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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する G01N |
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管理番号 | 1333493 |
審判番号 | 訂正2017-390058 |
総通号数 | 216 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-12-28 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2017-06-30 |
確定日 | 2017-09-22 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5877799号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5877799号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔3-13〕について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第5877799号に係る出願は、2011年(平成23年)3月4日(パリ条約による優先権主張 2010年3月5日 米国)に国際出願され、平成28年2月5日に特許権の設定登録がされたものであって、平成29年6月30日に本件訂正審判が請求されたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の趣旨は、本件審判請求書の「5.請求の趣旨」に記載されるとおり、本件特許第5877799号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項3?13について訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第3 訂正の内容 1 訂正事項1 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「特許明細書等」という。)の特許請求の範囲の請求項3に「c)前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと前記第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含み、前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベルが、前記イヌ対象由来の前記第2の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルより低い場合は」と記載されているのを、「c)前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと前記第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含み、前記第2のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベルが、前記イヌ対象由来の前記第1の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルより低い場合は」に訂正する。 なお、下線は、訂正箇所を示すものであり、請求人が付与したものである。以下同様。 2 訂正事項2 特許明細書等の明細書の段落【0010】に「c)第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含み、第1のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第2の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合は」と記載されているのを、「c)第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含み、第2のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第1の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合は」に訂正する。 3 訂正事項3 特許明細書等の明細書の段落【0060】に「c)第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含んでもよく、第1のOAバイオマーカー発現レベルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第2の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合は」と記載されているのを、「c)第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含んでもよく、第2のOAバイオマーカー発現レベルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第1の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合は」に訂正する。 第4 当審の判断 1 訂正の目的について (1)訂正事項1について ア 特許明細書等の記載 特許明細書等には、以下の記載がある。 (ア)「【請求項3】 イヌの変形性関節症の治療の効果を監視するための方法であって、a)上記変形性関節症の治療が前記イヌ対象に施される前に、前記イヌ対象から得られる第1の生物学的流体試料中の、以下のOAポリペプチド:1)MCP1ポリペプチド;2)IL8ポリペプチド;および3)KCおよびMMP1から選ばれる少なくとも1つのポリペプチド;の発現レベルを測定することを含む、第1のOAバイオマーカー発現プロファイルを得ることと、b)前記変形性関節症の治療が前記イヌ対象に施された後またはその間に、前記イヌ対象から得られる第2の生物学的流体試料中の、(a)の前記OAポリペプチドの発現レベルを測定することを含む、第2のOAバイオマーカー発現プロファイルを得ることと、c)前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと前記第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含み、前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベルが、前記イヌ対象由来の前記第2の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルより低い場合は、前記イヌ対象における前記変形性関節症治療の治療効果を示す、方法。」 (イ)「【0027】 本明細書で使用される「OAバイオマーカー」は、バイオマーカーの発現レベルもしくは数または構造が、OAを伴わない、または同じ程度、重篤性、型、もしくは病期のOAを有する対象よりも、OAが存在する、または同じ程度、重篤性、型、もしくは病期のOAを有する対象において著しく頻繁に見られる時の、OAを示す。対照と比較した時のOAマーカーの発現レベル、数、または構造の有意性は、許容される信頼性のレベル(例えば、最低で95%)を適用することによって、通常の統計的方法を使用して判定される。例えば、各OAバイオマーカーの発現レベルのカットオフまたは閾値を、発現レベルの臨床的または亜臨床OA指標との相関度を含む、多数の因子に従って設定してもよい。例えば、OAを示すバイオマーカーの発現レベルは、例えば、疾患を有する患者の少なくとも60%で見ることができ、疾患を有しない対象では10%未満でしか見られない。より好ましくは、発現レベルは、疾患を有する患者の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%以上で見られた場合にOAを示し、疾患を有しない対象では20%未満、10%未満、8%未満、5%未満、2.5%未満、または1%未満でしか見られない。」 (ウ)「【0056】 OAバイオマーカーは、例えば変形性関節症を治療するための治療薬として候補物質を特定するための、種々のスクリーニング方法に容易に適用することができる。そのような方法は、例えば、a)候補物質を、自然発症変形性関節症であると診断された対象に投与することと、b)対象由来の生物学的試料中の、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、IL6、MMP1、RANTES、MMP9、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILP、およびCOMPから成る群から選択される、2つ以上のOAポリペプチドの発現レベルを測定することと、c)生物学的試料中の2つ以上のOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、試験物質を投与していない対照対象由来の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合に、変形性関節症を治療するための候補治療薬として、前記候補物質を選択することと、を含んでもよい。」 (エ)「【0061】 本明細書で同じ意味で使用される「OA治療」および「変形性関節症治療」という用語は、本明細書で説明されるOAバイオマーカーの2つ以上の任意の組み合わせの対象における発現レベルを低減する、および/または対象におけるOAの臨床的症状を低減または排除する、任意の治療用デバイスまたは薬剤を適用すること、または施すことを指す。」 (オ)「【0079】 実施例2:自発的に発生するOAを伴うイヌにおける滑液、血清サイトカイン、ケモカイン、およびマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)の評価 方法:この研究に含まれる各イヌについて、クライアントのインフォームドコンセントを得た。血液および滑液は、10匹の中型種および大型種の成犬から得て、片側の膝関節(膝)OA(術前OA;n=10)の外科的介入のためにUMC-VMTHに提出した。これらのイヌは、3?8歳の範囲であった(平均5.15歳という中央値の方がよいかもしれない)。滑液は、通常の無菌関節穿刺を介して、罹患した膝関節から得て、血液は、頸静脈静脈穿刺を介して採取した。臨床膝OAは、有資格の獣医学的整形外科医が各イヌにおいて確認した。OAの放射線学的証拠は、有資格の獣医学的放射線科医が確認した。全てのイヌは、膝の十字靭帯不全手術を受けて、問題なく回復した。8?12週間後に、術後の再確認のためにイヌを返し、再度血液および滑液を採取して、外科的介入後のマーカーの変化を評価した。対照群は、2?5歳の範囲(平均2.9歳)の9匹の中型種および大型種の成犬で構成した。これらのイヌは、いかなる関節外傷の病歴もなく、足が不自由でなく、また、有資格の獣医学的整形外科医によって臨床OAを含まないとみなされた。肩、膝、および股関節の放射線学的評価は、OAがないことを検証した。血液および滑液は、クライアントに都合のよい時間でOAのイヌと同じような様式で採取した。滑液試料は、製造業者の指示を通じて、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-15、IL-18、IP-10、INF-γ、TNF-α、MCP1、KC、およびGM-CSFについて、xMAPプラットフォーム(Qiagen,Inc.)に基づいて、多重イヌサイトカインおよびケモカイン免疫測定法(Millipore Corp.St.Louis,MO,USA)を使用して、二重に分析した。別の25μLを、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9、およびMMP13について、xMAPプラットフォーム(Qiagen,Inc)に基づいて、多重ヒトマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)免疫測定法(R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)を使用して、二重に分析した。このアッセイは、発明者らの実験室によって、イヌ起源の試料と交差反応することが以前に示されている。結果を、有意性をp<0.05に設定した、対応のないt-検定またはMann-Whitney Rank Sum試験(SigmaStat 3.5;Systat Software,Incorporated,San Jose,CA,USA)で統計的に評価した。 【0080】 結果:前述した方法に従って得られた結果を、図2Aおよび図2B、ならびに表3(下記)に要約する。 ・・・ 【0081】 滑液において、IL8およびKCは、正常なイヌと比較して、術前のOAのイヌにおいて、大幅に高く(p<0.001;p=0.01)、また、正常なイヌと比較して、術後のOAのイヌにおいて、大幅に高かった(p=0.002;p=0.03)。どちらの分析も、術前のOAのイヌと比較して、術後のOAのイヌにおいて低かったが、この減少は、統計的に有意ではなかった。MCP-1は、正常なイヌと比較して、術前のOAのイヌおよび術後のOAのイヌにおいて、大幅に高く(p<0.001;P=0.009)、また、術前の値と比較して、術後のMCP-1が大幅に減少した(p=0.01)。IL8は、正常なイヌと比較して、術前のOAのイヌにおいて、大幅に高かったが(p=0.02)、残りのサイトカインおよびケモカインは、検出限度よりも低かった。MMP2は、術後のOAのイヌにおいて最も高く、これは、正常なイヌよりも大幅に高かった(p=0.010)。MMP3は、術前のOAのイヌにおいて最も高く、術後のOAのイヌにおいて最も低かったが、これらの変化に統計的有意性は認められなかった(図2Aおよび図2B)。 ・・・ 【0085】 したがって、ROC曲線分析は、骨液を測定するバイオマーカーパネルMCP1、IL8、KC、MMP2、およびMMP3が、自発的に発生する臨床OAを伴うイヌの膝から正常で健康な膝を一貫して区別する能力を有することを初めて実証している。加えて、MCP1は、それらの術前のOAの値と比較して、術後のOAのイヌにおいて大幅に低く、IL8およびKCは、治療後も減少し、これは、この新しいバイオマーカーパネルが、診断および治療監視の両応用において臨床的使用に対して大きな潜在性を有することを示している。3つのサイトカインは、それらを滑液で測定した時に、単独の術前のOAと術後のOAとの間で繰り返し判別することが可能であるが(AUC=0.9)、パネルへのMMP2およびMMP3の添加は、性能を向上させ(AUC=1.0)、これは、このパネルまたは任意の診断バイオマーカーパネルへのMMPの添加が、治療の監視または予後に有用となり得ることを示している。したがって、この結果は、滑液バイオマーカーの使用が、試料を得る際の相対的な容易さ、関連するコスト、これらの評価の関節固有の性質に基づいて、重要な臨床応用を有することを示している。バイオマーカーパネルへのMMPの添加は、特に治療の監視に関してその能力を高める。」 イ 訂正の目的の検討 (ア)特許明細書等の記載から自明な事項 特許明細書等の用語の定義に関する記載である上記「ア(イ)」及び上記「ア(エ)」から、特許明細書等において、「OAバイオマーカー」とは、その発現レベルが、OAを伴わない対象よりも、OAが存在する対象において著しく頻繁に見られるものであり、「治療」とは、OAバイオマーカーの発現レベルを低減することであることが記載されている。 また、治療候補物質を特定するための方法に関する上記「ア(ウ)」及びイヌに関する治験データを示す上記「ア(オ)」から、特許明細書等においては、「治療」することによって、請求項3に規定されているバイオマーカーである「1)MCP1ポリペプチド;2)IL8ポリペプチド;および3)KCおよびMMP1から選ばれる少なくとも1つのポリペプチド」の発現レベルは、治療前に比べて減少していることが示される。 そして、特許明細書等には、請求項3及び請求項3の記載と同内容である【0010】及び【0060】段落以外に、「治療」によってOAバイオマーカーの発現レベルが上昇することは、記載も示唆もされていない。 したがって、上記「ア(イ)」ないし「ア(オ)」の記載を参酌すれば、特許明細書等において「治療効果を示す」といえるのは、治療が施された後又はその間の対象から得られたOAバイオマーカーの発現レベルが、治療が施される前の対象から得られたOAバイオマーカーの発現レベルよりも低い場合を指すことは自明である。 (イ)訂正前の請求項3の記載 訂正前の請求項3に記載された工程c)は、治療が施される前の対象から得られた「第1のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベル」が、治療が施された後又はその間の対象から得られた「第2の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベル」より低い場合に、治療効果を示すとするものである。 したがって、訂正前の請求項3の工程c)の記載は、上記「イ(ア)」で認定した特許明細書等から自明な事項と整合していない。 そして、特許法第36条第6項第1号の要請から発明の詳細な説明に記載されていない発明を特許請求の範囲に記載することを意図していたとは考えられないから、請求項3の工程c)の「前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベルが、前記イヌ対象由来の前記第2の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルより低い場合」との記載には誤記があり、正しい記載が、「前記第2のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベルが、前記イヌ対象由来の前記第1の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルより低い場合」であることは、明らかである。 (ウ)小括 以上のとおり、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。 (2)訂正事項2について 上記「(1) 訂正事項1について」で検討したのと同様に、段落【0010】の工程c)の「第1のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第2の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合」との記載には誤記があり、正しい記載が「第2のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第1の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合」であることは、明らかである。 したがって、訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。 (3)訂正事項3について 上記「(1) 訂正事項1について」で検討したのと同様に、段落【0060】の工程c)の「第1のOAバイオマーカー発現レベルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第2の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合」との記載には誤記があり、正しい記載が「第2のOAバイオマーカー発現レベルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第1の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合」であることは、明らかである。 したがって、訂正事項3は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。 2 その他の要件について (1)新規事項の追加について 上記1(1)ア(イ)-同ア(オ)で摘記した事項は、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「国際出願明細書等」という。)の明細書にも記載されている。 してみると、上記1(1)イ(ア)で検討したのと同様に、国際出願明細書等においても、「治療効果を示す」といえるのは、治療が施された後又はその間の対象から得られたOAバイオマーカーの発現レベルが、治療が施される前の対象から得られたOAバイオマーカーの発現レベルよりも低い場合を指すことは自明の事項である。 したがって、訂正事項1-3による訂正後の明細書及び特許請求の範囲の記載は、国際出願明細書等から自明な事項の範囲内のものであるから、訂正事項1-3は、国際出願明細書等に記載した事項の範囲内でするものであり、新たな技術的事項を導入するものではない。 したがって、訂正事項1-3は、特許法第184条の19第1項によって読み替えられた特許法第126条第5項の規定に適合する。 (2)特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正前の記載は誤記があることが明らかであって、当業者であれば、訂正前の記載を、その記載どおりにではなく、訂正後の記載の趣旨に理解するのが当然であるから、そのような当業者の理解を前提とするならば、本件訂正の前後で特許請求の範囲は同一である。 よって、訂正事項1-3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものということはできない。 したがって、訂正事項1-3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (3)独立特許要件について 訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項3-13に係る発明(以下、「訂正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討するに、訂正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、訂正事項1-3は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 (4)特許法施行規則に基づく一群の請求項について 請求項4-13は、いずれも、請求項3を引用するものであるから、請求項3-13は、特許法施行規則第46条の2第2号に掲げる関係を有する一群の請求項である。 そして、訂正事項1は、請求項3-13からなる一群の請求項ごとに、訂正請求するものであり、訂正事項2、3は、一群の請求項3-13に関係する訂正であって、請求項1、2、14-20に関係しないものである。 したがって、訂正事項1は特許法第126条第3項の規定に適合し、訂正事項2、3は特許法第126条第4項の規定に適合する。 第5 むすび したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項ないし第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 変形性関節症のバイオマーカー 【技術分野】 【0001】 (関連出願の参照) 本出願は、2010年3月5日に出願の米国仮出願第61/339,511号の利益を主張するものであり、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。 【0002】 本発明は、疾患のバイオマーカーに関し、より具体的には、変形性関節症を診断、病期分類、および監視するための、複数のバイオマーカー、関連する方法、およびキットに関する。 【背景技術】 【0003】 変形性関節症(OA)は、ヒトおよび家畜(特にイヌ)の患者に影響を及ぼす、消耗性疾患である。OAは、一般的に、十分早期に診断して疾患の臨床的進行を阻止することができないので、早期OAバイオマーカーの開発は、診断スクリーニング、疾患の病期分類、治療計画、および監視に対して重要な効果を有する。 【0004】 イヌでは、OAを実験的に誘発させた時に、特定のタンパク質が滑液の差次的発現レベルを呈する。これらは、単球走化性タンパク質1(MCP1)、インターロイキン8(IL8)、およびケラチン細胞由来の化学誘引物質(KC)、特定のアポリポタンパク質、ならびにマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)である。しかしながら、これらのまたは他のタンパク質が、イヌまたはヒトを含む他の種において自発的に発生するOAの潜在的なバイオマーカーとして有用であり得るかどうかは知られていない。プロテオミクス法を、OA疾患の診断および予後診断、治療の監視、ならびにOA疾患の機構の解明に適用することが可能であるという高い潜在的価値を考えれば、OAが存在する個人とOAが存在しない個人とを好都合かつ確実に区別する能力、ならびに疾患負荷の型および重篤性を判定する能力を伴う、新しいバイオマーカーおよびバイオマーカーの組み合わせを特定することが有用である。 【発明の概要】 【0005】 一態様において、本開示は、対象の変形性関節症を診断、病期分類、または監視するための方法であって、対象由来の生物学的試料中の、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、MMP9、IL6、MMP1、RANTES、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILP、COMP、および任意のそれらの断片、ならびにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、少なくとも2つのポリペプチドの発現レベルを測定することを含み、生物学的試料中の少なくとも2つのポリペプチドまたはそれらの断片の発現レベルは、対象における変形性関節症の有無、程度、重篤性、型、または病期を示す、試料タンパク質発現プロファイルを提供する、方法を提供する。本方法は、試料タンパク質発現プロファイルを、対照タンパク質発現プロファイルと比較することをさらに含んでもよく、試料タンパク質発現プロファイルと、対照タンパク質発現プロファイルとの間の差は、対象における変形性関節症の有無、程度、重篤性、型、または病期を示す。本方法において、対象は、変形性関節症を有する危険性があり得るか、または有する疑いがある。生物学的試料中の少なくとも2つのポリペプチドの発現レベルは、DNA増幅、DNAメチル化/脱メチル化から成る群から選択される過程、および一塩基多型に起因するDNAの変化を検出することが挙げられるが、これに限定されない、下記で詳述されるような数多くの方法によって測定することができる。 【0006】 別の態様において、本開示は、変形性関節症を有する疑いがある対象由来の生物学的試料から得られる、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、IL6、MMP1、RANTES、MMP9、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILP、COMP、および任意のそれらの断片、ならびにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、2つ以上のポリペプチドのポリペプチド発現レベル情報を含む、OAバイオマーカー発現プロファイルを提供する。OA発現プロファイルは、少なくとも1つの健康な対象から得られる、少なくとも1つの生物学的試料のポリペプチド発現レベル情報をさらに含んでもよい。変形性関節症を有する疑いのある対象および健康な単数または複数の対象由来の生物学的試料は、それぞれ、滑液の試料、全血の試料、血漿の試料、血清の試料、尿の試料および唾液の試料を含んでもよい。好ましくは、生物学的試料は、滑液の試料である。同一であるかまたは異なる種類の複数の生物学的試料が各対象から得られてもよく、OA発現レベル情報が各試料から得られてもよく、また、結果が単一のOA発現プロファイルに組み合わせられてもよい。 【0007】 別の態様において、本開示は、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、IL6、MMP1、RANTES、MMP9、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILP、およびCOMP、ならびに任意のそれらの断片から成る群から選択される、任意の2つ以上のOAバイオマーカーまたはそれらの断片に対する2つ以上の抗体を含む、変形性関節症の診断試薬を提供する。診断試薬は、キットで提供されてもよい。 【0008】 別の態様において、本開示は、対象の変形性関節症を診断するためのキットであって、このキットは、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、IL6、MMP1、RANTES、MMP9、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILP、およびCOMP、ならびに任意のそれらの断片から成る群から選択される、OAポリペプチドにそれぞれが特異的に結合する、少なくとも2つのOAバイオマーカー検出試薬、またはOAポリペプチドの少なくとも2つをコードするポリヌクレオチド配列の少なくとも一部にそれぞれが特異的に結合する、少なくとも2つのOAバイオマーカー検出試薬を含み、試薬の特異的結合は、対象由来の生物学的試料中の少なくとも1つのOAポリペプチドの発現レベルを示す、キットを提供する。本キットにおいて、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を特異的に検出する、少なくとも1つの試薬は、ポリペプチドの1つをコードするポリヌクレオチド配列の少なくとも一部に対して相補的な核酸プローブを含んでもよい。核酸プローブは、cDNAとするか、またはオリゴヌクレオチドとすることができる。少なくとも1つのOAバイオマーカー検出試薬は、基材表面に固定化することができる。本キットは、基材表面に配列される少なくとも2つのバイオマーカー検出試薬を含んでもよい。本キットにおいて、少なくとも2つのバイオマーカー試薬は、マイクロアレイを構成するように基材表面に配列することができる。 【0009】 別の態様において、本開示は、変形性関節症を治療するための治療薬として前記候補物質を特定するための方法であって、a)候補物質を、自然発症変形性関節症であると診断された対象に投与することと、b)対象由来の生物学的試料中の、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、IL6、MMP1、RANTES、MMP9、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILP、およびCOMPから成る群から選択される、2つ以上のOAポリペプチドの発現レベルを測定することと、c)生物学的試料中の2つ以上のOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、試験物質を投与していない対照対象由来の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合に、変形性関節症を治療するための候補治療薬として、候補物質を選択することと、を含む、方法を提供する。 【0010】 別の態様において、本開示は、対象における変形性関節症の治療効果を監視する方法であって、a)変形性関節症の治療が対象に施される前に、対象から得られる第1の生物学的試料中の、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、IL6、MMP1、RANTES、MMP9、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILP、およびCOMPから成る群から選択される2つ以上のOAポリペプチドの発現レベルを測定することを含む、第1のOAバイオマーカー発現プロファイルを得ることと、b)変形性関節症の治療が対象に施された後またはその間に、対象から得られる第2の生物学的試料中の、(a)で選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベルを測定することを含む、第2のOAバイオマーカー発現プロファイルを得ることと、c)第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含み、第2のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第1の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合は、対象における変形性関節症の治療効果を示す、方法を提供する。 【0011】 前述の方法のいずれかにおいて、単数または複数の生物学的試料は、滑液、全血、血漿、血清、尿、および唾液のうちのいずれか1つを含んでもよい。例示的な方法において、生物学的試料は、滑液を含む。好ましくは、少なくとも4つのポリペプチドの発現レベルが測定される。いずれかの方法において、対象は、哺乳動物であってもよい。好ましくは、対象は、ヒトまたはイヌである。前述の方法のいずれかの例示的実施形態において、対象は、イヌであり、本方法は、対象由来の生物学的試料中の、MCP1、IL8、KC、MMP2、およびMMP3またはそれらの断片の発現レベルを測定することを含んでもよい。前述の方法のいずれかの別の例示的実施形態において、対象は、ヒトであり、本方法は、対象由来の生物学的試料中の、MCP1、IL6、IL8、KC、およびMMP1、またはそれらの断片の発現レベルを測定することを含んでもよい。そのような方法は、生物学的試料中の、RANTESまたはその断片の発現レベルを測定することをさらに含んでもよい。前述の方法のいずれかにおいて、対象由来の生物学的試料中の少なくとも2つのポリペプチドのそれぞれの発現レベルは、LUMINEX、ELISA、免疫測定法、質量分析法、高速液体クロマトグラフィ、二次元電気泳動法、qPCR、RT-PCR、核酸マイクロアレイ、インサイツハイブリッド形成、SAGE、ウエスタンブロット法、タンパク質マイクロアレイ、および抗体マイクロアレイから成る群から選択される方法を使用して測定される。 【図面の簡単な説明】 【0012】 【図1A】図1Aは亜臨床OAを伴うイヌ、および高存在量タンパク質の除去後の臨床OAを伴うイヌにおける、軟骨中間層タンパク質(CILP)、デコリン、およびCOMPのレベル(平均±SE濃度(pg/mL))を示す棒グラフである。 【図1B】図1Bは亜臨床OAを伴うイヌ、および高存在量タンパク質の除去後の臨床OAを伴うイヌにおける、アポリポタンパク質A1およびアポリポタンパク質Eのレベル(平均±SE濃度(pg/mL))を示す棒グラフである。 【図2A】図2Aは正常なイヌ、ならびに術前および術後の自然発症膝関節の変形性関節症を伴うイヌにおける、IL8、KC、MCP1、およびMMP3のレベル(平均±SE濃度(pg/mL))を示す棒グラフである。 【図2B】図2Bは正常なイヌ、ならびに術前および術後の自然発症膝関節の変形性関節症を伴うイヌにおける、MMP2のレベル(平均±SE濃度(pg/mL))を示す棒グラフである。 【図3】図3は正常な患者由来の、および膝関節全置換術の直前のOAを伴う患者由来の滑液試料中のMMP/サイトカインlog(pg/mL)レベルを要約(平均±SE)した、一組の棒グラフである。 【発明を実施するための形態】 【0013】 A.定義 この節および本明細書の開示全体で使用される節の見出しは、限定することを意図していない。 【0014】 文脈が明確に指示しない限り、本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、複数の指示対象を含む。本明細書で数値範囲が列挙された場合、同じ精度でそれらの間に介在する各数が、明示的に企図される。例えば、範囲が6?9の場合、6および9に加えて数7および8が企図され、6.0?7.0の範囲の場合、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0が明示的に企図される。 【0015】 a)抗体 本明細書で使用される「抗体」という用語は、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的にコードされる、1つ以上のポリペプチドから成るタンパク質を指し、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、およびそれらの断片、ならびに免疫グロブリン遺伝子配列からエンジニアリングされる分子を包含する。認識される免疫グロブリン遺伝子としては、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミューの定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖は、カッパまたはラムダに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンに分類され、これらはそれぞれ、免疫グロブリンクラスであるIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを定義する。 【0016】 b)検出可能な標識 本明細書で使用される「検出可能な標識」という用語は、任意の部分に連結された単数または複数の分子の状態の変化の光学的、電気的、または他の物理的指示を介して、測定可能な信号を生成する、その部分を指す。そのような物理的指標は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電磁的、放射化学、およびこれらに限定されないが、蛍光、化学蛍光、化学発光等の化学的手段を包含する。 【0017】 c)マーカー 本明細書で同じ意味で使用される「マーカー」または「バイオマーカー」という用語は、対象から得られる試験試料を分析するための標的として使用される任意の分子を指し、試験試料中に存在し得る、タンパク質またはポリペプチド自体、ならびにそれらに対する抗体を包含する。マーカーとして使用されるタンパク質またはポリペプチドは、任意の変異体およびその断片、特に、免疫学的に検出可能な断片を含む。例えば、マーカーポリペプチドの変異体は、同じ遺伝子によってコードされるが、選択的スプライシングおよび/または翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、アシル化、および/またはリン酸化)における差等の選択的処理の結果として、それらの等電点または分子量、もしくはどちらも異なる可能性があることを理解されたい。さらに、細胞タンパク質は、疾患過程の結果として炎症等の損傷を受ける可能性があり、また断片化してもよく、したがって、本開示に従ってマーカーとして使用されるタンパク質またはポリペプチドが、それらの断片を含むことが理解されるであろう。加えて、特定のマーカーを、その後タンパク質分解によって活性形態に変換される不活性形態に合成できることが理解されるであろう。タンパク質またはその断片はまた、錯体の一部として発生する可能性がある。本開示に従ってマーカーとして使用されるタンパク質またはポリペプチドは、そのような錯体を含む。「バイオマーカー」および「マーカー」という用語はまた、マーカータンパク質をコードする、ヌクレオチド配列を含む核酸分子、およびストリンジェントな条件下でそのような核酸分子の一部とハイブリッド形成することができる、ポリヌクレオチドを包含する。本明細書で同じ意味で使用される「OAバイオマーカー」および「OAマーカー」は、対象由来の試験試料中に存在し得、かつ本明細書で説明されるように、対象におけるOAの存在を示すことが分かっている発現レベルを有する、タンパク質、ポリペプチド、それに対する抗体、およびそれらの任意の断片を指し、これらの用語はまた、OAマーカータンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む任意の核酸分子を包含する。 【0018】 d)対象 本明細書で使用される「対象」および「患者」という用語は、対象が任意の形態の治療を受けたか、または現在受けているかどうかに関わらず、同じ意味で使用される。本明細書で使用される単数または複数の「対象」という用語は、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、およびマウス)、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル、チンパンジー等のサル)、およびヒトが挙げられるが、これらに限定されない、任意の脊椎動物を指す。好ましくは、対象は、イヌまたはヒトである。 【0019】 e)試験試料 本明細書で使用される「試験試料」という用語は、概して、目的とする分析物について試験が行われている、および/またはそれを含有する疑いがある、生物学的材料を指す。生物学的材料は、任意の生物学的源に由来してもよいが、好ましくは、目的とする分析物を含有する可能性が高い生物学的流体である。生物学的材料の例としては、排泄物、全血、血清、原形質、赤血球、血小板、間質液、唾液、眼球レンズ液、脳髄液、汗、尿、腹水液、粘膜、鼻液、痰、滑液、腹水、膣液、月経、羊水、精液、汚物等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、試験試料は、滑膜液状試料である。 【0020】 試験試料は、生物学的源から得られた時に、または試料のキャラクタを修飾するための前処理に続いて、直接使用されてもよい。例えば、そのような前処理は、血液から原形質を調製すること、粘性流体を希釈すること等を含んでもよい。前処理の方法はまた、濾過、沈殿、希釈、蒸留、混合、濃縮、妨害成分の不活性化、試薬の添加、溶解等を伴ってもよい。そのような前処理方法が試験試料に対して用いられる場合に、そのような前処理方法は、目的とする分析物が、未処理の試験試料(例えば、すなわち、いかなるそのような前処理方法も受けない試験試料)の濃度に比例する濃度で、試験試料中に残るように成される。 【0021】 f)変形性関節症 本明細書で使用される「変形性関節症」(「OA」と略記される)という用語は、任意の単数または複数の関節の軟骨の炎症、および損傷、またはその喪失、ならびに関節痛を特徴とする、骨関節症および退行性骨関節疾患としても知られている疾患を指す。イヌおよびヒト等の哺乳類の対象を含む、対象の変形性関節症を診断するための臨床的標準は、よく知られており、例えば、関節の腫れまたは腫張、関節の圧痛または疼痛、減少した関節の可動域、骨の成長などの可視的な関節の変形、および捻髪音が挙げられる。症状は、臨床的観察および履歴、MRIおよびX線を含む撮像によって特定することができる。OAの有無、およびOAの重篤性または程度を診断するための基準としては、膝OAのACR基準(R.Altman et al.,Development of criteria for the classification and reporting of osteoarthritis:Classification of osteoarthritis of the knee:Diagnostic and Therapeutic Criteria Committee of the American Rheumatism Association.ARTHRITIS RHEUM.Aug 29(8):1039-1049(1986))、WOMACに従った機能的状態の基準(N.Bellamy et al.,1988,Validation study of WOMAC:a health status instrument for measuring clinically important patient relevant outcomes to antirheumatic drug therapy in patients with osteoarthritis of the hip or knee.J RHEUMATOL 15:1833-1840)、および膝OAのためのKellgren-Lawrence法に従った、OA疾患の重篤性を評価するための放射線基準(Kellgren,J.H.and J.S.Lawrence,Radiological assessment of osteo-arthrosis.ANN RHEUM DIS 16:494-502)が挙げられるが、これらに限定されない。 【0022】 g)発現 本明細書で使用される「発現」という用語は、DNA配列情報のメッセンジャーRNA(mRNA)またはタンパク質への変換を指す。発現は、完全長mRNA、mRNA断片、完全長タンパク質、またはタンパク質断片のレベルを測定することによって監視してもよい。発現はまた、対照状態に対するDNAの変化を評価することによって推定してもよい。発現に影響を及ぼすDNAの変化としては、DNAの増幅(コピー数の増加)、遺伝子の調節領域のメチル化状態の変化、または遺伝子の調節領域中の一塩基多型が挙げられる。 【0023】 h)ハイブリッド形成 本明細書で使用される「ハイブリッド形成」という用語は、2つの相補的1本鎖核酸間の特異的水素結合を介したアニーリングまたは塩基対合の過程を指す。「ハイブリッド形成のストリンジェンシー」は、温度およびイオン強度の条件によって決定される。核酸ハイブリッドの安定性は、融解温度またはTmで表され、この温度は、既定の条件下でハイブリッドが50%変性する温度である。所与のハイブリッドのTmを推定するための式が導出されており、この式は、核酸のG+C含量、ハイブリッド形成プローブの長さ等を考慮している(例えば、Sambrook et al,1989,chapter 9)。プローブのその標的とのアニーリング速度を最大化するために、ハイブリッド形成は、概して、Tmよりも低い約20?25℃の温度の、高イオン強度の溶液(6×SSCまたは6×SSPE)中で行われる。ハイブリッド形成される配列が同一でない場合は、ハイブリッド形成温度を、1%の不整合毎に1?1.5℃下げる。概して、洗浄条件は、できる限りストリンジェントである(すなわち、計算したTmよりも低い約12?20℃の温度の、低イオン強度)。一例として、高度にストリンジェントな条件は、一般的に、6×SSC/5×デンハルト溶液/1.0%のSDS中で、68℃でハイブリッド形成することと、0.2×SSC/0.1%のSDS中で、65℃で洗浄することとを伴う。最適なハイブリッド形成条件は、概して、溶液中で行われるハイブリッド形成と、固定化した核酸を使用したハイブリッド形成とで異なる。当業者は、パラメータを操作してハイブリッド形成を最適化することを理解するであろう。 【0024】 i)核酸分子 本明細書で同じ意味で使用される「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」という用語は、連結されたヌクレオチドの配列を指す。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであってもよく、標準または非標準ヌクレオチドであってもよく、修飾または誘導体化ヌクレオチドであってもよく、合成類似体であってもよい。ヌクレオチドは、リン酸ジエステル結合または非加水分解性結合によって連結されてもよい。核酸は、少数のヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチド)を含んでもよく、または多数のヌクレオチド(すなわち、ポリヌクレオチド)を含んでもよい。核酸は、1本鎖または2本鎖であってもよい。 【0025】 j)タンパク質およびタンパク質断片 本明細書で同じ意味で使用される「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」という用語は、完全長天然タンパク質または完全長タンパク質のより短い断片を含む種々の長さの酸の配列を有する、複数のアミノ酸から成る分子を指す。これらは、中性の形態であるか、または塩として存在してもよく、修飾されないか、またはグリコシル化、側鎖酸化、およびリン酸化を含む過程によって、もしくはグリコシル単位、脂質、および無機イオン(リン酸塩等)が挙げられるがこれらに限定されない、アミノ酸側鎖に取り付けられる他の部分の付加によって、修飾されてもよい。修飾はまた、スルフヒドリル基の酸化等の、アミノ酸側鎖の化学的変換を含んでもよい。修飾がその特異性を変化させないのであれば、そのような修飾を伴う分子は、この用語に包含される。本明細書で使用される「タンパク質」という用語およびその同義語は、pIまたはMW、もしくはどちらも異なり得る同じ遺伝子によってコードされるタンパク質アイソフォームを包含することを理解されたい。そのようなアイソフォームは、例えば選択的スプライシングまたは翻訳後修飾等の差異的処理に起因する、異なるアミノ酸配列を有してもよい。本明細書で使用される「タンパク質断片」という用語は、第2のポリペプチドのアミノ酸配列の少なくとも5個のアミノ酸残基(好ましくは、少なくとも10個のアミノ酸残基、少なくとも15個のアミノ酸残基、少なくとも20個のアミノ酸残基、少なくとも25個のアミノ酸残基、少なくとも40個のアミノ酸残基、少なくとも50個のアミノ酸残基、少なくとも60個のアミノ酸残基、少なくとも70個のアミノ酸残基、少なくとも80個のアミノ酸残基、少なくとも90個のアミノ酸残基、少なくとも100個のアミノ酸残基、少なくとも125個のアミノ酸残基、少なくとも150個のアミノ酸残基、少なくとも175個のアミノ酸残基、少なくとも200個のアミノ酸残基、または少なくとも250個のアミノ酸残基)のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。マーカータンパク質の断片は、完全長天然タンパク質の機能活性を保有する場合もあれば、保有しない場合もある。 【0026】 B.変形性関節症バイオマーカーおよびアレイ 本明細書で説明される方法、および診断試薬、キット、ならびに本明細書で開示される関連する発明は、複数の分子マーカーの驚くべき発見に部分的に基づいており、その発現レベルは、健康な対象とOAを伴う対象との間で確実に差異が認められる。同じ複数のマーカーは、術前および術後のOA対象を判別することが可能であり、したがって、OA治療の有効性をこれらのマーカーで評価できることも示す。分子マーカーは、対象から容易に得られた生物学的試料から測定した時に、対象における発現の変化が対象にOAが存在することを示す遺伝子である。また、本明細書では、分子マーカーを使用して、OAの治療のための治療物質としての候補物質を特定する方法、対象におけるOA治療の有効性を判定するための方法、ならびにOAの診断試薬およびキットも提供する。 【0027】 本明細書で使用される「OAバイオマーカー」は、バイオマーカーの発現レベルもしくは数または構造が、OAを伴わない、または同じ程度、重篤性、型、もしくは病期のOAを有する対象よりも、OAが存在する、または同じ程度、重篤性、型、もしくは病期のOAを有する対象において著しく頻繁に見られる時の、OAを示す。対照と比較した時のOAマーカーの発現レベル、数、または構造の有意性は、許容される信頼性のレベル(例えば、最低で95%)を適用することによって、通常の統計的方法を使用して判定される。例えば、各OAバイオマーカーの発現レベルのカットオフまたは閾値を、発現レベルの臨床的または亜臨床OA指標との相関度を含む、多数の因子に従って設定してもよい。例えば、OAを示すバイオマーカーの発現レベルは、例えば、疾患を有する患者の少なくとも60%で見ることができ、疾患を有しない対象では10%未満でしか見られない。より好ましくは、発現レベルは、疾患を有する患者の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%以上で見られた場合にOAを示し、疾患を有しない対象では20%未満、10%未満、8%未満、5%未満、2.5%未満、または1%未満でしか見られない。 【0028】 「OA発現プロファイル」は、OAを有することが分かっている、特定の型(亜型Iまたは亜型II)のOAを有することが分かっている、特定の病期(初期、末期)のOAを有することが分かっている、またはOAのないことが分かっている、1つ以上の対象由来の1つ以上の生物学的試料から判定した時に、一組の2つ以上の選択されたOAマーカーの発現レベルの任意の物理的表現である。特定の対象または対象群のプロファイルは、OAマーカー発現レベルを別々に分析した複数種類の生物学的試料からの発現レベル情報を含んでもよい。例えば、対象のOA発現プロファイルは、対象由来の尿試料および血液試料からのOAマーカー発現レベル情報、ならびに両方の試料からのOAマーカー発現レベルを表す単一のプロファイルに組み合わせた結果を含んでもよい。単一の発現プロファイルは、滑液、全血、血漿、血清、尿、および唾液から選択される任意の2つ以上の生物学的試料からの発現レベル情報を含んでもよく、また完全なプロファイルは、滑液、尿、唾液、および全血、血漿、または血清から選択される任意の3つまたは4つの生物学的試料からの発現レベル情報を含んでもよい。 【0029】 当業者は、検査される対象からの試料が多くなるにつれて、対象のOAの有無、程度、重篤性、型、または病期の判定の信頼性が高まることを理解するであろう。プロファイルは、視覚的グラフィック形態で、例えば紙の上もしくはコンピュータディスプレイ上に表してもよく、アレイ等の三次元形態で表してもよく、および/またはコンピュータが読み取り可能な媒体に記憶させてもよい。発現プロファイルは、OAの特定の状態(例えば、OA疾患の有無、重篤性(臨床的または亜臨床的))、型(亜型Iまたは亜型IIのOA)、程度(軟骨損傷の程度)、病期(初期のOAまたは末期のOA)に対応してもよく、したがって、患者試料に対する比較のためのテンプレートを提供する。対照プロファイルは、少なくとも1つの正常/健康な対象由来の生物学的試料、もしくは正常/健康な対象群から得られる複数の試料、または重篤性、型、もしくは病期に関して相当するOA疾患を有すると特定される1つ以上の対象から得られる複数の試料を分析することによって得ることができる。同様に、相当するプロファイルを、年齢、性別、および肥満指数が整合する対象について得ることができる。 【0030】 本明細書で同じ意味で使用される「正常」および「健康」という用語は、関節の疼痛、炎症、または機能の低下等のOAの症状を示さず、いかなる履歴もなく、かつOAを有すると診断されたことがない単数または複数の対象を指す。「正常」または「健康」な試料は、正常/健康な対象から得られる試料を指す。「OAを有する疑いがある対象」とは、関節の疼痛、関節の腫れ、および捻髪音が挙げられるが、これらに限定されない、対象におけるOAの存在を示す1つ以上の症状を呈する対象、またはOAが存在する危険性があり得る、もしくは単純にスクリーニングされている対象を指す。OAを発達させる危険因子は、概してよく知られており、例えば、年齢、過体重すなわち肥満、外傷、人種、および/または家族歴を含む。 【0031】 OAバイオマーカー発現プロファイルは、例えば、変形性関節症を有する疑いがある対象由来の生物学的試料から得られる、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、IL6、MMP1、RANTES、MMP9、IL1、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、および任意のそれらの断片、ならびにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、2つ以上のポリペプチドのポリペプチド発現レベル情報を含んでもよい。より具体的には、健康な患者から、および初期のOAまたは末期のOAを伴う患者から得られる滑液の試料を分析することによって、表1に列記されるポリペプチドが、正常な対象とOAを伴う対象とを区別することを発見した。したがって、対象に関するOAの有無、程度、重篤性、型、または病期を示すために、対象由来の生物学的試料で測定した時の、対象におけるこれらのマーカー遺伝子の発現レベルの変化を使用してもよい。マーカーのパネル(表1を参照のこと)は、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、IL6、MMP1、RANTES、MMP9、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILP、およびCOMPを含む。これらのタンパク質は、正常な個人の滑液試料と比較して、初期の変形性関節症を伴う対象の滑液試料において上方制御されることが分かっている。 【0032】 例えば、1つ以上の対象におけるOAの有無、程度、重篤性、型、または病期を判定するために、本明細書で説明される任意の1つ以上の、好ましくは2つ以上のOAマーカーの発現レベルの変化を使用してもよい。1つ以上の対象におけるOAの有無、程度、重篤性、型、または病期を判定するために、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、またはそれ以上の分子マーカーの発現の変化を使用してもよい。当業者は、概して、より多くのマーカーを検査するにつれて、1つ以上の対象におけるOAの有無、程度、重篤性、型、または病期の判定がより正確になることを理解するであろう。 表1:OAマーカー 【表1-1】 【表1-2】 【0033】 任意のOAマーカーまたは複数のOAマーカーの発現を測定することは、当技術分野でよく知られている種々の手法によって達成されてもよい。発現は、OAマーカー遺伝子(すなわち、mRNAまたはタンパク質)の産物を検出することによって直接監視されてもよく、またはOAマーカー遺伝子の発現に影響を及ぼすDNAの変化(例えば、増幅、メチル化等)を検出することによって間接的に評価されてもよい。RNA、タンパク質、またはDNAは、当技術分野でよく知られている手法、およびAusubel et al.,(2003)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,New York,NY等の、標準的な分子生物学の参考文献で説明されている手法を使用して目的とする細胞から単離してもよい。 【0034】 OAマーカー遺伝子のRNA産物の検出は、種々の方法によって達成されてもよい。定量的であり、OA試料と対照試料との間でRNAの元のレベルの評価を可能にする方法もあれば、単に質的な方法もある。下記で示される方法に関する付加的な情報は、例えば、Ausubel et al.,(2003)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,New York,NY、またはSambrook et al.(1989)MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NYで見出され得る。当業者は、目的とするmRNAの検出を最適化するためにパラメータが操作され得ることを理解するであろう。 【0035】 OA試料および対照試料中の任意のOAマーカーの差次的発現を測定するために、定量的リアルタイムPCR(QRT-PCR)を使用してもよい。QRT-PCRにおいて、RNAテンプレートは、概して、cDNAに逆転写され、cDNAは、次いで、PCR反応を介して増幅される。PCR増幅過程は、耐熱性DNAポリメラーゼによって触媒される。適切な耐熱性DNAポリメラーゼの限定的でない例としては、Taq DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Tli(Ventとしても知られる)DNAポリメラーゼ、Tfl DNAポリメラーゼ、およびTth DNAポリメラーゼが挙げられる。PCR過程は、3つのステップ(すなわち、変性、アニーリング、および伸長)、または2つのステップ(すなわち、変性、およびアニーリング/伸長)を含んでもよい。アニーリングまたはアニーリング/伸長ステップの温度は、増幅プライマー(すなわち、それらのヌクレオチド配列、融解温度、および/または濃度)に応じて変化させることができ、また、変化することになる。アニーリングまたはアニーリング/伸長ステップの温度は、約50℃?約75℃の範囲であってもよい。PCR産物の量は、リアルタイムでサイクル毎に追跡され、mRNAの初期濃度の判定を可能にする。反応は、SYBR Green等の2本鎖DNAに結合する色素の存在下で行われてもよい。反応はまた、PCR伸長サイクル中にクエンチャが取り除かれた時に蛍光を発する、TAQMAN(登録商標)プローブ(Applied Biosystems,Foster City,CA)等の、蛍光レポータープローブを用いて行われてもよい。蛍光値は、各サイクル中に記録され、増幅反応の時点まで増幅された産物の量を表す。統計的に有意な蛍光信号が最初に記録された時のサイクルが、閾値サイクル(Ct)である。誤差を最小化して、任意の試料間のばらつきを低減するために、QRT-PCRは、一般的に、内部標準を使用して行われる。理想的な内部標準は、異なる組織の間で一定のレベルで表され、実験的な治療の影響を受けない。適切な内部標準は、ハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド-3-リン酸-デヒドロゲナーゼ(GAPDH)およびベータアクチンのmRNAが挙げられるが、これらに限定されない。 【0036】 また、OAマーカーの差次的発現を測定するために、逆転写酵素PCR(RT-PCR)を使用してもよい。前述のように、RNAテンプレートは、cDNAに逆転写され、次いで、cDNAは、典型的なPCR反応を介して増幅される。所定数のサイクルの後、増幅されたDNA産物は、一般的に、ゲル電気泳動によって分離される。異なる細胞において増幅されるPCR産物の相対量の比較は、OA試料中で分子マーカーが差次的に発現したかどうかを明らかにする。 【0037】 OAマーカーの差次的発現はまた、核酸マイクロアレイを使用して測定してもよい。この方法では、1本鎖核酸(例えば、cDNA、オリゴヌクレオチド等)が、固体支持体上でプレート化またはアレイ化される。固体支持体は、ガラス、シリカ系、シリコン系、合成ポリマー、生物学的ポリマー、共重合体、金属、または膜等の材料であってもよい。固体支持体の形態または形状は、用途に応じて変化する場合がある。適切な例としては、スライド、帯、プレート、ウェル、微粒子、繊維(光学繊維等)、ゲル、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アレイ化されて固定化された配列は、概して、目的とする細胞由来の特異的DNAプローブでハイブリッド形成される。蛍光標識したcDNAプローブは、目的とする細胞から抽出されるRNAの逆転写によって、蛍光標識したデオキシヌクレオチドの組み込みを通して生成してもよい。プローブは、高度にストリンジェントな条件下で、マイクロチップ上で、固定化した核酸にハイブリッド形成される。ストリンジェント洗浄し、非特異的に結合したプローブを取り除いた後に、チップを、共焦点レーザ顕微鏡によって、またはCCDカメラ等の別の検出方法によって走査する。各アレイ化した要素のハイブリッド形成の定量化は、対応するmRNAの存在量の評価を可能にする。2色蛍光法により、2つのRNA源から生成した、別々に標識したcDNAプローブが、アレイに一対にハイブリッド形成される。したがって、各規定の分子マーカーに対応する2つの源からの転写物の相対存在量が、同時に特定される。マイクロアレイ分析は、Affymetrix社のGenChip技術、またはIncyte社のマイクロアレイ技術等を使用することによって、製造業者のプロトコルに従って、市販の機器によって行ってもよい。 【0038】 OAマーカーの差次的発現はまた、ノーザンブロット法を使用して測定してもよい。このために、最初に、変性状態下で、アガロースゲル中での電気泳動を介して、RNA試料をサイズによって分類する。次いで、RNAを、膜に移し、架橋し、そして高度にストリンジェントな条件下で、標識したDNAプローブにハイブリッド形成する。洗浄して非特異的に結合したプローブを取り除いた後に、ハイブリッド形成した標識した種を、当技術分野でよく知られている手法を使用して検出する。プローブは、放射性元素、紫外線光に暴露された時に蛍光を発する化学物質、抗体で検出されるタグ、または有色もしくは蛍光産物の形成を触媒する酵素で標識されてもよい。対照試料および試験試料中で検出されるRNAの相対量の比較は、試験試料中の単数または複数のOAマーカーの発現が変化するかどうかを明らかにする。 【0039】 また、OA試料および対照試料中のOAマーカーの差次的発現を監視するために、ヌクレアーゼ保護アッセイを使用してもよい。ヌクレアーゼ保護アッセイでは、アンチセンスプローブを、溶液中でRNA試料にハイブリッド形成する。アンチセンスプローブは、同位元素、フルオロフォア、酵素、または別のタグで標識されてもよい。ハイブリッド形成に続いて、ヌクレアーゼを加えて、1本鎖のハイブリッド形成していないプローブおよびRNAに分解する。残りの保護された2本鎖断片を分離するために、アクリルアミドゲルを使用し、次いで、この断片を、当技術分野でよく知られている手法を使用して検出する。再度、発現の質的な差を検出してもよい。 【0040】 また、OAマーカーの差次的発現は、インサイツハイブリッド形成を使用して測定してもよい。この種のハイブリッド形成は、標識したアンチセンスプローブを使用して、組織切片の細胞中の特定のmRNAを限局する。ハイブリッド形成および洗浄ステップは、概して、高度にストリンジェントな条件下で行われる。プローブは、標識したハイブリッドが顕微鏡下で視覚化され得るように、別のタンパク質または抗体によって検出され得る、フルオロフォアまたは小さいタグ(ビオチンまたはジゴキシゲニン等)で標識されてもよい。OAマーカーの転写物は、細胞の核、細胞質、または原形質膜に限局されてもよい。 【0041】 OAマーカーのタンパク質産物の検出は、複数の異なる手法によって達成されてもよく、その多くは抗体に基づいている。下記で論じられる方法に関する付加的な情報は、Ausubel et al.,(2003)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,New York,NY、またはSambrook et al.(1989)MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NYで見出され得る。当業者は、目的とするタンパク質の検出を最適化するためにパラメータが操作されてもよいことを理解するであろう。 【0042】 タンパク質レベルを検出して定量化するために、酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用してもよい。この方法は、抗原(すなわち、目的とするタンパク質)を調製することと、マイクロタイタープレートのウェルを抗原で被覆することと、抗原を認識する抗体でインキュベートすることと、結合していない抗体を洗浄することと、抗体-抗原錯体を検出することとを含む。抗体は、概して、西洋わさびペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ等の酵素に共役され、比色産物、蛍光産物、または化学発光産物を生成する。ELISAはまた、2つの抗体を使用する場合があり、その1つは、目的とするタンパク質に対して特異的であり、もう1つは、第1の抗体を認識し、検出のための酵素に連結される。さらに、ウェルを抗原で被覆する代わりに、抗体をウェル上に被覆してもよい。この場合、被覆したウェルに目的とする抗原を加えることに続いて、検出可能な化合物に共役させる第2の抗体を加える。 【0043】 異なる最高100組に微小球ビーズを色素で色分けした、取り込みビーズシステムに基づく多重アッセイを使用して、タンパク質レベルを検出して、定量化するために、Luminexプラットフォーム(Luminex Corp.Austin,Texasから入手可能)を使用することができる。各色分けしたビーズ組は、選択したタンパク質マーカーに特異的な抗体等の特異的結合試薬で被覆され、極めて少量(例えば、1滴の流体)の原形質、血清、溶解物、または滑液等の生物学的試料由来の特異的タンパク質分析物の取り込みおよび検出を可能にする。どの分析物がスクリーニングされているか応じて、分析物を取り込むために、少なくとも1つまたは複数のビーズ組を試料とともにインキュベートしてもよい。Luminex小型分析器は、レーザを使用して、各微小球ビーズ、さらにはアッセイ中に取り込んだ任意のレポーター色素を識別する内部色素を励起する。各ビーズ組に関して、複数の読み取りを行うことができる。各ビーズが特別な色素比率を組み込んでいるので、取り込み後に各ビーズ集団を別々に分析することができる。例示的な複合免疫測定法プラットフォームはまた、Qiagen Inc.から入手可能なxMAPプラットフォームである。 【0044】 相対タンパク質レベルはまた、ウエスタンブロット法で測定してもよい。ウエスタンブロット法は、概して、タンパク質試料を調製することと、ゲル電気泳動を使用して変性タンパク質を質量によって分離することと、目的とするタンパク質に特異的な抗体でブロットをプローブすることとを含む。検出は、通常、2つの抗体を使用して達成され、第2のものは、検出のための酵素、または別のレポーター分子に共役される。タンパク質レベルの差を検出するために使用する方法としては、比色検出法、化学発光検出法、蛍光検出法、および放射能検出法が挙げられる。 【0045】 タンパク質レベルの測定はまた、タンパク質マイクロアレイまたは抗体マイクロアレイを使用して行ってもよい。これらの方法では、タンパク質または抗体を、マイクロアレイまたはバイオチップの表面に共有結合的に取り付ける。目的とするタンパク質は、抗体との相互作用によって検出され、抗体-抗原錯体は、概して、抗体上の蛍光タグを介して検出される。 【0046】 相対タンパク質レベルは、免疫組織化学によって評価されてもよく、タンパク質は、その特異的抗体との相互作用によって組織切片の細胞に限局される。抗原-抗体錯体は、種々の方法によって視覚化してもよい。ELISAについて前述したように、1つまたは2つ抗体を使用してもよい。検出抗体は、フルオロフォアでタグ付けしてもよく、または検出可能な産物の産生を触媒する酵素に共役してもよい。標識した錯体は、一般的に、顕微鏡下で視覚化される。 【0047】 任意の1つ以上のOAマーカーの発現の変化はまた、各OAマーカー遺伝子をコードするDNAの変化を検出することによって評価してもよい。DNAは増幅してもよく、これは、DNAまたは遺伝子の領域のコピー数が増加する過程である。通常、DNAの付加的なコピー数に比例して、RNA産物の量も増加する。DNAの増幅は、当技術分野でよく知られている、PCR手法によって検出してもよい。DNAの増幅はまた、サザンブロット法によって検出してもよく、その方法において、DNAは、高度にストリンジェントな条件下で、標識したプローブにハイブリッド形成され、標識したハイブリッドは、ノーザンブロット法について前述したように検出してもよい。 【0048】 DNAのメチル化状態の変化はまた、任意のOAマーカーの発現の変化を示し得る。遺伝子の調節領域をメチル化してもよく、これは、CpGジヌクレオチド中のシトシンの5-炭素へのメチル基の付加を伴う。転写的にサイレントである遺伝子は、メチル化または高メチル化した調節領域を有する傾向がある。したがって、OAマーカー遺伝子の脱メチル反応は、組織または細胞における発現の増加につながり得、これは、対象から得られる生物学的試料から検出可能である。同様に、OAマーカー遺伝子のメチル化は、組織または細胞における発現の減少につながり得、これは、対象から得られる生物学的試料から検出可能である。1つ以上の対照対象由来の単数または複数の試料に対する、OAを伴う1つ以上の対象由来の単数または複数の試料中のOAマーカー遺伝子のメチル化状態の変化は、サザン法の検出またはPCR増幅に続いて、メチル化感受性制限酵素を使用してDNAを消化して評価してもよい。OAマーカーのメチル化状態の変化はまた、重亜硫酸反応に基づく方法を使用して検出してもよい。このために、メチル化されていないシトシンをウラシルに変換するために重亜硫酸ナトリウムを使用し、次いで、メチル化されたシトシンを、メチル化特異的PCR(MSP)法によって検出する。 【0049】 OAマーカー遺伝子の調節領域の一塩基多型(SNP)もまた、その発現レベルに影響を及ぼし得る。例えば、変化したヌクレオチドは、転写因子の結合に影響を及ぼし得、よって、転写が上方制御または下方制御される。特定のSNPの存在は、DNAの配列決定によって検出してもよい。SNPはまた、オリゴヌクレオチドプローブへの選択的ハイブリッド形成(すなわち、SNPを伴わない配列ではなく、特定のSNPを含有する配列にハイブリッド形成する)によって検出してもよい。特定のSNPはまた、PCRに基づく手法、またはオリゴヌクレオチドマイクロアレイに基づくアッセイを使用して検出してもよい。 【0050】 OAマーカーの任意の1つ以上の発現は、対照試料に対するOA試料で測定することができる。OA細胞は、概して、認められた臨床的指標に基づいて、OAを有することが分かっている対象から単離してもよく、任意のOAマーカーの発現は、インビトロで検査してもよい。単離した細胞に使用される生検の種類は、OAの場所および性質に応じて変えることができ、また、変わることになる。細胞、組織、または生物学的流体(滑液等)の試料は、針吸引生検によって取り除いてもよい。このために、注射器に取り付けた細針を、皮膚を通して、目的とする臓器、組織、または関節包の中に挿入する。針は、超音波またはコンピュータ断層撮影法(CT)撮像を使用して、目的とする領域に誘導してもよい。針が組織の中に挿入されると、注射器で真空が作られ、よって、細胞または流体を、針を通して吸引して注射器の中に採取することができる。細胞または組織の試料は、切開生検またはコア生検によって取り除いてもよい。このために、円錐、円筒、または微小な組織を、目的とする領域から取り出してもよい。この種の生検は、概して、CT撮像、超音波、または内視鏡によって誘導される。 【0051】 RNA、タンパク質、またはDNAは、任意の生物学的試料含有細胞または組織から抽出して、前述の本明細書で説明される方法を使用して、任意の1つ以上のOAマーカーの単数または複数の発現レベルの分析ができるようにしてもよい。生検を行った細胞または組織は、プラスチックまたはパラフィンに埋め込んでもよく、そこから、核酸を単離してもよい。OAマーカーの発現はまた、インサイツ(例えば、インサイツハイブリッド形成、免疫組織化学)で、生検を行った細胞または組織で行ってもよい。 【0052】 OAマーカーの発現はまた、対象においてインビボで検査してもよい。特定のmRNAまたはタンパク質は、蛍光色素、生物発光マーカー、蛍光半導体ナノ結晶、または半減期の短い放射性同位元素で標識し、次いで、対象を、標識の種類に応じて種々の手法を使用して撮像または走査してもよい。 【0053】 C.方法 変形性関節症を診断、病期分類、または監視するための方法は、例えば、対象由来の生物学的試料中の、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、MMP9、IL6、MMP1、RANTES、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILP、COMP、および任意のそれらの断片、ならびにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、少なくとも2つのポリペプチドの発現レベルを測定することを含むことができ、生物学的試料中の少なくとも2つのポリペプチドまたはそれらの断片の発現レベルは、対象における変形性関節症の有無、程度、重篤性、型、または病期を示す、試料タンパク質発現プロファイルを提供する。少なくとも2つのポリペプチドの発現レベルは、DNA増幅、DNAメチル化/脱メチル化から成る群から選択される過程、および一塩基多型に起因するDNAの変化を検出することが挙げられるが、それに限定されない、前述のタンパク質または核酸の定量化手法のいずれかを使用して測定される。本方法は、試料タンパク質発現プロファイルを、対照タンパク質発現プロファイルと比較することをさらに含み、試料タンパク質発現プロファイルと、対照タンパク質発現プロファイルとの間の差は、対象における変形性関節症の有無、程度、重篤性、型、または病期を示す。 【0054】 したがって、本明細書で説明されるOAバイオマーカーは、対象のOAの存在を検出するための、OAの発生に関して対象の集団を研究するための、およびOA治療の有効性を評価するための方法で使用される。故に、本開示は、OAを有することが疑われる対象から得られる試験試料を特徴付け、対象のOAを診断し、OAの亜型を特定し、また、対象のOAの発達を評価するための方法を提供する。そのような方法では、対象から得られる生物学的試料について判定されるバイオマーカーの発現レベルを、1つ以上の対照試料のレベルと比較する。対照試料は、健康な対象(または一群の健康な対象)から、OAを伴う対象(または対象群)から、亜型IのOAまたは亜型IIのOAを伴う対象(または対象群)から、および/または疾患の特定の病期(例えば、初期のOAまたは末期のOA)を伴う対象(または対象群)から得てもよい。前述のように、目的とするバイオマーカーの対照発現レベルは、好ましくは、多数の個人から判定して、平均を得る。一定の好ましい実施形態では、調査中の生物学的試料について判定される発現レベルを、前述のように、少なくとも1つのOAの発現プロファイルと比較する。 【0055】 OAの有無、OAの程度、重篤性、型、または病期と相関する発現レベルを有するOAバイオマーカーは、新しい治療薬を特定する(例えば、スクリーニングを使用して、これらのバイオマーカーの発現を抑えるか、または高める化合物または物質を検出する)ための魅力的な標的である。故に、本開示はまた、効果的にOAを治療するか、またはOAの進行を遅らせる潜在性のある化合物または物質を特定するための方法を提供する。 【0056】 OAバイオマーカーは、例えば変形性関節症を治療するための治療薬として候補物質を特定するための、種々のスクリーニング方法に容易に適用することができる。そのような方法は、例えば、a)候補物質を、自然発症変形性関節症であると診断された対象に投与することと、b)対象由来の生物学的試料中の、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、IL6、MMP1、RANTES、MMP9、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILP、およびCOMPから成る群から選択される、2つ以上のOAポリペプチドの発現レベルを測定することと、c)生物学的試料中の2つ以上のOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、試験物質を投与していない対照対象由来の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合に、変形性関節症を治療するための候補治療薬として、前記候補物質を選択することと、を含んでもよい。 【0057】 本方法は、例えば、少なくとも1つのOAバイオマーカーを発現する生物学的系を、しばらくの間、候補物質に十分な条件下で、候補(試験)物質と接触させて、少なくとも1つのOAバイオマーカーの発現を変化させることと、第1のOAバイオマーカー発現レベルを測定することとをさらに含んでもよい。本方法は、候補物質の非存在下で同じ時間にわたって同じ条件で生物学的系を維持して、または生物学的系を対照物質と接触させた後に、第2のOAバイオマーカー発現レベルを測定することと、第1および第2のOAバイオマーカー発現レベルを比較することとをさらに含み、第2のOAバイオマーカー発現レベル未満である、またはそれを超える第1のOAバイオマーカー発現レベルは、その候補物質が、OAを治療するための候補治療薬であることを示す。合成物質および天然物質、ならびに自然発生物質および合成物質の任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない、任意の候補物質または複数の物質(例えば、ライブラリ)をスクリーニングすることができる。そのようなスクリーニングは、複数のOAバイオマーカーを同時に使用して行うことができ、容易に商業的に入手可能な多数の多重アッセイのいずれかを使用して促進され得ることを理解されたい。本方法は、評価している1つ以上のOAバイオマーカーのOA発現プロファイルを生成することをさらに含んでもよく、このプロファイルは、例えば、試験および対照条件下の各バイオマーカーの発現情報を含むことができる。 【0058】 そのようなスクリーニング方法は、単数または複数の細胞、生物学的流体、生物学的組織、または動物が挙げられるが、これらに限定されない、任意の種類の生物学的系を使用して行ってもよい。方法は、動物モデルの膝、股関節、もしくは肘等の身体の部分の全部またはその一部分が挙げられるが、これに限定されない、誘発されたOAまたは自発的に発生するOAの存在に応答して、軟骨退化を示すことが可能な任意のシステムを使用して行うことができる。アッセイおよびスクリーニング法は、標準的な組織培養で成長させた細胞を使用して行うことができる。好ましくは、そのような細胞は、哺乳類起源であり、より好ましくは、イヌまたはヒト起源である。細胞は、選択した遺伝子を含有またはノックアウトするように遺伝子操作した細胞を含む、初代細胞、第二代細胞、または不死化した細胞であってもよく、当技術分野でよく知られている手法によって調製することができ、またはAmerican Type Culture Collection,Manassas,Va等のよく知られている商業的供給源から入手可能である。当業者は、アッセイの目的、OAマーカーの型および数、試験される薬物等の、一般的に認識されている原則に従って、細胞型および細胞系を選択することができる。細胞は、成長させて37℃の滅菌環境に維持すること等の、標準的な細胞培養手法、媒体、および規格を使用して培養してもよい。 【0059】 スクリーニング方法によって特定される任意の候補物質は、インビボで化合物の性質の判定を可能にするアッセイで、さらに試験を行うことができる。変形性関節症の適切な動物モデルは、当技術分野でよく知られており、自発的に発生するOA、および外科的不安定性または遺伝的修飾によって誘発されるOAのモデルを含む。動物モデルの自然発生的なOAは、モルモット、マウス、およびシリアンハムスターの膝関節で発生する。外科的不安定性によって誘発されるOAのモデルは、モルモットおよびラットにおける内側半月板断裂、ウサギにおける内側または外側部分半月板切除術、およびイヌにおける内側部分もしくは総半月板切除術または前方十字離断を含む。トランスジェニックマウスモデルが知られている。潜在的なOA治療剤として特定される候補物質を検証するために使用することができる他のOAの動物モデルは、当業者に知られている文献で詳細に説明されている他の数多くのものを含む。 【0060】 代替として、OAバイオマーカーは、対象の変形性関節症の治療の効果を監視するための方法に適用することができる。そのような方法は、例えば、a)変形性関節症の治療が対象に施される前に、対象から得られる第1の生物学的試料中の、MCP1、IL8、KC、MMP2、MMP3、IL6、MMP1、RANTES、MMP9、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILP、およびCOMPから成る群から選択される2つ以上のOAポリペプチドの発現レベルを測定することを含む、第1のOAバイオマーカー発現プロファイルを得ることと、b)変形性関節症の治療が対象に施された後またはその間に、対象から得られる第2の生物学的試料中の、(a)で選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベルを測定することを含む、第2のOAバイオマーカー発現プロファイルを得ることと、c)第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含んでもよく、第2のOAバイオマーカー発現レベルにおける2つ以上の選択されたOAポリペプチドのそれぞれの発現レベルが、対象由来の第1の生物学的試料中の選択された2つ以上のOAポリペプチドの発現レベル以下である場合は、対象における変形性関節症治療の治療効果を示す。 【0061】 本明細書で同じ意味で使用される「OA治療」および「変形性関節症治療」という用語は、本明細書で説明されるOAバイオマーカーの2つ以上の任意の組み合わせの対象における発現レベルを低減する、および/または対象におけるOAの臨床的症状を低減または排除する、任意の治療用デバイスまたは薬剤を適用すること、または施すことを指す。 【0062】 特定のOA治療に対する対象の反応が判定されると、OAを伴う対象を治療するための効果的な治療が選択され得る。例えば、OAが特定の医薬品に反応すると判定された場合、その薬剤を含む治療を対象に提供してもよい。しかしながら、OAがその薬剤に反応しないと判定された場合、対象に対して別の治療を選択してもよい。したがって、治療計画を施す前に対象の反応性を判定することは、潜在的に有害であるか、または役に立たない治療を省くことになる。OAを治療するための候補物質である任意の薬剤の投与経路は、薬剤の性質を含む因子に応じて変化する。投与経路は、皮内、経皮、非経口、静脈内、筋肉内、鼻腔内、皮下、経皮、気管内、腹膜内、腫瘍内、経口、潅流、洗浄、または直接注射であってもよい。治療計画は、OAの型、その場所、その病期、ならびに対象の健康状態および年齢に応じて変化させることができ、また、変化することになる。 【0063】 D.試薬およびキット 本開示によるキットは、少なくとも1つのOAマーカーの発現を測定するための1つ以上の試薬を含んでもよく、対照対象に対する、対象の1つ以上のOAの発現の変化は、OAの有無、病期、重篤性、または亜型を示す。OAマーカーは、表1に列記されるものを含む。診断キットは、本明細書で説明される少なくとも1つのOAマーカーに特異的に結合することが可能である、少なくとも1つの試薬を含み、それによって、OAマーカーの1つ以上の発現レベルが検出され得る。 【0064】 各キットは、1つ以上の特異的結合試薬を含んでもよく、各結合試薬は、選択されたOAマーカーまたはその断片に特異的である。特異的結合試薬は、それぞれ、タンパク質マーカーに特異的に結合する抗体またはその断片等の、そのような特異的結合が可能な任意の分子、またはcDNAもしくはオリゴヌクレオチド等のポリヌクレオチド配列に対して相補的な核酸プローブを含んでもよい。「特異的結合」は、試薬が、検出可能な産物を産生するようにポリペプチドと反応するが、無関係な配列を有する他のポリペプチドとは検出可能な程度に反応しないことを意味する。OAマーカーの発現の測定で使用される特異的結合試薬は、使用する手法の種類に応じて変えることができ、また、変わることになる。例えば、キットは、QRT-PCRのためのオリゴヌクレオチドプライマーを含んでもよい。含有する核酸プローブは、キットに含まれてもよく、また随意に、ビーズ、チップ、プレート、およびマイクロアレイが挙げられるが、これらに限定されない、固体基質とともに提供される。核酸プローブは、随意に、そのような基質の表面に固定化される。キットは、蛍光レポータープローブを含んでもよい。キットはまた、逆転写酵素、Taqポリメラーゼ、ならびに適切な緩衝液および塩をさらに含んでもよい。 【0065】 キットは、免疫測定法(例えば、ELISA)に使用することができる抗体を含んでもよい。キットは、酵素共役抗体の検出のための基質をさらに含んでもよい。本方法で使用することができ、キットに含むことができる抗体としては、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、免疫学的に活性な断片(例えば、Fabまたは(Fab)2断片)、抗体重鎖、ヒト化抗体、抗体軽鎖、ならびにキメラ抗体が挙げられる。モノクローナルおよびポリクローナル抗体、断片、ならびにキメラを含む抗体は、当技術分野でよく知られている方法を使用して調製および精製してもよく、または科学的または商業的供給源から得てもよい。 【0066】 任意の結合剤を、検出可能な標識で直接的または間接的に標識することができる。好ましくは、検出可能な標識は、測定することができ、かつ相関され、例えば、分析されている試料中に存在するタンパク質マーカーの量に比例する、信号を生成する。検出可能な標識、ポリペプチドを含む分子に標識するための方法、抗体、およびオリゴヌクレオチドは、当技術分野でよく知られている。 【0067】 生物学的試料を分析する(例えば、対象のOAの有無、程度、重篤性、型、病期を判定する)のに有用なさらなる試薬を、キットに提供してもよい。手法または手技に応じて、キットは、抽出緩衝液、増幅緩衝液、ハイブリッド形成緩衝液、免疫検出緩衝液、標識緩衝液等の緩衝液、または任意の同等の試薬が挙げられるが、これらに限定されない、1つ以上の付加的な試薬をさらに含んでもよい。試薬は、固体(例えば、凍結乾燥)または液体の形態で供給されてもよく、これらは、随意に、個々の試薬について、バイアル、パケット、瓶等の容器を使用して個別の包装で提供してもよい。各成分は、例えば、直接的な使用に適切な量で提供することができ、または再構成することができる還元形態または濃縮形態で提供してもよい。 【0068】 診断および治療監視キットは、本開示に従って診断および監視方法を行うのに有用な材料およびツールをさらに備えることができる。キットは、例えば診断用実験室、臨床的環境、または研究環境で使用することができる。キットは、例えば任意の手続きプロトコル、および異なる過程のステップを行うためのキットで種々の試薬を使用するための説明書を含む、使用説明書をさらに含んでもよい。本発明の1つ以上の方法に従ってキットを使用するための説明書は、対象から得られる生物学的試料を処理するための、および/または試験を行うための説明書、および結果を分析または解釈するための説明書を含んでもよい。説明書は、印刷形態で提供してもよく、またはDVD、CD、ハードディスクドライブ、磁気テープ、およびコンピュータネットワークを通じて通信することが可能なサーバが挙げられるが、これらに限定されない、任意のコンピュータが読み取り可能な媒体に記憶してもよい。 【0069】 キットは、1つ以上の対照試料をさらに含んでもよい。キットは、比較テンプレートとして使用するための、本明細書で説明されるOA、OA亜型、および/またはOA進行に対する少なくとも1つの発現プロファイルを含んでもよい。好ましくは、発現プロファイルは、コンピュータが読み取り可能な媒体に記憶したデジタル情報として提供される。 【0070】 概して、キットの構成要素は、商品流通および販売の際の取り扱いを容易にするために、都合よく包装されるか、または束ねられる。 【0071】 D.本開示の方法の適応 以下、一例であり、限定するものではない、本開示の実施例を提供する。 【0072】 実施例1:インビトロで培養した正常な、およびOAの関節軟骨外植片由来の媒体中のタンパク質の評価 関節軟骨は、慢性的なOAに起因する股関節全置換術を受けるイヌ(n=6)の大腿骨骨頭、およびいかなるOA臨床的徴候も伴わず、現在の研究とは無関係な理由で安楽死させたイヌ(n=6)から採取した。各動物の組織から2つの4mmの外植片を作成して、7日間にわたって、500μLのDMEM中でインキュベートした。各個体からの培養媒体は、xMAPプラットフォームに基づいて、MCP1、IL-8、およびKC(Millipore)について、イヌサイトカインおよびケモカイン免疫測定法を使用して分析した。第2のアリコートは、イヌの試料と交差反応することが分かっている、MMP2、MMP3、およびMMP13(R&D Systems)について、多重ヒトMMP免疫測定法を使用して分析した。次いで、臨床的に関連する亜群を、OA状態に基づいて作成し、そして、各亜群由来の媒体を、プロテオミクス分析のためにプールした。各媒体プールは、アセトン沈殿させて定量化し、還元状態での一次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(1D-PAGE)のための同等のタンパク質負荷を確保した。不十分な容積および正常な培養媒体の非常に低いタンパク質濃度のため、正常な群のゲル分離を続けることができなかった。残りのプールした試料のゲル分離に続いて、各レーンを8つの等しい断片(総n=24)に切断し、ゲル内トリプシン消化を行った。各消化は、LTQ Orbitrap測定器を使用して、LC-MS/MSによって分析した。結果は、有意性をp<0.05に設定した、対応のないt-検定で統計的に評価した。初期分析に続いて、高存在量血液タンパク質を計器から「隠して」、亜臨床OAおよび臨床OAの再分析を行った。これらの2つの群間の比率は、Scaffold2 Viewer Proteomeソフトウェアを使用して決定した。 【0073】 亜臨床OA対臨床OA(軽度および重度):亜臨床OA群と臨床OA群との間で、57のタンパク質の変化を媒体中で特定したが、多数の高存在量血液タンパク質(血清アルブミン)および複数の細胞外マトリクス(ECM)タンパク質を含んでいた。亜臨床OA群の軟骨オリゴマーマトリクスタンパク質(COMP)は、臨床OA群と比較して、極めて高かった(p=0.0033)。 【0074】 亜臨床OA対重篤な臨床OA(図1):棒グラフは、高存在量血液タンパク質の除去後に、亜臨床OA群および臨床OA(高)群から選択したタンパク質の質量分析によって得られた、定量値を示す。高存在量タンパク質をマスキングすると、亜臨床OA群と重篤な臨床OA群との間で、155のタンパク質の変化を媒体中で特定した。軟骨中間層タンパク質(CILP)、デコリン、およびCOMPはどれも、重篤な臨床OA群において低かった[それぞれ、4.2分の1、4.0分の1、および1.4分の1](図1A)。アポリポタンパク質A1およびEは、重篤な臨床OA群において、それぞれ9.1倍および2.6倍高かった(図1B)。 【0075】 この研究において、アルブミン等の高存在量タンパク質の除去は、低存在量タンパク質の検出を大幅に増加させた。COMPは、現在、関節疾患において最も研究されているバイオマーカーの1つであり、OAの初期段階の間に大幅に増加し、その後、疾患の後期で減少することが分かっている。この研究において、COMPは、亜臨床OA群のイヌでより高く、したがって、この新しいバイオマーカーパネルの初期OAの診断への使用に対するさらなる裏付けを提供する。目的とする別のタンパク質は、アポリポタンパク質A1(ApoA1)である。ApoA1は、正常なものと比較して、変形性関節症のイヌおよびヒトの滑液、ならびにヒトの関節軟骨でより高いことが分かっているが、発明者らの知る限りでは、発明者らが最初に、イヌの関節軟骨からApoA1を放出することを確認している。これらの結果は、ヒトのOAのトランスレーショナルリサーチにおけるイヌの組織の使用に対する変わらない裏付け、およびバイオマーカーパネルの初期OAの診断および病期分類への使用に対するさらなる裏付けを提供する。 【0076】 さらなる研究を、1)関節炎および非関節炎における膝関節の滑液中のサイトカインおよびケモカイン濃度の変化を描写するために、および2)受信者動作特性(ROC)曲線の分析を用いて、任意のサイトカインおよびケモカインの変動がOAを識別するかどうかを判定するために行った。この研究には、21匹の無傷なメスのハウンドドッグの成犬(>20kg)を含めた。各イヌには、4つの関節鏡手技、すなわち、前十字靭帯の切断(ACL-T)、半月版の切断(MR)、大腿骨内側顆の軟骨における2つの全層溝の作成(Groove)、または障害のない全ての関節のランドマークのプローブ操作(SHAM)、のうちの1つを受けさせた。非術の反対側の後肢は、各イヌの内部対照として使用した。滑液は、術側の肢および反対側の対照肢の双方から、術側の肢への手術直前に、および手術後12週目に採取した。これらは、xMAPプラットフォームに基づいて、IL-2、IL-4、IL-7、IL-8、IL-15、IL-18、IP-10、INF-γ、TNF-α、MCP1、KC、およびGM-CSFについて、多重イヌサイトカインおよび免疫測定法(Millipore)を使用して分析した。結果は、有意性をp<0.05に設定した、対応のないt-検定またはMann-Whitney Rank Sum試験で統計的に評価した。画像研究(超音波および磁気共鳴画像を含む)、関節鏡検査、および組織病理データも収集して、全ての関節組織の病理を完全に特徴付けた。 【0077】 滑液において、単球走化性タンパク質1(MCP1)は、0日目(n=21;p<0.001)および12週目のSHAM関節(n=5;p<0.009)と比較して、術後12週目のACL-T関節(n=5)において大幅に増加した。増加したMCP1はまた、0日目と比較して、12週目のGroove群(n=6)およびMR群(n=5)でも観察されたが、統計的な有意性は認められなかった。ACL-TおよびMRのイヌにおいて、インターロイキン-8(IL-8)は、0日目(n=21;A:p=0.001、M:p=0.018)、12週目の非術側の肢(n=21;A:p=0.002、M:p=0.018)、および12週目のSHAM群(n=3;A:p=0.019、M:p=0.049)と比較して、12週目に大幅に増加した。Groove群(n=6)において、ケラチン細胞由来の化学誘引物質(KC)は、0日目(n=21;p=0.009)と比較して、12週目に大幅に減少した。残りのサイトカインおよびケモカインは、これらの動物の滑液において検出可能なレベルよりも低かった。IL-8、MCP1、およびKCについて個々に、ならびに組み合わせパネルとして、KC受信者動作特性曲線を使用して曲線下面積(AUC)を計算した(表2)。 表2:IL-8、KC、またはMCP1の曲線下面積(AUC)±SE 【表2】 【0078】 したがって、OAのイヌモデルにおいて、サイトカインおよびケモカインレベルの変化は、OA誘発後に滑液中で発生する。正常なものとOAとを完全に区別する診断試験のROC曲線は、AUC=1.0を有する。結果は、単球走化性タンパク質1(MCP1/CCL2)、インターロイキン-8(IL-8/CXCL8)、およびケラチン細胞由来の化学誘引物質(KC/CXCL1)を含むバイオマーカーパネルが、正常なイヌからOAのイヌを判別するための強力な区別能力を示すことを実証した。 【0079】 実施例2:自発的に発生するOAを伴うイヌにおける滑液、血清サイトカイン、ケモカイン、およびマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)の評価 方法:この研究に含まれる各イヌについて、クライアントのインフォームドコンセントを得た。血液および滑液は、10匹の中型種および大型種の成犬から得て、片側の膝関節(膝)OA(術前OA;n=10)の外科的介入のためにUMC-VMTHに提出した。これらのイヌは、3?8歳の範囲であった(平均5.15歳という中央値の方がよいかもしれない)。滑液は、通常の無菌関節穿刺を介して、罹患した膝関節から得て、血液は、頸静脈静脈穿刺を介して採取した。臨床膝OAは、有資格の獣医学的整形外科医が各イヌにおいて確認した。OAの放射線学的証拠は、有資格の獣医学的放射線科医が確認した。全てのイヌは、膝の十字靭帯不全手術を受けて、問題なく回復した。8?12週間後に、術後の再確認のためにイヌを返し、再度血液および滑液を採取して、外科的介入後のマーカーの変化を評価した。対照群は、2?5歳の範囲(平均2.9歳)の9匹の中型種および大型種の成犬で構成した。これらのイヌは、いかなる関節外傷の病歴もなく、足が不自由でなく、また、有資格の獣医学的整形外科医によって臨床OAを含まないとみなされた。肩、膝、および股関節の放射線学的評価は、OAがないことを検証した。血液および滑液は、クライアントに都合のよい時間でOAのイヌと同じような様式で採取した。滑液試料は、製造業者の指示を通じて、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-15、IL-18、IP-10、INF-γ、TNF-α、MCP1、KC、およびGM-CSFについて、xMAPプラットフォーム(Qiagen,Inc.)に基づいて、多重イヌサイトカインおよびケモカイン免疫測定法(Millipore Corp.St.Louis,MO,USA)を使用して、二重に分析した。別の25μLを、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9、およびMMP13について、xMAPプラットフォーム(Qiagen,Inc)に基づいて、多重ヒトマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)免疫測定法(R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)を使用して、二重に分析した。このアッセイは、発明者らの実験室によって、イヌ起源の試料と交差反応することが以前に示されている。結果を、有意性をp<0.05に設定した、対応のないt-検定またはMann-Whitney Rank Sum試験(SigmaStat 3.5;Systat Software,Incorporated,San Jose,CA,USA)で統計的に評価した。 【0080】 結果:前述した方法に従って得られた結果を、図2Aおよび図2B、ならびに表3(下記)に要約する。 表3:正常なイヌおよびOAのイヌの膝から採集した滑液間で発現に差を呈するタンパク質 【表3】 【0081】 滑液において、IL8およびKCは、正常なイヌと比較して、術前のOAのイヌにおいて、大幅に高く(p<0.001;p=0.01)、また、正常なイヌと比較して、術後のOAのイヌにおいて、大幅に高かった(p=0.002;p=0.03)。どちらの分析も、術前のOAのイヌと比較して、術後のOAのイヌにおいて低かったが、この減少は、統計的に有意ではなかった。MCP-1は、正常なイヌと比較して、術前のOAのイヌおよび術後のOAのイヌにおいて、大幅に高く(p<0.001;P=0.009)、また、術前の値と比較して、術後のMCP-1が大幅に減少した(p=0.01)。IL8は、正常なイヌと比較して、術前のOAのイヌにおいて、大幅に高かったが(p=0.02)、残りのサイトカインおよびケモカインは、検出限度よりも低かった。MMP2は、術後のOAのイヌにおいて最も高く、これは、正常なイヌよりも大幅に高かった(p=0.010)。MMP3は、術前のOAのイヌにおいて最も高く、術後のOAのイヌにおいて最も低かったが、これらの変化に統計的有意性は認められなかった(図2Aおよび図2B)。 【0082】 個々の、および組み合わせパネルとしてのこれらのマーカーの性能は、統計ソフトウェア(SAS Institute)を使用して、ROC曲線分析によって評価した。具体的には、ROC曲線は、JMP7.0.2ソフトウェア(SAS Institute)を使用して生成し、種々のバイオマーカーの組み合わせの区別的能力を判定するために使用した。複数のバイオマーカーパネルは、群と群との完全な区別に至った(AUC=1.0)(表4)。表4において、「Cytoマーカー」はIL8、MCP1、およびKCであり、「CytoおよびMMP」は、IL8、MCP1、KC、MMP2、およびMMP3を指す。 表4:完全なAUCをもたらす分析物パネル 【表4】 【0083】 残りの血清およびSFは、1D-PAGEで分離して、液体クロマトグラフィ質量分析法(LC-MS/MS)によって分析した。イヌだけに限定した、米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の非重複データベース分類法に対して、一致を検索した。p<0.05および比率>2.0によって、群と群との間でかなりの差が表された。 【0084】 血清において、MMP2およびMMP3は、正常なイヌにおいて最も高く、術前のOAのイヌにおいて最も低かった。MMP2は、術前のOAのイヌと比較して、正常なイヌおよび術後のOAのイヌにおいて大幅に高かったが(p=0.003;p=0.03)、正常なイヌと術後のOAのイヌとの間には大きな差はなかった。MMP3は、術前のOAのイヌと比較して、正常なイヌおよび術後のOAのイヌにおいて大幅に高かったが(p=0.002;p=0.03)、OAのイヌの術前と術後との間には大きな差はなかった。IL8、KC、MCP1、IL18、IL2、IL7、またはGM-CSFについて、群と群との間には大きな差は検出されず、残りの分析物は、アッセイの検出限度よりも低かった。 【0085】 したがって、ROC曲線分析は、骨液を測定するバイオマーカーパネルMCP1、IL8、KC、MMP2、およびMMP3が、自発的に発生する臨床OAを伴うイヌの膝から正常で健康な膝を一貫して区別する能力を有することを初めて実証している。加えて、MCP1は、それらの術前のOAの値と比較して、術後のOAのイヌにおいて大幅に低く、IL8およびKCは、治療後も減少し、これは、この新しいバイオマーカーパネルが、診断および治療監視の両応用において臨床的使用に対して大きな潜在性を有することを示している。3つのサイトカインは、それらを滑液で測定した時に、単独の術前のOAと術後のOAとの間で繰り返し判別することが可能であるが(AUC=0.9)、パネルへのMMP2およびMMP3の添加は、性能を向上させ(AUC=1.0)、これは、このパネルまたは任意の診断バイオマーカーパネルへのMMPの添加が、治療の監視または予後に有用となり得ることを示している。したがって、この結果は、滑液バイオマーカーの使用が、試料を得る際の相対的な容易さ、関連するコスト、これらの評価の関節固有の性質に基づいて、重要な臨床応用を有することを示している。バイオマーカーパネルへのMMPの添加は、特に治療の監視に関してその能力を高める。 【0086】 実施例3:ヒト患者の滑液中のOAバイオマーカー ヒト患者の滑液中のOAバイオマーカーを調査した。1)正常な患者および膝関節全置換を受けているOA患者の滑液に放出される特定のMMPおよび炎症性サイトカインの濃度を特定し、測定すること、および2)これらの炎症性バイオマーカーの産生を、疾患の放射線学的重篤性と相関させること、を特定の目標とした。全ての手技は、IRB(IRB#1042248)の承認を得て行った。滑液は、これまでにいかなる膝の損傷もない、膝の疼痛またはOAといった臨床症状もない、または手術手技も行っていない、3人の「真の正常な」患者(23、27、28歳)から吸引した。滑液は、OAを伴う18人の患者(21の膝)から、膝関節全置換術の直前に吸引した(年齢範囲=44?86歳)。等容積のヒアルロニダーゼ処理済みの滑液試料を、Fluorokine MAPヒトMMP(MMP-1、-2、-9、および013)、およびサイトカイン(インターロイキン1β(IL-1β)、IL-6、IL-8、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP-1α)、MIP-1β、単球走化性タンパク質1(MCP-1)、RANTES)多重パネル(R&D Systems)を使用して分析した。ログ形質転換を行って、統計分析のためのデータを正規化した。正常な群およびOA群からの結果は、対応のないt-検定を使用して、またピアソンの積率相関を使用した分析物間で評価した。有意性は、p<0.05に設定した。最終的にTKAを受けた各患者には、術前評価中に、立位AP放射線撮影を行った。改良型のKellgren-Lawrenceスコアリングシステムを、内側および外側区画に適用し、次いで、合計した。放射線学的スコアは、有意性をp<0.05に設定した、Spearmanの順位相関を使用して、ログ形質転換したMMP/サイトカインデータと相関させた。 【0087】 正常対OA:図3に示されるように、試験を行った12のバイオマーカーのうち、MMP-1、IL-6、IL-8、およびRANTESは、正常な患者と比較して、OA患者の滑液において大幅に高かった。12のうちの3つ、すなわち、MIP-1β、MCP-1、およびMMP-2は、有意性を示していた(図3には示さず、p=0.105)。MMP-9、MMP-13、IL-1β、TNF-α、およびMIP-1αは、全ての患者に対してこのアッセイの検出限界よりも低かった。 【0088】 分析物間の相関性:MMP-1は、MMP-2(r=0.43)、IL-6(r=0.52)、IL-8(r=0.43)、およびRANTES(r=0.58)との適度な正の相関を有した。IL-6は、IL-8との強い(r=0.79)正の相関を有し、MMP-2との適度な(r=0.44)正の相関を有した。MCP-1は、IL-6との適度な(r=0.56)正の相関を有し、IL-8との強い(r=0.70)正の相関を有した。 【0089】 放射線学的スコアリングとの相関性:放射線学的スコアリングシステムは、IL-6(r=0.71)およびIL-8(r=0.82)との強い正の相関を有し、MMP-1(r=0.353)およびMCP-1(r=0.483)との適度な正の相関を有した。 【0090】 このデータは、初めて、ヒト患者のOAに対する滑液バイオマーカーの指示を提供するものと考えている。重要なことに、真の正常な対照をこの研究に使用したが、これは珍しいことであり、したがって、ヒトの臨床研究における重大な制限因子ではない。この研究の結果は、IL-6およびIL-8がOA患者においてかなりの増加を示し、これらの2つの間で強い相関性を示し、また、放射線学的変化の重篤性に対して強い相関性を示したので、これらの2つのサイトカインが、潜在的なバイオマーカーとして特に興味深いことを示唆している。また、放射線学的変化の重篤性とMMP-1およびMCP-1のレベルとの間に、顕著な適度に強い相関性も示した。放射線学的重篤性に対する相関性は、密接な臨床的関連性をこれらのタンパク質のOAバイオマーカーとしての調査に対して提供するので、特に重要である。IL-6、IL-8、MMP-1、およびMCP-1は、市販のアッセイを使用して、滑液の小容積試料中のパネルとして、容易に評価することができる。 【0091】 実施例1および2の結果とともに、この実施例の結果は、IL-6、IL-8、MMP、KCおよびMCP-1が、イヌおよびヒトの患者の双方における疾患の存在および重篤性、ならびに治療監視の双方に対するバイオマーカーパネルを提供することを示している。 【0092】 実施例4:イヌの関節炎の種々の形態の重篤性を判別し、判定するための、新しいOAバイオマーカーパネルの検証 イヌの関節炎の種々の形態の重篤性を判別および判定するための新しいOAバイオマーカーパネルを検証するために、さらなる研究を用いることができる。最初に、この新しいOAバイオマーカーパネルが、イヌ患者の臨床コホートにおいてOAの存在および重篤性を判定することに対して、高い感受性および特異性(>0.9)、ならびにROCデータ(>0.8)を有することができると仮定する。 【0093】 臨床イヌ患者の診断および疾患の病期分類のための新しいOAバイオマーカーパネルを検証するために、発明者らのVeterinary Medical Teaching Hospital(VMTH)に提出した時点で、正常な膝関節(膝)、感染性関節炎を罹患した膝関節、発達障害(膝蓋骨脱臼)を罹患した膝関節、および変性障害(十字靱帯疾患)を罹患した膝関節を伴うイヌ(最小で1群あたりn=20)から、通常の関節穿刺、膀胱穿刺、および頸静脈穿刺を介して、それぞれ、滑液、尿、および血液を採取する。ミズーリ大学のVMTHは、毎年、これらのコホートにおいて、100をはるかに超える症例を受け入れている。各症例について、疫学的データを得て、医療記録に記録する。 【0094】 臨床的評価-臨床的評価-確立されたスコアリングシステム(10)を使用して、視覚的な歩行検査に基づいて、臨床的跛行スコアを判定して、スコアを2人の獣医学的整形外科医によって盲検方式で振り分ける。各膝関節の快適な可動域(CROM)は、角度計の一方の腕が大腿骨と整合し、もう一方の腕が、接合線の中央にある回転点で脛骨と整合するように、角度計を各肢に配置することによって判定する。各膝関節は、イヌからの明確な抵抗または疼痛の徴候を伴わない許容可能な位置まで屈曲および伸長させる。最大屈曲および伸長角度を記録する。この手技を3回繰り返す。CROMを、各膝関節について、平均伸長角度から平均屈曲角度を減算することによって判定する。 【0095】 放射線学的評価-イヌを沈静させて、罹患した膝関節の頭尾側および中外側の放射線学的デジタル写真を得る。放射線写真は、主観的なスコアリングシステムを利用して、患者コホートおよび臨床的徴候に関する情報を隠して、1人の調査者によってスコアリングされる(13、31)。このスコアリング方法については、膝関節の9つの領域を評価し、イヌの臨床OAと関連する二次的な放射線学的変化の重篤性に基づいて、0?3のスコアを与える。したがって、各膝関節は、0?27の範囲のスコアを受ける。0?4にスコアリングされた膝関節は、正常であるとみなされる。5?9にスコアリングされた膝関節は、軽度のOAを有するものとみなされる。10?18にスコアリングされた膝関節は、中程度のOAを有するものとみなされ、19?27にスコアリングされた膝関節は、重度のOAを有するものとみなされる。 【0096】 関節鏡評価-上外側および頭内側の入口を使用して、罹患した膝関節の関節鏡の評価を行う。膝蓋骨、大腿、骨および脛骨の全ての関節表面を、関節軟骨損傷の程度に関して検査し、記録する(ICRSシステム)。半月板、靭帯、および滑膜の病理学を、性質、程度、および場所に関して関節鏡的に評価し、説明する。正常な膝関節群のイヌは、関節鏡検査を受けない。 【0097】 バイオマーカー-各試料から少量のアリコート(25μL)を解凍する。尿および滑液については、試料を、14,000rpmで10分間ペレット細片に遠心分離し、上清を取り除く。滑液試料は、ヒアルロニダーゼ(MP Biomedicals,LLC,Solon,Ohio)で、37℃で60分間インキュベートして、粘度を低下させる。滑液、尿、および血清の各アリコートは、製造業者の指示に従って、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-15、IL-18、IP-10、INF-γ、TNF-α、MCP1、KC、GM-CSF、COMP、Apo1、Apo2、MIP-1α、MIP-1β、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9、およびMMP13について、xMAPプラットフォーム(Qiagen Inc.,Valencia,CA)に基づいて、多重イムノアッセイを使用して、二重に分析する。簡潔には、試料のそれぞれを、96-ウエルプレートで、モノクローナル抗体を充填した小さい(5.6ミクロン)ポリスチレン微小球と混合する。4℃で一晩インキュベーションした後に、ポリクローナル二次抗体、ならびにストレプトアビジン-フィコエリトリンを加える。各試料について中央蛍光強度(MFI)を判定し、検量線から濃度(pg/mL)を得る。 【0098】 統計的分析-ピアソン相関を使用して、疾患の存在および病期を検出するために、各バイオマーカーとバイオマーカーの組み合わせとの間の相関強度を分析する。用いた全ての結果測度に基づいて、感受性、特異性、および受信者動作特性曲線(ROC)データを、各バイオマーカーおよびバイオマーカーの組み合わせについて計算して、種々のコホートについて疾患の存在と、型と、重篤性との間の区別的な可能性を判定する。 【0099】 実施例5:ヒトの関節炎の種々の形態の重篤性を判別し、判定するための、新しいOAバイオマーカーパネルの検証 臨床ヒト患者の診断および疾患の病期分類のための新しいOAバイオマーカーパネルを検証するために、さらなる研究を用いることもできる。IRBの承認を受けた患者のインフォームドコンセントにより、The University of Missouri Hospitals and Clinics(UMHC)で、正常な膝、関節リウマチを伴う膝、半月板断裂および1?2級の関節軟骨病理を伴う膝、外傷後OAを伴う膝、および膝関節全置換を受ける末期OAを伴う膝を有する患者(最小で1群あたりn=20)から、通常の関節穿刺、フリーキャッチの採尿、および末梢静脈穿刺を介して、それぞれ、滑液、尿、および血液を採取する。UMHCは、毎年、これらのコホートのそれぞれにおいて、200をはるかに超える症例を受け入れている。各症例について、疫学的データを得て、医療記録に記録する。 【0100】 臨床的評価-全ての当事者に関して膝の検査を行い、調査結果を記録する。36項目の短文式健康調査(SF-36)を使用して、患者の生活の質を評価する(2)。これは、自己申告の多領域アンケートであり、患者の疼痛、強度、およびそれらの疾患に対する二次的な影響を反映する。Western Ontario McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)を介して、機能的結果測度を評価する(34)。 【0101】 放射線学的評価-放射線学的評価-膝の放射線写真を、改良型のKellgren-Lawrenceスコアリングシステム(21)を使用して評価する。内側および外側区画を調査し、変化の重篤性をスコアリングし、次いで、スコアを合計する。 【0102】 関節全体の外科的評価-手術(関節切開または関節鏡検査)時に、膝蓋骨、大腿骨および脛骨の全ての関節表面を、関節軟骨損傷の程度に関して検査し、記録する(ICRSシステム)。半月板、靭帯、および滑膜の病理学を、性質、程度、および場所に関して評価し、説明する。正常群の患者は、外科的評価を受けない。 【0103】 バイオマーカー-各試料から少量のアリコート(25μL)を解凍する。尿および滑液については、試料を、14,000rpmで10分間ペレット細片に遠心分離し、上清を取り除く。滑液試料は、ヒアルロニダーゼ(MP Biomedicals,LLC,Solon,Ohio)で、37℃で60分間インキュベートして、粘度を低下させる。滑液、尿、および血清の各アリコートは、製造業者の指示に従って、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-15、IL-18、IP-10、INF-γ、TNF-α、MCP1、KC、GM-CSF、COMP、Apo1、Apo2、MIP-1α、MIP-1β、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9、およびMMP13について、xMAPプラットフォーム(Qiagen Inc.,Valencia,CA)に基づいて、多重イムノアッセイを使用して、二重に分析する。簡潔には、試料のそれぞれを、96-ウエルプレートで、モノクローナル抗体を充填した小さい(5.6ミクロン)ポリスチレン微小球と混合する。4℃で一晩インキュベーションした後に、ポリクローナル二次抗体、ならびにストレプトアビジン-フィコエリトリンを加える。各試料について中央蛍光強度(MFI)を判定し、検量線から濃度(pg/mL)を得る。 【0104】 統計的分析-ピアソン相関を使用して、疾患の存在および病期を検出するために、各バイオマーカーとバイオマーカーの組み合わせとの間の相関強度を分析する。用いた全ての結果測度に基づいて、感受性、特異性、および受信者動作特性曲線(ROC)データを、各バイオマーカーおよびバイオマーカーの組み合わせについて計算して、種々のコホートについて疾患の存在と、型と、重篤性との間の区別的な可能性を判定する。 【0105】 本明細書で適切に例証的に説明される本開示は、本明細書では具体的に開示されていない任意の単数または複数の要素、単数または複数の限定の非存在下で実践することができる。したがって、例えば、本明細書の各例において、「含む」、「本質的に成る」、および「成る」という用語のいずれも、他の2つの用語のいずれかと置き換えてもよい。用いられた用語および表現は、限定の用語ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語および表現の使用において、図示および説明される特徴またはその一部のあらゆる同等物を排除するいかなる意図もなく、請求される本開示の範囲内で種々の修正が可能であることを認識されたい。したがって、本開示は、好ましい実施形態および随意的な特徴によって具体的に開示されているが、本明細書で開示される概念の修正および変更は、当業者に頼ってもよく、そのような修正および変更が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあるとみなされることを理解されたい。 【0106】 本明細書において言及される全ての特許および公報は、本開示が属する技術分野の当業者の水準を示す。全ての特許および公報は、それぞれの公報が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に示される場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。 【0107】 参考文献 1. Andersson MLE, Thorstensson CA, Roos EM, Petersson IF, Heinegaerd D, Saxne T. Serum levels of Cartilage Oligomeric Matrix Protein (COMP) increase temporarily after physical exercise in patients with knee osteoarthritis. BMC Musculoskeletal Disorders. 2006;7. 2. Angst F, Aeschlimann A, Steiner W, Stucki G. Responsiveness of the WOMAC osteoarthritis index as compared with the SF-36 in patients with osteoarthritis of the legs undergoing a comprehensive rehabilitation intervention. Annals of the Rheumatic Diseases. 2001;60(9):834-840. 3. Bay-Jensen AC, Andersen TL, Charni-Ben Tabassi N, Kristensen PW, Kjaersgaard-Andersen P, Sandell L, Garnero P, Delaisse JM. Biochemical markers of type II collagen breakdown and synthesis are positioned at specific sites in human osteoarthritic knee cartilage. Osteoarthritis and Cartilage. 2008;16(5):615-623. 4. Blackburn Jr WD, Chivers S, Bernreuter W. Cartilage imaging in osteoarthritis. Seminars in Arthritis and Rheumatism. 1996;25(4):273-281. 5. Chan WP, Lang P, Stevens MP, Sack K, Majumdar S, Stoller DW, Basch C, Genant HK. Osteoarthritis of the knee: Comparison of radiography, CT, and MR imaging to assess extent and severity. American Journal of Roentgenology. 1991;157(4):799-806. 6. Chua Jr SD, Messier SP, Legault C, Lenz ME, Thonar EJMA, Loeser RF. Effect of an exercise and dietary intervention on serum biomarkers in overweight and obese adults with osteoarthritis of the knee. Osteoarthritis and Cartilage. 2008;16(9):1047-1053. 7. Cook JL, Fox DB, Malaviya P, Tomlinson JL, Farr J, Kuroki K, Cook CR. Evaluation of small intestinal submucosa grafts for meniscal regeneration in a clinically relevant posterior meniscectomy model in dogs. The journal of knee surgery. 2006;19(3):159-167. 8. Cook JL, Kuroki K, Kenter K, Marberry K, Brawner T, Geiger T, Jayabalan P, Bal BS. Bipolar and monopolar radiofrequency treatment of osteoarthritic knee articular cartilage: acute and temporal effects on cartilage compressive stiffness, permeability, cell synthesis, and extracellular matrix composition. The journal of knee surgery. 2004;17(2):99-108. 9. Cook JL, Tomlinson JL, Arnoczky SP, Fox DB, Reeves Cook C, Kreeger JM. Kinetic study of the replacement of porcine small intestinal submucosa grafts and the regeneration of meniscal-like tissue in large avascular meniscal defects in dogs. Tissue Engineering. 2001;7(3):321-334. 10. Cook JL, Tomlinson JL, Kreeger JM, Cook CR. Induction of meniscal regeneration in dogs using a novel biomaterial. American Journal of Sports Medicine. 1999;27(5):658-665. 11. Cook JL, Williams N, Kreeger JM, Peacock JT, Tomlinson JL. Biocompatibility of three-dimensional chondrocyte grafts in large tibial defects of rabbits. American Journal of Veterinary Research. 2003;64(1):12-20. 12. Dvorak LD, Cook JL, Kreeger JM, Kuroki K, Tomlinson JL. Effects of carprofen and dexamethasone on canine chondrocytes in a three-dimensional culture model of osteoarthritis. American Journal of Veterinary Research. 2002;63(10):1363-1369. 13. Fettig AA, Rand WM, Sato AF, Solano M, McCarthy RJ, Boudrieau RJ. Observer Variability of Tibial Plateau Slope Measurement in 40 Dogs with Cranial Cruciate Ligament-Deficient Stifle Joints. Veterinary Surgery. 2003;32(5):471-478. 14. Fox DB, Cook JL. Synovial fluid markers of osteoarthritis in dogs. Journal of the American Veterinary Medical Association. 2001; 219(6):756-761. 15. Garcia-Seco E, Wilson DA, Cook JL, Kuroki K, Kreeger JM, Keegan KG. Measurement of articular cartilage stiffness of the femoropatellar, tarsocrural, and metatarsophalangeal joints in horses and comparison with biochemical data. Veterinary Surgery. 2005; 34(6):571-578. 16. Garner BC SA, Cook JL. Change in cytokine and chemokine levels in the synovial fluid, serum and urine of dogs with surgically induced osteoarthritis. 56th Annual Orthopaedic Research Society Meeting. 2010. 17. Garnero P, Aronstein WS, Cohen SB, Conaghan PG, Cline GA, Christiansen C, Beary JF, Meyer JM, Bingham Iii CO. Relationships between biochemical markers of bone and cartilage degradation with radiological progression in patients with knee osteoarthritis receiving risedronate: the Knee Osteoarthritis Structural Arthritis randomized clinical trial. Osteoarthritis and Cartilage. 2008; 16(6):660-666. 18. Greenberg DD, Stoker A, Kane S, Cockrell M, Cook JL. Biochemical effects of two different hyaluronic acid products in a co-culture model of osteoarthritis. Osteoarthritis and Cartilage. 2006;14(8):814-822. 19. Henrotin Y, Addison S, Kraus V, Deberg M. Type II collagen markers in osteoarthritis: What do they indicate? Current Opinion in Rheumatology. 2007;19(5):444-450. 20. 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Lawrence RC, Felson DT, Helmick CG, Arnold LM, Choi H, Deyo RA, Gabriel S, Hirsch R, Hochberg MC, Hunder GG, Jordan JM, Katz JN, Kremers HM, Wolfe F. Estimates of the prevalence of arthritis and other rheumatic conditions in the United States. Part II. Arthritis and Rheumatism. 2008;58(1):26-35. 26. Mazieres B, Garnero P, Gueguen A, Abbal M, Berdah L, Lequesne M, Nguyen M, Salles JP, Vignon E, Dougados M. Molecular markers of cartilage breakdown and synovitis at baseline as predictors of structural progression of hip osteoarthritis. The ECHODIAH* cohort. Annals of the Rheumatic Diseases. 2006;65(3):354-359. 27. Mazzuca SA, Brandt KD, Eyre DR, Katz BP, Askew J, Lane KA. Urinary levels of type II collagen C-telopeptide crosslink are unrelated to joint space narrowing in patients with knee osteoarthritis. Annals of the Rheumatic Diseases. 2006;65(8):1055-1059. 28. Nganvongpanit K, Pothacharoen P, Chaochird P, Klunklin K, Warrit K, Settakorn J, Pattamapaspong N, Luevitoonvechkij S, Arpornchayanon O, Kongtawelert P, Pruksakorn D. Prospective evaluation of serum biomarker levels and cartilage repair by autologous chondrocyte transplantation and subchondral drilling in a canine model. Arthritis Research and Therapy. 2009;11(3). 29. Poole AR. Biochemical/immunochemical biomarkers of osteoarthritis: Utility for prediction of incident or progressive osteoarthritis. Rheumatic Disease Clinics of North America. 2003;29(4):803-818. 30. Ray A, Kuroki K, Cook JL, Bal BS, Kenter K, Aust G, Ray BK. Induction of matrix metalloproteinase 1 gene expression is regulated by inflammation-responsive transcription factor SAF-1 in osteoarthritis. Arthritis and Rheumatism. 2003;48(1):134-145. 31. Roy RG, Wallace LJ, Johnston GR, Wickstrom SL. A retrospective evaluation of stifle osteoarthritis in dogs with bilateral medial patellar luxation and unilateral surgical repair. Veterinary surgery : VS : the official journal of the American College of Veterinary Surgeons. 1992; 21(6):475-479. 32. Stoker AM, Cook JL, Kuroki K, Fox DB. Site-specific analysis of gene expression in early osteoarthritis using the Pond-Nuki model in dogs. Journal of Orthopaedic Surgery and Research. 2006; 1(1). 33. van Spil WE, DeGroot J, Lems WF, Oostveen JCM, Lafeber FPJG. Serum and urinary biochemical markers for knee and hip-osteoarthritis: A systematic review applying the consensus BIPED criteria. Osteoarthritis and Cartilage. 2010; 18(5):605-612. 34. Ware Jr JE, Sherbourne CD. The MOS 36-item short-form health survey (SF-36). I. Conceptual framework and item selection. Medical Care. 1992; 30(6):473-483. 35. Wilke VL, Robinson DA, Evans RB, Rothschild MF, Conzemius MG. Estimate of the annual economic impact of treatment of cranial cruciate ligament injury in dogs in the United States. Journal of the American Veterinary Medical Association. 2005; 227(10):1604-1607. 36. Yoshimura M, Sakamoto K, Tsuruta A, Yamamoto T, Ishida、K, Yamaguchi H, Nagaoka I. Evaluation of the effect of glucosamine administration on biomarkers for cartilage and bone metabolism in soccer players. International Journal of Molecular Medicine. 2009;24(4):487-494. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 イヌ対象の変形性関節症(OA)を診断、病期分類、または監視するための方法であって、前記イヌ対象由来の生物学的流体試料中の、以下のOAポリペプチド:1)MCP1ポリペプチド;2)IL8ポリペプチド;および3)KCおよびMMP1から選ばれる少なくとも1つのポリペプチド;の発現レベルを測定することを含み、ここで、1)?3)のポリペプチドは、いずれも少なくとも5つのアミノ酸を有する任意の断片であってもよく、前記生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドまたはそれらの少なくとも5つのアミノ酸を有する断片の発現レベルは、特定の型または病期の変形性関節症を有することが分かっているか、または変形性関節症でないイヌの単数または複数の対象からのタンパク質発現プロファイルと比較した場合に、前記イヌ対象における変形性関節症の有無、程度、重篤性、型、または病期を示す、試料タンパク質発現プロファイルを提供する、方法。 【請求項2】 イヌの変形性関節症を治療するための治療薬として前記候補物質を特定するための方法であって、a)前記候補物質を、自然発症変形性関節症であると診断されたイヌ対象に投与することと、b)前記イヌ対象由来の生物学的流体試料中の、以下のOAポリペプチド:1)MCP1ポリペプチド;2)IL8ポリペプチド;および3)KCおよびMMP1から選ばれる少なくとも1つのポリペプチド;の発現レベルを測定することと、c)前記生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルが、前記試験物質を投与していない対照イヌ対象由来の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルより低い場合に、変形性関節症を治療するための候補治療薬として、前記候補物質を選択することと、を含む、方法。 【請求項3】 イヌの変形性関節症の治療の効果を監視するための方法であって、a)前記変形性関節症の治療が前記イヌ対象に施される前に、前記イヌ対象から得られる第1の生物学的流体試料中の、以下のOAポリペプチド:1)MCP1ポリペプチド;2)IL8ポリペプチド;および3)KCおよびMMP1から選ばれる少なくとも1つのポリペプチド;の発現レベルを測定することを含む、第1のOAバイオマーカー発現プロファイルを得ることと、b)前記変形性関節症の治療が前記イヌ対象に施された後またはその間に、前記イヌ対象から得られる第2の生物学的流体試料中の、(a)の前記OAポリペプチドの発現レベルを測定することを含む、第2のOAバイオマーカー発現プロファイルを得ることと、c)前記第1のOAバイオマーカー発現プロファイルと前記第2のOAバイオマーカー発現プロファイルとを比較することと、を含み、前記第2のOAバイオマーカー発現プロファイルにおける前記OAポリペプチドの発現レベルが、前記イヌ対象由来の前記第1の生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルより低い場合は、前記イヌ対象における前記変形性関節症治療の治療効果を示す、方法。 【請求項4】 前記生物学的流体試料は、滑液、全血、血漿、血清、尿、および唾液のうちのいずれか1つを含む、請求項1?3のいずれか1つに記載の方法。 【請求項5】 前記生物学的流体試料は、滑液、血清および尿のうちのいずれか1つを含む、請求項1?3のいずれか1つに記載の方法。 【請求項6】 MMP2、MMP3、MMP9、IL6、RANTES、IL1B、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質E、DCN、CILPおよびCOMP、または任意のそれらの少なくとも5つのアミノ酸を有する断片、ならびにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、少なくとも1つのポリペプチドの発現レベルを測定することをさらに含む、請求項1?3のいずれか1つに記載の方法。 【請求項7】 前記イヌ対象由来の生物学的流体試料中の、MCP1、IL8およびKC(いずれもそれらの少なくとも5つのアミノ酸を有する断片であってもよい)の発現レベルを測定することを含む、請求項1?3のいずれか1つに記載の方法。 【請求項8】 前記イヌ対象由来の生物学的流体試料中の、MCP1、IL8およびMMP1(いずれもそれらの少なくとも5つのアミノ酸を有する断片であってもよい)の発現レベルを測定することを含む、請求項1?3のいずれか1つに記載の方法。 【請求項9】 前記生物学的流体試料中の、MCP1、IL8、KCおよびMMP1(いずれもそれらの少なくとも5つのアミノ酸を有する断片であってもよい)の発現レベルを測定することをさらに含む、請求項1?3のいずれか1つに記載の方法。 【請求項10】 前記試料タンパク質発現プロファイルを、対照タンパク質発現プロファイルと比較することをさらに含み、前記試料タンパク質発現プロファイルと、前記対照タンパク質発現プロファイルとの間の差は、前記イヌ対象における変形性関節症の有無、程度、重篤性、型、または病期を示す、請求項1?3のいずれか1つに記載の方法。 【請求項11】 前記イヌ対象は、変形性関節症を有する危険性があるか、または有する疑いがある、請求項1?3のいずれか1つに記載の方法。 【請求項12】 前記生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルは、LUMINEX、ELISA、免疫測定法、質量分析法、高速液体クロマトグラフィ、二次元電気泳動法、qPCR、RT-PCR、核酸マイクロアレイ、インサイツハイブリッド形成、SAGE、ウエスタンブロット法、タンパク質マイクロアレイ、および抗体マイクロアレイから成る群から選択される方法を使用して測定される、請求項1?3のいずれか1つに記載の方法。 【請求項13】 前記生物学的流体試料中の前記OAポリペプチドの発現レベルは、DNA増幅、DNAメチル化/脱メチル化から成る群から選択される過程、および一塩基多型に起因するDNAの変化を検出することによって測定される、請求項1?3のいずれか1つに記載の方法。 【請求項14】 1)MCP1ポリペプチドに対する抗体;2)IL8ポリペプチドに対する抗体;および3)KCおよびMMP1から選ばれる少なくとも1つのポリペプチドに対する抗体(1)?3)の抗体は、いずれも該ペプチドの少なくとも5つのアミノ酸を有する断片に対する抗体であってもよい)を含む、イヌ対象の変形性関節症の診断用試薬。 【請求項15】 請求項14に記載の診断試薬を含む、キット。 【請求項16】 イヌ対象の変形性関節症を診断するためのキットであって、前記キットは、以下のOAポリペプチド:1)MCP1ポリペプチド;2)IL8ポリペプチド;および3)KCおよびMMP1から選ばれる少なくとも1つのポリペプチド(ここで、1)?3)のポリペプチドは、いずれも少なくとも5つのアミノ酸を有する任意の断片であってもよい)にそれぞれが特異的に結合する、OAバイオマーカー検出試薬、または前記OAポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の少なくとも一部にそれぞれが特異的に結合する、OAバイオマーカー検出試薬を含み、前記試薬の前記特異的結合は、イヌ対象由来の生物学的流体試料中のOAポリペプチドの発現レベルを示す、キット。 【請求項17】 1つのバイオマーカーの発現を特異的に検出する、それぞれの前記試薬は、前記OAポリペプチドの1つをコードするポリヌクレオチド配列の少なくとも一部に対して相補的な核酸プローブを含む、請求項16に記載のキット。 【請求項18】 前記核酸プローブは、cDNAであるか、またはオリゴヌクレオチドである、請求項17に記載のキット。 【請求項19】 前記少なくとも1つのOAバイオマーカー検出試薬は、基材表面に固定化される、請求項16に記載のキット。 【請求項20】 前記基材表面に配列される少なくとも3つのバイオマーカー検出試薬を含む、請求項19に記載のキット。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2017-08-28 |
結審通知日 | 2017-08-30 |
審決日 | 2017-09-12 |
出願番号 | 特願2012-556266(P2012-556266) |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(G01N)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 裕美 |
特許庁審判長 |
福島 浩司 |
特許庁審判官 |
松岡 智也 渡戸 正義 |
登録日 | 2016-02-05 |
登録番号 | 特許第5877799号(P5877799) |
発明の名称 | 変形性関節症のバイオマーカー |
代理人 | 鮫島 睦 |
代理人 | 森本 靖 |
代理人 | 鮫島 睦 |
代理人 | 森本 靖 |
代理人 | 新田 昌宏 |
代理人 | 新田 昌宏 |