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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1333846 |
審判番号 | 不服2017-1276 |
総通号数 | 216 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-01-30 |
確定日 | 2017-11-14 |
事件の表示 | 特願2013-205657「投票システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月13日出願公開,特開2015- 69589,請求項の数(3)〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成25年9月30日の出願であって,平成28年4月19日付けで拒絶理由通知がなされ,同年6月22日付けで手続補正がなされたが,同年11月1日付けで拒絶査定(原査定)がなされ,これに対し,平成29年1月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年11月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 請求項1-4に係る発明は,引用文献1-2に記載された発明及び引用文献3-6に記載された周知技術に基づいて,当業者であれば容易になし得たものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2009-237682号公報 2.特開2003-77023号公報 3.特開2009-70267号公報 4.特開2011-154615号公報 5.特開2004-64656号公報 6.特開2003-123147号公報 第3 本願発明 本願請求項1-3に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は,平成29年1月30日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される以下の発明である。 「 【請求項1】 投票者を識別する識別情報と,前記投票者の投票内容を表す投票情報とを含む情報を示す識別コードを表示する携帯端末と, 前記識別情報及び前記投票情報を格納する投票受付情報格納部と,前記携帯端末に表示されている前記識別コードを読み取るコード読取部と,読み取った前記識別コードに基づき前記識別情報及び前記投票情報を取得して,前記投票受付情報格納部に格納させる投票情報取得部と,前記識別情報及び前記投票情報を送信する投票情報送信部と,前記投票情報に基づく投票券の発券実行通知を受信すると前記投票受付情報格納部に格納されている前記投票情報に基づき前記投票券を発券する発券部とを有する投票装置と, 前記投票装置から送信された前記識別情報及び前記投票情報を受け付ける投票情報受付部と,受け付けた前記識別情報ごとに前記投票情報を格納する投票情報格納部と,前記投票情報格納部に前記投票情報が格納されると前記投票券を発券させる前記発券実行通知を前記投票装置に送信する発券実行部と,前記投票情報格納部が格納する前記投票情報に基づき投票金額に応じたポイント数を算出し,前記投票情報格納部に前記識別情報ごとに前記ポイント数を格納させる金額ポイント算出部とを有する投票管理サーバと, 前記携帯端末から前記投票者の個人情報を受け付ける個人情報受付部と,受け付けた前記個人情報に前記識別情報を対応付けて格納する個人情報格納部と,前記識別情報を前記携帯端末に発行する識別情報発行部とを有する識別情報管理サーバと, を備えることを特徴とする投票システム。 【請求項2】 前記識別情報管理サーバは,前記投票管理サーバから前記識別情報に対応する前記個人情報の送信要求を受信すると,前記個人情報格納部を参照して,前記送信要求があった前記識別情報に対応する前記個人情報を前記投票管理サーバに送信する個人情報通知処理部を有し, 前記投票管理サーバは,前記送信要求を前記識別情報管理サーバに送信し,前記識別情報管理サーバから,前記送信要求を行った前記識別情報に対応する前記個人情報を受信すると,前記投票情報格納部に前記個人情報を格納させる個人情報追加処理部を有する, ことを特徴とする請求項1記載の投票システム。 【請求項3】 前記識別コードは,一次元コードまたは二次元コードであることを特徴とする請求項1または2に記載の投票システム。」 第4 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(特開2009-237682号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。 ア.「【0007】 図1は実施例1の投票処理システムを示すブロック図である。 なお,本実施例においては勝馬投票券の代わりに,顧客の携帯電話に勝馬投票券の馬券情報を示す2次元バーコード(識別情報)を格納する場合を例に説明する。」 イ.「【0008】 ・・・(中略)・・・ 2は発券端末(投票処理端末)であり,競馬場や場外馬券売り場等の投票場に設置されて勝馬投票券を発券する他,的中した勝馬投票券を挿入させることによって,その勝馬投票券の配当金の払戻しを行う機能を有し,通信部10によって専用回線等の通信回線を介して決済サーバ20(上位装置)と通信可能に接続する。 【0009】 ・・・(中略)・・・ 4は読取部であり,2次元バーコードを読取るための読取面を備え,読取面に向かってかざされた2次元バーコードをイメージデータとして読取る機能を有する。」 ウ.「【0018】 携帯電話1は,入力された馬券情報と上記アプリケーションを取得した際に受信したダウンロード番号,携帯識別番号を含んだ2次元バーコードを作成して,その2次元バーコードにスクランブルをかけ,その2次元バーコードと入力されたパスワードとを関連づけて記憶する。 S1,発券端末2の端末制御部5は,顧客がタッチパネルで携帯電話1を用いた2次元バーコードで勝馬投票券を購入するための入力操作を行うと,携帯電話1の画面に2次元バーコードを表示するように促す画面と共に,その2次元バーコードを読取部4に向けてかざすように促す旨の案内,2次元バーコードにかけられているスクランブルを解除するためのパスワードの入力を促す画面,パスワード入力欄,入力のためのテンキー等を配したバーコード入力画面を表示操作部3に表示する。 【0019】 S2,顧客がバーコード入力画面に従って2次元バーコードを読取部4にかざし,さらにパスワードを入力すると,端末制御部5は,入力されたパスワードを端末記憶部6に記憶すると共に,読取部4によって2次元バーコードのイメージデータを読取って,その2次元バーコードのイメージデータを端末記憶部6に記憶する。 S3,端末制御部5は,端末記憶部6から2次元バーコードのイメージデータとパスワードを読み出し,読み出した2次元バーコードのイメージデータとパスワードとを付した携帯馬券購入情報を決済サーバ20に送信する。 【0020】 S4,決済サーバ20は,項番を採番し,図示しない時計機能によって現在日時を認識しておき,受信した携帯馬券購入情報に付与されたパスワードをもとに受信した2次元バーコードのイメージデータにかけられたスクランブルを解除し,2次元バーコードのイメージデータから馬券情報とダウンロード番号,携帯識別番号を認識して取得すると共に,その馬券情報,ダウンロード番号,携帯識別番号,さらに項番と現在日時等の各種情報を関連づけるようにしてデータベース22に格納する。 【0021】 その際に,決済サーバ20はダウンロード番号をもとに投票アプリ番号を,携帯識別番号をもとに購入管理親番号を,馬券情報の各投票番号の投票金額をもとに購入金額を定めて,それらをデータベース22に格納している。 S5,決済サーバ20は,データベース22に格納した購入金額を付した金額確定電文を発券端末2に送信する。 【0022】 S6,端末制御部5は,受信した購入金額を表示して顧客に現金を投入するように促す旨の支払い画面を表示操作部3に表示し,顧客によって表示した購入金額分の現金が投入されると,支払済み通知を決済サーバ20に送信する。 これによって,決済サーバ20は,当該顧客の勝馬投票券の購入処理が完了したことを認識し,購入処理が完了したことをデータベース22に記憶する。」 エ.「【0024】 顧客は発券端末2にて配当金の受け取りのための入力操作を行う。 S7,発券端末2の端末制御部5は,読取部4に向かって携帯電話1に表示されている2次元バーコードをかざすように促す画面とパスワードの入力を促す文言,パスワード入力欄,入力のためのテンキー等を配した配当金支払用画面を表示操作部3に表示する。 顧客は配当金支払用画面に従って,上記ステップS1で携帯電話1に表示した2次元バーコードと同一の2次元バーコードを携帯電話1に表示させ,その2次元バーコードを読取部4にかざすと共にパスワードの入力を行う。なお,この時入力するパスワードは2次元バーコードのスクランブルを解除するためのパスワードである。 【0025】 S8,端末制御部5は,読取部4によって携帯電話1の表示画面に表示された2次元バーコードのイメージデータを読取り,顧客によって入力されたパスワードと読取った2次元バーコードのイメージデータとを付した払戻し確認依頼を決済サーバ20に送信する。 S9,決済サーバ20は,受信したパスワードをもとに受信した2次元バーコードのイメージデータにかけられているスクランブルを解除し,その2次元バーコードのイメージデータから各種情報(馬券情報,ダウンロード番号,携帯識別番号)を認識して取得する。 【0026】 S10,決済サーバ20は,取得した馬券情報とダウンロード番号,携帯識別番号,パスワードをもとにデータベース22に格納している登録顧客データとの照合を行う。 この時の照合においては,例えば認識したダウンロード番号による投票アプリ番号によってデータベース22を検索し,該当する登録顧客データを読み出し,読み出した登録顧客データの馬券情報と認識した馬券情報の照合と,登録顧客データのパスワードと認識したパスワードの照合をそれぞれ行うことで登録顧客データの照合を行う。 【0027】 S11,決済サーバ20は,照合の際にデータベース22から読み出した当該顧客の登録顧客データの投票データから的中した投票番号とその投票金額を認識し,その投票番号と投票金額に応じた払戻し額を,格納している配当金の情報から算出し,算出した払戻し額を発券端末2に送信する。 また決済サーバ20は,当該顧客の登録顧客データの受取状態を受取済みとしてデータベース22の内容を更新するようにする。 【0028】 S12,端末制御部5は,受信した払戻し額に従って顧客に対して現金の払戻しを行って払戻し処理を終了する。 以上説明したように,本実施例では,発券端末は顧客の携帯電話に表示された馬券情報を示す2次元バーコードのイメージデータを読取って決済サーバに送信することで,決済サーバのデータベースに馬券情報の内容を格納させておき,レース結果が確定し当該顧客が的中していた場合に,発券端末は当該顧客の携帯電話から2次元バーコードのイメージデータを再度読取ってそれを決済サーバに送信し,決済サーバは受信した2次元バーコードの馬券情報と一致する馬券情報をデータベースに格納していることを確認して,的中した内容に応じた払戻し額を発券端末に送信し,発券端末は顧客に払戻しを行うため,紙媒体を利用することが無くなり資源の無駄を減らすことができる。」 前記ア.?エ.によれば,引用文献1には,次の発明(以下,「引用文献1発明」という。)が記載されている。 <引用文献1発明> 「勝馬投票券の代わりに,顧客の携帯電話に勝馬投票券の馬券情報を示す2次元バーコードを格納する投票処理システムであって(【0007】), 携帯電話1は,入力された馬券情報と,アプリケーションを取得した際に受信したダウンロード番号と,携帯識別番号を含んだ2次元バーコードを作成し(【0018】), 発券端末2は,投票場に設置されて勝馬投票券を発券する他,的中した勝馬投票券を挿入させることによって,その勝馬投票券の配当金の払戻しを行う機能を有し(【0008】),顧客が携帯電話1を用いた2次元バーコードで勝馬投票券を購入するための入力操作を行うと,携帯電話1の画面に2次元バーコードを表示するように促す画面と共に,その2次元バーコードを読取部4に向けてかざすように促す旨の案内を配したバーコード入力画面を表示操作部3に表示し(S1,【0018】), 発券端末2は,読取部4にかざされた2次元バーコードのイメージデータを読取り,その2次元バーコードのイメージデータを端末記憶部6に記憶し(S2,【0019】), 発券端末2は,2次元バーコードのイメージデータを付した携帯馬券購入情報を決済サーバ20に送信し(S3,【0019】), 決済サーバ20は,受信した2次元バーコードのイメージデータから馬券情報とダウンロード番号,携帯識別番号を認識して取得すると共に,その馬券情報,ダウンロード番号,携帯識別番号を関連づけるようにしてデータベース22に格納し(S4,【0020】), 決済サーバ20は,購入金額を付した金額確定電文を発券端末2に送信し(S5,【0021】), 発券端末2は,受信した購入金額を表示して顧客に現金を投入するように促す旨の支払い画面を表示操作部3に表示し,顧客によって表示した購入金額分の現金が投入されると,支払済み通知を決済サーバ20に送信し(S6,【0022】), 発券端末2は,配当金の受け取りのための入力操作が行われると,読取部4に向かって携帯電話1に表示されている2次元バーコードをかざすように促す配当金支払用画面を表示操作部3に表示し,当該2次元バーコードは,勝馬投票券を購入する際に表示した2次元バーコードと同一であり(S7,【0024】), 発券端末2は,読取部4によって携帯電話1の表示画面に表示された2次元バーコードのイメージデータを読取り,読取った2次元バーコードのイメージデータを付した払戻し確認依頼を決済サーバ20に送信し(S8,【0025】), 決済サーバ20は,受信した2次元バーコードのイメージデータから馬券情報,ダウンロード番号,携帯識別番号を認識して取得し(S9,【0025】), 決済サーバ20は,取得した馬券情報とダウンロード番号,携帯識別番号をデータベース22に格納している登録顧客データと照合し(S10,【0026】), 決済サーバ20は,照合の際にデータベース22から読み出した当該顧客の投票データから的中した投票番号とその投票金額を認識し,その投票番号と投票金額に応じた払戻し額を,格納している配当金の情報から算出し,算出した払戻し額を発券端末2に送信し(S11,【0027】), 発券端末2は,受信した払戻し額に従って顧客に対して現金の払戻しを行い(S12,【0028】),顧客に払戻しを行うために紙媒体を利用することが無く,資源の無駄を減らすことができる(【0028】), 投票処理システム。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2(特開2003-77023号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。 ア.「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は公営競技等における投票システムに関する。」 イ.「【0021】ファンは携帯電話3にダウンロードした投票用テンプレートを使い,携帯電話3の表示画面において投票内容を記入する(図2の)。ファンは,投票内容の記入を終えると携帯電話3の表示画面においてそれをバーコードに変換し,携帯電話3が元々に持っている機能を使って携帯電話3内に記憶させる(図2の)。投票内容のバーコードへの変換には,バーコード変換ソフトウェアが内蔵するバーコードデータを使用する。 【0022】ファンは,競走場や競走場外に設けられた投票所に出向いて,携帯電話3に記憶されているバーコードを表示させ,そこに設置されている自動投票券発売機2のバーコード読み取り装置に対して,携帯電話3の表示画面のバーコードを照らす(図2の)。自動投票券発売機2はバーコードを読み取り,投票金額を計算して表示する(図2の)。 【0023】ファンは投票金額分のお金を自動投票券発売機2に投入する(図2の)。自動投票券発売機2は,投入された金の額を計算し,上記の投票金額と一致していれば投票券を発行する(図2の)。ファンは自動投票券発売機2から投票券を受け取る。」 前記ア.イ.によれば,引用文献2には,次の発明(以下,「引用文献2発明という。)が記載されている。 <引用文献2発明> 「公営競技等における投票システムであって(【0001】), 携帯電話3は,表示画面において投票内容が記入され(【0021】), 携帯電話3は,記入された投票内容をバーコードに変換し,携帯電話3内に記憶し(【0021】), 携帯電話3は,記憶されているバーコードを表示して,自動投票券発売機2のバーコード読み取り装置に対してバーコードを照らし(【0022】), 自動投票券発売機2は,バーコードを読み取り,投票金額を計算して表示し(【0022】), 自動投票券発売機2は,投入された金額が投票金額と一致していれば投票券を発行する(【0023】), 投票システム。」 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3(特開2009-70267号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。 ア.「【0001】 本発明は,公営競技のように直線コースまたは周回コースを移動して着順を競う競技に参加する選手または選手が乗る馬,自転車,オートバイまたはボート等の乗物の着順を当てる投票券にポイントを付与する投票ポイントシステム,投票ポイント算出方法およびそのためのプログラムに関する。」 イ.「【0022】 以下,本発明を競馬場に設置された投票ポイントシステムの実施形態を例に挙げて詳細に説明する。 ・・・(中略)・・・ 【0027】 自動発払機121,122,…,12nは,競馬場の適切な場所に多数設置された投票券の購入装置であり,発券ユニットとマークシートユニットを有し,発券ユニットに会員カードを挿入し,現金を挿入し,マークシートユニットにマークシートを挿入することでレース毎の投票券の購入手続を実行すると投票券が発行され,当該レースの結果が確定した後に購入した投票券の金額に応じたポイント値が会員カードの現在のポイント値に加算される。ここで,マークシートとはレース毎の各種投票券を購入する際に,例えば第9レースの連勝複式馬券1000円を記入するマークシートである。 【0028】 投票ポイントシステム1は会員管理システム15を備えており,会員管理システム15は投票ポイントサーバ(現用)11および投票ポイントサーバ(予備用)12にそれぞれ接続されている。会員管理システム15内の会員情報記憶部(不図示)には,会員の有効期限や会員を特定する情報と該会員が購入した投票券の情報と該会員の現在のポイントの累積値の情報が格納されている。」 前記ア.イ.によれば,引用文献3には,次の事項が記載されている。 <引用文献3の記載事項> 「 公営競技の着順を当てる投票券にポイントを付与する投票ポイントシステムであって(【0001】), 自動発払機121,122,…,12nは,競馬場の適切な場所に多数設置された投票券の購入装置であり,発券ユニットとマークシートユニットを有し,発券ユニットに会員カードを挿入し,現金を挿入し,マークシートユニットにマークシートを挿入することでレース毎の投票券の購入手続を実行すると投票券が発行され,当該レースの結果が確定した後に購入した投票券の金額に応じたポイント値を会員カードの現在のポイント値に加算し(【0027】), 会員管理システム15は,会員管理システム15内の会員情報記憶部に,会員の有効期限や会員を特定する情報と該会員が購入した投票券の情報と該会員の現在のポイントの累積値の情報を格納する(【0028】), 投票ポイントシステム。」 4.引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4(特開2011-154615号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。 ア.「【0010】 本発明に係るID管理システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。 【実施例】 【0011】 実施例に係るID管理システムにつき,図1から図4を参照して説明する。図1の符号1は,本発明の適用されたID管理システムを示すシステムブロック図である。このID管理システム1は,学校2に所属する学生に対して発行される学生証3(記録媒体)と,店舗4で会員に対して発行されるポイントカード5(記録媒体)と,学生証3及びポイントカード5を利用する利用者の携帯電話6と,学生証3とポイントカード5と携帯電話6の情報を対応付けて管理する管理サーバ7と,学校2及び店舗4に設置され,後述する学生ID等を読み取るカードリーダ(図示略)を備えるカードリーダ端末機8,9と,から主に構成されている。」 イ.「【0022】 図2に示すように,管理サーバ7に記憶されるID管理テーブルには,各利用者を個々に識別可能な管理IDに対応付けて,利用者が利用する携帯電話6の携帯ID,SIMカード31のSIMカードID,利用者が任意に設定するメールアドレス(利用者識別情報)とパスワード(利用者識別情報),学生証3の学生ID,学校2の出席回数,ポイントカード5の会員ID,購入金額に応じて付与されるポイント残高等の情報が記憶されるようになっている。」 ウ.「【0051】 図5に示すように,利用者が店舗4で商品を購入した際には,店舗4に設置されたカードリーダ端末機9で予め店員が数字ボタン20を操作して利用者のポイントカードに付与するポイント数や購入金額等を入力をする(付与ポイント受付)。そして,データ受付状態となったカードリーダ端末機9に利用者が携帯電話6をかざす(近接させる)と,カードリーダ端末機9のカードリーダ(図示略)が携帯ID及びSIMカードIDを読み取り,携帯ID及びSIMカードIDとポイント数を管理サーバ7に送信する。 【0052】 管理サーバ7は,携帯ID及びSIMカードIDを基にID管理テーブルを検索し,携帯ID及びSIMカードIDが登録されているレコードが存在するか否かを判定する。ID管理テーブルに携帯ID及びSIMカードIDが存在する場合には,携帯ID及びSIMカードIDと対応付けられた会員IDのポイント残高に,店員が入力したポイントを加算する処理を行う。」 前記ア.?ウ.によれば,引用文献4には,次の事項が記載されている。 <引用文献4の記載事項> 「店舗4で会員に対して発行されるポイントカード5と,ポイントカード5を利用する利用者の携帯電話6と,管理サーバ7と,店舗4に設置されるカードリーダ端末機8,9とを備え(【0011】), 管理サーバ7に記憶されるID管理テーブルには,各利用者を個々に識別可能な管理IDに対応付けて,利用者が利用する携帯電話6の携帯ID,SIMカード31のSIMカードID,ポイントカード5の会員ID,購入金額に応じて付与されるポイント残高の情報が記憶され(【0022】), カードリーダ端末機9は,利用者が店舗4で商品を購入した際に,店員によって利用者のポイントカードに付与するポイント数や購入金額が入力され,データ受付状態で利用者が携帯電話6をかざすと,携帯ID及びSIMカードIDを読み取り,携帯ID及びSIMカードIDとポイント数を管理サーバ7に送信し(【0051】), 管理サーバ7は,受信した携帯ID及びSIMカードIDと対応付けられた会員IDのポイント残高に,店員が入力したポイントを加算する処理を行う(【0052】), ID管理システム(【0010】)。」 5.引用文献5について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5(特開2004-64656号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。 ア.「【0017】 また,サーバ3は,携帯電話装置1から送信された顧客情報を顧客情報登録手段6から受け取り,この顧客情報を二次元バーコード化して,携帯電話装置1に提供する二次元バーコード発行手段7を備える。なお,二次元バーコード発行手段7により二次元バーコード化する顧客情報は,氏名,年齢,性別,郵便番号等のうちの一部または全部とすることができる。」 イ.「【0025】 利用者は,この携帯電話装置1上へ取得した二次元バーコードを登録するために,携帯電話装置1を操作して図3(k)に示すように「画面メモ」機能を呼び出し,図3(j)に示す画面に表示された内容を携帯電話装置1へ保存する。利用者は,この二次元バーコードを利用する際には,同様に「画面メモ」機能を呼び出して,図3(l)に示すように二次元バーコードを携帯電話装置1の画面上へ表示させることができる。」 ウ.「【0029】 ・・・(中略)・・・これにより,通常の一次元バーコードには含められない程度の情報量を有する顧客情報であっても携帯電話装置自体に登録して,この携帯電話装置を従来のポイントカードや会員カード等に代わるものとして飲食店や販売店などの店舗で利用することが可能となる。」 前記ア.?ウ.によれば,引用文献5には,次の事項が記載されている。 <引用文献5の記載事項> 「氏名,年齢,性別,郵便番号のうちの一部または全部を含む二次元バーコードを画面上に表示し,ポイントカードに代わるものとして利用することが可能な携帯電話装置。」 6.引用文献6 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6(特開2003-123147号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。 ア.「【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は,商品の売上に応じたポイントを累積するポイントシステムおよび記録媒体に関するものである。」 イ.「【0012】図1は,本発明のシステム構成図を示す。図1において,携帯端末1は,無線あるいは有線でポイントセンタ5あるいはPOS2に接続し,売上に応じたポイントを累積させたりなどするものであって,ここでは,ポイント要求手段11などから構成されるものである。」 ウ.「【0014】POS2は,顧客が陳列棚からもってきた商品のバーコードを読み取って顧客に料金を請求し,顧客が支払ったときにレシートを印刷して渡したりなどすると共に,売上データをPOSセンタ4に送信したりなどするものである。」 エ.「【0016】POSセンタ4は,POS2から通知された売上データを一括管理するものであって,売上管理手段41,売上テーブル42などから構成されるものである。 オ.「【0018】ポイントセンタ5は,顧客のポイントを累積して管理するものであって,ここでは,本人確認手段51,ポイント加算手段52,問い合わせ手段53,認証テーブル54,ポイントテーブル55などから構成されるものである。」 カ.「【0025】S5は,レシートを出力する。S6は,携帯電話でHP(ホームページ)を開く。これは,S5でレシートを受け取った顧客が,持っている携帯電話(携帯端末1)でホームページにアクセスしてダウンロードすると共に,顧客IDおよびパスワードを自動あるいは手動で送信して認証を行う。これにより,図1のポイントセンタ5のホームページに認証して該当ページを当該携帯電話の画面上に表示できたこととなる。 【0026】S7は,レシートの伝票No,日付,金額などを入力する。これは,S6で表示した図1のポイントセンタ5の該当ページ上で,S5で受け取ったレシートの伝票No,日付,金額などを入力(スキャナで読み取って入力,搭載のデジカメでレシートを撮影して入力,あるいは手動で入力)する。 【0027】S8は,登録指示する。S9は,集計する。S10は,日次で,POSセンタに問い合わせする。 【0028】S11は,POSセンタで売上確認して,ポイント累積の可否を通知する。これらS6からS11は,ポイントセンタ5で集計した伝票No,日時,金額などを日単位にまとめてPOSセンタ4に問い合わせ,POSセンタ4で当該伝票No,日時について売上テーブル42に登録されているか検索し,登録されているときにポイント累積可をポイントセンタ5に通知する。 【0029】S12は,ポイントセンタでポイントを加算して累積する。例えば後述する図3の(b)のポイントテーブル55に顧客毎にポイント累計を計算して設定する。 【0030】S13は,メールにて,顧客へ通知する。これは,S12でポイント加算した顧客に,ポイント加算した旨とポイント累計などを電子メールで送信する。以上によって,顧客が商品をレジカウンタに持参してPOS2で精算してレシートを受け取り,当該レシートの伝票番号,日付などを携帯電話(携帯端末1)でポイントセンタ5に送信し,ポイントセンタ5でPOSセンタ4に確認して売上テーブル42に登録されていたときに当該顧客のポイントに累積し,電子メールで累積したポイントを通知することが可能となる。」 前記ア.?カ.によれば,引用文献6には,次の事項が記載されている。 <引用文献6の記載事項> 「商品の売上に応じたポイントを累積するポイントシステムであって(【0001】), POS2は,商品のバーコードを読み取って顧客に料金を請求し,顧客が支払ったときにレシートを印刷すると共に,売上データをPOSセンタ4に送信し(【0014】), POSセンタ4は,POS2から通知された売上データを一括管理し(【0016】), ポイントセンタ5は,顧客のポイントを累積して管理し(【0018】), レシートを受け取った顧客は,携帯電話でポイントセンタ5のホームページにアクセスして,顧客IDおよびパスワードを送信して認証を行い(【0025】),該当ページ上でレシートの伝票No,日付,金額を入力し(【0026】), ポイントセンタ5は,集計した伝票No,日時,金額をPOSセンタ4に問い合わせ(【0028】), POSセンタ4は,当該伝票No,日時が売上テーブル42に登録されていると,ポイント累積可をポイントセンタ5に通知し(【0028】), ポイントセンタ5は,POSセンタ4に確認して売上テーブル42に登録されていたときに顧客のポイントを累積する(【0030】), ポイントシステム。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用文献1発明とを対比すると,次のことがいえる。 ・引用文献1発明の「携帯電話」は,「入力された馬券情報と,アプリケーションを取得した際に受信したダウンロード番号と,携帯識別番号を含んだ2次元バーコード」を,画面に表示する。 2次元バーコードに含まれる「馬券情報」は,本願発明1の「投票者の投票内容を表す投票情報」に相当する。 上記「2次元バーコード」は,本願発明1の「投票者の投票内容を表す投票情報」を含む情報を示す「識別コード」に対応する。 したがって,引用文献1発明の,馬券情報を含む2次元バーコードを表示する携帯電話1と,本願発明1の「投票者を識別する識別情報と,前記投票者の投票内容を表す投票情報とを含む情報を示す識別コードを表示する携帯端末」は,「投票者の投票内容を表す投票情報を含む情報を示す識別コードを表示する携帯端末」の点で共通する。 ・引用文献1発明の「発券端末」は,本願発明1の「投票装置」に相当する。 ・引用文献1発明の発券端末2は,「携帯電話1の画面に2次元バーコードを表示するように促す画面と共に,その2次元バーコードを読取部4に向けてかざすように促す旨の案内を配したバーコード入力画面を表示操作部3に表示」して,「読取部4にかざされた2次元バーコードのイメージデータを読取」る。 したがって,引用文献1発明の「読取部4」は,携帯電話1の画面に表示された2次元バーコードのイメージデータを読み取るものであり,本願発明1の「前記携帯端末に表示されている前記識別コードを読み取るコード読取部」に相当する。 ・引用文献1発明は,発券端末2が,読み取った「2次元バーコードのイメージデータ」を決済サーバ20に送信し,決済サーバ20が,その「2次元バーコード」(識別コード)から「馬券情報」(投票情報)を取得する。 したがって,発券端末2には,「2次元バーコード」から「馬券情報」を取得して格納する機能はなく,本願発明1の「読み取った前記識別コードに基づき前記識別情報及び前記投票情報を取得して,前記投票受付情報格納部に格納させる投票情報取得部」を有していない。 ・引用文献1発明の「端末記憶部6」は,「2次元バーコードのイメージデータ」(識別コード)を記憶するものであり,この「2次元バーコードのイメージデータ」から取得された「馬券情報」(投票情報)を記憶していないが,「2次元バーコードのイメージデータ」(識別コード)も,「馬券情報」(投票情報)も,発券端末が携帯電話から受け付けた「投票受付情報」である点では共通する。 したがって,引用文献1発明の「端末記憶部6」と,本願発明1の「前記識別情報及び前記投票情報を格納する投票受付情報格納部」は,「投票受付情報を格納する投票受付情報格納部」の点で共通する。 ・引用文献1発明の発券端末2は,「2次元バーコードのイメージデータを付した携帯馬券購入情報を決済サーバ20に送信」する。 この,送信のための手段と,本願発明1の「前記識別情報及び前記投票情報を送信する投票情報送信部」は,「前記投票受付情報を送信する送信部」の点で共通する。 ・引用文献1発明の「発券端末2」は,「投票場に設置されて勝馬投票券を発券する他,的中した勝馬投票券を挿入させることによって,その勝馬投票券の配当金の払戻しを行う機能を有」することから,「投票券を発券する発券部」を備えるものの,その発券は,「前記投票情報に基づく投票券の発券実行通知を受信すると前記投票受付情報格納部に格納されている前記投票情報に基づ」くものではない。 したがって,引用文献1発明の勝馬投票券を発券する手段と,本願発明1の「前記投票情報に基づく投票券の発券実行通知を受信すると前記投票受付情報格納部に格納されている前記投票情報に基づき前記投票券を発券する発券部」は,「投票券を発券する発券部」の点で共通する。 ・引用文献1発明の「決済サーバ20」は,「馬券情報,ダウンロード番号,携帯識別番号を関連づけるようにしてデータベース22に格納」することで投票を管理するといえるから,本願発明1の「投票管理サーバ」に相当する。 ・引用文献1発明の「決済サーバ20」は,発券端末2から送信された2次元バーコードのイメージデータを受信する手段を有する。 この手段と,本願発明1の「前記投票装置から送信された前記識別情報及び前記投票情報を受け付ける投票情報受付部」は,「前記投票装置から送信された前記投票受付情報を受け付ける投票受付情報受付部」の点で共通する。 ・引用文献1発明の「決済サーバ20」は,「馬券情報,ダウンロード番号,携帯識別番号を関連づけるようにしてデータベース22に格納」する。 この「データベース22」と,本願発明1の「受け付けた前記識別情報ごとに前記投票情報を格納する投票情報格納部」は,「前記投票情報を格納する投票情報格納部」の点で共通する。 ・引用文献1発明の「投票処理システム」は,本願発明1の「投票システム」に相当する。 したがって,本願発明1と引用文献1発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。 <一致点> 「投票者の投票内容を表す投票情報を含む情報を示す識別コードを表示する携帯端末と, 投票受付情報を格納する投票受付情報格納部と,前記携帯端末に表示されている前記識別コードを読み取るコード読取部と,前記投票受付情報を送信する送信部と,投票券を発券する発券部とを有する投票装置と, 前記投票装置から送信された前記投票受付情報を受け付ける投票受付情報受付部と,前記投票情報を格納する投票情報格納部とを有する投票管理サーバと, を備える投票システム。」 <相違点1> 「識別コード」が,本願発明1では「投票者を識別する識別情報」を含むのに対し,引用文献1発明では「投票者を識別する識別情報」を含まない点。 <相違点2> 「投票装置」が,本願発明1では「読み取った前記識別コードに基づき前記識別情報及び前記投票情報を取得して,前記投票受付情報格納部に格納させる投票情報取得部」を有するのに対し,引用文献1発明では当該投票情報取得部を有していない点。 <相違点3> 「投票受付情報格納部」に格納される「投票受付情報」が,本願発明1では,投票情報取得部が識別コードに基づいて取得した「前記識別情報及び前記投票情報」であるのに対し,引用文献1発明では,「2次元バーコードのイメージデータ」(識別コード)である点。 <相違点4> 「投票受付情報を送信する送信部」が,本願発明1では,「前記識別情報及び前記投票情報」を送信する「投票情報送信部」であるのに対し,引用文献1発明では「2次元バーコードのイメージデータ」(識別コード)を送信するものである点。 <相違点5> 「投票券を発券する発券部」が,本願発明1では「前記投票情報に基づく投票券の発券実行通知を受信すると前記投票受付情報格納部に格納されている前記投票情報に基づき前記投票券を発券する発券部」であるのに対し,引用文献1発明では,「前記投票情報に基づく投票券の発券実行通知を受信すると前記投票受付情報格納部に格納されている前記投票情報に基づき」発券するものではない点。 <相違点6> 「前記投票装置から送信された前記投票受付情報を受け付ける投票受付情報受付部」が,本願発明1では,「前記識別情報及び前記投票情報」を受け付ける「投票情報受付部」であるのに対し,引用文献1発明では「2次元バーコードのイメージデータ」(識別コード)を受け付ける点。 <相違点7> 「前記投票情報を格納する投票情報格納部」が,本願発明1では,「受け付けた前記識別情報ごとに前記投票情報を格納する」のに対し,引用文献1発明では,投票者を識別する「識別情報」を格納しない点。 <相違点8> 「投票管理サーバ」が,本願発明1では「前記投票情報格納部に前記投票情報が格納されると前記投票券を発券させる前記発券実行通知を前記投票装置に送信する発券実行部」を有するのに対し,引用文献1発明では上記発券実行部を有しない点。 <相違点9> 「投票管理サーバ」が,本願発明1では「前記投票情報格納部が格納する前記投票情報に基づき投票金額に応じたポイント数を算出し,前記投票情報格納部に前記識別情報ごとに前記ポイント数を格納させる金額ポイント算出部」を有するのに対し,引用文献1発明では上記金額ポイント算出部を有しない点。 <相違点10> 本願発明1は「前記携帯端末から前記投票者の個人情報を受け付ける個人情報受付部と,受け付けた前記個人情報に前記識別情報を対応付けて格納する個人情報格納部と,前記識別情報を前記携帯端末に発行する識別情報発行部とを有する識別情報管理サーバ」を備えるのに対し,引用文献1発明は上記識別情報管理サーバを備えない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点5,8について検討する。 引用文献1発明の「2次元バーコード」は「勝馬投票券の代わり」になるものであり,この「2次元バーコード」で勝馬投票券を購入するための入力操作を行った場合,勝馬投票券は発行されず,「2次元バーコード」を発券端末2で読み取ることで払戻しが行われる。これにより,引用文献1発明は,「顧客に払戻しを行うために紙媒体を利用することが無く,資源の無駄を減らす」という目的を達成するものである。 勝馬投票券の代わりに2次元バーコードを用いることで紙資源の無駄を減らした引用文献1発明おいて,この「2次元バーコード」に基づいて勝馬投票券を発行することは,上記目的に反する構成の変更であり,このような構成の変更には阻害要因があるといえる。 さらに,上記相違点5,8に係る構成は,引用文献2-6のいずれにも記載されていない。 したがって,引用文献1発明において,「2次元バーコード」に含まれる馬券情報(投票情報)に基づいて勝馬投票券を発行するために,相違点5,8に係る「前記投票情報に基づく投票券の発券実行通知を受信すると前記投票受付情報格納部に格納されている前記投票情報に基づき前記投票券を発券する発券部」,「前記投票情報格納部に前記投票情報が格納されると前記投票券を発券させる前記発券実行通知を前記投票装置に送信する発券実行部」を設けることは,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 よって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用文献1発明,引用文献2発明及び引用文献3-6に記載された周知技術に基づいて,当業者であれば容易に発明できたものとはいえない。 2.本願発明2,3について 本願発明2,3も,「前記投票情報に基づく投票券の発券実行通知を受信すると前記投票受付情報格納部に格納されている前記投票情報に基づき前記投票券を発券する発券部」,「前記投票情報格納部に前記投票情報が格納されると前記投票券を発券させる前記発券実行通知を前記投票装置に送信する発券実行部」と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用文献1発明,引用文献2発明及び引用文献3-6に記載された周知技術に基づいて,当業者であれば容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正において,本願発明1-3は「前記投票情報に基づく投票券の発券実行通知を受信すると前記投票受付情報格納部に格納されている前記投票情報に基づき前記投票券を発券する発券部」及び「前記投票情報格納部に前記投票情報が格納されると前記投票券を発券させる前記発券実行通知を前記投票装置に送信する発券実行部」との事項を有するものであり,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1発明,引用文献2発明及び引用文献3-6に記載された周知技術に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。 したがって,原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-10-30 |
出願番号 | 特願2013-205657(P2013-205657) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田付 徳雄 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
金子 幸一 石川 正二 |
発明の名称 | 投票システム |
代理人 | 服部 毅巖 |