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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F21S
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F21S
管理番号 1334896
審判番号 不服2017-11581  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-03 
確定日 2017-11-24 
事件の表示 特願2014-216444号「面状照明装置、液晶表示装置及びその組立方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年5月19日出願公開、特開2016- 85803号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成26年10月23日を出願日とする特許出願であって、平成27年9月24日に審査請求と同時に手続補正書が提出され、平成28年6月22日付けで最初の拒絶理由が通知され、同年8月25日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月15日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成29年2月15日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月12日付けで同年2月15日に提出された手続補正書の手続補正が決定をもって却下されるとともに、最後の拒絶理由によって拒絶査定がされた。
これに対して、同年8月3日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、その後、同年8月23日付けで前置報告がなされ、これに対し、同年9月11日に上申書が提出されたものである。

第2.平成29年8月3日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年8月3日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、平成28年8月25日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正することを含むものである(以下「請求項1の補正」という。)。 なお、下線部は補正箇所を示す。
(1)本件補正前の請求項1
「対向する一対の主面の一方を光の出射面とする導光板と、該導光板の入光面に対向して配置される光源と、前記導光板の前記出射面側に配置される光学シートと、これらの構成要素を収納するためのフレームとを含む面状照明装置であって、
前記フレームには、板金からなる底部と、前記導光板の前記入光面に対向する樹脂部とが含まれ、前記導光板の入光面側辺及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々と対向する部分には樹脂部を備えないことを特徴とする面状照明装置。」

(2)本件補正後の請求項1
「対向する一対の主面の一方を光の出射面とする導光板と、該導光板の入光面に対向して配置される光源と、前記導光板の前記出射面側に配置される光学シートと、これらの構成要素を収納するためのフレームとを含む面状照明装置であって、
前記フレームは、板金からなる底部及び該底部から一体に立ち上がる側壁と、前記底部上に配置され前記導光板の前記入光面に対向する樹脂部とが、予め一体化された金属と樹脂との混成フレームとして構成され、前記導光板の入光面側辺及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々と対向する部分には樹脂部を備えないことを特徴とする面状照明装置。」

2.補正の適否
(1)補正の目的の適否について
ア.上記請求項1の補正は、本件補正前の「フレーム」に関し、「予め一体化された金属と樹脂との混成フレームとして構成され」という発明特定事項(以下「補正事項」という。)に補正することを含むものである。
本件補正後の請求項1に係る発明は「面状照明装置」(物の発明)であるところ、上記補正事項は「予め一体化された」(下線は当審で付与。以下同様。)という経時的な要素を含むものであるから、「予め一体化された金属と樹脂との混成フレーム」は、「一体化された金属と樹脂との混成フレーム」との間で構成の区別が着かず、「面状照明装置」(物の発明)としての構成が不明確である。
そうすると、上記補正事項は不明確なものであるから、本件補正前の「フレーム」を限定的に減縮するものとはいえないし、また、請求項の削除、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものということもできない。
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号ないし4号に掲げられたいずれの事項を目的とするものに該当しないから、却下すべきものである。

イ.なお、上記補正事項は構成が不明確であるが、本件補正前の「フレーム」を限定的に減縮するものと仮定した上で、念のために、本件補正後の請求項1を引用する請求項7(請求項6を引用)に、さらに請求項9を引用する発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について以下検討する。

(2)独立特許要件について
ア.本願補正発明は次のとおりである。
「対向する一対の主面の一方を光の出射面とする導光板と、該導光板の入光面に対向して配置される光源と、前記導光板の前記出射面側に配置される光学シートと、これらの構成要素を収納するためのフレームとを含む面状照明装置であって、
前記フレームは、板金からなる底部及び該底部から一体に立ち上がる側壁と、前記底部上に配置され前記導光板の前記入光面に対向する樹脂部とが、予め一体化された金属と樹脂との混成フレームとして構成され、前記導光板の入光面側辺及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々と対向する部分には樹脂部を備えていないこと、
前記底部から一体に立ち上がる側壁として、前記フレームの底部の、前記導光板の入光面側及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々に沿って、前記底部から一体に立ち上がる第1の側壁が設けられていること、
前記導光板の入光面及び入光面に対向する端面の端部同士を結ぶ一対の側端面と、前記第1の側壁とは、間隔を空けて配置されていること、
前記フレームの前記樹脂部と前記底部とは、インサートモールド成形により一体化されていることを特徴とする面状照明装置。」

イ.同日出願及び同日出願発明
(ア)同日出願:特願2017-26300号
本願の分割出願であり、平成29年9月8日に特許第6203442号として設定登録されたものであって、現時点で放棄、取下げはされていない。

(イ)同日出願に記載されている事項及び同日出願発明
「【請求項1】
対向する一対の主面の一方を光の出射面とする導光板と、該導光板の入光面に対向して配置される光源と、前記導光板の前記出射面側に配置される光学シートと、これらの構成要素を収納するためのフレームとを含む面状照明装置であって、
前記フレームには、板金からなる底部と、前記導光板の前記入光面に対向する樹脂部とが含まれ、前記導光板の入光面側辺及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々と対向する部分には樹脂部を備えておらず、
前記フレームの底部の、前記導光板の入光面側及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々に沿って、前記底部から一体に立ち上がる第1の側壁が設けられ、
前記導光板の入光面及び入光面に対向する端面の端部同士を結ぶ一対の側端面と、前記第1の側壁とは、これらの間に空間が生じるように間隔を空けて配置されていることを特徴とする面状照明装置。
・・・
【請求項8】
前記フレームの前記樹脂部と前記底部とは、インサートモールド成形により一体化されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の面状照明装置。」

同日出願の特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項8に係る発明は、以下のとおりと認められる(以下「同日出願発明」という。)。

「対向する一対の主面の一方を光の出射面とする導光板と、該導光板の入光面に対向して配置される光源と、前記導光板の前記出射面側に配置される光学シートと、これらの構成要素を収納するためのフレームとを含む面状照明装置であって、
前記フレームには、板金からなる底部と、前記導光板の前記入光面に対向する樹脂部とが含まれ、前記導光板の入光面側辺及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々と対向する部分には樹脂部を備えておらず、
前記フレームの底部の、前記導光板の入光面側及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々に沿って、前記底部から一体に立ち上がる第1の側壁が設けられ、
前記導光板の入光面及び入光面に対向する端面の端部同士を結ぶ一対の側端面と、前記第1の側壁とは、これらの間に空間が生じるように間隔を空けて配置されていること、
前記フレームの前記樹脂部と前記底部とは、インサートモールド成形により一体化されていることを特徴とする面状照明装置。」

ウ.対比・判断
ウ-1.本願補正発明を先願とし、同日出願発明を後願として対比すると、
(ア)後者の「前記導光板の前記入光面に対向する樹脂部」は、後者の「前記フレームの前記樹脂部と前記底部とは、インサートモールド成形により一体化されている」との事項から底部上に配置されているといえる。
(イ)後者の「板金からなる底部」との事項から、底部は金属で構成されるものであるから、後者の「前記フレームの前記樹脂部と前記底部とは、インサートモールド成形により一体化され」ていることは、予め一体化された金属と樹脂との混成フレームとして構成されているといえる。
そうすると、後者の「前記フレームの前記樹脂部と前記底部とは、インサートモールド成形により一体化されている」ことは前者の「予め一体化された金属と樹脂との混成フレームとして構成され」、「前記フレームの前記樹脂部と前記底部とは、インサートモールド成形により一体化されている」ことに相当する。

(ウ)後者の「前記フレームの底部の、前記導光板の入光面側及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々に沿って、前記底部から一体に立ち上がる第1の側壁」は、底部から一体に立ち上がる側壁といえるから、前者の「前記底部から一体に立ち上がる側壁として、前記フレームの底部の、前記導光板の入光面側及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々に沿って、前記底部から一体に立ち上がる第1の側壁」に相当する。

(エ)後者の「前記導光板の入光面及び入光面に対向する端面の端部同士を結ぶ一対の側端面と、前記第1の側壁とは、これらの間に空間が生じるように間隔を空けて配置されていること」は前者の「前記導光板の入光面及び入光面に対向する端面の端部同士を結ぶ一対の側端面と、前記第1の側壁とは、間隔を空けて配置されていること」に相当する。

以上によれば、本願補正発明と同日出願発明とは、
「対向する一対の主面の一方を光の出射面とする導光板と、該導光板の入光面に対向して配置される光源と、前記導光板の前記出射面側に配置される光学シートと、これらの構成要素を収納するためのフレームとを含む面状照明装置であって、
前記フレームは、板金からなる底部及び該底部から一体に立ち上がる側壁と、前記底部上に配置され前記導光板の前記入光面に対向する樹脂部とが、予め一体化された金属と樹脂との混成フレームとして構成され、前記導光板の入光面側辺及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々と対向する部分には樹脂部を備えていないこと、
前記底部から一体に立ち上がる側壁として、前記フレームの底部の、前記導光板の入光面側及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々に沿って、前記底部から一体に立ち上がる第1の側壁が設けられていること、
前記導光板の入光面及び入光面に対向する端面の端部同士を結ぶ一対の側端面と、前記第1の側壁とは、間隔を空けて配置されていること、
前記フレームの前記樹脂部と前記底部とは、インサートモールド成形により一体化されていることを特徴とする面状照明装置。」で一致し、相違するところはない。

ウ-2.同日出願発明を先願とし、本願補正発明を後願として対比すると、
上記ウ-1.(ア)?(ウ)の相当関係に加え、後者の「側端面と、前記第1の側壁とは、間隔を空けて配置されていること」は側端面と第1の側壁との間に空間が生じることは明らかであるから、前者の「側端面と、前記第1の側壁とは、これらの間に空間が生じるように間隔を空けて配置されていること」に相当する。

以上によれば、同日出願発明と本願補正発明とは、
「対向する一対の主面の一方を光の出射面とする導光板と、該導光板の入光面に対向して配置される光源と、前記導光板の前記出射面側に配置される光学シートと、これらの構成要素を収納するためのフレームとを含む面状照明装置であって、
前記フレームには、板金からなる底部と、前記導光板の前記入光面に対向する樹脂部とが含まれ、前記導光板の入光面側辺及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々と対向する部分には樹脂部を備えておらず、
前記フレームの底部の、前記導光板の入光面側及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々に沿って、前記底部から一体に立ち上がる第1の側壁が設けられ、
前記導光板の入光面及び入光面に対向する端面の端部同士を結ぶ一対の側端面と、前記第1の側壁とは、これらの間に空間が生じるように間隔を空けて配置されていること、
前記フレームの前記樹脂部と前記底部とは、インサートモールド成形により一体化されていることを特徴とする面状照明装置。」で一致し、相違するところはない。

したがって、本願補正発明と同日出願発明との間には実質的な相違点が存在しないから、両者は実質的に同一発明であるといえる。

エ.まとめ
本願補正発明と同日出願発明は同一発明であるから、特許法第39条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号ないし4号に掲げられたいずれの事項を目的とするものに該当しないか、仮に同第2号に掲げられた事項を目的とするものに該当するとしても、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?18に係る発明は、平成28年8月25日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1?18に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2.[理由]1.(1)」に記載したとおりである。

2.原査定の拒絶の理由
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載の発明及び引用文献2に記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
引用文献1:特開2014-170159号公報
引用文献2:特開2014-137961号公報

3.引用文献の記載事項及び引用発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア.「【請求項1】
液晶表示パネルと、
上面及び下面並びに側面を有して前記上面が前記液晶表示パネルの方向を向くように配置された導光板と、
前記導光板の前記側面の一部である端面に対向するように配置された発光部品と、
前記導光板の前記下面と前記側面の前記端面を除く部分とに対向するように折り曲げられた反射シートと、
前記反射シートにドット状又はストライプ状の平面形状で設けられて前記反射シートを前記導光板に貼り付ける粘着材と、
を有し、
前記導光板の前記下面は、前記導光板を進行する光を内部で反射させて前記上面の方向に進行させるための凹凸を有し、
前記粘着材の厚みは、前記凹凸の高さの差の最大値よりも小さいことを特徴とする液晶表示装置。
・・・
【請求項3】
請求項1又は2に記載された液晶表示装置において、
前記反射シートは、前記導光板の前記側面の、前記発光部品が対向する前記端面及び前記端面とは反対側の他の端面を除いた部分に貼り付けられていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載された液晶表示装置において、
前記発光部品が配置された側と前記発光部品とは反対側で前記導光板を挟むようにそれぞれ配置されたブロックをさらに有することを特徴とする液晶表示装置。
・・・
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載された液晶表示装置において、
前記導光板及び前記発光部品を前記液晶表示パネルとは反対側で収容する金属フレームをさらに有することを特徴とする液晶表示装置。」

イ.「【0018】
図2は、バックライトの断面図である。バックライトは、導光板20を含む。導光板20は、液晶表示パネル10と重なるように配置される。液晶表示パネル10と導光板20の間には光学シート22が配置される。光学シート22は、拡散シート及びプリズムシートなどを含む。
【0019】
図3は、バックライトの分解斜視図である。導光板20は、上面24、上面24とは反対側の下面26、及び側面28を有する。側面28は、上面24と下面26を接続する外周端面である。導光板20は、上面24が液晶表示パネル10の方向を向くように配置される。
【0020】
バックライトは、複数の発光部品30を含む。導光板20の側面28の一部である端面に発光部品30が対向するように配置されている。発光部品30は、例えば発光ダイオードである。発光部品30は、導光板20に光を導入するための点光源である。点光源からの光が導光板20で面光源に変換されて液晶表示パネル10に照射される。複数の発光部品30が一列に並んで配置されている。」

ウ.「【0022】
図4は、導光板20の下面26を示す断面図である。導光板20の下面26は、凹凸を有する。凹凸の凹は、例えば溝34である。溝34の深さは例えば2?20μmである。凹凸があることで、導光板20を進行する光が内部で反射して上面24の方向に進行する。また、導光板20の下面26を通過した光は、下面26に対向するように配置された反射シート36で反射して、下面26から導光板20に入射するようになっている。反射シート36は、図3に示すように、導光板20の下面26に対向し、折り曲げられて導光板20の側面28のうち発光部品30が対向する端面を除く部分に対向する。」

エ.「【0025】
図3に示すように、発光部品30が配置された側と発光部品30とは反対側とで導光板20を挟むようにそれぞれブロック31が配置されている。ブロック31は、樹脂のモールド成型によって形成されている。ブロック31によって、バックライトの補強が図られている。また、ブロック31の表面が光を反射するようになっていれば、導光板20の側面28から漏れ出た光をブロック31で反射して導光板20の内部に戻すことができる。」

オ.「【0029】
図8は、第2の変形例に係る液晶表示装置のバックライトを示す図である。この変形例では、バックライトが金属フレーム246を含むことで強度が高くなっている。金属フレーム246は、導光板220及び発光部品30(図3参照)を液晶表示パネル10(図1参照)とは反対側で収容する。保護フィルム242には、金属フレーム246を固定するための両面テープ248が貼り付けられている。両面テープ248は、保護フィルム242の下面(図示しない遮光両面テープが貼り付けられた面)に貼り付けられて保護フィルム242から突出し、保護フィルム242の下面が向く方向に屈曲し、金属フレーム246の外側面に貼り付けられている。両面テープ248の金属フレーム246と粘着する面とは反対側の面は、粘着面にはなっているが粘着せずに露出させてある。」

以上の記載事項及び図面から次のことが認定できる。
カ.記載事項ア.により、請求項4(請求項1、3を引用)を引用する請求項8の記載によれば、導光板、発光部品、反射シート、ブロック及び金属フレームを有する液晶表示装置のバックライトの構成。

キ.記載事項イ.によれば、光学シート22が液晶表示パネル10と導光板20の間に配置されるところ、記載事項オ.の「金属フレーム246は、導光板220及び発光部品30(図3参照)を液晶表示パネル10(図1参照)とは反対側で収容する」との記載及び【図8】を参酌すると、金属フレーム246は、導光板20、発光部品30及び光学シート22を液晶表示パネル10とは反対側で収容すること。

ク.【図8】を参酌すると金属フレーム246は底部を有していること。

以上を総合すると、引用文献1には、本願発明に倣って整理すると、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明〕
「上面24、上面24とは反対側の下面26、及び側面28を有し、前記上面24が液晶表示パネル10の方向を向くように配置される導光板20と、該導光板20の側面28の一部である端面に対向するように配置される発光部品30と、前記液晶表示パネル10と導光板20の間に配置される光学シート22と、前記導光板20、発光部品30及び光学シート22を液晶表示パネル10とは反対側で収容する金属フレーム246とを含む液晶表示装置のバックライトであって、
前記金属フレーム246には、底部を有し、発光部品30が配置された側と発光部品30とは反対側とで導光板20を挟むようにそれぞれ樹脂のモールド成型によって形成されているブロック31が配置され、前記導光板20の下面26に対向し、折り曲げられて前記導光板20の側面28のうち発光部品30が対向する端面を除く部分に対向するように反射シート36が配置された液晶表示装置のバックライト。」

4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
後者の「上面24、上面24とは反対側の下面26」は前者の「対向する一対の主面」に相当するところ、後者の「上面24」は「液晶表示パネル10の方向を向くように配置される」から前者の「出射面」に相当する。そして、後者の「上面24、上面24とは反対側の下面26、及び側面28を有し、前記上面24が液晶表示パネル10の方向を向くように配置される導光板20」は前者の「対向する一対の主面の一方を光の出射面とする導光板」に相当する。
後者の「該導光板20の側面28の一部である端面」は「発光部品30と」「対向するように配置される」ものであるから、前者の「該導光板の入光面」に相当するところ、後者の「該導光板20の側面28の一部である端面に対向するように配置される発光部品30」は前者の「該導光板の入光面に対向して配置される光源」に相当する。
後者の「前記液晶表示パネル10と導光板20の間に配置される光学シート22」は前者の「前記導光板の前記出射面側に配置される光学シート」に相当する。
後者の「前記導光板20、発光部品30及び光学シート22を液晶表示パネル10とは反対側で収容する金属フレーム246」は前者の「これらの構成要素を収納するためのフレーム」に相当する。
後者の「液晶表示装置のバックライト」は前者の「面状照明装置」に相当する。
後者の「樹脂のモールド成型によって形成されているブロック31」は前者の「樹脂部」に相当するところ、後者の「発光部品30が配置された側」の「ブロック31」は導光板20の側面28の一部である端面(本願発明の「入光面」に相当)に対向して配置しているといえるから、後者の「前記金属フレーム246には、底部を有し、発光部品30が配置された側と発光部品30とは反対側とで導光板20を挟むようにそれぞれブロック31が配置され」と前者の「前記フレームには、板金からなる底部と、前記導光板の前記入光面に対向する樹脂部とが含まれ」とは、「前記フレームには底部を有し、前記導光板の前記入光面に対向する位置に樹脂部が配置され」という限度で共通する。

以上のことより、両者の一致点及び相違点は次のとおりのものといえる。

〔一致点〕
「対向する一対の主面の一方を光の出射面とする導光板と、該導光板の入光面に対向して配置される光源と、前記導光板の前記出射面側に配置される光学シートと、これらの構成要素を収納するためのフレームとを含む面状照明装置であって、
前記フレームには底部を有し、前記導光板の前記入光面に対向する位置には樹脂部が配置される面状照明装置。」

〔相違点1〕
本願発明は、「前記フレームには、板金からなる底部と、前記導光板の前記入光面に対向する樹脂部とが含まれ」ているのに対し、
引用発明は、「前記金属フレーム246には、底部を有し、発光部品30が配置された側と発光部品30とは反対側とで導光板20を挟むようにそれぞれ樹脂のモールド成型によって形成されているブロック31が配置され」ているものであり、底部が板金からなるものか明らかでなく、金属フレーム246に樹脂のモールド成型によって形成されているブロック31が含まれていることが特定されていない点。

〔相違点2〕
本願発明は、「前記導光板の入光面側辺及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々と対向する部分には樹脂部を備えない」のに対し、
引用発明は、「前記導光板20の下面26に対向し、折り曲げられて前記導光板20の側面28のうち発光部品30が対向する端面を除く部分に対向するように反射シート36が配置され」ている点。

5.判断
(1)相違点1について
引用発明の金属フレーム246の底部は金属で形成されるところ、面状照明装置の底部を板金で形成することは、例えば引用文献2の段落【0033】に記載されているように従来周知の技術であるから、引用発明の金属フレーム246の底部を板金で形成することは当業者であれば適宜になし得ることである。
また、引用発明の「発光部品30が配置された側」の「ブロック31」はバックライトの補強を図るもの(記載事項エ.を参照。)であるから、バックライトの主要構造物である金属フレーム246に該「ブロック31」を固定させて、金属フレーム246には、板金からなる底部と、発光部品30が配置された側のブロック31とが含まれるとの構成とすることは当業者であれば適宜になし得ることである。
よって、相違点1に係る本願発明の構成は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到しうるものといえる。

(2)相違点2について
本願発明の「前記導光板の入光面側辺及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々」とは、本願明細書の段落【0027】の「図1(c)に示されるように、導光板12の、入光面12c及び入光面12cに対向する端面12eの端部同士を結ぶ一対の側端面12fと、第2の側壁16Mbとは、間隔を空けて配置されている。」との記載を参酌すると側端面12fと捉えることができる。
他方、引用発明は、「前記導光板20の下面26に対向し、折り曲げられて前記導光板20の側面28のうち発光部品30が対向する端面を除く部分に対向するように反射シート36が配置され」ているものであるから、本願発明の「前記導光板の入光面側辺及び入光面に対向する辺の端部間を結ぶ一対の辺の各々」つまり側端面12fに相当する部分の側面28には反射シート36が配置されていることになるが、該反射シートは本願発明の「樹脂部」に相当するものではないから相違点2は実質的な相違点とはいえない。また、反射シートとして従来周知の金属から形成されるシート(特開平10-133024号公報の段落【0006】、特開平4-280224号公報の段落【0008】等を参照。)を採用することにより、相違点2に係る本願発明の構成は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到しうるものといえる。

(3)格別な効果について
引用発明の「発光部品30が配置された側」の「ブロック31」は導光板20の側面28の一部である端面(本願発明の「入光面」に相当)に対向して配置しているといえるから、本願発明の「樹脂部」との間で構成の差異はなく、その作用効果も引用発明及び周知技術から予測可能なものであって、格別顕著なものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.付言
平成29年9月11日に提出された上申書において、請求人から補正案が提示されたが、補正案の請求項1においても「予め一体化された」との補正事項があり、該補正事項は、先の第2.2.(1)で述べたように、「面状照明装置」(物の発明)としての構成が不明確である。また、該補正事項が本件補正前の「フレーム」を限定的に減縮するものと仮定した上でも、先の第2.2.(2)で述べた理由と同様に、同日出願発明との差異を見出すことができない。

第5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に
より特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-09-26 
結審通知日 2017-09-27 
審決日 2017-10-11 
出願番号 特願2014-216444(P2014-216444)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F21S)
P 1 8・ 121- Z (F21S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷治 和文柿崎 拓石井 孝明  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
島田 信一
発明の名称 面状照明装置、液晶表示装置及びその組立方法  
代理人 特許業務法人はなぶさ特許商標事務所  

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