ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
---|---|
管理番号 | 1334964 |
審判番号 | 不服2017-2387 |
総通号数 | 217 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-01-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-02-20 |
確定日 | 2017-12-22 |
事件の表示 | 特願2016- 66412「順番管理システム、順番管理装置およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月 5日出願公開、特開2017-182322、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年3月29日の出願であって、平成28年10月6日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月6日に手続補正がなされたが、同年12月19日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、平成29年2月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年12月19日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 請求項1-7に係る発明は、引用文献1-3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2015-118397号公報 2.特開2007-183689号公報 3.特開2003-296448号公報 第3 本願発明 本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、平成29年2月20日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 <本願発明1> 「【請求項1】 順番待ちの状況を管理するためのテーブルを格納する記憶部と、 第1の端末装置からのアクセスを受け付けて、前記第1の端末装置から受信した顧客の順番待ちの情報に基づいて前記テーブルを更新し、前記テーブルに登録された情報に基づいて順番待ちを管理する順番管理部と、 を備える順番管理装置であって、さらに、 前記顧客以外の訪問者が予約可能であり、前記顧客を受け付けない時間枠を特別枠として設定する特別枠設定部と、 第2の端末装置からのアクセスを受け付けて、前記訪問者に対して発行されたアカウントの認証がされた場合に、前記第2の端末装置に前記特別枠を提示すると共に、前記第2の端末装置から前記特別枠の予約情報を受け付ける予約受付部と、 前記予約受付部によって受け付けられた予約情報に基づいて、前記特別枠における前記訪問者の順番待ちとして前記テーブルに登録する予約管理部と、 を有し、 前記順番管理部が、前記第1の端末装置から受け付けた前記顧客の順番待ちと前記第2の端末装置から受け付けた特別枠における前記訪問者の順番待ちとを一元的に管理する、 順番管理装置。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(特開2015-118397号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0001】 本発明は、受付システム、受付管理サーバ、及びプログラムに関し、例えば、受付窓口の受付方式に関するものである。」 イ.「【0024】 本発明は、例えば、区役所の受付窓口において、従来の受付け順の窓口に加え、予約窓口を設けることにより、混雑時の待ち時間を緩和或いは解消することを目的としている。」 ウ.「【0034】 受付管理サーバ100は、受付順番号と予約番号を管理して次の呼び出す番号を決定する等の処理を実行するためのコンピュータである。ディスク装置101は、後述の各種テーブルを保持している。」 エ.「【0092】 <受付システムの処理及び動作内容> 以下、受付システム1で実行される各処理について詳細に説明する。 【0093】 (1)初期設定処理 図25は、受付システム1で実行される初期設定処理を説明するためのフローチャートである。・・・(中略)・・・ 【0094】 (i)S2501 受付管理サーバ100のプロセッサは、業務サービス一覧&予約定義画面800(図8参照)を用いた情報入力に応答し、業務一覧テーブル2000(図20参照)を作成し、各種テーブルを初期設定してディスク(2次記憶装置)101に書き込む(S2501)。各種テーブルは、業務サービス一覧テーブル2000(図20)、受付順テーブル(業務毎)2200(図22)、シフト予約テーブル(業務毎)2300(図23)、及び時間指定予約テーブル(業務毎)2400(図24)を含む。」 オ.「【0196】 (12)シフト予約の受付処理 図36は、利用者(顧客)が行うシフト予約の受付処理を説明するためのフローチャートである。当該処理(概要)は、モバイルまたはパソコンからシフト予約の申し込みを受け付け、利用者が入力した予約情報をディスク上のシフト予約テーブルに書き込むものである。 【0197】 (i)S3601 受付管理サーバ100のプロセッサは、利用者の予約端末(モバイル端末又はパソコン)104からの予約依頼を待ち、受信する(S3601)。 【0198】 (ii)S3602 受付管理サーバ100のプロセッサは、シフト予約テーブル2300(図23)からシフト予約情報を取得し、シフト予約申し込み画面1700(図17)を作成し、予約端末104に送信する。一方、予約端末104は、シフト予約申し込み画面1700を表示部に表示し、利用者の入力に基づく予約情報を取得し、当該予約情報を受付管理サーバ100に送信する(S3602)。予約情報には、予約希望日時、及びサービス業務の情報が含まれる。なお、ここでは、シフト予約申し込み画面は受付管理サーバ100において作成するようにしているが、予約端末104が受付管理サーバ100からシフト予約情報を取得して当該画面を作成するようにしても良い。 【0199】 (iii)S3603 受付管理サーバ100のプロセッサは、受信した予約依頼に含まれる予約希望日において全予約人数が終了したか(全予約人数に空きがあるか)判断する(S3603)。全予約人数が終了していない場合(S3603でNOの場合(全予約人数に空きがある場合))、処理はS3604に移行する。全予約人数が終了してしまっている場合(S3603でYESの場合(全予約人数に空きがない場合))、処理は終了する。 【0200】 (iv)S3604 受付管理サーバ100のプロセッサは、指定日(希望日)のシフト予約テーブル2300を取得し、さらに、当該予約テーブルで予約時間が一致するレコードであって、かつ空のレコードを特定する(S3604)。空のレコードが無い場合には、希望の時間帯が空いていないこと、及び、空いている時間帯を予約端末に知らせるようにしても良い。 【0201】 (v)S3605 受付管理サーバ100のプロセッサは、シフト予約テーブル2300において、該当するレコードのステータスを『0:空』から『1:予約中』に変更して、シフト予約テーブル2300の内容を更新する。」 カ.「【0202】 (13)時間指定予約の受付処理 図37は、利用者(顧客)が行う時間指定予約の受付処理を説明するためのフローチャートである。当該処理(概要)は、モバイルまたはパソコンから時間指定予約の申し込みを受け付け、利用者が入力した予約情報をディスク上の時間指定予約テーブルに書き込むものである。 【0203】 (i)S3701 受付管理サーバ100のプロセッサは、利用者の予約端末(モバイル端末又はパソコン)104からの予約依頼を待ち、受信する(S3701)。 【0204】 (ii)S3702 受付管理サーバ100のプロセッサは、時間指定予約テーブル2400(図24)から時間指定予約情報を取得し、時間指定予約申し込み画面1800(図18)を作成し、予約端末104に送信する。一方、予約端末104は、時間指定予約申し込み画面1800を表示部に表示し、利用者の入力に基づく予約情報を取得し、当該予約情報を受付管理サーバ100に送信する(S3702)。予約情報には、予約希望日時、及びサービス業務の情報が含まれる。なお、ここでは、時間指定予約申し込み画面は受付管理サーバ100において作成するようにしているが、予約端末104が受付管理サーバ100から時間指定予約情報を取得して当該画面を作成するようにしても良い。 【0205】 (iii)S3703 受付管理サーバ100のプロセッサは、受信した予約依頼に含まれる予約希望日において全予約人数が終了したか(全予約人数に空きがあるか)判断する(S3703)。全予約人数が終了していない場合(S3703でNOの場合(全予約人数に空きがある場合) )、処理はS3704に移行する。全予約人数が終了してしまっている場合(S3703でYESの場合(全予約人数に空きがない場合))、処理はS3706に移行する。 【0206】 (iv)S3704 受付管理サーバ100のプロセッサは、指定日(希望日)の時間指定予約テーブル2300を取得し、該当する時間について予約の空きレコードを特定する(S3704)。空のレコードが無い場合には、希望の時間帯が空いていないこと、及び、空いている時間帯を予約端末に知らせるようにしても良い。 【0207】 (v)S3705 受付管理サーバ100のプロセッサは、時間指定予約テーブル2400において、該当するレコードのステータスを『0:空』から『1:予約中』に変更して、時間指定予約テーブル2400の内容を更新する。」 キ.「【0209】 (14)受付順受付番号の発券処理 図38は、利用者(顧客)が受付発券機から受付順の受付番号の発券を受けるときの処理を説明するためのフローチャートである。 【0210】 (i)S3801 受付管理サーバ100のプロセッサは、受付発券機103からの受付要求の受信を待つ(S3801)。具体的には、利用者が受付発券機103を操作し、所望の業務に関する受付順番号の発行を要求する。すると、受付発券機103は、当該要求を受付管理サーバ100に送信する。 【0211】 (ii)S3802 受付順番号の発行要求を受け取ると、受付管理サーバ100のプロセッサは、受付順テーブル2200(図22)を参照し、ステータス2201が『0:未受付』のレコードを特定する(S3802)。 【0212】 (iii)S3803 受付管理サーバ100のプロセッサは、受付順テーブル2200(図22)において、S3802で特定したレコードのステータス2201を『1:受付中』に変更(設定)し、該当する受付順番号2202を受付発券機103に送信する(S3803)。」 前記ア.?キ.によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 <引用発明> 「受付順の窓口に加え予約窓口を設けた区役所において(【0024】)、受付順番号と予約番号を管理して次の呼び出す番号を決定する処理を実行する受付管理サーバであって(【0034】)、 初期設定処理において、受付順テーブル(業務毎)2200、シフト予約テーブル(業務毎)2300、及び、時間指定予約テーブル(業務毎)2400を初期設定してディスク(2次記憶装置)101に書き込み(【0093】【0094】)、 受付順受付番号の発券処理において、利用者(顧客)が受付発券機103を操作して所望の業務に関する受付順番号の発行を要求すると、受付発券機から当該発行要求を受け取り、受付順テーブルを参照してステータスが『0:未受付』のレコードを特定し、特定したレコードのステータスを『1:受付中』に変更し、該当する受付順番号を受付発券機に送信し(【0209】?【0212】)、 シフト予約の受付処理において、利用者の予約端末から予約希望日時及びサービス業務の情報を含む予約情報を受信すると、指定日のシフト予約テーブルを取得し、シフト予約テーブルで予約時間が一致するレコードであって、かつ空のレコードを特定し、該当するレコードのステータスを『0:空』から『1:予約中』に変更して、シフト予約テーブルの内容を更新し(【0196】?【0201】)、 時間指定予約の受付処理において、利用者の予約端末から予約希望日時及びサービス業務の情報を含む予約情報を受信すると、指定日の時間指定予約テーブルを取得し、該当する時間について予約の空きレコードを特定し、該当するレコードのステータスを『0:空』から『1:予約中』に変更して、時間指定予約テーブルの内容を更新する(【0202】?【0207】)、 受付管理サーバ。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2(特開2007-183689号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。 ア.「【0001】 本発明は、二次検査予約システムに係わり、特に、二次検査者の健診者に対して二次検査の受診を勧奨でき、二次検査のオンライン予約を実施できる二次検査予約システム及びプログラムに関する。」 イ.「【0012】 〔システム構成〕 図1に基づいて、本発明に係る二次検査予約システム(以下、予約システムという。)の構成を説明する。・・・(中略)・・・ 【0013】 予約システム1は、二次検査の予約を受け付けるための健診システムサーバ3と、健診情報を格納するデータベースサーバ4と、検査機器を管理する健診クライアント5と、外部接続システム6と、プリンタ7と、二次検査の予約を行うための健診者8の健診者端末9とから構成される。」 ウ.「【0028】 次に、健診クライアント5について説明する。健診クライアント5は、以下に示すプログラムを磁気ディスク(図示せず)に格納し、実行時にメモリにロードし、CPUによって実行する。 【0029】 プログラムは、健診者8から入力を受け付ける入力部と、健診情報等を表示する健診クライアント側表示部と、検査機器の検査スケジュール情報を生成する検査スケジュール情報生成部と、・・・(中略)・・・から構成される。」 エ.「【0040】 (ステップS104) S104では、検査スケジュール情報生成部が、二次検査を予約できる時間枠を設定する(S104)。 【0041】 スケジュール設定ボタン107をクリックすると、検査スケジュール設定画面が表示される。図8は、検査スケジュール設定画面の例を示す図である。検査スケジュール設定画面には、S101乃至S102で設定した検査機器名と検査時間とが表示される。 【0042】 スケジュール設定エリア111は、検査時間を反映してコマ割されて表示される。図8では、腹部超音波検査を実施する検査機器では検査時間は10分なので、スケジュール設定エリア111では30分毎の時間枠が10分毎に3つの時間枠に分割されて表示される。 【0043】 スケジュール設定エリア111にて、健診・外来の時間枠を選択し、健診・外来ボタン112をクリックして設定する。また、休止の時間枠を選択し、休止ボタン113をクリックして設定する。登録ボタン106をクリックして、これらの設定を確定する。 【0044】 これにより、健診・外来、休止の設定がなされなかった時間枠は、二次検査の予約可能な時間枠として設定される。」 前記ア.?エ.によれば、引用文献2には、次の事項が記載されている。 <引用文献2の記載事項> 「二次検査者の健診者に対して、二次検査のオンライン予約を実施する二次検査予約システムにおいて(【0001】)、 二次検査の予約を受け付けるための健診システムサーバ3と、検査機器を管理する健診クライアント5と、二次検査の予約を行うための健診者8の健診者端末9とを有し(【0013】)、 健診クライアントは、検査機器の検査スケジュール情報を生成する検査スケジュール情報生成部を有し(【0029】)、検査スケジュール情報生成部は、健診・外来、休止の設定がなされなかった時間枠を二次検査の予約可能な時間枠として設定する(【0040】?【0044】)、 二次検査予約システム。」 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3(特開2003-296448号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。なお、数字付き○印の文字は使用できないため、代わりに[数字]と記載した。)。 ア.「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、病院、医院等(以降、病院という)における診察や治療のように、患者毎に、診察する医師毎に、また、診療の内容によって必要な時間が変動する場合の診療時間帯の予約と、実際の診療受付順番を管理する診療の予約と診療受付順管理の方法に関する。」 イ.「【0023】図3には診療時間枠と診療順番の説明図(その1)を示す。これにより、本発明の実施の形態における予約の管理方法を例示して説明する。(a)には内科K医師の診療時間枠を例示している。医師の診察は待行列ができる診療のひとつであり、各診療窓口毎に診療の時間割を用意して予定する患者を割りつけるようにして予約する。すなわち、各患者には何日の何時から何時までの間に診療するのでその時間帯に診察室に来て待つようにという約束の仕方を前提とする。 【0024】ここでいう時間割を区分して設定した時間帯という意味で時間枠という。図3(a)には30分刻みで内科のK医師の時間枠NK(1)からNK(6)を例示している。12時から30分は予備時間として、午前中を希望する患者が多い場合とか、実際の診療時間が予定を超えたときに使用する時間である。図3(b)には時間枠NK(1)に予約されている患者、予約外患者mmの受け付けられた状態を例示している。ここには予約患者aaが10分の診療時間を、予約患者bbが5分の診療時間を予約しており、当日診療を受け付けた予約外患者mmが5分の予約となっており、30分の時間枠の残り時間が10分であること示している。 【0025】ここで、各患者の診療時間が記されているのは、過去の診療の実績統計から今回の診療に必要な診療時間として設定したものである。診療履歴のない患者については診療窓口毎の診療時間の統計値に基づいて設定している。各患者IDに付けてある○印は予約患者を示している。また、数字付き○印は当日診療を受けるために診療受付したときに付番された診療順番である。診療順番は、各診療の時間枠の中での順番である。ここには患者mmに[3]としてあり3番の診療順番であることを示している。予約外患者mmにのみ診療順番が付いているのは、ここに例示しているように同じ時間枠に予約患者があり、まだ当日の診療の受付を済ませていないときでも、診療受付時点で二人の予約患者より後の順番になるように付番するようにしているため可能となっている。 【0026】次に、図3(c)においては、予約患者bbが当日の診療受付を行ったので、同じ時間枠の中の予約患者内で最初の番号を付番している。図3(d)では、当日の診療受付時間を各診療の時間枠ごとにあらかじめ定めた時刻以降の受付はせず、締切とするようにしており、その時間までに受付をしなかった予約患者については予約をキャンセルしたこととするようにしていることを示している。すなわち●で示した予約患者aaはキャンセルされたのでこの予約された時間帯は残時間に組み入れられる。 【0027】そして(e)に示すように、時間枠内の診療受付された患者の診療が終了したとき、この残時間は次の時間枠の残り時間に組み替えされ、その分次の時間枠の開始時間が繰り上げられる。本発明の実施の形態においては、以上のように予約患者、予約外患者を診療時間枠に割付け、受付け時に診療順番を通知する運用が進行する。」 前記ア.イ.によれば、引用文献3には、次の事項が記載されている。 <引用文献3の記載事項> 「患者毎に、診察する医師毎に、診療時間帯の予約と、実際の診療受付順番を管理する方法であって(【0001】)、 内科のK医師の診療時間枠を、30分刻みの時間枠NK(1)?NK(6)とし(【0024】)、 時間枠NK(1)には、予約患者aaが10分の診療時間を、予約患者bbが5分の診療時間を予約しており、当日診療を受け付けた予約外患者mmが5分の予約となっており(【0024】)、 予約外患者mmの時間枠内での診療順番は、同じ時間枠の予約患者が当日の診療の受付を済ませていないときでも、診療受付時点で二人の予約患者より後の順番になるように3番を付番し(【0025】)、 予約患者bbが当日の診療受付を行うと、同じ時間枠の中の予約患者内で最初の番号を付番し(【0026】)、 当日の診療受付時間を各診療の時間枠ごとにあらかじめ定めた時刻以降の受付はせず、締切とするようにしており、その時間までに受付をしなかった予約患者については予約をキャンセルし、すなわち、予約患者aaの予約はキャンセルされ(【0026】)、 以上のように予約患者、予約外患者を診療時間枠に割付け、受付け時に診療順番を通知する(【0027】)、方法。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用文献1発明とを対比すると、次のことがいえる。 ・引用発明の受付順テーブル2200は、受付順番号を受付発券機に送信すると、その番号に係るレコードのステータスを「0:未受付」から「1:受付中」に変更することから、受付順番号のステータスによって順番待ちの状況を管理しているといえる。 したがって、この受付順テーブル2200を記憶するディスク(2次記憶装置)101は、本願発明1の「順番待ちの状況を管理するためのテーブルを格納する記憶部」に相当する。 ・引用発明の「利用者(顧客)が受付発券機103を操作して所望の業務に関する受付順番号の発行を要求すると、受付発券機から当該発行要求を受け取り、受付順テーブルを参照してステータスが『0:未受付』のレコードを特定し、特定したレコードのステータスを『1:受付中』に変更し、該当する受付順番号を受付発券機に送信し」は、「受付発券機」という第1の端末装置からのアクセスを受け付けて、この第1の端末装置から受信した、「所望の業務に関する受付順番号」の「発行要求」という顧客の順番待ちの情報に基づいて、受付順テーブルを更新し、受付順テーブルに登録された情報に基づいて順番待ちを管理すといえる。 したがって、引用発明の上記手段は、本願発明1の「第1の端末装置からのアクセスを受け付けて、前記第1の端末装置から受信した顧客の順番待ちの情報に基づいて前記テーブルを更新し、前記テーブルに登録された情報に基づいて順番待ちを管理する順番管理部」に相当する。 ・引用発明の「受付管理サーバ」は受付順を管理するから、本願発明1の「順番管理装置」に相当する。 ・引用発明の「シフト予約の受付処理」及び「時間指定予約の受付処理」は、いずれも「利用者の予約端末」という第2の端末装置からのアクセスを受け付けて、予約情報を受信する。 この予約情報の受信に係る手段と、本願発明1の「第2の端末装置からのアクセスを受け付けて、前記訪問者に対して発行されたアカウントの認証がされた場合に、前記第2の端末装置に前記特別枠を提示すると共に、前記第2の端末装置から前記特別枠の予約情報を受け付ける予約受付部」は、「第2の端末装置からのアクセスを受け付けて、前記第2の端末装置から予約情報を受け付ける予約受付部」の点で共通する。 ・引用発明の「シフト予約の受付処理」において、予約時間が一致するレコードのステータスを「0:空」から「1:予約中」に変更して、シフト予約テーブルの内容を更新することは、予約情報の管理といえる。 また、引用発明の「時間指定予約の受付処理」において、指定された時間について予約の空きレコードを特定し、該当するレコードのステータスを「0:空」から「1:予約中」に変更して、時間指定予約テーブルの内容を更新することも、予約情報の管理といえる。 したがって、引用発明の上記予約情報の管理手段と、本願発明1の「前記予約受付部によって受け付けられた予約情報に基づいて、前記特別枠における前記訪問者の順番待ちとして前記テーブルに登録する予約管理部」は、「前記予約受付部によって受け付けられた予約情報に基づく予約管理部」の点で共通する。 したがって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は、次の通りである。 <一致点> 「順番待ちの状況を管理するためのテーブルを格納する記憶部と、 第1の端末装置からのアクセスを受け付けて、前記第1の端末装置から受信した顧客の順番待ちの情報に基づいて前記テーブルを更新し、前記テーブルに登録された情報に基づいて順番待ちを管理する順番管理部と、 を備える順番管理装置であって、さらに、 第2の端末装置からのアクセスを受け付けて、前記第2の端末装置から予約情報を受け付ける予約受付部と、 前記予約受付部によって受け付けられた予約情報に基づく予約管理部と、 を有する、 順番管理装置。」 <相違点1> 本願発明1は、「前記顧客以外の訪問者が予約可能であり、前記顧客を受け付けない時間枠を特別枠として設定する特別枠設定部」を有するのに対し、引用発明は、上記特別枠設定部を有しない点。 <相違点2> 予約受付部が、本願発明1では「前記訪問者に対して発行されたアカウントの認証がされた場合に、前記第2の端末装置に前記特別枠を提示する」ものであり、また、「特別枠」の予約情報を受け付けるのに対し、引用発明では、訪問者に対して発行されたアカウントの認証がなく、特別枠もなく、上記構成を有しない点。 <相違点3> 予約管理部が、本願発明1では、「前記特別枠における前記訪問者の順番待ちとして前記テーブルに登録する」ものであり、そのテーブルは「順番待ちの状況を管理するためのテーブル」であるのに対し、引用発明では、予約情報をシフト予約テーブルまたは時間指定予約テーブルに登録するものの、「前記特別枠における前記訪問者の順番待ちとして」登録するものではなく、また、「順番待ちの状況を管理するためのテーブル」(受付順テーブル)に登録するものでもない点。 <相違点4> 本願発明1は、「前記順番管理部が、前記第1の端末装置から受け付けた前記顧客の順番待ちと前記第2の端末装置から受け付けた特別枠における前記訪問者の順番待ちとを一元的に管理する」のに対し、引用発明は、これらの順番待ちを一元的に管理するものではない点。 (2)判断 次に、上記相違点1?4について検討する。 ア.特別枠について 引用文献2に記載された検査スケジュール情報生成部は、検査機器の検査スケジュールに「健診・外来、休止の設定がなされなかった時間枠を二次検査の予約可能な時間枠として設定する」が、この時間枠は、健診を実施する側からみれば「顧客」である二次検査の受診者が予約する時間枠であり、「前記顧客以外の訪問者が予約可能であり、前記顧客を受け付けない時間枠」(特別枠)ではない。 また、引用文献3に記載された「診療時間枠」も、予約患者と予約外患者を割付ける時間枠であるから、本願発明1に係る「前記顧客以外の訪問者が予約可能であり、前記顧客を受け付けない時間枠」(特別枠)ではない。 イ.一元管理について 引用発明は、受付発券機から受け付けた順番待ちと、シフト予約及び時間指定予約とを別個のテーブルで管理しており、予約情報に基づく順番待ちを受付順テーブルに登録して、受付発券機から受け付けた順番待ちと、予約情報に基づいた順番待ちとを一元的に管理することは記載も示唆もされていない。 また、このような一元管理は、引用文献2、3にも記載されていない。 ウ.引用発明に、引用文献2に係る時間枠を適用することについて 引用発明の予約は区役所の窓口の予約であるのに対し、引用文献2の予約は健診・外来、二次検査に用いられる検査機器の予約であって、窓口の予約とは何ら関係がないから、引用発明に、引用文献2に記載された「健診・外来、休止の設定がなされなかった時間枠を二次検査の予約可能な時間枠として設定する」構成を適用する動機はない。 エ.前記ア.?ウ.のとおり、引用文献2,3には、相違点1?4に係る「特別枠」について記載されておらず、また、相違点3、4に係る、特別枠における順番待ちを、順番待ちの状況を管理するためのテーブルに格納して、第1の端末装置から受け付けた顧客の順番待ちと第2の端末装置から受け付けた特別枠における訪問者の順番待ちとを一元的に管理することも記載されておらず、また、引用発明に引用文献2記載の「健診・外来、休止の設定がなされなかった時間枠を二次検査の予約可能な時間枠として設定する」構成を適用する動機もないことから、本願発明1は、引用発明及び引用文献2,3の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2.本願発明2?5について 本願発明2?5も、本願発明1の「前記顧客以外の訪問者が予約可能であり、前記顧客を受け付けない時間枠を特別枠として設定する特別枠設定部」、「前記訪問者に対して発行されたアカウントの認証がされた場合に、前記第2の端末装置に前記特別枠を提示する」、「前記特別枠における前記訪問者の順番待ちとして前記テーブルに登録する」、「前記順番管理部が、前記第1の端末装置から受け付けた前記顧客の順番待ちと前記第2の端末装置から受け付けた特別枠における前記訪問者の順番待ちとを一元的に管理する」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明6、7について 本願発明6は本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明7は本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の「前記顧客以外の訪問者が予約可能であり、前記顧客を受け付けない時間枠を特別枠として設定する特別枠設定部」、「前記訪問者に対して発行されたアカウントの認証がされた場合に、前記第2の端末装置に前記特別枠を提示する」、「前記特別枠における前記訪問者の順番待ちとして前記テーブルに登録する」、「前記順番管理部が、前記第1の端末装置から受け付けた前記顧客の順番待ちと前記第2の端末装置から受け付けた特別枠における前記訪問者の順番待ちとを一元的に管理する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1-5は「前記顧客以外の訪問者が予約可能であり、前記顧客を受け付けない時間枠を特別枠として設定する特別枠設定部」、「前記訪問者に対して発行されたアカウントの認証がされた場合に、前記第2の端末装置に前記特別枠を提示する」、「前記特別枠における前記訪問者の順番待ちとして前記テーブルに登録する」、「前記順番管理部が、前記第1の端末装置から受け付けた前記顧客の順番待ちと前記第2の端末装置から受け付けた特別枠における前記訪問者の順番待ちとを一元的に管理する」という事項を有し、本願発明6、7は、これらに対応する事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1-7は、当業者が引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-12-12 |
出願番号 | 特願2016-66412(P2016-66412) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 宮地 匡人 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
石川 正二 金子 幸一 |
発明の名称 | 順番管理システム、順番管理装置およびプログラム |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 江口 昭彦 |
代理人 | 大貫 敏史 |
代理人 | 内藤 和彦 |
代理人 | 伊藤 健太郎 |