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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23D
管理番号 1335098
異議申立番号 異議2017-700192  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-27 
確定日 2017-10-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5980682号発明「油脂組成物およびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5980682号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4-10、15〕、〔11、12、14〕について訂正することを認める。 特許第5980682号の請求項1?15に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5980682号の請求項1?15に係る特許についての出願は、2011年9月27日(優先権主張 2010年9月27日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成28年8月5日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人本藤直子により特許異議申立がなされ、当審において平成29年4月27日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年6月30日に訂正の請求及び意見書の提出がされ、その後、特許法第120条の5第5項の規定により期間を指定して特許異議申立人に意見書を提出する機会を与えたが、意見書の提出がなかったものである。

第2 訂正の請求についての判断
1.訂正の内容
平成29年6月30日の訂正請求書による訂正の請求は、「特許第5980682号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、4?12、14、および15について訂正することを求める。」ものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。

(訂正事項1)
特許請求の範囲の請求項1、11に「StOSt型トリグリセリドを8?40質量%」とあるのを、「StOSt型トリグリセリドを17.6?40質量%」に訂正し、「PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で20?67質量%」とあるのを、「PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で20?59.7質量%」に訂正し、「上記トリグリセリドを合計で70?100質量%」とあるのを、「上記トリグリセリドを合計で90?100質量%」に訂正する。

(訂正事項2)
特許請求の範囲の請求項2、12に「PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で20?72質量%」とあるのを、「PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で20?38.4又は63.9?72質量%」に訂正し、「上記トリグリセリドを合計で70?100質量%」とあるのを、「上記トリグリセリドを合計で90?100質量%」に訂正する。

2.訂正の適否
(訂正事項1について)
ア 訂正の目的
上記訂正事項1は、StOSt型トリグリセリドの含有量について「8?40質量%」から「17.6?40質量%」へ、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計について「20?67質量%」から「20?59.7質量%」へ、StOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド及びX3型トリグリセリドの含有量の合計について「70?100質量%」から「90?100質量%」へ、その範囲を狭めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項1は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項1は、訂正前の請求項1、11に、StOSt型トリグリセリドの含有量が「8?40質量%」、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計が「20?67質量%」、及びStOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド及びX3型トリグリセリドの含有量の合計が「70?100質量%」の範囲であるものが記載されているところ、当該範囲からその範囲の一部を除いたものであり、本件明細書の【0038】【表3】の実施例5にStOSt型トリグリセリドの含有量が17.6質量%のものが、実施例3にPHX型トリグリセリドの含有量が24.0質量%、HX2型トリグリセリドの含有量が35.7質量%であり、その合計が59.7質量%のものが、【0014】に「上記StOSt含量、上記PHX含量とHX2含量との合計含量、及び上記X3含量は、・・・、合計で90?100質量%であることがより好ましい。」(「・・・」は省略を意味する。以下同様である。)と記載されているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。

(訂正事項2について)
ア 訂正の目的
上記訂正事項2は、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計について「20?72質量%」から「20?38.4又は63.9?72質量%」へ、StOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド及びX3型トリグリセリドの含有量の合計について「70?100質量%」から「90?100質量%」へ、その範囲を狭めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項2は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項2は、訂正前の請求項2、12に、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計が「20?72質量%」、及びStOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド及びX3型トリグリセリドの含有量の合計が「70?100質量%」の範囲であるものが記載されているところ、当該範囲からその範囲の一部を除いたものであり、本件明細書の【0037】【表2】の実施例2にPHX型トリグリセリドの含有量が2.6質量%、HX2型トリグリセリドの含有量が35.8質量%であり、その合計が38.4質量%のものが、【0038】【表3】の実施例5にPHX型トリグリセリドの含有量が34.1質量%、HX2型トリグリセリドの含有量が29.8質量%であり、その合計が63.9質量%のものが、【0014】に「上記StOSt含量、上記PHX含量とHX2含量との合計含量、及び上記X3含量は、・・・、合計で90?100質量%であることがより好ましい。」と記載されているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1、2、4-10、15〕、〔11、12、14〕についての訂正を認める。

第3 本件特許発明
上記のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1?15に係る発明(以下「本件発明1?15」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?15に記載された以下の事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
StOSt型トリグリセリドを17.6?40質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で20?59.7質量%、及び
X3型トリグリセリドを21.6?50質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で90?100質量%含有する油脂組成物。
(ただし、Stはステアリン酸、Oはオレイン酸、Pはパルミチン酸、Hは飽和脂肪酸、Xは不飽和脂肪酸を表す。)
【請求項2】
StOSt型トリグリセリドを8?26.0質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で20?38.4又は63.9?72質量%、及び
X3型トリグリセリドを14.9?50質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で90?100質量%含有する油脂組成物。
(ただし、Stはステアリン酸、Oはオレイン酸、Pはパルミチン酸、Hは飽和脂肪酸、Xは不飽和脂肪酸を表す。)
【請求項3】
StOSt型トリグリセリドを4?17.8質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で59.7?80質量%、及び
X3型トリグリセリドを8?50質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で70?100質量%含有する油脂組成物。
(ただし、Stはステアリン酸、Oはオレイン酸、Pはパルミチン酸、Hは飽和脂肪酸、Xは不飽和脂肪酸を表す。)
【請求項4】
HX2型トリグリセリド含量がPHX型トリグリセリド含量よりも多い請求項1?3の何れか1項に記載の油脂組成物。
【請求項5】
StOSt含量が30質量%以上である油脂と、パーム系油脂と25℃で液状である植物油脂とのエステル交換油とを含む請求項1?4の何れか1項に記載の油脂組成物。
【請求項6】
含気状である請求項1?5の何れか1項に記載の油脂組成物。
【請求項7】
油脂組成物中の油脂結晶が3鎖長β型の油脂結晶を含む請求項1?6の何れか1項に記載の油脂組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の油脂組成物を含むチョコレートのシーディング剤。
【請求項9】
ピロー包装またはBIB包装に充填された請求項8に記載のチョコレートのシーディング剤。
【請求項10】
請求項8?9の何れか1項に記載のシーディング剤を使用して製造されたチョコレート。
【請求項11】
StOSt型トリグリセリドを17.6?40質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で20?59.7質量%、及び
X3型トリグリセリドを21.6?50質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で90?100質量%含有する油脂組成物を、
融解状態から冷却結晶化し、12?30℃で調温する工程を含む油脂組成物の製造方法。
【請求項12】
StOSt型トリグリセリドを8?26.0質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で20?38.4又は63.9?72質量%、及び
X3型トリグリセリドを14.9?50質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で90?100質量%含有する油脂組成物を、
融解状態から冷却結晶化し、12?30℃で調温する工程を含む油脂組成物の製造方法。
【請求項13】
StOSt型トリグリセリドを4?17.8質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で59.7?80質量%、及び
X3型トリグリセリドを8?50質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で70?100質量%含有する油脂組成物を、
融解状態から冷却結晶化し、12?30℃で調温する工程を含む油脂組成物の製造方法。
【請求項14】
前記冷却結晶化の際に窒素を吹き込んで、前記油脂組成物を含気状とする工程を含む請求項11?13の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1?7の何れか1項に記載の油脂組成物を、全油脂中に50質量%以上含有してなる油性食品。」

第4 当審の判断
1.取消理由の概要
平成29年4月27日付け取消理由通知の概要は、以下のとおりである。

甲第1号証:特開昭63-248343号公報
甲第2号証:特開2003-79314号公報
甲第3号証:特開平2-406号公報
甲第4号証:特開2007-60912号公報
甲第5号証:油脂、1997年、Vol.50、No7、pp.50-56
甲第6号証:佐藤清隆監修、製菓用油脂ハンドブック、株式会社幸書房、2010年2月14日、pp.160-163、168-175
甲第7号証:特開昭63-17697号公報

<甲第1号証を主引用例とした場合>
(ア)請求項2、4、7、15について
請求項2、4、7及び15に係る発明は甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。また、請求項2、4、7及び15に係る発明は甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(イ)請求項5、7?10、15について
請求項5、7?10、15に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(ウ)請求項6、11?14について
請求項6、11?14に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証記載の事項及び甲第3号証記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

<甲第4号証を主引用例とした場合>
(ア)請求項1、2、4、7について
請求項1、2、4、7に係る発明は、甲第4号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。また、請求項1、2、4、7に係る発明は甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(イ)請求項15について
請求項15に係る発明は、甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(ウ)請求項6、11、12、14、15について
請求項6、11、12、14、15に係る発明は、甲第4号証に記載された発明、甲第2号証記載の事項及び甲第3号証記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

2.取消理由についての判断
(1)甲第1号証を主引用例とした場合
本件特許の請求項1?15に係る発明中、独立請求項は、本件発明1?3、11?13であり、本件発明4?10、15は本件発明1?3を直接又は間接的に引用しているところ、取消理由では、本件発明2、4?15を対象としているが、特許異議申立の対象とされている本件発明1及び3についても、ここで判断する。

ア 本件発明1について
(ア)甲第1号証記載の発明
甲第1号証の製造比較例2及び製造比較例4には、それぞれ、以下の発明(以下それぞれ「甲1-1発明」及び「甲1-2発明」という。)が記載されている。(なお、算出根拠は、異議申立書16頁下から9行?19頁4行参照。)

<製造比較例2>(甲1-1発明)
「StOSt型トリグリセリドを21.1質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で58.0質量%、及び
X3型トリグリセリドを16.7質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で95.8質量%含有する油脂組成物。」

<製造比較例4>(甲1-2発明)
「StOSt型トリグリセリドを19.8質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で56.5質量%、及び
X3型トリグリセリドを16.4質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で92.7質量%含有する油脂組成物。」

(イ)対比
本件発明1と甲1-1、1-2発明とを対比すると、本件発明1と甲1-1、1-2発明とは、少なくとも以下の点で相違する。

<相違点1>
X3型トリグリセリドの含有量が、本件発明1では、21.6?50質量%であるのに対して、甲1-1発明では、16.7質量%であり、甲1-2発明では、16.4質量%である点。

(ウ)当審の判断
上記相違点1は実質的な相違点であるから、本件発明1が甲1-1発明又は甲1-2発明であるとはいえない。
また、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲1-1発明又は甲1-2発明において、X3型トリグリセリドに着目して、その含有量を増やして21.6?50質量%とする動機付けはなく、本件発明1は、X3型トリグリセリドを適量含有させることで、油脂組成物の可塑性を増し、また、StOSt結晶を微細で安定的に分散させるために用いられるものであるから(【0013】)、甲1-1発明又は甲1-2発明をして、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることが、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。

イ 本件発明2について
(ア)対比
本件発明2と甲1-1、1-2発明とを対比すると、本件発明2と甲1-1、1-2発明とは、以下の点で相違する。

<相違点2>
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明2では、20?38.4又は63.9?72質量%であるのに対して、甲1-1発明では、58.0質量%であり、甲1-2発明では、56.5質量%である点。

(イ)当審の判断
上記相違点2は実質的な相違点であるから、本件発明2が甲1-1発明又は甲1-2発明であるとはいえない。
また、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲1-1発明又は甲1-2発明において、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドに着目して、その含有量の合計量を調整して20?38.4又は63.9?72質量%とする動機付けはなく、本件発明2は、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを含有させることで、StOStの結晶を微細で安定的に分散させるものであるから(【0012】)、甲1-1発明又は甲1-2発明をして、上記相違点2に係る本件発明2の構成とすることが、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。

ウ 本件発明3について
(ア)対比
本件発明3と甲1-1、1-2発明とを対比すると、本件発明3と甲1-1、1-2発明とは、以下の点で相違する。

<相違点3>
StOSt型トリグリセリドの含有量が、本件発明3では、4?17.8質量%であるのに対して、甲1-1発明では、21.1質量%であり、甲1-2発明では、19.8質量%である点。
<相違点4>
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明3では、59.7?80質量%であるのに対して、甲1-1発明では、58.0質量%であり、甲1-2発明では、56.5質量%である点。

(イ)当審の判断
上記相違点3について検討するに、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲1-1発明又は甲1-2発明において、StOSt型トリグリセリドに着目して、その含有量を減らして4?17.8質量%とする動機付けはなく、本件発明3は、StOSt型トリグリセリドが当該範囲にあることで、StOSt結晶が油脂組成物中に適度に分散し、チョコレートのシーディング剤として使用する場合、チョコレート生地中に均一に分散しやすいものであるから(【0011】)、甲1-1発明又は甲1-2発明をして、上記相違点3に係る本件発明3の構成とすることが、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。
次に、上記相違点4について検討するに、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲1-1発明又は甲1-2発明において、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドに着目して、その含有量の合計量を増やして59.7?80質量%とする動機付けはなく、本件発明3は、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを含有させることで、StOStの結晶を微細で安定的に分散させるものであるから(【0012】)、甲1-1発明又は甲1-2発明をして、上記相違点4に係る本件発明3の構成とすることが、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。
ここで、特許異議申立人は、甲第1号証に記載の発明と本件特許発明は技術分野がチョコレートである点で共通するから、「可塑性を有する柔らかさ、あるいはペースト状」(本件特許明細書【0010】)であることを実現するために、低温域において柔らかく、チョコレートを使用したときに噛みだしがソフトである甲1号証記載の発明の油脂組成物に基づき、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計を本件発明3の範囲とすることは容易になし得る旨主張する。(特許異議申立書20頁13?20行)
しかし、低温域において柔らかく、チョコレートを使用したときに噛みだしがソフトである甲1-1発明又は甲1-2発明において、可塑性を有する柔らかさ、あるいはペースト状であることを求める動機付けはなく、また、仮に可塑性を有する柔らかさ、あるいはペースト状であることを求めたとしても、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計を増やして、59.7?80質量%とすることで当該目的が達成できるとの技術常識等は存在しないから、特許異議申立人の主張は採用できない。

エ 本件発明4?10、15について
本件発明4?10、15は、本件発明1?3のいずれかの発明特定事項を全て含み、さらに限定を付した発明であるから、少なくとも、上記ア?ウと同じ理由で、本件発明4、7、15は、甲1-1発明又は甲1-2発明であるとはいえず、本件発明4、5、7?10、15は、甲1-1発明又は甲1-2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、甲第2及び3号証には、油脂組成物において、StOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドの含有量を調整することは示唆されていないから、本件発明6が、甲1-1発明又は甲1-2発明、甲第2号証記載の事項及び甲第3号証記載の事項に基いて当業者が発明をすることができたものであるとはいえない。

オ 本件発明11について
(ア)甲第1号証記載の発明
甲第1号証の比較製造例2及び比較製造例4には、それぞれ、甲1-1発明の製造方法、甲1-2発明の製造方法が記載されているといえる。(以下、それぞれ、「甲1-1製造方法発明」、「甲1-2製造方法発明」という。)

(イ)対比
本件発明11と甲1-1、1-2製造方法発明とを対比すると、本件発明11と甲1-1、1-2製造方法発明とは、少なくとも以下の点で相違する。

<相違点5>
X3型トリグリセリドの含有量が、本件発明11では、21.6?50質量%であるのに対して、甲1-1製造方法発明では、16.7質量%であり、甲1-2製造方法発明では、16.4質量%である点。

(ウ)当審の判断
上記相違点5について検討するに、甲第2及び3号証には、油脂組成物において、StOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドの含有量を調整することは示唆されていないから、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲1-1製造方法発明又は甲1-2製造方法発明において、X3型トリグリセリドに着目して、その含有量を増やして21.6?50質量%とする動機付けはなく、本件発明11は、X3型トリグリセリドを適量含有させることで、油脂組成物の可塑性を増し、また、StOSt結晶を微細で安定的に分散させるために用いられるものであるから(【0013】)、甲1-1製造方法発明又は甲1-2製造方法発明をして、上記相違点5に係る本件発明11の構成とすることが、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。

カ 本件発明12について
(ア)対比
本件発明12と甲1-1、1-2製造方法発明とを対比すると、本件発明12と甲1-1、1-2製造方法発明とは、少なくとも以下の点で相違する。

<相違点6>
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明12では、20?38.4又は63.9?72質量%であるのに対して、甲1-1製造方法発明では、58.0質量%であり、甲1-2製造方法発明では、56.5質量%である点。

(イ)当審の判断
上記相違点6について検討するに、甲第2及び3号証には、油脂組成物において、StOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドの含有量を調整することは示唆されていないから、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲1-1製造方法発明又は甲1-2製造方法発明において、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドに着目して、その含有量の合計量を調整して20?38.4又は63.9?72質量%とする動機付けはなく、本件発明12は、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを含有させることで、StOStの結晶を微細で安定的に分散させるものであるから(【0012】)、甲1-1製造方法発明又は甲1-2製造方法発明をして、上記相違点6に係る本件発明12の構成とすることが、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。

キ 本件発明13について
(ア)対比
本件発明13と甲1-1、1-2製造方法発明とを対比すると、本件発明13と甲1-1、1-2製造方法発明とは、少なくとも以下の点で相違する。

<相違点7>
StOSt型トリグリセリドの含有量が、本件発明13では、4?17.8質量%であるのに対して、甲1-1製造方法発明では、21.1質量%であり、甲1-2製造方法発明では、19.8質量%である点。
<相違点8>
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明12では、59.7?80質量%であるのに対して、甲1-1製造方法発明では、58.0質量%であり、甲1-2製造方法発明では、56.5質量%である点。

(イ)当審の判断
上記相違点7について検討するに、甲第2及び3号証には、油脂組成物において、StOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドの含有量を調整することは示唆されていないから、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲1-1製造方法発明又は甲1-2製造方法発明において、StOSt型トリグリセリドに着目して、その含有量を減らして4?17.8質量%とする動機付けはなく、本件発明13は、StOSt型トリグリセリドが当該範囲にあることで、StOSt結晶が油脂組成物中に適度に分散し、チョコレートのシーディング剤として使用する場合、チョコレート生地中に均一に分散しやすいものであるから(【0011】)、甲1-1製造方法発明又は甲1-2製造方法発明をして、上記相違点7に係る本件発明13の構成とすることが、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。
次に、上記相違点8について検討するに、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲1-1製造方法発明又は甲1-2製造方法発明において、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量に着目して、その合計量を増やして59.7?80質量%とする動機付けはなく、本件発明12は、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを含有させることで、StOStの結晶を微細で安定的に分散させるものであるから(【0012】)、甲1-1製造方法発明又は甲1-2製造方法発明をして、上記相違点8に係る本件発明13の構成とすることが、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。

ク 本件発明14について
本件発明14は、本件発明11?13のいずれかの発明特定事項を全て含み、さらに限定を付した発明であるから、少なくとも、上記オ?キと同じ理由で本件発明14は、甲1-1製造方法発明又は甲1-2製造方法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(2)甲第4号証を主引用例とした場合
ア 本件発明1について
(ア)甲第4号証記載の発明
甲第4号証の実施例1には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されている。(なお、算出根拠は、特許異議申立書22頁5行?23頁25行参照。)

<実施例1>(甲4発明)
「StOSt型トリグリセリドを13.2質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で40.1質量%、及び
X3型トリグリセリドを30.5質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で83.9質量%含有する油脂組成物。」

(イ)対比
本件発明1と甲4発明とを対比すると、本件発明1と甲4発明とは、以下の点で相違する。

<相違点9>
StOSt型トリグリセリドの含有量が、本件発明1では、17.6?40質量%であるのに対して、甲4発明では、13.2質量%である点。
<相違点10>
StOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明1では、90?100質量%であるのに対して、甲4発明では、83.9質量%である点。

(ウ)当審の判断
上記相違点9及び10は実質的な相違点であるから、本件発明1が甲4発明であるとはいえない。
また、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲4発明において、StOSt型トリグリセリドに着目して、その含有量を増やして17.6?40質量%とする動機付けはなく、本件発明1は、StOSt型トリグリセリドが当該範囲にあることで、StOSt結晶が油脂組成物中に適度に分散し、チョコレートのシーディング剤として使用する場合、チョコレート生地中に均一に分散しやすいものであるから(【0011】)、甲4発明をして、上記相違点9に係る本件発明1の構成とすることが、当業者が容易に発明をするこができたとする理由はない。

イ 本件発明2について
(ア)対比
本件発明2と甲4発明とを対比すると、本件発明2と甲4発明とは、以下の点で相違する。

<相違点11>
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明2では、20?38.4又は63.9?72質量%であるのに対して、甲4発明では、40.1質量%である点。
<相違点12>
StOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明2では、90?100質量%であるのに対して、甲4発明では、83.9質量%である点。

(イ)当審の判断
上記相違点11及び12は実質的な相違点であるから、本件発明2が甲4発明であるとはいえない。
また、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲4発明において、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドに着目して、その含有量の合計量を調整して20?38.4又は63.9?72質量%とする動機付けはなく、本件発明2は、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを含有させることで、StOStの結晶を微細で安定的に分散させるものであるから(【0012】)、甲4発明をして、上記相違点11に係る本件発明1の構成とすることが、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。

ウ 本件発明4、6、7、15について
本件発明4、6、7、15は、本件発明1?3のいずれかの発明特定事項を全て含み、さらに限定を付した発明であるから、少なくとも、上記ア、イと同じ理由で、本件発明4、7は、甲4発明であるとはいえず、また、本件発明4、7、15は、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、甲第2及び3号証には、油脂組成物において、StOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドの含有量を調整することは示唆されていないから、本件発明6が、甲4発明、甲第2号証記載の事項及び甲第3号証記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

エ 本件発明11について
(ア)甲第4号証記載の発明
甲第4号証の実施例1には、甲4発明の製造方法が記載されているといえる。(以下「甲4製造方法発明」という。)

(イ)対比
本件発明11と甲4製造方法発明とを対比すると、本件発明11と甲4製造方法発明とは、少なくとも以下の点で相違する。

<相違点13>
StOSt型トリグリセリドの含有量が、本件発明11では、17.6?40質量%であるのに対して、甲4製造方法発明では、13.2質量%である点。
<相違点14>
StOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明11では、90?100質量%であるのに対して、甲4製造方法発明では、83.9質量%である点。

(ウ)当審の判断
上記相違点13及び14は実質的な相違点であるから、本件発明11が甲4製造方法発明であるとはいえない。
また、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲4製造方法発明において、StOSt型トリグリセリドに着目して、その含有量を増やして17.6?40質量%とする動機付けはなく、本件発明11は、StOSt型トリグリセリドが当該範囲にあることで、StOSt結晶が油脂組成物中に適度に分散し、チョコレートのシーディング剤として使用する場合、チョコレート記事中に均一に分散しやすいものであるから(【0011】)、甲4製造方法発明をして、上記相違点13に係る本件発明11の構成とすることが、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。

オ 本件発明12について
(ア)対比
本件発明12と甲4製造方法発明とを対比すると、本件発明12と甲4製造方法発明とは、少なくとも以下の点で相違する。

<相違点15>
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明12では、20?38.4又は63.9?72質量%であるのに対して、甲4製造方法発明では、40.1質量%である点。
<相違点16>
StOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明12では、90?100質量%であるのに対して、甲4製造方法発明では、83.9質量%である点。

(イ)当審の判断
上記相違点15及び16は実質的な相違点であるから、本件発明12が甲4製造方法発明であるとはいえない。
また、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲4製造方法発明において、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドに着目して、その含有量の合計量を調整して20?38.4又は63.9?72質量%とする動機付けはなく、本件発明12は、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを含有させることで、StOStの結晶を微細で安定的に分散させるものであるから(【0012】)、甲4製造方法発明をして、上記相違点15に係る本件発明12の構成とすることが、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。

カ 本件発明14について
本件発明14は、本件発明11?13のいずれかの発明特定事項を全て含み、さらに限定を付した発明であるから、少なくとも、上記オ、カと同じ理由で本件発明14は、甲4製造方法発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3.取消理由に採用しなかった異議申立理由ついて
上記2.において検討されていない異議申立理由については以下のとおりである。

・請求項1、2、7及び15に係る発明は甲第1号証に記載された発明(下記の甲1-3発明)であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。また、請求項1?15に係る発明は甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

甲第1号証の請求項1には、以下の発明(以下「甲1-3発明」という。)が記載されている。(特許異議申立書19頁)

<甲1-3発明>
「StOSt型トリグリセリドを10?61.8質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で0?40質量%、及び
X3型トリグリセリドを10?70質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で20?100質量%含有する油脂組成物。」

そこで、本件発明1と甲1-3発明とを対比すると、
StOSt型トリグリセリドの含有量、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計、X3型トリグリセリドの含有量、並びにStOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明1では、それぞれ17.6?40質量%、20?59.7質量%、21.6?50質量%、及び90?100質量%であるのに対して、甲1-3発明では、10?61.8質量%、0?40質量%、10?70質量%、及び20?100質量%である点で相違する。

また、本件発明2と甲1-3発明とを対比すると、
StOSt型トリグリセリドの含有量、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計、X3型トリグリセリドの含有量、並びにStOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明2では、それぞれ8?26.0質量%、20?38.4又は63.9?72質量%、14.9?50質量%及び90?100質量%であるのに対して、甲1-3発明では、10?61.8質量%、0?40質量%、10?70質量%、及び20?100質量%である点で相違する。

さらに、本件発明3と甲1-3発明とを対比すると、
StOSt型トリグリセリドの含有量、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドの含有量の合計、X3型トリグリセリドの含有量、並びにStOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリド、HX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドの含有量の合計が、本件発明3では、それぞれ、4?17.8質量%、59.7?80質量%、8?50質量%、及び70?100質量%であるのに対して、甲1-3発明では、10?61.8質量%、0?40質量%、10?70質量%、及び20?100質量%である点で相違する。

そして、本件発明1?3は、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されているものであるから、上記相違点は、各トリグリセリドの含有量の範囲の一部が共通するとしても、本件発明1?3の範囲に含まれる各トリグリセリドの含有量の組合せが甲1-3発明に記載されているとはいえないから、その範囲は異なるものであって、実質的な相違点である。
また、本件発明7、15は、本件発明1?3の発明特定事項を全て含み、更に限定を付した発明であるから、同様に実質的な相違点を有する。
したがって、本件発明1、2、7、15が甲1-3発明であるとはいえない。
また、各トリグリセリドの割合が関連をもって特定されている甲1-3発明において、甲2、3号証記載の事項を参酌しても、StOSt型トリグリセリド、PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリド、及びX3型トリグリセリドのそれぞれに着目して、その含有量を調整する動機付けはないから、甲1-3発明をして、上記相違点に係る本件発明1?3の事項とすることが、当業者が容易に想到し得たとする理由はない。
また、本件発明4?10、15は、本件発明1?3の発明特定事項を全て含み、更に限定を付した発明であるから、同様に当業者が容易に想到し得たとする理由はない。
さらに、本件発明11?14と甲1-3発明の製造方法に係る発明とは、少なくとも上記本件発明1?3と甲1-3発明と同様の点で相違し、上記と同じ理由で、当業者が容易に想到し得たとする理由はない。


第5 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立の理由によっては、請求項1?15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
StOSt型トリグリセリドを17.6?40質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で20?59.7質量%、及び
X3型トリグリセリドを21.6?50質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で90?100質量%含有する油脂組成物。
(ただし、Stはステアリン酸、Oはオレイン酸、Pはパルミチン酸、Hは飽和脂肪酸、Xは不飽和脂肪酸を表す。)
【請求項2】
StOSt型トリグリセリドを8?26.0質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で20?38.4又は63.9?72質量%、及び
X3型トリグリセリドを14.9?50質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で90?100質量%含有する油脂組成物。
(ただし、Stはステアリン酸、Oはオレイン酸、Pはパルミチン酸、Hは飽和脂肪酸、Xは不飽和脂肪酸を表す。)
【請求項3】
StOSt型トリグリセリドを4?17.8質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で59.7?80質量%、及び
X3型トリグリセリドを8?50質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で70?100質量%含有する油脂組成物。
(ただし、Stはステアリン酸、Oはオレイン酸、Pはパルミチン酸、Hは飽和脂肪酸、Xは不飽和脂肪酸を表す。)
【請求項4】
HX2型トリグリセリド含量がPHX型トリグリセリド含量よりも多い請求項1?3の何れか1項に記載の油脂組成物。
【請求項5】
StOSt含量が30質量%以上である油脂と、パーム系油脂と25℃で液状である植物油脂とのエステル交換油とを含む請求項1?4の何れか1項に記載の油脂組成物。
【請求項6】
含気状である請求項1?5の何れか1項に記載の油脂組成物。
【請求項7】
油脂組成物中の油脂結晶が3鎖長β型の油脂結晶を含む請求項1?6の何れか1項に記載の油脂組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の油脂組成物を含むチョコレートのシーディング剤。
【請求項9】
ピロー包装またはBIB包装に充填された請求項8に記載のチョコレートのシーディング剤。
【請求項10】
請求項8?9の何れか1項に記載のシーディング剤を使用して製造されたチョコレート。
【請求項11】
StOSt型トリグリセリドを17.6?40質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で20?59.7質量%、及び
X3型トリグリセリドを21.6?50質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で90?100質量%含有する油脂組成物を、
融解状態から冷却結晶化し、12?30℃で調温する工程を含む油脂組成物の製造方法。
【請求項12】
StOSt型トリグリセリドを8?26.0質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で20?38.4又は63.9?72質量%、及び
X3型トリグリセリドを14.9?50質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で90?100質量%含有する油脂組成物を、
融解状態から冷却結晶化し、12?30℃で調温する工程を含む油脂組成物の製造方法。
【請求項13】
StOSt型トリグリセリドを4?17.8質量%、
PHX型トリグリセリドとHX2型トリグリセリドを合計で59.7?80質量%、及び
X3型トリグリセリドを8?50質量%含有し、
且つ、上記トリグリセリドを合計で70?100質量%含有する油脂組成物を、
融解状態から冷却結晶化し、12?30℃で調温する工程を含む油脂組成物の製造方法。
【請求項14】
前記冷却結晶化の際に窒素を吹き込んで、前記油脂組成物を含気状とする工程を含む請求項11?13の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1?7の何れか1項に記載の油脂組成物を、全油脂中に50質量%以上含有してなる油性食品。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-10-06 
出願番号 特願2012-536470(P2012-536470)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (A23D)
P 1 651・ 121- YAA (A23D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 長谷川 茜  
特許庁審判長 中村 則夫
特許庁審判官 佐々木 正章
山崎 勝司
登録日 2016-08-05 
登録番号 特許第5980682号(P5980682)
権利者 日清オイリオグループ株式会社
発明の名称 油脂組成物およびその製造方法  
代理人 横田 修孝  
代理人 小島 一真  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 柏 延之  
代理人 朝倉 悟  
代理人 浅野 真理  
代理人 浅野 真理  
代理人 永井 浩之  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 朝倉 悟  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 中村 行孝  
代理人 小島 一真  
代理人 柏 延之  
代理人 中村 行孝  
代理人 横田 修孝  
代理人 永井 浩之  
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