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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1333519 |
審判番号 | 不服2015-21293 |
総通号数 | 216 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-12-01 |
確定日 | 2017-10-12 |
事件の表示 | 特願2011-547885「ビデオ符号化およびビデオ復号における変換の選択のための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 8月 5日国際公開、WO2010/087808、平成24年 7月19日国内公表、特表2012-516626〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、本願は、2009年(平成21年)10月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年1月27日、米国、2009年2月17日、米国)を国際出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。 手続補正 :平成24年10月16日 拒絶理由通知 :平成25年12月 6日(起案日) 手続補正 :平成26年 6月11日 拒絶理由通知(最後) :平成26年12月18日(起案日) 手続補正 :平成27年 6月24日 補正の却下の決定 :平成27年 7月27日 拒絶査定 :平成27年 7月27日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成27年12月 1日 手続補正 :平成27年12月 1日 前置審査報告 :平成28年 2月 9日 第2 平成27年12月1日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成27年12月1日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 本件補正は、補正前の平成26年6月11日付けの手続補正による特許請求の範囲の請求項1ないし11のうちの請求項9及び10を、本件補正による特許請求の範囲の請求項1及び2に補正するものであるところ、本件補正は、補正後の請求項1に係る次の補正事項を含むものである(アンダーラインは補正箇所)。 (補正前の請求項9) 「【請求項9】 装置であって、 ビデオ・シーケンスにおけるピクチャ内の少なくとも1つのブロックの復号を、対応するビデオ符号化器で当該ブロック毎に決定された2つ以上の異なる変換のセットに対応した2つ以上の異なる逆変換のセットから当該ブロックの量子化された係数に適用する逆変換を決定することによって行うビデオ復号器を備え、 (i)前記ブロックについて少なくとも1つのリファレンスを予測するために使用されるインター予測モードと、 (ii)動きベクトルに対応する1つ以上の値と、 (iii)1つ以上の既に符号化されている前記ビデオ・シーケンスにおける隣接するピクチャ間のブロックの残差の値と、 (iv)前記ブロックの予測データの値と、 (v)1つ以上の隣接する再構成されたブロックの1つ以上の逆変換選択と、 のうちの少なくとも1つに応じて前記逆変換が決定される、前記装置。」 とあるのを、 (補正後の請求項1) 「【請求項1】 装置であって、 ビデオ・シーケンスにおけるピクチャ内の少なくとも1つのブロックの復号を、対応するビデオ符号化器で当該ブロック毎に決定された2つ以上の異なる変換のセットに対応した2つ以上の異なる逆変換のセットから当該ブロックの量子化された係数に適用する逆変換を決定することによって行うビデオ復号器を備え、 (i)前記ブロックについて少なくとも1つのリファレンスを予測するために使用されるインター予測モードと、 (ii)動きベクトルの大きさおよび方向の少なくとも一部を表す1つ以上の値と、 (iii)1つ以上の既に符号化されている、前記ビデオ・シーケンスにおける隣接するピクチャ間のブロックの残差の値と、 (iv)前記ブロックの予測データの値と、 (v)1つ以上の隣接する再構成されたブロックの1つ以上の逆変換選択と、 のうちの少なくとも1つに応じて前記逆変換が決定され、 前記2つ以上の異なる変換のセットは、既に符号化されている1つ以上の前のピクチャから再構築されたビデオ・データからオンラインで導出される、前記装置。」 と補正する。 本件補正の請求項1に係る補正は、以下に示す補正事項を有している。 (1)補正事項1 補正前の請求項における「動きベクトルに対応する1つ以上の値」を、「動きベクトルの大きさおよび方向の少なくとも一部を表す1つ以上の値」とする補正。 (2)補正事項2 「前記2つ以上の異なる変換のセットは、既に符号化されている1つ以上の前のピクチャから再構築されたビデオ・データからオンラインで導出される」を追加する補正。 2.補正の適合性 (1)補正の目的 補正事項1は、平成26年12月18日付けの拒絶の理由において明りょうでない記載であると示された事項についての釈明を目的とするものであり、特許法第17条の2第5項第4号の規定に該当するものである。 補正事項2は、発明特定事項である「2つ以上の異なる変換のセット」について、「既に符号化されている1つ以上の前のピクチャから再構築されたビデオ・データからオンラインで導出される」ものであることを限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正といえ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は変わるものではなく同一であるといえるから、特許法第17条の2第5項第2号の規定に該当するものである。 (2)補正の範囲及び単一性について 補正事項1は、願書に最初に添付した明細書の段落0086の記載に基づくものであり、補正事項2は、同じく段落0078,0106の記載に基づくものである。 よって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものである。 また、各補正事項は、上記のように、明りょうでない記載の釈明、又は特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるから、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明とは発明の単一性の要件を満たすものといえ、本件補正は特許法第17条の2第4項の規定に適合するものである。 (3)独立特許要件 以上のように、本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものであるので、本件補正後の請求項1に記載された発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。 (3-1)本願補正発明 本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)は、次のとおりのものである。 なお、本願補正発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成(A)、構成(B)などと称する。 (本願補正発明) (A)装置であって、 (B)ビデオ・シーケンスにおけるピクチャ内の少なくとも1つのブロックの復号を、対応するビデオ符号化器で当該ブロック毎に決定された2つ以上の異なる変換のセットに対応した2つ以上の異なる逆変換のセットから当該ブロックの量子化された係数に適用する逆変換を決定することによって行うビデオ復号器を備え、 (C)(i)前記ブロックについて少なくとも1つのリファレンスを予測するために使用されるインター予測モードと、 (ii)動きベクトルの大きさおよび方向の少なくとも一部を表す1つ以上の値と、 (iii)1つ以上の既に符号化されている、前記ビデオ・シーケンスにおける隣接するピクチャ間のブロックの残差の値と、 (iv)前記ブロックの予測データの値と、 (v)1つ以上の隣接する再構成されたブロックの1つ以上の逆変換選択と、 のうちの少なくとも1つに応じて前記逆変換が決定され、 (D)前記2つ以上の異なる変換のセットは、既に符号化されている1つ以上の前のピクチャから再構築されたビデオ・データからオンラインで導出される、 (A)前記装置。 (3-2)引用文献の記載事項 ア.引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2003-204550号公報には、「動画像符号化装置および動画像復号装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、下線は強調のために当審で付したものである。 (ア)「【0002】 【従来の技術】図1は、例えば、国際標準ISO/IEC 13818-2(通称MPEG-2 ビデオパート)に示された従来の動画像符号化装置のブロック図である。10は符号化制御部、11は符号化モード判定部、12はDCT部、13は量子化部、14は逆量子化部、15は逆DCT部、16はビデオメモリ、17は動き補償部、18は動き検出部、19は可変長符号化部である。 【0003】次に動作について説明する。入力される動画像信号101は、後述する動き補償予測信号と差分がとられ、予測差分信号102が符号化モード判定部11に入力される。符号化モード判定部11では、入力動画像信号101を符号化処理するイントラ符号化モードか、予測差分信号102を符号化処理するインター符号化モードのいずれかを選択し、一方の信号を出力する。出力された信号は直交変換の一種であるDCTを用いて空間領域から周波数領域に変換される。変換係数は量子化部13で量子化され、量子化係数103が出力される。」 (イ)「【0006】図2は、図1が出力する符号化データを入力し、復号画像信号を得る動画像復号装置のブロック図である。80は可変長復号部、81は逆量子化部、82は逆DCT部、83はビデオメモリ、84は動き補償予測部である。 【0007】次に動作について説明する。入力される符号化データ151は可変長復号部80で可変長復号される。これは符号化器の可変長符号化部19の逆の動作を行うものである。復号された量子化係数152は逆量子化部81で逆量子化され、逆DCT部82で逆DCTされ、空間領域の信号に変換される。変換された信号が、インター符号化モードの場合には動きベクトル153を用いて動き補償予測された動き補償予測信号と加算され、復号画像信号154が得られる。復号画像信号154はビデオメモリ83に蓄積される。」 (ウ)「【0014】また、圧縮された符号化データから動画像信号を復号する動画像復号装置において、変換方式の異なる複数の逆変換部と、符号化データの一部の情報を使用して、前記複数の逆変換部の中からいずれか一つを選択する逆変換方式制御部と、を有することを特徴とする。」 (エ)「【0025】 【発明の実施の形態】実施の形態1.図3は、この発明の実施の形態1の画像符号化装置のブロック図である。図において、21は変換方式制御部、22は第一の変換部A、23は第二の変換部B、24は第一の逆変換部A、25は第二の逆変換部B、26,27はそれぞれ二つの変換部A22,B23、逆変換部A24,B25のいずれかを選択するためのスイッチである。他の構成要素は、図1に示す従来例と同じで、同じ番号のブロックは同じ機能であり、同じ動作を行う。 【0026】次に動作について説明する。変換方式制御部21は、符号化モード判定部11より出力される信号を空間領域から周波数領域に変換する処理として、2つ用意されている変換部A22と変換部B23のいずれかを用いて変換するように信号202を用いてスイッチ26を制御する。 (中略) 【0028】さらに、変換方式制御部21は、変換部A22と変換部B23のいずれを選択して符号化処理を行ったかを示すための変換方式選択フラグ201を可変長符号化部19に出力する。変換方式選択フラグ201は量子化係数103や動きベクトル104などの符号化データと共に符号化・多重化されて出力される。 【0029】次に、変換方式制御部21の制御方法について以下に説明する。本実施の形態1では、いずれの方式が選択されているかを示す変換方式選択フラグ201を符号化データとして出力するため、任意のタイミングまたは単位で変換方式を切り替えることが可能である。例えばMPEG-2ビデオのビットストリームシンタックスのような階層構造をもった形式の符号化データを出力する場合、シーケンスヘッダに変換方式選択フラグ201を多重すれば、シーケンス単位に変換方式を切り替えることが可能となる。同様にGOP(Group Of Picture)ヘッダに多重すればGOP単位に、ピクチャヘッダに多重すればピクチャ単位に、スライスヘッダに多重すればスライス単位に、マクロブロックタイプの一部に多重すればマクロブロック単位に変換方式を切り替えることが可能となる。 【0030】このような制御により、動画像のシーケンス、またはGOP、ピクチャ、スライス、マクロブロック等といった所定の単位ごとに変換方式を選択することが可能となり、画像信号の状態に応じた最適な符号化処理を行うことができる。」 (オ)「【0034】実施の形態2.図4は、この発明の実施の形態2の画像符号化装置のブロック図である。図において、変換方式制御部31は符号化制御部30からの信号に応じて動作する点が実施の形態1と異なる点である。これにより、実施の形態1では必要であった変換方式選択フラグ201の復号装置側への送信を不要、あるいは送信回数を減らしたことを特徴とする。 【0035】次に、本実施の形態2の符号化制御部30と変換方式制御部31の動作について詳しく説明する。変換方式制御部31は、符号化制御部30からの信号203に応じてスイッチ26,27の切替え動作を行う。このような符号化制御部30からの信号203に基づく変換方式制御部31の動作制御として、以下の場合が挙げられる。 (中略) 【0038】(2)符号化モード信号105に基づく制御 また、符号化制御部30は、符号化モード信号105の情報に応じて、イントラ符号化モードが選択されたときには変換方式Aを、インター符号化モードが選択された場合には変換方式Bを選択するように制御する信号203を変換方式制御部31に出力するようにしても良い。 【0039】このような制御により、符号化モードに応じた変換処理を選択することができるとともに、量子化パラメータ106の場合と同様に各種情報107に含まれる符号化モード信号105自体が変換方式選択フラグとしての役目を果たすので、(1)の量子化パラメータ106に基づく制御の場合と同様に変換方式制御部31から可変長符号化部19に対し変換方式選択フラグ201を出力する必要がなくなり、変換方式選択フラグ201に要する符号量を削減することができる。 (中略) 【0042】(4)動きベクトル104に基づく制御 また、符号化制御部30は、動き検出部18で検出された動きベクトル104に応じて変換方式制御部31を制御する信号203を変換方式制御部31に出力するようにしても良い。例えば、動きベクトル104の大きさが閾値以上の場合には変換方式Aを、閾値以下の場合には変換方式Bを選択する動作をとるように制御する。 【0043】このような制御により、動きの特性に応じた変換方式を選択することが可能となるため、より効率のよい符号化処理を行うことが可能となると共に、各種情報107の場合と同様に可変長符号化部19にて符号化される動きベクトル104自体が変換方式選択フラグとしての役目を果たすので、変換方式選択フラグ201に要する符号量を削減することができる。」 (カ)「【0061】実施の形態5.次に、上記実施の形態1および実施の形態2(実施の形態2の尚下記部分で説明した実施の形態1,2の組み合わせも含む。)により生成された符号化データを入力し復号する実施の形態5の動画像復号装置について説明する。 【0062】図7は、実施の形態5の動画像復号装置のブロック図である。図において、90は逆変換方式制御部、91は第1の逆変換部A、92は第2の逆変換部B、93は2つの逆変換部のいずれかを選択するためのスイッチである。他の構成要素は、図2に示す従来例と同じで、同じ番号のブロックは同じ機能であり、同じ動作を行う。 【0063】次に動作について説明する。可変長復号部80は、上記実施の形態1の動画像符号化装置により生成された符号化データ151を入力すると、それと共に変換方式選択フラグ155が送られてきている場合に変換方式選択フラグ155を復号して、逆変換方式制御部90へ出力する。 【0064】逆変換方式制御部90は、復号された変換方式選択フラグ155に基づき上記実施の形態1の動画像符号化装置における変換方式を認識して、上記実施の形態1の動画像符号化装置において採用された変換方式に対応する逆変換方式を選択するようスイッチ93に対し選択指令を出力する。 【0065】スイッチ93は、逆変換方式制御部90からの選択指令に応じて逆変換部A91,B92の一方の逆変換方式を選択する。すると、スイッチ93の切替動作に応じて、逆変換部A91もしくは逆変換部B92のいずれかに逆量子化部81にて逆量子化された変換係数信号が入力してそれぞれの変換方式で逆変換され、逆変換された変換係数信号が出力されることになる。 (中略) 【0067】なお、実施の形態2の動画像符号化装置から出力された符号化データを復号する場合には、変換方式選択フラグ155がなく、量子化パラメータを示す信号であったり、インター符号化モード/イントラ符号化モードを示す信号、動きベクトルデータ、インターモード/インター4vモードを示す信号が変換方式も示すので、符号化データ151の中に変換方式選択フラグ155が含まれていない場合には、入力した符号化データ151は実施の形態2の動画像符号化装置から出力された符号化データであると判断して、その符号化データ151に含まれるインター符号化モード/イントラ符号化モードを示す信号、動きベクトルデータ、インターモード/インター4vモードを示す信号を信号155として逆変換方式制御部90へ出力し、逆変換方式制御部90はこの信号155に基づき、スイッチ93の切替を制御するようにしても、同様にして画像信号を復号することが可能である。」 イ.引用文献3 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3である特開2002-314428号公報には、「信号符号化方法及び装置並びに復号方法及び装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、下線は強調のために当審で付したものである。 (ア)「【0054】次に、本発明の第二の実施の形態について説明する。 【0055】本実施の形態に係る画像符号化装置は、例えば、図11に示すように構成され、また、画像復号装置は、例えば、図12に示すように構成される。本実施の形態では、動き補償フレーム間予測により時間方向に存在する冗長度を削減し、動き補償予測の結果得られた該マクロブロックの予測画像の波形パターンを、主成分に該当する基底でうまく捉えられるようにDCT基底を変形させ、該変形基底を用いた変換符号化による情報圧縮を行う。あらかじめ画像の局所的な性質を考慮した変換基底を数種類用意しておき、予測画像のパターンに応じてそれらを切り替えて使用する。画像符号化装置側と画像復号装置側に同一の基底セットを設けておき、基底の切替情報としてID情報のみを送受信する。画像復号装置側ではID情報に基づいて基底を選択するだけであり、画像復号装置側での基底演算を必要としない。 (中略) 【0061】変換基底演算部218は、入力される予測画像206を直交変換適用領域(N×N画素ブロック、N=4、8など)に分割し、その単位で変形基底219を求め、適応変換部209に対して出力する。まず、図10に示すように、予測画像206の各直交変換適用領域に対し、水平・垂直方向の平均輝度分布x_(H)、x_(V)が求められる。これにより各領域の水平・垂直方向の主成分が反映された波形パターンが得られる(図10参照)。変換基底演算部218には、典型的な平均輝度分布ベクトルx_(H)、x_(V)のパターンを主軸に反映させたK種類の正規直交基底A_(i)(i=0,1,…,K-1)が用意され、x_(H)、x_(V)に対応していずれかの基底A_(i)が選択される。A_(i)として用意される基底(N=4)の例を図13乃至図19に示す。 (中略) 【0068】変換基底蓄積部251には、画像符号化装置側と同じ基底セットA_(i)(図13乃至図19参照)が格納されており、変換基底ID情報250に基づいて変換基底219が選択され、その選択された変換基底219が逆適応変換部216に送られる。逆適応変換部216は、選択された変換基底Aiの転置行列を用いて変換係数を逆変換して画像空間上の信号に戻す。復号画像217は所定の表示タイミングで表示デバイスへ出力され、映像が再生される。」 (イ)「【0083】更に、本発明の第四の実施の形態について説明する。 【0084】本実施の形態に係る画像符号化装置は、例えば、図24に示すように構成され、また、画像復号装置は、例えば、図25に示すように構成される。 【0085】本実施の形態では、前述した第二の実施の形態と同様に、基底セットA_(i)(i=0,1,…,K-1)を用いて変換基底を適応的に選択することによる変換符号化を行うのに加えて、その変換基底A_(i)を動的に更新する仕組みを備える。これにより、固定の基底セットで十分に対応できない画像パターンが現れた際に、さらに符号化効率を改善することができる。 (中略) 【0088】さらに、変換基底演算部418において、その時点での基底セットA_(i)に含まれない別の変換基底が生成された場合、その変換基底そのものもID情報450とともに可変長符号化部413を経て圧縮ストリーム414に多重され、伝送される。この際、伝送されるID情報450とは、同時に伝送される変換基底で置き換えられる基底のID情報を意味する。変換基底演算部418の処理は後述する。 (中略) 【0091】変換基底演算部418は、入力される予測画像406を直交変換適用領域(N×N画素ブロック、N=4、8など)に分割し、その単位で変形基底419を求め、適応変換部409に対して出力する。まず、予測画像406の各直交変換適用領域に対し、水平・垂直方向の平均輝度分布x_(H)、x_(V)を求める。これにより各領域の水平・垂直方向の主成分が反映された波形パターンが得られる(図10参照)。変換基底演算部418には、典型的な平均輝度分布ベクトルx_(H)、x_(V)のパターンを主軸に反映させたK種類の正規直交基底A_(i)(i=0,1,…,K-1)が用意され、x_(H)、x_(V)に対応していずれかの基底A_(i)が選択される。A_(i)として用意される基底(N=4)の例は、図13乃至図19に示すようなものがある。個々の例の説明は実施例2に詳しいので省略する。」 (3-3)引用文献に記載される発明及び技術 ア.引用文献1に記載される発明 引用文献1に記載された発明を以下に認定する。 (ア)実施の形態1 引用文献1の上記(3-2)ア(ア)、(エ)の記載によれば、引用文献1には、実施の形態1として、入力される動画像信号101を、動き補償予測信号との差分をとって予測差分信号102とし、その予測差分信号102を、2つ用意されている第一の変換部A22と第二の変換部B23のいずれかを用いて空間領域から周波数領域に変換し、変換係数を量子化して出力すると共に、変換部A22と変換部B23のいずれを選択して符号化処理を行ったかを示すための変換方式選択フラグ201を多重化して出力する動画像符号化装置が記載されている。 そして、動画像のシーケンス、またはGOP、ピクチャ、スライス、マクロブロック等といった所定の単位ごとに変換方式が選択される。 (イ)実施の形態2 引用文献1の上記(3-2)ア(オ)の記載によれば、引用文献1には、実施の形態1の変形例である実施の形態2として、変換方式選択フラグ201の復号装置側への送信を不要とするために、変換方式Aと変換方式Bの選択を、(1)イントラ符号化モードあるいはインター符号化モードの選択、(2)動きベクトル104の大きさ、などに応じて決定し、(1)符号化モード信号105、(2)動きベクトル104、などに変換方式選択フラグ201としての役目を果たさせるに動画像符号化装置が記載されている。 (ウ)実施の形態5 引用文献1の上記(3-2)ア(イ)、(ウ)、(カ)の記載によれば、引用文献1には、実施の形態1又は2の動画像符号化装置が生成する符号化データを入力し復号する動画像復号装置が記載されている。 当該動画像復号装置は、入力される符号化データ151を可変長復号部80で可変長復号し、復号された量子化係数152を逆量子化部81で逆量子化し、逆量子化された変換係数信号を、実施の形態2における変換方式を示す信号である、インター符号化モード/イントラ符号化モードを示す信号、動きベクトルデータなどに応じて、2つの第1の逆変換部A91又は第2の逆変換部B92のいずれかの逆変換方式を選択して、逆変換を行うものである。 ここで、選択される逆変換方式は、動画像符号化装置において採用された変換方式に対応するものであり、逆変換方式の選択は、上記(ア)の実施の形態1と同様に、動画像のシーケンス、またはGOP、ピクチャ、スライス、マクロブロック等といった所定の単位ごとに選択されるものである。 (エ)まとめ 上記(ウ)の実施の形態5の動画像符号化装置を引用発明として認定すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明) (a)動画像符号化装置が生成する符号化データを入力し復号する動画像復号装置であって、 (b)入力される符号化データを可変長復号部で可変長復号し、復号された量子化係数を逆量子化部で逆量子化し、逆量子化された変換係数信号を、2つの第1の逆変換部A又は第2の逆変換部Bのいずれかの逆変換方式を選択して、逆変換を行って復号するものであり、 (c)(i)インター符号化モード/イントラ符号化モードを示す信号、あるいは(ii)動きベクトルデータに応じて、マクロブロック単位で2つの逆変換方式のいずれかが選択され、選択される逆変換方式は、動画像符号化装置において採用された変換方式に対応するものである (a)動画像復号装置。 イ.引用文献3に記載される技術 上記(3-2)イ(ア)の記載によれば、引用文献3には、予測画像の局所的な性質を考慮したK種類の変換基底A_(i)(i=0,1,…,K-1)を用意して、予測画像のパターンに応じてそれらを切り替えて変換符号化を行う画像符号化装置及び画像復号装置が記載されており、さらに、上記(3-2)イ(イ)の記載によれば、予測画像に基づいて変換基底を生成し、その時点での基底セットA_(i)に含まれない別の変換基底が生成された場合、基底セットA_(i)(i=0,1,…,K-1)を動的に更新する仕組みを備える技術が記載されている。 すなわち、引用文献3には、『予測画像の局所的な性質を考慮したK種類の変換基底A_(i)(i=0,1,…,K-1)を用意し、それらを切り替えて変換符号化を行う画像符号化装置及び画像復号装置において、予測画像に基づいて変換基底を生成し、その時点での基底セットA_(i)に含まれない別の変換基底が生成された場合、基底セットA_(i)(i=0,1,…,K-1)を動的に更新する技術』が記載されている。 (3-4)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ア.本願補正発明の構成(A)と引用発明の構成(a)との対比 引用発明の「動画像復号装置」は、本願補正発明のビデオ復号器を備える「装置」に相当する。 イ.本願補正発明の構成(B)と引用発明の構成(b)との対比 引用発明の「入力される符号化データ」は、構成(a)にあるように「動画像符号化装置が生成する符号化データ」であるから、本願補正発明の「ビデオ・シーケンス」に相当する。 引用発明は、可変長復号部、逆量子化部、第1の逆変換部A、第2の逆変換部Bを備え、それらの処理部により復号を行うものであるから、それらの処理部は、本願補正発明の「ビデオ復号器」を構成するものといえる。 また、動画像の復号は、符号化データに含まれるピクチャ内のブロック単位に行われることは当該技術分野における技術常識である。 よって、引用発明は『ビデオ・シーケンスにおけるピクチャ内の少なくとも1つのブロックの復号を行うビデオ復号器』を備えているといえる。 引用発明は、「復号された量子化係数を逆量子化部で逆量子化し、逆量子化された変換係数信号を、2つの第1の逆変換部A又は第2の逆変換部Bのいずれかの逆変換方式を選択して、逆変換を行う」ものであり、構成(c)にあるように「選択される逆変換方式は、動画像符号化装置において採用された変換方式に対応するもの」である。 すなわち、引用発明は、復号における逆変換を、対応する「動画像符号化装置」で採用された「2つの第1の逆変換部A又は第2の逆変換部Bのいずれかの逆変換方式を選択して」行うものである。 ここで、「動画像符号化装置」は本願補正発明の「ビデオ符号化器」に相当し、「2つの第1の逆変換部A又は第2の逆変換部B」は、動画像符号化装置で採用された第1の逆変換部A又は第2の逆変換部Bに対応するものであって、本願補正発明の「2つ以上の異なる逆変換のセット」に相当するものである。そして、逆変換は復号単位であるブロック毎に行われるものである。 したがって、引用発明は『対応するビデオ復号器で当該ブロック毎に決定された2つ以上の異なる変換のセットに対応した2つ以上の異なる逆変換のセットから当該ブロックの量子化された係数に適用する逆変換を決定することによって』復号を行うものといえる。 以上のことから、引用発明の構成(b)は、本願補正発明の構成(B)と相違しない。 ウ.本願補正発明の構成(C)と引用発明の構成(c)との対比 引用発明は、「(i)インター符号化モード/イントラ符号化モードを示す信号、あるいは(ii)動きベクトルデータに応じて、マクロブロック単位で2つの逆変換方式のいずれか」が選択されるものである。 ここで、「(i)インター符号化モード/イントラ符号化モードを示す信号」は、インター符号化モードであるか否かを示す信号であり、「インター符号化モード」は、ブロックについて1つのリファレンスを予測するために使用されることは当該技術分野における技術常識であるから、本願補正発明の「(i)前記ブロックについて少なくとも1つのリファレンスを予測するために使用されるインター予測モード」に対応する。 また、「(ii)動きベクトルデータ」は、動きベクトルの大きさ及び方向を表す値であることは当該技術分野における技術常識であるから、本願補正発明の「動きベクトルの大きさおよび方向の少なくとも一部を表す1つ以上の値」に対応する。 そうすると、引用発明は、本願補正発明の択一的表現がされている構成のうちの「(i)前記ブロックについて少なくとも1つのリファレンスを予測するために使用されるインター予測モード」と、「(ii)動きベクトルの大きさおよび方向の少なくとも一部を表す1つ以上の値」の「少なくとも1つに応じて前記逆変換が決定され」るものであるから、引用発明の構成(c)は、本願補正発明の構成(C)と相違しない。 エ.本願補正発明の構成(D)について 引用発明は「2つの第1の逆変換部A又は第2の逆変換部B」、すなわち、「2つ以上の異なる逆変換のセット」をどのようにして導出するか特定されていないため、本願補正発明の構成(D)を備えていない点で相違する。 オ.まとめ 上記アないしエの対比結果をまとめると、本願補正発明と引用発明との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。 [一致点] 装置であって、 ビデオ・シーケンスにおけるピクチャ内の少なくとも1つのブロックの復号を、対応するビデオ符号化器で当該ブロック毎に決定された2つ以上の異なる変換のセットに対応した2つ以上の異なる逆変換のセットから当該ブロックの量子化された係数に適用する逆変換を決定することによって行うビデオ復号器を備え、 (i)前記ブロックについて少なくとも1つのリファレンスを予測するために使用されるインター予測モードと、 (ii)動きベクトルの大きさおよび方向の少なくとも一部を表す1つ以上の値と、 (iii)1つ以上の既に符号化されている、前記ビデオ・シーケンスにおける隣接するピクチャ間のブロックの残差の値と、 (iv)前記ブロックの予測データの値と、 (v)1つ以上の隣接する再構成されたブロックの1つ以上の逆変換選択と、 のうちの少なくとも1つに応じて前記逆変換が決定される、前記装置。 [相違点] 引用発明は、本願補正発明の「前記2つ以上の異なる変換のセットは、既に符号化されている1つ以上の前のピクチャから再構築されたビデオ・データからオンラインで導出される」という構成を備えていない点。 (3-5)相違点の判断 上記(3-3)イに示したように、引用文献3には、『予測画像の局所的な性質を考慮したK種類の変換基底A_(i)(i=0,1,…,K-1)を用意し、それらを切り替えて変換符号化を行う画像符号化装置及び画像復号装置において、予測画像に基づいて変換基底を生成し、その時点での基底セットA_(i)に含まれない別の変換基底が生成された場合、基底セットA_(i)(i=0,1,…,K-1)を動的に更新する技術』が記載されている。 このように、画像符号化装置及び画像復号装置において、変換符号化を行うために複数種類用意した変換基底のセットを、予測画像に基づいて動的に更新する技術が、引用文献3に記載され公知である。 ここで、予測画像とは、既に符号化されている時間的に前の再構築されたピクチャである。 また、変換基底のセットを予測画像に基づいて動的に更新するということは、画像の符号化及び復号を行っている最中、つまりオンラインで変換基底のセットを導出することである。 そうすると、引用発明において、引用発明と同様の複数の変換方式から1つを選択して逆変換を行う画像復号装置における上記公知技術を適用し、変換のセットを、既に符号化されている時間的に前の再構築されたピクチャに基づいてオンラインで導出するように構成し、相違点に係る「前記2つ以上の異なる変換のセットは、既に符号化されている1つ以上の前のピクチャから再構築されたビデオ・データからオンラインで導出される」構成を採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。 (3-6)効果等について 本願補正発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願補正発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものではない。 (3-7)まとめ 以上のように、本願補正発明は、引用文献1に記載された発明、及び引用文献3に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成27年12月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成26年6月11日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載した事項により特定されるものであるところ、その請求項9に記載された発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1に示した(補正前の請求項9)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2.引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1、並びに、その記載事項は、上記第2の2(3-2)アに示したとおりであり、引用文献1に記載された発明(引用発明)は、上記第2の2(3-3)アに認定したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記第2の1(2)及び2(1)で摘示した本願補正発明に追加された限定事項(補正事項2)を省いたものである。 そうすると、上記第2の2(3-4)の「対比」における検討を援用すると、本願発明の特定事項は引用発明と全て一致するものであるから、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項9に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-05-12 |
結審通知日 | 2017-05-17 |
審決日 | 2017-06-01 |
出願番号 | 特願2011-547885(P2011-547885) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
P 1 8・ 113- Z (H04N) P 1 8・ 575- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 後藤 嘉宏、山▲崎▼ 雄介、梅本 達雄 |
特許庁審判長 |
藤井 浩 |
特許庁審判官 |
清水 正一 篠原 功一 |
発明の名称 | ビデオ符号化およびビデオ復号における変換の選択のための方法および装置 |
代理人 | 倉持 誠 |
代理人 | 吹田 礼子 |