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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 E04F
管理番号 1334919
審判番号 不服2016-18351  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-06 
確定日 2017-12-12 
事件の表示 特願2011-173608「断熱耐火パネル」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月21日出願公開、特開2013- 36246、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年8月9日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成27年 5月12日:拒絶理由通知(起案日)
平成27年 7月21日:意見書、手続補正書
平成27年12月25日:拒絶理由通知(起案日)
平成28年 3月 7日:意見書、手続補正書
平成28年 5月20日:拒絶理由通知(起案日)
平成28年 8月 1日:意見書、手続補正書
平成28年 8月30日:拒絶査定(起案日)
平成28年12月 6日:審判請求書、手続補正書
平成29年 5月24日:上申書


第2 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成28年12月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される、下記のとおりのものである(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)。

「 【請求項1】
2枚の金属板で芯材を挟んだ断熱耐火パネルにおいて、前記2枚の前記金属板と前記芯材の表面と裏面とはそれぞれ接着剤を介して接着され、少なくとも前記金属板と前記芯材の表面側との間の前記接着剤は、接着性を有する樹脂と、熱によって膨張して遮炎層を形成する多数の熱膨張性粒子を含有し、
前記熱膨張性粒子は、熱によって膨張する熱膨張性黒鉛であり、
高温下において、前記金属板が前記樹脂による前記芯材への接着性を失い、熱伸びして曲がった前記金属板と前記芯材との間に形成される隙間が、前記金属板と前記芯材とを接着させる前記接着剤に含有される多数の前記熱膨張性黒鉛が膨張することで埋められるように設けたことを特徴とする断熱耐火パネル。
【請求項2】
前記芯材は、繊維系断熱材であることを特徴とする請求項1に記載の断熱耐火パネル。
【請求項3】
前記芯材は、発泡樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の断熱耐火パネル。」


第3 原査定の概要
拒絶査定の理由は、概略、本願発明1ないし3は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物1?3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

[刊行物](以下、それぞれ「刊行物1」ないし「刊行物3」という。)
1.特開2000-104366号公報
2.特開2002-138596号公報
3.特開2002-105430号公報


第4 刊行物の記載事項
1 刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2000-104366号公報(刊行物1)には、次の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(1) 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、壁、梁、柱等の耐火構成体に関する。
・・・
【0003】・・・また、樹脂成分をバインダーとした各種膨張材料を耐火材料として用いる場合、樹脂成分及び有機成分は、本質的に燃焼又は溶融する性質を有するので、いかに長時間このような状態にならないか、含有される無機成分が、いかに長時間脱落しないか等が問題となる。
【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記に鑑み、厚みが薄いため施工性が優れ、しかも耐火膨張層の燃焼残渣が十分な形状保持能力を有することにより、顕著な耐火性能を発現する耐火構成体を提供することにある。
【0005】【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の発明(以下、第1発明という)である耐火構成体は、不燃性材料からなる層(A)と、エポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤からなる耐火膨張層(B)とが積層されてなることを特徴とする。」

(2) 「【0042】第1発明の耐火構成体は、上記不燃性材料からなる層(A)上に、上記樹脂組成物を所定の厚みに塗布し、加熱硬化させて耐火膨張層(B)を形成することによって得られる。上記層(A)は耐火膨張層(B)の両面に積層されていてもよい。
・・・
【0044】上記金属板からなる層(A)の厚みは、0.1?1.5mmが好ましい。厚みが、0.1mm未満では防炎性能や形状保持性が不足し、1.5mmを超えると耐火膨張層(B)の膨張を阻害し、耐火性能が低下する。」

(3) 「【0071】本発明の耐火構成体は、壁、梁、柱等に被覆もしくはこれらの構造の一部として使用され、好ましくは耐火外壁、鉄骨構造材の耐火被覆材として使用される。
【0072】【作用】本発明の耐火構成体において、耐火膨張層(B)は、加熱時に熱膨張性黒鉛が膨張断熱層を形成して熱の伝達を阻止する。その際、エポキシ樹脂を用いているため樹脂分も炭化して膨張断熱層として寄与し、架橋構造をとるため熱膨張後の形状保持性が優れる。無機充填剤はその際に熱容量を増大させ、リン化合物は膨張断熱層及び無機充填剤の形状保持性を向上させる。」

(4) 「【0073】【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0074】・耐火膨張層 (B_(1))用樹脂組成物の調製
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製「E807」)40重量部、ジアミン系硬化剤(油化シェル社製「EKFL052」60重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製「GREP-EG」)20重量部、ポリリン酸アンモニウム(ヘキスト社製「AP422」)100重量部、水酸化アルミニウム(昭和電工社製「H-31」)75重量部、及び、炭酸カルシム(備北粉化社製「ホワイトンBF-300」)75重量部をミキシングロールを用いて混練し、耐火膨張層 (B_(1))用樹脂組成物を調製した。
・・・
【0078】(実施例3)0.3mm厚の亜鉛鋼板 (A_(2))上に耐火膨張層 (B_(1))用樹脂組成物を塗布し、100℃で30分間加熱硬化させて1mm厚の耐火膨張層を形成した後、耐火膨張層上に25mm厚のロックウールボード (C_(3))を粘着剤により積層し、さらに、1mm厚の耐火膨張層 (B_(1))を形成した0.3mm厚の亜鉛鋼板 (A_(2))を粘着剤により積層し、5層構造の耐火構成体〔亜鉛鋼板(A_(2))/耐火膨張層 (B_(1))/ロックウールボード (C_(3))/耐火膨張層 (B_(1))/亜鉛鋼板 (A_(2))〕を作製した。」

(5) 上記(1)ないし(4)からみて、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されているものと認める。

「壁構造の一部を成す耐火外壁として使用される耐火構成体であって、
金属板である亜鉛鋼板A_(2)上に耐火膨張層B_(1)用樹脂組成物を塗布し、加熱硬化させて耐火膨張層を形成した後、耐火膨張層B_(1)上にロックウールボードC_(3)を粘着剤により積層し、さらに、耐火膨張層B_(1)を形成した亜鉛鋼板A_(2)を粘着剤により積層し作製される5層構造〔亜鉛鋼板A_(2)/耐火膨張層B_(1)/ロックウールボードC_(3)/耐火膨張層B_(1)/亜鉛鋼板A_(2)〕であり、
耐火膨張層B_(1)はエポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤からなり、加熱時に熱膨張性黒鉛が膨張し膨張断熱層を形成して熱の伝達を阻止するものであり、耐火膨張層B_(1)の燃焼残渣が十分な形状保持能力を有し、
亜鉛鋼板A_(2)の厚さは耐火膨張層B_(1)の膨張を阻害しない厚さである、
耐火構成体。」

2 刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2002-138596号公報(刊行物2)には、次の事項が記載されている。

(1) 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材の少なくとも一面に、シート材が貼着された耐火ボードであって、前記シート材が、結合材と、アゾ化合物、ヒドラゾ化合物、ニトロソ化合物及びスルホニルヒドラジド化合物より選ばれる少なくとも1種からなる発泡剤と、膨張温度が200?400℃である膨張性黒鉛と、熱分解性含窒素化合物と、分岐型多価アルコール及び糖類より選ばれる少なくとも1種と、難燃剤とを含む接着剤を介して、前記基材に貼着されていることを特徴とする耐火ボード。
・・・
【請求項4】 結合材と、アゾ化合物、ヒドラゾ化合物、ニトロソ化合物及びスルホニルヒドラジド化合物より選ばれる少なくとも1種からなる発泡剤と、膨張温度が200?400℃である膨張性黒鉛と、熱分解性含窒素化合物と、分岐型多価アルコール及び糖類より選ばれる少なくとも1種と、難燃剤とを含むことを特徴とする耐火接着剤組成物。」

(2) 「【0022】また、本発明の耐火接着剤組成物は、建築用各種建材(例えば、床材、屋根材、合板類、家具類、石膏ボード等のボード類、壁紙等のクロス類、角材類)の加工、成形時の接着から施工、複合化の接着まで幅広く好適に使用することができる。・・・」

(3) 上記(1)、(2)からみて、刊行物2には、次の事項(以下「刊行物2記載事項」という。)が記載されているものと認める。

「膨張性黒鉛を含む建築用耐火接着剤。」

3 刊行物3
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2002-105430号公報(刊行物3)には、次の事項が記載されている。

(1) 「【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、建築物などの構造物の内外壁面、天井、柱及び梁、又はそれらに用いられる壁材、天井材などの表面に表装材を接着すためのものであり、同時に、耐火性能を向上させるための発泡耐火接着材及びそれを利用した仕上げ方法に関するものである。」

(2) 「【0010】【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態に基づいて詳細に説明する。この発泡耐火接着材は、合成樹脂と難燃性発泡剤と多価アルコールとを含有するものである。この発泡耐火接着材は、火災などの加熱により発泡し、断熱層を形成し、被接着物の温度上昇を抑えることにより、被接着物に耐火性能を付与するものである。
・・・
【0027】また、膨張性黒鉛を添加することも可能である。膨張性黒鉛は、加熱すると黒鉛層間に存在する化合物が熱分解して、全体が膨張する性質を持つものであり、膨張性黒鉛を加えることにより、より薄膜で耐火性能の高い接着材が得られる。膨張性黒鉛を添加された塗膜は、火災時などの加熱により、急激に膨張することで、発泡層の断熱性能を向上させるものである。」

(3) 上記(1)、(2)からみて、刊行物3には、次の事項(以下「刊行物3記載事項」という。)が記載されているものと認める。

「膨張性黒鉛を添加した建築用耐火接着材。」


第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と刊行物1発明とを対比する。

ア 刊行物1発明の「耐火構成体」を本願発明1の「断熱耐火パネル」と対比すると、刊行物1発明の「耐火構成体」は「壁構造の一部を成す」「外壁として用いられる」ものであるから建築用であり、かつ「金属板である亜鉛鋼板A_(2)」と「ロックウールボードC_(3)」を含む層構造であることからみて板状のものと解されるので、「パネル」という用語の一般的な意味(「鏡板。羽目板。また、一定の規格で製造された建築用の板。」[株式会社大修館 明鏡国語辞典第二版])に沿うものであり、さらに「加熱時に熱膨張性黒鉛が膨張し膨張断熱層を形成して熱の伝達を阻止する」すなわち断熱するものであるから、本願発明1の「断熱耐火パネル」に相当する。

イ 刊行物1発明の「耐火構成体」が、「〔亜鉛鋼板A_(2)/耐火膨張層B_(1)/ロックウールボードC_(3)/耐火膨張層B_(1)/亜鉛鋼板A_(2)〕」という、2枚の「金属板である亜鉛鋼板A_(2)」で「ロックウールボードC_(3)」を挟んだ層構造を有していることは、本願発明1の「断熱耐火パネル」が「2枚の金属板で芯材を挟んだ」ものであることに相当する。

ウ 刊行物1発明においては、「亜鉛鋼板A_(2)」上に形成した「耐火膨張層B_(1)上にロックウールボードC_(3)を粘着剤により積層し、さらに、耐火膨張層B_(1)を形成した亜鉛鋼板A_(2)を粘着剤により積層し」ており、ここで「ロックウールボードC_(3)」はそのどちらが表面でどちらが裏面か特定されていないが、そのどちらを表面あるいは裏面としても、2枚の「亜鉛鋼板A_(2)」と「ロックウールボードC_(3)」の表面と裏面との間にそれぞれ「粘着剤」の層を有するといえる。
さらに、粘着剤という用語の一般的な意味「接着剤の一種。一時的な接着に用い、後で剥がすことができる。合成樹脂系・合成ゴム系などがある。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]からすれば、刊行物1発明の「粘着剤」は本願発明1の「接着剤」に相当する。
よって、刊行物1発明において「亜鉛鋼板A_(2)」上に形成した「耐火膨張層B_(1)上にロックウールボードC_(3)を粘着剤により積層し、さらに、耐火膨張層B_(1)を形成した亜鉛鋼板A_(2)を粘着剤により積層し」ていることと、本願発明1の「前記2枚の前記金属板と前記芯材の表面と裏面とはそれぞれ接着剤を介して接着され」ることとは、「前記2枚の前記金属板と前記芯材の表面と裏面との間にそれぞれ接着剤層を有する」という点で共通する。

エ 刊行物1発明の「耐火膨張層B_(1)」は「熱膨張性黒鉛」を含有し、「加熱時に熱膨張性黒鉛が膨張し膨張断熱層を形成して熱の伝達を阻止する」ものであるから、本願発明1の「熱膨張性黒鉛」が「熱によって膨張して」形成する「遮炎層」と同様の機能を奏するものと解される。また「耐火膨張層B_(1)」は、「ロックウールボードC_(3)」両面側に存在するので、「ロックウールボードC_(3)」のどちらを表面と考えても、表面側に存在するといえる。
よって、刊行物1発明の「金属板である亜鉛鋼板A_(2)上に耐火膨張層B_(1)用樹脂組成物を塗布し、加熱硬化させて耐火膨張層を形成した後、耐火膨張層B_(1)上にロックウールボードC_(3)を粘着剤により積層し、さらに、耐火膨張層B_(1)を形成した亜鉛鋼板A_(2)を粘着剤により積層し作製される5層構造〔亜鉛鋼板A_(2)/耐火膨張層B_(1)/ロックウールボードC_(3)/耐火膨張層B_(1)/亜鉛鋼板A_(2)〕であり、耐火膨張層B_(1)はエポキシ樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤からなり、加熱時に熱膨張性黒鉛が膨張し膨張断熱層を形成して熱の伝達を阻止するもの」であることと、本願発明1の「少なくとも前記金属板と前記芯材の表面側との間の前記接着剤は、接着性を有する樹脂と、熱によって膨張して遮炎層を形成する多数の熱膨張性粒子を含有し、前記熱膨張性粒子は、熱によって膨張する熱膨張性黒鉛で」あることとは、「少なくとも前記金属板と前記芯材の表面側との間の層は、熱によって膨張して遮炎層を形成する熱膨張性粒子を含有する層を有し、前記熱膨張性粒子は、熱によって膨張する熱膨張性黒鉛である」という点で共通する。

以上アないしエより、本願発明1と、刊行物1発明とは、下記の点で一致している。

[一致点]
2枚の金属板で芯材を挟んだ断熱耐火パネルにおいて、前記2枚の前記金属板と前記芯材の表面と裏面との間にそれぞれ接着剤層を有し、また少なくとも前記金属板と前記芯材の表面側との間には、熱によって膨張して遮炎層を形成する熱膨張性粒子を含有する層を有し、
前記熱膨張性粒子は、熱によって膨張する熱膨張性黒鉛である、断熱耐火パネル。

他方、本願発明1と刊行物1発明とは、下記の点で相違する。

[相違点1]
積層構造について、本願発明1では、「接着性を有する樹脂」と「多数の熱膨張性黒鉛」を含有する「接着剤」を介して「金属板」と「芯材」が接着されるのに対し、刊行物1発明では、「熱膨張性黒鉛」を含有する「耐火膨張層B_(1)」は、「樹脂組成物」を「亜鉛鋼板A_(2)」上に「塗布」・「加熱硬化」して形成され、形成された「耐火膨張層B_(1)」と「ロックウールボードC_(3)」とが「粘着剤」により積層される点。

[相違点2]
本願発明1は「高温下において、前記金属板が前記樹脂による前記芯材への接着性を失い、熱伸びして曲がった前記金属板と前記芯材との間に形成される隙間が、前記金属板と前記芯材とを接着させる前記接着剤に含有される多数の前記熱膨張性黒鉛が膨張することで埋められるように設けた」と特定しているのに対し、刊行物1発明は隙間の形成及びそれを埋めることに関する特定を有していない点。

(2) 判断
ア 相違点1について
相違点1について検討する。
刊行物1発明においては、熱膨張性黒鉛を含有する「耐火膨張層B_(1)」は「亜鉛鋼板A_(2)」上に塗布した樹脂組成物を加熱硬化して形成されるものであって、加熱硬化された樹脂組成物が接着性を有するものではないことは明らかである。そして刊行物1発明では「耐火膨張層B_(1)」とは別個の部材である「粘着層」を「ロックウールボードC_(3)」との積層に用いている。
これに対し、たとえ刊行物2記載事項及び刊行物3記載事項より、熱膨張性黒鉛を含有する建築用接着剤が本願出願時に当業者にとり周知技術であったとしても、「耐火膨張層B_(1)の燃焼残渣が十分な形状保持能力を有」することを前提とする刊行物発明1において、樹脂組成物を加熱硬化して形成する「耐火膨張層B_(1)」を、接着性を有する樹脂を含有する接着剤とする動機はない。加えて、刊行物1発明の「粘着剤」を熱膨張性黒鉛を含有するものとする、あるいは刊行物1発明の「耐火膨張層B_(1)」及び「粘着剤」をまとめて熱膨張性黒鉛を含有する建築用接着剤に置換する動機もない。
よって、相違点1に係る本願発明1の構成は、当業者が刊行物1発明及び刊行物2、3記載事項に基づいて容易に想到できることではない。

イ 小括
以上より、相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者が刊行物1に記載の発明及び刊行物2、3に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2、3について
本願発明2、3は、それぞれ、本願発明1の構成をすべて含み、さらに構成を付加するものである。
そうすると、本願発明1が、上記1で説示したとおり、当業者が刊行物1に記載された発明及び刊行物2、3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものではないので、本願発明2、3も同様に、当業者が刊行物1に記載された発明及び刊行物2、3に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1ないし3に係る発明は、当業者が刊行物1に記載の発明及び刊行物2、3に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-11-27 
出願番号 特願2011-173608(P2011-173608)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (E04F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 榎本 吉孝佐藤 修  
特許庁審判長 小野 忠悦
特許庁審判官 井上 博之
前川 慎喜
発明の名称 断熱耐火パネル  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  
代理人 北出 英敏  
代理人 水尻 勝久  
代理人 坂口 武  
代理人 西川 惠清  
代理人 木村 豊  
代理人 竹尾 由重  
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