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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1333928
審判番号 不服2016-13182  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-02 
確定日 2017-11-17 
事件の表示 特願2012- 8287「設備を導入・更新する際の支援・評価システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 1日出願公開、特開2013-149033、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、平成24年1月18日の特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成27年12月10日付け:拒絶理由の通知
平成28年 2月15日 :意見書、及び、手続補正書の提出
平成28年 6月15日付け:拒絶査定
平成28年 9月 2日 :審判請求書の提出
平成29年 6月14日付け:当審による拒絶理由の通知
平成29年 8月 8日 :意見書、及び、手続補正書の提出


第2 原査定の概要

原査定(平成28年6月15日付け拒絶査定)の概要は次の通りである。

本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1、2に基づいて、本願請求項2-5に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、本願請求項6に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1:特開2006-039751号公報
2:特開2003-162612号公報
3:国際公開第2010/035550号
4:特開2008-204142号公報(周知技術を示す文献)


第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

1.請求項1-6に係る発明は、明確でないため、特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができない。


第4 本願発明

本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成29年8月8日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-6は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
導入・更新される第1設備種別の第1設備種別情報、第1設備種別の仕様内容情報、仕様内容のうち、選択した第1設備種別が行政機関に対する届出・有資格者の要否を判定する判定項目、および、該判定項目に対する判定条件を含む判定情報、第1設備種別に該当する法令情報、第1設備種別を導入・更新する場合に必要とされる届出書リストおよび有資格者リストが格納される第1の記憶部と、
前記第1設備種別が選択される第1設備種別選択手段、選択した第1設備種別の判定条件が入力される判定条件入力手段を有する第1の入力部と、
前記判定条件入力手段によって入力された前記判定条件を用いて、届出の要否、および、有資格者の要否を判定する判定手段、選択した第1設備種別が行政機関に対する手続きにおいてどの法令情報に該当するかを抽出する第1法令情報抽出手段、前記判定手段の「届出要」とする判定結果に基づいて、第1法令情報抽出手段で抽出した法令情報に含まれる全ての法令において、選択した第1設備種別に必要とされる届出書リストおよび有資格者リストを抽出するリスト抽出手段を有する第1の制御部と、
第1設備種別情報、判定手段の判定結果、第1法令情報抽出手段により抽出された法令情報、届出書リスト、有資格者リストを出力する第1の出力部とを備えたことを特徴とする設備を導入・更新する際の支援・評価システム。

【請求項2】
前記判定手段の「届出要」とする判定結果に基づいて、環境影響を試算する環境影響試算手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の設備を導入・更新する際の支援・評価システム。

【請求項3】
前記環境影響試算手段は、
選択した第1設備種別が設置される設置場所地域情報、該設置場所地域における法令規制に該当する第1設備種別の仕様内容情報、該仕様内容情報に対する法令規制値の法令規制値情報が格納される第2の記憶部と、
前記設置場所地域を選択する設置場所地域選択手段を有する第2の入力部と、
前記法令規制値と、該法令規制値に該当する、選択した第1設備種別の仕様内容の値とを比較して環境対策の要否を判定する環境対策前判定手段を有する第2の制御部と、
選択された設置場所地域、前記法令規制に該当する第1設備種別の仕様内容情報、該仕様内容情報に対する法令規制値、環境対策前判定手段の判定結果を出力する第2の出力部とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の設備を導入・更新する際の支援・評価システム。

【請求項4】
前記環境影響試算手段は、
選択した第1設備種別が法令規制に適さない場合、新たに導入される環境対策するための第2設備種別情報、および、第2設備種別の仕様内容情報が格納される第3の記憶部と、
前記環境対策前判定手段の「環境対策要」の結果に基づいて、前記第2設備種別を選択する第2設備種別選択手段を有する第3の入力部と、
前記法令規制値と、該法令規制値に該当する、選択した第2設備種別の仕様内容の値とを比較して環境対策の要否を判定する環境対策後判定手段を有する第3の制御部と、
第2設備種別、該第2設備種別の仕様内容、環境対策後判定手段の判定結果を出力する第3の出力部とをさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の設備を導入・更新する際の支援・評価システム。

【請求項5】
前記環境対策前判定手段の「環境対策不要」の結果に基づいて、第2設備種別に該当する法令情報、届出書リスト、有資格者リストを前記第1の記憶部から抽出する第2法令情報抽出手段を備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の設備を導入・更新する際の支援・評価システム。

【請求項6】
第1設備種別を導入・更新する際の総合イニシャルコスト、または、第1設備種別と第2設備種別とを導入・更新する際の総合イニシャルコストを算定する総合イニシャル算定手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の設備を導入・更新する際の支援・評価システム。」


第5 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線部は当審にて付与した。)

(ア)「この発明は、設備の仕様等の条件に応じて、設備に関係する環境法令を抽出し、環境法令で定められている届出書のリストや規制値に関する情報を出力する環境法令遵守支援サーバの制御方法およびプログラムに関する。」(【0001】)

(イ)「==全体構成==
図1は、本発明の一実施形態である環境法令遵守支援サーバ1を含んで構成される情報処理システムの全体構成を示す図である。環境法令遵守支援サーバ1は、ネットワーク2を介してクライアント装置3、プリンタ4等と通信可能に接続されている。」(【0022】)

(ウ)「==ハードウェア構成==
図2は、環境法令遵守支援サーバ1のハードウェア構成を示す図である。環境法令遵守支援サーバ1は、CPU10、メモリ11、記憶装置12、記録媒体読取装置13、通信インタフェース14、入力装置15、出力装置16等を備えている。記憶装置12に記憶されているプログラムがメモリ11に順次格納され、メモリ11に格納されたプログラムをCPU10が実行することにより、環境法令遵守支援サーバ1における各種機能が実現される。記憶装置12とは、例えば、ハードディスクドライブ等である。記録媒体読取装置13は、CD-ROM等の記録媒体17に記憶されているプログラムを読みとり、読み取ったプログラムを記憶装置12に記憶することができる。
通信インタフェース14は、ネットワーク2を介してクライアント装置3やプリンタ4等と通信を行うためのインタフェースである。入力装置15は、例えば、キーボードやマウス等である。また、出力装置16は、例えば、ディスプレイ等である。
==機能構成==
図3は、環境法令遵守支援サーバ1が備える各種の機能等を示す図である。環境法令遵守支援サーバ1は、法令データベース20、設備リスト送信部21、設備情報受信部22、判定項目送信部23、判定情報受信部24、判定部25、届出書リスト送信部26、規制情報送信部27、記載項目送信部28、届出書情報受信部29、届出書生成部30、届出書送信部31、認証部32を備えている。法令データベース20はメモリ11または記憶装置12に記憶されている。また、各機能21?32は、メモリ11に格納されたプログラムをCPU10が実行することにより実現される。
法令データベース20には、火力発電所において設備の設置や変更を行う際に必要となる環境法令に関する情報が記憶されている。図4は、法令データベース20の構造を示す図である。法令データベース20は、設備情報、判定項目、判定条件、規制情報、届出書リスト、記載項目、印刷レイアウトの項目を備えている。
設備情報には、火力発電所に設置される設備の名称が設定されている。設備情報に設定される情報としては、例えば、ボイラー、廃棄物焼却炉、燃焼炉、電気炉、ガスタービン、ディーゼル機関等である。
判定項目には、設備情報に設定されている設備に対して、各種の環境法令で定められている条件を判定するための項目が設定されている。例えば、設備がボイラーの場合、判定項目として、「電気工作物」、「伝熱面積」、「燃焼能力」等が設定されている。そして、判定条件には判定項目に対する条件が設定されている。ボイラーの場合であれば、例えば、“「電気工作物」=「No」かつ(「伝熱面積」≧10m2 または 「燃焼能力」≧50L/h)”という判定条件が設定されている。この判定条件は、ボイラーが大気汚染防止法におけるばい煙発生施設に該当するかどうかを判定するための条件である。ボイラーの場合、この判定項目および判定条件に限られず、電気事業法や労働安全衛生法等で定められている様々な判定項目および判定条件が設定されている。
規制情報には、環境法令等で定められている各種の規制に関する情報が設定されている。例えば、ボイラーの場合の規制情報としては、排出される窒素酸化物の排出基準値等がある。なお、規制情報は判定条件と対応付けて記憶されている。
届出書リストには、各判定条件に応じて環境法令で定められている行政手続において必要となる届出書等の一覧情報が設定されている。例えば、ボイラーが大気汚染防止法におけるばい煙発生施設に該当する場合、届出書リストには、「ばい煙発生施設設置届出書」、「ばい煙発生施設の構造」、「ばい煙発生施設の使用方法」、「ばい煙の処理の方法」等の届出書の名称が設定されている。」(【0024】-【0031】)

(エ)「次に、環境法令遵守支援サーバ1の各機能について説明する。設備リスト送信部21は、法令データベース20に記憶されている設備情報をクライアント装置3に送信する。図5は、クライアント装置3に表示される設備情報入力画面50を示す図である。設備リスト送信部21により送信された設備情報は、設備情報入力画面50の設備リスト51に設定される。担当者によって設備リスト51の中から設置または変更の対象である設備が選択されると、その設備の設備情報がクライアント装置3から環境法令遵守支援サーバ1に送信される。設備情報受信部22は、クライアント装置3から送信されてくる設備情報を受信する。
判定項目送信部23は、設備情報受信部22がクライアント装置3から受信した設備情報に対応する判定項目を法令データベース20から取得し、クライアント装置3に送信する。クライアント装置3に送信された判定項目は、設備情報入力画面50の詳細情報エリア52に表示される。図5は、設備としてボイラーが選択された場合の設備情報入力画面50を示している。この場合、詳細情報エリア52には、ボイラーにおける判定項目である「電気工作物」、「伝熱面積」、「燃焼能力」等が表示され、各々の判定項目に対する判定情報を選択または入力することができるようになっている。そして、設備情報入力画面50の判定ボタン53が押下されると、詳細情報エリア52において選択または入力された判定情報がクライアント装置3から環境法令遵守支援サーバ1に送信される。判定情報受信部24は、クライアント装置3から送信されてくる判定情報を受信する。
判定部25は、判定情報受信部24がクライアント装置3から受信した判定情報が、法令データベース20に設定されている設置または変更対象の設備に対する何れかの判定条件に当てはまるかどうか確認する。当てはまる判定条件がある場合、判定部25は、その判定条件に応じた行政手続が必要であると判定する。届出書リスト送信部26は、判定部25が行政手続が必要であると判定した場合、当該判定条件に対応する届出書リストを法令データベース20から取得し、クライアント装置3に送信する。また、規制情報送信部27は、当該判定条件に対応する規制情報をクライアント装置3に送信する。なお、クライアント装置3に送信された届出書リストおよび規制情報は、クライアント装置3のディスプレイ等に表示される。また、届出書リストおよび規制情報は、当該クライアント装置3が設置されている事業所にあるプリンタ4に出力されることとしてもよい。」(【0035】-【0037】)

(オ)「==届出書リストアップの具体例(ボイラーの場合)==
次に、火力発電所にボイラーを設置する場合を例にとり、届出書のリストアップの流れについて説明する。図7は、ボイラーを設置する場合に必要となる届出書をリストアップする流れを示す図である。まず、環境法令遵守支援サーバ1は設備情報「ボイラー」と当該設備に関する判定情報を受信する(S701,S702)。環境法令遵守支援サーバ1は、判定情報に基づいて、ボイラーが電気工作物に当たるかどうかを判定する(S703)。ボイラーが電気工作物である場合(S703:YES)、環境法令遵守支援サーバ1は、当該ボイラーがばい煙発生施設であるかどうかを電気事業法に則って判定する(S704)。当該ボイラーがばい煙発生施設である場合(S704:YES)、環境法令遵守支援サーバ1は、電気事業法で定められた届出書のリストを出力する。この届出書のリストには、例えば、「ばい煙に関する説明書」等のリスト70及び様々な添付資料のリスト71が含まれる。また、環境法令遵守支援サーバ1は、当該ボイラーに対して大気汚染防止法で定められている規制情報である規制値リスト72を出力する。ボイラーがばい煙発生施設に該当しない場合(S704:NO)、当該ボイラーを設置する際に行政手続は不要であることを通知する(S705)。」(【0041】)

したがって、上記(ア)ないし(オ)の記載から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ネットワーク2を介してクライアント装置3、プリンタ4等と通信可能に接続されている環境法令遵守支援サーバ1を含んで構成される情報処理システムであって、
環境法令遵守支援サーバ1は、設備に関係する環境法令を抽出し、環境法令で定められている届出書のリストや規制値に関する情報を出力し、CPU10、メモリ11、記憶装置12等を備えるとともに、法令データベース20、設備リスト送信部21、設備情報受信部22、判定項目送信部23、判定情報受信部24、判定部25、届出書リスト送信部26、規制情報送信部27、記載項目送信部28、届出書情報受信部29、届出書生成部30、届出書送信部31、認証部32を備え、
各機能21?32は、メモリ11に格納されたプログラムをCPU10が実行することにより実現され、
法令データベース20はメモリ11または記憶装置12に記憶され、
法令データベース20には、火力発電所において設備の設置や変更を行う際に必要となる環境法令に関する情報である設備情報、判定項目、判定条件、規制情報、届出書リスト等が記憶され、
設備情報には、設備の名称が設定され、
判定項目には、設備情報に設定されている設備に対して、各種の環境法令で定められている条件を判定するための項目が設定され、
判定条件には判定項目に対する条件が設定され、
届出書リストには、各判定条件に応じて環境法令で定められている行政手続において必要となる届出書等の一覧情報が設定され、
設備リスト送信部21は、設備情報を送信し、
設備情報受信部22は、クライアント装置3から送信されてくる設置または変更の対象である設備の設備情報を受信し、
判定情報受信部24は、クライアント装置3から送信されてくる判定情報を受信し、
判定部25は、判定情報受信部24がクライアント装置3から受信した判定情報が、法令データベース20に設定されている設置または変更対象の設備に対する何れかの判定条件に当てはまるかどうか確認し、当てはまる判定条件がある場合、判定部25は、その判定条件に応じた行政手続が必要であると判定し、
届出書リスト送信部26は、判定部25が行政手続が必要であると判定した場合、当該判定条件に対応する届出書リストを法令データベース20から取得し、クライアント装置3に送信する、
情報処理システム」

2.引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(カ)「【発明の属する技術分野】本発明は、企業が事業運営を行う上で必須になる法令で定められた資格及び教育(以下、資格等という)、企業が事業を運営するに当り独自に定めた資格等、各種団体,協会,企業などが定めた資格等、これらの資格等に関係する設備の管理、並びに事業運営に必要な人材の育成管理に関する。」(【0001】)

(キ)「図9において、例えば条件入力部101の設備区分の欄のみに「クレーン」と入力して実行ボタンを押すと、図10の画面が表示される。図10の右欄(情報表示部102)では、入力した設備区分毎に、対応する法令名称及び資格名称が表示されている。」(【0108】)

(ク)「例えば、図19の条件入力部101における設備名称の欄に「タンク」と入力して実行ボタンを押すと、図19の画面全体が表示される。図19の右欄(情報表示部102)では、入力した設備名称毎に、選任者氏名コード,選任者名,正副管理区分,選任日,根拠法令,資格名称などの選任者情報が表示される。利用者は、図19の情報表示部102において、メンテナンスを実行したい設備のチェック欄にチェックして更新ボタンを押す。」(【0138】)

3.引用文献3について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ケ)「本発明は、各企業内を出入りする製品の化学物質含有率(または含有量)を管理する方法において、当該化学物質含有率(または含有量)を制限する規制等を遵守するために、対策すべき対象の選定を支援する方法及びそのシステムに関する。
」(【0002】)

(コ)「演算処理部121は、入出力部101や記憶部110からデータを取得するデータ取得部122と、部品の化学物質含有率が未把握である部品を抽出する未把握部品抽出部123と、前記未把握部品と同一の部品分類を持つ他部品を検索する類似部品検索部124と、前記未把握部品の化学物質含有率として、前記で検索した類似部品の化学物質含有率のいずれかを割り当てる部品化学物質含有率推定部125と、製品の化学物質含有率を算出する製品化学物質含有率算出部126と、前記で算出した製品化学物質含有率が、規制閾値を超えるかどうかを判定する閾値判定部127と、前記判定結果を入出力部101の表示装置に表示し、当該表示内容を制御する表示制御部128と、を有している。
次に図1の処理フローに従って、図2の規制対策の対象選定支援システム100における各機能の動作を説明する。
まず、支援システム100のユーザが、入出力部101により、規制対応できているかどうかの評価をしたい製品の名称を入力し、評価対象とする規制の名称及び規制内容を入力する(S1)。例えば入出力部101の表示装置102が、図8に例を示すような画面を表示し、ユーザは評価対象製品を入力し、プルダウンで評価対象とする規制名及び規制内容を選択する。入出力部101が受け付けた評価対象製品や、規制対象及び規制内容は、演算部120のデータ取得部122が取得し、これを一時的にメモリ部129に格納する。また、図8に例を示す画面より入力した評価対象製品について、全製品のチェックボックスにチェックを入れると、製品構成部品情報111に登録されている全製品に対して、規制対応できているかどうかの評価を行う。さらに、図8に例を示す画面より入力した評価対象規制において、規制名を「ALL」とすると、規制閾値情報114に登録されている全規制について評価を実行し、例えば規制名を「REACH」として規制内容を「ALL」とすると、規制閾値情報114に登録されている規制のうち、規制名が「REACH」である全規制内容について評価を実行することを示している。なお、図8に示す画面例では、ユーザが評価対象製品として「A-01」を入力し、評価対象規制として規制名「REACH」、規制内容「情報伝達」を選択し、実行ボタンを押して実行したことを示している。以下、製品「A-01」、規制名「REACH」、規制内容「情報伝達」の場合について説明する。」(【0026】-【0028】)

4.引用文献4について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

(サ)「本発明は、設備投資の計画技術に関し、より詳しくは設備投資を平準化しつつ費用を最小化するための技術に関する。」(【0001】)

(シ)「例えば電力事業における設備について検討すると、電力需要が顕著に伸びていた時代には、需要増に合わせて流通設備の容量増加などを実施する必要があったため、それにより経年設備の更新を図ることができた。しかし、近年においては需要の伸びの鈍化に伴い、設備更新量は低く推移しており、これが今後も続く場合、経年設備が累積することから、設備投資や修繕費等の後年度負担が懸念されている。また、近年の工事量減少に伴う技術力の継承や工事力の確保などについても、不安視される部分がある。従って、今後は長期的な視点での投資額の平準化を図りつつ、できるだけ少ない投資により後年度の費用負担を抑制する効率的な設備更新を行っていく必要がある。」(【0003】)

第6 対比・判断

1.本願発明1について

1-1.対比

本願発明1と引用発明とを対比する。

(1)
本願明細書の【0031】段落には、「第1設備種別情報には、発電所を含む工場や病院・商業施設などに設置される設備の名称、例えば、「蒸気ボイラ」、「温水ボイラ」、「発電機」、「受変電設備」、「ヒートポンプ」、「冷凍機」、「燃料受入・貯蔵設備」などが設定されている。」と記載されており、本願発明1の『第1設備種別の第1設備種別情報』は、設置される設備の名称であると解される。
一方、引用発明の「設備情報」には、「設備の名称が設定され」ており、また、「設備情報」は「設置または変更の対象である設備の設備情報」なのであるから、引用発明の「設備情報」は、本願発明1でいうところの『導入・更新される第1設備種別の第1設備種別情報』に対応するといえる。

(2)
引用発明では、「判定部25は、判定情報受信部24がクライアント装置3から受信した判定情報が、法令データベース20に設定されている設置または変更対象の設備に対する何れかの判定条件に当てはまるかどうか確認し、当てはまる判定条件がある場合、判定部25は、その判定条件に応じた行政手続が必要であると判定し、届出書リスト送信部26は、判定部25が行政手続が必要であると判定した場合、当該判定条件に対応する届出書リストを法令データベース20から取得し」ているのであるから、引用発明の「判定部25」は、「判定条件」を用いて、設置または変更対象の設備が、行政手続が必要か否か、すなわち、行政機関に対して届出が必要か否かを判定しているものと認められる。
そして、引用発明の「判定条件」には、「判定項目に対する条件が設定され」ているのであるから、当該「判定条件」は、本願発明1でいうところの『判定項目に対する判定条件を含む判定情報』に対応するといえる。
また、引用発明の「判定項目」には、「設備情報に設定されている設備に対して、各種の環境法令で定められている条件を判定するための項目が設定され」ているのであるから、当該「判定項目」は、設置または変更の対象である設備が行政機関に対する届出の要否を判定するために用いられていることは明らかであるため、引用発明と本願発明1とは、『選択した第1設備種別が行政機関に対する届出の要否を判定する判定項目』を有する点で一致している。

(3)
引用発明の「設備の設置や変更を行う際に必要となる環境法令に関する情報」は、本願発明1でいうところの『第1設備種別に該当する法令情報』に対応することは明らかである。

(4)
引用発明の「届出書リスト」は、前記(1)で前述したように、設置または変更される設備の条件によって必要となるものであるから、本願発明1でいうところの『第1設備種別を導入・更新する場合に必要とされる届出書リスト』に対応するといえる。

(5)
引用発明の「法令データベース」が記憶される「記憶装置12」は、本願発明1でいうところの『第1の記憶部』に対応するといえる。

(6)
本願明細書の【0027】には、「サーバ1は、図3に示すように、第1の記憶部としてのデータベース20と、第1設備種別情報送信部21と、選択された第1設備種別情報受信部22と、第1設備種別区分選択情報送信部23と、区分選択した第1設備種別情報受信部24と、第1設備種別用途選択情報送信部25と、用途選択した第1設備種別情報受信部26と、第1設備種別絞込み情報送信部27と、第1設備種別仕様内容情報送信部28と、第1設備種別を確定するための入力項目送信部29と、入力項目受信部30と、第1設備種別の判定情報(行政機関に対する届出・有資格者の要否を判定する判定項目、および、該判定項目に対する判定条件)送信部31と、判定情報受信部32と、第1の制御部としての判定部33と、第1法令情報抽出手段330と、第1設備種別に該当する法令情報送信部34と、届出書リスト送信部35と、有資格者リスト送信部36とを備えている。なお、選択された第1設備種別情報受信部22、区分選択した第1設備種別情報受信部24、用途選択した第1設備種別情報受信部26、入力項目受信部30、判定情報受信部32により第1の入力部を構成している。また、第1設備種別情報送信部21、第1設備種別区分選択情報送信部23、第1設備種別用途選択情報送信部25、第1設備種別絞込み情報送信部27、第1設備種別仕様内容情報送信部28と、第1設備種別を確定するための入力項目送信部29と、入力項目受信部30と、判定情報送信部31、法令情報送信部34、届出書リスト送信部35、有資格者リスト送信部36により、第1の出力部を構成している。」と記載されていることから、本願発明1でいうところの『第1設備種別が選択される第1設備種別選択手段、選択した第1設備種別の判定条件が入力される判定条件入力手段を有する第1の入力部』と『第1設備種別情報、判定手段の判定結果、第1法令情報抽出手段により抽出された法令情報、届出書リスト、有資格者リストを出力する第1の出力部』は、それぞれサーバが備える「受信部」と「送信部」が含まれ得ると解される。
一方、引用発明の「設備情報受信部22」と「判定情報受信部24」はともに「環境法令遵守支援サーバ1」が備える受信部であり、「設備情報受信部22」は、「クライアント装置3から送信されてくる設置または変更の対象である設備の設備情報を受信し」、また、「判定情報受信部24」は、「クライアント装置3から送信されてくる判定情報を受信」するのであるから、引用発明の「設備情報受信部22」と「判定情報受信部24」は、本願発明1でいうところの『第1設備種別が選択される第1設備種別選択手段、選択した第1設備種別の判定条件が入力される判定条件入力手段を有する第1の入力部』に対応するといえる。

(7)
前記(2)で前述したように、引用発明の「判定部25」は、「判定条件」を用いて、設置または変更対象の設備が行政機関に対して届出が必要か否かを判定しているから、引用発明の「判定部25」は、判定条件入力手段によって入力された判定条件を用いて、届出の要否を判定する判定手段を備えていることは明らかである。
そうすると、引用発明と本願発明1とは、『判定条件入力手段によって入力された判定条件を用いて、届出の要否を判定する判定手段』を有する点で一致している。

(8)
引用発明の「環境法令遵守支援サーバ1」は、「設備に関係する環境法令を抽出し、環境法令で定められている届出書のリストや規制値に関する情報を出力」するので、引用発明の「環境法令遵守支援サーバ1」が、設置または変更対象の「設備に関係する環境法令を抽出」する手段を有することは明らかである。
そうすると、引用発明は、本願発明1でいうところの『選択した第1設備種別が行政機関に対する手続きにおいてどの法令情報に該当するかを抽出する第1法令情報抽出手段』を有しているといえる。
また、前記「「第5」の「1.」の(オ)」において摘記した事項に「環境法令遵守支援サーバ1は設備情報「ボイラー」と当該設備に関する判定情報を受信する(S701,S702)。環境法令遵守支援サーバ1は、判定情報に基づいて、ボイラーが電気工作物に当たるかどうかを判定する(S703)。ボイラーが電気工作物である場合(S703:YES)、環境法令遵守支援サーバ1は、当該ボイラーがばい煙発生施設であるかどうかを電気事業法に則って判定する(S704)。当該ボイラーがばい煙発生施設である場合(S704:YES)、環境法令遵守支援サーバ1は、電気事業法で定められた届出書のリストを出力する。」と記載されているから、引用発明において、「設備に関係する環境法令を抽出」することは、設置または変更対象の設備が行政機関に対する手続きにおいてどの法令情報に該当するかを抽出しているのといえる。
そして、引用発明の「届出書リスト送信部26」は、「判定部25が行政手続が必要であると判定した場合、当該判定条件に対応する届出書リストを法令データベース20から取得」するのであるから、引用発明と本願発明1とは、『判定手段の「届出要」とする判定結果に基づいて、第1法令情報抽出手段で抽出した法令情報に含まれる法令において、選択した第1設備種別に必要とされる届出書リストを抽出するリスト抽出手段』を有する点で一致している。

(9)
引用発明の「CPU」は、本願発明1でいうところの『第1の制御部』に対応することは明らかである。

(10)
引用発明の「設備リスト送信部21」と「届出書リスト送信部26」はともに、「環境法令遵守支援サーバ1」の送信部であるから、前記(6)で前述したことから、本願発明1でいうとことの『出力部』に対応する。
そして、引用発明の「設備リスト送信部21」は、設備の名称のリストを送信しており、本願発明1でいうところの『第1設備種別情報』を送信するものである。
また、前記「「第5」の「1.」の(オ)」において摘記した事項に、「当該ボイラーを設置する際に行政手続は不要であることを通知する(S705)。」とあるから、引用発明の環境法令遵守支援サーバ1が行政手続不要という判定結果を送信する送信部ことも明らかである。
そうすると、引用発明と本願発明1とは、『第1設備種別情報、判定手段の判定結果、届出書リストを出力する出力部』を備える点で一致している。

したがって、上記(1)から(10)で対比した様に、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点がある。

(一致点)
「導入・更新される第1設備種別の第1設備種別情報、選択した第1設備種別が行政機関に対する届出の要否を判定する判定項目、および、該判定項目に対する判定条件を含む判定情報、第1設備種別に該当する法令情報、第1設備種別を導入・更新する場合に必要とされる届出書リストが格納される第1の記憶部と、
前記第1設備種別が選択される第1設備種別選択手段、選択した第1設備種別の判定条件が入力される判定条件入力手段を有する第1の入力部と、
前記判定条件入力手段によって入力された前記判定条件を用いて、届出の要否を判定する判定手段、選択した第1設備種別が行政機関に対する手続きにおいてどの法令情報に該当するかを抽出する第1法令情報抽出手段、前記判定手段の「届出要」とする判定結果に基づいて、選択した第1設備種別に必要とされる届出書リストを抽出するリスト抽出手段を有する第1の制御部と、
第1設備種別情報、判定手段の判定結果、届出書リストを出力する第1の出力部とを備えたことを特徴とする設備を導入・更新する際の支援システム。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1の『第1の記憶部』には『第1設備種別の仕様内容情報』が格納されているのに対し、引用発明の「記憶装置」には、その旨明示されていない点。

(相違点2)本願発明1の『第1の記憶部』には『有資格者の要否を判定する判定項目』及び『有資格者リスト』が格納され、『第1の制御部』が『有資格者の要否を判定する判定手段』及び『有資格者リストを抽出するリスト抽出手段』を有し、『第1の出力部』が『有資格者リスト』を出力しているのに対し、引用発明は、有資格者に関する記載がない点。

(相違点3)本願発明1では、『リスト抽出手段』において、『第1法令情報抽出手段で抽出した法令情報に含まれる全ての法令において、選択した第1設備種別に必要とされる』『リストを抽出』しているのに対し、引用発明では、全ての法令であるかは明示されていない点。

(相違点4)本願発明は、『設備を導入・更新する際の支援・評価システム』であるのに対し、引用発明は、評価については明示されていない点。

1-2.相違点についての判断

上記相違点2について判断する。

前記「「第5」の「2.」」に記載のとおり、引用文献2には、入力した設備区分毎に、対応する法令名称及び資格名称を表示するという技術的事項が記載されている。
ここで、引用文献2の「資格名称」が、本願発明1でいうところの『有資格者リスト』に対応するとしても、引用文献2は、本願発明1でいうところの『有資格者の要否を判定する判定項目』及び『有資格者の要否を判定する判定手段』に関する構成は記載されておらず、上記構成に係る事項を示唆する記載もない。
また、引用文献1は、「工場・事業場等における設備の設置や変更にあたっては、大気汚染防止法等の環境法令で定められている規制値等の把握および遵守が必要である。また、設置または変更される設備の条件によっては、環境法令に基づいて自治体等に届出書を提出する必要がある。」(【0002】)と記載されるように、環境法令で定められている規制値等の把握および遵守や環境法令に基づいて自治体等に提出する届出書の作成を目的としたものであり、そのために、引用発明は、設備に関係する環境法令を抽出し、環境法令で定められている届出書のリストや規制値に関する情報を出力するものであるところ、「環境法令で定められている規制値」や「届出書」において、設備区分に対応する資格名称が必要なことは引用文献1に記載も示唆もされおらず、引用発明において、引用文献2に記載された技術的事項を適用するための動機付けもない。

したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-6について

本願発明2-6はいずれも請求項1を引用するものであり、本願発明1の『第1の記憶部』には『有資格者の要否を判定する判定項目』及び『有資格者リスト』が格納され、『第1の制御部』が『有資格者の要否を判定する判定手段』及び『有資格者リストを抽出するリスト抽出手段』を有し、『第1の出力部』が『有資格者リスト』を出力していると同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第7 原査定についての判断

平成29年8月8日付け手続補正により補正された請求項1-6は、それぞれ『第1の記憶部』には『有資格者の要否を判定する判定項目』及び『有資格者リスト』が格納され、『第1の制御部』が『有資格者の要否を判定する判定手段』及び『有資格者リストを抽出するリスト抽出手段』を有し、『第1の出力部』が『有資格者リスト』を出力しているという構成を有するものとなっており、上記「第5 引用文献、引用発明等」から「第6 対比・判断」で言及したとおり、本願発明1-6は、原査定における引用文献1-4には記載されておらず、本願出願日前における周知技術でもないので、本願発明1-6は、当業者であっても、原査定における引用文献1-4に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。


第8 当審拒絶理由について

当審では、請求項1の「入力された仕様内容から、前記判定条件を抽出して」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年8月8日付けの補正において、「前記判定条件入力手段によって入力された前記判定条件を用いて」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。


第9 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-10-25 
出願番号 特願2012-8287(P2012-8287)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大野 朋也  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 宇多川 勉
石川 正二
発明の名称 設備を導入・更新する際の支援・評価システム  
代理人 藤本 昇  
代理人 北田 明  
代理人 中谷 寛昭  
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