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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B |
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管理番号 | 1334833 |
審判番号 | 不服2016-19577 |
総通号数 | 217 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-01-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-12-27 |
確定日 | 2017-12-12 |
事件の表示 | 特願2014-546766「光生体計測装置及びそれに用いられる位置計測装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月22日国際公開、WO2014/076774、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2012年(平成24年)11月14日を国際出願日とする出願であって、平成28年3月28日付けで拒絶理由が通知され、同年6月6日に意見書が提出されたが、同年9月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年9月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願の請求項1ないし3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である以下の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2009-261588号公報 引用文献2:特開2006-122086号公報 第3 本願発明 本願の請求項1ないし3に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 被検者の頭皮表面上に配置される複数個の送光プローブと、当該頭皮表面上に配置される複数個の受光プローブとを有する送受光部と、 前記送光プローブが頭皮表面に光を照射するとともに、前記受光プローブが頭皮表面から放出される光を検出するように制御することで、複数個の測定部位に関する複数個の受光量情報を取得する送受光用制御部と、 複数個の受光量情報に基づいて、複数個の測定データを取得する演算部と、 3次元頭皮表面画像及び3次元脳表面画像を取得して表示装置に表示する3次元画像表示制御部と、 表示装置に表示させた3次元頭皮表面画像又は3次元脳表面画像上に、複数個の測定データを表示する測定データ表示制御部とを備える光生体計測装置であって、 測定部位に関する受光量情報を取得するための送光プローブと受光プローブとの組み合わせを示すチャンネル情報を記憶する記憶部と、 表示装置に表示させた3次元座標上に、複数個の送光プローブが配置された複数個の送光プローブ配置点と、複数個の受光プローブが配置された複数個の受光プローブ配置点とを表示するとともに、前記チャンネル情報に基づいて、送光プローブ配置点と受光プローブ配置点とを結ぶように送光プローブと受光プローブとの組み合わせを示す線分を表示するチャンネル情報表示制御部とを備えることを特徴とする光生体計測装置。」 「【請求項2】 前記被検者の頭部の設定位置に固定され、前記被検者の頭部を含む周囲の空間に磁界を発生する磁場ソースと、 前記被検者の頭皮表面上の位置を指定するための、前記磁界を検出する指定用磁気センサと、 前記被検者の頭皮表面上の少なくとも3個の基準位置が指定用磁気センサで指定されることにより、前記指定用磁気センサからの検出信号を得ることで、前記磁場ソースと少なくとも3個の基準位置との位置関係を取得する基準位置関係取得部と、 前記3次元頭皮表面画像中で少なくとも3個の基準位置画像が入力装置で指定されることにより、少なくとも3個の基準位置と少なくとも3個の基準位置画像との対応関係を示す対応関係データを作成する対応関係データ作成部と、 前記被検者の頭皮表面上の複数個の送光プローブの配置位置と複数個の受光プローブの配置位置が指定用磁気センサで指定されることにより、前記指定用磁気センサからの検出信号を得ることで、前記磁場ソースと送光プローブ及び受光プローブの配置位置との位置関係を取得する配置位置関係取得部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の光生体計測装置。」 「【請求項3】 被検者の頭皮表面上に配置される複数個の送光プローブと、当該頭皮表面上に配置される複数個の受光プローブとを有する送受光部と、 前記送光プローブが頭皮表面に光を照射するとともに、前記受光プローブが頭皮表面から放出される光を検出するように制御することで、複数個の測定部位に関する複数個の受光量情報を取得する送受光用制御部とを備える光生体計測装置に用いられる位置計測装置であって、 測定部位に関する受光量情報を取得するための送光プローブと受光プローブとの組み合わせを示すチャンネル情報を記憶する記憶部と、 表示装置に表示させた3次元座標上に、複数個の送光プローブが配置された複数個の送光プローブ配置点と、複数個の受光プローブが配置された複数個の受光プローブ配置点とを表示するとともに、前記チャンネル情報に基づいて、送光プローブ配置点と受光プローブ配置点とを結ぶように送光プローブと受光プローブとの組み合わせを示す線分を表示するチャンネル情報表示制御部とを備えることを特徴とする位置計測装置。」 第4 引用文献の記載事項 1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である上記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加した。)。 (引1-ア)「【0048】 <第二の実施形態> 図8は、本発明の一実施形態である光生体測定装置の構成の他の一例を示すブロック図である。光生体測定装置60は、ファイバホルダ61と、発光部2と、光検出部3と、被検体の頭部を含む周囲の空間に交流磁界を発生する磁場ソース4と、交流磁界を検出する指定用磁気センサ5aを先端部に有する棒形状のペンシル5と、光生体測定装置60全体の制御を行うコンピュータ70と、MRI6とにより構成される。なお、上述した光生体測定装置1と同様のものについては、同じ符号を付している。 また、図9は、第二の実施形態に係るファイバホルダ61における10個の送光プローブ12と、10個の受光プローブ13との位置関係を示す平面図である。なお、第二の実施形態では、10個の送光プローブ12と10個の受光プローブ13とは、ファイバホルダ61に対して移動可能に形成されていてもよい。」 (引1-イ)【図8】 「 」 (引1-ウ)【図9】 「 」 (引1-エ)【図3】 「 」 (引1-オ)「【0049】 コンピュータ70においては、CPU21を備え、さらに、メモリ25と、モニタ画面23a等を有する表示装置23と、入力装置22であるキーボード22aやマウス22bとが連結されている。 また、CPU21が処理する機能をブロック化して説明すると、発光部2及び光検出部3を制御する送受光部制御部31と、3次元形態画像表示制御部33と、ポインタ表示制御部34と、基準位置関係取得部35と、対応関係データ作成部36と、配置位置関係データ取得部71と、配置位置関連画像表示制御部72と、最終配置位置データ取得部39と、最終配置関連位置画像表示制御部40と、ペンシル位置画像表示制御部73とを有する。」 (引1-カ)「【0041】 送受光部制御部31は、発光部2に駆動信号を出力する発光制御部42と、光検出部3からの受光信号(測定データ)を受ける光検出制御部43とを有する。 発光制御部42は、送光プローブ12に光を送光する駆動信号を発光部2に出力する制御を行う。例えば、まず、1個の送光プローブ12に光を0.15秒間送光させ、次に、他の1個の送光プローブ12に光を0.15秒間送光させるように順次、送光プローブ12に光を送光させる駆動信号を発光部2に出力する。 光検出制御部43は、10個の受光プローブ13から検出された10個の測定データを光検出部3から受ける制御を行う。」 (引1-キ)「【0036】 3次元形態画像表示制御部33は、MRI6から被検体の頭皮表面及び脳表面との位置関係を示す3次元形態画像データを取得して画像データ記憶領域52に記憶させ、3次元形態画像データに基づいて、頭皮表面画像24aと脳表面画像24bとをモニタ画面23aに表示する制御を行う(図5参照)。これにより、医師や検査技師等は、脳の解剖学的構造に個人差があるが、被検体自身の頭皮表面と脳表面とを正確に認識することができるようになっている。また、医師や検査技師等が入力装置22を用いて、所望の方向から見た頭皮表面画像24aと脳表面画像24bとなるように、方向を変更して表示することができるようにもなっている。なお、3次元形態画像データは、別に設けられたMRIから記憶媒体等を用いて取得されてもよい。 ポインタ表示制御部34は、モニタ画面23aにポインタ24cを表示するとともに、マウス22bから出力された操作信号に基づいて、モニタ画面23aに表示されたポインタ24cを移動したり、ポインタ24cで位置を指定したりする制御を行う。 (引1-ク)「【0051】 配置位置関係データ取得部71は、被検体の頭皮表面上における送光プローブ12及び受光プローブ13の配置位置がペンシル5で指定されることにより、ペンシル5からの検出信号を得ることで、磁場ソース4と送光プローブ12及び受光プローブ13の配置位置との位置関係を示す配置位置関係データを取得する制御を行う(配置位置関係データ取得システム)。 具体的には、被検体の頭皮表面上における送光プローブ12及び受光プローブ13の配置位置がペンシル5で指定された状態で、ペンシル5からの検出信号を得ることにより、磁場ソース4と送光プローブ12及び受光プローブ13の配置位置との位置関係を取得する。 配置位置画像表示制御部72は、対応関係データ及び配置位置関係データに基づいて、頭皮表面画像24a及び脳表面画像24b中に、送光プローブ12の配置位置に対応する送光プローブ配置位置画像25を重畳して表示するとともに、受光プローブ13の配置位置に対応する受光プローブ配置位置画像26を重畳して表示する制御を行う(配置位置関連画像表示制御システム)。 (引1-ケ)【図4】 「 」 2 引用文献1に記載された発明の認定 (1)光生体測定装置は、血中ヘモグロビン濃度などの生体データを測定するものであるから、光生体測定装置60のCPU21が処理する機能として、10個の受光プローブ13から検出された10個の測定データに基づいて、複数個の生体データを取得する演算部を有することは明らかである。 (2)光生体測定装置は、特定の送光プローブと特定の受光プローブとの組合せにより特定の測定部位の生体データを得るものであるから、10個の送光プローブ12と10個の受光プローブ13とを有する光生体測定装置60が、測定部位に関する測定データを取得するための送光プローブ12と受光プローブ13との組み合わせを示すチャンネル情報をメモリ25に記憶していることは明らかである。 上記(1)及び(2)を踏まえると、(引1-ア)ないし(引1-ケ)の記載から、引用文献1には、 「 ファイバホルダ61と、発光部2と、光検出部3と、被検体の頭部を含む周囲の空間に交流磁界を発生する磁場ソース4と、交流磁界を検出する指定用磁気センサ5aを先端部に有する棒形状のペンシル5と、全体の制御を行うコンピュータ70と、MRI6とにより構成される光生体測定装置60であって、 コンピュータ70は、CPU21を備え、さらに、メモリ25と、モニタ画面23a等を有する表示装置23と、入力装置22であるキーボード22aやマウス22bとが連結されており、 CPU21が処理する機能は、発光部2及び光検出部3を制御する送受光部制御部31と、3次元形態画像表示制御部33と、ポインタ表示制御部34と、基準位置関係取得部35と、対応関係データ作成部36と、配置位置関係データ取得部71と、配置位置関連画像表示制御部72と、最終配置位置データ取得部39と、最終配置関連位置画像表示制御部40と、ペンシル位置画像表示制御部73と、演算部とを有し、 10個の送光プローブ12と10個の受光プローブ13とがファイバホルダ61に対して移動可能に形成されており、 メモリ25は、測定部位に関する測定データを取得するための送光プローブ12と受光プローブ13との組み合わせを示すチャンネル情報を記憶しており、 送受光部制御部31は、発光部2に駆動信号を出力する発光制御部42と、光検出部3からの受光信号(測定データ)を受ける光検出制御部43とを有し、発光制御部42は、送光プローブ12に光を送光する駆動信号を発光部2に出力する制御を行い、光検出制御部43は、10個の受光プローブ13から検出された10個の測定データを光検出部3から受ける制御を行い、 演算部は、10個の受光プローブ13から検出された10個の測定データに基づいて、複数個の生体データを取得し、 3次元形態画像表示制御部33は、MRI6から被検体の頭皮表面及び脳表面との位置関係を示す3次元形態画像データを取得して画像データ記憶領域52に記憶させ、3次元形態画像データに基づいて、頭皮表面画像24aと脳表面画像24bとをモニタ画面23aに表示する制御を行い、 配置位置画像表示制御部72は、頭皮表面画像24a及び脳表面画像24b中に、送光プローブ12の配置位置に対応する送光プローブ配置位置画像25を重畳して表示するとともに、受光プローブ13の配置位置に対応する受光プローブ配置位置画像26を重畳して表示する制御を行う、光生体測定装置60。」 の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 3 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である上記引用文献2には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加した。)。 (引2-ア)「【0001】 本発明は、生体内部の情報を光で計測する生体光計測技術に係り、特に、高い感度の得られる位置にプローブを配置することができ、プローブ再装着時の位置再現性を向上する生体光計測技術に関する。」 (引2-イ)「【0036】 前記合成画像の表示例を、図2に示す。図2において、201は形態画像であり、例えば、MRI装置やX線CTなどで撮影した3次元画像である。202は予め指定した注目領域であり、例えば、前記形態画像から抽出された脳梗塞巣や、運動野などの特定の領野である。203は注目領域の位置から算出される推奨プローブ位置であり、204はプローブ位置検出装置308により検出された、現在のプローブ位置である。前記推奨プローブ位置203および前記現在のプローブ位置204は、識別が付きやすいように異なる配色で表示する。また、注目領域202も同時に形態画像201上に重畳表示してもよい。この場合、前記注目領域の位置が識別しやすいように、該注目領域の輪郭を形態画像201および推奨プローブ位置203および現在のプローブ位置204とは異なる配色、あるいは異なる画素値レベルで表示する。また、前記注目領域の重心位置も同時に重畳表示してもよい。」 (引2-ウ)【図2】 「 」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「送光プローブ12」、「受光プローブ13」及び「ファイバホルダ61」は、それぞれ本願発明1の「送光プローブ」、「受光プローブ」及び「送受光部」に相当する。 イ 引用発明の「測定データ」は、「受光信号」を意味するものであるから、本願発明1の「受光量情報」に相当する。 ウ 引用発明の「送受光部制御部31」は、本願発明1の「送受光用制御部」に相当する。 エ 引用発明の「生体データ」は、本願発明1の「測定データ」に相当する。 オ 引用発明の「演算部」は、本願発明1の「演算部」に相当する。 カ 引用発明の「頭皮表面画像24a」、「脳表面画像24b」、「表示装置23」及び「3次元形態画像表示制御部33」は、それぞれ本願発明1の「3次元頭皮表面画像」、「3次元脳表面画像」、「表示装置」及び「3次元画像表示制御部」に相当する。 キ 引用発明の「チャンネル情報」及び「メモリ25」は、それぞれ本願発明1の「チャンネル情報」及び「記憶部」に相当する。 ク 引用発明において、「送光プローブ配置位置画像25」及び「受光プローブ配置位置画像26」が重畳される「頭皮表面画像24a及び脳表面画像24b」と、本願発明1の「表示装置に表示させた3次元座標」とは、「表示装置に表示させた画像」である点において共通する。 ケ 引用発明の「送光プローブ配置位置画像25」及び「受光プローブ配置位置画像26」は、それぞれ本願発明1の「送光プローブ配置点」及び「受光プローブ配置点」に相当する。 コ 引用発明の「配置位置画像表示制御部72」と、本願発明1の「チャンネル情報表示制御部」とは、「プローブ位置情報表示制御部」である点において共通する。 サ 引用発明の「光生体測定装置60」は、被検者の頭部を検査する光生体計測装置である限りにおいて、本願発明1の「光生体計測装置」に相当する。 (2)一致点及び相違点 よって、本願発明1と引用発明とは、 「 被検者の頭皮表面上に配置される複数個の送光プローブと、当該頭皮表面上に配置される複数個の受光プローブとを有する送受光部と、 前記送光プローブが頭皮表面に光を照射するとともに、前記受光プローブが頭皮表面から放出される光を検出するように制御することで、複数個の測定部位に関する複数個の受光量情報を取得する送受光用制御部と、 複数個の受光量情報に基づいて、複数個の測定データを取得する演算部と、 3次元頭皮表面画像及び3次元脳表面画像を取得して表示装置に表示する3次元画像表示制御部とを備える光生体計測装置であって、 測定部位に関する受光量情報を取得するための送光プローブと受光プローブとの組み合わせを示すチャンネル情報を記憶する記憶部と、 表示装置に表示させた画像上に、複数個の送光プローブが配置された複数個の送光プローブ配置点と、複数個の受光プローブが配置された複数個の受光プローブ配置点とを表示するプローブ位置情報表示制御部とを備える光生体計測装置。」 の発明である点で一致し、次の3点で相違する。 (相違点1) 本願発明1は、「表示装置に表示させた3次元頭皮表面画像又は3次元脳表面画像上に、複数個の測定データを表示する測定データ表示制御部」を備えるのに対し、引用発明においては、そのような特定はされていない点。 (相違点2) プローブ位置情報表示制御部が複数個の送光プローブが配置された複数個の送光プローブ配置点と複数個の受光プローブが配置された複数個の受光プローブ配置点とを表示させる、表示装置に表示させた画像が、本願発明1においては、「3次元座標」であるのに対し、引用発明においては、「頭皮表面画像24a及び脳表面画像24b」である点。 (相違点3) プローブ位置情報表示制御部が、本願発明1においては、「前記チャンネル情報に基づいて、送光プローブ配置点と受光プローブ配置点とを結ぶように送光プローブと受光プローブとの組み合わせを示す線分を表示」させるのに対し、引用発明においては、そのような特定はされていない点。 (3)当審の判断 事案に鑑み、最初に上記相違点2について検討する。 引用発明の「頭皮表面画像24a及び脳表面画像24b」は、3次元形態画像データに基づいた3次元画像であるが、引用発明を認定した引用文献1には、「頭皮表面画像24a及び脳表面画像24b」に代えて、又は、加えて、3次元座標を表示することについては、記載も示唆もされていない。 また、引用文献2には、MRI装置などで撮影した3次元画像にプローブ位置を表す画像を合成表示することが記載されているが、3次元画像に代えて、又は、加えて、3次元座標を表示することについては、記載も示唆もされていない。 してみると、引用文献1及び2に接した当業者といえども、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を容易に想起することはできない。 したがって、上記相違点1及び3について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 2 本願発明2及び3について 本願発明2及び3も、本願発明1の「表示装置に表示させた3次元座標上に、複数個の送光プローブが配置された複数個の送光プローブ配置点と、複数個の受光プローブが配置された複数個の受光プローブ配置点とを表示するとともに、前記チャンネル情報に基づいて、送光プローブ配置点と受光プローブ配置点とを結ぶように送光プローブと受光プローブとの組み合わせを示す線分を表示するチャンネル情報表示制御部」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1ないし3は、引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-11-27 |
出願番号 | 特願2014-546766(P2014-546766) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(A61B)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小田倉 直人 |
特許庁審判長 |
福島 浩司 |
特許庁審判官 |
渡戸 正義 信田 昌男 |
発明の名称 | 光生体計測装置及びそれに用いられる位置計測装置 |
代理人 | 江口 裕之 |
代理人 | 喜多 俊文 |