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審決分類 審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  F01D
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  F01D
審判 全部申し立て 2項進歩性  F01D
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F01D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F01D
審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  F01D
管理番号 1335111
異議申立番号 異議2016-701207  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-12-28 
確定日 2017-10-23 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5948436号発明「翼冷却回路」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5948436号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし7〕、〔8ないし14〕について訂正することを認める。 特許第5948436号の請求項1ないし14に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5948436号の請求項1ないし14に係る特許についての出願は、2012年12月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年12月29日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成28年6月10日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、平成28年12月28日に特許異議申立人滝沢純平(以下、単に「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審において平成29年3月30日付けで取消理由が通知(以下、単に「取消理由通知」という。)され、その指定期間内である平成29年6月29日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成29年6月29日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下の(1)ないし(8)のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、
「先端(92)、該先端から径方向内側のハブ(93)、前縁(86)及び後縁(99)を備える翼(80)に設けられた翼冷却回路(81)であって、
前記前縁(86)直近の空洞(85)により形成された衝突冷却回路(82)と、
前記衝突冷却回路(82)と流れ連通し前記後縁に向けて蛇行する蛇行冷却回路(83)と、
前記衝突冷却回路(82)内に設けられた、複数の衝突孔(100)を有し且つ前記先端(92)から前記ハブ(93)まで延びているインサート(84)と
を備え、
前記インサート(84)の後方には、該インサート(84)と前記衝突冷却回路(82)とにより形成された径方向チャネル(94)が設けられており、
前記インサート(84)は、前記先端(92)側に設けられた冷却用空気(90)の入り口と、前記ハブ(93)側に設けられたオリフィス(97)と、をさらに備え、前記入り口から導入された前記冷却用空気(90)の一部を前記オリフィス(97)から排出してロータのパージのための衝突前の冷却用空気の流れ(96)を形成し、該冷却用空気(90)の残部を前記複数の衝突孔(100)を介して前記インサート(84)から出す、翼冷却回路(81)。」(下線は、訂正箇所を示すために特許権者が付したものである。以下同様。)に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2ないし7も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を、
「前記インサート(84)の前記径方向チャネル(94)側の壁は、前記衝突孔(100)を有しておらず且つ径方向に垂直な断面で湾曲していない、請求項1に記載の翼冷却回路(81)。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3ないし6も同様に訂正する)。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を、
「前記蛇行冷却回路(83)に追加の冷却用空気を加えるためのリフレッシュ穴(91)が、前記先端(92)又は前記ハブ(93)に設けられている請求項1又は2に記載の翼冷却回路(81)。」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4ないし6も同様に訂正する)。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を、
「前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)につながる、前記後縁(99)に最も近い径方向に延びる空洞(87)を備えている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の翼冷却回路(81)。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項6も同様に訂正する)。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8を、
「ガスタービンエンジン(10)における使用のための、先端(92)、該先端から径方向内側のハブ(93)、前縁(86)及び後縁(99)を備える翼(80)であって、
前記前縁(86)直近の空洞(85)により形成された衝突冷却回路(82)と、
前記衝突冷却回路(82)と流れ連通し前記後縁に向けて蛇行する蛇行冷却回路(83)と、
前記衝突冷却回路(82)内に設けられた、複数の衝突孔(100)を有し且つ前記先端(92)から前記ハブ(93)まで延びているインサート(84)と
を備える冷却回路(81)を有し、
前記インサート(84)の後方には、該インサート(84)と前記衝突冷却回路(82)とにより形成された径方向チャネル(94)が設けられており、
前記インサート(84)は、前記先端(92)側に設けられた冷却用空気(90)の入り口と、前記ハブ(93)側に設けられたオリフィス(97)と、をさらに備え、前記入り口から導入された前記冷却用空気(90)の一部を前記オリフィス(97)から排出してロータのパージのための衝突前の冷却用空気の流れ(96)を形成し、該冷却用空気(90)の残部を前記複数の衝突孔(100)を介して前記インサート(84)から出す、翼(80)。」に訂正する(請求項8の記載を引用する請求項9ないし14も同様に訂正する)。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9を、
「前記インサート(84)の前記径方向チャネル(94)側の壁は、前記衝突孔(100)を有しておらず且つ径方向に垂直な断面で湾曲していない、請求項8に記載の翼(80)。」に訂正する(請求項9の記載を引用する請求項10ないし14も同様に訂正する)。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項11を、
「前記蛇行冷却回路(83)に追加の冷却用空気を加えるためのリフレッシュ穴(91)が、前記先端(92)又は前記ハブ(93)に設けられている請求項8乃至10のいずれか1項に記載の翼(80)。」に訂正する(請求項11の記載を引用する請求項12及び13も同様に訂正する)。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項12を、
「前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)につながる、前記後縁(99)に最も近い径方向に延びる空洞(87)を備えている請求項8乃至11のいずれか1項に記載の翼(80)。」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について
訂正事項1の、請求項1に係る訂正は、本件訂正前の「前縁(86)及び後縁(99)を備える翼(80)」という記載を、「先端(92)、該先端から径方向内側のハブ(93)、前縁(86)及び後縁(99)を備える翼(80)」と限定し、本件訂正前の「複数の衝突孔(100)を有するインサート(84)」という記載を、「複数の衝突孔(100)を有し且つ前記先端(92)から前記ハブ(93)まで延びているインサート(84)」と限定し、本件訂正前の「インサート(84)」について、「前記インサート(84)は、前記先端(92)側に設けられた冷却用空気(90)の入り口と、前記ハブ(93)側に設けられたオリフィス(97)と、をさらに備え、前記入り口から導入された前記冷却用空気(90)の一部を前記オリフィス(97)から排出してロータのパージのための衝突前の冷却用空気の流れ(96)を形成し、該冷却用空気(90)の残部を前記複数の衝突孔(100)を介して前記インサート(84)から出す」という発明特定事項を追加して限定したものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1の、請求項1に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2の、請求項2に係る訂正は、本件訂正前の「インサート(84)」について、「前記インサート(84)の前記径方向チャネル(94)側の壁は、前記衝突孔(100)を有しておらず且つ径方向に垂直な断面で湾曲していない」という発明特定事項を追加して限定したものである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項2の、請求項2に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3の、請求項3に係る訂正は、本件訂正前の「前記蛇行冷却回路(83)が、リフレッシュ穴(91)を備えている」という記載を、「前記蛇行冷却回路(83)に追加の冷却用空気を加えるためのリフレッシュ穴(91)が、前記先端(92)又は前記ハブ(93)に設けられている」と限定したものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項3の、請求項3に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項4について
訂正事項4の、請求項4に係る訂正は、本件訂正前の「前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)につながる集合空洞(87)を備えている」という記載を、「前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)につながる、前記後縁(99)に最も近い径方向に延びる空洞(87)を備えている」と限定するとともに記載を明確にしたものである。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項4の、請求項4に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)訂正事項5について
訂正事項5の、請求項8に係る訂正は、本件訂正前の「前縁(86)及び後縁(99)を備える翼(80)」という記載を、「先端(92)、該先端から径方向内側のハブ(93)、前縁(86)及び後縁(99)を備える翼(80)」と限定し、本件訂正前の「複数の衝突孔(100)を有するインサート(84)」という記載を、「複数の衝突孔(100)を有し且つ前記先端(92)から前記ハブ(93)まで延びているインサート(84)」と限定し、本件訂正前の「インサート(84)」について、「前記インサート(84)は、前記先端(92)側に設けられた冷却用空気(90)の入り口と、前記ハブ(93)側に設けられたオリフィス(97)と、をさらに備え、前記入り口から導入された前記冷却用空気(90)の一部を前記オリフィス(97)から排出してロータのパージのための衝突前の冷却用空気の流れ(96)を形成し、該冷却用空気(90)の残部を前記複数の衝突孔(100)を介して前記インサート(84)から出す」という発明特定事項を追加して限定したものである。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項5の、請求項8に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(6)訂正事項6について
訂正事項6の、請求項9に係る訂正は、本件訂正前の「インサート(84)」について、「前記インサート(84)の前記径方向チャネル(94)側の壁は、前記衝突孔(100)を有しておらず且つ径方向に垂直な断面で湾曲していない」という発明特定事項を追加して限定したものである。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項6の、請求項9に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(7)訂正事項7について
訂正事項7の、請求項11に係る訂正は、本件訂正前の「前記蛇行冷却回路(83)が、リフレッシュ穴(91)を備えている」という記載を、「前記蛇行冷却回路(83)に追加の冷却用空気を加えるためのリフレッシュ穴(91)が、前記先端(92)又は前記ハブ(93)に設けられている」と限定したものである。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項7の、請求項11に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(8)訂正事項8について
訂正事項8の、請求項12に係る訂正は、本件訂正前の「前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)につながる集合空洞(87)を備えている」という記載を、「前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)につながる、前記後縁(99)に最も近い径方向に延びる空洞(87)を備えている」と限定するとともに記載を明確にしたものである。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項8の、請求項12に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(9)一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし7は、請求項2ないし7が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
また、訂正前の請求項8ないし14は、請求項9ないし14が、訂正の請求の対象である請求項8の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
したがって、これら訂正は、それぞれ、一群の請求項ごとに請求されたものである。

3 小括
したがって、本件訂正請求による訂正事項1ないし3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、上記訂正請求による訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1ないし7〕について訂正を認める。
また、本件訂正請求による訂正事項5ないし7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、上記訂正請求による訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔8ないし14〕について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明1ないし14
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし14に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明14」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
先端(92)、該先端から径方向内側のハブ(93)、前縁(86)及び後縁(99)を備える翼(80)に設けられた翼冷却回路(81)であって、
前記前縁(86)直近の空洞(85)により形成された衝突冷却回路(82)と、
前記衝突冷却回路(82)と流れ連通し前記後縁に向けて蛇行する蛇行冷却回路(83)と、
前記衝突冷却回路(82)内に設けられた、複数の衝突孔(100)を有し且つ前記先端(92)から前記ハブ(93)まで延びているインサート(84)と
を備え、
前記インサート(84)の後方には、該インサート(84)と前記衝突冷却回路(82)とにより形成された径方向チャネル(94)が設けられており、
前記インサート(84)は、前記先端(92)側に設けられた冷却用空気(90)の入り口と、前記ハブ(93)側に設けられたオリフィス(97)と、をさらに備え、前記入り口から導入された前記冷却用空気(90)の一部を前記オリフィス(97)から排出してロータのパージのための衝突前の冷却用空気の流れ(96)を形成し、該冷却用空気(90)の残部を前記複数の衝突孔(100)を介して前記インサート(84)から出す、翼冷却回路(81)。
【請求項2】
前記インサート(84)の前記径方向チャネル(94)側の壁は、前記衝突孔(100)を有しておらず且つ径方向に垂直な断面で湾曲していない、請求項1に記載の翼冷却回路(81)。
【請求項3】
前記蛇行冷却回路(83)に追加の冷却用空気を加えるためのリフレッシュ穴(91)が、前記先端(92)又は前記ハブ(93)に設けられている請求項1又は2に記載の翼冷却回路(81)。
【請求項4】
前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)につながる、前記後縁(99)に最も近い径方向に延びる空洞(87)を備えている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の翼冷却回路(81)。
【請求項5】
前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)に直接つながる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の翼冷却回路(81)。
【請求項6】
前記蛇行冷却回路(83)が、流れの方向の少なくとも2回の180度の変化を含んでいる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の翼冷却回路(81)。
【請求項7】
前記蛇行冷却回路(83)が、曲がりくねった経路を形成する複数の空洞を備えている請求項1に記載の翼冷却回路(81)。
【請求項8】
ガスタービンエンジン(10)における使用のための、先端(92)、該先端から径方向内側のハブ(93)、前縁(86)及び後縁(99)を備える翼(80)であって、
前記前縁(86)直近の空洞(85)により形成された衝突冷却回路(82)と、
前記衝突冷却回路(82)と流れ連通し前記後縁に向けて蛇行する蛇行冷却回路(83)と、
前記衝突冷却回路(82)内に設けられた、複数の衝突孔(100)を有し且つ前記先端(92)から前記ハブ(93)まで延びているインサート(84)と
を備える冷却回路(81)を有し、
前記インサート(84)の後方には、該インサート(84)と前記衝突冷却回路(82)とにより形成された径方向チャネル(94)が設けられており、
前記インサート(84)は、前記先端(92)側に設けられた冷却用空気(90)の入り口と、前記ハブ(93)側に設けられたオリフィス(97)と、をさらに備え、前記入り口から導入された前記冷却用空気(90)の一部を前記オリフィス(97)から排出してロータのパージのための衝突前の冷却用空気の流れ(96)を形成し、該冷却用空気(90)の残部を前記複数の衝突孔(100)を介して前記インサート(84)から出す、翼(80)。
【請求項9】
前記インサート(84)の前記径方向チャネル(94)側の壁は、前記衝突孔(100)を有しておらず且つ径方向に垂直な断面で湾曲していない、請求項8に記載の翼(80)。
【請求項10】
前記蛇行冷却回路(83)が、流れの方向の3回の180度の変化を含んでいる請求項8又は9に記載の翼(80)。
【請求項11】
前記蛇行冷却回路(83)に追加の冷却用空気を加えるためのリフレッシュ穴(91)が、前記先端(92)又は前記ハブ(93)に設けられている請求項8乃至10のいずれか1項に記載の翼(80)。
【請求項12】
前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)につながる、前記後縁(99)に最も近い径方向に延びる空洞(87)を備えている請求項8乃至11のいずれか1項に記載の翼(80)。
【請求項13】
前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)に直接つながる請求項8乃至11のいずれか1項に記載の翼(80)。
【請求項14】
前記蛇行冷却回路(83)が、流れの方向の少なくとも2回の180度の変化を含んでいる請求項8又は9に記載の翼(80)。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし14に係る発明に対して平成29年3月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(1)特許法第36条第6項第2号について
請求項3、4、11及び12に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
したがって、請求項3、4、11及び12に係る特許は、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。

(2)特許法第29条第1項第3号について
請求項1、2、及び7ないし9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1、2及び7ないし9に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
したがって、本件特許の請求項1、2及び7ないし9に係る特許は同法第113条第2号により取り消されるべきものである。

(3)特許法第29条第2項について
請求項3ないし7に係る発明及び請求項10ないし14に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第1号証ないし甲第4号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3ないし7及び10ないし14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、請求項3ないし7及び10ないし14に係る特許は同法第113条第2号により取り消されるべきものである。

3 甲号証の記載
(1)甲第1号証
甲第1号証(特開2003-83001号公報)には、段落【0001】、【0028】、【0045】、【0049】、【0053】、【0068】、【0074】及び【0075】並びに図3ないし6の記載から、次の発明(以下、「甲1発明1」という。)が記載されている。
「先端、先端から径方向内側のハブ、前縁及び後縁を備える翼部34に設けられた冷却流路パスであって、
前縁直近の空洞により形成された衝突冷却流路42aと、
衝突冷却流路42aと流れ連通し後縁に向けて蛇行する蛇行冷却流路42b,42cと、
衝突冷却流路42a内に設けられた、複数の衝突孔68を有し且つ先端からハブまで延びているインサート64とを備え、
インサート64の後方には、インサート64と衝突冷却流路42aとにより形成された径方向チャネル70が設けられている冷却流路パス。」

また、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されている。
「ガスタービンにおける使用のための、先端、先端から径方向内側のハブ、前縁及び後縁を備える翼部34であって、
前縁直近の空洞により形成された衝突冷却流路42aと、
衝突冷却流路42aと流れ連通し後縁に向けて蛇行する蛇行冷却流路42b,42cと、
衝突冷却流路42a内に設けられた、複数の衝突孔68を有し且つ先端からハブまで延びているインサート64と
を備える冷却流路パスを有し、
インサート64の後方には、インサート64と衝突冷却流路42aとにより形成された径方向チャネル70が設けられている翼部34。」

また、甲第1号証には、次の技術(以下、「甲第1号証に記載された技術」という。)が記載されている。
「蛇行冷却流路42b,42cが曲がりくねった経路を形成する複数の空洞を備えている技術。」

(2)甲第2号証
甲第2号証(特開2003-322002号公報)には、段落【0001】、【0005】、【0018】及び【0022】並びに図2の記載から、次の技術(以下、「甲2技術1」という。)が記載されている。
「蛇行冷却流路36が、曲がりくねった経路を形成する複数の空洞40?42を備えている技術。」

また、甲第2号証には、次の技術(以下、「甲2技術2」という。)が記載されている。
「蛇行冷却回路36が蛇行冷却回路36に連通する流入口68を備える技術。」
(以下、「甲2技術1」と「甲2技術2」をまとめて、「甲第2号証に記載された技術」ということがある。)

(3)甲第3号証
甲第3号証(特開2007-263112号公報)には、段落【0001】及び【0002】並びに図1(特許異議申立書の参考図5を参照。)及び2の記載から、次の技術(以下、「甲3技術1」という)が記載されている。
「蛇行状冷却通路10が、曲がりくねった経路を形成する複数の空洞14,18を備えている技術。」

また、甲第3号証には、次の技術(以下、「甲3技術2」という。)が記載されている。
「蛇行状冷却通路10が、複数の後縁スロットにつながる空洞を備えている技術。」

また、甲第3号証には、次の技術(以下、「甲3技術3」という)が記載されている。
「蛇行冷却流路10が複数の後縁スロットに直接つながる技術。」
(以下、「甲3技術1」、「甲3技術2」及び「甲3技術3」をまとめて、「甲第3号証に記載された技術」ということがある。)

(4)甲第4号証
甲第4号証(特開2001-207802号公報)には、段落【0001】、【0026】及び【0027】並びに図2(特許異議申立書の参考図6を参照。)の記載から、次の技術(以下、「甲4技術1」という。)が記載されている。
「サーペンタイン流路16が、複数の後縁スロット14aに直接つながる技術。」

また、甲第4号証には、次の技術(以下、「甲4技術2」という。)が記載されている。
「サーペンタイン流路16が、曲がりくねった経路を形成する複数の空洞を備えている技術。」

また、甲第4号証には、次の技術(以下、「甲4技術3」という)が記載されている。
「サーペンタイン流路16が、流れの方向の3回の180度の変化を含んでいる技術。」
(以下、「甲4技術1」、「甲4技術2」及び「甲4技術3」をまとめて、「甲第4号証に記載された技術」ということがある。)

4 判断
(1)取消理由通知に記載した取消理由について
ア 特許法第36条第6項第2号について
(ア)本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3及び11に記載された「前記蛇行冷却回路(83)が、リフレッシュ穴(91)を備えている」という記載は、本件訂正請求により、「前記蛇行冷却回路(83)に追加の冷却用空気を加えるためのリフレッシュ穴(91)が、前記先端(92)又は前記ハブ(93)に設けられている」と訂正された。
これにより、「リフレッシュ穴(91)」の技術的意義および設置箇所が明確になり、特許請求の範囲の請求項3及び11の記載が明確になった。

(イ)本件訂正前の特許請求の範囲の請求項4及び12に記載された「前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)につながる集合空洞(87)」という記載は、本件訂正請求により、「前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)につながる、前記後縁(99)に最も近い径方向に延びる空洞(87)」と訂正された。
これにより、「集合空洞」という明確でない記載が、「前記後縁(99)に最も近い径方向に延びる空洞(87)」という明確な記載になり、特許請求の範囲の請求項4及び12の記載が明確になった。

上記(ア)及び(イ)により、請求項3、4、11及び12の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものとなった。

イ 特許法第29条第1項第3号について
(ア)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1発明1とを対比すると、甲1発明1における「先端」は、本件特許発明1における「先端(92)」に相当し、以下同様に、「ハブ」は「ハブ(93)」に、「前縁」は、「前縁(86)」に、「後縁」は「後縁(99)」に、「翼部34」は「翼(80)」に、「冷却流路パス」は「翼冷却回路(81)」に、「空洞」は「空洞(85)」に、「衝突冷却流路42a」は「衝突冷却回路(82)」に、「蛇行冷却流路42b,42c」は「蛇行冷却回路(83)」に、「複数の衝突孔68」は「複数の衝突孔(100)」に、「インサート64」は「インサート(84)」に、「径方向チャネル70」は「径方向チャネル(94)」に、それぞれ相当する。

そうすると、本件特許発明1と甲1発明1とは以下の点において一致する。
〔一致点〕
「先端、該先端から径方向内側のハブ、前縁及び後縁を備える翼に設けられた翼冷却回路であって、
前縁直近の空洞により形成された衝突冷却回路と、
衝突冷却回路と流れ連通し後縁に向けて蛇行する蛇行冷却回路と、
衝突冷却回路内に設けられた、複数の衝突孔を有し且つ先端からハブまで延びているするインサートと
を備え、
インサートの後方には、インサートと前記衝突冷却回路とにより形成された径方向チャネルが設けられている翼冷却回路。」

そして、以下の点で相違する。
〔相違点〕
本件特許発明1においては、「インサートは、先端側に設けられた冷却用空気の入り口と、ハブ側に設けられたオリフィスと、をさらに備え、入り口から導入された冷却用空気の一部をオリフィスから排出してロータのパージのための衝突前の冷却用空気の流れを形成し、冷却用空気の残部を複数の衝突孔を介してインサートから出す」のに対し、甲1発明1におけるインサートは、そのようなオリフィスを有していない点(以下、「相違点a」という)。

〔判断〕
相違点aについて検討する。
相違点aに係る本件特許発明1の発明特定事項は、甲第1号証には記載も示唆もされていない。
したがって、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明と同一ではない。
よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。

(イ)本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1を引用し、さらに限定するものであるから、少なくとも、相違点aにおいて甲1発明1と相違する。
したがって、本件特許発明2は、甲第1号証に記載された発明と同一ではない。
よって、請求項2に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。

(ウ)本件特許発明7について
本件特許発明7は、本件特許発明1を引用し、さらに限定するものであるから、少なくとも、相違点aにおいて甲1発明1と相違する。
したがって、本件特許発明7は、甲第1号証に記載された発明と同一ではない。
よって、請求項7に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。

(エ)本件特許発明8について
本件特許発明8と甲1発明2とを対比すると、甲1発明2における「ガスタービン」は、本件特許発明8における「ガスタービンエンジン(10)」に相当し、以下同様に「先端」は「先端(92)」に、「ハブ」は「ハブ(93)」に、「前縁」は「前縁(86)」に、「後縁」は「後縁(99)」に、「翼部34」は「翼(80)」に、「空洞」は「空洞(85)」に、「衝突冷却流路42a」は「衝突冷却回路(82)」に、「蛇行冷却流路42b,42c」は「蛇行冷却回路(83)」に、「複数の衝突孔68」は「複数の衝突孔(100)」に、「インサート64」は「インサート(84)」に、「冷却流路パス」は「冷却回路(81)」に、「径方向チャネル70」は「径方向チャネル(94)」に、それぞれ相当する。

そうすると、本件特許発明8と甲1発明2とは以下の点において一致する。
〔一致点〕
「ガスタービンエンジンにおける使用のための、先端、該先端から径方向内側のハブ、前縁及び後縁を備える翼であって、
前縁直近の空洞により形成された衝突冷却回路と、
衝突冷却回路と流れ連通し後縁に向けて蛇行する蛇行冷却回路と、
衝突冷却回路内に設けられた、複数の衝突孔を有し且つ先端からハブまで延びているするインサートと
を備える冷却回路を有し、
インサートの後方には、インサートと前記衝突冷却回路とにより形成された径方向チャネルが設けられている、翼。」

そして、以下の点で相違する。
〔相違点〕
本件特許発明8においては、「インサートは、先端側に設けられた冷却用空気の入り口と、ハブ側に設けられたオリフィスと、をさらに備え、入り口から導入された冷却用空気の一部をオリフィスから排出してロータのパージのための衝突前の冷却用空気の流れを形成し、冷却用空気の残部を複数の衝突孔を介してインサートから出す」のに対し、甲1発明2におけるインサートは、そのようなオリフィスを有していない点(以下、「相違点a’」という)。

〔判断〕
相違点a’について検討する。
相違点a’に係る本件特許発明8の発明特定事項は、甲第1号証には記載も示唆もされていない。
したがって、本件特許発明8は、甲第1号証に記載された発明と同一ではない。
よって、請求項8に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。

(オ)本件発明9について
本件特許発明9は、本件特許発明8を引用しさらに限定するものであるから、少なくとも、相違点a’において甲1発明2と相違する。
したがって、本件特許発明9は、甲第1号証に記載された発明と同一ではない。
よって、請求項9に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。

(カ)まとめ
以上のように、請求項1、2及び7ないし9に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではない。

ウ 特許法第29条第2項について
(ア)本件特許発明3ないし7について
本件特許発明3ないし7は、本件特許発明1を引用しさらに限定するものであるから、少なくとも、相違点aにおいて甲1発明1と相違する。
そして、相違点aに係る本件特許発明3ないし7の発明特定事項は、甲第1号証ないし甲第4号証には、記載も示唆もされていない。
したがって、本件特許発明3ないし7は、甲第1号証に記載された発明及び甲第1号証ないし甲第4号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、請求項3ないし7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(イ)本件特許発明10ないし14について
本件特許発明10ないし14は、本件特許発明8を引用しさらに限定するものであるから、少なくとも、相違点a’において甲1発明2と相違する。
そして、相違点a’に係る本件特許発明10ないし14の発明特定事項は、甲第1号証ないし甲第4号証には、記載も示唆もされていない。
したがって、本件特許発明10ないし14は、甲第1号証に記載された発明及び甲第1号証ないし甲第4号証に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、請求項10ないし14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

(ウ)まとめ
以上のように、請求項3ないし7及び10ないし14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、請求項1ないし14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端(92)、該先端から径方向内側のハブ(93)、前縁(86)及び後縁(99)を備える翼(80)に設けられた翼冷却回路(81)であって、
前記前縁(86)直近の空洞(85)により形成された衝突冷却回路(82)と、
前記衝突冷却回路(82)と流れ連通し前記後縁に向けて蛇行する蛇行冷却回路(83)と、
前記衝突冷却回路(82)内に設けられた、複数の衝突孔(100)を有し且つ前記先端(92)から前記ハブ(93)まで延びているインサート(84)と
を備え、
前記インサート(84)の後方には、該インサート(84)と前記衝突冷却回路(82)とにより形成された径方向チャネル(94)が設けられており、
前記インサート(84)は、前記先端(92)側に設けられた冷却用空気(90)の入り口と、前記ハブ(93)側に設けられたオリフィス(97)と、をさらに備え、前記入り口から導入された前記冷却用空気(90)の一部を前記オリフィス(97)から排出してロータのパージのための衝突前の冷却用空気の流れ(96)を形成し、該冷却用空気(90)の残部を前記複数の衝突孔(100)を介して前記インサート(84)から出す、翼冷却回路(81)。
【請求項2】
前記インサート(84)の前記径方向チャネル(94)側の壁は、前記衝突孔(100)を有しておらず且つ径方向に垂直な断面で湾曲していない、請求項1に記載の翼冷却回路(81)。
【請求項3】
前記蛇行冷却回路(83)に追加の冷却用空気を加えるためのリフレッシュ穴(91)が、前記先端(92)又は前記ハブ(93)に設けられている請求項1又は2に記載の翼冷却回路(81)。
【請求項4】
前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)につながる、前記後縁(99)に最も近い径方向に延びる空洞(87)を備えている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の翼冷却回路(81)。
【請求項5】
前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)に直接つながる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の翼冷却回路(81)。
【請求項6】
前記蛇行冷却回路(83)が、流れの方向の少なくとも2回の180度の変化を含んでいる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の翼冷却回路(81)。
【請求項7】
前記蛇行冷却回路(83)が、曲がりくねった経路を形成する複数の空洞を備えている請求項1に記載の翼冷却回路(81)。
【請求項8】
ガスタービンエンジン(10)における使用のための、先端(92)、該先端から径方向内側のハブ(93)、前縁(86)及び後縁(99)を備える翼(80)であって、
前記前縁(86)直近の空洞(85)により形成された衝突冷却回路(82)と、
前記衝突冷却回路(82)と流れ連通し前記後縁に向けて蛇行する蛇行冷却回路(83)と、
前記衝突冷却回路(82)内に設けられた、複数の衝突孔(100)を有し且つ前記先端(92)から前記ハブ(93)まで延びているインサート(84)と
を備える冷却回路(81)を有し、
前記インサート(84)の後方には、該インサート(84)と前記衝突冷却回路(82)とにより形成された径方向チャネル(94)が設けられており、
前記インサート(84)は、前記先端(92)側に設けられた冷却用空気(90)の入り口と、前記ハブ(93)側に設けられたオリフィス(97)と、をさらに備え、前記入り口から導入された前記冷却用空気(90)の一部を前記オリフィス(97)から排出してロータのパージのための衝突前の冷却用空気の流れ(96)を形成し、該冷却用空気(90)の残部を前記複数の衝突孔(100)を介して前記インサート(84)から出す、翼(80)。
【請求項9】
前記インサート(84)の前記径方向チャネル(94)側の壁は、前記衝突孔(100)を有しておらず且つ径方向に垂直な断面で湾曲していない、請求項8に記載の翼(80)。
【請求項10】
前記蛇行冷却回路(83)が、流れの方向の3回の180度の変化を含んでいる請求項8又は9に記載の翼(80)。
【請求項11】
前記蛇行冷却回路(83)に追加の冷却用空気を加えるためのリフレッシュ穴(91)が、前記先端(92)又は前記ハブ(93)に設けられている請求項8乃至10のいずれか1項に記載の翼(80)。
【請求項12】
前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)につながる、前記後縁(99)に最も近い径方向に延びる空洞(87)を備えている請求項8乃至11のいずれか1項に記載の翼(80)。
【請求項13】
前記蛇行冷却回路(83)が、複数の後縁スロット(98)に直接つながる請求項8乃至11のいずれか1項に記載の翼(80)。
【請求項14】
前記蛇行冷却回路(83)が、流れの方向の少なくとも2回の180度の変化を含んでいる請求項8又は9に記載の翼(80)。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-10-12 
出願番号 特願2014-550414(P2014-550414)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (F01D)
P 1 651・ 841- YAA (F01D)
P 1 651・ 853- YAA (F01D)
P 1 651・ 121- YAA (F01D)
P 1 651・ 851- YAA (F01D)
P 1 651・ 113- YAA (F01D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 瀬戸 康平  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 金澤 俊郎
松下 聡
登録日 2016-06-10 
登録番号 特許第5948436号(P5948436)
権利者 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
発明の名称 翼冷却回路  
代理人 田中 拓人  
代理人 黒川 俊久  
代理人 田中 拓人  
代理人 小倉 博  
代理人 荒川 聡志  
代理人 小倉 博  
代理人 黒川 俊久  
代理人 平山 晃二  
代理人 荒川 聡志  

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