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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  F01K
管理番号 1334399
異議申立番号 異議2016-701068  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-11-18 
確定日 2017-11-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第6009009号発明「燃焼排ガスからの熱回収発電設備」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6009009号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6009009号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成27年2月13日に特許出願され、平成28年9月23日にその特許権の設定登録がされ、その後、本件特許の請求項1に係る特許について、特許異議申立人 松本 紀子(以下、単に「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審において平成29年7月14日付けで取消理由を通知し、平成29年9月18日付けで意見書が提出されたものである。

2 本件発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
焼却炉からの燃焼排ガスを白煙防止空気予熱器、集塵装置、洗煙装置の順次に通すようにした焼却設備に設置され、煙道内を流れる燃焼排ガスから熱回収して発電するようにした燃焼排ガスからの熱回収発電設備であって、燃焼排ガスを流す煙道に設置され、燃焼排ガスを通して燃焼排ガスから熱回収すると共に、熱媒水を加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された減圧ボイラと、低沸点の液状の冷媒を加熱、蒸発させてその蒸気でタービンを回して発電するバイナリー発電装置とを備えており、前記減圧ボイラの熱媒水を、大気圧以下で沸点が燃焼排ガス中に含まれているSO_(3)ガスの露点以上となる水溶液とし、また、前記バイナリー発電装置の蒸発部を減圧ボイラの減圧蒸気室に設置し、減圧蒸気室内の蒸気でバイナリー発電装置の蒸発部内の冷媒を気化させるようにしたことを特徴とする燃焼排ガスからの熱回収発電設備。」

3 取消理由の概要
当審において、請求項1に係る特許に対して通知した取消理由の要旨は、次の刊行物により、「請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。」とするものである。
(1)特開2013-234848号公報(以下、「刊行物1」という。)
(2)特開昭57-33701号公報(以下、「刊行物2」という。)
(3)実願平1-7668号(実開平2-100089号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物3」という。)

4 引用刊行物の記載事項
(1)刊行物1
ア 刊行物1の記載
特許異議申立書において甲第2号証として示された刊行物であって、本件出願の出願前に頒布された刊行物1には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】
焼却炉と、熱交換器と、集塵装置と、排煙洗浄塔と、前記排煙洗浄塔から排出される洗煙排水を供給して排熱発電を行う排熱発電システムと、を備えた焼却プラントであって、
前記熱交換器が前記焼却炉の排ガスとの熱交換により排ガスの保有熱を回収する前段の熱交換器と、回収された保有熱を前記排熱発電システムに供給する後段の熱交換器とを含み、
前記焼却炉の排ガスの保有熱を前記排熱発電システムに供給することにより、発電量を向上させたことを特徴とする焼却プラント。」(特許請求の範囲の【請求項1】)

(イ)「【0001】
本発明は、下水汚泥焼却炉やごみ焼却炉などの焼却炉から排出される高温の排ガスの保有熱を利用して、排熱発電を行う焼却プラントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥焼却炉等の焼却炉の排ガスは800?850℃程度の高温の排ガスである。このため特許文献1に示すようにこの高温の排ガスを廃熱ボイラに導いて水蒸気を発生させ、蒸気タービンにより発電機を回転させて排熱発電を行わせることが提案されている。しかし設備投資額に見合う発電量が得られず、十分に実用化されているとはいえない。
【0003】
そこで一般的な焼却プラントにおいては、焼却炉から排出される高温の排ガスを、白煙防止空気予熱器やその他の熱交換器に通して排熱の一部を回収したうえ、集塵装置においてダストを分離除去し、更に排煙洗浄塔に通して水洗浄を行い、排ガス中のNO_(X),SO_(X)等の成分を除去する排ガス処理のみが行われているのが普通である。
【0004】
なお焼却炉が流動焼却炉である場合には白煙防止空気予熱器の前段に流動空気予熱器が設置されることがある。また集塵装置がセラミックフィルタである場合には高温集塵が可能であるが、バグフィルタである場合には冷却塔において300℃以下にまで降温したうえで集塵を行っている。
【0005】
このような通常の排ガス処理システムにおいては、排煙洗浄塔において200?400℃の排ガスが約40℃にまで冷却される一方、洗煙排水は60?70℃で排出される。この洗煙排水は比較的低温ではあるが水の比熱が大きいために熱量は大きく、排ガスの持つ熱量の50%を超える。このエネルギーは従来は温水プール等に利用する以外にはほとんど無駄に排出されており、その有効利用が期待されている。しかしながら温度域が60?70℃の低レベルであるため、有効利用は困難とされてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-321131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は、従来は無駄に排出されていた排煙洗浄塔の洗煙排水の保有熱を有効に利用し、電力としてエネルギーを回収することができる焼却プラントを提供することである。」(段落【0001】ないし【0007】)

(ウ)「【0009】
本発明によれば、単に排煙洗浄塔から排出される洗煙排水を排熱発電システムに供給して排熱発電を行うだけではなく、前段の熱交換器により回収された焼却炉の排ガスの保有熱を後段の熱交換器により排熱発電システムに供給することにより発電量を向上させる。このため洗煙排水の温度域が60?70℃の低レベルであっても、有効に電力エネルギーを得ることができる。この場合、熱交換器により回収された焼却炉の排ガスの保有熱により排煙洗浄塔から排出される洗煙排水を昇温させても、あるいは排熱発電システム中の流体を昇温させてもよい。
【0010】
特に排熱発電システムとして、アンモニアまたはフロンもしくはアンモニア/水混合流体を作動流体とする温度差発電システムを用いれば、温度域が低レベルの洗煙排水から有効に電力を取り出すことができる。また低温熱源として利用された凝縮器冷却水を排煙洗浄塔の給水とすれば、水使用量を減少させることができる。」(段落【0009】ないし【0010】)

(エ)「【0012】
以下に本発明の実施形態を示す。
第1の実施形態を示す図1において、1は焼却炉であり、この実施形態では下水汚泥脱水ケーキを焼却するための流動焼却炉である。しかし本発明において流動炉1はこれに限定されるものではなく、ごみ焼却炉であってもよい。その排ガスは通常は800?850℃程度の高温排ガスである。2はこの高温排ガスが導入される流動空気予熱器であり、流動空気を例えば650℃に予熱して炉底部の分散管に供給している。焼却炉1が流動炉でない場合には流動空気予熱器2は省略される。
【0013】
流動空気予熱器2の後側には、焼却炉の排ガスとの熱交換により伝熱媒体を加熱するための前段の熱交換器3が設置されている。この実施形態では前段の熱交換器3は白煙防止空気予熱器である。これは煙突から放出される排ガス中の水蒸気が白煙として見えることを防止する白煙防止空気を得るための熱交換器であり、約300℃の加熱空気(白煙防止空気)が得られる。一方、排ガスは熱交換器3を通過すると250?400℃にまで温度が低下し、次の集塵機4に導かれてダストを除去される。
【0014】
集塵機4はこの実施形態では耐熱性に優れたセラミック集塵機であり、熱交換器3を通過した250?400℃の排ガスをそのまま集塵することができる。しかし集塵機4としてはバグフィルタを使用することもでき、その場合にはその前段に冷却塔を配置してバグフィルタの耐熱温度まで降温することが必要である。集塵機4における排ガスの温度降下は小さく、排ガスは200?400℃で次の排煙洗浄塔5に入る。
【0015】
排煙洗浄塔5は塔の下部から排ガスを導入し、上部のノズル6から散水される水と接触させることによって排ガス中のNO_(X),SO_(X)等の成分を除去する装置である。従来と同様に、塔内水はポンプ7によりノズル6に送水されて循環使用される。この実施形態の排煙洗浄塔5は塔の上部に煙突8が接続されており、塔内で洗浄された排ガスは煙突8から放出される。なお排煙洗浄塔5と煙突8との中間部分には複数段の棚板部9が形成されており、その上部から給水された清浄水と排ガスとを十分に接触させることにより、水洗が十分に行われるように工夫されている。
【0016】
この排煙洗浄塔5においては排ガスが水と接触するため、200?400℃の排ガスの保有熱の大半は水側に移動し、前記したように排煙洗浄塔5から排出される洗煙排水は60?70℃の温水となる。本発明ではこの洗煙排水の保有熱を利用して排熱発電を行うのであるが、これとともに熱交換器3により回収された焼却炉1の排ガスの保有熱を、排熱発電システムに供給する。
【0017】
このため本実施形態においては、排煙洗浄塔5から出る洗煙排水を後段の熱交換器である排水加熱器10に導き、約300℃の白煙防止空気との熱交換によって昇温させたうえ、排熱発電システム20に供給している。その昇温幅は設備や運転方法によって様々であるが、通常は5?15℃の範囲である。このように前段の熱交換器3で回収された焼却炉1の排ガスの保有熱を後段の熱交換器に導き、洗煙排水の昇温に用いることは従来に例がない。本実施形態においては、排水加熱器10を通過した白煙防止空気は100℃以上の温度を保持しているので、煙突8に送られて白煙防止空気としての本来の機能を発揮することができる。なお洗煙排水の昇温量を増加させようとすると排水加熱器10を通過した白煙防止空気の温度が低下するが、100℃程度まで低下しても、大気温度が20℃、湿度100%の気候条件においては白煙は生じないが、冬場の条件である大気温度が0℃、湿度100%では、白煙が生じる。ただし、白煙の発生について法的規制は無く、冬場でもこの条件となるのは、数日程度である。
【0018】
このようにして熱交換によって昇温された洗煙排水は70?85℃程度の温水となり、排熱発電システム20に供給される。排熱発電システム20としては、アンモニアまたはフロンもしくはアンモニア/水混合流体を作動流体とする温度差発電システムを用いることが好ましい。このような温度差発電システム自体は、例えば佐賀大学の出願に係る特開平7-91361号公報に記載のように既に知られたものであり、例えば比較的温度の高い表層海水と深層の冷海水との温度差を利用した温度差発電を行うことができるシステムである。
【0019】
この排熱発電システム20は、図1中に示すように蒸発器21と蒸気タービン22と凝縮器23と循環ポンプ24とを備え、アンモニアまたはフロンもしくはアンモニア/水混合流体のような低沸点流体を作動流体として循環させる。高温熱源である洗煙排水が蒸発器21に供給されて作動流体を加熱して蒸発させ、その蒸気によって蒸気タービン22を回転させて発電機25により発電する。蒸気タービン22を通過した作動流体は凝縮器23において低温熱源である冷却水により冷却されて液化し、循環ポンプ24により再び蒸発器21に戻るクローズドサイクルを繰り返す。
【0020】
発電量を決定する蒸気タービン22の出力は、いうまでもなく高温熱源と低温熱源との温度差が大きいほど増加する。このため後記する実施例のデータに示すように、本発明により洗煙排水を昇温することによって、昇温しない場合よりも発電量を50?60%程度増加させることができる。また低温熱源である冷却水としては常温の水を用いることができる。凝縮器23を通過した冷却水は清浄水であり、排煙洗浄塔5の上部に給水することによって使用水量を抑制することができる。なお冷却水も凝縮器23により加温されることとなるため、排煙洗浄塔5への給水に利用すれば塔内温度の上昇に寄与し、洗煙排水の温度を高める効果がある。」(段落【0012】ないし【0020】)

イ 上記ア及び図面の記載から分かること
(ア)上記ア(ア)ないし(エ)及び図1の記載(特に、【請求項1】、段落【0012】ないし【0015】及び図1の記載)によれば、刊行物1には、焼却炉1からの排ガスを白煙防止空気予熱器である熱交換器3、集塵装置4、排煙洗浄塔5の順次に通すようにした焼却プラントが記載されていることが分かる。

(イ)上記ア(ア)ないし(エ)及び図1の記載(特に、【請求項1】、段落【0009】及び【0016】ないし【0020】並びに図1の記載)と、上記(ア)を合わせてみると、刊行物1には、焼却プラントに設置され、煙道内を流れる排ガスから熱回収して発電するようにした排ガスからの排熱を回収して発電する設備が記載されていることが分かる。

(ウ)上記ア(ア)、(ウ)及び(エ)並びに図1の記載(特に、【0016】ないし【0020】及び図1の記載)によれば、排ガスからの排熱を回収して発電する設備が、排煙洗浄塔5から排出される洗煙排水を加熱して昇温させる後段の熱交換器10と、アンモニアまたはフロンもしくはアンモニア/水混合流体のような低沸点流体を加熱、蒸発させてその蒸気で蒸気タービン22を回して発電する排熱発電システム20とを備えることが分かる。

(エ)上記ア(エ)及び図1の記載(特に、【0016】ないし【0020】及び図1の記載)によれば、排ガスからの排熱を回収して発電する設備は、後段の熱交換器10により加熱して昇温された洗煙排水で排熱発電システム20の蒸発部21内のアンモニアまたはフロンもしくはアンモニア/水混合流体のような低沸点流体を蒸発させることが分かる。

ウ 刊行物1発明
上記ア及びイを総合して、本件発明の表現に倣って整理すると、刊行物1には、次の事項からなる発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認める。
「焼却炉1からの排ガスを白煙防止空気予熱器である熱交換器3、集塵装置4、排煙洗浄塔5の順次に通すようにした焼却プラントに設置され、煙道内を流れる排ガスから熱回収して発電するようにした排ガスからの排熱を回収して発電する設備であって、排ガスを流す煙道に設置され、排ガスを通して排ガスから熱回収する熱交換器3と、熱交換器3により加熱された伝熱媒体により排煙洗浄塔5から排出される洗煙排水を加熱して昇温させる後段の熱交換器10と、アンモニアまたはフロンもしくはアンモニア/水混合流体のような低沸点流体を加熱、蒸発させてその蒸気で蒸気タービン22を回して発電する排熱発電システム20とを備えており、後段の熱交換器10により加熱して昇温された洗煙排水で排熱発電システム20の蒸発部21内のアンモニアまたはフロンもしくはアンモニア/水混合流体のような低沸点流体を蒸発させるようにした排ガスからの排熱を回収して発電する設備。」

(2)刊行物2
ア 刊行物2の記載
特許異議申立書において甲第1号証として示された刊行物であって、本件出願の出願前に頒布された刊行物2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「1) ボイラ外罐内に燃焼室、該燃焼室に連通する煙管、作動流体を通流せしめる熱交換器、該熱交換器に連通する予熱器を上方に向つて順次多層状に配設し、且中間熱媒体を前記予熱器が露出する様前記ボイラ外罐内に充填せしめてなることを特徴とする低圧ボイラ。」(特許請求の範囲の請求項1)

(イ)「本発明は一般のビルの冷暖房用或はフロン等を作動流体としたランキンサイクルシステムに於ける中間熱媒体を用いた低圧ボイラに関する。
一般のビルに設置する冷暖房用のボイラは設置費用等の問題、又安全性等よりボイラ内圧が大気圧前後の低圧ボイラが好ましい。」(1ページ左下欄12ないし17行)

(ウ)「ダウサムやサーミノールを使用した低圧ボイラ熱交換システムの一例を第1図に示す。
図中(a)は一次ボイラ、(b)は二次ボイラ、(h)は中間熱媒体であり、一次ボイラで中間熱媒体を加熱し、二次ボイラで作動流体を加熱するものである。
然し、上記した中間熱媒体を使用する場合は2基のボイラを設置しなければならず、又粘性が高く熱伝達率が低いので循環ポンプ(c)などにより強制流動を与える必要があり伝熱面積も大きくしなければならないのでボイラも大型化する。
尚、(d)はタービン、(e)は発電機、圧縮機などの負荷を意味し、(f)は凝縮機、(g)は作動流体の循環ポンプを示す。
次に中間熱媒体として水などの粘性が低く、又沸点の低いものを使用した例を第2図、第3図に示す。
第2図に示すものはボイラを1基としボイラ(a)の中の中間熱媒体(h)に加熱用の熱交換器(i)と吸熱用の熱交換器(j)を浸漬したものである。この方式だとボイラ、循環ポンプを省略できるが自然対流伝熱である為熱伝達率が低く、この結果として伝熱面積が特大となる。
第3図に示すものは第2図に示すもの同様加熱用熱交換器(i)及び吸熱側熱交換器(j)を中間熱媒体(h)に浸漬したものであるが中間熱媒体(h)を沸騰させ、蒸気気泡と吸熱用熱交換器(j)を接触させ熱交換を行うものである。
この方式であると沸騰凝縮の相変化を利用し、蒸気気泡の攪拌作用があるので熱伝達は良好であるが、凝縮しないでボイラ上部に溜る蒸気がボイラ内圧を高めるので該蒸気を大気中に放出しなければならない。従つて入熱を十分回収できず不経済であつた。」(1ページ右下欄13行ないし2ページ右上欄7行)

(エ)「第4図、第5図に示すボイラの基本構造は横形炉筒煙管内焚ボイラに属するものであり、ボイラ外罐(1)を上方に行くに従つて狭幅にし水平断面積が減少する様、例えば第5図で示す様な卵形に形成し、ボイラ外罐(1)に囲れる空間の底域に燃焼室(2)を形成する内鑵(3)を位置せしめると共に該燃焼室(2)に連通する煙管(4)を内鑵(3)の上外周囲に配設し、その末端を排口(5)に到らしめる。又、煙管(4)の上方にはフロン等の作動流体を流通せしめる導管(6)を千鳥状且上方に行くに従い配列数が少なくなる様折曲げ形成してなる熱交換器(7)を設置し、ボイラ外罐(1)に囲まれる空間の最上位置に前記熱交換器(7)の最下列の導管に連通ずる予熱器(8)を配設する。更に、ボイラ外罐(1)の内壁と適宜な距離を隔て前記煙管(4)と熱交換器(7)の側部を囲む様にバツフル(9)を設ける。次に中間熱媒体(10)をその液面が熱交換器(7)と予熱器(8)との間に位置する様充填する。
尚、図中(11)はバーナ、(12)はボイラ外罐(1)の周囲に貼付けた断熱材である。
燃焼室(2)で生成した燃焼ガスは煙管(4)を通り排口(5)より抜けて行く。燃焼ガスは内鑵(3)及び煙管(4)を加熱し、内鑵(3)及び煙管(4)に接触する中間熱媒体(10)が加熱され沸騰する。沸騰により生じた蒸気気泡は上昇し熱交換器(7)を通過する時に導管(6)に触れ凝縮し、導管(6)中を流れる作動流体に潜熱を与える。又、作動流体と中間熱媒体(10)との温度差による顕熱の授受も行われるが沸騰による中間熱媒体(10)の攪拌作用により熱伝達率は向上する。前記気泡の量は上昇するに従い凝縮し減少するが、気泡流並びに中間熱媒体(10)の上昇流に関し前記した如く流路断面積を減少させ、且導管(6)を千鳥状に配列してあるので、気泡と導管(6)とは効果的に接触し熱交換率は向上する。又、凝縮しないで上部空間(気相部)(13)に抜け出た気泡はそこで予熱器(8)と接触し凝縮するので、中間熱媒体(10)に伝達された熱は全て有効に利用することができ、ボイラ内圧も高じることはない。
更に、中間熱媒体(10)の流れをみると下降流(14)はバツフル板(9)により上昇流(15)と分離されているので対流は極めて円滑に行われる。
次に中間熱媒体として臭化リチユウムを使用した場合について述べる。
第6図は臭化リチユウム水溶液の温度水蒸気飽和圧力曲線を示すものであり、たとえば水溶液濃度ξ=0.60LiBr/Kgとしてバーナ(11)の燃料の燃焼量を適宜制御しボイラ内該水溶液を130℃に加熱すればボイラ内圧力は飽和圧力400mmHgで沸騰現象を生ずる。ここで発生した水蒸気を凝縮液化するにはこの圧力ではこの曲線の飽和水との交点に相当する83℃迄冷却する必要があるが液中では130℃の過熱蒸気及び過熱水として存在することになる。
従つて予熱器(8)に流入した作動流体は130℃の過熱蒸気で予熱された後熱交換器(7)に到り、水溶液内の水蒸気気泡により略130℃迄加熱される。
以上述べた様に臭化リチユウム等の無機塩水溶液を中間熱媒体として使用すれば、沸騰凝縮の相変化を利用した熱交換が可能でしかも低圧下のもとで作動流体を高温に加熱することができる。
尚、上記実施例では断面が卵形状であるがこの卵形状に限らず下方で発生した気泡が上方に導かれ熱交換器表面で凝縮しやすいように気泡が案内される形状であればよい。
以上述べた如く本発明によれば、
(i)燃焼室、煙管、熱交換器を中間熱媒体中に多層状に浸漬させているので沸騰凝縮が効率よく行われ凝縮熱伝達率を向上させ得る、
(ii)ボイラ上部に中間熱媒体が充填されない気相部を設け、該気相部に予熱器を配し気相部に於いても凝縮せしめているのでボイラ内圧が高じるのを押え得ると共に高率で熱を利用し得る、
(iii)中間熱媒体の上昇流と下降流を分離するバツフル板を設けてあるので対流作用が円滑に行われる、
(iv)中間熱媒体の上昇流に対し蒸気気泡と熱交換器とが効率よく接触し凝縮作用を効率よく行なわしめ得る、
(v)中間熱媒体として無機塩水溶液を用いれば低圧にして高温の作動流体を得ることができる、
又暖房等を目的とする比較的低温の温水ボイラでは水を中間媒体に選ぶことも出来る、
等の優れた効果を発揮し得る。」(2ページ右上欄18行ないし3ページ左下欄4行)

イ 刊行物2記載の技術
刊行物2には、上記ア及び第1ないし6図の記載によれば、次の技術(以下、「刊行物2記載の技術」という。)が記載されていると認める。
「燃焼ガスからの排熱を回収して発電する設備において、燃焼ガスを通して燃焼ガスから熱回収すると共に、臭化リチウム等の無機塩水溶液からなる中間熱媒体を加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された低圧ボイラを備え、タービンで発電機を駆動する発電装置の予熱器を低圧ボイラの上部空間に設置し、上部空間内の蒸気で発電装置の予熱器内の作動流体を気化させる技術。」

(3)刊行物3
ア 刊行物3の記載
特許異議申立書において甲第3号証として示された刊行物であって、本件出願の出願前に頒布された刊行物3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「〔産業上の利用分野〕
本考案はボイラ等の燃焼排ガスを熱源とする熱交換器の酸腐食防止最適制御装置に関する。
〔従来の技術〕
熱交換器の表面温度が硫酸露点温度以下になると露結した酸のため腐食を生じる。一方硫酸露点温度は燃焼排ガス組成等によって異るので、熱交換器への給水温度は予想される最高露点温度でも露結を生じせしめないように設定される。
燃焼排ガスの保有する熱を有効に回収するためには給水温度はできるだけ低い方が望ましい。一方熱交換器表面温度を硫酸露点温度以上に保つため、給水温度には下限がある。従来、給水温度は計画値の硫酸露点温度に多少の余裕を加えて一定温度で運用しているか、或いはガス組成に大幅な変化があった場合にのみこれを変更して、運用する程度であった。
〔考案が解決しようとする課題〕
従って硫酸露点温度に余裕を加えた分は有効に熱回収されず損失となっている。一方余裕を少くするとガスの組成変化等による硫酸露点温度変化時に熱交換器の腐食を生じる。
〔課題を解決するための手段〕
本考案は上記課題を解決するため次の手段を講ずる。
すなわち、熱交換器の酸腐食防止最適制御装置として、燃焼ガスの硫酸露点温度を検出する検出装置と、同検出装置からの検出値をもとに熱交換器への給水の温度の設定値を演算する演算器と、上記熱交換器への給水温度を検出する給水温度検出器と、同熱交換器への給水を加熱する手段と、温度調節計とを備え、上記温度調節計は上記設定値の信号と上記給水温度検出器の信号とを受け、上記熱交換器の温度が上記硫酸露点温度よりも所定値だけ高くなるよう上記手段を制御するようにした。
〔作用〕
上記手段により硫酸露点温度が検出装置で計測され、この計測値にもとずいて演算器により給水温度の設定値が、常に熱交換器の表面温度を硫酸露点温度より所定値高い値になるよう設定される。
温度調節計は上記設定値と給水温度検出器の信号を受けて給水を加熱する手段を制御し、常に上記熱交換器が硫酸露点温度より所定値高くなるよう自動制御される。
このようにして、熱交換器の腐食を防止するとともに、過度に高い給水温度になることを排し、有効な熱回収を図ることができるようになる。」(明細書第1ページ第16行ないし第4ページ第3行)

イ 刊行物3記載の技術
刊行物3には、上記ア並びに図1及び2の記載によれば、次の技術(以下、「刊行物3記載の技術」という。)が記載されていると認める。
「燃焼排ガスを流す燃焼排ガス路に設置され、燃焼排ガスを通して燃焼排ガスから熱回収すると共に、水を加熱するボイラ等の熱交換器において、ボイラ等の熱交換器の表面温度を、硫酸露点温度以上に保つことにより、ボイラ等の熱交換器の腐食を防止する技術。」

5 判断
(1)取消理由通知に記載した取消理由について
ア 対比
本件発明と刊行物1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・刊行物1発明における「焼却炉1」は、本件発明における「焼却炉」に相当し、以下同様に、「排ガス」は「燃焼排ガス」に、「白煙防止空気予熱器である熱交換器3」は「白煙防止空気予熱器」に、「集塵装置4」は「集塵装置」に、「排煙洗浄塔5」は「洗煙装置」に、「焼却プラント」は「焼却設備」に、「排ガスからの排熱を回収して発電する設備」は「燃焼排ガスからの熱回収発電設備」に、「アンモニアまたはフロンもしくはアンモニア/水混合流体のような低沸点流体」は「低沸点の液状の冷媒」に、「蒸気タービン22」は「タービン」に、「排熱発電システム20」は「バイナリー発電装置」に、「蒸発部21」は「蒸発部」に、「蒸発」は「気化」に、それぞれ相当する。

・刊行物1発明における「排ガスを流す煙道に設置され、排ガスを通して排ガスから熱回収する熱交換器3と、熱交換器3により加熱された伝熱媒体により排煙洗浄塔5から排出される洗煙排水を加熱して昇温させる後段の熱交換器10」は、本件発明における「燃焼排ガスを流す煙道に設置され、燃焼排ガスを通して燃焼排ガスから熱回収すると共に、熱媒水を加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された減圧ボイラ」に、「熱交換手段」という限りにおいて一致する。

・刊行物1発明における「後段の熱交換器10により加熱して昇温された洗煙排水で排熱発電システム20の蒸発部21内のアンモニアまたはフロンもしくはアンモニア/水混合流体のような低沸点流体を蒸発させる」は、本件発明における「バイナリー発電装置の蒸発部を減圧ボイラの減圧蒸気室に設置し、減圧蒸気室内の蒸気でバイナリー発電装置の蒸発部内の冷媒を気化させる」に、「熱交換手段によりバイナリー発電装置の蒸発部内の冷媒を気化させる」という限りにおいて一致する。

したがって、両者は
「焼却炉からの燃焼排ガスを白煙防止空気予熱器、集塵装置、洗煙装置の順次に通すようにした焼却設備に設置され、煙道内を流れる燃焼排ガスから熱回収して発電するようにした燃焼排ガスからの熱回収発電設備であって、熱交換手段と、低沸点の液状の冷媒を加熱、蒸発させてその蒸気でタービンを回して発電するバイナリー発電装置とを備えており、熱交換手段によりバイナリー発電装置の蒸発部内の冷媒を気化させるようにした燃焼排ガスからの熱回収発電設備。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
「熱交換手段」を備え、「熱交換手段によりバイナリー発電装置の蒸発部内の冷媒を気化させる」ことに関し、本件発明においては、「燃焼排ガスを流す煙道に設置され、燃焼排ガスを通して燃焼排ガスから熱回収すると共に、熱媒水を加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された減圧ボイラ」を備え、「バイナリー発電装置の蒸発部を減圧ボイラの減圧蒸気室に設置し、減圧蒸気室内の蒸気で」バイナリー発電装置の蒸発部内の冷媒を気化させるのに対して、刊行物1発明においては、「排ガスを流す煙道に設置され、排ガスを通して排ガスから熱回収する熱交換器3と、熱交換器3により加熱された伝熱媒体により排煙洗浄塔5から排出される洗煙排水を加熱して昇温させる後段熱交換器10」を備え、「後段の熱交換器10により加熱して昇温された洗煙排水で排熱発電システム20の蒸発部21内のアンモニアまたはフロンもしくはアンモニア/水混合流体のような低沸点流体を蒸発させる」点(以下、「相違点1」という。)。

[相違点2]
本件発明においては、「減圧ボイラの熱媒水を、大気圧以下で沸点が燃焼排ガス中に含まれているSO_(3)ガスの露点以上となる水溶液とし」ているのに対して、刊行物1発明においては、かかる構成を備えていない点(以下、「相違点2」という。)。

イ 判断
(ア)上記相違点1及び2の検討に先立ち、刊行物2記載の技術及び刊行物3記載の技術を本件発明の用語又はその上位概念の用語で表現すると、次のとおりである。
a 刊行物2記載の技術
「燃焼排ガス(燃焼ガス)からの排熱を回収して発電する設備において、燃焼排ガスを通して燃焼排ガスから熱回収すると共に、熱媒水(臭化リチウム等の無機塩水溶液からなる中間熱媒体)を加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された減圧ボイラ(低圧ボイラ)を備え、バイナリー発電装置(タービンで発電機を駆動する発電装置)の蒸発部(予熱器)を減圧ボイラの減圧蒸気室(上部空間)に設置し、減圧蒸気室内の蒸気でバイナリー発電装置の蒸発部内の冷媒(作動流体)を気化させる技術。」(括弧内に、刊行物2記載の技術において対応する用語を示す。)

b 刊行物3記載の技術
「燃焼排ガスを流す燃焼排ガス路に設置され、燃焼排ガスを通して燃焼排ガスから熱回収すると共に、水を加熱する熱交換器において、熱交換器の表面温度を、燃焼排ガス中に含まれているSO_(3)ガスの露点以上となるようにする(ボイラ等の熱交換器の表面温度を、硫酸露点温度以上に保つ)ことにより、ボイラ(ボイラ等の熱交換器)の腐食を防止する技術。」(括弧内に、刊行物3記載の技術において対応する用語を示す。)
ここで、刊行物3記載の技術における「ボイラ等の熱交換器の表面温度を、硫酸露点温度以上に保つ」は、ボイラ等の熱交換器において、燃焼排ガス中のSO_(3)ガス(無水硫酸)が、水に溶けると硫酸になり熱交換器が腐食することから、「熱交換器の表面温度を、燃焼排ガス中に含まれているSO_(3)ガスの露点以上となるようにする」ということができる。

(イ)そこで、上記相違点1及び2について検討する。
a 相違点1について
刊行物2記載の技術は、上記4(2)ア(エ)に記載されているように、減圧ボイラ(低圧ボイラ)のボイラ外罐内に燃焼室を設けたものを前提としたものであって、減圧ボイラ(低圧ボイラ)が「燃焼排ガスを流す煙道に設置され」るものではない。
また、刊行物3記載の技術は、燃焼排ガスを流す燃焼排ガス路に設置されるボイラ(ボイラ等の熱交換器)に関するものであるが、燃焼排ガスを流す燃焼排ガス路が焼却炉からの燃焼排ガスを流す煙道であるかは不明であり、ボイラ(ボイラ等の熱交換器)が「燃焼排ガスを流す煙道に設置され」るものということはできない。
そうすると、刊行物1発明において、刊行物2記載の技術及び刊行物3記載の技術を適用したとしても、減圧ボイラを「燃焼排ガスを流す煙道に設置され」たものとすることはできない。
また、刊行物1発明は、刊行物1における「従って本発明の目的は、従来は無駄に排出されていた排煙洗浄塔の洗煙排水の保有熱を有効に利用し、電力としてエネルギーを回収することができる焼却プラントを提供することである。」(段落【0007】)との記載によれば、排煙洗浄塔の洗煙排水の保有熱を有効に利用し、電力としてエネルギーを回収するという課題を解決するものであるところ、仮に刊行物1発明において、燃焼排ガス(排ガス)から熱回収をして排煙洗浄塔5から排出される洗煙排水を加熱するための熱交換器3及び後段の熱交換器10を用いた熱交換手段に代えて、刊行物2記載の技術を、減圧ボイラ(低圧ボイラ)が燃焼排ガス(排ガス)を流す煙道に設置され、燃焼排ガス(排ガス)を通して燃焼排ガス(排ガス)から熱回収するように適用したとすると、上記課題を解決することはできないものとなるから、そのような適用をする動機付けはない。
したがって、刊行物1発明において、上記相違点1に係る本件発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことではない。

b 相違点2について
刊行物1発明において、燃焼排ガス(排ガス)を通して燃焼排ガス(排ガス)から熱回収する熱交換器3により加熱された伝熱媒体としては、上記4(1)ア(エ)によれば約300℃の白煙防止空気が想定されており、熱交換器3の熱吸収部での硫酸腐食は生じない状態であるから、刊行物1発明に刊行物3記載の技術を適用する動機付けはない。
また、上記aで述べたとおり、刊行物1発明において、刊行物2記載の技術を、減圧ボイラ(低圧ボイラ)が燃焼排ガス(排ガス)を流す煙道に設置され、燃焼排ガス(排ガス)を通して燃焼排ガス(排ガス)から熱回収するように適用する動機付けはないのであるから、刊行物1発明に刊行物2記載の技術と共に刊行物3記載の技術を適用する動機付けはない。
仮に、刊行物1発明において、刊行物2記載の技術を、その他の態様(例えば、減圧ボイラ(低圧ボイラ)のボイラ外罐内に燃焼室を設けた状態で、バイナリー発電装置(排熱発電システム20)の蒸発部(蒸発部21)内の低沸点流体を、昇温された洗煙排水による加熱に付加して、減圧ボイラ(低圧ボイラ)により加熱するようにした態様)として適用し得たとしても、刊行物2記載の技術は、燃焼室に供給される燃料が特定されておらず、燃焼ガス中に硫酸腐食対策が必要な程度のSO_(3)ガスが発生するものであるか不明であるから、刊行物3記載の技術をさらに適用する動機付けはない。
そうすると、刊行物1発明において、上記相違点2に係る本件発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことではない。

c 効果について
そして、本件発明は、上記相違点1及び2に係る本件発明の発明特定事項を備えることにより、特許明細書に記載された「ボイラ・タービン主任技術者等の資格が不要になる。」(段落【0023】)、「減圧ボイラの熱吸収部での硫酸腐食を防止することができる。」(段落【0024】)、「蒸発部の腐食を防止することができる。」(段落【0024】)及び「また、バイナリー発電装置の蒸発部を減圧ボイラの減圧蒸気室に設置し、バイナリー発電装置の冷媒が減圧ボイラ内の蒸気から受熱するため、蒸発部の腐食を防止することができる。」(段落【0024】)等の所期の効果を奏するものである。

d まとめ
したがって、本件発明は、刊行物1発明、刊行物2記載の技術及び刊行物3記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア 申立人は、特許異議申立書において、「本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と甲第2、3号証に記載された事項とに基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。」(8ページ11ないし13行)旨の主張をする。

イ そこで申立人による理由について検討する。
(ア)甲1発明
刊行物2(甲第1号証)には、上記4(2)ア及び第1ないし6図の記載によれば、次の事項からなる発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。
「燃焼ガスからの排熱を回収して発電する設備において、燃焼ガスを通して燃焼ガスから熱回収すると共に、臭化リチウム等の無機塩水溶液からなる中間熱媒体を加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された低圧ボイラを備え、タービンで発電機を駆動する発電装置の予熱器を低圧ボイラの上部空間に設置し、上部空間内の蒸気で発電装置の予熱器内の作動流体を気化させるようにした燃焼ガスからの排熱を回収して発電する設備。」
(イ)甲2記載事項及び甲3記載事項
便宜上、上記4(1)ウの刊行物1(甲第2号証)に記載された刊行物1発明を「甲2記載事項」といい、上記4(3)イの刊行物3(甲第3号証)に記載された刊行物3記載の技術を「甲3記載事項」という。
(ウ)判断
上記(1)イの検討を踏まえると、甲1発明、甲2記載事項及び甲3記載事項のいずれも、「減圧ボイラ」が「燃焼排ガスを流す煙道に設置され」るものではない。
また、上記(1)イの検討を踏まえると、甲1発明において、甲2記載事項及び甲3記載事項を採用する動機付けはない。
そうすると、本件発明は、甲1発明、甲2記載事項及び甲3記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

6 むすび
したがって、請求項1に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-10-26 
出願番号 特願2015-26767(P2015-26767)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (F01K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 瀬戸 康平金田 直之西中村 健一  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 松下 聡
槙原 進
登録日 2016-09-23 
登録番号 特許第6009009号(P6009009)
権利者 株式会社タクマ
発明の名称 燃焼排ガスからの熱回収発電設備  
代理人 杉本 丈夫  
代理人 谷田 龍一  
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