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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1334868 |
審判番号 | 不服2017-1484 |
総通号数 | 217 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-01-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-02-01 |
確定日 | 2017-12-12 |
事件の表示 | 特願2015-163266「配信装置、配信方法および配信プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 9日出願公開、特開2017- 49623、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年8月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成28年 5月17日付け:拒絶理由の通知 平成28年 7月25日 :意見書、及び、手続補正書の提出 平成28年10月24日付け:拒絶査定 平成29年 2月 1日 :審判請求書、及び、手続補正書の提出 平成29年 4月25日 :前置報告 平成29年 6月14日 :上申書の提出 第2 原査定の概要 原査定(平成28年10月24日付け拒絶査定)の概要は次の通りである。 本願請求項1-8に係る発明は、以下の引用文献1、2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.国際公開第2011/129380号 2.特開2012-78305号公報(周知技術を示す文献) 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 審判請求時の補正によって、補正前の請求項2、及び、請求項4を削除する補正がなされた。 審判請求時の補正によって、請求項1になされた「前記受付部により前記配信要求が受け付けられた場合に、前記アプリケーションによって利用されるユーザ情報に基づきコンテンツを抽出する抽出部と」を「前記受付部により前記配信要求が受け付けられた場合に、前記アプリケーションによって利用されるユーザ情報を前記アプリケーションを管理する所定のサーバ装置から取得する取得部と、前記取得部により取得されたユーザ情報に基づきコンテンツを抽出する抽出部と」とする補正事項は、「ユーザ情報」を「前記アプリケーションを管理する所定のサーバ装置から取得する取得部」により取得された「ユーザ情報」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、上記補正事項は、補正前の請求項2や当初明細書の段落【0083】に記載されており、新規事項を追加するものではないといえる。 さらに、審判請求時の補正によって、請求項5、6(補正前の請求項7、8)になされた補正は、上記補正事項と実質的に同一のものである。 そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-6に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 第4 本願発明 本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成29年 2月 1日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-6は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 アプリケーションに含まれるブラウザプログラムによって表示されるコンテンツの配信要求をユーザ端末から受け付ける受付部と、 前記受付部により前記配信要求が受け付けられた場合に、前記アプリケーションによって利用されるユーザ情報を前記アプリケーションを管理する所定のサーバ装置から取得する取得部と、 前記取得部により取得されたユーザ情報に基づきコンテンツを抽出する抽出部と、 前記抽出部により抽出されたコンテンツを前記ユーザ端末に配信する配信部と、 を有することを特徴とする配信装置。 【請求項2】 前記取得部は、前記配信要求に含まれる前記ユーザ端末を利用するユーザを識別する識別情報に対応する前記ユーザ情報を前記所定のサーバ装置から取得する ことを特徴とする請求項1に記載の配信装置。 【請求項3】 前記ユーザ情報を利用して前記コンテンツの配信を行ったことによる報酬であって、当該ユーザ情報に対応する前記アプリケーションを管理する管理者への報酬を算出する算出部をさらに備える ことを特徴とする請求項1または2に記載の配信装置。 【請求項4】 前記抽出部は、前記アプリケーションによって利用されるユーザ情報と、前記ブラウザプログラムと送受信するHTTPクッキーに対応するユーザ情報とに基づき前記コンテンツを抽出する ことを特徴とする請求項1?3のいずれか1つに記載の配信装置。 【請求項5】 コンピュータが実行する配信方法であって、 アプリケーションに含まれるブラウザプログラムによって表示されるコンテンツの配信要求をユーザ端末から受け付ける受付工程と、 前記受付工程により配信要求が受け付けられた場合に、前記アプリケーションによって利用されるユーザ情報を前記アプリケーションを管理する所定のサーバ装置から取得する取得工程と、 前記取得工程により取得されたユーザ情報に基づきコンテンツを抽出する抽出工程と、 前記抽出工程により抽出されたコンテンツを前記ユーザ端末に配信する配信工程と、 を含むことを特徴とする配信方法。 【請求項6】 コンピュータに、 アプリケーションに含まれるブラウザプログラムによって表示されるコンテンツの配信要求をユーザ端末から受け付ける受付手順と、 前記受付手順により配信要求が受け付けられた場合に、前記アプリケーションによって利用されるユーザ情報を前記アプリケーションを管理する所定のサーバ装置から取得する取得手順と、 前記取得手順により取得されたユーザ情報に基づきコンテンツを抽出する抽出手順と、 前記抽出手順により抽出されたコンテンツを前記ユーザ端末に配信する配信手順と、 を実行させることを特徴とする配信プログラム。」 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線部は当審にて付与した。) (ア) 「本発明は、ユーザの属性を表す属性情報を提供する提供装置および属性情報を取得する取得装置間における属性情報の送受信を仲介する属性情報仲介システムに関する。」(第1頁第7-9行目) (イ) 「(第6の実施の形態) 次に、本発明の第6の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態の位置情報仲介システム10は、本発明の第1の実施の形態としての属性情報仲介システム1の具体例である。 図21は、本発明の第6の実施の形態としての位置情報仲介システム10を表す図である。図21を参照すると、属性情報仲介システム1は、ネットワーク2を介して互いに接続されている、位置情報サービスサーバ110と、広告配信サーバ120と、インターネットサービスプロバイダサーバ(ISPサーバ)130とを備える。また、ネットワーク2には、ユーザ端末装置3としての携帯電話端末30が接続されている。 携帯電話端末30は、広告配信サーバ120に広告を要求する電文を送付する。 広告配信サーバ120は、携帯電話端末30からの要求に応じて、携帯電話端末30の位置に応じた広告を配信する広告配信サービスを提供する。 広告配信サーバ120は、本発明の第1の実施の形態における取得装置12と同一の機能ブロックを有している。 位置情報サービスサーバ110は、携帯電話端末30の位置情報を提供するサーバである。 位置情報サービスサーバ110は、本発明の第1の実施の形態における提供装置11と同一の機能ブロックを有している。例えば、位置情報サービスサーバ110の属性情報格納部111は、携帯電話端末30の位置情報を属性情報として格納している。 ISPサーバ130は、広告配信サーバ120および位置情報サービスサーバ110間での位置情報の送受信を仲介する。 ISPサーバ130は、本発明の第1の実施の形態における仲介装置13と同一の機能ブロックを有している。例えば、ISPサーバ130のユーザ対応情報格納部131は、広告配信サーバ120における携帯電話端末識別情報および位置情報サービスサーバ110における携帯電話端末識別情報の対応関係を格納している。 また、ISPサーバ130の提供装置情報格納部132は、広告配信サーバ120から要求される位置情報を格納する提供装置が位置情報サービスサーバ110であることを表すリソース情報を格納している。 以上のように構成された位置情報仲介システム10の動作を、図22のシーケンス図を用いて説明する。 まず、携帯電話端末30が広告配信サーバ120に対して広告を要求する(ステップG1)。 次に、広告配信サーバ120の属性要求送信部121は、広告配信サービスに必要な携帯電話端末30の位置情報を要求する属性要求電文をISPサーバ130に送付する(ステップG2)。 次に、ISPサーバ130の要求先選択部133は、位置情報の要求先として位置情報サービスサーバ110を選択する。そして、属性要求転送部134は、広告配信サーバ120からの属性要求電文に基づいて位置情報を要求する属性要求転送電文を生成し、位置情報サービスサーバ110に送信する(ステップG3)。 次に、位置情報サービスサーバ110の属性応答送信部112は、ISPサーバ130からの要求に応じて、携帯電話端末30の位置情報を含む属性応答電文をISPサーバ130に送付する(ステップG4)。 次に、ISPサーバ130の属性応答転送部135は、受信した属性応答電文に含まれる位置情報を含む属性応答転送電文を生成し、広告配信サーバ120に送付する(ステップG5)。 次に、広告配信サーバ120が、携帯電話端末30の位置情報を利用して携帯電話端末30に対して広告を配信する(ステップG6)。 以上で、位置情報仲介システム10は動作を終了する。」(第25頁第16行-第27頁第3行目) したがって、上記(ア)ないし(イ)の記載から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「携帯電話端末30が広告配信サーバ120に対して広告を要求し、 広告配信サーバ120の属性要求送信部121は、広告配信サービスに必要な携帯電話端末30の位置情報を要求する属性要求電文をISPサーバ130に送付し、 ISPサーバ130の要求先選択部133は、位置情報の要求先として位置情報サービスサーバ110を選択し、属性要求転送部134は、広告配信サーバ120からの属性要求電文に基づいて位置情報を要求する属性要求転送電文を生成し、位置情報サービスサーバ110に送信し、 位置情報サービスサーバ110の属性応答送信部112は、ISPサーバ130からの要求に応じて、携帯電話端末30の位置情報を含む属性応答電文をISPサーバ130に送付し、 ISPサーバ130の属性応答転送部135は、受信した属性応答電文に含まれる位置情報を含む属性応答転送電文を生成し、広告配信サーバ120に送付し、 広告配信サーバ120が、携帯電話端末30の位置情報を利用して携帯電話端末30に対して広告を配信する、 携帯電話端末30からの要求に応じて、携帯電話端末30の位置に応じた広告を配信する広告配信サービスを提供する広告配信サーバ」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線部は当審にて付与した。) (ウ) 「本発明は、ナビゲーションシステム、端末装置、ナビゲーションサーバ、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、および、プログラムに関する。」(【0001】) (エ) 「[端末装置100の構成] また、図1において、端末装置100は、現在位置情報を取得し、ナビゲーションサーバ200へ送信する等の機能を有する。また、端末装置100は、ナビゲーションサーバ200から送信される、広告情報を受信し、受信された広告情報の少なくとも一部を、出力部を介して出力する等の機能を有する。端末装置100は、例えば、一般に市販されるデスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置、携帯電話、スマートフォン、PHS、およびPDA等の携帯端末装置、および、走行経路案内等を行なうナビゲーション端末(例えば、カーナビゲーション装置など)等である。ここで、端末装置100は、インターネットブラウザ等を搭載していてもよく、経路案内アプリケーション、乗換案内アプリケーション、および情報検索アプリケーション等を搭載していてもよい。また、端末装置100は、リアルタイムに現在位置取得が行えるよう、GPS機能やIMES機能等を有する位置取得部112を備えている。また、端末装置100は、表示部114と音声出力部116とを少なくとも含む出力部を備えている。なお、図示しないが、端末装置100は、デジタルカメラ、フィルムカメラ、またはビデオカメラ等の、静止画または動画を記録する撮影部を備えていてもよい。」(【0078】) (オ) 「図2に示すように、まず、端末装置100の現在位置情報送信部102aは、端末装置100の利用者の現在位置情報を取得し(ステップSA-1)、ナビゲーションサーバ200へ送信する(ステップSA-2)。ここで、ステップSA-1およびSA-2において、現在位置情報送信部102aは、端末装置100の利用者の現在位置情報を所定時間(所定周期)ごと(例えば、1秒ごと、または、3分ごと等)に取得し、ナビゲーションサーバ200へ送信してもよい。また、現在位置情報送信部102aは、位置取得部112にて位置発信装置500から受信した位置情報信号から算出した位置情報を端末装置100の利用者の現在位置情報として取得し、ナビゲーションサーバ200へ送信してもよい。また、現在位置情報送信部102aは、更に、位置取得部112の方位センサ等にて検出した端末装置100の進行方向等の方位情報を端末装置100の利用者の現在位置情報として取得し、ナビゲーションサーバ200へ送信してもよい。」(【0093】) (カ)「そして、ナビゲーションサーバ200の検索範囲設定部202cは、ステップSA-4において移動手段判別部202bの処理により判別された移動手段に基づいて、当該移動手段ごとの所定の検索範囲を設定する(ステップSA-5)。ここで、ステップSA-5において、検索範囲設定部202cは、ステップSA-4において移動手段判別部202bの処理により移動手段がバスまたは電車であると判別された場合、ステップSA-3において現在位置情報受信部202aの処理により受信された現在位置情報に基づく端末装置100の現在位置から次のバスの停留所または次の電車の停車駅の周辺の所定範囲を、検索範囲として設定してもよい。また、検索範囲設定部202cは、現在位置から所要時間内に到達可能な移動手段ごとの所定範囲を、検索範囲として設定してもよい。 」(【0097】) (キ)「また、図4において、周辺店舗検索部202eは、利用者Aが図示された位置にいるとした場合、検索範囲設定部202cの処理により設定された検索範囲内(すなわち、検索範囲「Lc」)に存在する店舗(すなわち、指定された店舗「B1」およびチェーン店「B2」)を店舗情報データベース206bに記憶された店舗「B1」および「B2」の位置情報に基づいて検索する。また、周辺店舗検索部202eは、利用者がバスに乗っている場合、検索範囲設定部202cの処理により設定された検索範囲内(すなわち、バスの停車位置の周囲「Lb」)に存在する店舗(すなわち、チェーン店「B4」)を店舗情報データベース206bに記憶された店舗「B4」の位置情報に基づいて検索する。なお、図示しないが、周辺店舗検索部202eは、例えばユーザの移動手段が「車」であると判定された場合には、店舗の詳細情報として駐車場がある店舗のみを検索対象にしてもよい。」(【0106】) (ク)「そして、ナビゲーションサーバ200の広告情報送信部202gは、ステップSA-7において周辺店舗検索部202eの処理により検索された店舗が広告配信店舗データベース206aに記憶された広告配信店舗に対応する場合(すなわち、上記「ステップSA-8:Yes」の場合)、当該店舗の広告情報を店舗情報データベース206bから取得し、取得された当該広告情報の少なくとも一部を端末装置100へ送信する(ステップSA-11)。ここで、ステップSA-11において、広告情報送信部202gは、ステップSA-7において周辺店舗検索部202eの処理により検索された店舗が指定された店舗であるか(すなわち、上記「ステップSA-9:No」であるか)またはチェーン店であるか(すなわち、上記「ステップSA-9:Yes」)により、広告情報の内容を変更して端末装置100へ送信してもよい。また、広告情報送信部202gは、ステップSA-7において周辺店舗検索部202eの処理により検索された店舗がチェーン店である場合(すなわち、上記「ステップSA-9:Yes」の場合)、ステップSA-10において案内経路探索部202fの処理により生成された経路案内情報を、広告情報とともに送信してもよい。また、経路案内情報は、地図データおよび/または案内データを含んでいてもよい。なお、本実施形態において、配信の方式は、メール形式等であってもよい。」(【0112】) (ケ)「そして、端末装置100の広告情報受信部102bは、ステップSA-11において広告情報送信部202gの処理によりナビゲーションサーバ200から送信される、広告情報を受信する(ステップSA-12)。ここで、ステップSA-12において、広告情報受信部102bは、ステップSA-11において広告情報送信部202gの処理によりナビゲーションサーバ200から送信される広告情報ともに経路案内情報を受信してもよい。また、広告情報受信部102bは、更に、受信した広告情報を広告情報ファイル106aに格納してもよい。また、広告情報受信部102bは、更に、広告情報とともに受信した経路案内情報を当該広告情報に対応付けて広告情報ファイル106aに格納してもよい。ここで、広告情報受信部102bは、広告情報ファイル106aに既存の広告情報が記憶されている場合、新たに設定された広告情報を、既存の広告情報に上書きして格納してもよい。 そして、広告情報出力部102cは、ステップSA-12において広告情報受信部102bの処理により受信された広告情報の少なくとも一部を、出力部を介して出力する(ステップSA-13)。ここで、ステップSA-13において、広告情報出力部102cは、ステップSA-12において広告情報受信部102bにより広告情報とともに経路案内情報を受信した場合、当該経路案内情報を出力部を介して出力することにより、経路案内を行ってもよい。」(【0114】-【0115】) 第6 対比・判断 1.本願発明1について 1-1.対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 (1) 引用発明に係る「携帯電話端末」は、本願発明1でいうところの『ユーザ端末』に対応することは明らかである。 また、引用発明に係る「広告配信サーバ」は、本願発明1でいうところの『配信装置』に対応することは明らかである。 さらに、引用発明に係る「広告」は、本願発明1でいうところの『コンテンツ』に対応することは明らかである。 (2) 引用発明の「広告配信サーバ」は、「携帯電話端末30からの要求に応じて、携帯電話端末30の位置に応じた広告を配信する」のであるから、引用発明の「広告配信サーバ」が「携帯電話端末」から「広告」の配信要求を受け付ける受付部を有していることは明らかである。 そうすると、引用発明と本願発明1とは、『コンテンツの配信要求をユーザ端末から受け付ける受付部』を有している点で一致する。 (3) 引用発明の「携帯電話端末30の位置情報」は、携帯電話端末を保持するユーザの位置情報であると認められるため、引用発明に係る「位置情報」は、本願発明1でいうところの『ユーザ情報』に対応するといえる。 (4) 引用発明では、「携帯電話端末30が広告配信サーバ120に対して広告を要求し」た後、「ISPサーバ130の属性応答転送部135は、受信した属性応答電文に含まれる位置情報を含む属性応答転送電文を生成し、広告配信サーバ120に送付し」ており、引用発明の「広告配信サーバ」は、「携帯電話端末」からの広告配信要求に応じて「ISPサーバ」から「位置情報」を取得しているから、引用発明と本願発明1とは、『前記受付部により前記配信要求が受け付けられた場合に、ユーザ情報を所定のサーバ装置から取得する取得部』を有している点で一致する。 (5) 引用発明は、「広告配信サーバ120が、携帯電話端末30の位置情報を利用して携帯電話端末30に対して広告を配信する、携帯電話端末30からの要求に応じて、携帯電話端末30の位置に応じた広告を配信する広告配信サービスを提供する広告配信サーバ」であるので、「位置情報を利用」して「広告を配信」すること、及び、「位置に応じた広告を配信する」ことは、位置情報に応じた広告を選択して配信しているものと認められるから、引用発明は、本願発明1でいうところの『前記取得部により取得されたユーザ情報に基づきコンテンツを抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出されたコンテンツを前記ユーザ端末に配信する配信部』を有しているといえる。 したがって、上記(1)から(5)で対比した様に、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点がある。 (一致点) 「コンテンツの配信要求をユーザ端末から受け付ける受付部と、 前記受付部により前記配信要求が受け付けられた場合に、ユーザ情報を所定のサーバ装置から取得する取得部と、 前記取得部により取得されたユーザ情報に基づきコンテンツを抽出する抽出部と、 前記抽出部により抽出されたコンテンツを前記ユーザ端末に配信する配信部と、 を有することを特徴とする配信装置」 (相違点) (相違点1)本願発明1では、『アプリケーションに含まれるブラウザプログラムによって表示されるコンテンツ』であるのに対し、引用発明では、「広告」がどこに表示されるのか特定されていない点。 (相違点2)本願発明1では、『前記アプリケーションによって利用されるユーザ情報を前記アプリケーションを管理する所定のサーバ装置から取得』しているのに対し、引用発明には、このような構成はない点。 1-2.相違点についての判断 上記相違点2について検討すると、引用発明の「ISPサーバ」は、広告配信サーバ120および位置情報サービスサーバ110間での位置情報の送受信を仲介するものであり仲介装置の役割を果たすものであって、アプリケーションを管理していない。 また、引用文献2の記載事項を参照しても、コンテンツの『配信装置』が、『前記アプリケーションによって利用されるユーザ情報を前記アプリケーションを管理する所定のサーバ装置から取得』することは記載されていない。 そうすると、引用発明において、「ISPサーバ」を『アプリケーションを管理する所定のサーバ装置』にするという構成は、当業者といえども導き出せるものではない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、及び、引用文献2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-4について 本願発明2-4も『前記アプリケーションによって利用されるユーザ情報を前記アプリケーションを管理する所定のサーバ装置から取得』するという構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、及び、引用文献2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明5、6について 本願発明5は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明6は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、ともに本願発明1の『前記アプリケーションによって利用されるユーザ情報を前記アプリケーションを管理する所定のサーバ装置から取得』する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、及び、引用文献2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1-6は、『前記アプリケーションによって利用されるユーザ情報を前記アプリケーションを管理する所定のサーバ装置から取得』する構成を備えるものであるから、上記「第5 引用文献、引用発明等」から「第6 対比・判断」で言及したとおり、本願発明1-6は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用発明、及び、引用文献2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-11-27 |
出願番号 | 特願2015-163266(P2015-163266) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 関 博文 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
石川 正二 宇多川 勉 |
発明の名称 | 配信装置、配信方法および配信プログラム |
代理人 | 特許業務法人酒井国際特許事務所 |