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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
管理番号 1334255
審判番号 不服2015-13338  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-13 
確定日 2017-11-09 
事件の表示 特願2010-243387「共振増幅磁力モータ」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 5月24日出願公開、特開2012-100367〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成22年10月29日の出願であって、平成27年3月30日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成27年4月21日)、これに対し、平成27年7月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、平成27年12月7日付で上申書が提出され、当審により平成28年5月17日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成28年6月7日)、これに対し、平成28年7月20日付で意見書及び手続補正書が提出され、当審により平成28年11月17日付で最後の拒絶の理由が通知され(発送日:平成28年12月13日)、これに対し、平成29年1月31日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。


2.平成29年1月31日付の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年1月31日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由I]
(1)補正の内容
本件補正前の特許請求の範囲は、以下のとおりである。
「【請求項1】
床板と、
前記床板に設けられたスラスト軸受部と、
前記スラスト軸受部により支持されたモータ軸と、
前記モータ軸に対して回転力を付与するモータと、
前記モータ軸に取り付けられたローターと、
前記床板上において、前記スラスト軸受部を基点として、当該基点において互いに直交する第1の直線及び第2の直線を定義し、前記第1の直線の一方側を第1象限、前記第1の直線の他方側を第3象限、前記第2の直線の一方側を第2象限、前記第2の直線の他方側を第4象限として定義した場合に、前記第1象限、前記第2象限、前記第3象限及び前記第4象限のそれぞれに設けられた第1の磁気ユニットと、
前記第1象限、前記第2象限、前記第3象限及び前記第4象限のそれぞれにおいて、前記第1の磁気ユニットの外側に、当該第1の磁気ユニットに一部を重ね合わせた状態で設けられた第2の磁気ユニットと、を備え、
前記ローターは、前記モータ軸に直交する方向に沿って延びる取り付け板と、当該取り付け板の各端部に取り付けられた第3の磁気ユニットと、を有し、
前記第1象限に設けられた前記第1の磁気ユニット及び前記第3象限に設けられた前記第1の磁気ユニットのそれぞれは、平板状の部材と、当該平板状の部材の上面において、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置された複数のマグネットと、を有し、
前記第2象限に設けられた前記第1の磁気ユニット及び前記第4象限に設けられた前記第1の磁気ユニットのそれぞれは、平板状の部材と、当該平板状の部材の上面において、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち他方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置された複数のマグネットと、を有し、
前記第1象限に設けられた前記第2の磁気ユニット及び前記第3象限に設けられた前記第2の磁気ユニットのそれぞれは、平板状の部材と、当該平板状の部材の上面において、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち他方側の磁極を時計方向に向けた状態で、略等間隔で環状に配置された複数のマグネットと、を有し、
前記第2象限に設けられた前記第2の磁気ユニット及び前記第4象限に設けられた前記第2の磁気ユニットのそれぞれは、平板状の部材と、当該平板状の部材の上面において、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向に向けた状態で、略等間隔で環状に配置された複数のマグネットと、を有し、
前記各第3の磁気ユニットは、平板状の部材と、当該平板状の部材の上面において、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置された複数のマグネットと、を有し、前記ローターが回転した際に、前記各第1の磁気ユニットの上部を通過する位置に設けられていることを特徴とした共振増幅磁力モータ。
【請求項2】
前記各第1の磁気ユニットは、前記平板状の部材の上面において、前記複数のマグネットと共に環状に配置された突出マグネットを有し、
前記各第1の磁気ユニットでは、前記突出マグネットの一部が、前記複数のマグネットに対して、前記基点を中心とする径方向の外側に向かって突出しており、かつ、前記突出マグネットのN磁極及びS磁極のうち時計方向に向けられている磁極が、前記各マグネットのN磁極及びS磁極のうち時計方向に向けられている磁極と一致しており、
前記各第3の磁気ユニットは、前記平板状の部材の上面において、前記複数のマグネットと共に環状に配置された突出マグネットを有し、
前記各第3の磁気ユニットでは、前記突出マグネットの一部が、前記複数のマグネットに対して、前記基点を中心とする径方向の外側に向かって突出しており、かつ、前記突出マグネットのN磁極及びS磁極のうち時計方向に向けられている磁極が、前記各マグネットのN磁極及びS磁極のうち時計方向に向けられている磁極と一致しているところの請求項1に記載の共振増幅磁力モータ。」

本件補正により、特許請求の範囲は、以下のように補正された。
「【請求項1】
床板と、
前記床板に設けられたスラスト軸受部と、
前記スラスト軸受部により支持されたモータ軸と、
前記モータ軸に対して回転力を付与するモータと、
前記モータ軸に取り付けられたローターと、
前記床板上において、前記スラスト軸受部を基点として、当該基点において互いに直交する第1の直線及び第2の直線を定義し、前記第1の直線の一方側を第1象限、前記第1の直線の他方側を第3象限、前記第2の直線の一方側を第2象限、前記第2の直線の他方側を第4象限として定義した場合に、前記第1象限、前記第2象限、前記第3象限及び前記第4象限のそれぞれに設けられた第1の磁気ユニットと、
前記第1象限、前記第2象限、前記第3象限及び前記第4象限のそれぞれにおいて、前記第1の磁気ユニットの外側に、当該第1の磁気ユニットに一部を重ね合わせた状態(図2に示す、第1象限方向Aに設けられた磁気ユニット17と磁気ユニット9との重なり方、第2象限方向Bに設けられた磁気ユニット21と磁気ユニット13との重なり方、第3象限方向Cに設けられた磁気ユニット19と磁気ユニット11との重なり方、及び、第4象限方向Dに設けられた磁気ユニット23と磁気ユニット15との重なり方のそれぞれをいう)で設けられた第2の磁気ユニットと、を備え、
前記ローターは、前記モータ軸に直交する方向に沿って延びる取り付け板と、当該取り付け板の各端部に取り付けられた第3の磁気ユニットと、を有し、
前記第1象限に設けられた前記第1の磁気ユニット及び前記第3象限に設けられた前記第1の磁気ユニットのそれぞれは、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置(図2に示す、第1象限方向Aに設けられた磁気ユニット17における複数のマグネットの配置、及び、第3象限方向Cに設けられた磁気ユニット19における複数のマグネットの配置のそれぞれをいう)された複数のマグネットと、当該複数のマグネットと共に環状に配置された突出マグネットと、を有してなり、
前記第2象限に設けられた前記第1の磁気ユニット及び前記第4象限に設けられた前記第1の磁気ユニットのそれぞれは、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち他方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置(図2に示す、第2象限方向Bに設けられた磁気ユニット21における複数のマグネットの配置、及び、第4象限方向Dに設けられた磁気ユニット23における複数のマグネットの配置のそれぞれをいう)された複数のマグネットと、当該複数のマグネットと共に環状に配置された突出マグネットと、を有してなり、
前記第1象限に設けられた前記第2の磁気ユニット及び前記第3象限に設けられた前記第2の磁気ユニットのそれぞれは、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち他方側の磁極を時計方向に向けた状態で、略等間隔で環状に配置(図2に示す、第1象限方向Aに設けられた磁気ユニット9における複数のマグネットの配置、及び、第3象限方向Cに設けられた磁気ユニット11における複数のマグネットの配置のそれぞれをいう)された複数のマグネットを有してなり、
前記第2象限に設けられた前記第2の磁気ユニット及び前記第4象限に設けられた前記第2の磁気ユニットのそれぞれは、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向に向けた状態で、略等間隔で環状に配置(図2に示す、第2象限方向Bに設けられた磁気ユニット13における複数のマグネットの配置、及び、第4象限方向Dに設けられた磁気ユニット15における複数のマグネットの配置のそれぞれをいう)された複数のマグネットを有してなり、
一対の前記第3の磁気ユニットの間隔は、前記第1象限に設けられた前記第1の磁気ユニットと前記第3象限に設けられた前記第1の磁気ユニットとの間隔及び前記第2象限に設けられた前記第1の磁気ユニットと前記第4象限に設けられた前記第1の磁気ユニットとの間隔のそれぞれと略等しく、
前記各第3の磁気ユニットは、平板状の部材と、当該平板状の部材の上面において、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置(図3に示す、各磁気ユニット31a,31bにおける複数のマグネットの配置をいう)された複数のマグネットと、当該複数のマグネットと共に環状に配置された突出マグネットと、を有してなり、前記ローターが回転した際に、前記各第1の磁気ユニットの上部を比較的接近した状態で通過する位置に設けられており、
前記各第1の磁気ユニットでは、前記突出マグネットの一部が、前記複数のマグネットに対して外方(当該第1の磁気ユニットの外側に設けられた第2の磁気ユニット側)に向かって突出しており、かつ、前記突出マグネットのN磁極及びS磁極のうち時計方向に向けられている磁極が、前記各マグネットのN磁極及びS磁極のうち時計方向に向けられている磁極と一致しており、
前記各第3の磁気ユニットでは、前記突出マグネットが、前記モータ軸から最も遠い位置に取り付けられ、当該突出マグネットの一部が、前記複数のマグネットに対して外方に向かって突出しており、かつ、前記突出マグネットのN磁極及びS磁極のうち時計方向に向けられている磁極が、前記各マグネットのN磁極及びS磁極のうち時計方向に向けられている磁極と一致していることを特徴とした共振増幅磁力モータ。」


(2)新規事項
本件補正後の請求項1には、「前記各第1の磁気ユニットでは、前記突出マグネットの一部が、前記複数のマグネットに対して外方(当該第1の磁気ユニットの外側に設けられた第2の磁気ユニット側)に向かって突出しており」と記載されているから、第1の磁気ユニットの突出マグネットの一部が、第1の磁気ユニットの複数のマグネットに対して外方であって当該第1の磁気ユニットの外側に設けられた第2の磁気ユニット側に向かって突出していれば、その突出方向は任意の方向で良いこととなる。

そこで、当該補正が、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。

当初明細書等には、
a「中間環状軌道磁気ユニットには、それぞれ外方(第1・第3および第2・第4象限軌道磁気ユニット側)に向けて突出させた長方形のマグネットを、それぞれのN磁極およびS磁極の方向を、取り付けた中間環状軌道磁気ユニットのN磁極およびS磁極の方向と略一致させて取り付けてあるところの請求項1?4のいずれか1に記載の共振増幅磁力モータ。」(【請求項5】)
b「【図2】図1のローターおよびモータ軸を除いた状態をあらわした平面図。」(【0010】)
c「中間軌道磁気ユニット21・23にそれぞれ同じく外方に向けて突出させた長方形の突出マグネットのN磁極22cおよび24c」(【0027】)
とあるのみで、第1の磁気ユニットの突出マグネットの一部が、第1の磁気ユニットの複数のマグネットに対して外方であって当該第1の磁気ユニットの外側に設けられた第2の磁気ユニット側に向かって突出していれば、その突出方向は任意の方向で良いこと(図2第2象限において、突出マグネットが図面に示された方向以外の方向を向くこと。)は明細書を参照しても記載も示唆も無い。

したがって、本件補正後の請求項1に記載された「前記各第1の磁気ユニットでは、前記突出マグネットの一部が、前記複数のマグネットに対して外方(当該第1の磁気ユニットの外側に設けられた第2の磁気ユニット側)に向かって突出しており」は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。なお、「前記各第3の磁気ユニットでは、前記突出マグネットが、前記モータ軸から最も遠い位置に取り付けられ、当該突出マグネットの一部が、前記複数のマグネットに対して外方に向かって突出しており」も同様である。


(3)目的要件
本件補正が、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。
特許法第17条の2第5項第2号の「特許請求の範囲の減縮」は、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られる。また、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請され、補正前の請求項と補正後の請求項とは、一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。

本件補正後の請求項は請求項1のみであって突出マグネットを有しており、本件補正前の請求項1を引用する本件補正前の請求項2は、突出マグネットを有しているから、本件補正後の請求項1は本件補正前の請求項2に対応するものとして検討する。

第1、3象限に設けられた第1の磁気ユニットに関し、本件補正前の請求項2は、「平板状の部材と、当該平板状の部材の上面において、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置された複数のマグネット」とを有していたものが、本件補正後の請求項1は、「各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置」された複数のマグネットを有するものの、「平板状の部材」が無くなっている。
そうすると、本件補正は本件補正前の請求項2の「平板状の部材」との構成を削除したものであるから、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。第2、4象限に設けられた第1の磁気ユニット、第1、3象限に設けられた第2の磁気ユニット、第2、4象限に設けられた第2の磁気ユニットも同様である。

したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正とは認められない。
また、本件補正が、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものでないことも明らかである。


(4)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


[理由II]
上記のとおり、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるが、仮に本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の請求項に記載されたものが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)特許法第36条第6項について
本件補正後の請求項1に、「前記第1の磁気ユニットの外側に、当該第1の磁気ユニットに一部を重ね合わせた状態(図2に示す、第1象限方向Aに設けられた磁気ユニット17と磁気ユニット9との重なり方、第2象限方向Bに設けられた磁気ユニット21と磁気ユニット13との重なり方、第3象限方向Cに設けられた磁気ユニット19と磁気ユニット11との重なり方、及び、第4象限方向Dに設けられた磁気ユニット23と磁気ユニット15との重なり方のそれぞれをいう)で設けられた第2の磁気ユニット」と記載されており、第2の磁気ユニットの第1の磁気ユニットに一部を重ね合わせた状態を、図2を用いて図2に示される重なり方と特定しているが、図面は多義的に解され曖昧な意味を持つものであるから、請求項の記載を図面の記載で代用すると発明の範囲は不明確なものとなる。「各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置(図2に示す、第1象限方向Aに設けられた磁気ユニット17における複数のマグネットの配置、及び、第3象限方向Cに設けられた磁気ユニット19における複数のマグネットの配置のそれぞれをいう)された複数のマグネット」、「各マグネットのN磁極及びS磁極のうち他方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置(図2に示す、第2象限方向Bに設けられた磁気ユニット21における複数のマグネットの配置、及び、第4象限方向Dに設けられた磁気ユニット23における複数のマグネットの配置のそれぞれをいう)された複数のマグネット」、「各マグネットのN磁極及びS磁極のうち他方側の磁極を時計方向に向けた状態で、略等間隔で環状に配置(図2に示す、第1象限方向Aに設けられた磁気ユニット9における複数のマグネットの配置、及び、第3象限方向Cに設けられた磁気ユニット11における複数のマグネットの配置のそれぞれをいう)された複数のマグネット」、「各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向に向けた状態で、略等間隔で環状に配置(図2に示す、第2象限方向Bに設けられた磁気ユニット13における複数のマグネットの配置、及び、第4象限方向Dに設けられた磁気ユニット15における複数のマグネットの配置のそれぞれをいう)された複数のマグネット」、「各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置(図3に示す、各磁気ユニット31a,31bにおける複数のマグネットの配置をいう)された複数のマグネット」も同様である。

したがって、本件補正後の請求項1の記載は明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができない。


(2)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条の規定により却下されるべきものである。


3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-2に係る発明は、上記した平成28年7月20日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-2に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(1)当審の最後の拒絶の理由
当審で平成28年11月17日付で通知した最後の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「I 平成28年7月20日付でした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。


(1)請求項1には、「前記第1象限に設けられた前記第1の磁気ユニット及び前記第3象限に設けられた前記第1の磁気ユニットのそれぞれは、平板状の部材と、当該平板状の部材の上面において、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置された複数のマグネットと、を有し」とあるから、第1の磁気ユニットは平板状の部材にマグネットが設けられていることとなる。
そこで、当該補正が、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、第1の磁気ユニットのマグネットが単に配置されることは記載はある(【0014】)が、平板状の部材が存在し、その部材にマグネットが設けられることは記載も示唆もない。しかも、平板状の部材以外に何ら特定は無いから、平板状の部材の平面形状、平板状の部材の各部での断面形状・板厚、材質(磁性体、例えば鋼板も含まれる。)等は任意となるが、これらは記載も示唆もない。
なお、請求人は、平成28年7月20日付意見書で、
「すなわち、出願当初の明細書の段落0014には、「中間環状軌道磁気ユニット17・19は複数のマグネット18・20を、それぞれのN磁極18aを傾斜状態で左回り方向(反時計方向)に向けて環状に略等間隔に配列して・・・いる。また中間環状軌道磁気ユニット21・23は複数のマグネット22・24を、それぞれのN磁極22a・24aをうつぶせの傾斜状態で右回り方向(時計方向)に向けて環状に略等間隔に配列して・・・いる。」旨が記載されております。
また、図2及び図5には、各「中間環状軌道磁気ユニット17,19,21,23」が、「床板1」上に配置された、平面視で円板状(図2参照)、側面視で平板状(図5参照)の部材(以下、「平板状の部材」とします)と、当該平板状の部材の上面に配置された「複数のマグネット」と、を備える構成が示されております。
してみると、各「第1の磁気ユニット」(中間環状軌道磁気ユニット)が、平板状の部材と、当該平板状の部材の上面に配置された「複数のマグネット」と、を有する構成は、出願当初の明細書及び図面の記載から明らかとなっております。」
と主張するが、明細書及び図面には平板状の部材がある点は何等記載がなく、平板状の部材があるならば図面に符号が存在するはずであるが記載がなく、しかも図5に平板状の部材が存在するならば、中心補助軌道磁気ユニットのマグネット26は平板状の部材の下部(第1の磁気ユニットのマグネットの反対側)に存在することとなり、平面図である図2において、第1の磁気ユニットのマグネットと中心補助軌道磁気ユニットのマグネット26が共に見えることはないから、請求人の上記主張は採用できない。
したがって、第1の磁気ユニットは平板状の部材にマグネットが設けられていることは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。なお、請求項1、2の他の「平板状の部材」との記載も同様である。

(2)請求項1には、「前記各第3の磁気ユニットは、・・・略・・・前記ローターが回転した際に、前記各第1の磁気ユニットの上部を通過する位置に設けられている」とあるから、第3の磁気ユニットの一部でも第1の磁気ユニットの上部を通過すれば良いこととなる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、ローターは、取り付け板を介して左右両端部であって、第1及び第3中間磁気ユニット間、および第2及び第4中間磁気ユニット間の間隔に略等しく、ローターの回転に際して各中間磁気ユニットの上部を比較的接近させた状態で通過することができる位置に第1及び第2回転磁気ユニットが配置されることは記載はある(【0018】)が、第3の磁気ユニットの一部でも第1の磁気ユニットの上部を通過すれば良いことは記載も示唆もない。
したがって、第3の磁気ユニットの一部でも第1の磁気ユニットの上部を通過すれば良いことは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。

(3)請求項2には、「前記各第1の磁気ユニットでは、前記突出マグネットの一部が、前記複数のマグネットに対して、前記基点を中心とする径方向の外側に向かって突出しており」とあるから、突出マグネットの突出方向が基点を中心とする径方向の外側(基点を中心とする放射方向)となる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、突出マグネットが他の第1の磁気ユニットのマグネットより外方に突出していることは記載はあるが、基点を中心とする径方向の外側(基点を中心とする放射方向)に向かって突出することは記載も示唆もない。
したがって、突出マグネットの突出方向が基点を中心とする径方向の外側(基点を中心とする放射方向)となることは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。なお、第3の磁気ユニットの突出マグネットも同様である。


II この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。


(1)請求項1に、「前記第1象限、前記第2象限、前記第3象限及び前記第4象限のそれぞれにおいて、前記第1の磁気ユニットの外側に、当該第1の磁気ユニットに一部を重ね合わせた状態で設けられた第2の磁気ユニットと、を備え」とあり、第2の磁気ユニットは第1の磁気ユニットに一部を重ね合わせた状態であればどの様な重なり方でも良いこととなるが、図1、図2に示されるような重なり方しか開示が無く、請求項1に記載された範囲まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
更に、請求項1に、「前記第1象限に設けられた前記第1の磁気ユニット及び前記第3象限に設けられた前記第1の磁気ユニットのそれぞれは、平板状の部材と、当該平板状の部材の上面において、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置された複数のマグネットと、を有し」とあり、複数のマグネットは各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置されればどの様な配置でも良いこととなるが、図2、図5に示されるような配置しか開示が無く、請求項1に記載された範囲まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。なお、請求項1、2の他の「複数のマグネット」も同様である。
更に、請求項1記載のものは、第1の磁気ユニット、第3の磁気ユニットが突出マグネットを有していないが、突出マグネットを有するものしか開示が無く、請求項1に記載された範囲まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
更に、請求項1、2に記載された平板状の部材の材質は任意であるから、磁性体を用いた場合、マグネットの磁束が磁性体で遮蔽され他の部材へ届かないこととなるが、何故この様な構成とするのか不明である。
更に、【0024】?【0030】には、「加速する」と記載されており、【0031】の記載に基づけばスイッチをOFFにしなければ加速が続いて回転速度が無限大になるのもの考えられるが、何故加速が継続するのか平成28年7月20日付意見書を参照しても不明である。」


(2)最後の拒絶の理由についての判断
(ア)理由Iについて
(ア-1)請求項1には、「前記第1象限に設けられた前記第1の磁気ユニット及び前記第3象限に設けられた前記第1の磁気ユニットのそれぞれは、平板状の部材と、当該平板状の部材の上面において、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置された複数のマグネットと、を有し」とあるから、第1の磁気ユニットは平板状の部材にマグネットが設けられていることとなる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、第1の磁気ユニットのマグネットが床板上に配置されることは記載はある(【0013】、【0014】)が、床板とは別の平板状の部材が存在し、その部材にマグネットが設けられることは記載も示唆もない。しかも、平板状の部材に他に何ら特定は無いから、平板状の部材の平面形状、平板状の部材の各部での断面形状・板厚、材質(磁性体、例えば鋼板も含まれる。)等は任意となるが、これらの点も記載も示唆もない。
したがって、第1の磁気ユニットは平板状の部材にマグネットが設けられていることは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。なお、請求項1、2の他の第1及び第2の磁気ユニットに関する「平板状の部材」との記載も同様である。

(ア-2)請求項1には、「前記各第3の磁気ユニットは、・・・略・・・前記ローターが回転した際に、前記各第1の磁気ユニットの上部を通過する位置に設けられている」とあるから、第3の磁気ユニットの一部でも第1の磁気ユニットの上部を通過すれば良いこととなる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、ローターは、取り付け板を介して左右両端部であって、第1及び第3中間磁気ユニット間、および第2及び第4中間磁気ユニット間の間隔に略等しく、ローターの回転に際して各中間磁気ユニットの上部を比較的接近させた状態で通過することができる位置に第1及び第2回転磁気ユニットが配置されることは記載はある(【0018】)が、第3の磁気ユニットの一部が第1の磁気ユニットの上部を通過することは記載も示唆もない。
したがって、第3の磁気ユニットの一部でも第1の磁気ユニットの上部を通過すれば良いことは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。

(ア-3)請求項2には、「前記各第1の磁気ユニットでは、前記突出マグネットの一部が、前記複数のマグネットに対して、前記基点を中心とする径方向の外側に向かって突出しており」とあるから、突出マグネットの突出方向が基点を中心とする径方向の外側(基点を中心とする放射方向)となる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、突出マグネットが他の第1の磁気ユニットのマグネットより外方に突出していることは記載はあるが、基点を中心とする径方向の外側(基点を中心とする放射方向)に向かって突出することは記載も示唆もない。
したがって、突出マグネットの突出方向が基点を中心とする径方向の外側(基点を中心とする放射方向)となることは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。なお、第3の磁気ユニットの突出マグネットも同様である。


(イ)理由IIについて
請求項1に、「前記第1象限、前記第2象限、前記第3象限及び前記第4象限のそれぞれにおいて、前記第1の磁気ユニットの外側に、当該第1の磁気ユニットに一部を重ね合わせた状態で設けられた第2の磁気ユニットと、を備え」とあり、第2の磁気ユニットは第1の磁気ユニットに一部を重ね合わせた状態であればどの様な重なり方でも良いこととなるが、図1、図2に示されるような重なり方しか開示が無く、請求項1に記載された範囲まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
請求項1に、「前記第1象限に設けられた前記第1の磁気ユニット及び前記第3象限に設けられた前記第1の磁気ユニットのそれぞれは、平板状の部材と、当該平板状の部材の上面において、各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置された複数のマグネットと、を有し」とあり、複数のマグネットは各マグネットのN磁極及びS磁極のうち一方側の磁極を時計方向かつ前記床板側に向けた状態で、略等間隔で環状に配置されればどの様な配置でも良いこととなるが、図2、図5に示されるような配置しか開示が無く、請求項1に記載された範囲まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。なお、請求項1、2に記載された他の「複数のマグネット」も同様である。
請求項1記載のものは、第1の磁気ユニット、第3の磁気ユニットが突出マグネットを有していないが、明細書には突出マグネットを有するものしか開示が無く、請求項1に記載された範囲まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
請求項1、2に記載された平板状の部材について材質の特定はないので任意となるが、磁性体を用いた場合、マグネットの磁束が磁性体で遮蔽され他の部材へ届かないこととなるが、そもそも明細書には平板状の部材について記載がなく何故この様な構成とするのか不明である。
【0024】?【0030】には、ローターに関し「加速する」と記載されており、【0031】の記載に基づけばスイッチをOFFにしなければローターの加速が続いて回転速度が無限大になるのもの考えられるが、何故加速が継続するのか平成28年7月20日付意見書及び平成29年1月31日付意見書を参照しても不明である。

したがって、請求項1-2の記載は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えているので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、かつ、請求項1-2の記載は明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、かつ、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。


4.むすび
したがって、平成28年7月20日付でした手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、請求項1-2の記載は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-12 
結審通知日 2017-08-08 
審決日 2017-08-29 
出願番号 特願2010-243387(P2010-243387)
審決分類 P 1 8・ 572- WZ (H02K)
P 1 8・ 536- WZ (H02K)
P 1 8・ 537- WZ (H02K)
P 1 8・ 561- WZ (H02K)
P 1 8・ 537- WZ (H02K)
P 1 8・ 536- WZ (H02K)
P 1 8・ 575- WZ (H02K)
P 1 8・ 55- WZ (H02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾家 英樹  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 遠藤 尊志
堀川 一郎
発明の名称 共振増幅磁力モータ  
代理人 吉村 徳人  
代理人 吉村 公一  

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