• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1333997
審判番号 不服2016-15958  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-26 
確定日 2017-11-21 
事件の表示 特願2012-139490「検索語連動広告システム、そのマッチング期間最適化方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月10日出願公開、特開2013- 8366、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年6月21日の出願(パリ条約による優先権主張2011年6月23日、大韓民国)であって、平成27年12月22日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年4月5日付けで手続補正がされ、同年6月17日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年10月26日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年6月17日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-17に係る発明は、以下の引用文献等1-4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1 米国特許出願公開第2007/0260515号明細書
2 略
3 特開2002-82641号公報(周知技術を示す文献,新たに引用された文献)
4 監査法人トーマツ,TMTインダストリーグループ編,開示情報からわかるコンテンツ企業のビジネスモデル分析,(株)中央経済社,2007年 4月30日,第1版,pp. 179-181(周知技術を示す文献,新たに引用された文献)

第3 本願発明
本願請求項1-17に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明17」という。)は、平成28年4月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-17に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
設定された基本マッチング期間中に入力された検索語に基づいて検索語連動広告を決定し、その決定された検索語連動広告を露出させて広告を行う広告実行部と、
前記広告が行われた検索語連動広告に対する履歴を格納するログ記録部と、
前記検索語連動広告が行われている状態において任意の時点でまたは周期的に前記検索語連動広告の送信量を判断し、判断された送信量に応じて、前記設定された基本マッチング期間を最適化して調節するマッチング期間調節部と、を含み、
前記検索語連動広告の送信量が単位送信目標量を達成しない場合には前記基本マッチング期間を増加させて前記基本マッチング期間を最適化することを特徴とする検索語連動広告システム。」

なお、本願発明2-17の概要は以下のとおりである。

本願発明2-8は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明9-16は、それぞれ本願発明1-8に対応する方法の発明であり、本願発明1-8とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

本願発明17は、本願発明9-16のいずれかに対応するコンピュータ読取可能な記録媒体の発明であり、本願発明9-16のいずれかとカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0022]In one embodiment of the present invention, an ad server serves advertisements (also known as #impressions#) when certain predefined events occur. For example, the ad server may serve a particular advertisement when one or more keywords associated with the particular advertisement are present in the content of a web page requested by an end-user. Alternatively, the ad server may serve a particular advertisement when one or more keywords associated with the advertisement are entered, or input, in a search executed by an end-user. In either case, the ad server may recognize that the predefined event has occurred and serve the particular advertisement in response.」
(仮訳:この発明の1実施例では、広告サーバは、特定の広告に関連付られた一つ又はそれ以上のキーワードがが予め決められた事象が発生する時に(インプレッションとしても知られる)広告を提供する。例えば、広告サーバは、特定の広告と結び付けられる1つ以上のキーワードがエンドユーザによってリクエストされたWeb ページの内容の中に現れるとき、その特定の広告を提供しうる。 代わりに、広告サーバは、特定の広告と結び付けられる1つ以上のキーワードがエンドユーザによって実行される検索において入力(enter or input)されたとき、その特定の広告を提供しうる。 どちらの場合も、広告サーバは、事前に定義された事象が生じたことを認識し、応答としてその特定の広告を提供しうる。)

「[0026]・・・Typically, the ad server 14 will select the particular advertisement to serve based, in part, on the textual content of the content portion 26 of the web page 24 . (The textual content may include both the visual portion, as well as any meta-data that is not visible to the end-user.) Alternatively, the ad server 14 may select the particular advertisement to serve based on a keyword search performed by the end-user.」
(仮訳:・・・典型的には、広告サーバ14は、ウエブページ24の部分コンテンツ26であるテキストコンテンツに、部分的には、基づいて、その特定の広告を選択するだろう。 (そのテキストコンテンツは、エンドユーザから見える部分とエンドユーザからは見えないメタデータの両方を含みうる。) 代わりに、広告サーバ14は、エンドユーザによって実行されたキーワード検索に基づいてその特定の広告を選択しうる。)

「[0028]FIG. 3 illustrates a logical block diagram of an ad server 14 , according to one embodiment. An ad server 14 includes one or more of, a web server component 29 , an ad server module 30 , an advertisement pacing module 31 , an advertisement management module 32 , an advertisement pricing engine 34 , a click tracking module 36 , and a credit card processing module 38 . It will be appreciated by those skilled in the art that the various functional modules presented in FIG. 3 may be implemented in software, hardware, or a combination thereof.・・・」
(仮訳:図3において、一つの実施形態における広告サーバ14の論理的なブロック図が示されている。広告サーバ14は、一つまたはそれ以上の、ウエブサーバコンポーネント29、広告サーバモジュール30、広告ペーシングモジュール31、広告管理モジュール32、広告価格決定エンジン34、クリック追跡モジュール36、および、クレジットカード処理モジュール38を含む。
図3で提示された種々な機能モジュールがソフトウェア、ハードウェア、あるいはそれらの組み合わせによってインプリメントされうることは、当業者によって理解されるであろう。・・・)

「[0036]In one embodiment, the ad server 14 includes a click tracking module 36 . The click tracking module 36 monitors when an advertisement is clicked (i.e., selected by an end user). Accordingly, when the click tracking module 36 detects a click, the advertiser's account associated with the selected advertisement, is debited a predetermined amount.」
(仮訳:一つの実施形態において、広告サーバ14は、クリック追跡モジュール36を含む。 クリック追跡モジュール36は、いつ広告がクリックされるか(すなわち、エンドユーザによって選択されるか)を監視する。 それゆえ、クリック追跡モジュール36がクリックを検知するとき、その選択された広告に関連する広告主のアカウントから、予め決められた金額が引き落とされる。)

「[0038] Advertisement Pacing
[0039] In one embodiment, the ad server 14 includes an advertisement pacing module 31 . The advertisement pacing module 31 measures or monitors the frequency/rate of the billable events of an advertiser's advertisement(s), and adjusts the rate/pace at which advertisement(s) are served, or an amount an advertiser is charged, to have the advertiser stay within a pre-set budget. 」
(仮訳:広告のペーシング
一つの実施形態において、広告サーバ14は、広告ペーシングモジュール31を含む。その広告ペーシングモジュール31は、広告主の広告における支払請求可能な事象の頻度/割合を測定し又は監視する。そして、広告主を予め設定した予算の範囲内にとどめるように、広告が提供される割合やペース、又は広告主に課される金額を調節する。)

「[0040] For example, the pacing module, in communication with the click tracking module, determines the frequency/rate that an advertiser's advertisements are selected or that other billable events have occurred, (i.e., how many times has the advertiser been charged within a specific period of time). The pacing module, in communication with the budget analyzer module, determines whether at the current pace the advertiser is being charged, the advertiser is likely to meet or exceed their respective budget limit for a budget period.」
(仮訳:例えば、そのペーシングモジュールは、クリック追跡モジュールと通信して、広告主の広告の選択又は他の支払請求可能な事象の発生の頻度や割合(すなわち、ある特定の期間の範囲内で広告主が何度支払を求められたか)を決定する。そのペーシングモジュールは、予算解析モジュールと通信して、現在のペースで広告主が支払を求められると彼らの予算期間におけるそれぞれの予算の上限に合致するかそれとも超えるかを決定する。)

「[0041] If the advertiser is likely to exceed their respective budget limit, the pacing module will decrease a pace of serving the advertiser's advertisement(s). In one embodiment, to decrease the pace of serving the advertiser's advertisement(s), the pacing module selects a frequency to omit serving the advertisement (e.g., once every four times the advertisement is to be served). In one embodiment, the omission of serving the advertisement is conducted randomly within a particular number of opportunities to serve the advertisement, or randomly based on a time consideration. Alternatively, the omission is conducted in a predetermined sequence (e.g., once every four times the advertisement is to be served).」
(仮訳:広告主のそれぞれの予算の上限を超えそうである場合、ペーシングモジュールは、その広告主の広告を提供するペースを減らすだろう。 一つの実施形態では、広告主の広告を提供するペースを減らすために、ペーシングモジュールは、広告の提供を省く頻度を選ぶ(たとえば、4回毎に1回の割合で広告を提供する)。 一つの実施形態では、広告の提供の省略は、広告を提供する機械の特定の数の範囲でランダムに指示されるか、時間の考慮に基づいてランダムに指示される。代わりに、省略は、予め決められた順番で指示される(たとえば、4回毎に1回の割合で広告を提供する)。)

「[0044] In one embodiment, the pacing module will decrease an amount charged to the advertiser for the advertisements being selected or other billable events, including assessing no charge. Alternatively, the pacing module will do a combination of decreasing a pace of serving the advertisements and decreasing an amount charged to the advertiser.」
(仮訳:一つの実施形態では、ペーシングモジュールは、選択される広告や他の支払請求可能な事象について広告主に課される金額を、免除と評価することも含め、減少させるだろう。 代わりに、ペーシングモジュールは、広告提供のペースの減少と広告主に課される金額の減少を組み合わせるだろう。)

「[0045] The frequency of the pacing module determining whether adjustments to the pacing of advertisements delivery, or pricing, are needed, is performed intermittently based on predetermined time periods, or is performed randomly. In one embodiment, the time periods vary based on one or more factors, including, but not limited to, the time remaining for a budget period, volatility in the frequency the advertisement is selected by end-users, and an amount remaining within the budget for the budget period.」
(仮訳:ペーシングモジュールが広告配信のペースの調節と価格付のいずれが必要かを決定する頻度は、予め決められた時間間隔に基づいてまばらに行われるか、ランダムに行われるかである。一つの実施形態では、その時間間隔は、予算期間に対する残り時間、エンドユーザにより広告が選択される頻度の不安定さ、そして、予算期間の予算の範囲内で残っている金額等、一つか複数の要素に基づいて、変わる。)

「[0046]FIG. 4 illustrates an advertisement pacing module, including inputs and outputs, according to one embodiment. As illustrated in FIG. 4 , the advertisement pacing module 31 receives as inputs the click rate 42 for an advertisement(s), the budget limit 44 for all clicks associated with that advertisement(s) for a budget period, and the time of day 46 or the time remaining for the present budget period.・・・.」
(仮訳:図4において、一つの実施形態における広告ペーシングモジュールが、入力と出力を含め、示されている。図4に示されるように、広告ペーシングモジュールは、ある広告についてのクリックレート42、ある予算期間における広告に関係するすべてのクリックについての予算の上限44、そして、日付46若しくは現在の予算期間の残り時間を入力として受け取る。・・・)

「[0050] The daily budget input 44 represents an amount of funds that the advertiser has selected as the maximum amount to be debited from an account in connection with billable events for a particular ad. For example, the daily budget serves as an upper limit. In one embodiment of the invention, advertisements are not served once the daily budget has been reached.」
(仮訳:日々の予算入力44は、ある特定の広告のための支払請求可能な事象に関連した口座から課されうる最大金額として広告主が選択した基金の金額を示す。 例えば、毎日の予算は上限として機能する。 発明の一つの実施形態では、広告は、毎日の予算に達すれば、提供されない。)

「[0051] An additional input for the advertisement pacing module 31 is the time of day 46 , or the time remaining within the budget period. Accordingly, the advertisement pacing module 31 utilizes the time of day to adjust the rate at which advertisements are served. In one embodiment, the advertisement pacing module increases the rate at which a particular advertisement is served based on time preferences selected by an advertiser. For example, the rate at which an advertisement related to fast food meals is served may be designated to increase around traditional meals times, such as noon.」
(仮訳:広告ペーシングモジュール31のさらなる入力は、日付46又は予算期間の残り時間である。それに応じて、広告ペーシングモジュール31は、日付を広告が提供される割合を調節するために用いる。一つの実施形態では、広告ペーシングモジュールは、広告主に選ばれた時間の好みに基づいて特定の広告が提供される割合を増加する。 例えば、ファーストフードの食事に関する広告を提供する割合を正午のような伝統的な食事の時間頃に増やすようにと指示されるかもしれない。)

「[0052]FIG. 5 illustrates an example of the advertisement delivery distribution over time with an advertisement pacing module 31 . Line 50 represents time, or more specifically, the passing of time moving from left to right. Accordingly, the dots shown on line 52 represent billing events for an advertisement(s) (i.e., an advertisement(s) has been selected by an end-user).」
(仮訳:図5において、広告ペーシングモジュール31における広告配信の時間的な分布の例が示されている。線50は、時間、より特定的には、左から右への時間の経過、を表している。 それに応じて、線52の上の点群は、ある広告(すなわち、エンドユーザにより選択された広告)のための支払請求可能なイベントを表している。)

「[0053] Line 54 represents the distribution of advertisement selections without an advertisement pacing module, while the line 56 represents the distribution of advertisement selections with an advertisement pacing module. As illustrated in FIG. 5 , without an advertisement pacing module, advertisements are delivered at every opportunity, and consequently, ten advertisements are delivered consecutively after the passing of ten units of time (represented on line 50 as #time=10#). If, for example, the advertiser has established a twenty dollar daily budget, and the cost per click for the particular advertisement is two dollars, at time equal to 10 the advertiser has reached his budget limit.」
(仮訳:線54は、広告ペーシングモジューなしでの広告選択の分布を表しており、他方、線56は、広告配信モジュールありでの広告選択の分布を表している。 図5に示されているように、広告ペーシングモジュールなしでは、広告は、すべての機会において配信され、その結果、(#time=10#を示す線50で表現された)10単位の時間が経過するまでに連続して10の広告が配信される。 例えば、もし、一日当たり20ドルの予算を広告主が設定し、そして、その特定の広告のクリックあたり費用が2ドルであるとすると、10に等しい時間において広告主は予算の上限に達する。)

「[0054] However, with an advertisement pacing module 31 , the distribution of selected advertisements is more evenly distributed over the time period. This allows the advertiser to reach his budget limit over a given period of time, while ensuring that advertisements are served over the entire period of time, not just in one short segment.」
(仮訳:しかしながら、広告ペーシングモジュールありでは、選択された広告の配信は、その期間にわたってより均等に分散される。 これにより、広告主には、与えられた期間にわたる予算の上限に達するにしても、その単なる短い部分のみならず、その期間全体にわたって広告が提供されることが保証される。)

「[0055] In the example illustrated in FIG. 5 , the advertisement pacing module 31 is being utilized to reach but not exceed the advertiser's budget limit. However, it will be appreciated by those skilled in the art, that the advertisement pacing module may be utilized to achieve other objectives as well. For example, the advertisement pacing module 31 may be utilized to ensure that an advertiser's advertisements are served only during a specific-interval of time.」
(仮訳:図5に示された例では、広告ペーシングモジュールが広告主の予算の上限を超えずに達するように用いられている。 しかしながら、広告ペーシングモジュールを同様のほかの目的の達成のために用いうることは、当業者にとっよって理解されるであろう。 例えば、広告ペーシングモジュール31は、特定の期間の間のみ広告を提供することを確実にするために用いることができるかもしれない。)

「[0056]FIG. 6 illustrates a method 60 , according to one embodiment, for pacing the delivery of advertisement(s). In FIG. 6 , at operation 60 , the rate advertisement(s) are selected by end-users is analyzed. For example, the advertisement pacing module 31 may receive click rate or other billable event information from the click tracking module 36 . Accordingly, the advertisement pacing module periodically or continuously analyzes the rate at advertisement(s)are selected, or clicked, by end-users or other billable events.」
(仮訳:図6において、一つの実施形態に従った、広告の配信のペーシングの方法60が示されている。図6では、操作60で、エンドユーザにより選択された広告の割合が分析される。例えば、広告ペーシングモジュール31は、クリック率又は他の支払請求可能な事象の情報をクリック追跡モジュール36から受け取るかもしれない。それに応じて、広告ペーシングモジュールは、周期的に又は連続的に広告がエンドユーザにより選択され又はクリックされる割合又は他の支払請求可能な事象を分析する。)

「[0057] At operation 64 , the advertisement pacing module determines whether the advertisement delivery rate needs to be increased or decreased to meet a predefined objective. For example, if the objective is to meet, but not exceed, an advertiser's budget limit, then the rate at which advertisements are served may need to be increased (e.g., operation 66 ) or decreased (e.g., operation 68 ) to meet the budget limit during the respective budget period. Alternatively, the amount charged for an advertisement being selected, may be adjusted to meet the budget limit. 」
(仮訳:操作64で、広告ペーシングモジュールは、事前に定義された目的に合致するように広告配信の割合を増加すべきか減少すべきを決定する。 例えば、もしその目的が、広告主の予算の上限を超えずに達することであれば、それぞれの予算期間の間予算の上限に合致するように広告が提供される割合は増加すべき(例、操作66)又は減少すべき(例、操作68)とされる。 代わりに、広告の選択について課される金額が予算の上限に合致するように調節されるかもしれない。)

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
広告サーバモジュール、広告管理モジュール、広告価格決定エンジンを含み、エンドユーザによる入力されたキーワードに基づいてそのキーワードに結びつけられた広告を提供し、([0022][0026][0028])
広告サーバは、いつ広告がクリックされるか(すなわち、エンドユーザによって選択されるか)を監視するクリック追跡モジュールを含み、([0028])
広告サーバは、ある広告についてのクリックレート、ある予算期間における広告に関係するすべてのクリックについての予算の上限、そして、日付若しくは現在の予算期間の残り時間が入力され、広告主の広告における支払請求可能な事象の頻度/割合を測定し又は監視し、広告主を予め設定した予算の範囲内にとどめるように、広告が提供される割合やペース、又は広告主に課される金額を調節する、広告ペーシングモジュールを含み、([0028][0039]-[0041]等)
広告ペーシングモジュールは、例えば、広告主の予算の上限を超えずに達することを目的とする場合に予算期間の間予算の上限に合致するように広告が提供される割合を増加又は減少して、事前に定義された目的に合致するように広告配信の割合を増加すべきか減少すべきを決定する、([0056][0057]等)
広告サーバ。

2.引用文献2について 略

3.周知技術について
(1)引用文献3
「【0165】図19の(2)は、広告掲出の際に広告参照数または追加情報取得またはその両方について最低数保証を行って事前に料金を支払い、それに達しなかった場合、それに達するまで広告掲出期間を延長する方法である。」

「【0177】保証された広告参照数及び追加情報取得数を超えなければ到達するまで掲出する第1のオプションでは、図31のような料金表で、図32のように保証された広告参照数及び追加情報取得数が超えなかったため、図33のように掲出期間を遅長して、保証された広告参照数及び追加情報取得数に到達するまで掲出した。この例では、4/1-30までの掲出期間であったが、5/15まで遅長したことになる。」

(2)引用文献4
「(2) 媒体費について
媒体費の料金設定は定額制と従量制の2パターンがある。一般的な料金設定はあらかじめ広告の掲載期間を定めて定額を徴収するものである。ただし,一定のページビューを保証し,一定期間内に保証された回数だけ広告が閲覧されない場合には,追加支払なく広告期間を延長する特約を設けることが多い。」(180頁下から3行乃至190頁2行)

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「入力されたキーワード」及び「キーワードに結びつけられた広告」は、それぞれ、本願発明1の「入力された検索語」及び「検索語連動広告」に相当し、引用発明は、検索語連動広告を提供するために、広告サーバモジュール、広告管理モジュール、広告価格決定エンジンを含む広告サーバであるから、本願発明1と同様の「検索語連動広告システム」であるといえる。
さらに、引用発明においては、入力された検索語に基づいて検索語連動広告を提供するにあたって、提供される検索語連動広告が決定され、かつ、決定されて提供された検索語連動広告がエンドユーザに対し露出するから、検索語連動広告の決定に係る検索語が「設定された基本マッチング期間中に入力された」ものでないものの、本願発明1と同様の「入力された検索語に基づいて検索語連動広告を決定し、その決定された検索語連動広告を露出させて広告を行う広告実行部」を含むものである。

イ 引用発明の「クリック追跡モジュール」は、履歴を格納する等して広告のクリックを監視して追跡するものであるから、本願発明1の「前記広告が行われた検索語連動広告に対する履歴を格納するログ記録部」に相当する。

ウ 引用発明の「広告ペーシングモジュール」は、ある広告についてのクリックレート、ある予算期間における広告に関係するすべてのクリックについての予算の上限、そして、日付若しくは現在の予算期間の残り時間が入力され、広告主の広告における支払請求可能な事象の頻度/割合を測定し又は監視し、広告主を予め設定した予算の範囲内にとどめるように、広告が提供される割合やペース、又は広告主に課される金額を調節するものであって、例えば、広告主の予算の上限を超えずに達することを目的とする場合に予算期間の間予算の上限に合致するように広告が提供される割合を増加又は減少して、事前に定義された目的に合致するように広告配信の割合を増加すべきか減少すべきを決定するものであるから、調節の対象が「設定された基本マッチング期間」でなく、また、「最適化」しているかも明示されていないものの、検索語連動広告が行われている状態において任意の時点でまたは周期的に前記検索語連動広告の送信量を判断し、判断された送信量に応じた調節を行うものであり、そのような手段である点で、本願発明1の「マッチング期間調節部」に対応する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
入力された検索語に基づいて検索語連動広告を決定し、その決定された検索語連動広告を露出させて広告を行う広告実行部と、
前記広告が行われた検索語連動広告に対する履歴を格納するログ記録部と、
前記検索語連動広告が行われている状態において任意の時点でまたは周期的に前記検索語連動広告の送信量を判断し、判断された送信量に応じた調節を行う手段と、を含む、
検索語連動広告システム。

(相違点)
(相違点1)本願発明1の検索語連動広告の決定は、「設定された基本マッチング期間中に」入力された検索語に基づくのに対し、引用発明の検索語連動広告の決定は、入力された検索語に基づくものの、「設定された基本マッチング期間中に」入力された検索語に基づくものではない点。
(相違点2)本願発明1では、送信量に応じた調節手段が「前記設定された基本マッチング期間を最適化して調節するマッチング期間調節部」であって、「検索語連動広告の送信量が単位送信目標量を達成しない場合には前記基本マッチング期間を増加させて前記基本マッチング期間を最適化する」。
これに対し、引用発明では、調節の対象が「設定された基本マッチング期間」でなく「広告が提供される割合やペース、又は広告主に課される金額」であり、「最適化」する旨が明示されておらず、「検索語連動広告の送信量が単位送信目標量を達成しない場合」に「基本マッチング期間を増加させ」て「基本マッチング期間を最適化する」ものでなく、事前に定義された目的に合致するように広告配信の割合を増加すべきか減少すべきを決定する点。

(2)相違点についての判断
相違点1と相違点2は、関連するので、まとめて検討する。
引用文献1は、「入力された検索語」に係る「基本マッチング期間」の概念を記載するものでなく、また、引用発明は、「広告が提供される割合やペース、又は広告主に課される金額」を調節する内容として完結しており、「設定」された「入力された検索語」に係る「基本マッチング期間」を調節するように変更するためには、それなりの動機付けが必要となるところ、そのような動機付けは見当たらない。よって、引用発明を、このような「基本マッチング期間」を「設定」したり「調節」したりするものに変更することは、当業者といえども困難である。
また、引用発明は、事前に定義された目的に合致するように広告配信の割合を増加すべきか減少すべきを決定するものではあるものの、引用文献1の記載は、この「事前に定義された目的」について、「広告主を予め設定した予算の範囲内にとどめる」という目的を示すにとどまり、他の目的を具体的に示しておらず、「検索語連動広告の送信量が単位送信目標量を達成しない場合」について最適化を行うことの示唆を含むものとなっていない。このことに照らしても、引用発明を「検索語連動広告の送信量が単位送信目標量を達成しない場合」について最適化を行うものに変更することも、当業者といえども困難である。
この点、「第4」の「3.」に示した引用文献3及び4の記載に照らせば、本願優先日当時、広告が提供される頻度が低い場合に広告を提供する期間を延長することは周知であったと認められる。しかし、上記したとおり、そもそも引用発明は「入力された検索語」に係る「基本マッチング期間」を「設定」するものでないから、このことが周知であるとしても、引用発明において上記した変更を行うことが困難であることに変わりはない。
よって、引用文献2に記載された技術的事項や拒絶査定において示されたや引用文献3及び引用文献4から認定される周知技術の内容がどのようなものであるにしても、引用発明から相違点1及び相違点2に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできないのであり、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2-8について
本願発明2-8も、本願発明1の上記相違点1乃至2に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明4-6について
本願発明9-16は、本願発明1-8に対応する方法の発明であり、また、本願発明17は、本願発明9-16のいずれかに対応するコンピュータ読取可能な記録媒体の発明であるから、いずれも、本願発明1の上記相違点1乃至2に係る構成に対応する構成を備えるものである。
したがって、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-17は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-11-07 
出願番号 特願2012-139490(P2012-139490)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小太刀 慶明山本 俊介  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 相崎 裕恒
佐藤 智康
発明の名称 検索語連動広告システム、そのマッチング期間最適化方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体  
代理人 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ