)のうち前記袋本体折筋(9、10)より外側の部分が一緒に内方に折り込まれ」と記載されており、これは、同一内容の事項が重複して記載されているようにもみえる。しかし、請求項2の上記記載は、孔が、切り込み(17b)に限定されたことに連動して、袋本体折筋(9、10)より外側の部分が一緒に内方に折り込まれるのも切り込み(17b)となったことを明確にするための記載と解することができるから、当該記載が必要以上に冗長であるとまではいえない。 また、請求項1を引用する請求項3の「前記一方の底面(2)の展開面(2A)における袋本体折筋(9、10)を折曲線として内方に折り曲げることによって、前記内補強紙(16)における内補強紙側折筋(16d、16e)を折曲線として内方に折り曲げることで、前記切り込み(17b)および前記折り返し箇所(17c)のうち前記袋本体折筋(9、10)より外側の部分が一緒に内方に折り込まれ」との記載も、孔が、切り込み(17b)が入れられた折り返し箇所(17c)を折り返すことで袋本体(1)の内側に連通する孔(17a)に限定されたことに連動して、袋本体折筋(9、10)より外側の部分が一緒に内方に折り込まれるのが切り込み(17b)および折り返し箇所(17c)となったことを、請求項2の記載と同様に明確にしているだけであるから、当該記載が必要以上に冗長であるとまではいえない。 また、請求項1を引用する請求項4の「前記一方の底面(2)の展開面(2A)における袋本体折筋(9、10)を折曲線として内方に折り曲げることによって、前記内補強紙(16)における内補強紙側折筋(16d、16e)を折曲線として内方に折り曲げることで、前記孔(17a)のうち前記袋本体折筋(9、10)より外側の部分が一緒に内方に折り込まれ」との記載も、孔が、打ち抜かれた孔(17a)に限定されたことに連動して、袋本体折筋(9、10)より外側の部分が一緒に内方に折り込まれるのが当該打ち抜かれた孔(17a)となったことを、請求項2?3と同様に明確にしているだけであるから、当該記載が必要以上に冗長であるとまではいえない。 5.むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-10-10 |
出願番号 | 特願2016-76408(P2016-76408) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
Y
(B31B)
P 1 651・ 121- Y (B31B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 高橋 裕一 |
特許庁審判長 |
千壽 哲郎 |
特許庁審判官 |
井上 茂夫 小野田 達志 |
登録日 | 2017-01-06 |
登録番号 | 特許第6068707号(P6068707) |
権利者 | 山陰製袋工業株式会社 昭和パックス株式会社 |
発明の名称 | 両底貼り袋の製造方法 |
代理人 | 大塚 明博 |
代理人 | 笹野 拓馬 |
代理人 | 木村 高久 |
代理人 | 庄子 幸男 |
代理人 | 木村 高久 |
代理人 | 大塚 明博 |