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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
管理番号 1333755
審判番号 不服2016-16329  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-01 
確定日 2017-10-19 
事件の表示 特願2012-106817「ローラーの最表面用組成物、並びにそれを用いたローラーの最表面用部材及びローラー」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月21日出願公開、特開2013-235103〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年5月8日の出願であって、平成28年6月10日付けで手続補正がなされ、同年7月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月1日付けで拒絶査定に対する不服審判請求がなされると同時に、手続補正がなされ、その後、当審において、平成29年4月19日付けで拒絶の理由を通知したところ、これに対し、同年6月23日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。


第2 本願発明
本願発明は、平成29年6月23日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲及び明細書の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
フッ素樹脂を93?97重量%、平均粒子径1.0?5μmの無機粒子を3?7重量%含有し、無機粒子がシリカである、ローラーの最表面用粉体塗料。
【請求項2】
前記フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン-クロロテトラフルオロエチレン共重合体(ECTFE)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のローラーの最表面用粉体塗料。
【請求項3】
前記ローラーが、乾燥ローラー、塗布ローラー、転写ローラー、貼り合わせローラー、しわ取りローラー、圧着ローラー、ガイドローラー、サイディング材に模様を付すためのローラー、製紙ローラー又は印刷ローラーである、請求項1又は2に記載のローラーの最表面用粉体塗料。
【請求項4】
請求項1?3のいずれかに記載のローラーの最表面用粉体塗料を用いたコーティング膜からなる、ローラーの最表面用部材。
【請求項5】
前記コーティング膜の厚みが40μm以上である、請求項4に記載のローラーの最表面用部材。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のローラーの最表面用部材を最表面に備える、ローラー。
【請求項7】
ローラー表面上に、プライマー層及び前記ローラーの最表面用部材を順に備える、請求項6に記載のローラー。」(以下、請求項1乃至請求項7にかかる各発明を、それぞれ、「本願発明1」乃至「本願発明7」といい、これらを総称して「本願発明」という。)


第3 引用刊行物
1.引用刊行物の記載
(1)引用刊行物1
当審の拒絶の理由に引用し、本願の出願日前である昭和60年7月1日に頒布された刊行物である特開昭60-122976号公報(以下「引用刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「2.特許請求の範囲
(1) 表面にオフセツト防止層を有する、電子写真複写機の加熱圧力定着装置の加熱定着ローラにおいて、上記オフセット防止層が含フツ素樹脂粉末の粒子内あるいは粒子内外に、耐摩耗性及び熱伝導性の優れた充填材粉末を分散したものを粉体塗装し融着して形成されたことを特徴とする加熱定着ローラ。

(3) 前記の充填材が炭化ケイ素であることを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第2項に記載の加熱定着ローラ。
(4) 前記の炭化ケイ素がフツ素樹脂に1乃至20重量%含まれることを特徴とする特許請求の範囲第3項に記載の加熱定着ローラ。
(5) 前記の炭化ケイ素の平均粒径が0.1?1μであることを特徴とする特許請求の範囲第3項又は第4項に記載の加熱定着ローラ。」(1頁左欄4行?右欄4行)
イ 「技術分野
本発明は、表面にオフセット防止層を有する、電子写真複写機の加熱圧力定着装置の加熱定着ローラに関する。」(1頁14?17行)
ウ 「本発明の加熱定着ローラは、ローラの表面の表面のオフセット防止層を、含フツ素樹脂粉末の粒子内あるいは粒子内外に充てん材粉末を均一に分散させた粒子を粉体塗装によりローラ表面に付着させ、加熱融着させて、充てん材を含フツ素樹脂層に分散させることにより形成されたことを特徴とする。
本発明で使用される含フツ素樹脂は、テトラフルオロエチレンと、次式で示されるパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体(PFA)が最も適している。
F(CF_(2))_(n)-O-CF=CF_(2) (nは1?8)
又、本発明で使用される充てん材としては、炭化ケイ素(シリコンカーバイト)の平均粒径0.1?1μのものが好ましい。充てん材としては、この他、前述の各種の無機粉末を使用することが可能であるが、硬度及び耐摩耗性の点で炭化ケイ素が最も優れている。充てん材は、平均粒径が1μを超えるものも使用できないことはないが、樹脂粒子外に存在する場合、塗装工程において分離し易い他、被覆面の平滑度が低下し、非粘着性に悪影響を及ぼすため好ましくない。平均粒径が0.1μ未満の場合は、耐摩耗性や熱伝導性の向上が十分でなく、又溶融樹脂の見掛粘度が増大して、平滑な被覆が得難くなる。充填材粉末の添加割合は樹脂粉末と充填材粉末との合計量を基準にして1?20重量%であることが好ましく、20重量%を越える場合は、焼き付けの際、樹脂粒子相互の融着に悪影響を及ぼし、欠陥のない平滑な被覆が得難く、被覆表面の非粘着性も低下する。1重量%未満の場合は耐摩耗性や熱伝導性の向上が十分でない。」(3頁右上欄16行?右下欄7行)

上記ア乃至ウの記載から、引用刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「表面にオフセツト防止層を有する、電子写真複写機の加熱圧力定着装置の加熱定着ローラにおいて、上記オフセット防止層が含フツ素樹脂粉末の粒子内あるいは粒子内外に、耐摩耗性及び熱伝導性の優れた充填材粉末を分散したものを粉体塗装し融着して形成され、
前記の充填材が炭化ケイ素であり、
前記の炭化ケイ素がフツ素樹脂に1乃至20重量%含まれ、
前記の炭化ケイ素の平均粒径が0.1?1μである、加熱定着ローラ。」

(2)引用刊行物2
当審の拒絶の理由に引用し、本願の出願日前である平成13年10月26日に頒布された刊行物である特開2001-296763号公報(以下「引用刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トナー等に対する非粘着性や、撥水性、撥油性に優れた電子写真用の定着部品に関する。また本発明は、未定着トナー像を形成した記録シート等の画像支持体に、熱と圧力とを同時に作用させてトナー像を定着させる、加熱加圧型の定着装置に関する。」
イ 「【0018】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、フッ素樹脂を最外層とする電子写真用定着部品(定着ロール)の問題点であった用紙剥離性を改善すべく、優れた弾性を有するフッ素樹脂層(離型層)を形成した電子写真用定着部品、および定着装置を提供することにある。また他の目的は、適当な溶剤に溶け、コーティング可能でかつ耐熱性のあるフッ素樹脂を用いた離型層を形成した電子写真用定着部品、および定着装置を提供することにある。」
ウ 「【0079】〔弾性体層〕本発明の電子写真用定着部品は、上記基体上に、前記離型層を形成することにより得られるが、基体上に弾性体層として、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂等を形成した後に前記離型層を形成することが、離型性向上の観点より好ましい。
【0080】弾性体層として形成するシリコーンゴム、フッ素ゴムは、汎用のものが使用できる。例えばシリコーンゴムとしては、ビニルメチルシリコーンゴム、メチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が利用できる。またフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフロロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フロロポリエーテル、およびその他のフッ素ゴムが利用できる。これらは、それぞれ単独でもまたは2種以上組み合せてもよい。
【0081】そしてこれら弾性体層として形成するシリコーンゴム、フッ素ゴムには、無機あるいは有機の各種充填剤が利用できる。無機充填剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また有機充填剤としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルフィド等が利用できる。このほか特殊な弾性体として、フッ素樹脂としてPTFE、PFAも利用できる。
【0082】弾性体層に用いるこれら弾性体としては、反発弾性として比較的高いものがよく、40%以上、好ましくは50%以上のものが有効であり、かかる反発弾性の観点よりシリコーンゴムが最も好ましい。」

(3)引用刊行物3
当審の拒絶の理由に引用し、本願の出願日前である平成12年9月22日に頒布された刊行物である特開2000-259022号公報(以下「引用刊行物3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トナー等に対する非粘着性や、撥水性、撥油性に優れた電子写真用の定着部品に関する。また本発明は、未定着トナー像を形成した記録シートに、熱と圧力とを同時に作用させてトナー像を定着させる、加熱加圧型の定着装置に関する。」
イ 「【0016】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、適当な溶剤に溶け、コーティング可能でかつ耐熱性のあるフッ素樹脂を用いた離型層を形成した電子写真用定着部品、および定着装置を提供することにある。また他の目的は、フッ素樹脂を最外層とする電子写真用定着部品(定着ロール)の問題点であった用紙剥離性を改善すべく、優れた弾性を有するフッ素樹脂層(離型層)を形成した電子写真用定着部品、および定着装置を提供することにある。」
ウ 「【0089】〔弾性体層〕本発明の電子写真用定着部品は、上記基体上に、前記離型層を形成することにより得られるが、基体上に弾性体層として、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂等を形成した後に前記離型層を形成することが、離型性向上の観点より好ましい。
【0090】弾性体層として形成するシリコーンゴム、フッ素ゴムは、汎用のものが使用できる。例えばシリコーンゴムとしては、ビニルメチルシリコーンゴム、メチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が利用できる。またフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフロロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フロロポリエーテル、およびその他のフッ素ゴムが利用できる。これらは、それぞれ単独でもまたは2種以上組み合せてもよい。
【0091】そしてこれら弾性体層として形成するシリコーンゴム、フッ素ゴムには、無機あるいは有機の各種充填剤が利用できる。無機充填剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また有機充填剤としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルフィド等が利用できる。このほか特殊な弾性体として、フッ素樹脂としてPTFE、PFAも利用できる。
【0092】弾性体層に用いるこれら弾性体としては、反発弾性として比較的高いものがよく、40%以上、好ましくは50%以上のものが有効であり、かかる反発弾性の観点よりシリコーンゴムが最も好ましい。」


第4 対比
そこで、本願発明1と引用発明とを対比すると、
1.後者の「フツ素樹脂」、及び「加熱定着ローラ」は、それぞれ、前者の「フッ素樹脂」、及び「ローラー」に相当する。
2.後者の「含フツ素樹脂粉末の粒子内あるいは粒子内外に、耐摩耗性及び熱伝導性の優れた充填材粉末を分散したもの」は、粉体塗装し融着して、加熱定着ローラの表面のオフセット防止層を形成するものであるから、「ローラーの最表面用粉体塗料」といえる。
3.後者の「充填剤粉末である炭化ケイ素」は、無機粒子であるから、前者の「無機粒子」に相当する。そして、両者は、平均粒子径が1.0μmで、3?7重量%含有している点で共通する。
4.後者の「フツ素樹脂」の充填剤としての炭化ケイ素は、1乃至20重量%含まれていて、「フツ素樹脂」は、80乃至99重量%含まれていることが明らかであるから、前者の「フッ素樹脂」と「93?97重量%」含有している点で共通する。

したがって、両者は、
「フッ素樹脂を93?97重量%、平均粒子径1.0μmの無機粒子を3?7重量%含有している、ローラーの最表面用粉体塗料。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明1が、平均粒子径「1.0?5μm」の無機粒子であるのに対して、引用発明1は、平均粒径が0.1?1μの炭化ケイ素である点。
[相違点2]
本願発明1が、無機粒子が「シリカ」であるのに対して、引用発明1は、「炭化ケイ素」である点。


第5 判断
上記各相違点について検討する。
1.[相違点1]について
上記2.(3)に記載したように、後者の「炭化ケイ素」は、無機粒子であって、前者の「無機粒子」と後者の「炭化ケイ素」は、平均粒子径が1.0μmである点で共通するから、相違点1は実質的な相違点ではない。
また、平均粒子径が「1.0?5μm」であることについて、補足的に検討する。
本願明細書をみても、「本発明で使用する無機粒子の平均粒子径は、0.1?5μm、好ましくは0.5?3μmである。無機粒子の平均粒子径が0.1μm未満では、無機粒子同士の凝集が起こりやすく、フッ素樹脂との均一な混合(分散)が不十分となる。また、無機粒子の平均粒子径が5μmをこえると、最表面用組成物の最表面が平滑になりにくくなったり、最表面用組成物から無機微粒子が脱離しやすくなったりする。」(【0013】参照。)と記載されているだけであって、平均粒子径を「1.0?5μm」という範囲とすることによる格別の臨界的意義は示されていないから、引用発明1において、平均粒子径を「1.0?5μm」とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

したがって、相違点1は実質的な相違点ではないか、引用発明1において、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

2.[相違点2]について
電子写真用定着部品であるフッ素樹脂からなるロールの充填剤としてのシリカを用いることは、上記「第3 1.(2)ウ」及び「第3 1.(3)ウ」にあるように、当該技術分野において周知の技術手段である。(以下「周知の技術手段」という。)
また、本願明細書をみても、「無機粒子としては、特に制限されるわけではないが、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化鉄等が挙げられる。無機粒子は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。」(【0015】参照。)と記載されているだけであって、「シリカ」を採用することによる格別な技術的意義は認められない。
そうすると、引用発明1に、上記周知の技術手段を適用し、無機粒子を「シリカ」とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明1において、上記周知の技術手段を適用することにより、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本願発明1の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明1及び上記周知の技術手段から、当業者が予測しうる範囲内のものである。

よって、本願発明1は、引用発明1及び上記周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが出来ない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明1及び上記周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-17 
結審通知日 2017-08-22 
審決日 2017-09-04 
出願番号 特願2012-106817(P2012-106817)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中澤 俊彦  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
吉村 尚
発明の名称 ローラーの最表面用組成物、並びにそれを用いたローラーの最表面用部材及びローラー  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
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