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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1334118
審判番号 不服2017-3193  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-03 
確定日 2017-11-02 
事件の表示 特願2012-154059「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月30日出願公開、特開2014- 14517〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年7月9日の出願であって、平成28年4月8日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年6月17日に意見書が提出されたところ、平成28年11月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年3月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、平成29年5月29日付けで前置報告がなされ、平成29年7月5日に上申書が提出されたものである。

第2 平成29年3月3日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年3月3日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1、2を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「【請求項1】
所定の遊技を行なう遊技機であって、
遊技者にとって有利な特典を付与するか否かを決定する特典付与決定手段と、
前記特典付与決定手段の決定結果に関する演出であって、当該決定結果を報知するまでの導入部と、当該導入部に続いて当該決定結果に関する情報を報知する主要部とから構成された報知演出を実行する報知演出実行手段とを備え、
前記報知演出実行手段は、
前記導入部において第1演出が実行されたときの方が第2演出が実行されたときよりも特典が付与される可能性が高くなるように前記報知演出を実行し、
主要部で特典が付与される旨を報知する前記報知演出を実行するときにおいて、当該報知演出の開始よりも前の特定期間において実行されていた報知演出の導入部で第1演出を実行しかつ主要部で特典が付与されない旨を報知していたときには、当該報知演出の導入部で第2演出を実行することを規制する、遊技機。」

から

「【請求項1】
A 所定の遊技を行なう遊技機であって、
B 遊技者にとって有利な特典を付与するか否かを決定する特典付与決定手段と、
C 前記特典付与決定手段の決定結果に関する演出であって、当該決定結果を報知するまでの導入部と、当該導入部に続いて当該決定結果に関する情報を報知する主要部とから構成された報知演出を実行する報知演出実行手段とを備え、
D 前記報知演出実行手段は、前記導入部に続く前記主要部で特典が付与される旨が報知されるか否かに関する導入演出を当該導入部において実行可能であり、
E 前記導入演出には、第1演出と、第2演出とが含まれ、
F 前記第1演出は、前記第2演出よりも特典が付与される可能性が高く、
G 前記報知演出実行手段は、
第1の導入部に続く第1の主要部で特典が付与されない旨を報知する第1の報知演出を実行した後、第2の導入部に続く第2の主要部で特典が付与される旨を報知する第2の報知演出を実行可能であり、
H 前記第1の導入部で前記第1演出を実行したときに、前記第2の導入部で前記第2演出を実行することを規制する、遊技機。」

に補正された(下線部は補正箇所を示す。また、A?Hは、分説するために当審にて付した。)。

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「報知演出実行手段」に関して、「前記導入部に続く前記主要部で特典が付与される旨が報知されるか否かに関する導入演出を当該導入部において実行可能」である点、及び、「第1の導入部に続く第1の主要部で特典が付与されない旨を報知する第1の報知演出を実行した後、第2の導入部に続く第2の主要部で特典が付与される旨を報知する第2の報知演出を実行可能」である点を限定するとともに、「第1演出」及び「第2演出」に関して、「前記導入演出には、第1演出と、第2演出とが含まれ」る点を限定するものである。
また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示したとおりのものである。

(2)刊行物
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2010-220637号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(1-a) 「【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1?図8は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に開閉自在に枢着された前枠3とを備えている。前枠3の前側には、ガラス扉4と前面板5とが上下に配置され、前枠3に開閉自在に枢支されている。」

(1-b) 「【0022】
演出図柄表示手段25は、例えば特別図柄表示手段23による特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示するもので、1個又は複数個、例えば左右方向に3個の演出図柄を例えば各種の演出画像と共に画像表示装置21の表示画面21aに変動表示可能に構成されており、特別図柄始動手段16が遊技球を検出すること、即ち上下2つの特別始動口27a,27bの何れかに遊技球が入賞することを条件に特別図柄の変動開始と同時に所定の変動パターンに従って演出図柄の変動を開始すると共に、特別図柄の変動停止と同時に最終停止するように、演出図柄を左、右、中等の所定の順序で停止させるようになっている。
【0023】
演出図柄には、例えば「0」?「9」の10種類の数字図柄が用いられ、「6・6・6」「7・7・7」等、3つの図柄が全て同じ図柄で揃ったものが大当たり態様、少なくとも1つの図柄が異なるものが外れ態様となっている。また本実施形態では、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となり、特別図柄が外れ態様となる場合には演出図柄も外れ態様となるものとする。なお、演出図柄表示手段25は、特別図柄の変動内容とは直接関係のない演出を行う場合があってもよい。」

(1-c) 「【0028】
主制御基板31は、主に遊技盤11側の遊技動作に関わる制御を行うためのもので、CPU,ROM,RAM等により構成される普通乱数作成処理手段41、普通始動口チェック処理手段42、普通乱数記憶手段43、普通図柄処理手段44、普通利益状態発生手段45、普通図柄表示制御手段46、特別乱数作成処理手段51、特別始動口チェック処理手段52、特別乱数記憶手段(情報記憶手段)53、特別図柄処理手段54、特別利益状態発生手段55、特別図柄表示制御手段56、特別遊技状態発生手段57、事前判定手段58、制御コマンド送信手段59等を備えている。」

(1-d) 「【0038】
特別図柄処理手段54は、特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、大当たり判定手段71、変動パターン選択手段72、特別停止図柄選択手段73等を備えている。大当たり判定手段71は、乱数抽選により変動後の特別図柄を大当たり態様、外れ態様の何れにするかについての判定を行うもので、特別図柄表示手段23が変動表示可能な状態となり且つ特別乱数記憶手段53に1個以上の大当たり判定乱数値が記憶されていること (特別保留個数が1以上であること)を条件に、特別乱数記憶手段53に最も早く記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致するか否かによって大当たり/外れの判定を行うように構成されている。」

(1-e) 「【0043】
特別利益状態発生手段55は、大入賞手段17を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるためのもので、大当たり判定手段71による判定結果が大当たり判定となり、特別図柄表示手段23による特別図柄の変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて特別利益状態を発生させるようになっている。」

(1-f) 「【0054】
演出制御基板32は、演出図柄表示手段25、特別保留個数表示手段26、予告演出表示手段30、音声出力手段81、ランプ手段82等の各種演出手段を制御するためのもので、演出図柄表示制御手段83、特別保留個数表示制御手段84、保留記憶手段85、連続予告制御手段86、音声制御手段87、ランプ制御手段88等を備えている。
【0055】
音声制御手段87は、スピーカー等の音声出力手段81の音声出力制御を行うもので、主制御基板31側からの音声制御コマンドに基づいて音声出力手段81から所定の効果音等を出力させるようになっている。ランプ制御手段88は、ランプ手段82等の表示制御を行うもので、主制御基板31側からのランプ制御コマンドに基づいてランプ手段82等を所定のパターンで発光させるようになっている。
【0056】
演出図柄表示制御手段83は、演出図柄表示手段25の表示制御を行うもので、主制御基板31側から変動パターン指定コマンドを受信した場合に、指定された変動パターンに基づいて演出図柄表示手段25による演出図柄の変動を開始させると共に、変動停止コマンドを受信したときに、特別停止図柄指定コマンドと変動パターン指定コマンドとに基づいて選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させるようになっている。」

(1-g) 「【0060】
連続予告制御手段86は、予告演出表示手段30による予告演出を特別図柄表示手段23による複数回の図柄変動にわたって行う連続予告状態の発生を制御するもので、連続予告状態開始手段86aと連続予告演出制御手段86bとを備えている。
【0061】
連続予告状態開始手段86aは、例えば図5に示すような連続予告状態開始処理を制御コマンドの受信を契機として実行するように構成されている。連続予告状態開始手段86aによる連続予告状態開始処理(図5)では、まず特別保留個数指定コマンドを受信したか否かが判定され(S1)、特別保留個数指定コマンドを受信していない場合には(S1:No)連続予告状態開始処理は終了するが、特別保留個数指定コマンドを受信したと判定された場合には、続いてS2及びS3の判定が行われる。
・・・
【0065】
S4において特別図柄に関する最新以外の保留記憶が全てリーチなし外れであると判定された場合には(S4:Yes)、保留記憶手段85に格納されている内容に基づいて、特別図柄に関する最新の保留記憶が大当たりであるか否かが判定され(S5)、大当たりの場合には大当たりの連続予告状態を開始させるか否かの抽選が行われ(S6)、外れの場合にはガセの連続予告状態を開始させるか否かの抽選が行われる(S7)。なお、最新の保留記憶がリーチ外れ変動の場合にのみガセの連続予告状態を開始させるか否かの抽選を行うように構成してもよい。
【0066】
そして、大当たり又はガセの連続予告状態を開始させる旨の抽選結果が得られることを条件に(S8:Yes)、特別保留個数と最新の保留記憶の内容とに応じた予告演出選択テーブルに基づいて予告演出列が選択されると共に(S9)、連続予告カウンタに特別保留個数の値がセットされ(S10)、延長予告カウンタが0クリアされて(S11)、連続予告状態開始処理は終了する。
【0067】
ここで、「予告演出列」とは、連続予告状態中の各図柄変動時に実行される予告演出の種類を規定するものである。本実施形態では特別保留個数が2以上であることを条件に連続予告状態が開始され、また特別保留個数の上限は4個であるため、予告演出列を構成する予告演出の数は2,3又は4となる。また本実施形態では、順位の異なる4種類の予告演出A?Dが設けられており、予告演出A?Dの順で順位が高くなるように設定されているものとする。
【0068】
また、本実施形態では連続予告状態中の2回目以降の図柄変動時には直前の図柄変動時と同じかそれよりも高い順位の予告演出が実行されるように構成されている(いわゆるステップアップ連続予告)。従って、連続予告状態開始時の特別保留個数(連続予告状態中の図柄変動回数)が3の場合の予告演出列は例えば「A,A,B」,「A,B,C」のようになり、「A,B,A」ということはあり得ない。
【0069】
なお、予告演出A?Dの具体的な内容は任意であり、例えば演出図柄の背景、演出図柄の変動中に出現するキャラクタ、音声、ランプ発光等、どのような演出でもよいが、本実施形態では説明の簡単のため、予告演出A?Dは夫々予告演出表示手段30に「A」? 「D」の文字を表示する演出とする。
【0070】
また、「予告演出選択テーブル」は、選択対象となる複数の予告演出列とその選択率とを予め設定するもので、連続予告状態開始時の特別保留個数(連続予告状態中の図柄変動回数)毎、及び連続予告状態開始時の最新の保留記憶の内容(連続予告状態中の最終の図柄変動の内容)毎に設けられている。
【0071】
本実施形態では、連続予告状態開始時の特別保留個数2?4個の夫々について、連続予告状態開始時の最新の保留記憶が大当たりの場合(図7(a),(d),(g))、リーチ外れの場合(図7(b),(e),(h))、及びリーチなし外れの場合(図7(c),(f),(i))の各3種類、計9種類の予告演出選択テーブルが設けられているものとする。従って、例えば特別保留個数が3個、最新の保留記憶がリーチなし外れの場合には、S9では図7(f)に示す予告演出選択テーブルに基づいて「A,A,A」,「A,A,B」,「A,B,B」の3種類の予告演出列の何れかが選択される。
【0072】
なお、図7の例では、予告演出Dは最新の保留記憶が大当たりの場合にのみ選択され、予告演出Cは最新の保留記憶が大当たり又はリーチ外れの場合にのみ選択されるように各予告演出選択テーブルが設定されている。これにより、連続予告状態中に予告演出Cが出現すればリーチ確定となり、予告演出Dが出現すれば大当たり確定となる。」

上記(1-a)?(1-g)の記載事項から、以下(1-h)?(1-m)の事項が導かれる。

(1-h)上記記載事項(1-e)には、「特別利益状態発生手段55は、大入賞手段17を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるためのもので、大当たり判定手段71による判定結果が大当たり判定となり、特別図柄表示手段23による特別図柄の変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて特別利益状態を発生させるようになっている。」(段落【0043】)と記載されているから、大当たり判定手段71は、特別図柄の変動後の停止図柄を大当たり態様とし、大入賞手段17を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるか否かの判定を行うものといえる。
さらに、上記記載事項(1-c)、(1-d)より、「主制御基板31は」、「特別図柄処理手段54」「を備え」(段落【0028】)、「特別図柄処理手段54は」、「大当たり判定手段71」「を備えている」(段落【0038】)から、大当たり判定手段71は主制御基板31に備えられているといえる。
したがって、刊行物1には、特別図柄の変動後の停止図柄を大当たり態様とし、大入賞手段17を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるか否かの判定を行う主制御基板31が記載されているといえる。

(1-i)上記記載事項(1-b)より、「演出図柄表示手段25は、例えば特別図柄表示手段23による特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示するもの」であり、「特別図柄の変動停止と同時に最終停止するように、演出図柄を左、右、中等の所定の順序で停止させ」(段落【0022】)、また、「特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様」(段落【0023】)となるから、演出図柄表示手段25において、特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示させ、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となるように、演出図柄の変動を停止させるといえる。
また、上記記載事項(1-f)より、「演出図柄表示制御手段83は、演出図柄表示手段25の表示制御を行」い、「選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる」(段落【0056】)ものであり、さらに、「演出制御基板32」は、「演出図柄表示制御手段83」「を備えている」(段落【0054】)から、演出制御基板32が演出図柄表示手段25の表示制御を行い、選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させるといえる。
したがって、刊行物1には、演出図柄表示手段25に、特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示させ、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となるように、選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる演出制御基板32が記載されているといえる。

(1-j)上記記載事項(1-g)には、「連続予告状態中の各図柄変動時に実行される予告演出」及び「また本実施形態では、順位の異なる4種類の予告演出A?Dが設けられており」(段落【0067】)と記載されているから、連続予告状態中の各図柄変動時に順位の異なる4種類の予告演出A?Dが実行されるといえる。また、上記記載事項(1-g)には、「予告演出A?Dの具体的な内容は任意であり、例えば演出図柄の背景、演出図柄の変動中に出現するキャラクタ、音声、ランプ発光等、どのような演出でもよい」(段落【0069】)と記載されているから、上記記載における「連続予告状態中の各図柄変動時」が「連続予告状態中の各演出図柄変動時」を意味することは、明らかである。
さらに、上記記載事項(1-g)より、「連続予告制御手段86は、予告演出表示手段30による予告演出を特別図柄表示手段23による複数回の図柄変動にわたって行う連続予告状態の発生を制御するもの」(段落【0060】)であり、また、上記記載事項(1-f)より、「演出制御基板32は」、「連続予告制御手段86」「を備えている」(段落【0054】)から、演出制御基板32が、予告演出に関する制御を実行するといえる。
したがって、刊行物1には、演出制御基板32は、連続予告状態中の各演出図柄変動時に順位の異なる4種類の予告演出A?Dを実行することが記載されているといえる。

(1-k)上記記載事項(1-g)には、「順位の異なる4種類の予告演出A?D」(段落【0067】)と記載されており、「4種類の予告演出A?D」が予告演出A、予告演出B、予告演出C、予告演出Dの4種類を意味することは明らかである。
したがって、刊行物1には、予告演出A?Dには、予告演出Aと予告演出Cとが含まれることが記載されているといえる。

(1-l)上記記載事項(1-g)には、「連続予告状態開始時の最新の保留記憶が大当たりの場合(図7(a),(d),(g))、リーチ外れの場合(図7(b),(e),(h))、及びリーチなし外れの場合(図7(c),(f),(i))の各3種類、計9種類の予告演出選択テーブルが設けられているものとする。」(段落【0071】)と記載されている。
また、段落【0067】には「順位の異なる4種類の予告演出A?D」について、「予告演出A?Dの順で順位が高くなる」との記載があり、さらに、段落【0068】の「連続予告状態中の2回目以降の図柄変動時には直前の図柄変動時と同じかそれよりも高い順位の予告演出が実行されるように構成されている(いわゆるステップアップ連続予告)」及び段落【0072】の「連続予告状態中に予告演出Cが出現すればリーチ確定となり、予告演出Dが出現すれば大当たり確定となる。」との記載より、順位が高い予告演出の方が実行された場合に大当たりとなる可能性が高いことは、明らかであるから、刊行物1には、予告演出Cが実行された場合の大当たりとなる可能性は、予告演出Aが実行された場合よりも高いことが記載されているといえる。このことは、図7において、予告演出Aが実行された変動において「大当たり」となるのが選択テーブル(a)(d)(g)が選択され、それぞれ「AA」、「AAA」、「AAAA」が選択された場合の最後の予告演出Aについてのみであることや、予告演出Cは「リーチなし外れ」の場合には実行されないことが示されていることと整合する。
したがって、刊行物1には、予告演出Cは、予告演出Aよりも実行されたときに大当たりとなる可能性が高いことが記載されているといえる。

(1-m)上記記載事項(1-g)には、「連続予告状態開始処理」(段落【0061】)において、「S4において特別図柄に関する最新以外の保留記憶が全てリーチなし外れであると判定された場合には(S4:Yes)、保留記憶手段85に格納されている内容に基づいて、特別図柄に関する最新の保留記憶が大当たりであるか否かが判定され(S5)、大当たりの場合には大当たりの連続予告状態を開始させるか否かの抽選が行われ(S6)」(段落【0065】)、「大当たり又はガセの連続予告状態を開始させる旨の抽選結果が得られることを条件に(S8:Yes)、特別保留個数と最新の保留記憶の内容とに応じた予告演出選択テーブルに基づいて予告演出列が選択されると共に(S9)、連続予告カウンタに特別保留個数の値がセットされ(S10)」(段落【0066】)、と記載されているから、刊行物1には、連続予告状態開始処理において、最新以外の保留記憶が全てリーチなし外れと判定され、最新の保留記憶は大当りであると判定された場合に連続予告状態を開始させることができる点が記載されているといえる。
さらに、上記記載事項(1-f)より、「演出制御基板32は」、「連続予告制御手段86」「を備えて」(段落【0054】)おり、上記記載事項(1-g)より、「連続予告制御手段86は」、「連続予告状態開始手段86aと連続予告演出制御手段86bとを備え」(段落【0060】)、「連続予告状態開始手段86aは、例えば図5に示すような連続予告状態開始処理を制御コマンドの受信を契機として実行する」(段落【0061】)から、演出制御基板32は連続予告状態開始処理を行うといえる。
したがって、刊行物1には、演出制御基板32は、最新以外の保留記憶が全てリーチなし外れと判定され、最新の保留記憶は大当りであると判定された場合に連続予告状態を開始させることができる点が記載されているといえる。

上記(1-a)?(1-g)の記載事項及び(1-h)?(1-m)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。(a?hは、本願補正発明のA?Hに対応させて付した。)

「a パチンコ機において、(段落【0011】)
b 特別図柄の変動後の停止図柄を大当たり態様とし、大入賞手段17を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるか否かの判定を行う主制御基板31と、(認定事項(1-h))
c 演出図柄表示手段25に、特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示させ、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となるように、選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる演出制御基板32とを備え、(認定事項(1-i))
d 演出制御基板32は、連続予告状態中の各演出図柄変動時に順位の異なる4種類の予告演出A?Dを実行し、(認定事項(1-j))
e 予告演出A?Dには、予告演出Aと予告演出Cとが含まれ、(認定事項(1-k))
f 予告演出Cは、予告演出Aよりも実行されたときに大当たりとなる可能性が高く、(認定事項(1-l))
g 演出制御基板32は、
最新以外の保留記憶が全てリーチなし外れと判定され、最新の保留記憶は大当りであると判定された場合に連続予告状態を開始させることができ、(認定事項(1-m))
h 連続予告状態中の2回目以降の図柄変動時には直前の図柄変動時と同じかそれよりも高い順位の予告演出を実行し、予告演出A?Dの順で順位が高くなるように設定されている、パチンコ機。 (段落【0067】、【0068】)」

(3)対比、判断
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(h)は、刊行物1発明の構成a?hに対応している。)。

(a)刊行物1発明の「パチンコ機」は、所定の遊技を行うものであることは当業者にとって自明であるから、本願補正発明における「所定の遊技を行なう遊技機」に相当する。

(b)刊行物1発明において、「大入賞手段17を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させる」ことは、本願補正発明において、「遊技者にとって有利な特典を付与する」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明の「特別図柄の変動後の停止図柄を大当たり態様とし、大入賞手段17を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるか否かの判定を行う主制御基板31」は、本願補正発明の「遊技者にとって有利な特典を付与するか否かを決定する特典付与決定手段」に相当する。

(c)刊行物1発明は、「特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となるように、選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる」ものであるから、「演出図柄」は「特別図柄」が「大当たり態様」となるか否かに関連した態様の停止図柄で停止されるものであるといえる。よって、刊行物1発明における「演出図柄表示手段25に、特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示させ、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となるように、選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる」演出は、「特別図柄を大当たり態様とし、大入賞手段17を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるか否かの判定」(構成a)を行った際の決定結果に関する演出であるといえる。
また、刊行物1発明において、「演出図柄表示手段25に、特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示させ、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となるように、選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる」演出は、最終停止図柄により上記決定結果を報知するものであるから、本願補正発明の「報知演出」に相当し、当該演出を構成する「演出図柄を変動表示させ」る期間における演出、及び、「選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる」際の演出は、それぞれ、本願補正発明における「当該決定結果を報知するまでの導入部」、及び、「当該決定結果に関する情報を報知する主要部」に相当する。
したがって、刊行物1発明における「演出図柄表示手段25に、特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示させ、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となるように、選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる演出制御基板32」は、本願補正発明における「前記特典付与決定手段の決定結果に関する演出であって、当該決定結果を報知するまでの導入部と、当該導入部に続いて当該決定結果に関する情報を報知する主要部とから構成された報知演出を実行する報知演出実行手段」に相当する。

(d)刊行物1発明の「演出制御基板32は」、「予告演出A?D」を「各演出図柄変動時に」「実行」するから、「演出制御基板32」は、「演出図柄を変動表示させ」る期間(構成c)において「予告演出A?D」を実行可能であるといえる。また、刊行物1発明の「予告演出A?D」のうち、「予告演出Cは、予告演出Aよりも実行されたときに大当たりとなる可能性が高」(構成f)いものであるから、「予告演出A?D」は「大当たり」となるか否かに関連する演出、すなわち、「演出図柄を変動表示させ」た後に「選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる」際の「停止図柄」が「大当たり態様」となること(構成c)に関連する演出であるといえる。
よって、刊行物1発明の「予告演出A?D」は、本願補正発明の「前記導入部に続く前記主要部で特典が付与される旨が報知されるか否かに関する導入演出」に相当する。また、刊行物1発明において、「演出制御基板32」は、「予告演出A?Dを実行」するから、「予告演出A?D」を実行可能といえる。
したがって、刊行物1発明において、「演出制御基板32は、連続予告状態中の各演出図柄変動時に順位の異なる4種類の予告演出A?Dを実行」することは、本願補正発明において、「前記報知演出実行手段は、前記導入部に続く前記主要部で特典が付与される旨が報知されるか否かに関する導入演出を当該導入部において実行可能」とすることに相当する。

(e)刊行物1発明の「予告演出A」及び「予告演出C」は、それぞれ、本願補正発明の「第2演出」及び「第1演出」に相当する。
したがって、刊行物1発明において「予告演出A?Dには、予告演出Aと予告演出Cとが含まれ」ることは、本願補正発明における「前記導入演出には、第1演出と、第2演出とが含まれ」ることに相当する。

(f)刊行物1発明において、「予告演出Cは、予告演出Aよりも実行されたときに大当たりとなる可能性が高」いことは、本願補正発明における、「前記第1演出は、前記第2演出よりも特典が付与される可能性が高」いことに相当する。

(g)刊行物1発明の「演出制御基板32」は、「最新以外の保留記憶が全てリーチなし外れと判定され、最新の保留記憶は大当りであると判定された場合に連続予告状態を開始させることができ」るものであるから、「最新以外の保留記憶」に関する変動における最終停止図柄により「外れ」、すなわち、特典が付与されない旨が報知され、それに続く「最新の保留記憶」に関する変動における最終停止図柄により「大当たり」、すなわち、特典が付与される旨が報知される場合に、「連続予告状態」とすることが可能なものといえる。そして、刊行物1発明における「最新以外の保留記憶」及び「最新の保留記憶」における「演出図柄表示手段25に、特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示させ、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となるように、選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる」演出が、それぞれ、本願補正発明における「第1の報知演出」及び「第2の報知演出」に相当する。
したがって、刊行物1発明において、「演出制御基板32は」、「最新以外の保留記憶が全てリーチなし外れと判定され、最新の保留記憶は大当りであると判定された場合に連続予告状態を開始させることができ」ることは、本願補正発明における、「前記報知演出実行手段は」、「第1の導入部に続く第1の主要部で特典が付与されない旨を報知する第1の報知演出を実行した後、第2の導入部に続く第2の主要部で特典が付与される旨を報知する第2の報知演出を実行可能であ」ることに相当する。

(h)刊行物1発明において、「演出制御基板32」は、「連続予告状態中の2回目以降の図柄変動時には直前の図柄変動時と同じかそれよりも高い順位の予告演出を実行」し、また「予告演出A?Dの順で順位が高くなるように設定」されているから、「予告演出C」を実行した後に、より順位の低い「予告演出A」を実行することはない、すなわち、「予告演出C」を実行した後に「予告演出A」を実行することは「規制」されているといえる。
したがって、刊行物1発明における「演出制御基板32は」、「連続予告状態中の2回目以降の図柄変動時には直前の図柄変動時と同じかそれよりも高い順位の予告演出を実行し、予告演出A?Dの順で順位が高くなるように設定されている」ことは、本願補正発明における「前記報知演出実行手段は」、「前記第1の導入部で前記第1演出を実行したときに、前記第2の導入部で前記第2演出を実行することを規制する」ことに相当する。

以上、(a)?(h)の対比より、本願補正発明と刊行物1発明とは、

「A 所定の遊技を行なう遊技機であって、
B 遊技者にとって有利な特典を付与するか否かを決定する特典付与決定手段と、
C 前記特典付与決定手段の決定結果に関する演出であって、当該決定結果を報知するまでの導入部と、当該導入部に続いて当該決定結果に関する情報を報知する主要部とから構成された報知演出を実行する報知演出実行手段とを備え、
D 前記報知演出実行手段は、前記導入部に続く前記主要部で特典が付与される旨が報知されるか否かに関する導入演出を当該導入部において実行可能であり、
E 前記導入演出には、第1演出と、第2演出とが含まれ、
F 前記第1演出は、前記第2演出よりも特典が付与される可能性が高く、
G 前記報知演出実行手段は、
第1の導入部に続く第1の主要部で特典が付与されない旨を報知する第1の報知演出を実行した後、第2の導入部に続く第2の主要部で特典が付与される旨を報知する第2の報知演出を実行可能であり、
H 前記第1の導入部で前記第1演出を実行したときに、前記第2の導入部で前記第2演出を実行することを規制する、遊技機。」

である点で一致し、相違点はない。

したがって、本願補正発明は刊行物1発明と同一であり、刊行物1に記載された発明といえる。
また、仮に相違点があったとしても、本願補正発明は刊行物1発明から当業者が容易に想到することができたものであるといえる。

(4)請求人の主張について
請求人は、審判請求書(第7頁第26行?第8頁第6行)において、「これに対して、引用発明では、「導入部」に相当すると認定された「予告演出」が繰り返し実行されますが、「主要部」に相当すると認定された「図柄確定」は、毎回の「予告演出」の後に続いて実行されるものではなく、「予告演出」が繰り返し実行された後の最終結果として「図柄確定」となるものです。つまり、引用発明の場合、複数回の図柄変動に亘って予告演出が実行されますが、当該予告演出で予告された最終結果である図柄確定は、当該複数回の図柄変動で毎回行われるものではなく、当該複数回の図柄変動のうちの最終変動で確定します。このように、引用発明は、繰り返し実行される報知演出において「導入部」に続いて「主要部」が実行されるといった本願第1発明の構成C1,D1,H1を少なくとも備えておらず、この点において、本願発明と明らかに相違します。」との主張をしており、また、上申書(第3頁第24?28行)においても、「上述しましたように、審判請求時の補正は適法であり、本願発明1,2は、「導入部」および「主要部」がセットになった報知演出が繰り返し実行されるといった明確な構成を備えています。そして、「第2演出を実行することを規制する」条件は、“第1の導入部で第1演出を実行した”ことと、“第1の主要部で特典が付与されない旨を報知する”ことが請求項で明確に規定されているため、審判請求において主張した通り、本願発明1,2は、引用文献1に記載された発明と相違します。」との主張をしている。
しかしながら、上記(3)の特に(c)(g)で示したとおり、刊行物1発明の「演出図柄表示手段25に、特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示させ、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となるように、選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる」報知演出も、「演出図柄を変動表示させ」る導入部に続いて「選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる」主要部を実行するものであり、これを「最新以外の保留記憶」と「最新の保留記憶」とに関する複数の変動において実行するものであるから、請求人が主張する上記の点で刊行物1発明と本願補正発明とが相違するとはいえない。よって、請求人の上記主張は採用することができない。

(5)まとめ
以上のように、本願補正発明は、刊行物1発明と同一の発明であるか、又は、当業者が刊行物1発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、出願時の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである(A?C、I、Jは、分説するために当審にて付した。)。

「【請求項1】
A 所定の遊技を行なう遊技機であって、
B 遊技者にとって有利な特典を付与するか否かを決定する特典付与決定手段と、
C 前記特典付与決定手段の決定結果に関する演出であって、当該決定結果を報知するまでの導入部と、当該導入部に続いて当該決定結果に関する情報を報知する主要部とから構成された報知演出を実行する報知演出実行手段とを備え、
I 前記報知演出実行手段は、
前記導入部において第1演出が実行されたときの方が第2演出が実行されたときよりも特典が付与される可能性が高くなるように前記報知演出を実行し、
J 主要部で特典が付与される旨を報知する前記報知演出を実行するときにおいて、当該報知演出の開始よりも前の特定期間において実行されていた報知演出の導入部で第1演出を実行しかつ主要部で特典が付与されない旨を報知していたときには、当該報知演出の導入部で第2演出を実行することを規制する、遊技機。」

2 刊行物
刊行物1及びその記載事項並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(2)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明と刊行物1発明とを対比する。

本願発明における構成A?Cと刊行物1発明における構成a?cとの対比については、上記「第2 3(3)(a)?(c)」に記載したとおりである。

本願発明における構成Iと刊行物1発明とを対比すると、刊行物1発明の「予告演出A」及び「予告演出C」は、それぞれ、本願発明の「第2演出」及び「第1演出」に相当する。
したがって、刊行物1発明は、「予告演出Cは、予告演出Aよりも実行されたときに大当たりとなる可能性が高」(構成f)く、「演出制御基板32は、連続予告状態中の各演出図柄変動時に順位の異なる4種類の予告演出A?Dを実行」(構成d)するから、本願発明における「前記報知演出実行手段は」、「前記導入部において第1演出が実行されたときの方が第2演出が実行されたときよりも特典が付与される可能性が高くなるように前記報知演出を実行」する構成(構成I)を有しているといえる。

本願発明における構成Jと刊行物1発明とを対比すると、刊行物1発明において「演出制御基板32」が、「最新以外の保留記憶が全てリーチなし外れと判定され、最新の保留記憶は大当りであると判定された場合に連続予告状態を開始」(構成g)したときとは、「最新の保留記憶」に関する変動において「大当たり」となるとき、すなわち主要部で特典が付与される旨が報知されるときにおいて、「最新の保留記憶」に関する変動よりも前に実行される「最新以外の保留記憶」に関する変動において「外れ」となる、すなわち主要部で特典が付与されない旨を報知するときといえる。
また、刊行物1発明において、「連続予告状態を開始」したときは、「演出制御基板32は、連続予告状態中の各演出図柄変動時に順位の異なる4種類の予告演出A?Dを実行」(構成d)し、「連続予告状態中の2回目以降の図柄変動時には直前の図柄変動時と同じかそれよりも高い順位の予告演出を実行し、予告演出A?Dの順で順位が高くなるように設定されている」(構成h)から、「最新以外の保留記憶」に関する変動において、演出図柄変動時に「予告演出C」が実行されたときには、「最新の保留記憶」に関する変動において、演出図柄変動時に、「予告演出C」より順位の低い「予告演出A」が実行されることはない、すなわち、「予告演出A」を実行することは「規制」されているといえる。
したがって、刊行物1発明は、「演出制御基板32は、連続予告状態中の各演出図柄変動時に順位の異なる4種類の予告演出A?Dを実行し」(構成d)、「演出制御基板32は」、「最新以外の保留記憶が全てリーチなし外れと判定され、最新の保留記憶は大当りであると判定された場合に連続予告状態を開始させることができ」(構成g)、「連続予告状態中の2回目以降の図柄変動時には直前の図柄変動時と同じかそれよりも高い順位の予告演出を実行し、予告演出A?Dの順で順位が高くなるように設定されている」(構成h)という構成を有するから、本願発明における、「前記報知演出実行手段は」、「主要部で特典が付与される旨を報知する前記報知演出を実行するときにおいて、当該報知演出の開始よりも前の特定期間において実行されていた報知演出の導入部で第1演出を実行しかつ主要部で特典が付与されない旨を報知していたときには、当該報知演出の導入部で第2演出を実行することを規制する」構成(構成J)を有しているといえる。

以上の対比より、本願発明と刊行物1発明とは、

「A 所定の遊技を行なう遊技機であって、
B 遊技者にとって有利な特典を付与するか否かを決定する特典付与決定手段と、
C 前記特典付与決定手段の決定結果に関する演出であって、当該決定結果を報知するまでの導入部と、当該導入部に続いて当該決定結果に関する情報を報知する主要部とから構成された報知演出を実行する報知演出実行手段とを備え、
I 前記報知演出実行手段は、
前記導入部において第1演出が実行されたときの方が第2演出が実行されたときよりも特典が付与される可能性が高くなるように前記報知演出を実行し、
J 主要部で特典が付与される旨を報知する前記報知演出を実行するときにおいて、当該報知演出の開始よりも前の特定期間において実行されていた報知演出の導入部で第1演出を実行しかつ主要部で特典が付与されない旨を報知していたときには、当該報知演出の導入部で第2演出を実行することを規制する、遊技機。」

である点で一致し、相違点はない。

したがって、本願発明は刊行物1発明と同一であり、刊行物1に記載された発明といえる。
また、仮に相違点があったとしても、本願発明は刊行物1発明から当業者が容易に想到することができたものであるといえる。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号または第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-29 
結審通知日 2017-09-05 
審決日 2017-09-19 
出願番号 特願2012-154059(P2012-154059)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井海田 隆  
特許庁審判長 長井 真一
特許庁審判官 川崎 優
萩田 裕介
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  

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