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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02B
管理番号 1334199
審判番号 不服2016-15269  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-11 
確定日 2017-11-08 
事件の表示 特願2014-514484「ターボチャージャ及びそのための構成要素」拒絶査定不服審判事件〔平成24年12月13日国際公開、WO2012/170210、平成26年 9月11日国内公表、特表2014-523501〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯

本願は、2012年5月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年6月7日、ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成25年11月15日に国内書面とともに明細書、請求の範囲及び要約書の翻訳文が提出され、平成27年8月21日付けで拒絶理由が通知され、平成27年11月30日に意見書が提出されるとともに特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出され、平成27年12月17日付けで再び拒絶理由が通知され、平成28年3月22日に意見書が提出されたが、平成28年6月6日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成28年10月11日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

2 本願発明

本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成27年11月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに平成25年11月15日提出の明細書の翻訳文及び国際出願時の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。

「【請求項1】
炭化物及び窒化物構造を備えるフェライトベースの構造を有する鉄ベース合金からなる
、特にディーゼルエンジンのターボチャージャ用途用の構成要素であり、
前記鉄ベース合金が、実質的に次の元素、すなわち、
C:0.25?0.4重量%、
Cr:18?20重量%、
Mn:1重量%以下、
Si:1?1.8重量%、
Nb:0.6?1.1重量%、
Ti:0.3?0.5重量%、
W:2?2.7重量%、
V:0.5?0.8重量%、
N:2重量%以下、
Fe:100重量%まで、
を含む、
ターボチャージャ用途用の構成要素。」

3.刊行物

ア 刊行物の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特表2005-539138号公報(以下、「刊行物」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

a)「【請求項2】
前記合金の総重量のパーセントとして測定して、
C:0.25?0.6重量%、
Si:0.0?4.0重量%、
Mn:0.0?3.0重量%、
Cr:19?28重量%、
Mo:1?3重量%、
Nb:2?4重量%、
Co:12?18重量%、及び、
W:2?4重量%を含む、請求項1に記載の鉄ベース合金。」(【特許請求の範囲】の【請求項2】)

b)「【0001】
本発明は、熱的に大きく応力を加えられかつ酸化及び/または腐食ガスにさらされる機械的部品の製造において使用するのに特に適した合金に関する。本発明はまた、排ガスタービンの流入通路中に配置されかつ本発明の合金で形成されたノズルリングを有する、ターボチャージャの排ガスタービンに関する。」(段落【0001】)

c)「【0002】
ターボチャージャは、シャフトの一端に取り付けられたタービンホイールを回転させるための原動力ガス(motive gas)として内燃機関から排出される排ガスを使用する。圧縮機ホイールはシャフトの他端に取り付けられ、タービンホイールによって回転して空気を圧縮し、空気は次にエンジンに連通し、それによって、エンジン性能を増大させるためにエンジンに給気を供給する。動作効率を改良するために及び範囲を拡張するために、タービンホイールへの原動力排ガスの流れを制御することが望ましい。これは、タービンホイールへの入口スロート中に枢着され、周縁に間隔を置いて配置された一連のベーンを備えることによって行うことができる。ベーンを枢着することで、タービンホイールへのノズルの面積を変化させることができ、それによってタービンホイールへの排ガスの流れを調節する。構造的に、こうしたベーンはリング状部品に枢着される。この部品をノズルリングと呼ぶ。
【0003】
ターボチャージャの排ガスタービン中に位置するノズルリングは、動作条件の変動、すなわち、作動媒体の圧力及び温度の上昇または低下によって、過酷な応力にさらされる。使用するタービン及び実際の使用の条件によっては、作動媒体は大きな温度勾配を有することがある。ノズルリングを囲繞するタービン構成要素と比較するとノズルリングはごく小さな質量を有するので、これは比較的に強い熱膨張にさらされる。
【0004】
さらに、原動力排ガスは極めて腐食性があるので、ノズルリング及びターボチャージャタービン入口スロートの壁は、ベーンの固着または結合を防ぐために高い耐食性のある材料で製造されなければならない。増大しつつある寿命要件(例えば、市販のディーゼル車両の場合、百万マイル)は、向上した耐久性を有する先端材料によってのみ満たすことができる。」(段落【0002】ないし【0004】)

d)「【0013】
本合金は、微細結晶粒構造、金属間相発達、酸化コバルトの形成、及び改良されたトライボロジー特性を特徴とする。
本鉄ベース合金は、好ましくは、C:0.25?0.6重量%、Si:0.0?4.0重量%、Mn:0.0?3.0重量%、Cr:14?28重量%、及びCo:2?18重量%を含む。
【0014】
本鉄ベース合金は、より好ましくは、C:0.35?0.45重量%、Si:0.0?1.0重量%、Mn:0.0?2.0重量%、Cr:21?25重量%、Co:13.5?16.5重量%を含み、加えてMo:1.8?2.2重量%、Nb:2.8?3.2重量%、及びW:2.3?3.0重量%を含む。
【0015】
本発明による鉄ベース合金は、他に、C:0.4?0.6重量%、Si:3.0?4.0重量%、Mn:0.0?2.0重量%、Cr:14.0?18.0重量%、Co:6.0?8.0重量%を含んでよく、加えてMo:1.8?2.2重量%、Nb:1.8?2.2重量%、Ni:0.0?0.5重量%、及びS:0.0?0.035重量%を含む。
【0016】
さらに、本発明による鉄ベース合金は、C:0.25?0.35重量%、Si:3.0?4.0重量%、Mn:1.5?2.0重量%、Cr:16.0?20.0重量%、Co:2.0?3.0重量%を含んでよく、加えてNi:0.0?0.5重量%、及びS:0.2?0.4重量%を含む。
【0017】
熱処理に関しては、焼ならし焼戻し鋼のうち最大10%のフェライトを含むマルテンサイト系構造が好ましい。本発明の範囲に含まれるのは、合金の総重量のパーセントとして測定して、C:0.25?0.6重量%、Si:0.0?4.0重量%、Mn:0.0?3.0重量%、Cr:14?28重量%、及びCo:2?18重量%を含む鉄ベース合金であり;ここで、C及び(存在する場合には)Nの総濃度は約1.2%以下であり;合金の残りは、鉄並びに機能している間に過酷な熱応力及び酸化または腐食効果にさらされる機械部品の製造のための冶金学的に適切な混和物を含む。
【0018】
本鉄ベース合金を機械中に組み込む方法は、少なくとも1つの機械部品を本鉄ベース合金から製造することと、これを取り付けて、過酷な熱応力及び酸化または腐食効果の条件下で機能させることと、を含む。」(段落【0013】ないし【0018】)

e)「【0030】
ここから本発明の合金の元素成分を検討すると、クロム(Cr)は、鋼材料の硬化能を改良し、炭化物の球状化焼なましを加速し、5nm以上の酸化クロム層を生成するフェライト形成元素である。Crは、耐食性を改良するために及びマルテンサイト系ベースを得るために必要な元素であり、19?28重量%、好ましくは21?25重量%の範囲内で加えられる。Cr含量が19重量%未満である場合、マルテンサイト系構造がオーステナイト系相中に形成され、28%を超える場合、δフェライトの量は増大し、従って、延性、耐浸食性、耐食性は十分ではなく、靱性は低下する。特に、少なくとも14%の含量が好ましく、より好ましくは14?28%の範囲内である。
【0031】
例えば内燃機関中のプランジャピストンまたはピストンリングの場合と同様に、部品がさらに腐食性の応力にさらされた場合に、容積移送用媒体、凝縮物またはその他同様なものの結果として、合金中に高クロム含量を提供することが必要である。しかしながら、部品の適切な機能を得るために必要な材料の他の特性は、クロムを含むことで不利な影響を受けてはならない。
【0032】
炭素(C)は、構造をマルテンサイト系にすることによって熱処理による金属の硬化能を改良するために及び靱性を増大させるために必要な元素であり、同時に、炭素は、材料の強度及び硬さを増大させ、耐浸食性を改良するために有効な元素である。しかしながら、含量が0.25%未満である場合、上記の効果を十分に実現することができず、というのは、マルテンサイト系相はオーステナイト系マトリックスにとって代わられるからであり、誘起されるマルテンサイト系相の局所的な発生によって硬化された領域は、耐浸食性を改良するために有効である。一方、含量が0.6%を超える場合、Co及びCr含量との釣り合いに依存してある程度変化してよいが、炭化物の比率及び特にCr炭化物の比率は増大し、この結果、材料の耐食性は実質的に低下し、さらに高温での割れの発生の危険が増大する。従って、耐浸食性及び応力強度の両方を考慮して、炭素含量は好ましくは0.25?0.6%の範囲内、より好ましくは0.35?0.45%、0.4?0.6%または0.25?0.35%の範囲内である。
【0033】
ケイ素(Si)は、集合組織の変化の遅延を加速し、鋼材料の硬化能を改良する元素である。Siは、フェライトを形成するために及び微泡の発生を減少させるために必要な元素であり、通常は最大1.5%加えられる。約0.2重量%未満では、鋳込脱酸素反応は、著しく低減する(従って、鋳込むために不活性ガス条件を必要とする)。Siを過剰に加えることはδフェライトを増大させ、材料の靱性を低下することが周知であるが、本発明においてはSi成分は、それにもかかわらず最大4%もの高さとしてよい。標準オーステナイト系合金中のSi含量は、通常1%以下である。特に、1具体例においては、0.2?0.6%の範囲が好ましい。
【0034】
マンガン(Mn)は鋼材料の硬化能を改良する元素である。Mnは、Siの場合の脱酸素剤としてのみならず、これと組み合わせて、MnSを形成することによって溶融金属中のSを安定化することでSの偏析を防ぐための試剤として作用する。さらに、熱処理後に、Mnはマルテンサイトの強度及び靱性を増大させる(後ほど説明するように、Niに取って代わるかまたは補う)。Mn含量が0.1%未満である場合、上記の効果はほとんど実現されず、これが3%を超える場合、これは残存しているオーステナイトの量を増大させ、溶融金属の流れ特性を減少させ、強度を低下する。特に、少なくとも0.25%の含量は好ましく、より好ましくは0.5?2.0%の範囲内である。
【0035】
ニッケル(Ni)は従来、マルテンサイト系マトリックス中のオーステナイトを安定化し、硬化能並びに熱処理後の強度及び靱性を改良するために使用されている。しかしながら、本発明の合金中に、Niは、全ての具体例において存在するわけではない。
【0036】
モリブデン(Mo)は、鋼材料を焼戻し軟化に対して耐性があるようにし、炭素と結合して炭化モリブデンを生成する元素である。粒子径50nm?300nmの範囲を有する微細粒子状炭化モリブデンを、安定に析出させ、マトリックス中に分布することを可能にするために、モリブデンの含量は1.1重量%以上であることが必要である。このような微細粒子状炭化モリブデンの存在は耐磨耗性を改良し、水素からの遮蔽という前述の効果を発揮する表面硬さを提供する。Moは、マルテンサイトの耐食性及び強度を改良するために、並びに熱処理によって生じる脆化を防ぐために有効な成分である。しかしながら、加えた量が0.5%未満である場合、Moはほとんど有効ではなく、添加剤量が3.0%を超える場合、靱性は低下し、脆性(brittlement)は増大し、従って、加える量は最大3.0%でなければならない。従って、本発明においては、Mo含量を1?3重量%の範囲に限定した。範囲は好ましくは1.8%?2.2%である。高い硬さ及び強度を得るために、モリブデンに加えてバナジウムを使用できる。しかしながら、Moは必ずしも全ての具体例において存在するわけではない。
【0037】
少なくとも0.1重量%の窒素(N)含量によって、摩擦摩耗は著しく低減し、最も好都合な値は合金中の窒素約0.2重量%の場合に見い出された。しかしながら、過剰な窒化窒素(nitrogen nitride)は、靱性及び耐食性を達成する。従って、存在する場合、N含量を0.05?0.20%の範囲に限定した。窒素含量が理由となって、特に微細な結晶粒の微細構造もまたもたらされ、結晶粒の成長は高い硬さ温度においてでさえも大きく防がれる。
【0038】
Nb及びWを炭化物形成元素として含んでよく、しかしながらこれらは両方とも本発明による合金を形成するために絶対に不可欠というわけではない。しかしながら、Nbは、好ましくは1.8?3.2重量%の量で存在し、最も好ましい濃度はそれぞれ1.8?2.2重量%、2.8?3.2重量%の範囲内である。Wは、2.3?3.0重量%の量で存在してよい。合金は1種以上の追加の強力な炭化物形成元素の例えばV、Ti、Hf、及びZr、合計で最大0.2%までを含むことができる。好ましくは下限として0.02%は追加の元素の場合に望ましい。バナジウム(V)は、結晶境界表面に析出して、結晶性粒子のサイズの増大を阻害し、炭素と結合して微細粒子状炭化バナジウムを生成する元素である。
【0039】
残りは、Fe並びにP、S、As、Sb、及びその他同様なものを含む随伴する不純物からなる。しかしながら、上記の元素が延性及び靱性を低下させるので、不純物はできる限り少ないのが望ましい。Pの含量は好ましくは最大0.025%、Sの含量は好ましくは最大0.015%である。」(段落【0030】ないし【0039】)

イ 上記アの記載より分かること

a)上記アe)によると、鉄ベース合金には、窒素が0.05?0.20%の範囲で含有されていることから、窒化物構造を備えていることが分かる。

b)上記アb)及びc)によると、刊行物に記載された発明は、ディーゼルエンジンのターボチャージャ用途用のノズルリングであることが分かる。

c)上記アd)及びe)によると、刊行物に記載された発明は、Fe:100重量%まで含むことが分かる。

ウ 刊行物に記載された発明

したがって、上記ア及びイを総合すると、刊行物には次の発明(以下、「刊行物に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。

<刊行物に記載された発明>

「炭化物及び窒化物構造を備えるフェライトベースの構造を有する鉄ベース合金からなる、特にディーゼルエンジンのターボチャージャ用途用のノズルリングであり、
合金の総重量のパーセントとして測定して、
C:0.25?0.6重量%、
Si:0.0?4.0重量%、
Mn:0.0?3.0重量%、
Cr:19?28重量%、
Nb:2?4重量%、
W:2?4重量%、
Fe:100重量%まで、
を含み、
N含有量を0.05?0.20%の範囲に限定し、
V、Ti、Hf及びZr合計で最大0.2%を含むことができる、
ターボチャージャ用途用のノズルリング。」

4.対比・判断

刊行物に記載された発明における「ノズルリング」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「構成要素」に相当し、以下同様に、「合金の総重量のパーセントとして測定して」は「前記鉄ベース合金が、実質的に次の元素、すなわち」に、「N含有量を0.05?0.20%の範囲に限定し」は「N:2重量%以下」にそれぞれ相当する。
また、刊行物に記載された発明における「C:0.25?0.6重量%、Si:0.0?4.0重量%、Mn:0.0?3.0重量%、Cr:19?28重量%、Nb:2?4重量%、W:2?4重量%、を含み」及び「V、Ti、Hf及びZr合計で最大0.2%を含むことができる」と本願発明における「C:0.25?0.4重量%、Cr:18?20重量%、Mn:1重量%以下、Si:1?1.8重量%、Nb:0.6?1.1重量%、Ti:0.3?0.5重量%、W:2?2.7重量%、V:0.5?0.8重量%、を含む」とは、「C、Cr、Mn、Si、Nb、W、Vを所定量含む」という限りにおいて一致する。

してみると、本願発明と刊行物に記載された発明とは、
「炭化物及び窒化物構造を備えるフェライトベースの構造を有する鉄ベース合金からなる、特にディーゼルエンジンのターボチャージャ用途用の構成要素であり、
前記鉄ベース合金が、実質的に次の元素、すなわち、
C、Cr、Mn、Si、Nb、Ti、W、V
を所定量含み、
N:2重量%以下
Fe:100重量%まで、
を含む
ターボチャージャ用途用の構成要素。」
の点で一致し、次の点で相違する。

<相違点>
本願発明においては、
「C:0.25?0.4重量%、
Cr:18?20重量%、
Mn:1重量%以下、
Si:1?1.8重量%、
Nb:0.6?1.1重量%、
Ti:0.3?0.5重量%、
W:2?2.7重量%、
V:0.5?0.8重量%、」であるのに対し、
刊行物に記載された発明においては、
「C:0.25?0.6重量%、
Si:0.0?4.0重量%、
Mn:0.0?3.0重量%、
Cr:19?28重量%、
Nb:2?4重量%、
W:2?4重量%、
を含み、
V、Ti、Hf及びZr合計で最大0.2%を含むことができる」である点(以下、「相違点」という。)。

上記相違点について検討する。

鉄ベース合金において、元素を添加することにより種々の特性を与えることは、刊行物の段落【0030】ないし【0039】にも記載があるように、本願の優先日前技術常識であって、その添加量については、ベースとなる鉄や他の添加元素との関係等を考慮して当業者が適宜設定し得るものであるところ、本願発明と刊行物に記載された発明において、C、Cr、Mn、Si、Wのそれぞれの添加量は重複または近接しており、刊行物に記載された発明において、本願発明のような数値範囲も、それぞれの元素の配合を最適化する上で普通に選択する範囲である。
また、Nb、Ti、Vに関しても、鉄ベース合金において、Nb:0.6?1.1重量%、Ti:0.3?0.5重量%、V:0.5?0.8重量%に近い範囲で各元素が添加されている設計例として、例えば、特開平10-60606号公報(段落【0006】、C:0.05?0.45%、Cr:16.0?25.0%、Nb及び/又はV:0.01?1.0 %(ただし各々は0.5%以下))、特開2001-181799号公報(段落【0004】、Cr:8?35質量%、C:0.05?1.50質量%、Ti,Nb,Zr,V,Wから選ばれた1種又は2種以上:0.05?3.0質量%)、特開昭49-7117号公報(第1ページ左下欄第5ないし16行、1.0%以下の炭素、0.30?30.0%のクロム、0.5?5.0%のチタン、ニオビウム、バナジウム)がある。
してみれば、Nb、Ti、Vの添加量としてそれぞれ0.6?1.1重量%、0.3?0.5重量%、0.5?0.8重量%の範囲を選択することも当業者であれば容易になし得ることである。

以上からすると、刊行物に記載された発明において、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば、容易に想到できたことである。

そして、本願発明は、全体としてみても、刊行物に記載された発明から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

したがって、本願発明は、刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

5.まとめ

以上のとおり、本願発明は、刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

6.結語

以上に述べたとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-06-08 
結審通知日 2017-06-13 
審決日 2017-06-26 
出願番号 特願2014-514484(P2014-514484)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 津田 健嗣  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 佐々木 芳枝
槙原 進
発明の名称 ターボチャージャ及びそのための構成要素  
代理人 百本 宏之  
代理人 大賀 眞司  

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