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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G08B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G08B
管理番号 1334055
審判番号 不服2016-15286  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-12 
確定日 2017-11-21 
事件の表示 特願2012-199914「無線通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月24日出願公開、特開2013-218656、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年9月11日(優先権主張平成24年3月13日)の出願であって、平成28年2月18日付けで拒絶理由が通知され、同年4月25日に手続補正がされ、同年7月5日付け(発送日:同年7月12日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年10月12日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その後、当審において平成29年6月7日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年8月7日に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1 請求項1ないし4について
引用文献1の請求項1等には、複数の無線局からなり、これら複数の無線局間で電波を媒体とする無線信号を送受信する無線通信システムであって、各無線局は、無線信号を送信する送信手段と、無線信号を受信する受信手段と、所定のイベントが発生したときに送信手段を起動し、所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を交互に繰り返し且つ前記イベントが発生していないときには送信手段を停止させる送信制御手段と、一定の間欠受信間隔を繰り返しカウントするタイマ手段と、タイマ手段による間欠受信間隔のカウント中は受信手段を停止させ、タイマ手段による間欠受信間隔のカウントが完了する度に受信手段を起動する受信制御手段と、電池を電源として各手段の動作電源を供給する給電手段とを備えることを特徴とする無線通信システムについて、記載されている。また、引用文献1の段落【0031】等には、本願発明の「前記各無線局のうち一の無線局の前記制御部は、前記無線送受信部を起動して他の無線局に対して定期的に無線信号を送信させ」という構成に対応する構成が開示されている。
本願の請求項1に係る発明と引用文献1に記載された発明とを比較すると、下記の点において相違する。
(相違点1)本願発明は「返信のない前記他の無線局に対しては返信があるまで前記定期的な無線信号を所定の回数送信させ」という構成を備える点。
(相違点2)本願発明は、各無線局が複数のアンテナを備えており、「前記他の無線局は、前記定期的な無線信号の受信に失敗する毎に、以前の失敗時に使用していた前記アンテナを切り換えの候補に含めて、前記無線送受信部で使用する前記アンテナを切り換える」という構成を備える点。
上記相違点1について検討する。引用文献2の段落【0025】等には、上記相違点1に対応する構成が開示されている。引用文献1及び2に記載された発明は、無線通信機能を備えた火災警報器において、親機が子機に対して定期監視メッセージを送信する点において共通するものであるから、引用文献1に記載された発明に対して引用文献2に記載された発明を適用することは、当業者であれば容易になし得たことである。
次に、上記相違点2について検討する。引用文献3の請求項16,段落【0025】,段落【0078】ないし段落【0080】等には、上記相違点2に対応する構成が開示されている。引用文献1及び3に記載された発明は、無線通信機器において、機器の状態を確認するために定期的に通信を行う点において共通するものであるから、引用文献1に記載された発明に対して引用文献3に記載された発明を適用することは、当業者であれば容易になし得たことである。
また、引用文献3に記載された発明は、「定期通信のユニークワードを検出できなかったとき、別のアンテナに切り替えること」(請求項16の記載を参照)と、アンテナの切り替えが「交互」(請求項16が引用する請求項13の記載を参照)であることを備えている。
ここで、アンテナの切り替え技術はマルチパスフェージングの影響への対策でもあって、アンテナの故障対策に限定されないことは周知事項(引用文献3の段落【0004】、段落【0005】)であると認められるから、特に2本の受信アンテナを例示して「交互」にアンテナを切り替えている引用文献3には、「以前の失敗時に使用していた前記アンテナを切り換えの候補」とすることは記載されているに等しい。
本願の請求項2及び3に係る発明に関し、引用文献3には定期通信を受信できなかった場合にアンテナを切り替えることについて記載されており、当該記載に基づいて、受信に失敗する毎にアンテナを切り換える構成とすること、及び、受信に成功した場合にはアンテナを切り換えない構成とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
本願の請求項4に係る発明に関し、引用文献1の請求項9等には、各無線局が火災感知手段を備える旨の記載がある。なお、空気質センサや人センサは引例を挙げるまでもなく本願出願時において周知であったから、当業者であれば適宜採用することができたものと認められる。

よって、請求項1ないし4に係る発明は、引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2010-147868号公報
2.特開2009-265762号公報
3.特開2012-15975号公報

第3 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成29年8月7日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりのものである。

「【請求項1】
複数の無線局から成り、これら複数の前記無線局間で電波を媒体とする無線信号を送受信する無線通信システムであって、
前記各無線局は、複数のアンテナと、前記各アンテナのうち何れか1つを使用して無線信号を送受信する無線送受信部と、所定のイベントが発生したときに所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる制御と、一定の間欠受信間隔を繰り返しカウントして前記間欠受信間隔のカウント中は前記無線送受信部を停止させ、前記間欠受信間隔のカウントが完了する度に前記無線送受信部を起動する制御とを行う制御部と、電池を電源として前記各手段に動作電力を給電する電池電源部とを備え、
前記各無線局のうち一の無線局の前記制御部は、前記所定のイベントが発生したときに前記所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに前記所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を交互に繰り返す制御を行い、
前記一の無線局の前記制御部は、前記無線送受信部を起動して他の無線局に対して定期的に無線信号を送信させ、返信のない前記他の無線局に対しては返信があるまで前記定期的な無線信号を所定の回数送信させ、
前記他の無線局は、前記定期的な無線信号の受信に成功するまでの間、前記定期的な無線信号の受信に失敗する毎に、以前の失敗時に使用していた前記アンテナを切り換えの候補に含めて、前記無線送受信部で使用する前記アンテナを切り換えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記他の無線局は、前記定期的な無線信号の受信に成功すると、少なくとも次に前記定期的な無線信号の受信に失敗するまでの間は、受信に成功したときに使用している前記アンテナを前記無線送受信部の前記アンテナとして使用することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記各無線局は、火災の発生を感知する火災警報器を有する無線局と、空気質を測る空気質センサを有する無線局と、人の存在を検知する人センサを有する無線局との少なくとも何れか1種であることを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信システム。」

第4 引用文献
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された上記引用文献1(特開2010-147868号公報)には、「無線通信システム」に関して、図面(特に図1、図3を参照)とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。

(1)「【請求項1】
複数の無線局からなり、これら複数の無線局間で電波を媒体とする無線信号を送受信する無線通信システムであって、
各無線局は、無線信号を送信する送信手段と、無線信号を受信する受信手段と、所定のイベントが発生したときに送信手段を起動し、所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を交互に繰り返し且つ前記イベントが発生していないときには送信手段を停止させる送信制御手段と、一定の間欠受信間隔を繰り返しカウントするタイマ手段と、タイマ手段による間欠受信間隔のカウント中は受信手段を停止させ、タイマ手段による間欠受信間隔のカウントが完了する度に受信手段を起動する受信制御手段と、電池を電源として各手段の動作電源を供給する給電手段とを備え、
受信制御手段は、受信手段で同期信号を受信した場合にタイマ手段による間欠受信間隔のカウントを中止させるとともに、当該同期信号の終了時点から一定の待機時間が経過した時点でタイマ手段による間欠受信間隔のカウントを再開させ、
送信制御手段は、前記イベントが発生した場合、タイマ手段による間欠受信間隔のカウントが完了する時点と重なる前記送信期間に送信手段から無線信号を送信させることを特徴とする無線通信システム。」

(2)「【0024】
以下、火災を感知して警報音を鳴動するとともに電波を媒体とし且つ火災感知メッセージを含む無線信号を送信する火災警報器を無線局とした無線通信システム(火災警報システム)に本発明の技術思想を適用した実施形態について説明する。
【0025】
図1は本実施形態のシステム構成図であり、複数台(図示は2台のみ)の火災警報器TRで火災警報システムが構成されている。なお、以下の説明では、火災警報器TRを個別に示す場合は火災警報器TR1,TR2,…,TRnと表記し、総括して示す場合は火災警報器TRと表記する。
【0026】
火災警報器TRは、アンテナ3から電波を媒体とした無線信号を送信するとともに他の火災警報器TRが送信した無線信号をアンテナ3で受信する無線送受信部2と、音(ブザー音や音声メッセージなど)による火災警報(以下、「警報音」と呼ぶ。)を報知(スピーカから鳴動)する警報部5と、マイコンや書換可能な不揮発性の半導体メモリなどからなるメモリ部1aを主構成要素とし火災感知部4で火災を感知したときに警報部5に警報音を鳴動させるとともに他の火災警報器TRに対して火災警報を報知させるための火災警報メッセージを含む無線信号を無線送受信部2より送信させる制御部1と、後述するように警報音の鳴動を停止するための操作入力などを受け付ける操作入力受付部6と、乾電池等の電池を電源として各部に動作電源を供給する電池電源部7とを具備している。操作入力受付部6は1乃至複数のスイッチ(例えば、押釦スイッチ)を有しており、スイッチが操作されることで各スイッチに対応した操作入力を受け付けるとともに当該操作入力に対応した操作信号を制御部1に出力する。なお、各火災警報器TR1,TR2,…には固有の識別符号が割り当てられてメモリ部1aに格納されており、当該識別符号によって無線信号の宛先並びに送信元の火災警報器TR1,TR2,…が特定できる。」

(3)「【0028】
制御部1は、図示しないメモリ(ROMあるいはEEPROMなど)に格納されたプログラムをマイコンで実行することによって後述する各種の機能を実現している。火災感知部4で火災の発生が感知されると、制御部1は警報部5が備えるブザーを駆動して警報音を鳴動させたり、あるいは予めメモリ(あるいはメモリ部1a)に格納されている警報用の音声メッセージ(例えば、「火事です」など)をスピーカに鳴動させることで火災警報を報知するとともに、他の火災警報器TRにおいても火災警報を報知させるため、火災警報メッセージを含む無線信号を無線送受信部2より送信させる。また、他の火災警報器TRから送信された無線信号を無線送受信部2で受信することにより火災警報メッセージを受け取ったときも、制御部1が警報部5を制御して警報音を鳴動させる。つまり、制御部1では火災感知部4が火災を感知したときに警報部5から警報音を鳴動させて火災警報を報知するとともに火災警報メッセージを含む無線信号を無線送受信部2より送信させる機能を有している。
【0029】
ここで、電波法施行規則の無線設備規則第49条の17「小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備」では、無線信号を連続して送信してもよい期間(送信期間)が3秒以下、送信期間と送信期間の間に設けられた、無線信号を送信してはいけない期間(休止期間)が2秒以上とすることが規定されている(同条第5号参照)。このために本実施形態における制御部1では、上記無線設備規則に適合する送信期間に無線信号を送信させるとともに休止期間に送信を停止し且つ受信可能な状態としている。
【0030】
また電池電源部7の電池寿命をできるだけ長くするため、制御部1ではマイコンに内蔵するタイマ(タイマ手段)で所定の間欠受信間隔(但し、間欠受信間隔は前記送信期間よりも長い時間とする)を繰り返しカウントするとともに間欠受信間隔のカウントが完了する毎に無線送受信部2を起動して所望の電波(他の火災警報器TRが送信した無線信号)が受信できるか否かをチェックし、当該電波が捉えられなければ直ちに無線送受信部2を停止して待機状態に移行させることで平均消費電力を大幅に低減している。なお、電波の受信チェックは、無線送受信部2から出力される、受信信号強度の大小に比例した直流電圧信号である受信信号強度表示信号(Receiving Signal Strength Indication:RSSI信号)に基づいて制御部1が行っており、詳細については従来周知であるから省略する。
【0031】
さらに特定の火災警報器TR1(以下、親局と呼ぶ。)の制御部1では、定期的(例えば、24時間毎)に無線送受信部2を起動して他の火災警報器TR2,TR3,…(以下、子局と呼ぶ。)が正常に動作しているか否かの確認(定期監視)を行うために定期監視メッセージを含む無線信号を送信させる。子局TR2,…においては、制御部1が火災感知部4の故障の有無及び電池電源部7の電池切れの有無を一定周期で(例えば、1時間毎に)監視するとともに、その監視結果(故障の有無及び電池切れの有無)をメモリ部1aに記憶しており、親局TR1から定期監視メッセージを受け取ったときに、メモリ部1aに記憶している監視結果を通知するための通知メッセージを含む無線信号を親局TR1に返信する。親局TR1の制御部1は、通知メッセージを含む無線信号を送信した後、無線送受信部2を受信状態に切り換えて各子局TR2,…から送信される無線信号を受信し、定期監視メッセージを含む無線信号を送信してから所定時間内に通知メッセージを含む無線信号を送信してこない子局TR2,…があったり、あるいは、何れかの子局TR2,…が送信してきた通知メッセージが故障有り若しくは電池切れ有りの監視結果を通知するものである場合に、警報部5が備えるブザーを駆動して報知音を鳴動させるなどして子局TR2,…に異常(通信不可や故障有り、電池切れなど)が発生したことを知らせる機能も有している。尚、親局TR1及び子局TR2,…の制御部1は、故障若しくは電池切れが生じていると判断した場合、直ちに警報部5から異常(故障若しくは電池切れ)の発生を知らせるための警告音(ブザー音や音声メッセージなど)を警報部5のスピーカから鳴動させるようになっている。」

(4)「【0034】
次に、図3のタイムチャートを参照して、火災感知の前後における本実施形態の送受信動作を説明する。
【0035】
ここで、各火災警報器TR(親局TR1並びに子局TR2,…)が動作を開始する(タイマが間欠受信間隔のカウントを開始する)タイミングは通常一致しないので、制御部1が無線送受信部2を起動して電波を受信するタイミング(図3における下向きの矢印参照)も不揃いとなる。これに対して本実施形態では、各火災警報器TR(親局TR1並びに子局TR2,…)の無線送受信部2で同期信号が受信されると、制御部1がタイマによる間欠受信間隔Txのカウントを中止させるとともに同期信号の終了時点(t=t0)から一定の待機時間Twが経過した時点でタイマによる間欠受信間隔Txのカウントを再開させる。したがって、同期信号を受信した後は、各火災警報器TR(親局TR1並びに子局TR2,…)においてタイマが間欠受信間隔Txのカウントを完了するタイミングが揃うことになる。尚、同期信号は専用の送信局(図示せず)から送信するようにしてもよいし、後述するように火災警報器TRから送信しても構わない。専用の送信局から同期信号を送信した場合、火災警報器TRから同期信号を送信する場合と比較して火災警報器TRにおける電池の消耗を低減できるという利点がある。
【0036】
例えば、子局TR2において火災感知部4が火災を感知すると、子局TR2の制御部1は警報部5より警報音を鳴動させるとともに、タイマによる間欠受信間隔Txのカウント完了前に無線送受信部2を起動し、当該カウント完了時点を含む送信期間内に火災警報メッセージを含む無線信号を他の全ての火災警報器TR(親局TR1及び他の子局TR3,…)に宛てて送信する。この際、送信元の子局TR2の制御部1は、送信期間内で送信可能なフレーム数だけ無線信号を連続して送信し、送信期間後の休止期間(受信期間)には無線送受信部2を受信状態に切り換える。尚、各火災警報器TRにおいて間欠受信間隔Txのカウントが完了するタイミングが揃っているので、1回の送信期間で火災警報メッセージを含む無線信号を受信することができる。」

(5)図1から、火災警報器TR1、TR2が無線局であること、無線送受信部2が送信手段、受信手段で構成されること、及び制御部1が送信制御手段、受信制御手段、タイマ手段で構成されることが看取される。

上記記載事項、認定事項、及び図面の図示内容を総合して、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「複数の無線局からなり、これら複数の無線局間で電波を媒体とする無線信号を送受信する無線通信システムであって、
各無線局は、アンテナ3と、アンテナ3から電波を媒体とした無線信号を送信するとともに他の無線局が送信した無線信号をアンテナ3で受信する無線送受信部2と、定期監視又は火災感知のイベントが発生したときに所定の送信期間に前記イベントに対応した定期監視又は火災警報メッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させ、一定の間欠受信間隔を繰り返しカウントして前記間欠受信間隔のカウント中は無線送受信部2を停止させ、前記間欠受信間隔のカウントが完了する度に前記無線送受信部2を起動する制御部1と、電池を電源として各部に動作電源を供給する電池電源部7とを備え、
前記各無線局のうち親局の前記制御部1は、前記定期監視のイベントが発生したときに、前記所定の送信期間に前記イベントに対応した定期監視メッセージを含む無線信号を送信させるとともに前記所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を定期的に行う制御を行い、
前記親局の前記制御部は、前記無線送受信部2を起動して子局に対して定期的に無線信号を送信させ、子局が所定時間内に通知メッセージを含む無線信号を送信してこなかった場合は警報部5が備えるブザーを駆動して報知音を鳴動させるなどして子局に異常が発生したことを知らせる無線通信システム。」

2 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された上記引用文献3(特開2012-15975号公報)には、「アンテナ切り替え受信システム」に関して、図面(特に図24、図25を参照)とともに以下の事項が記載されている。

(1)「【請求項13】
それぞれのアンテナは、前記テスト信号を受信する際に、所定時間毎に交互に切り替えられることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システム。」

(2)「【請求項16】
パケット内のユニークワードを検出するユニークワード検出部と、
前記ユニークワード検出部によってユニークワードが検出されたことをきっかけとして、カウントを開始する通信周期カウンタ部を有し、
前記ユニークワード検出部によってユニークワードが検出された後、前記通信周期カウンタ部が所定値をカウントするまで次の定期通信のユニークワードを検出できなかったとき、別のアンテナに切り替えることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システム。」

(3)「【0004】
また、複数のアンテナを切り替える「切り替えダイバーシチ」、「選択ダイバーシチ」や各アンテナでの受信信号を合成する「合成ダイバーシチ」による対策がある。これらはマルチパスフェージングによる影響は受信器の場所や電波の偏波面などによって異なることを利用した方策である。「選択ダイバーシチ」は、複数のアンテナでの受信レベルを監視しておき、最適なアンテナで信号を受信する技術であるが、アンテナの個数分の受信器が必要となるため回路規模が大きくなるという欠点があった。また、「合成ダイバーシチ」は複数のアンテナで受信した信号の位相を揃えて合成する技術であるが、こちらもアンテナの個数分の受信器及び各信号の位相を合わせる移相器が必要となるため回路規模が大きくなるという欠点があった。
【0005】
「切り替えダイバーシチ」は一方のアンテナでマルチパスフェージングの影響がある場合は、もう一方のアンテナに切り替えることによりマルチパスフェージングの影響を低減するという技術である(例えば、特許文献1参照)。近年、携帯用無線機器の普及により、アンテナ切り替え部も小型化や低コスト化が要求されており、1つの受信機で構成できるため、開発が容易で回路規模が小さく低コスト化が図れる「切り替えダイバーシチ」が様々な無線器に搭載されている。」

(4)「【0067】
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態によるアンテナ切り替え受信システムについて説明する。第9実施形態のアンテナ切り替え受信システムの構成は、第1実施形態のアンテナ切り替え受信システムの構成と同等である。
【0068】
図19は第9実施形態のアンテナ切り替え受信システムにおいて、アンテナA及びアンテナBを用いて受信される信号と、この信号を受信したときの上記アンテナ切り替え受信システムの動作を示している。特に、当初アンテナAが選択されており、そのアンテナAによってプリアンブル信号を受信し、アンテナの受信レベルの測定をする長さが2シンボルに相当する場合の例を示している。そして、アンテナA及びアンテナBは、テスト信号を受信する際に、所定時間(図19においては、1/2シンボルに相当する時間)毎に切り替えられる。
【0069】
まず、アンテナAによってプリアンブル信号が受信されて検出された後、アンテナAでテスト1信号を受信して受信レベルの測定が開始される。アンテナAの受信レベルが測定されて保存されるとアンテナBに切り替えられ、アンテナBでもテスト1信号を受信して受信レベルの測定が開始される。アンテナBの受信レベルが測定されて保存されると再びアンテナAに切り替えられ、アンテナAでテスト2信号を受信して受信レベルの測定が開始される。そして、アンテナAの受信レベルが測定されて保存されると再びアンテナBに切り替えられ、アンテナBでもテスト2信号を受信して受信レベルの測定が測定されて保存される。こうして得られた受信レベルは、各アンテナ毎に平均化され、比較される。
【0070】
第9実施形態のアンテナ切り替え受信システムによれば、それぞれのアンテナは、テスト信号を受信する際に、所定時間毎に交互に切り替えられる。これにより、フェージングの発生等による瞬間的な受信レベルの落ち込み等の変動による誤判断を防いで、アンテナ選択の精度を向上させることができる。なお、アンテナの受信レベルの測定にあたっては、3シンボル以上の長さを用いてもよい。この場合、長時間に亘って受信レベルをより正確に判定することができる。また、アンテナの選択にあたっては、受信レベルの平均値に限られず、第8実施形態のアンテナ切り替え受信システムに係る最大相関値に基づくものとしてもよい。」

(5)「【0078】
(第12実施形態)
本発明の第12実施形態によるアンテナ切り替え受信システムについて説明する。図24は第12実施形態のアンテナ切り替え受信システムの概略構成を示している。第12実施形態のアンテナ切り替え受信システムは、第1実施形態のアンテナ切り替え受信システムの構成に、通信周期カウンタ部14を追加して構成されている。無線通信においては、通常、各機器の状態を確認するために各機器間において、例えば数分乃至数時間毎に定期通信が実行される。本第12実施形態は、定期通信の通信可否に応じてアンテナを切り替える。具体的には、選択されているアンテナで定期通信のユニークワードが所定の時間内に検出されなかったとき、他方のアンテナに切り替える。通信周期カウンタ部14は、ユニークワード検出部5によってパケット内のユニークワードが検出されたことをきっかけとして、カウントを開始する。
【0079】
図25は、第12実施形態のアンテナ切り替え受信システムにおいて、アンテナA及びアンテナBを用いて受信される信号と、この信号を受信したときの上記アンテナ切り替え受信システムの動作を示している。特に、当初アンテナAが選択されており、そのアンテナAによってプリアンブル信号を受信する場合の例を示している。図25において、送信システムからは、定期通信パケット1、定期通信パケット2、定期通信パケット3、定期通信パケット4...が定期的に送信される。これらの定期通信パケットは、通常のデータ伝送信号や制御信号の合間に適宜送信される。アンテナAによって定期通信パケット1が受信されると、通信周期カウンタ部14は、ユニークワード検出部5によってパケット内のユニークワードが検出されたことをきっかけとして、カウントを開始する。その後アンテナAに故障等が発生すると、通信周期カウンタ部14のカウント値が一定値を超えても、アンテナ切り替え受信システムは、定期通信パケット2を受信できなくなる。このとき、アンテナ制御部4は、アンテナAに故障等が発生した可能性があると判断して、アンテナBに切り替えて、定期通信パケット3以降を受信する。
【0080】
第12実施形態のアンテナ切り替え受信システムは、ユニークワード検出部5によってユニークワードが検出された後、通信周期カウンタ部14が所定値をカウントするまでに次の定期通信のユニークワードが受信できなかったとき、別のアンテナに切り替える。これにより、選択されているアンテナに故障等の不具合が発生したことを検知して別のアンテナに切り替えることができるので、受信できない状態が継続してしまうことを防止できる。」

上記記載事項、及び図面の図示内容を総合して、本願発明1に則って整理すると、引用文献3には、次の発明(以下「引用文献3に記載された事項」という。)が記載されている。

「受信機は、定期通信パケットの受信に成功するまでの間、前記定期通信パケットを受信できなくなると、受信機で使用するアンテナを切り換えるアンテナ切り替え受信システム。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、後者の「定期監視又は火災感知のイベント」は前者の「所定のイベント」に、以下同様に、「定期監視又は火災警報メッセージ」は「所定のメッセージ」に、「定期監視又は火災感知のイベントが発生したときに所定の送信期間に前記イベントに対応した定期監視又は火災警報メッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させ、一定の間欠受信間隔を繰り返しカウントして前記間欠受信間隔のカウント中は無線送受信部2を停止させ、前記間欠受信間隔のカウントが完了する度に前記無線送受信部2を起動する制御部1」は「所定のイベントが発生したときに所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる制御と、一定の間欠受信間隔を繰り返しカウントして前記間欠受信間隔のカウント中は前記無線送受信部を停止させ、前記間欠受信間隔のカウントが完了する度に前記無線送受信部を起動する制御とを行う制御部」に、「電池を電源として各部に動作電源を供給する電池電源部7」は「電池を電源として前記各手段に動作電力を給電する電池電源部」に、「親局」は「一の無線局」に、「前記各無線局のうち親局の前記制御部1は、前記定期監視のイベントが発生したときに、前記所定の送信期間に前記イベントに対応した定期監視メッセージを含む無線信号を送信させるとともに前記所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を定期的に行う制御」は、「前記各無線局のうち一の無線局の前記制御部は、前記所定のイベントが発生したときに前記所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに前記所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を交互に繰り返す制御」に、「子局」は「他の無線局」に、それぞれ相当する。

また、引用発明における「アンテナ3」は、本願発明1における「複数のアンテナ」と、「アンテナ」という限りで共通し、
引用発明における「アンテナ3から電波を媒体とした無線信号を送信するとともに他の無線局が送信した無線信号をアンテナ3で受信する無線送受信部2」は、本願発明1における「前記各アンテナのうち何れか1つを使用して無線信号を送受信する無線送受信部」と、「前記アンテナを使用して無線信号を送受信する無線送受信部」という限りで共通し、
引用発明における「前記親局の前記制御部は、前記無線送受信部2を起動して子局に対して定期的に無線信号を送信させ、子局が所定時間内に通知メッセージを含む無線信号を送信してこなかった場合は警報部5が備えるブザーを駆動して報知音を鳴動させるなどして子局に異常が発生したことを知らせる」ことは、本願発明1における「前記一の無線局の前記制御部は、前記無線送受信部を起動して他の無線局に対して定期的に無線信号を送信させ、返信のない前記他の無線局に対しては返信があるまで前記定期的な無線信号を所定の回数送信させ」ることと、「前記一の無線局の前記制御部は、前記無線送受信部を起動して他の無線局に対して定期的に無線信号を送信させ」るという限りで共通する。

したがって、両者は、
「複数の無線局から成り、これら複数の前記無線局間で電波を媒体とする無線信号を送受信する無線通信システムであって、
前記各無線局は、アンテナと、前記アンテナを使用して無線信号を送受信する無線送受信部と、所定のイベントが発生したときに所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる制御と、一定の間欠受信間隔を繰り返しカウントして前記間欠受信間隔のカウント中は前記無線送受信部を停止させ、前記間欠受信間隔のカウントが完了する度に前記無線送受信部を起動する制御とを行う制御部と、電池を電源として前記各手段に動作電力を給電する電池電源部とを備え、
前記各無線局のうち一の無線局の前記制御部は、前記所定のイベントが発生したときに前記所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに前記所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を交互に繰り返す制御を行い、
前記一の無線局の前記制御部は、前記無線送受信部を起動して他の無線局に対して定期的に無線信号を送信させる無線通信システム。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
本願発明1においては、「複数の」アンテナと、前記「各」アンテナ「のうち何れか1つ」を使用して無線信号を送受信する無線送受信部を有し、「前記他の無線局は、前記定期的な無線信号の受信に成功するまでの間、前記定期的な無線信号の受信に失敗する毎に、以前の失敗時に使用していた前記アンテナを切り換えの候補に含めて、前記無線送受信部で使用する前記アンテナを切り換える」ものであるのに対して、引用発明はかかるものではない点。

〔相違点2〕
本願発明1は、前記一の無線局の前記制御部は、前記無線送受信部を起動して他の無線局に対して定期的に無線信号を送信させ、「返信のない前記他の無線局に対しては返信があるまで前記定期的な無線信号を所定の回数送信させ」るものであるのに対して、引用発明は、前記親局の前記制御部は、前記無線送受信部2を起動して子局に対して定期的に無線信号を送信させ、子局が所定時間内に通知メッセージを含む無線信号を送信してこなかった場合は警報部5が備えるブザーを駆動して報知音を鳴動させるなどして子局に異常が発生したことを知らせるものである点。

(2)相違点についての判断
相違点1について検討する。
本願発明1と引用文献3に記載された事項を対比すると、定期通信パケットの受信は、定期的な無線信号の受信に相当するから、後者の「定期通信パケットの受信に成功するまでの間」は前者の「定期的な無線信号の受信に成功するまでの間」に相当し、以下同様に、「前記定期通信パケットを受信できなくなる」ことは「前記定期的な無線信号の受信に失敗する」ことに、アンテナは無線通信に用いられているから、「アンテナ切り替え受信システム」は「無線通信システム」に、それぞれ相当する。

したがって、引用文献3に記載された事項を本願発明1の用語を用い、その記載ぶりに則って整理すると次の様に表現できる。

「受信機は、定期的な無線信号の受信に成功するまでの間、前記定期的な無線信号の受信に失敗すると、受信機で使用するアンテナを切り換える無線通信システム。」

してみると、引用文献3に記載された事項は、相違点1に係る発明特定事項のうち、定期的な無線信号の受信に失敗する「毎に、以前の失敗時に使用していた前記アンテナを切り換えの候補に含めて」、前記受信機で使用する前記アンテナを切り換えるものではない。
また、引用文献3の段落【0080】には、さらに「選択されているアンテナに故障等の不具合が発生したことを検知して別のアンテナに切り替えることができる」との記載がある。そして、故障したアンテナは使用不能であるから、故障したアンテナと一旦判断されたアンテナへの再度の切り替えは行わないと解することが合理的であって、引用文献3に記載された事項は、定期的な無線信号の受信に失敗する「毎に、以前の失敗時に使用していた前記アンテナを切り換えの候補に含め」るもの、すなわち故障したアンテナを切り替えの候補に含めるものではない。
なお、引用文献3の請求項13には、アンテナの切り換えが交互に行われることが記載されているが、当該記載は、引用文献3に記載された事項に対応するアンテナ故障等の不具合への対策を目的とした明細書の段落【0078】ないし段落【0080】に記載される第12実施形態とは異なる、マルチパスフェージングの影響への対策を目的とした段落【0067】ないし段落【0070】に記載される第9実施形態に対応するものであって、第12実施形態はアンテナの切り換えが交互に行われるものではない。そして、アンテナの切り替え技術がマルチパスフェージングの影響への対策として周知技術であるといえども、第12実施形態はマルチパスフェージングの影響への対策を目的としたものではなく、あくまでアンテナ故障等の不具合への対策を目的としたものであるから、「以前の失敗時に使用していた前記アンテナを切り換えの候補に含め」るものが引用文献3に記載されているに等しいとはいえない。

また、原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用文献2(特開2009-265762号公報)にも、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項についての記載はない。

そうしてみると、引用発明に引用文献2及び引用文献3に記載された事項を適用して、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本願発明1は、相違点2を検討するまでもなく、引用発明、上記引用文献2及び引用文献3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

したがって、本願発明1は、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と実質的に同様の理由により、引用発明、上記引用文献2及び引用文献3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断
平成29年8月7日の手続補正により補正された請求項1は、「複数の」アンテナと、前記「各」アンテナ「のうち何れか1つ」を使用して無線信号を送受信する無線送受信部を有し、「前記他の無線局は、前記定期的な無線信号の受信に成功するまでの間、前記定期的な無線信号の受信に失敗する毎に、以前の失敗時に使用していた前記アンテナを切り換えの候補に含めて、前記無線送受信部で使用する前記アンテナを切り換える」との事項を備えるものとなっており、上記のとおり、本願発明1ないし3は、引用発明、上記引用文献2及び引用文献3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由について
1 当審では、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知している。

請求項1には、「各無線局」が、「所定のイベントが発生したときに所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を交互に繰り返す」と記載されている。
これに対して、本願明細書には、上記記載に関して、段落【0024】に「さらに、親局TR1の制御部6では、定期的(例えば、24時間毎)に無線送受信部2を起動して定期監視を行うために定期監視メッセージを含む無線信号を送信させる。ここで、『定期監視』とは、子局TR2,…が正常に動作しているか否かの確認を行うことである。親局TR1の制御部6は、定期監視メッセージを含む無線信号を送信した後は、無線送受信部2を受信状態に切り換えて各子局TR2,…から送信される無線信号を受信する。」との記載が、段落【0030】に「子局TR2の制御部6は、タイマによる間欠受信間隔T1のカウント完了前に無線送受信部2を起動する。そして、子局TR2の制御部6は、当該カウント完了時点を含む送信期間内に火災警報メッセージを含む無線信号を他の全ての火災警報器(親局TR1及び他の子局TR3,…)に宛てて送信する。この際、送信元の子局TR2の制御部6は、送信期間内で送信可能なフレーム数だけ無線信号を連続して送信し、送信期間後の休止期間(受信期間)には無線送受信部2を受信状態に切り換える。」との記載が、段落【0033】に「他の子局TR3,TR4の制御部6は、無線送受信部2より火災警報メッセージの受信を確認する応答メッセージ(ACK)を無線信号によって返信する。」との記載があり、また、図2には、火災警報メッセージと応答メッセージは送信されるが、繰り返されないことが示されている。

本願明細書及び図面によれば、「親局TR1」は、「定期監視」のイベントが発生したときに「定期監視メッセージ」を含む無線信号を送信させる動作を「定期的」に行っていることから、「親局TR1」は、「所定のイベントが発生したときに所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を交互に繰り返す」ものである。
しかしながら、「各子局TR2,TR3,TR4,…」は、「火災警報」、「火災警報メッセージの受信を確認する」イベントが発生したときに、各々「火災警報メッセージ」、「応答メッセージ」を送信させる動作を行っているから、「所定のイベントが発生したときに所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作」は行っているが「動作を交互に繰り返す」ものではない。
してみると、親局及び子局を含む「各無線局」が、「所定のイベントが発生したときに所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を交互に繰り返す」ことは、本願明細書に記載されているとはいえない。

これに対して、平成29年8月7日の手続補正により、「一の無線局」の制御部が「所定のイベントが発生したときに所定の送信期間に前記イベントに対応したメッセージを含む無線信号を送信させるとともに所定の休止期間に無線信号の送信を休止させる動作を交互に繰り返す制御を行」うことを特定した結果、この拒絶理由は解消した。

2 当審では、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知している。

請求項3には、「各無線局は、火災の発生を感知する火災警報器と、空気質を測る空気質センサを有する無線局と、人の存在を検知する人センサを有する無線局との少なくとも何れか1種である」と記載されている。しかしながら、記載の整合性から判断して、上記「火災の発生を感知する火災警報器」は、「火災の発生を感知する火災警報器を有する無線局」の誤記である。

これに対して、平成29年8月7日の手続補正により、請求項3の「火災の発生を感知する火災警報器」を「火災の発生を感知する火災警報器を有する無線局」と変更した結果、この拒絶理由は解消した。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし3は、いずれも、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-11-07 
出願番号 特願2012-199914(P2012-199914)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G08B)
P 1 8・ 537- WY (G08B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 須藤 竜也藤江 大望  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 小関 峰夫
滝谷 亮一
発明の名称 無線通信システム  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  
代理人 坂口 武  
代理人 仲石 晴樹  
代理人 北出 英敏  
代理人 西川 惠清  
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