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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1334278
審判番号 不服2017-1774  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-07 
確定日 2017-11-09 
事件の表示 特願2013-187671「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月23日出願公開、特開2015- 53991〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年9月10日の出願であって、平成28年3月7日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年5月16日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成28年10月31日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年2月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正がなされたものである。

第2 平成29年2月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年2月7日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
所定の遊技を行う遊技機であって、
遊技に関連する演出音を出力可能な演出音出力部と、
遊技者が操作可能な操作部と、
前記演出音出力部から出力される演出音の音量を、該遊技機が設置されている遊技店側が設定可能な第1設定手段と、
前記演出音出力部から出力される演出音の音量を、前記操作部を操作することにより遊技者が設定可能な第2設定手段と、
前記操作部の操作がなされたときに、該操作後に前記第2設定手段により設定される音量に対応する確認音を前記演出音出力部から出力するための処理を実行する確認音出力手段と、
前記第2設定手段にて設定される音量を認識可能に表示する表示手段と、
を備え、
前記第2設定手段は、所定範囲内で音量の設定が可能であり、
前記確認音出力手段は、前記第2設定手段により設定される音量が所定範囲の限界にある場合において、当該音量を所定範囲外へ変更するように前記操作部の操作がなされたときには前記処理を実行せず、
前記表示手段は、前記第1設定手段により新たに音量が設定された場合には、当該新たに設定された音量にもとづき、前記第2設定手段にて設定される音量表示を行う
ことを特徴とする遊技機。」
から、
「【請求項1】
A 可変表示を行う遊技が可能な遊技機であって、
B 遊技に関連する演出音を出力可能な演出音出力部と、
C 遊技者が操作可能な操作部と、
D 前記操作部が操作されることによって前記演出音出力部から出力される演出音の音量の範囲を、該遊技機が設置されている遊技店側が設定可能な第1設定手段と、
E 前記演出音出力部から出力される演出音の音量を、前記操作部を操作することにより遊技者が設定可能な第2設定手段と、
F 前記操作部の操作がなされたときに、該操作後に前記第2設定手段により設定される音量に対応する確認音を前記演出音出力部から出力するための処理を実行する確認音出力手段と、
G 前記第2設定手段にて設定される音量を認識可能に表示する表示手段と、
を備え、
H 前記操作部は、音量に関連する設定で使用され、予告を発生させることでは使用されず、
I 前記第2設定手段は、前記第1設定手段により設定された設定範囲内で可変表示の実行中も音量の設定が可能であり、
J 前記確認音出力手段は、前記第2設定手段により設定される音量が設定範囲の限界にある場合において、当該音量を設定範囲外へ変更するように前記操作部の操作がなされたときには前記処理を実行せず、
K 前記表示手段は、前記第1設定手段により新たに音量の設定範囲が設定された場合には、当該新たに設定された音量の設定範囲にもとづき、前記第2設定手段にて設定される音量表示を行う
ことを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。また、当審においてA?Kに分説した。)。

2 補正の適否について
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「遊技機」に関して、「可変表示を行う遊技が可能な」と限定し、「第1設定手段」に関して、「前記操作部が操作されることによって前記演出音出力部から出力される演出音の音量の範囲を、」と限定し、「操作部」に関して、「音量に関連する設定で使用され、予告を発生させることでは使用されず、」と限定し、「第2設定手段」に関して、「前記第1設定手段により設定された設定範囲内で可変表示の実行中も音量の設定が可能であり、」と限定するとともに、「確認音出力手段」に関して、「所定範囲」を「設定範囲」と限定し、「表示手段」に関して、「音量」を「音量の設定範囲」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2011-200511号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1-a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、出力音の音量を遊技者が変更可能とされた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機から出力される出力音の音量を、遊技者が自身の好みに応じた音量に変更可能とされた遊技機がある(例えば、特許文献1?3参照)。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら特許文献1?3の遊技機にあっては、遊技機からの出力音の音量を、遊技者が自身の好みに応じた音量に変更できることから、遊技者の利便性を高められるものの、これら遊技者による変更によって、遊技場が想定していない大きな音量や小さな音量に変更されてしまう虞れがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、遊技者の利便性を高めつつ、遊技場が想定していない音量の音が出力されてしまうことを防止することのできる遊技機を提供することを目的とする。」

(1-b)「【0018】
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄を変動表示する複数の変動表示領域を含む変動表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。また、遊技盤6の所定箇所には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての特別図柄を変動表示する特別図柄表示器(特別図柄表示装置)8(図3参照)が設けられている。変動表示装置9には、たとえば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示領域(図柄表示エリア)がある。変動表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄であって、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての飾り図柄の変動表示を行う。変動表示装置9は、後述する演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81(図3参照)によって制御される。特別図柄表示器8は表示部が小型であるので、変動表示の態様および変動表示の表示結果が変動表示装置9と比べて見づらいため、遊技者は主として変動表示装置9の方に注目する。
・・・
【0028】
遊技領域7の外側の左右上部には、エラー音や演出用の効果音(演出音)を発する2つのスピーカ27L,27Rが設けられ、左右下部にも、同様にエラー音や演出用の効果音を発する2つのスピーカ27a,27bが設けられている。」

(1-c)「【0110】
本実施の形態における音量範囲設定部83を図11に示す。音量範囲設定部83には、図11に示すように、3つの設定回転子83a、83b、83cが設けられている。
【0111】
設定回転子83cは、遊技場の関係者(係員)が遊技者による音量の変更を許諾するか否かを設定する部分であり、該設定回転子83c回転させて外周突起部をONの位置とすることで、音量変更ボタンスイッチ61の操作が有効とされて、遊技者による音量変更が可能とされる一方、該設定回転子83c回転させて外周突起部をOFFの位置とすることで、音量変更ボタンスイッチ61の操作が無効とされて、遊技者による音量変更が不能とされる。
【0112】
設定回転子83aは、スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音の音量範囲と初期音量を、遊技場の関係者(係員)が設定する部分であり、図11(b)に示すように、外周突起部の色が異なる円盤状の3つの回転ボリュームが同軸に積層された構造とされていて、遊技者が変更可能な音量の下限音量(下段の回転ボリューム;外周突起部の色が白)、初期(デフォルト)音量(中段の回転ボリューム;外周突起部の色が黒)、遊技者が変更可能な音量の上限音量(上段の回転ボリューム;外周突起部の色が赤)をそれぞれ、個別に設定できるとともに、これら上限音量、下限音量、初期音量の関係を、目視によって正確に把握できるようになっている。」

(1-d)「【0287】
次に、演出制御基板80における動作を説明する。演出制御基板80では、電源基板から電源電圧の供給を受けると、演出制御用マイクロコンピュータ81が起動し、CPU86が図22のフローチャートに示すような演出制御メイン処理を実行する。図22に示す演出制御メイン処理を開始すると、CPU86は、まず、所定の初期化処理を実行して(ステップSa51)、RAM85のクリアや各種初期値の設定、また演出制御基板80に搭載された図示せぬCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定等を行う。続いて、CPU86は、記憶領域設定指令処理を実行することにより、画像音声生成用LSI262のVDP部263が備える一時記憶メモリ(図示略)における記憶領域を、固定アドレスエリアと可変アドレスエリアとに設定するための指令を行う(ステップSa52)。
・・・
【0291】
コマンド解析処理を実行した後には、飾り図柄プロセス処理を実行する(ステップSa57)。この飾り図柄プロセス処理では、変動表示装置9の表示画面にて行われる飾り図柄の可変表示の進行状況並びに操作レバー600の操作に応じて、変動表示装置9の表示出力、スピーカ27L,27R、27a,27bからの音声出力、各種LEDの点灯動作などにより各種の演出動作を実行するための設定が行われる。そして、演出側乱数値更新処理が実行されることにより(ステップSa58)、演出制御基板80の側にて乱数回路(図示略)等によりカウントされる各種の乱数値が更新される。さらに、異常の発生等を変動表示装置9等の演出装置における表示やスピーカ27L,27R、27a,27bからのエラー音の出力により報知を行う報知制御処理(ステップSa59)や、音量変更ボタンスイッチ61の操作に応じてスピーカ27L,27R、27a,27bやイアホン端子装着部62からの出力音量を遊技者が変更する図12に示す音量変更処理(ステップSa60)を実行した後、ステップSa54に戻る。」

(1-e)「【0400】
Sh3のステップにおいては、飾り図柄プロセスフラグの値が“0”であるか、つまり、変動表示装置9において可変表示や大当り等の演出表示等が実施されていない状態であるか否かを判定する。飾り図柄プロセスフラグの値が“0”でない場合には当該処理を終了する一方、飾り図柄プロセスフラグの値が“0”である場合にはSh4のステップに進む。
・・・
【0406】
一方、イアホン端子装着部62にイアホンが装着されていない場合には、Sh9のステップに進み、音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている上限音量と下限音量、並びにRAM85の所定領域に格納されている現在において設定されているスピーカ音量(これらスピーカ音量が格納されていないときには、音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量)を特定し、該特定した上限音量と下限音量と、設定されているスピーカ音量とが表示された図13(b)に示すスピーカ音量設定画面を変動表示装置9に表示する制御を行い(ステップSh8)、Sh11のステップに進む。
【0407】
Sh11のステップにおいては、座標特定用DSP266に対してレバー操作許諾指示を出力して、該座標特定用DSP266から、操作レバー600の操作による座標データの出力を開始させ、操作レバー600の操作を有効とする。
【0408】
そして、Sh12のステップとSh13のステップとを巡回実施することで、レバー操作があったか(X座標の変更があったか)、設定終了条件が成立したか否かを判定する。
【0409】
Sh12のステップにおいて、X座標の変更によりレバー操作があったと判定された場合には、Sh16のステップに進んで、該X座標の変更に対応する新たな音量が、上下限音量の範囲内であるか否かを判定する。
【0410】
該判定において、上下限音量の範囲内である場合にはSh17のステップに進んで、操作方向(音量大方向または音量小方向)に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させる表示制御を実施するとともに、該移動後の音量による所定の調整音をスピーカ27L,27R、27a,27b又はイアホン端子装着部62から出力させる制御を行った後、Sh12のステップに戻る。
【0411】
尚、Sh16のステップにおける判定において、上下限音量の範囲内でない場合には、Sh17、Sh18のステップを実施することなく、Sh12のステップに戻ることで、上下限音量の範囲外の音量への移動(設定)が不能とされる。
【0412】
つまり、遊技者は、図13(a)のイアホン音量設定画面や、図13(b)のスピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて、操作レバー600を、音量を小さくしたい場合にはパチンコ機2に向かって左方向に操作し、音量を大きくしたい場合にはパチンコ機2に向かって右方向に操作すれば良く、これら操作に応じて出力される調整音の音量を確認して、所望の音量を選択すれば良い。そして、該選択した音量を設定する場合には、音量変更ボタンスイッチ61を操作すれば良い。」

(1-f)「【0439】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【0440】
例えば、前記実施例では、音量変更処理を演出制御用マイクロコンピュータ81が実行するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら音量変更処理を、例えば、座標特定用DSP266が実施することで、演出等の実施中であっても、操作レバーの操作が演出において無効とされている場合には、音量の変更を可能とするようにしても良い。
【0441】
また、前記実施例では、これら遊技者による音量の変更を操作レバーの操作により実施するようにしており、このようにすることは、音量変更のための専用の操作部を個別に設ける必要がなく、遊技機のコスト上昇を回避できることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら音量変更のための専用の操作部を、遊技機の前面側に、遊技者が操作可能に設けるようにしても良い。」

(1-g)段落【0018】には「特別図柄を変動表示する特別図柄表示器(特別図柄表示装置)8(図3参照)が設けられている」と記載され、【0001】には、「本発明は」「遊技機に関する」と記載されているから、刊行物1には、特別図柄を変動表示する特別図柄表示器8を設けた遊技機が記載されているといえる。(構成a)

(1-h)段落【0028】には「エラー音や演出用の効果音(演出音)を発する2つのスピーカ27L,27Rが設けられ」と記載されているから、刊行物1には、エラー音や演出用の効果音を発するスピーカが記載されているといえる。(構成b)

(1-i)段落【0412】には「遊技者は、・・・操作レバー600を、音量を小さくしたい場合にはパチンコ機2に向かって左方向に操作し、音量を大きくしたい場合にはパチンコ機2に向かって右方向に操作すれば良く、」と記載されているから、刊行物1には、遊技者が操作する操作レバー600が記載されているといえる。(構成c)

(1-j)段落【0409】には「レバー操作があったと判定された場合には、Sh16のステップに進んで、該X座標の変更に対応する新たな音量が、上下限音量の範囲内であるか否かを判定する。」と記載され、段落【0410】には「上下限音量の範囲内である場合にはSh17のステップに進んで、操作方向(音量大方向または音量小方向)に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させる表示制御を実施するとともに、該移動後の音量による所定の調整音をスピーカ27L,27R、27a,27b又はイアホン端子装着部62から出力させる」と記載され、段落【0110】には「音量範囲設定部83には、図11に示すように、3つの設定回転子83a、83b、83cが設けられている」と記載され、段落【0112】には、「設定回転子83aは、スピーカ27L,27R、27a,27bから出力される音の音量範囲と初期音量を、遊技場の関係者(係員)が設定する部分であり、・・・遊技者が変更可能な音量の下限音量・・・遊技者が変更可能な音量の上限音量・・・をそれぞれ、個別に設定できる」と記載されているから、刊行物1には、操作レバー600の操作により遊技者が変更可能なスピーカから出力される音の上限音量及び下限音量を遊技場の関係者が設定する音量範囲設定部83が記載されているといえる。(構成d)

(1-k)上記(1-i)で検討したとおり段落【0412】には、操作レバー600の操作に応じて遊技者が音量を変更する旨記載されており、段落【0287】には「CPU86が図22のフローチャートに示すような演出制御メイン処理を実行する」と記載され、段落【0291】には、演出制御メイン処理のステップSa60で「スピーカ」「からの出力音量を遊技者が変更する」音量変更処理を行うとの記載があるから、刊行物1には、前記スピーカからの出力音量を、操作レバー600の操作に応じて遊技者が変更する音量変更処理を実行するCPU86が記載されているといえる。(構成e)

(1-l)段落【0411】には「上下限音量の範囲内でない場合には、Sh17、Sh18のステップを実施することなく」と記載されており、このSh17、Sh18のステップとは、図12にも示すとおり、音量変更処理の一部であるから、上記(1-k)で検討したとおり、CPU86が実施するものである。さらに、上記(1-j)で検討した段落【0409】、【0410】のSh16、Sh17についての記載を踏まえると、刊行物1には、操作レバー600の操作があったときに、新たな音量が音量範囲設定部83により設定された上下限音量の範囲内である場合には、所定レベルだけ設定音量表示を移動させる表示制御を実施するとともに、該移動後の音量による所定の調整音をスピーカから出力させる制御を行い、新たな音量が上下限音量の範囲内でない場合には、これらの制御を実施しないCPU86が記載されているといえる。(構成f、j)

(1-m)段落【0406】には「上限音量と下限音量と、設定されているスピーカ音量とが表示された図13(b)に示すスピーカ音量設定画面を変動表示装置9に表示する」と記載されているから、刊行物1には、スピーカ音量を表示する変動表示装置9が記載されているといえる。(構成g)

(1-n)段落【0412】には「操作レバー600を、・・・これら操作に応じて出力される調整音の音量を確認して、所望の音量を選択すれば良い」と記載されているから、刊行物1には、操作レバー600は、音量の選択で使用されるものであることが記載されているといえる。(構成h’)

(1-o)上記(1-l)で検討したとおり、CPU86は、音量範囲設定部83により設定された上下限音量の範囲内で音量の変更が可能であり、段落【0400】には「飾り図柄プロセスフラグの値が“0”であるか、つまり、変動表示装置9において可変表示や大当り等の演出表示等が実施されていない状態であるか否かを判定する。・・・飾り図柄プロセスフラグの値が“0”である場合にはSh4のステップに進む」と記載されているから、刊行物1には、CPU86は、音量範囲設定部83により設定された上下限音量の範囲内で、可変表示等が実施されていない状態であるときに音量の変更が可能であることが記載されているといえる。(構成i’)

(1-p)上記(1-j)で検討したとおり、音量範囲設定部83で上限音量及び下限音量が設定され、上記(1-l)で検討したとおり、設定された上下限音量の範囲内で音量変更処理を行い、上記(1-m)で検討したとおり、変動表示装置9は、スピーカ音量を表示し、上記(1-k)で検討したとおり、CPU86は音量変更処理を実行するから、刊行物1には、変動表示装置9は、音量範囲設定部83にて上限音量と下限音量とが設定された場合に、設定された上下限音量の範囲内でCPU86で変更される音量表示を行うことが記載されているといえる。(構成k)

上記(1-a)?(1-f)の記載事項及び(1-g)?(1-p)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。
「a 特別図柄を変動表示する特別図柄表示器8を設けた遊技機であって、
b エラー音や演出用の効果音を発するスピーカと、
c 遊技者が操作する操作レバー600と、
d 操作レバー600の操作により遊技者が変更可能なスピーカから出力される音の上限音量及び下限音量を遊技場の関係者が設定する音量範囲設定部83と、
e 前記スピーカからの出力音量を、操作レバー600の操作に応じて遊技者が変更する音量変更処理を実行するCPU86と、
f、j 操作レバー600の操作があったときに、新たな音量が音量範囲設定部83により設定された上下限音量の範囲内である場合には、所定レベルだけ設定音量表示を移動させる表示制御を実施するとともに、該移動後の音量による所定の調整音をスピーカから出力させる制御を行い、新たな音量が上下限音量の範囲内でない場合には、これらの制御を実施しないCPU86と、
g スピーカ音量を表示する変動表示装置9と、を備え、
h’ 操作レバー600は、音量の選択で使用されるものであり、
i’ CPU86は、音量範囲設定部83により設定された上下限音量の範囲内で、可変表示等が実施されていない状態であるときに音量の変更が可能であり、
k 変動表示装置9は、音量範囲設定部83にて上限音量と下限音量とが設定された場合に、設定された上下限音量の範囲内でCPU86で変更される音量表示を行う遊技機。」

(2)刊行物2
原査定において周知技術を示す文献として引用された特開2005-288020号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0089】
図10に示すように、図柄の変動表示が行われ(A、B)、期間Yを経過すると特定のリーチが始まる(C)。ここで切替処理bが行われて(S36)、操作ボタン75による表示内容の変更が可能になる。図示の例では、2種類のキャラクタC1、C2が表示され、交互に選択枠が表示されるので(C、D)、所望のキャラクタC1、C2が選択枠で囲まれたときに操作ボタン75を押せば、そのキャラクタC1、C2によるリーチ表示が行われる(E、F)。キャラクタC1、C2の選択が可能な期間は、上述の期間Yで開始し期間Xで終了し(Eでは終了している。)、以後E?Hのように進行する(言うまでもないが外れるときもある)。Gでは、操作ボタン75を1回押した時であり(現在の音量を表示)、このことから、少なくともA?Fまでは1段階目の音量で変動表示が行なわれていたことがわかる。
【0090】
図10A、Bでは画面の右上に「音量調整可能期間」と表示されているとおり、特定の変動パターンであっても、この時点ではまだ音量調整が可能である。しかし、C、Dでは「音量調整可能期間」という表示は消えている。つまり、この期間は音量調整ができない期間になっており、表示内容が変更可能な状態になっている。なお、厳密には表示内容が変更可能な時期と音量調整ができない時期とは一致せず、例えば図10Cの表示になった時点では表示内容を変更可能な期間の開始にはなっていないが(その直後になる)、音量調整はできない。」

(3)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(k)は、刊行物1発明の構成に対応している。)。

(a)刊行物1発明の「特別図柄が変動表示する」ことは、「可変表示を行う遊技が可能」であることを意味するものである。
よって、刊行物1発明の「特別図柄を変動表示する特別図柄表示器8を設けた遊技機」は、本願補正発明の「可変表示を行う遊技が可能な遊技機」に相当する。

(b)刊行物1発明の「演出用の効果音」は、本願補正発明の「遊技に関連する演出音」に相当する。
よって、刊行物1発明の「エラー音や演出用の効果音を発するスピーカ」は、本願補正発明の「遊技に関連する演出音を出力可能な演出音出力部」に相当する。

(c)刊行物1発明の「遊技者が操作する操作レバー600」は、本願補正発明の「遊技者が操作可能な操作部」に相当する。

(d)刊行物1発明の「操作レバー600の操作により遊技者が変更可能なスピーカから出力される音の上限音量及び下限音量」は、本願補正発明の「操作部が操作されることによって演出音出力部から出力される演出音の音量の範囲」に相当する。
また、刊行物1発明の「遊技場」には遊技機が設置されていることは自明であるから、刊行物1発明の「遊技場の関係者が設定する」ことは、本願補正発明の「遊技機が設置されている遊技店側が設定可能な」ことに相当する。
よって、刊行物1発明の「操作レバー600の操作により遊技者が変更可能なスピーカから出力される音の上限音量及び下限音量を遊技場の関係者が設定する音量範囲設定部83」は、本願補正発明の「操作部が操作されることによって演出音出力部から出力される演出音の音量の範囲を、該遊技機が設置されている遊技店側が設定可能な第1設定手段」に相当する。

(e)刊行物1発明の「スピーカからの出力音量」は、本願補正発明の「演出音出力部から出力される演出音の音量」に相当する。
また、刊行物1発明の「操作レバー600の操作に応じて遊技者が変更する音量変更処理を実行する」点は、本願補正発明の「操作部を操作することにより遊技者が設定可能な」点に相当する。
よって、刊行物1発明の「スピーカからの出力音量を、操作レバー600の操作に応じて遊技者が変更する音量変更処理を実行するCPU86」は、本願補正発明の「演出音出力部から出力される演出音の音量を、操作部を操作することにより遊技者が設定可能な第2設定手段」に相当する。

(f、j)刊行物1発明の「調整音」は、本願補正発明の「確認音」に相当する。また、刊行物1発明において「操作レバーの操作があったとき」の「新たな音量」は、上記(e)で検討したとおり、「CPU86」(第2設定手段)により設定される音量であることは明らかである。
よって、刊行物1発明の「操作レバー600の操作があったときに、新たな音量が音量範囲設定部83により設定された上下限音量の範囲内である場合には、所定レベルだけ設定音量表示を移動させる表示制御を実施するとともに、該移動後の音量による所定の調整音をスピーカから出力させる制御を行」う「CPU86」は、本願補正発明の「操作部の操作がなされたときに、該操作後に第2設定手段により設定される音量に対応する確認音を演出音出力部から出力するための処理を実行する確認音出力手段」を含むものである。
また、刊行物1発明の「新たな音量が上下限音量の範囲内でない場合」は、設定される音量が設定範囲の限界にある場合であることは自明な事項であるから、本願補正発明の「設定される音量が設定範囲の限界にある場合において、当該音量を設定範囲外へ変更するように操作部の操作がなされたとき」に相当する。
よって、刊行物1発明の「新たな音量が上下限音量の範囲内でない場合には、これらの制御を実施しないCPU86」は、本願補正発明の「第2設定手段により設定される音量が設定範囲の限界にある場合において、当該音量を設定範囲外へ変更するように操作部の操作がなされたときには前記処理を実行」しない「確認音出力手段」に相当する。

(g)刊行物1発明においてスピーカ音量を変更するのは、上記(e)で検討したとおり、「CPU86」(第2設定手段)であり、刊行物1発明の「変更」は、本願補正発明の「設定」に相当する。
よって、刊行物1発明の「スピーカ音量を表示する変動表示装置9」は、本願補正発明の「第2設定手段にて設定される音量を認識可能に表示する表示手段」に相当する。

(h’)刊行物1発明の「操作レバー600は、音量の選択で使用される」点は、本願補正発明の「操作部は、音量に関連する設定で使用され」る点に相当する。
よって、刊行物1発明の「操作レバー600は、音量の選択で使用されるものであ」る点と、本願補正発明の「操作部は、音量に関連する設定で使用され、予告を発生させることでは使用され」ない点とは、「操作部は、音量に関連する設定で使用され」る点で共通する。

(i’)刊行物1発明の「CPU86は、音量範囲設定部83により設定された上下限音量の範囲内で」「音量の選択が可能であ」る点は、本願補正発明の「第2設定手段は、第1設定手段により設定された設定範囲内で」「音量の設定が可能であ」る点に相当する。
よって、刊行物1発明の「CPU86は、音量範囲設定部83により設定された上下限音量の範囲内で、可変表示等が実施されていない状態であるときに音量の選択が可能であ」る点と、本願補正発明の「第2設定手段は、第1設定手段により設定された設定範囲内で可変表示の実行中も音量の設定が可能であ」る点とは、「第2設定手段は、第1設定手段により設定された設定範囲内で音量の設定が可能であ」る点で共通する。

(k)刊行物1発明の「変動表示装置9は、音量範囲設定部83にて上限音量と下限音量とが設定された場合」とは、新たに設定されることも含まれるから、本願補正発明の「表示手段は、第1設定手段により新たに音量の設定範囲が設定された場合」に相当する。
また、刊行物1発明の「CPU86で変更される音量表示を行う」点は、本願補正発明の「2設定手段にて設定される音量表示を行う」に相当する。
よって、刊行物1発明の「変動表示装置9は、音量範囲設定部83にて上限音量と下限音量とが設定された場合に、設定された上下限音量の範囲内でCPU86で変更される音量表示を行う」点は、本願補正発明の「表示手段は、第1設定手段により新たに音量の設定範囲が設定された場合には、当該新たに設定された音量の設定範囲にもとづき、第2設定手段にて設定される音量表示を行う」点に相当する。

したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「A 可変表示を行う遊技が可能な遊技機であって、
B 遊技に関連する演出音を出力可能な演出音出力部と、
C 遊技者が操作可能な操作部と、
D 前記操作部が操作されることによって前記演出音出力部から出力される演出音の音量の範囲を、該遊技機が設置されている遊技店側が設定可能な第1設定手段と、
E 前記演出音出力部から出力される演出音の音量を、前記操作部を操作することにより遊技者が設定可能な第2設定手段と、
F 前記操作部の操作がなされたときに、該操作後に前記第2設定手段により設定される音量に対応する確認音を前記演出音出力部から出力するための処理を実行する確認音出力手段と、
G 前記第2設定手段にて設定される音量を認識可能に表示する表示手段と、
を備え、
H’ 前記操作部は、音量に関連する設定で使用され、
I’ 前記第2設定手段は、前記第1設定手段により設定された設定範囲内で音量の設定が可能であり、
J 前記確認音出力手段は、前記第2設定手段により設定される音量が設定範囲の限界にある場合において、当該音量を設定範囲外へ変更するように前記操作部の操作がなされたときには前記処理を実行せず、
K 前記表示手段は、前記第1設定手段により新たに音量の設定範囲が設定された場合には、当該新たに設定された音量の設定範囲にもとづき、前記第2設定手段にて設定される音量表示を行う遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
第2設定手段の音量の設定に関して、本願補正発明は、「可変表示の実行中も」可能であるのに対して、刊行物1発明は、「可変表示等が実施されていない状態であるときに」可能である点。

[相違点2]
操作部に関して、本願補正発明は、「予告を発生させることでは使用され」ないのに対し、刊行物1発明は、そのように特定されていない点。

(4)判断
ア 上記相違点1について検討する。
刊行物2の段落【0089】、【0090】、図10には、図柄の変動表示中に遊技者が操作ボタンを操作することで音量を調整可能な遊技機が記載されている(以下「刊行物2記載の事項」という。)。
刊行物1発明、刊行物2記載の事項は、いずれも音量調節が可能な操作部を有する遊技機である点で共通するものである。また、刊行物1の段落【0440】には、「音量変更処理を演出制御用マイクロコンピュータ81が実行するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら音量変更処理を、例えば、座標特定用DSP266が実施することで、演出等の実施中であっても、操作レバーの操作が演出において無効とされている場合には、音量の変更を可能とするようにしても良い。」と記載されており、当該記載は、演出等の実行中、すなわち、可変表示中においても音量変更処理をするように構成することを示唆している。
よって、上記刊行物1に記載された示唆を勘案すれば、刊行物1発明に刊行物2記載の事項を適用し、CPU86(第2設定手段)が可変表示の実行中も音量の選択が可能となるように構成し、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 上記相違点2について検討する。
刊行物1の段落【0441】には「前記実施例では、これら遊技者による音量の変更を操作レバーの操作により実施するようにしており、このようにすることは、音量変更のための専用の操作部を個別に設ける必要がなく、遊技機のコスト上昇を回避できることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら音量変更のための専用の操作部を、遊技機の前面側に、遊技者が操作可能に設けるようにしても良い。」と記載されている(以下「刊行物1記載の事項」という。)
そして、音量変更のための専用の操作部とは、他に演出に関連した操作等には使用しないこと、すなわち、予告を発生させることでは使用されないことを意味するといえる。
よって、上記刊行物1記載の事項に基づけば、刊行物1発明の「操作レバー600」に代えて、音量変更のための専用の操作部を設け、予告を発生させることでは使用されないように構成し、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ 本願補正発明が奏する効果について
上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明、刊行物1記載の事項及び刊行物2記載の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

エ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において「引用文献1では、可変表示中には、音量調整ができない構成になっています。このため、引用文献1においては、可変表示中の音量調整について何ら記載も示唆もない上に、操作レバー600と異なる操作部により操作して可変表示中の音量調整を行うような開示は何らされていないものと思料致します。
さらに、引用文献1には、上述したように、可変表示中の音量調整ができないことからも、音量を設定範囲外へ変更するように操作部の操作がなされたときに確認音を出力しないようにすることや、設定された音量の表示手段による表示が、可変表示の実行中も可能になるということにはなり得ません。」と主張する(第10頁第28行?第11頁第7行)。
確かに、刊行物1には、可変表示等が実施されていない状態であるときに音量の変更が可能である旨記載されているから(段落【0400】)、可変表示中は、音量調整ができない構成となっているといえる。
しかしながら、上記(5)アにおいて検討したとおり、刊行物1には、可変表示中においても音量変更処理をするように構成することを示唆する記載があり、刊行物2には、図柄の変動表示中に遊技者が操作ボタンを操作することで音量を調整可能な遊技機が記載されているから、刊行物1発明の遊技機を可変表示の実行中も音量の選択が可能となるように構成することは、当業者が容易になし得たことである。
そして、そのように構成することにより、音量を設定範囲外へ変更するように操作部の操作がなされたときに確認音を出力しないようにすることや、設定された音量の表示手段による表示が、可変表示の実行中も可能になることは明らかである。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

(5)まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明、刊行物1記載の事項及び刊行物2記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1、2に係る発明は、平成28年5月16日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。当審において、A?Kに分説した。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
A 所定の遊技を行う遊技機であって、
B 遊技に関連する演出音を出力可能な演出音出力部と、
C 遊技者が操作可能な操作部と、
D 前記演出音出力部から出力される演出音の音量を、該遊技機が設置されている遊技店側が設定可能な第1設定手段と、
E 前記演出音出力部から出力される演出音の音量を、前記操作部を操作することにより遊技者が設定可能な第2設定手段と、
F 前記操作部の操作がなされたときに、該操作後に前記第2設定手段により設定される音量に対応する確認音を前記演出音出力部から出力するための処理を実行する確認音出力手段と、
G 前記第2設定手段にて設定される音量を認識可能に表示する表示手段と、
を備え、
I 前記第2設定手段は、所定範囲内で音量の設定が可能であり、
J 前記確認音出力手段は、前記第2設定手段により設定される音量が所定範囲の限界にある場合において、当該音量を所定範囲外へ変更するように前記操作部の操作がなされたときには前記処理を実行せず、
K 前記表示手段は、前記第1設定手段により新たに音量が設定された場合には、当該新たに設定された音量にもとづき、前記第2設定手段にて設定される音量表示を行う
ことを特徴とする遊技機。」

2 刊行物
刊行物1及びその記載事項、並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(1)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「遊技機」に関して、「可変表示を行う遊技が可能な」という限定を省き、「第1設定手段」に関して、「前記操作部が操作されることによって前記演出音出力部から出力される演出音の音量の範囲を、」「設定可能な」との限定を省き、「操作部」に関して、「音量に関連する設定で使用され、予告を発生させることでは使用されず、」との限定を省き、「第2設定手段」に関して、「前記第1設定手段により設定された設定範囲内で可変表示の実行中も音量の設定が可能であり、」との限定を省くともに、「確認音出力手段」に関して、「設定範囲」の限定を「所定範囲」の記載に戻し、「表示手段」に関して、「音量の設定範囲」の限定を「音量」の記載に戻すものである。

本願発明と刊行物1発明とを対比する。刊行物1発明の構成a?g、j、kについては「第2 3(3)」で検討したとおりである。
そして、構成iについて、刊行物1発明の「CPU86」は、本願発明の「第2設定手段」に相当する。また。刊行物1発明のCPU86において、音量範囲設定部83により設定された上下限音量の範囲内で、音量の変更が可能であるから、所定範囲内で音量の設定が可能であるといえる。
よって、刊行物1発明の「CPU86は、音量範囲設定部83により設定された上下限音量の範囲内で、可変表示等が実施されていない状態であるときに音量の変更が可能であ」ることは、本願発明の「前記第2設定手段は、所定範囲内で音量の設定が可能であ」ることに相当する。

したがって、本願発明と刊行物1発明とは、全ての構成において一致し、相違点はない。そして、仮に相違点があったとしても、当業者が容易になし得たものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号又は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-09-06 
結審通知日 2017-09-12 
審決日 2017-09-25 
出願番号 特願2013-187671(P2013-187671)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 保  
特許庁審判長 長井 真一
特許庁審判官 藤田 年彦
平城 俊雅
発明の名称 遊技機  
代理人 石川 好文  
代理人 林 修身  
代理人 堅田 多恵子  
代理人 大久保 岳彦  
代理人 重信 和男  
代理人 溝渕 良一  

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