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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1334117
審判番号 不服2017-3176  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-03 
確定日 2017-11-02 
事件の表示 特願2015-222465「触感呈示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月25日出願公開、特開2017- 91324〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成27年11月12日の出願であって、平成28年8月10日付けで拒絶理由通知がなされ、平成28年10月17日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出され、平成28年11月30日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年12月6日)、平成29年3月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成28年10月17日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「 [請求項1]
ベース部と、
インタフェース表面を有するパネルと、
前記ベース部および前記パネルに取り付けられた板状部材と、当該板状部材に取り付けられた圧電素子とから構成され、前記パネルが前記インタフェース表面に対して横方向に移動するように構成される圧電アクチュエータと、を備え、
前記圧電アクチュエータの湾曲に応じて、前記パネルが前記インタフェース表面に対して横方向に移動して、当該インタフェース表面において触感を呈示することを特徴とする触感呈示装置。」

3.引用文献、引用発明について
(1) 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に公開された、特開2007-34954号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 段落[0012]-[0015]
「[0012]
図1において、引用符号10は入出力装置の全体を示し、引用符号12はこの入出力装置を装備した電子機器(図2に示したカメラなど)の筐体を示している。筐体12は、電子機器の筐体であると共に、入出力装置10の筐体でもある。入出力装置10は、平面視長方形の平板形状のタッチパネル14を備えている。図示例の入出力装置10は、いわゆるタッチパネルディスプレイ装置として構成されており、そのため、タッチパネル14は液晶ディスプレイパネルと重ね合わされて一体化されているが、ただし本発明は、ディスプレイパネルを含まない実施の形態とすることも可能である。それゆえ、本発明に関しては、ディスプレイパネルと一体化されているものも、そうでないものも、いずれもタッチパネルと称する。タッチパネル12(当審注:「14」の誤記と認める。)の表面は、入出力装置10を操作しようとするユーザが指先を接触させるパネル面をなしている。
[0013]
タッチパネル14は、可動支持手段を介して、そのパネル面に平行な平面に沿って変位可能に筐体12上に支持されている。図示例の可動支持手段は、タッチパネル14の裏面の四隅において、このタッチパネル14と筐体12との間に設けられた小さな弾性体ブロック16により構成されている。それら弾性体ブロック16が弾性剪断変形することによって、タッチパネル14は、そのパネル面に平行な平面に沿って変位する。可動支持手段は、タッチパネル14をできるだけ容易に変位させることができるようなものとすることが望ましく、それには、弾性体ブロック16を、超低硬度の高分子ゲル材料から成るものとするとよい。例えば、北川工業株式会社が「KGゲル(商標)」という製品名で市場に提供している、シート状の超低硬度の高分子ゲル材料は、弾性体ブロック16の材料として特に適したものである。その具体例について述べると、例えば、厚さが1mmの「KGゲル(商標)」のシートを2mm角に切断することによって、高さが1mmの弾性体ブロックを形成し、その弾性体ブロックの上下両面を、両面接着シートなどを用いて筐体12とタッチパネル14とに接着することにより、タッチパネル14の可動支持手段を好適に構成することができる。高分子ゲル材料以外の弾性体ブロック16適当な材料としては、例えば、種々のラバー材料、軟質ポリエチレン、それにシリコーン樹脂などがある。また更に、タッチパネル14を筐体12上に支持するための可動支持手段は、以上に説明したような弾性体ブロック16で構成したものに限られず、それ以外の様々な構成のものとすることもでき、例えばボールやローラなどの転動体を用いて構成してもよく、また、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などの低摩擦材料を用いて構成してもよい。
[0014]
図1に示し、また図3にも示したように、筐体12には、平面視長方形の平板形状のタッチパネル14の1つの側辺に対向するようにして、剛性の大きな固定壁30が設けられている。図示例の固定壁30は、筐体12の一部を成すものであるが、ただし、この固定壁30を、筐体12に固定結合したフレームによって形成するようにしてもよい。更に、互いに対向したタッチパネル14の側辺と固定壁30との間に、アクチュエータ32が配設されている。本発明は様々な種類のアクチュエータを用いて実施し得るものであるが、軽量且つコンパクトな構成とする上では圧電アクチュエータを使用することが好ましく、バイモルフ型またはユニモルフ型の屈曲変位型圧電アクチュエータを使用すれば、軽量化及び小型化という点で一層好ましい。また、バイモルフ型圧電アクチュエータとモノモルフ型圧電アクチュエータとのいずれにも、積層型と単層型とがあるが、前者の方が低い電圧で駆動できることから、モバイル電子機器に用いるのにより適している。それゆえ、現時点で最も好ましいと考えられるのは、アクチュエータ32として積層バイモルフ型圧電アクチュエータまたは積層ユニモルフ型圧電アクチュエータを使用することであり、図示例でも、積層バイモルフ型アクチュエータを使用している。尚、図1では構造の理解し易さを考慮して、アクチュエータ32の厚さ方向の寸法を誇張して描いてあるが、実際の積層バイモルフ型圧電アクチュエータまたは積層モノモルフ型アクチュエータは、図示したものよりも、はるかに薄く、非常に軽量のアクチュエータである。また、入出力装置10に備えるアクチュエータの個数は、1個だけに限られるものではなく、必要とあらば複数のアクチュエータを備えるようにしてもよい。
[0015]
図1に示したように、細長い板状の積層バイモルフ型圧電アクチュエータ32は、その長手方向両端部がスペーサブロック34を介して固定壁30に連結されており、各スペーサブロック34とアクチュエータ32の各端部との間、並びに、各スペーサブロック34と固定壁30との間は、両面接着テープを用いて接着されている。また、アクチュエータ32は、その長手方向中央部が、スペーサブロック36を介してタッチパネル14の側辺(固定壁30に対向している側辺)に連結されており、スペーサブロック36とアクチュエータ32との間、並びに、スペーサブロック36とタッチパネル14の側辺との間は、両面接着テープを用いて接着されている。このように筐体12の固定壁30とタッチパネル14との間に取付けた積層バイモルフ型圧電アクチュエータ32に電圧を印加すると、このアクチュエータ32が屈曲変位を発生するため、その長手方向中央部が図1に矢印Aで示した方向に変位して、タッチパネル14を矢印Bで示した方向に変位させる。この変位の向き及び大きさは、印加する電圧の極性及び大きさに対応したものとなる。また、こうして発生するタッチパネル14の変位の方向は、このタッチパネル14のパネル面に平行な平面に沿った方向である。従って、アクチュエータ32は、タッチパネル14を、そのパネル面に平行な平面に沿った方向に駆動して運動ないし振動させるものである。」

イ 段落[0018]
「[0018]
以上に説明した構成においては、アクチュエータ32は、その両端部が筐体12の固定壁30に連結されて両持式に取付けられており、タッチパネル14はこのアクチュエータ32の中央部によって駆動されるようにしてある。ただし、アクチュエータ32の取付方(当審注:「取付方法」の誤記と認める。)はこのようなものに限られない。例えば、以上の構成とは逆に、アクチュエータ32の両端部をタッチパネル14側に連結し、中央部を固定壁30側に取付けてもよいことはいうまでもなく、更に、両持式にするのではなく、アクチュエータ32の一端部を固定壁30に連結し、他端部をタッチパネル14に連結して、片持式に取付けることも可能である。」

ウ 段落[0023]
「[0023]
図5のA?Dに、波形生成機構62で生成される波形の具体例を示した。図から明らかなように、それらは振動波形であり、その振幅、周期、及び波形は、一定のものもあれば変化するものもある。メモリ60に格納されている波形データには、振幅及び周期に関するデータも含まれている。そして、メモリ60に格納されている複数の波形に対応した波形データのうちから、波形選択信号により指定された波形の波形データが読出され、その波形を有するアクチュエータ駆動信号がアクチュエータ32へ供給されるため、タッチパネル14は、そのアクチュエータ駆動信号の波形に従って、パネル面に平行な平面に沿って振動することになる。そして、このタッチパネル14の振動が、タッチパネル14のパネル面に触れているユーザの指先に、その駆動信号の波形に応じた触覚を発生させる。従って、換言するならば、アクチュエータ駆動制御機構56は、タッチパネル14を駆動して複数の所定の振動パターンのうちから選択した振動パターンで振動させるものであり、また、それら複数の所定の振動パターンは、タッチパネル14のパネル面に接触しているユーザの指先に互いに異なった触覚を発生させるものである。」

よって、上記各記載事項を関連図面と技術常識に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「入出力装置10であって、
筐体12は、電子機器の筐体であると共に、入出力装置10の筐体でもあり、
平面視長方形の平板形状のタッチパネル14を備え、
タッチパネル14の表面は、入出力装置10を操作しようとするユーザが指先を接触させるパネル面をなし、
筐体12には、平面視長方形の平板形状のタッチパネル14の1つの側辺に対向するようにして、剛性の大きな固定壁30が設けられ、
固定壁30は、筐体12の一部を成すものであり、
互いに対向したタッチパネル14の側辺と固定壁30との間に、アクチュエータ32が配設され、
様々な種類のアクチュエータを用いて実施し得るものであるが、軽量且つコンパクトな構成とする上では圧電アクチュエータを使用することが好ましく、バイモルフ型またはユニモルフ型の屈曲変位型圧電アクチュエータを使用すれば、軽量化及び小型化という点で一層好ましく、現時点で最も好ましいと考えられるのは、アクチュエータ32として積層バイモルフ型圧電アクチュエータまたは積層ユニモルフ型圧電アクチュエータを使用することであり、
細長い板状の積層バイモルフ型圧電アクチュエータ32は、その長手方向両端部がスペーサブロック34を介して固定壁30に連結され、また、アクチュエータ32は、その長手方向中央部が、スペーサブロック36を介してタッチパネル14の側辺(固定壁30に対向している側辺)に連結され、

以上の構成とは逆に、アクチュエータ32の両端部をタッチパネル14側に連結し、中央部を固定壁30側に取付けてもよく、
アクチュエータ駆動信号がアクチュエータ32へ供給されるため、タッチパネル14は、アクチュエータ駆動信号の波形に従って、パネル面に平行な平面に沿って振動することになり、そして、このタッチパネル14の振動が、タッチパネル14のパネル面に触れているユーザの指先に、その駆動信号の波形に応じた触覚を発生させる、
入出力装置10。」

(2) 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に公開された、特開2014-99140号公報(以下、「引用文献2」という。)には、段落[0031]-[0036]に、図面(特に、図6)とともに以下の記載がある。

「[0031]
<振動部の構成>
図6を用いて振動部13の構成を説明する。図6は、本実施の形態の振動部13の外観斜視図である。振動部13は、図6に示すように、圧電素子21と、シム板22と、ベース23とを備える。細長い板状のシム板22の両面には、圧電素子21が接着されている。シム板22の両端はベース23と接続されており、振動部13はいわゆる両持ち構成になっている。各ベース23は、タッチパネル11と接続されている。
[0032]
圧電素子21は、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックやニオブ酸リチウム等の圧電単結晶である。振動部13の振動時は、圧電素子21が、振動制御部33からの電圧により、伸縮する。振動部13の振動時は、シム板22の両面に貼り付けられた一対の圧電素子21の片方が伸びると同時に、もう片方が縮むように、振動制御部33が圧電素子21を制御することで、シム板22にたわみ振動を発生させることができる。
[0033]
シム板22は、リン青銅等のバネ部材である。シム板22の振動はベース23を通じて、タッチパネル11を振動させる。その結果、タッチパネル11をタッチ操作しているユーザは、タッチパネル11の振動を感知することができる。
[0034]
ベース23は、アルミや真鍮等の金属や、PETやPP等のプラスチックである。
[0035]
振動部13の振動(シム板22の振動)の周波数、振幅、及び期間は、振動制御部33によって制御される。なお、振動部13の振動の周波数としては、100?400Hz程度の周波数が望ましい。
[0036]
なお、本実施の形態では、圧電素子21をシム板22に貼り付けてシム板22の振動によってタッチパネル11を振動させているが、圧電素子21を直接タッチパネル11に貼り付けて圧電素子21の伸縮(長さ方向の振動)によってタッチパネル11を振動させてもよい。また、タッチパネル11の上にカバー部材等を設ける場合は、圧電素子21をカバー部材に貼り付けて圧電素子21の伸縮によってカバー部材を振動させることで、タッチパネル11を振動させてもよい。また、振動部13の振動源として、圧電素子21の替わりに振動モータを用いてもよい。」

(3) 引用文献3について
当審で新たに引用する、本願出願前に公開された、特開2010-15514号公報(以下、「引用文献3」という。)には、段落[0042]-[0045]に、図面(特に図7)とともに以下の記載がある。

「[0042]
続いて、圧電アクチュエータの他の取り付け方法を説明する。図7Aは、圧電アクチュエータ21Aの取付例を示す側面図である。図7Bは、圧電アクチュエータ21Aのみを抽出した側面図及び上面図である。なお、圧電アクチュエータP1?P4と同じ構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
[0043]
図7Aに示す圧電アクチュエータ21Aは、圧電体22a、22b及びシム23Aを備えている。シム23Aは金属板の一例であり、その上面には圧電体22aが設けられ、底面には圧電体22bが設けられている。シム23Aは厚さ0.1mm程度であり、脆い圧電体22a、22bを補強する機能と、圧電体22a、22bに電力を供給するための電極の機能を併せ持つ。シム23Aの材料としては、SUS(ステンレス鋼)、りん青銅、4-2アロイなど金属材料の他、炭素繊維強化プラスティックなども使用可能である。シム23Aは制御部15に接続される。
[0044]
シム23Aの両端は、圧電アクチュエータ21Aを支える第1の支持台24A及び第2の支持台25AによりLCD2のベースに固定されている。また、圧電アクチュエータ21Aの中央上部は第3の支持台26により透明パネル1に固定されている。これらの支持台24A、25A、26の材料は特に制約はないが、シム23Aが電極を兼ねているため、プラスティックなど非導電性の材料が好ましい。支持台24A、25AとLCD2のベース、また支持台24A、25Aとシム23Aの間は接着剤や両面粘着テープにより接着されて固定されている。また、支持台26と圧電体22a、透明パネル1の間も接着剤や両面粘着テープにより接着されて固定されている。
[0045]
このように、圧電アクチュエータ21Aによれば、圧電体22a、22bを強固にベースに固定できる。また、圧電体22a、22bに触覚を発生させるための電圧が付加された場合、圧電体22a、22bの変形を妨げることないので、少ない電力でユーザに触覚を提示することが可能である。」

4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1) 引用発明において、「固定壁30」を含む「筐体12」は、本願発明の「ベース部」に相当する。

(2) 引用発明の「タッチパネル14」は、本願発明の「パネル」に相当する。
引用発明の「パネル面」は、「タッチパネル14の表面は、入出力装置10を操作しようとするユーザが指先を接触させるパネル面をなし」ているから、本願発明の「インタフェース表面」に相当する。
よって、引用発明の「タッチパネル14」は、本願発明の「インタフェース表面を有するパネル」に相当する。

(3) 引用発明の「アクチュエータ32」は、「圧電アクチュエータを使用することが好まし」いものであるから、本願発明の「圧電アクチュエータ」に相当するといえる。
引用発明の「アクチュエータ32」は、「その長手方向両端部がスペーサブロック34を介して固定壁30に連結され、また、アクチュエータ32は、その長手方向中央部が、スペーサブロック36を介してタッチパネル14の側辺(固定壁30に対向している側辺)に連結され、以上の構成とは逆に、アクチュエータ32の両端部をタッチパネル14側に連結し、中央部を固定壁30側に取付けてもよ」いものであるから、本願発明の「前記ベース部および前記パネルに取り付けられ」る、「圧電アクチュエータ」に相当する。
引用発明の「アクチュエータ32」は、「アクチュエータ駆動信号がアクチュエータ32へ供給されるため、タッチパネル14は、アクチュエータ駆動信号の波形に従って、パネル面に平行な平面に沿って振動する」から、本願発明の「前記パネルが前記インタフェース表面に対して横方向に移動するように構成される圧電アクチュエータ」に相当する。
よって、引用発明の「アクチュエータ32」は、本願発明の「前記ベース部および前記パネルに取り付けられた板状部材と、当該板状部材に取り付けられた圧電素子とから構成され、前記パネルが前記インタフェース表面に対して横方向に移動するように構成される圧電アクチュエータ」と、「前記ベース部および前記パネルに取り付けられ、前記パネルが前記インタフェース表面に対して横方向に移動するように構成される圧電アクチュエータ」である点で共通するといえる。

(4) 引用発明において、「アクチュエータ32」として、「バイモルフ型またはユニモルフ型の屈曲変位型圧電アクチュエータ」を用いている場合に、「アクチュエータ駆動信号がアクチュエータ32へ供給されるため、タッチパネル14は、アクチュエータ駆動信号の波形に従って、パネル面に平行な平面に沿って振動することになり、そして、このタッチパネル14の振動が、タッチパネル14のパネル面に触れているユーザの指先に、その駆動信号の波形に応じた触覚を発生させる」ことは、本願発明において、「前記圧電アクチュエータの湾曲に応じて、前記パネルが前記インタフェース表面に対して横方向に移動して、当該インタフェース表面において触感を呈示する」ことに相当するといえる。

(5) 引用発明の「入出力装置10」は、「タッチパネル14のパネル面に触れているユーザの指先に、その駆動信号の波形に応じた触覚を発生させる」ものであるから、後述する相違点を除き、本願発明の「触感呈示装置」に相当するといえる。

したがって、本願発明と引用発明との一致点・相違点は次のとおりである。

[一致点]
「ベース部と、
インタフェース表面を有するパネルと、
前記ベース部および前記パネルに取り付けられ、前記パネルが前記インタフェース表面に対して横方向に移動するように構成される圧電アクチュエータと、を備え、
前記圧電アクチュエータの湾曲に応じて、前記パネルが前記インタフェース表面に対して横方向に移動して、当該インタフェース表面において触感を呈示することを特徴とする触感呈示装置。」

[相違点]
「圧電アクチュエータ」が、本願発明では、「前記ベース部および前記パネルに取り付けられた板状部材と、当該板状部材に取り付けられた圧電素子とから構成され、前記パネルが前記インタフェース表面に対して横方向に移動するように構成される圧電アクチュエータ」であるのに対して、引用発明では、「アクチュエータ32」は「前記ベース部および前記パネルに取り付けられた板状部材と、当該板状部材に取り付けられた圧電素子とから構成され」ることは、特定がなされていない点。

5.当審の判断
[相違点]について
引用発明の「アクチュエータ32」は、「様々な種類のアクチュエータを用いて実施し得るものであるが、軽量且つコンパクトな構成とする上では圧電アクチュエータを使用することが好ましく、バイモルフ型またはユニモルフ型の屈曲変位型圧電アクチュエータを使用すれば、軽量化及び小型化という点で一層好ましく、現時点で最も好ましいと考えられるのは、アクチュエータ32として積層バイモルフ型圧電アクチュエータまたは積層ユニモルフ型圧電アクチュエータを使用することであ」るから、様々な種類のアクチュエータを採用することが記載、示唆されているといえる。

そして、圧電アクチュエータを、シム板などの板状部材と圧電素子とで構成することは、本願出願前において周知技術である(必要ならば、例えば、上記「3(2)」の引用文献2の段落[0031]-[0036]、図6、及び、上記「3(3)」の引用文献3の段落[0042]-[0045]、図7を参照)。

よって、引用発明において、圧電アクチュエータ32を、板状部材と圧電素子とで構成する周知技術を採用することによって、本願発明に係る上記[相違点]の構成とすることは、当業者であれば容易に推考し得ることである。

さらに、本願発明の効果も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。

6.むすび
したがって、本願発明は、引用発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-09-04 
結審通知日 2017-09-05 
審決日 2017-09-19 
出願番号 特願2015-222465(P2015-222465)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菊池 伸郎松田 岳士  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 稲葉 和生
山澤 宏
発明の名称 触感呈示装置  
代理人 内海 一成  
代理人 太田 昌宏  
代理人 杉村 憲司  

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