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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J |
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管理番号 | 1334846 |
審判番号 | 不服2015-8565 |
総通号数 | 217 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-01-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-05-08 |
確定日 | 2017-11-21 |
事件の表示 | 特願2012-525640「エネルギー貯蔵システムおよび関連する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 2月24日国際公開、WO2011/022390、平成25年 1月24日国内公表、特表2013-502898〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2010年(平成22年)8月17日(パリ条約に基づく優先主張外国庁受理2009年8月17日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成26年6月6日付けで拒絶理由の通知に対し、平成26年12月10日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成27年1月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成27年5月8日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ、その後、当審において平成28年4月8日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成28年10月7日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、当審において平成28年11月21日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成29年5月22日付けで意見書が提出されたものである。 2.本願発明 本願の請求項に係る発明は、平成28年10月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 電力需要の変化に応答する方法であって、 該方法は、 配電網からエネルギー貯蔵サブシステムを充電することであって、該エネルギー貯蔵サブシステムは、フロー式電解液電池である、ことと、 該エネルギー貯蔵サブシステムの最大放電率より低い放電率で該配電網に該エネルギー貯蔵サブシステムを放電することと、 増加調節サービスを提供する信号または減少調節サービスを提供する信号のいずれかである信号に応答して、該放電率を調整することであって、該減少調節サービスを提供する該信号は、該配電網からの電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求を表す、ことと を包含し、 該調整することは、(a)該エネルギー貯蔵サブシステムが、該配電網に放電されている間に、該減少調節サービスを提供する該信号に応答して該放電率を減少させることと、(b)該増加調節サービスを提供する該信号に応答して該放電率を増加させることとを包含する、方法。」 3.引用例の記載事項 (1)当審拒絶理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2001-37085号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の記載がある(下線は当審で付加した。)。 (ア)「【請求項9】 電力を発電する発電部と、電力を消費する負荷と、発電部と負荷とを接続する電路とを有する電力系統において、発電部からの電力発電量と負荷の電力消費量の需給不均衡に伴って変動する周波数を計測し、あらかじめ定められている基準周波数からの偏差を検出するステップ、及び前記電力系統に交流・直流変換装置を介して接続され、前記偏差を検出するステップの検出結果に基づいて、周波数の変動を抑制するように二次電池の充電又は放電を行うステップを有する電力系統の周波数制御方法。」 (イ)「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、二次電池システムを用いた電力系統の周波数制御方法及びその装置に関する。 ・・・(中略)・・・ 【0003】電力系統における供給電力の制御(以下、需給制御という)を行うために、発電機の出力を制御する制御信号としては、現在、主に次の2つの信号を使用している。1つは、数分から約20分程度の周期での需要変動に対応して各発電機の出力制御を行うLFC信号(Load Frequency Control signal,負荷周波数制御信号)である。「LFC」は負荷周波数制御の略称であり、前記の周期の需要変動により需給に不均衡が生じたとき、周波数が基準周波数の所定の範囲から逸脱しないように発電機の出力を制御することをいう。もう1つは、LFC信号が対象とするよりも長い周期(20分以上)の大幅な需要変動に対応して各発電機の出力制御を行うEDC信号(Economic load Dispatching Control signal,経済負荷配分制御信号)である。LFC信号が対象とするよりも短い周期(数分以下)の変動幅が狭い需要変動については、各発電機に設けられているガバナフリー機能により、電力系統の周波数変動に応じて自動的に発電機の出力を制御している。電力系統の運用に際しては、これらの各機能を活用し、電力系統の需要変動に応じて各発電機の出力を適切に制御することで、電力系統の周波数が基準周波数に対して所定の偏差内に保たれるように制御している。しかしながら、発電機の出力の制御だけでは、需要変動に対応できない場合もある。そのような場合には、種々の電力貯蔵技術を用いて、需要の少ないときに電力を貯蔵し、需要の多いときには貯蔵した電力を放出して需要変動に対応する場合がある。 【0004】電力貯蔵技術としては、ナトリウム硫黄電池やレドックスフロー電池等の二次電池を用いた二次電池システムの開発が進められている。二次電池システムは、化学反応を利用した直流電源を、交流・直流変換器を介して電力系統に連係しているので前記の各種電源に比較して、出力制御信号に対する出力応答性が高いという特徴を有している。また、二次電池の特徴として、数秒から数分程度の短時間ならば過負荷運転ができる。ただし、電池容量や電池特性及び設計仕様により、最大過負荷時間は変化する。過負荷運転とは、二次電池の定格電力(二次電池の容量を考慮して、最も高い効率を達成すべく所定の時間一定電力で充放電する際の電力を指す)を超える電力で充電又は放電をすることを言う。二次電池はこの能力を有するので、需給調整能力という観点から既存の各種電源に比べてより優れた電力設備であると言える。」 (ウ)「【0017】本発明が解決しようとする課題をまとめると以下のようになる。系統運用上必要なLFC調整容量を確保するための火力機の出力抑制運転は運用効率向上の観点から見ると不合理であり、出力抑制運転をすることなくLFC調整容量を確保できることが求められていた。火力機の出力制御に対する応答遅れ特性から、需要変動によっては、その出力が需要変動に追従しない場合がある。この応答遅れにより、火力機のLFC運用自体が系統周波数の外乱要因とならない様に応答遅れなしでLFC調整容量が確保できることが求められていた。火力機の出力制御に対する応答遅れ特性を考慮し、LFC調整容量を確保するためには複数台の火力機によってLFC調整容量を分担しなければならないが、設備の効率運用の観点からLFC調整容量を確保する新しい手段を設け、LFC調整容量を分担する火力機の数を減らすことが求められていた。火力機のなかで貫流ボイラ機の運転台数の比率が高まると、電力需要が増加して周波数低下が数分以上継続する状況下においては供給電力が不足しLFC調整容量を確保できないおそれがある。この不足する供給電力を短時間に補完して周波数変動を抑制できるLFC調整容量の確保手段が必要であった。 【0018】夜間など電力需要が減少する時間帯で、系統に接続される電源の数が減少した場合、LFC調整容量が不足し、周波数変動が大きくなる場合がある。これを抑制するためのLFC調整容量確保手段が必要であった。需要増大時にLFC調整容量を確保するために、老朽化した低能率火力機を運転すると、運転効率や環境保全(CO2,NOx,SOxの排出抑制)の観点から問題がありこの様な老朽化した火力機を使わなくても、必要なLFC調整容量が確保できる事が求められていた。多数の再生可能エネルギー電源が系統に連系した場合、その出力変動に伴い周波数変動が大きくなることがある。このような出力変動を高速で抑制するためのLFC調整容量の確保が可能な技術の導入が必要であった。以上のことから明らかなように、ある電力系統の全体としての運用効率を高く保ち、不足分電力を応答の遅れなく短時間に補充することにより必要なLFC調整容量を確保する方法及びその装置の実現が、電力系統の周波数制御方法及びその装置における課題であった。 ・・・(中略)・・・ 【0021】本発明の電力系統の周波数制御方法は、電力を発電する発電部と、電力を消費する負荷と、発電部と負荷とを接続する電路とを有する電力系統において、発電部からの電力発電量と負荷の電力消費量の需給不均衡に伴って変動する周波数を計測し、あらかじめ定められている基準周波数からの偏差を検出するステップ、及び前記電力系統に交流・直流変換装置を有する充放電制御装置を介して接続され、前記偏差を検出するステップの検出結果に基づいて、周波数の変動を抑制するように二次電池の充電又は放電を行うステップを有する。二次電池の高速な出力応答性、ならびに短時間の場合に許容される過負荷運転能力を利用し、電力系統の需要変動に応じて二次電池を充放電して出力制御を行う。これにより、電力系統における常時及び緊急時の需給バランスを瞬時に維持することが可能となり、前記の各課題を解決することができる電力系統の周波数制御方法を提供することができる。」 (エ)「【0022】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施例について図1から図5を参照して説明する。 《実施例1》実施例1は、多数の電源(発電機)の発電電力を制御する中央給電指令所から各電源を制御するために出される供給制御信号である、LFC信号とEDC信号を利用して二次電池システムの入出力を制御し、電力系統の周波数を基準周波数の所定の偏差内に維持することを可能とする周波数制御方法及びその装置に関する。図1は、二次電池システム30を含む周波数制御装置のブロック図であり、図2は、二次電池システム30のブロック図である。図1において、電力系統1は、発電部2と、需要家すなわち負荷8とを結ぶ系統である。この系統は、発電部2として、原子力発電機群3、水力発電機群4、火力発電機群5及び太陽電池や風力発電機などの再生可能エネルギー電源群6を有している。これらの発電機群及び電源群は電路7により負荷8に接続されている。 【0023】電路7には、二次電池システム30が接続されており、その中に設けられた二次電池36に電路7を経て電力を貯蔵し、又は貯蔵した電力を電路7に供給する。この内、水力発電機群4,火力発電機群5及び二次電池システム30はLFC対象電源であり、電力の需要変動に応じてその出力が制御される。LFCは変動周期が数分から20分の周期を持つ需要変動に対応するための出力制御である。原子力発電機群3は常に一定の電力を発電しており、LFCの対象外の発電機である。再生可能エネルギー電源群6はその出力が自然状況に応じて常に変動しているので制御不可能であり、LFC対象外の電源である。 【0024】中央給電指令所に設けられている出力指令制御部20は、LFC装置(負荷周波数制御装置)22の入力端に接続された周波数検出器21を有し、電力系統1の電路7において周波数を測定し、基準周波数(50Hz又は60Hz)との偏差△fを検出してLFC装置22に印加する。LFC装置22の出力端21Aは、LFC制御対象の、水力発電機群4,火力発電機群5及び二次電池システム30の制御入力端に接続されている。LFC装置22から系統要求量信号を出力する出力端21Bは加算器23の負入力端に接続されている。加算器23の正入力端は加算器24の出力端に接続されている。加算器23の出力端はEDC装置25の入力端25Aに接続されている。EDC装置25の出力端25Bは前記のLFC制御対象電源の制御入力端に接続されている。EDC装置25の他の出力端25Cは、加算器24の負入力端に接続されている。加算器24の正入力端には、各発電機の実際の出力値が入力される。」 (オ)「【0025】図2は二次電池システム30の詳細な構成を示すブロック図である。図において、二次電池システム30の端子29は発電部2から負荷8に至る電路7に接続されている。実際には、電力系統の開閉所50(変電所の場合もある)において、電路7に接続されている。端子29は、互いに直列接続された周波数検出器31、遮断器32及び変圧器33を経て、充放電制御装置34に接続されている。充放電制御装置34は交流・直流変換装置(図示省略)を有しており、電圧・電流計測装置35を経て二次電池36に接続されている。二次電池は、例えばナトリウム硫黄電池である。二次電池システム30内には演算処理部を含む電力制御部37が設けられ、その入力端37Aに、出力指令制御部20から出力されるLFC信号とEDC信号が入力される。電力制御部37の入力端37Bには周波数検出器31の検出出力が入力され、入力端37Cには充放電制御装置34に内蔵された出力測定装置によって測定された実出力値の測定信号が入力される。実出力値は、出力指令制御部20にも入力される。電圧・電流計測装置35で測定された電圧・電流値の測定信号は充電深度計測装置38に入力される。充電深度計測装置38は、次に説明する「充電深度」を計測し、計測値を電力制御部37の入力端37Dに入力する。「充電深度」とは二次電池の完全に放電された状態から充電を開始して、その電池に充電することのできる全電力量(充電容量)と、ある時点で既に充電されている電力量との割合である。電力制御部37の出力端37Eは充放電制御装置34の入力端に接続されている。」 (カ)「【0027】次に本実施例の周波数制御方法を説明する。あらかじめ決められている測定地点の電路7において、周波数検出器21及び31により系統の周波数の基準周波数からの偏差「Δf」を検出する。異なる電力事業者間の電力流通を示す連系線潮流を制御する場合は偏差△fの代わりに「ΔPt+KΔf」(ΔPtは連系線潮流の周波数の基準値からの偏差、Kは系統定数、Δfは基準周波数からの偏差を表す)検出してもよい。偏差△fが所定の偏差範囲(例えば、±0.04Hz)を超えた場合には、出力指令制御部20からLFC信号を出力して二次電池システム30の出力制御を行う。本実施例のLFCの制御対象は、周期が20分程度以下の需要変動であり、この周期範囲の需要変動をLFCにより補償する。 ・・・(中略)・・・ 【0029】周波数偏差が±0.04Hzを超える周波数変動は、出力指令制御部20内の周波数検出器21によって検出され、偏差検出信号がLFC装置22に入力される。LFC装置22は、入力された偏差検出信号に基づいてLFC信号を端子21Aに出力する。LFC信号は水力発電機群4及び火力発電機群5の制御部(図示省略)及び二次電池システム30電力制御部37に印加される。LFC信号は、パルスコード信号であり、各発電機及び二次電池の出力の増減を指令するコード情報を有している。LFC信号を受けた電力制御部37は、出力制御信号を充放電制御装置34に与え、二次電池36の充電又は放電を制御する。」 (キ)「【0030】本実施例における二次電池システム30は、充電及び放電時に、定格電流以上の電流(以下、過大電流という)で充放電する「過負荷運転」を前提として、二次電池36の容量が設計されている。また、二次電池36の充電深度を充電深度計測装置38で計測し、計測値を電力制御部37の端子37Dに入力している。これにより、電力制御部37は交流・直流制御装置34に出力制御信号を与えて、二次電池36の充電深度が所定の値に保たれるように、充放電を制御する。本実施例では、充電深度が70?80%程度となるまで充電を行い、同20?30%程度となるまで放電を行うことにする。充電深度は充電時を95%、放電時を5%程度にすることもできる。充電深度を上記の範囲に保つことにより、200?250%程度の過負荷運転が可能となる。上記の充電深度の範囲は二次電池の種類、特性、目的とする運用形態により個々に検討して決める。 【0031】二次電池システム30は、化学反応を利用する直流電源である。化学反応を利用することから、出力制御の応答性は、従来の火力機や水力機に比較して著しく良く、高速応答が可能である。この高速応答性を活用することにより、高速かつ精度の高いLFCを行うことが可能となる。二次電池システム30は、短時間であれば過負荷運転が可能であるので、常時の系統運用に必要とされるLFC調整容量に関し、従来の火力機や水力機等で確保していたLFC調整容量より少ない定格容量の二次電池で必要なLFC調整容量を確保することが可能である。ただし、電池容量や電池特性及び設計仕様により、最大過負荷時間は変化する。ところで、電力系統における基準周波数からの周波数変動は、ほぼ正規分布となることが知られている。例えば、二次電池36の過大電流による放電を必要とする状態があまり長くない時間続いた後には、同程度の時間の過大電流による充電が継続的、あるいは断続的に発生することが多い。このことから、二次電池システム30の過負荷運転時の系統との電力の授受に関しては、電力変換上のロス分を無視すれば、平均値がほぼ0となることになる。このような電力系統の特性と二次電池の過負荷能力を活用することにより、LFC調整容量の2ないし3分の1の定格容量の二次電池36を用いて、所望のLFC調整容量を確保した運転を行うことが可能となる。これにより、設備投資コストを押さえた電力システムの設計が可能となる。二次電池36の充電深度の20?30%まで放電されたとき、あるいは70?80%まで充電されたとき、二次電池36の充放電を停止する。それ以後のLFCは水力発電機群4及び火力発電機群5によって行われる。」 (ク)「【0033】図3の(a)は夏季平日の1日の電力系統における消費電力の変動を示すグラフであり、(b)は周波数変動を考慮した同1日の二次電池の出力変動を示すグラフである。図3の(b)の縦軸は、二次電池の出力の定格出力に対する割合を示し、正値は放電を表し、負値は充電を表している。±P1は、使用する二次電池の設計上の許容過負荷の定格負荷に対する百分比である。本実施例の動作及び効果をまとめると、以下のようになる。変動周期が20分程度以下の短周期でかつ小幅な需要変動に対しては、まず二次電池36の充放電により対応する。二次電池36の充電深度が20%から80%の範囲にある間は二次電池の充放電を行う。放電により充電深度が20%より小さくなり、または、充電により充電深度が80%を超えると、二次電池36の充放電を停止し、水力発電機群4及び火力発電機群5の出力の増減により、需要変動に対応する。 【0034】二次電池によりLFC調整容量を確保するので、火力機がLFC調整容量を分担する必要はない。従って火力機の出力抑制運転をする必要はなく、最も効果の高い定格出力で運転することができる。二次電池はLFCの制御速度が速いので、敏速かつ正確な電力制御が行われ、貫流ボイラ機の運転台数の比率が高くなっても、LFC調整容量が不足することはない。また二次電池で調整容量確保するので、老朽化した低能率出力機を運転する必要はない。多数の再生可能エネルギー電源が系統して連系され、気象状況の急変によりその出力が急速に変動した場合でも、二次電池の速いLFC応答性によりその出力変動を補うことができる。なお、LFC信号の制御対象とならない程度の小さな周波数変動に関しては、二次電池システムが運転されている系統にて測定される周波数(当該システムにて測定)変動を検出し、従来の水力機や火力機と同様に応答するガバナフリー特性を有することで、微少な周波数に対応した運転が行える。また、系統事故などにより、二次電池システムが運転されている系統が単独系統となった場合は、単独系統内にて基準周波数を保つ出力制御を行うようにすればよい。」 (ケ)「【0035】《実施例2》実施例2は、二次電池システム40の二次電池として、レドックスフロー電池41を用いた周波数制御装置であり、そのブロック図を図4に示す。その他の構成は図1と同じである。レドックスフロー電池41は、バナジウムの酸化還元反応を利用した二次電池であり、電池セルスタック部分とバナジウムの電解液を貯蔵する電解液タンク42、43ならびにその電解液を循環させる循環ポンプ44、45から構成される。レドックスフロー電池は、電解液タンク42、43の容積を増やすことにより電池の容量を増やすことが出来ることから、大規模な電源としての使用に適した二次電池である。レドックスフロー電池の過負荷運転可能範囲(過負荷時間は数秒から数十秒程度)の一例を図5に示す。 【0036】図5から分かるように、充電深度にもよるが、充電、放電のそれぞれ図に示す運転範囲において、過負荷運転を行うことが可能であり、最大約300%程度の過負荷運転を行うことが可能である。電力系統での運転に際しては、この充電深度を二次電池の電圧や電流を測定して充電深度計測装置38により計測し、どの程度の過負荷運転が可能であるかを二次電池システム40の電力制御部46で判定し、LFC信号及びEDC信号に応じて出力制御を行う。過負荷運転を行うことを前提とする為、充電時の充電深度は最大でも約70?80%程度を目標として運転する。電池容量については、その使用目的に応じて、電解液タンク容積を変更すればよく、特に系統運用に必要な電力を確保するには必要量に応じて電解液タンクの容積を大きくすればよい。 【0037】レドックスフロー電池は、電解液の流量を変えることにより、単位時間当たり電池セルを通過する電荷量を多くするとともに、電解液濃度を均一にすることが出来るため、短時間における過負荷運転能力の拡大が可能である。実施例2では大容量のレドックスフロー電池を用いることにより、例えば、大規模電源が系統事故により電力系統から遮断された場合、即応性の高い瞬動予備力を有する電源として働き、系統の周波数を維持する運用に利用することが出来る。また、レドックスフロー電池は水力機や火力機にくらべて著しく応答性が良く、周波数変動への応答性が良いため、系統運用に必要とされる従来のLFC調整容量よりも少ない容量で、従来と同様の周波数変動抑制効果を得ることが出来る。また、二次電池の過負荷能力を活用することにより、必要なLFC調整容量よりも少ない定格容量の二次電池システムにより従来と同様の周波数維持が可能であり、設備投資を抑制した電力システムを構成することが出来る。」 (コ)図3の(b)は次の参考図1に示すとおりである。なお、11時付近に破線で示された縦長の楕円は、当審が付加したものである。 <参考図1> そして、記載事項(カ)及び(ク)並びに図3の記載からみて、次の事項が看取できる。 (サ)二次電池は、10時?17時付近では、定格出力に対する割合が該二次電池の設計上の許容過負荷の定格出力に対する割合であるP1より低い出力で放電しており、その間、需要変動に対応して出力を減少(放電ではなく充電となることを含む)又は増加させ、特に11時付近では、放電の範囲内で出力を減少又は増加させている。 さらに、LFC信号が二次電池の出力の増と減を同時に指令することがないことは明らかであるから、記載事項(オ)、(カ)及び(ク)並びに看取事項(サ)からみて、次の事項が理解できる。 (シ)二次電池は、二次電池の出力の増を指令するコード情報を有しているLFC信号を受けて出力を増加させ、二次電池の出力の減を指令するコード情報を有しているLFC信号を受けて出力を減少させ、 二次電池の出力の減を指令するコード情報を有しているLFC信号を受けて二次電池の出力を減少させることは、定格出力に対する割合が該二次電池の設計上の許容過負荷の定格出力に対する割合であるP1より低い出力で放電している間に、二次電池の出力の減を指令するコード情報を有しているLFC信号を受けて二次電池の出力を減少させることを包含し、さらにその際の出力の減少は、放電の範囲内で出力を減少させることを包含する。 (2)そうすると、これらの事項からみて、引用例には、本願発明に倣って整理すれば、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「発電部からの電力発電量と負荷の電力消費量の需給不均衡に伴って変動する周波数の変動を抑制するように二次電池の充電又は放電を行う電力系統の周波数制御方法であって、 該方法は、 二次電池に電路を経て電力を貯蔵することであって、該二次電池として、レドックスフロー電池を用いる、ことと、 定格出力に対する割合が該二次電池の設計上の許容過負荷の定格出力に対する割合であるP1より低い出力で放電して、貯蔵した電力を電路に供給することと、 該二次電池の出力の増減を指令するコード情報を有しているLFC信号を受けて該二次電池の出力を増加又は減少させることと、 を包含し、 該二次電池の出力を増加又は減少させることは、(a)該二次電池が、定格出力に対する割合が該二次電池の設計上の許容過負荷の定格出力に対する割合であるP1より低い出力で放電している間に、該二次電池の出力の減を指令するコード情報を有しているLFC信号を受けて該二次電池の出力を減少させることと、(b)該二次電池の出力の増を指令するコード情報を有しているLFC信号を受けて該二次電池の出力を増加させることとを包含する、方法。」 4.本願発明と引用発明の対比・判断 (1)対比 ア.引用発明の「発電部からの電力発電量と負荷の電力消費量の需給不均衡」は、本願発明の「電力需要の変化」に相当するから、引用発明の「電力発電量と負荷の電力消費量の需給不均衡に伴って変動する周波数の変動を抑制するように二次電池の充電又は放電を行う電力系統の周波数制御方法」は、本願発明の「電力需要の変化に応答する方法」に相当する。 イ.引用発明の「二次電池」、「電路」、及び「二次電池に」「電力を貯蔵すること」は、それぞれ、本願発明の「エネルギー貯蔵サブシステム」、「配電網」及び「エネルギー貯蔵サブシステムを充電すること」に相当するから、引用発明の「二次電池に電路を経て電力を貯蔵すること」は、本願発明の「配電網からエネルギー貯蔵サブシステムを充電すること」に相当する。さらに、引用発明の「レドックスフロー電池」は、本願発明の「フロー式電解液電池」に相当する。そうすると、引用発明の「二次電池に電路を経て電力を貯蔵することであって、該二次電池として、レドックスフロー電池を用いる、こと」は、本願発明の「配電網からエネルギー貯蔵サブシステムを充電することであって、該エネルギー貯蔵サブシステムは、フロー式電解液電池である、こと」に相当する。 ウ.引用発明の「定格出力に対する割合」は、本願発明の「放電率」に相当するから、引用発明の「該二次電池の設計上の許容過負荷の定格出力に対する割合であるP1」は、本願発明の「該エネルギー貯蔵サブシステムの最大放電率」に相当し、引用発明の「定格出力に対する割合が該二次電池の設計上の許容過負荷の定格出力に対する割合であるP1より低い」は、本願発明の「該エネルギー貯蔵サブシステムの最大放電率より低い放電率」に相当する。さらに、引用発明の「放電して、貯蔵した電力を電路に供給すること」は、本願発明の「該配電網に該エネルギー貯蔵サブシステムを放電すること」に相当する。そうすると、引用発明の「定格出力に対する割合が該二次電池の設計上の許容過負荷の定格出力に対する割合であるP1より低い出力で放電して、貯蔵した電力を電路に供給すること」は、本願発明の「該エネルギー貯蔵サブシステムの最大放電率より低い放電率で該配電網に該エネルギー貯蔵サブシステムを放電すること」に相当する。 エ.本願明細書、特に段落0004の記載を参照すれば、本願発明において、増加調節サービスとは、追加の電力を必要な場合に事業の配電網に電力を供給することを意味する。一方、引用発明において、二次電池の出力が増加することは、該二次電池が電路に供給する電力を追加することにほかならない。そうすると、引用発明の「該二次電池の出力の増を指令するコード情報を有しているLFC信号」は、それを受けて二次電池の出力が増加されるから、「増量調節サービスを提供する信号」に相当する。 本願の請求項1の記載、及び本願明細書、特に段落0004の記載を参照すれば、本願発明において、減少調節サービスとは、必要な場合又は所望の場合に事業の配電網から電力を吸い込むか又は貯蔵することを意味し、その結果配電網の電力が減少することは明らかである。一方,引用発明において、二次電池の出力が減少することは、該出力の減少前と比較すれば、電路の電力を減少させることにほかならない。そうすると、引用発明の「該二次電池の出力の」「減を指令するコード情報を有しているLFC信号」は、それを受けて二次電池の出力が減少されるから、本願発明の「減少調節サービスを提供する信号」であって「該配電網からの電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求を表す」信号と、「配電網の電力を減少させるサービスを提供する信号」である点で一致する。 引用発明の「該二次電池の出力を増加又は減少させる」ことは、本願発明の「該放電率を調整する」ことに相当する。 さらに、先に検討したとおり、引用発明において、LFC信号が二次電池の出力の増と減を同時に指令することがないことは明らかであるから、そうすると、引用発明の「該二次電池の出力の増減を指令するコード情報を有しているLFC信号を受けて該二次電池の出力を増加又は減少させる」ことは、本願発明の「増加調節サービスを提供する信号または減少調節サービスを提供する信号のいずれかである信号に応答して、該放電率を調整することであって、該減少調節サービスを提供する該信号は、該配電網からの電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求を表す」ことと、「増加調節サービスを提供する信号または配電網の電力を減少させるサービスを提供する信号のいずれかである信号に応答して、該放電率を調整する」ことである点で一致する。 オ.引用発明の「定格出力に対する割合が許容過負荷の定格出力に対する割合であるP1より低い出力で放電している間」及び「該二次電池の出力を減少させる」は、それぞれ、本願発明の「該配電網に放電されている間」及び「該放電率を減少させる」に相当する。そうすると、引用発明の「該二次電池が、定格出力に対する割合が許容過負荷の定格出力に対する割合であるP1より低い出力で放電している間に、該二次電池の出力の減を指令するコード情報を有しているLFC信号を受けて該二次電池の出力を減少させる」ことは、本願発明の「該エネルギー貯蔵サブシステムが、該配電網に放電されている間に、該減少調節サービスを提供する該信号に応答して該放電率を減少させる」ことと、「該エネルギー貯蔵サブシステムが、該配電網に放電されている間に、配電網の電力を減少させるサービスを提供する信号に応答して該放電率を減少させる」点で一致する。 引用発明の「該二次電池の出力を増加させること」は、本願発明の「該放電率を増加させること」に相当する。そうすると、引用発明の「該二次電池の出力の増を指令するコード情報を有しているLFC信号を受けて該二次電池の出力を増加させる」ことは、本願発明の「該増加調節サービスを提供する該信号に応答して該放電率を増加させる」ことに相当する。 以上のことから、本願発明と引用発明は、 「電力需要の変化に応答する方法であって、 該方法は、 配電網からエネルギー貯蔵サブシステムを充電することであって、該エネルギー貯蔵サブシステムは、フロー式電解液電池である、ことと、 該エネルギー貯蔵サブシステムの最大放電率より低い放電率で該配電網に該エネルギー貯蔵サブシステムを放電することと、 増加調節サービスを提供する信号または配電網の電力を減少させるサービスを提供する信号のいずれかである信号に応答して、該放電率を調整することと を包含し、 該調整することは、(a)該エネルギー貯蔵サブシステムが、該配電網に放電されている間に、該配電網の電力を減少させるサービスを提供する該信号に応答して該放電率を減少させることと、(b)該増加調節サービスを提供する該信号に応答して該放電率を増加させることとを包含する、方法。」 である点で一致し、以下の点で一応相違する。 【相違点】 配電網の電力を減少させるサービスを提供する信号について、 本願発明は、減少調節サービスを提供する信号であって配電網からの電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求を表す信号であるのに対し、 引用発明は、二次電池の出力の減を指令するコード情報を有しているLFC信号である点。 (2)判断 ア.前記「4.(1)エ.」で検討したとおり、本願発明において、減少調節サービスとは、必要な場合又は所望の場合に事業の配電網から電力を吸い込むか又は貯蔵することを意味するものであるが、当該サービスの提供の前後における配電網とエネルギー貯蔵サブシステムとの間の電力の供給の変化の観点からみれば、エネルギー貯蔵サブシステムに対して配電網から電力を引き揚げることであるから、本願発明の、減少調節サービスを提供する信号であって配電網からの電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求を表す信号は、エネルギー貯蔵サブシステムに対して配電網から電力を引き揚げることを要求する信号にほかならない。 一方、引用発明においても、二次電池の出力が減少すれば、該出力の減少前を基準にしてみれば、配電網(電路)から電力を引き揚げていることなることは明らかであるから、引用発明の、二次電池の出力の減を指令するコード情報を含むLFC信号も、エネルギー貯蔵サブシステムに対して配電網から電力を引き揚げることを要求する信号であるといえる。 そうすると、前記相違点は単なる表現上の相違であって、本願発明の、減少調節サービスを提供する信号であって配電網からの電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求を表す信号と、引用発明の、二次電池の出力の減を指令するコード情報を有しているLFC信号は、実質的に同一である。 したがって、前記相違点は実質的な相違点ではないから、本願発明は、引用発明と実質的に同一である。よって、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項の規定により、特許を受けることができない。 イ.前記のとおり、前記相違点は実質的な相違点とはいえないものであるが、仮に前記相違点が実質的な相違点であるとして以下検討する。 引用例の記載、特に図3の記載から、引用発明において、エネルギー貯蔵サブシステム(二次電池)は、配電網に放電されている間(該二次電池が定格出力に対する割合が許容過負荷の定格出力に対する割合であるP1より低い出力で放電している間)に、配電網の電力を減少させるサービスを提供する信号(二次電池の出力の減を指令するコード情報を有しているLFC信号)に応答して放電率(定格出力に対する割合)を減少させるものであるが、当該放電率の減少が放電の範囲内にとどまる場合と放電ではなく充電となる場合とがあることが看取できる。すなわち、引用発明は、エネルギー貯蔵サブシステムが、該配電網に放電されている間に、該配電網の電力を減少させるサービスを提供する該信号に応答して該放電率を減少させるにあたり、前記該配電網の電力を減少させる程度(指令された二次電池の出力程度)に応じて、より低い出力で放電するか、あるいは放電に代えて充電するものであるから、引用発明において、エネルギー貯蔵サブシステムがより低い出力で放電することと、放電に代えて充電することと、は、いずれも、放電率の減少として認識されているものである。 一方、先に検討したとおり、引用発明の、二次電池の出力の減を指令するコード情報を含むLFC信号も、当該信号の前後において考えれば、エネルギー貯蔵サブシステムに対して配電網から電力を引き揚げることを要求する信号である。さらに、配電網から電力を引き揚げることが、前記信号前の状態を基準として考えれば、配電網からの電力を吸い込むかまたは貯蔵することと解されることは、当業者にとって明らかである。 そうすると、引用発明において、二次電池の出力の減を指令するコード情報を有しているLFC信号を、配電網からの電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求を表す信号とするとともに、エネルギー貯蔵サブシステムが、該配電網に放電されている間に、前記信号に応答して該放電率を減少させるようにすることは、当業者が容易になし得る事項である。 そして、本願発明の奏する効果に、引用例に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得る範囲を越えるものは見いだせない。 したがって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (3)意見書の主張について 審判請求人は、平成28年10月7日付け意見書2頁16?36行において「いずれの刊行物も、補正後の請求項に規定されているように、配電網に放電されている間に減少調節サービスを提供するエネルギー貯蔵サブシステムを教示、示唆していません。特に、刊行物1(当審注:本審決における「引用例」。)は、その代わりに、電力生成器の出力および再充電可能電池の動作を制御し、それにより、電力供給が電力需要に合致するようにし、周波数変化を防止することを開示しています(例えば、刊行物1、段落0020を参照)。このような電力の供給および需用の合致は、減少調節サービスを提供すること(すなわち、配電網からの電力を吸い込むこと)と同じではなく、ましてや、配電網に放電されるエネルギー貯蔵サブシステムの放電率を減少させることによるそれとは同じではありません。 さらに、刊行物1の引用されているLFC信号または引用されているEDC信号のいずれも、補正後の請求項に規定されている、減少調節サービスを提供する信号に相当しません。特に、補正後の請求項1、4の各々は、配電網からの電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求を表す減少調節サービスを提供する信号を規定しています。しかしながら、LFCおよびEDCのいずれも、電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求を表してはいません。その代わりに、LFC信号は、システム周波数が基準周波数の所定範囲から逸脱しないように生成器出力を制御します。これは、電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求とは同じではありません(刊行物1、段落0003)。他方、EDC信号は、需要の変動に従って生成器出力を制御します。これもまた、電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求とは同じではありません(刊行物1、段落0003)。したがって、LFC信号またはEDC信号のいずれも、補正後の請求項に規定されているような、減少調節サービスを提供する信号に相当すると考えることはできません。」と主張している。 しかしながら、前記「3.(1)(2)」で示したとおり、引用発明は、二次電池の出力の減を指令するコード情報を有しているLFC信号を受けるものである。そして、本願発明の「該減少調節サービスを提供する該信号」であって「該配電網からの電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求を表す」信号と、引用発明の「該二次電池の出力の減を指令するコード情報を有しているLFC信号」は、単に表現上で相違するものであり、実質的に同一であることは、前記「4.(2)ア.」で検討したとおりである。あるいは、前記「4.(2)イ.」で検討したとおり、引用発明において、二次電池の出力の減を指令するコード情報を有しているLFC信号を、配電網からの電力を吸い込むかまたは貯蔵する要求を表す信号とするとともに、エネルギー貯蔵サブシステムが、該配電網に放電されている間に、前記信号に応答して該放電率を減少させるようにすることは、当業者が容易になし得る事項である。 よって、請求人の前記主張は採用することができない。 なお、発電出力を調整し負荷変動(需要変化)を吸収することで、負荷周波数制御を行うことは、例えば、引用例の段落0002?0003や、当審拒絶理由に引用された特開2003-284244号公報の段落0007に記載されており、周知の技術的事項でもある。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当するから、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができない。又は、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第1項の規定により拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-06-29 |
結審通知日 | 2017-06-30 |
審決日 | 2017-07-12 |
出願番号 | 特願2012-525640(P2012-525640) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H02J)
P 1 8・ 113- WZ (H02J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 相澤 祐介、田中 寛人 |
特許庁審判長 |
中川 真一 |
特許庁審判官 |
矢島 伸一 久保 竜一 |
発明の名称 | エネルギー貯蔵システムおよび関連する方法 |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 山本 健策 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 石川 大輔 |
代理人 | 飯田 貴敏 |