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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G03B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G03B
管理番号 1334700
審判番号 不服2016-19061  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-20 
確定日 2017-12-05 
事件の表示 特願2013-215815「画像投影システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月14日出願公開、特開2015- 92205、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年10月16日(優先権主張 平成25年9月30日)出願であって、平成27年8月10日付けで拒絶理由が通知され、平成27年9月28日に手続補正書及び意見書が提出され、平成28年2月29日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成28年4月11日に手続補正書及び意見書が提出され、平成28年9月21日付けで平成28年4月11日に提出された手続補正書による補正を却下する決定(以下、「補正の却下の決定」という。)がされ、平成28年9月21日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、平成28年12月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされ、その後、当審において、平成29年8月25日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年10月5日に手続補正書及び意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成29年10月5日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりである。

「【請求項1】
照射光を反射するカードであって、当該カードを特定するためのマーカが付されたカードと、
前記カードに対して、ユーザが前記カードを見る上方側から画像を投影する投影装置と、
前記カードに付されたマーカを検出するためのセンサと、
前記センサの検出結果を用いて前記カードが配置されている位置を取得して、前記投影装置の画像投影を制御する処理装置と、を備えた画像投影システムであって、
前記処理装置は処理部を有し、前記カードが配置されている位置をもとに、前記投影装置に、前記処理部から提供されるカードIDに対応付けられている演出画像を、前記カードに重ねて且つ前記カードよりも大きく投影させ、又は、
前記処理装置は処理部と、カードIDと演出パターンとを対応付けて記憶した演出記憶部とを有し、前記カードが配置されている位置をもとに、前記投影装置に、前記処理部から提供されるカードIDに対応付けられた演出パターンであって、前記演出記憶部から読み出された演出パターンにしたがった演出画像を、前記カードに重ねて且つ前記カードよりも大きく投影させる、
ことを特徴とする画像投影システム。」

なお、本願発明2、3は、本願発明1を減縮した発明である。

第3 引用文献、引用発明
引用文献1について
1 補正の却下の決定に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献1(特開2002-247602号公報)には次の事項が記載されている
「【請求項1】 プレーヤに現実空間もしくはその映像に仮想物体の画像が重畳されてなる複合現実空間を視認させる画像生成装置であって、
前記プレーヤの視点位置情報を取得する視点位置情報取得手段と、
前記プレーヤの視点位置及び、前記仮想物体の描画データ及び描画条件に基づいて前記仮想物体の画像を生成する仮想物体画像生成手段と、
前記複合現実空間を反映した2次元画像を生成する2次元画像生成手段と、
前記2次元画像を、前記複合現実空間を視認しない第3者に提示する2次元画像表示手段と、
前記第3者によって行われた操作を検出する操作検出手段と、
前記検出された操作に応じて、前記仮想物体の描画状態に変化を与える変更手段と、
前記仮想物体画像もしくは前記仮想物体画像が重畳された前記現実空間の映像を前記プレーヤが装着する表示装置に出力する出力手段とを有することを特徴とする画像生成装置。」

「【0035】図2には、3次元仮想物体を2次元化した画像(2次元投射画像)を位置あわせして表示した場合の例を示されている。図2では、凹凸のあるゲームフィールドを等高線と色分けにより地図状に表現し、持ち玉を円形画像で表現した2次元投射画像202を、情報からプロジェクタ206により現実物体205天板に投射している。ギャラリー201はこの2次元投射画像202を視認することで、プレーヤ101が視認するゲームフィールドの凹凸と、各プレーヤの持ち玉の位置を認識することができる。」

「【0038】ギャラリー201がゲームに関与する方法についても任意の方法を採用することができるが、本実施形態では、ギャラリーが現実物体205の天板上に所定形状のマークが書かれたカードを置くと、そのマーク形状に従って3次元仮想物体であるゲームフィールドの形状が変化するものとする。
【0039】具体的には、現実物体205の天板に投射されている2次元投射画像上に「+」もしくは「ー」が書かれた正方形のカードが置かれると、3次元仮想物体で構成されるゲームフィールドの、対応する領域が所定高さ隆起もしくは陥没する。ギャラリー201は2次元投射画像により、相手プレーヤの持ち玉の位置その地形を把握することが可能であるため、たとえば相手プレーヤの持ち玉が高い位置から転がりながらスピードを上げている場合には、その進路に当たる位置に「+」の書かれたカード(以下、「+」カード)を置き、その領域を隆起させることにより、持ち玉のスピードを減速させたり、あるいは進路を変更させて、相手プレーヤの妨害を行う。
【0040】また、自分と組んだプレーヤの持ち玉がスムーズに相手プレーヤ方向へ移動するように、持ち玉の進路に「-」が書かれたカード(以下「-」カード)を置くことにより、進路を平滑化もしくは陥没させる。
【0041】ギャラリーは、カードを置いた位置に投影される2次元投射画像の変化により自分が仮想空間に関与した結果を確認できる。すなわち、「+」カードを配置した場合には2次元投射画像の対応する領域の等高線及び/または色が以前より高い位置を表すように変化し、「-」カードを配置した場合には2次元投射画像の対応する領域の等高線及び/または色が以前より低い位置を表すように変化することを認識して、自分の動作により仮想物体の形状が変化したことを確認することができる。
【0042】ギャラリー201が配置したカードの位置及び種別の判定は、2次元投射画像を投射するプロジェクタ206に隣接して設けられた現実空間画像撮影用カメラ203により現実物体205の天板を撮影し、撮影した画像からカードの色、形状を検出してカードの配置位置を、カード内部の画像を解析することによりカードの巣別を判定する。この場合、ギャラリー201が配置するカードの色は組むプレーヤ組毎に変化させればよい。
【0043】本実施形態においては現実空間画像を元にギャラリーの動作を判定するため、現実空間撮影用カメラ203を用いているが、それ以外の方法でギャラリーの動作を検知できる場合には、現実空間撮影用カメラ203は不要である。画像解析以外の方法でギャラリーの動作(操作)を検知する方法に制限はないが、たとえば座標入力装置を用いることができる。
【0044】(MRゲーム装置の構成例)次に、本実施形態におけるMRゲーム装置104の構成例を、図3に示すブロック図を参照して説明する。
【0045】フィールド解析部300は、現実空間撮影用カメラ203で撮影された現実空間の映像から、ギャラリーが現実空間に配置したカードに関する情報(カードの種類・位置など)と、ゲームフィールド上でギャラリーの存在する領域を解析する。カードの種類と位置に関する情報をMRゲーム装置104内のゲーム状態管理部301に、ギャラリーの存在領域に関する情報を主観視点映像生成部302にそれぞれ出力する。
【0046】ゲーム状態管理部301は、ゲームフィールド解析部300からのカード情報及び、ジョイスティック、トラックボール等のプレーヤ101が操作する入力装置(図示せず)の状態に関する情報に基づき、MRゲームの状態(カードの配置情報、仮想物体102(プレーヤの持ち玉含む)の描画に関する情報、2次元投射画像202の生成に関する情報等)を管理する。
【0047】ここで、仮想物体102の描画に関する情報は、仮想物体102の外観(形状)の情報と、世界座標系における仮想物体102の位置姿勢の情報、プレーヤの持ち玉に関する情報により構成されている。また、2次元投射画像202の生成に関する情報は、仮想物体102を2次元に投射する方法と、世界座標系における仮想物体102の位置姿勢の情報により構成されている。
【0048】また、ゲームフィールド解析部300において、ギャラリーが配置したカードが検出された場合には、その種類、位置によって仮想物体102の形状情報を変化させる。すなわち、上述のように、「+」/「-]カードが配置された場所を中心とした所定範囲を所定量隆起/陥没させる。」

「【0055】カメラパラメータ計測管理部304は、既知の情報としてHMD107の内部パラメータを保持すると同時に、HMD107に設けた図不示の位置姿勢センサを用いてHMD107の外部パラメータ(プレーヤの視点位置及び姿勢情報)を計測し、HMD107のカメラパラメータを管理している。プレーヤが複数人いる場合には、各プレーヤが装着するHMD毎にパラメータを計測、管理する。またカメラパラメータ計測管理部304は、既知の情報として、カメラ203のカメラパラメータを管理している。」

「【0058】2次元投射画像生成部312は、ゲーム状態管理部301から入力される仮想物体102の描画に関する情報と、カメラパラメータ計測管理部304から入力されるカメラ203のカメラパラメータ及び、予め定めた仮想物体102の投影方法に基づき、2次元投射画像202を生成する。生成された2次元投射画像202はプロジェクター206に送られ、現実物体205の天板に表示される。」

2 よって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「現実物体の天板上に置かれた所定形状のマークが書かれたカードと、現実物体天板に2次元投射画像を投射しているプロジェクタと、現実物体の天板を撮影し、撮影した画像からカードの色、形状を検出してカードの配置位置を、カード内部の画像を解析することによりカードの位置及び種別の判定する現実空間画像撮影用カメラと、ギャラリーが配置したカードが検出された場合には、「+」/「-]カードが配置された場所を中心とした所定範囲を所定量隆起/陥没させ、現実空間撮影用カメラで撮影された現実空間の映像から、ギャラリーが現実空間に配置したカードに関する情報を解析するゲームフィールド解析部と、ゲームフィールド解析部からのカード情報に関する情報に基づき、2次元投射画像の生成に関する情報を管理するゲーム状態管理部と、カメラのカメラパラメータを管理しているカメラパラメータ計測管理部と、ゲーム状態管理部から入力される仮想物体の描画に関する情報と、カメラパラメータ計測管理部から入力されるカメラのカメラパラメータに基づき、2次元投射画像を生成する2次元投射画像生成部と、を有し、ギャラリーはこの2次元投射画像を視認することができ、カードが置かれると、対応する領域が所定高さ隆起もしくは陥没し、ギャラリーは2次元投射画像により、相手プレーヤの持ち玉の位置その地形を把握することが可能である画像生成装置。」

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「所定形状のマークが書かれたカード」は、本願発明1の「カードを特定するためのマーカが付されたカード」に、引用発明の「2次元投射画像を投射しているプロジェクタ」は、本願発明1の「画像を投影する投影装置」に、引用発明の「現実物体の天板を撮影し、撮影した画像からカードの色、形状を検出してカードの配置位置を、カード内部の画像を解析することによりカードの位置及び種別の判定する現実空間画像撮影用カメラ」は、本願発明1の「カードに付されたマーカを検出するためのセンサ」に、引用発明の「「+」/「-]カードが配置された場所を中心とした所定範囲を所定量隆起/陥没させ、現実空間撮影用カメラで撮影された現実空間の映像から、ギャラリーが現実空間に配置したカードに関する情報を解析するゲームフィールド解析部と、ゲームフィールド解析部からのカード情報に関する情報に基づき、2次元投射画像の生成に関する情報を管理するゲーム状態管理部と、カメラのカメラパラメータを管理しているカメラパラメータ計測管理部と、ゲーム状態管理部から入力される仮想物体の描画に関する情報と、カメラパラメータ計測管理部から入力されるカメラのカメラパラメータに基づき、2次元投射画像を生成する2次元投射画像生成部」は、本願発明1の「前記投影装置の画像投影を制御する処理装置」に、引用発明の「画像生成装置」は、本願発明1の「画像投影システム」にそれぞれ相当する。

イ 引用発明の「所定形状のマークが書かれたカード」は、本願発明1の「カードを特定するためのマーカが付されたカード」に相当し、引用発明では、「カードが置かれると、対応する領域が所定高さ隆起もしくは陥没し、ギャラリーは2次元投射画像により、相手プレーヤの持ち玉の位置その地形を把握することが可能である」ことから、カードはギャラリーがその地形を把握することが可能であるよう光を反射しているものと認められるので、引用発明の「『現実物体の天板上に置かれた所定形状のマークが書かれたカード』であって、『置かれると、対応する領域が所定高さ隆起もしくは陥没し、ギャラリーは2次元投射画像により、相手プレーヤの持ち玉の位置その地形を把握することが可能』となる『カード』」は、本願発明1の「照射光を反射するカードであって、当該カードを特定するためのマーカが付されたカード」に相当する。

ウ 引用発明の「2次元投射画像を投射しているプロジェクタ」は、本願発明1の「画像を投影する投影装置」に相当し、引用発明では、「ギャラリーはこの2次元投射画像を視認することができ、カードが置かれると、対応する領域が所定高さ隆起もしくは陥没し、ギャラリーは2次元投射画像により、相手プレーヤの持ち玉の位置その地形を把握することが可能である」ことから、プロジェクタは、カードに対して、ギャラリーがカードを見る上方側から画像を投影しているものと認められるので、引用発明の「『現実物体天板に2次元投射画像を投射しているプロジェクタ』であって、『ギャラリーはこの2次元投射画像を視認することができ、カードが置かれると、対応する領域が所定高さ隆起もしくは陥没し、ギャラリーは2次元投射画像により、相手プレーヤの持ち玉の位置その地形を把握することが可能である』ようにする『プロジェクタ』」は、本願発明1の「カードに対して、ユーザが前記カードを見る上方側から画像を投影する投影装置」に相当する。

エ 引用発明の「「+」/「-]カードが配置された場所を中心とした所定範囲を所定量隆起/陥没させ、現実空間撮影用カメラで撮影された現実空間の映像から、ギャラリーが現実空間に配置したカードに関する情報を解析するゲームフィールド解析部と、ゲームフィールド解析部からのカード情報に関する情報に基づき、2次元投射画像の生成に関する情報を管理するゲーム状態管理部と、カメラのカメラパラメータを管理しているカメラパラメータ計測管理部と、ゲーム状態管理部から入力される仮想物体の描画に関する情報と、カメラパラメータ計測管理部から入力されるカメラのカメラパラメータに基づき、2次元投射画像を生成する2次元投射画像生成部」は、本願発明1の「前記投影装置の画像投影を制御する処理装置」に相当し、引用発明の「現実空間画像撮影用カメラ」は、「現実物体の天板を撮影し、撮影した画像からカードの色、形状を検出してカードの配置位置を、カード内部の画像を解析することによりカードの位置及び種別の判定する」ものであるので、引用発明の「『現実空間画像撮影用カメラ』が、『現実物体の天板を撮影し、撮影した画像からカードの色、形状を検出してカードの配置位置を、カード内部の画像を解析することによりカードの位置及び種別の判定』して、『ギャラリーが配置したカードが検出された場合には、「+」/「-]カードが配置された場所を中心とした所定範囲を所定量隆起/陥没させ、現実空間撮影用カメラで撮影された現実空間の映像から、ギャラリーが現実空間に配置したカードに関する情報を解析するゲームフィールド解析部と、ゲームフィールド解析部からのカード情報に関する情報に基づき、2次元投射画像の生成に関する情報を管理するゲーム状態管理部と、カメラのカメラパラメータを管理しているカメラパラメータ計測管理部と、ゲーム状態管理部から入力される仮想物体の描画に関する情報と、カメラパラメータ計測管理部から入力されるカメラのカメラパラメータに基づき、2次元投射画像を生成する2次元投射画像生成部』」は、本願発明1の「センサの検出結果を用いて前記カードが配置されている位置を取得して、前記投影装置の画像投影を制御する処理装置」に相当する。

オ 上記アないしエから、本願発明1と引用発明との間には次の一致点、相違点がある。

(一致点)
「照射光を反射するカードであって、当該カードを特定するためのマーカが付されたカードと、
前記カードに対して、ユーザが前記カードを見る上方側から画像を投影する投影装置と、
前記カードに付されたマーカを検出するためのセンサと、
前記センサの検出結果を用いて前記カードが配置されている位置を取得して、前記投影装置の画像投影を制御する処理装置と、を備えた画像投影システム。」

(相違点)
本願発明1では「前記処理装置は処理部を有し、前記カードが配置されている位置をもとに、前記投影装置に、前記処理部から提供されるカードIDに対応付けられている演出画像を、前記カードに重ねて且つ前記カードよりも大きく投影させ、又は、前記処理装置は処理部と、カードIDと演出パターンとを対応付けて記憶した演出記憶部とを有し、前記カードが配置されている位置をもとに、前記投影装置に、前記処理部から提供されるカードIDに対応付けられた演出パターンであって、前記演出記憶部から読み出された演出パターンにしたがった演出画像を、前記カードに重ねて且つ前記カードよりも大きく投影させる」ものであるのに対し、引用発明にそのような特定がない点。

(2)相違点についての判断
補正の却下の決定及び原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献2(特開2008-183212号公報)、補正の却下の決定に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献3(特開2006-288721号公報)、補正の却下の決定に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献4(特開2008-212697号公報)、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献5(特開2010-253252号公報)にも上記相違点の構成は記載されていない。
したがって、本願発明1は、引用発明ではなく、また、引用発明及び引用文献2?5の技術事項に基づいて当業者が容易に発明ができたものとはいえない。

2 本願発明2、3について
本願発明2、3についても、上記相違点に係る本願発明1の「前記処理装置は処理部を有し、前記カードが配置されている位置をもとに、前記投影装置に、前記処理部から提供されるカードIDに対応付けられている演出画像を、前記カードに重ねて且つ前記カードよりも大きく投影させ、又は、前記処理装置は処理部と、カードIDと演出パターンとを対応付けて記憶した演出記憶部とを有し、前記カードが配置されている位置をもとに、前記投影装置に、前記処理部から提供されるカードIDに対応付けられた演出パターンであって、前記演出記憶部から読み出された演出パターンにしたがった演出画像を、前記カードに重ねて且つ前記カードよりも大きく投影させる」という発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明ではなく、また、引用発明及び引用文献2?5の技術事項に基づいて当業者が容易に発明ができたものとはいえない。


第5 補正却下の決定、原査定の概要、及び、補正却下の決定、原査定についての判断
1 原査定は、請求項1、4に係る発明について、上記引用文献5に記載された発明であるから、特許法第29条1項3号の規定により特許を受けることができないというものであり、上記引用文献5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないというものであり、請求項2、3、5、6に係る発明について、上記引用文献5に記載された発明及び上記引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないというものである。また、原査定は、請求項4?6に係る発明について、特許法第36条6項2号の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、平成29年10月5日付けの手続補正により補正された請求項1は「前記処理装置は処理部を有し、前記カードが配置されている位置をもとに、前記投影装置に、前記処理部から提供されるカードIDに対応付けられている演出画像を、前記カードに重ねて且つ前記カードよりも大きく投影させ、又は、前記処理装置は処理部と、カードIDと演出パターンとを対応付けて記憶した演出記憶部とを有し、前記カードが配置されている位置をもとに、前記投影装置に、前記処理部から提供されるカードIDに対応付けられた演出パターンであって、前記演出記憶部から読み出された演出パターンにしたがった演出画像を、前記カードに重ねて且つ前記カードよりも大きく投影させる」という発明特定事項を有するものとなっており、上記引用文献5には上記相違点の構成は記載されていないので、本願発明1は、上記引用文献5に記載された発明ではなく、上記引用文献5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明ができたものとはいえない。また、本願発明2、3は、本願発明1を減縮した発明であり、平成29年10月5日付けの手続補正により請求項4?6に係る発明は削除された。
よって、原査定を維持することはできない。

2 補正却下の決定は、請求項1に係る発明について、上記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条1項3号の規定により特許を受けることができないというものであり、上記引用文献1に記載された発明、又は、上記引用文献2に記載された発明及び上記引用文献3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないというものであり、請求項2に係る発明について、上記引用文献1に記載された発明及び上記引用文献4に記載された発明、又は、上記引用文献2?4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないというものであり、請求項3に係る発明について、上記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条1項3号の規定により特許を受けることができないというものであり、上記引用文献1に記載された発明、又は、上記引用文献2?4に記載された発明に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないというものである。さらに、補正却下の決定は、請求項1に係る発明について、特許法第36条6項2号の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、平成29年10月5日付けの手続補正により補正された請求項1は「前記処理装置は処理部を有し、前記カードが配置されている位置をもとに、前記投影装置に、前記処理部から提供されるカードIDに対応付けられている演出画像を、前記カードに重ねて且つ前記カードよりも大きく投影させ、又は、前記処理装置は処理部と、カードIDと演出パターンとを対応付けて記憶した演出記憶部とを有し、前記カードが配置されている位置をもとに、前記投影装置に、前記処理部から提供されるカードIDに対応付けられた演出パターンであって、前記演出記憶部から読み出された演出パターンにしたがった演出画像を、前記カードに重ねて且つ前記カードよりも大きく投影させる」という発明特定事項を有するものとなっており、上記引用発明、又は、上記引用文献2、3には上記相違点の構成は記載されていないので、本願発明1は、上記引用文献1に記載された発明ではなく、上記引用文献1に記載された発明、又は、上記引用文献2に記載された発明及び上記引用文献3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明ができたものとはいえない。また、本願発明2、3は、本願発明1を減縮した発明であり、「上方から」を「ユーザが前記カードを見る上方側から」と平成29年10月5日付けの手続補正により補正されたので補正却下の決定の不明確な記載との理由は解消された。

第6 当審拒絶理由について
当審では、請求項1及び請求項1を引用する請求項2、3に係る発明は明確ではないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年10月5日付けの手続補正における補正の結果、この拒絶理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおりであり、原査定の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
 
審決日 2017-11-16 
出願番号 特願2013-215815(P2013-215815)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G03B)
P 1 8・ 537- WY (G03B)
P 1 8・ 113- WY (G03B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 関根 裕田井 伸幸  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 松川 直樹
野村 伸雄
発明の名称 画像投影システム  
代理人 三木 友由  
代理人 村田 雄祐  
代理人 青木 武司  
代理人 森下 賢樹  

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