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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C08L
管理番号 1335132
異議申立番号 異議2017-700223  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-03-06 
確定日 2017-10-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5987226号発明「エラストマー組成物のためにシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5987226号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-10]について訂正することを認める。 特許第5987226号の請求項1ないし4、7ないし10に係る特許を維持する。 特許第5987226号の請求項5及び6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由
第1 主な手続の経緯等

特許第5987226号(設定登録時の請求項の数は10。以下、「本件特許」という。)は、2011年8月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、2010年10月13日、米国、2011年7月15日、米国)を国際出願日とする、特願2013-533853号の特許出願に係るものであって、平成28年8月19日に設定登録された。
特許異議申立人 澤山政子(以下、単に「異議申立人」という。)は、平成29年3月6日(受理日:同年同月同日)に、本件特許の請求項1ないし10に係る発明についての特許に対して特許異議の申立てをした。
当合議体において、平成29年4月28日付けで取消理由を通知したところ、特許権者は、同年8月7日(受理日:同年同月8日)に訂正請求書(当該訂正請求書による訂正を以下、「本件訂正」という。)及び意見書を提出したので、異議申立人に対して特許法第120条の5第5項に基づく通知をしたところ、同年9月15日付け(受理日:同年同月同日)で異議申立人より意見書が提出されたものである。


第2 訂正の適否についての判断

1 訂正の内容
本件訂正による訂正の内容は以下の(1)ないし(9)のとおりである。 なお、下線部は訂正個所である。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「(ii)少なくとも1種のフィラーと」とあるのを、
「(ii)少なくとも1種のフィラーであってシリカを含むフィラーと」
に訂正する。
請求項1を直接又は間接的に引用している請求項2ないし4、7ないし10についても同様の訂正をする。

(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「(iii)少なくとも1種のシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)であって」
とあるのを、
「(iii)予備反応において形成された、少なくとも1種のシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)であって」
に訂正する。
請求項1を直接又は間接的に引用している請求項2ないし4、7ないし10についても同様の訂正をする。

(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に
「エラストマー組成物」
とあるのを、
「エラストマー組成物であって、
100phrの前記少なくとも1種のエラストマーと、
50?90phrのシリカと、
5?50phrの予備反応において形成された前記Si-HPMとを含む
エラストマー組成物」
に訂正する。
請求項1を直接又は間接的に引用している請求項2ないし4、7ないし10についても同様の訂正をする。

(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7に
「請求項1から6のいずれかに」
とあるのを、
「請求項1から4のいずれかに」
に訂正する。

(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8に
「請求項1から7のいずれかに」
とあるのを、
「請求項1から4および7のいずれかに」
に訂正する。

(8) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9に
「請求項1から8のいずれかに」
とあるのを、
「請求項1から4、7および8のいずれかに」
に訂正する。

(9) 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10に
「請求項1から9のいずれかに」
とあるのを、
「請求項1から4および7から9のいずれかに」
に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1において、「(ii)少なくとも1種のフィラーと」とあるのを、訂正後では、「(ii)少なくとも1種のフィラーであってシリカを含むフィラーと」とすることで、フィラーがシリカを含むことを特定して減縮するものである。
したがって、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そして、当該訂正事項1は、訂正前の請求項5等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2) 訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1において、「(iii)少なくとも1種のシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)」とあるのを、訂正後では、当該シラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)を、「予備反応において形成された」ものに減縮するものである。
したがって、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そして、当該訂正事項2は、訂正前の段落【0012】、【0025】、【0063】等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3) 訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項1において、「エラストマー組成物」とあるのを、訂正後では、「エラストマー組成物であって、100phrの前記少なくとも1種のエラストマーと、50?90phrのシリカと、5?50phrの予備反応において形成された前記Si-HPMとを含むエラストマー組成物」とすることで、請求項1において特定されるエラストマー、シリカ及び予備反応において形成されたSi-HPMのそれぞれの物質の配合割合を特定の範囲に限定するものである。
したがって、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そして、当該訂正事項1は、訂正前の段落【0012】、【0013】等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4) 訂正事項4及び5について
訂正事項4及び5は、訂正前の請求項5及び6を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、訂正事項4及び5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5) 訂正事項6ないし9について
訂正事項6ないし9は、訂正前の特許請求の範囲の請求項7ないし10が、訂正前の特許請求の範囲の請求項5及び6を引用する記載であったのを、請求項5及び6を削除したことに伴い、請求項5及び6を引用しないものとするためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また、訂正事項6ないし9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(6) そして、これら訂正は一群の請求項ごとに適法に請求されたものである。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正することを認める。


第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正は認容されるので、本件特許の請求項1ないし10に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明10」という。)は、平成29年8月7日(受理日:同年同月8日)に提出された訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
(i)少なくとも1種のエラストマーと、(ii)少なくとも1種のフィラーであって、シリカを含むフィラーと、(iii)予備反応において形成された、少なくとも1種のシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)であって、上記Si-HPMは、ピペリレン、環状ペンタジエン、芳香族化合物、リモネン、ピネン、およびアミレンから選択される少なくとも1種のモノマーを含むインターポリマーを含み、さらにシラン構造を含む少なくとも1種の官能基を含み、上記インターポリマーは、官能化前に、2500?25000g/モルの重量平均分子量および900?3000g/モルの数平均分子量を有する、上記Si-HPMと、を含むエラストマー組成物であって、
100phrの前記少なくとも1種のエラストマーと、
50?90phrのシリカと、
5?50phrの予備反応において形成された前記Si-HPMとを含む
エラストマー組成物。
【請求項2】
1種または複数の官能基が、オレフィン性不飽和をさらに含み、インターポリマーが、インターポリマー中の水素の全モル数に対して、少なくとも1モルパーセントのオレフィン性水素を含む、請求項1に記載のエラストマー組成物。
【請求項3】
Si-HPMが、インターポリマーと、式:
X_(3)Si-R-F-[R-Si-X_(3)]p
(式中、各Xは、独立に、ケイ素官能基であり、各Rは、独立に、1?20個の炭素原子の2価の置換もしくは無置換の炭化水素基であり、Fは、1価または多価の有機官能基であり、Fが1価である場合、pは0であり、Fが多価である場合、pは少なくとも1である)の2官能性有機シラン架橋剤との反応生成物を含む、請求項1または2に記載のエラストマー組成物。
【請求項4】
Xが、ヒドロキシまたはR_(1)-O-(式中、R_(1)は、20個までの炭素原子のアルキル、アルコキシアルキル、アリール、アラルキルもしくはシクロアルキル基である)であり、Rが、アルキレンであり、pが0または1であり、pが0である場合、Fが、アミノ、アミド、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、メルカプト、ヒドロシリル、カルボキシ、アシル、ビニル、アリル、スチリル、ウレイド、エポキシ、イソシアナト、グリシドキシ、およびアクリロキシ基から選択され、pが1である場合、Fが2?20個の硫黄原子の2価のポリスルフィドである、請求項3に記載のエラストマー組成物。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
インターポリマーが、1種または複数の官能基の少なくとも1種により、少なくとも1種のエラストマーに連結される、請求項1から4のいずれかに記載のエラストマー組成物。
【請求項8】
インターポリマーが、1種または複数の官能基の少なくとも1種により、少なくとも1種のフィラーに連結される、請求項1から4および7のいずれかに記載のエラストマー組成物。
【請求項9】
インターポリマーが、少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種のフィラーの組合せに連結される、請求項1から4、7および8のいずれかに記載のエラストマー組成物。
【請求項10】
少なくとも1種のエラストマーが、少なくとも1種のフィラーに連結される、請求項1から4および7から9のいずれかに記載のエラストマー組成物。」


第4 取消理由の概要
平成29年4月28日付けで通知した取消理由は、本件特許の請求項1ないし10に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである(以下、「取消理由1」という。)、本件特許の請求項1ないし5、7ないし10に係る発明は、本件特許の優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものであり(以下、「取消理由2」という。)、本件特許の請求項1ないし10に係る発明は、本件特許の優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物1又は2に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである(以下、「取消理由3」という。)、というものである。
刊行物1:特開2008-184505号公報(異議申立人の証拠方法である甲第1号証。以下、「甲1文献」という。)
刊行物2:特表2009-504810号公報(異議申立人の証拠方法である甲第2号証。以下、「甲2文献」という。)


第5 取消理由に対する当合議体の判断

当合議体は、以下述べるように、本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではないから、その発明に係る特許は、取り消すべきものではないと判断する。
また、当合議体は、以下述べるように、本件特許の本件訂正発明1ないし4、7ないし10は取消理由通知書で通知した刊行物に記載された発明でないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものでなく、また、取消理由で通知した刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないから、その発明に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、取り消すべきものではないと判断する。

1 取消理由1(サポート要件違反)について
特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
そこで、本件訂正発明1ないし4、7ないし10に関して、特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かを検討する。

本件訂正発明1ないし4、7ないし10は、「(i)少なくとも1種のエラストマーと、(ii)少なくとも1種のフィラーであって、シリカを含むフィラーと、(iii)予備反応において形成された、少なくとも1種のシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)であって、上記Si-HPMは、ピペリレン、環状ペンタジエン、芳香族化合物、リモネン、ピネン、およびアミレンから選択される少なくとも1種のモノマーを含むインターポリマーを含み、さらにシラン構造を含む少なくとも1種の官能基を含み、上記インターポリマーは、官能化前に、2500?25000g/モルの重量平均分子量および900?3000g/モルの数平均分子量を有する、上記Si-HPMと、を含むエラストマー組成物であって、
100phrの前記少なくとも1種のエラストマーと、
50?90phrのシリカと、
5?50phrの予備反応において形成された前記Si-HPMとを含む
エラストマー組成物。
」という発明特定事項を有するものである。

本件特許発明1ないし4、7ないし10が解決しようとする課題(以下、「発明の課題」という。)は、本件特許明細書等の「残念ながら、高濃度の低分子量添加剤一般、および特に非混和性樹脂は、経時的に、トレッドまたは他のタイヤ構成要素の表面に移動する傾向があり、このために、ゴムコンパウンド特性および/またはタイヤの性能が劇的に変わり得る。・・・このように、ゴムコンパウンディング添加剤一般の耐久性を向上させること・・・が求められている。」(段落【0005】)という記載からみて、「高濃度の低分子量添加剤一般、および特に非混和性樹脂等のゴムコンパウンディング添加剤一般の耐久性を向上させること」というものを少なくとも含むものである。

そして、本件特許明細書等の発明の詳細な説明には、「本発明は、一実施形態において、炭化水素ポリマー改質剤(「HPM」)を含むエラストマー組成物を提供する。一実施形態において、HPMは、少なくとも1種の官能基により官能化されており、別の実施形態において、この少なくとも1種の官能基は、シラン構造を含んでいて、少なくとも1種のシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(「Si-HPM」)を与える。Si-HPMは、官能基により、官能基の特質に応じて、エラストマー組成物中の他の成分、例えば、フィラーおよび/またはポリマーに固定される、または固定でき、例えばタイヤまたはタイヤ構成要素における、長期のエラストマーの性能を著しく向上させる。」(段落【0006】)、「得られるSi-HPMは、ペンダントシラン構造を有し、この構造は、フィラーと反応してSI-HPM樹脂をフィラーに連結することができ・・・」(段落【0072】)、「この硬化系は、フィラーに連結することによって、また、Si-HPMに余分の反応性オレフィン性不飽和が存在する場合にエラストマーと共硬化することによって、さらに、フィラーに連結したSi-HPMにより、エラストマー組成物の混合の間の剪断を増大させて系の粘度を増大させることによって、Si-HPMを安定化する。・・・」(段落【0075】)との記載がある。

そうすると、これらの記載から、添加剤である炭化水素ポリマー改質剤(「HPM」)を、シラン官能基で官能化されたシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(「Si-HPM」)とすることで、エラストマー組成物中の他の成分であるシリカ等のフィラーやエラストマーと反応して連結・固定化することにより、添加剤である炭化水素ポリマー改質剤(「HPM」)を、トレッドまたは他のタイヤ構成要素の表面に移動することを防止し、例えばタイヤまたはタイヤ構成要素における、長期のエラストマーの性能を著しく向上させ、添加剤としての耐久性を向上させる発明の課題を解決できることを、当業者は認識できるものといえる。
なお、平成29年8月7日付けで特許権者が提出した意見書において記載される実験例も、シラン官能化されていない炭化水素ポリマー改質剤を用いた比較例1よりも、シラン官能化された炭化水素ポリマー改質剤を用いた実施例の方が、抽出性がより優れている点からも理解できるものである。

他方、本件訂正発明1ないし4、7ないし10は、「エラストマー」、「シリカを含むフィラー」を含み、かつ、「予備反応において形成された、少なくとも1種のシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)」をエラストマー組成物中に含むものであるから、本件訂正発明1ないし4、7ないし10は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。

したがって、本件訂正発明1ないし4、7ないし10に関して、特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合していないとはいえない。

以上のとおりであるから、請求項1ないし4、7ないし10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえず、同法第113条第4号に該当するものではない。

なお、異議申立人は平成29年9月15日付け意見書において、
・本件特許明細書は多数の実施形態のみの羅列があるのみで、具体的な実施例はなく、本件特許発明の課題が解決できると認識できる技術的な根拠はないから、特許権者による平成29年8月7日付け提出の意見書に記載の後出しの実験例を参酌する余地はないこと(主張1)、
・仮に意見書の実験例を参酌するとしても、炭化水素改質剤として環状ペンタジエンのインターポリマーを用いた例のみであるから、それ以外の他のインターポリマーの範囲まで拡張乃至一般化できないこと(主張2)、
・「予備反応において形成された」との訂正は、段落【0025】の記載からみて、インターポリマーと2官能性有機シラン架橋剤を予備反応させた場合に限られ、予備反応について特定のない本件特許発明1の範囲は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えていること(主張3)、
を主張している。
しかしながら、上記主張1について、具体的な実施例はないが、実施の態様はあり、上記で検討したとおり、添加剤である炭化水素ポリマー改質剤(「HPM」)を、シラン官能基で官能化されたシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(「Si-HPM」)とすることで、エラストマー組成物中の他の成分であるシリカ等のフィラーやエラストマーと反応して連結・固定化することにより、課題が解決できることを当業者が認識できるものである。特に、段落【0012】には、シリカとSi-HPM中に存在するシラン官能基とが結合する作用機序・効果の記載がされ、各成分の配合量についての記載もあるから、訂正後の本件特許発明1が、発明の詳細な説明に記載されていないとまでいうことはできない。そして、実験例についても、段落【0012】等の特許明細書に記載の範囲であれば、参酌することも可能であり、異議申立人の主張1は採用できない。
次に、主張2について、特許権者が意見書に記載した実験例は環状ペンタジエンの例があるが、シリカと、Si-HPMのシラン構造を含む官能基との関係からみれば、他のインターポリマーを用いた炭化水素ポリマー改質剤において、環状ペンタジエンの場合の作用機序・効果が全く発揮されないとする具体的な理由はないから、この主張2についても採用できない。
さらに、主張3について、インターポリマーに予備反応させる架橋剤として、一実施態様、具体例として例示されているものは、2官能性シラン架橋剤ではあるが(段落【0012】、【0063】)、「炭化水素ポリマー改質剤は、・・・1種又は複数の官能基により官能化されている、・・・官能化炭化水素ポリマー改質剤である。」(第5頁19?22行目)との記載があり、2官能性に限らないものといえ、シリカに反応するシラン構造を有する官能基を有しているSi-HPMであれば良いと解されるから、上記主張は採用できない。
そうであるから、異議申立人の提出した意見書の内容は、上記の取消理由1に係る判断を左右するものではない。


2 取消理由2(新規性違反)及び取消理由3(進歩性違反)について
(1) 甲1文献の記載及び甲1発明
甲1文献の特許請求の範囲、段落【0005】、【0018】?【0023】、【0027】、【0028】の記載からみて、甲1文献には、「ジエン系ゴム成分、充填剤及び軟化剤を含有するゴム組成物であって、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカ50?300質量部と、シリカと一般式(I)で表される(注:式は省略)無機剤の合計量が200?350質量部で、かつ、シリカと無機剤とカーボンブラックの合計量(総充填剤量)が200?350質量部となるように前記各充填剤を含有し、総充填剤量200?350質量部に対して70質量%以上の量となる軟化剤を含有すると共に、軟化点が145℃以下となる樹脂の少なくとも1種以上を5?60質量部含有し、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド等であるシランカップリング剤を含むタイヤ用ゴム組成物を、混練りし、加硫した組成物。」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

(2) 甲2文献の記載及び甲2発明
甲2文献の特許請求の範囲の請求項1?3、7、9、27、28、段落【0002】、【0010】?【0013】、【0018】の記載からみて、甲2文献には、「少なくともジエンエラストマー、20?200phrのシリカを含む補強用充填剤、可塑系および架橋系をベースとし、例えば、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)またはビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド類のような、ビス((C_(1)?C_(4))アルコキシル-(C_(1)?C_(4))アルキル-シリル-(C_(1)?C_(4))アルキル)ポリスルフィド類(とりわけ、ジスルフィド類、トリスルフィド類、テトラスルフィド類)等の二官能性のカップリングを含み、前記可塑系が、下記を含むゴム組成物を、1回以上、110℃?190℃の最高温度に達するまで熱機械的に混練することにより混入する工程、上記架橋系を混入する工程、及び、全体を110℃未満の最高温度に達するまで混練する工程を経た組成物。
・5?35phrのMESまたはTDAEオイル;
・5?35phrの、数平均分子量が、400?2000g/モルであり、多分子性指数が3未満である、ピネン、リモネン等のテルペン/ビニル芳香族コポリマー樹脂。」の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。

(3) 本件訂正発明1と甲1発明との対比
ア 本件訂正発明1と甲1発明とは、以下の相違点1?3で相違ないし一応相違し、当該相違点以外の点では一致するものであると認められる。

(相違点1)
本件訂正発明1では、エラストマー組成物が、「予備反応において形成された、少なくとも1種のシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)であって、上記Si-HPMは、インターポリマーを含み、さらにシラン構造を含む少なくとも1種の官能基を含」み、かつ、「5?50phrの予備反応において形成されたSi-HPMとを含む」と特定されているのに対し、甲1発明では、「軟化点が145℃以下となる樹脂」と「シランカップリング剤」とを混練りするものの、前記のような特定はない点。

(相違点2)
本件訂正発明1では、インターポリマーが、官能化前に、2500?25000g/モルの重量平均分子量および900?3000g/モルの数平均分子量を有すると特定されているところ、甲1発明では、そのような特定がなされていない点。

(相違点3)
本件訂正発明1では、インターポリマーが、ピペリレン、環状ペンタジエン、芳香族化合物、リモネン、ピネン、およびアミレンから選択される少なくとも1種のモノマーを含むと特定しているのに対し、甲1発明では、そのような特定がなされていない点。

イ 以下、相違点1について検討する。
甲1発明は、要するに、ジエン系ゴム成分、シリカ、軟化点が145℃以下となる樹脂、シランカップリング剤の各成分を同時に混練りし、加硫するものであり、それにより、本件訂正発明1におけるシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)に相当する物質が生成する可能性はあるものの、シラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)を予備反応において形成して組成物中に配合する点については、甲1文献には何ら記載されておらず、またその点を示唆する記載もない。
また、甲1文献には、予備反応において形成されたSi-HPMが、5?50phrであることについても、何ら記載されておらず、またその点を示唆する記載もないものである。
そうすると、甲1文献の記載を考慮しても、甲1発明から、上記相違点1に係る構成に想到することは、たとえ当業者であっても容易になし得ることであるとはいえない。

なお、平成29年9月15日付けで異議申立人が提出した意見書も検討したが、相違点1で検討したとおり、予備反応において形成されるSi-HPMを5?50phrで含むことが記載されているとはいえず、その効果においても本件特許発明1と同様の効果を有しているとはいえないから、異議申立人の意見書の主張により、上記判断は左右されない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、相違点2及び相違点3について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲1文献に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

(4) 本件訂正発明1と甲2発明との対比
ア 本件訂正発明1と甲2発明とは、以下の相違点1’及び2’で相違ないし一応相違し、当該相違点以外の点では一致するものであると認められる。

(相違点1’)
本件訂正発明1では、エラストマー組成物が、「予備反応において形成された、少なくとも1種のシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)であって、上記Si-HPMは、インターポリマーを含み、さらにシラン構造を含む少なくとも1種の官能基を含」み、かつ、「5?50phrの予備反応において形成されたSi-HPMとを含む」と特定されているのに対し、甲2発明では、「ピネン、リモネン等のテルペン/ビニル芳香族コポリマー樹脂」と「二官能性のカップリング」を混練したものであって、前記のような特定がない点。

(相違点2’)
本件訂正発明1では、インターポリマーが、官能化前に、2500?25000g/モルの重量平均分子量および900?3000g/モルの数平均分子量を有すると特定されているところ、甲2発明では、そのような特定がなされていない点。

イ 以下、相違点1’について検討する。
甲2発明は、要するに、ジエンエラストマー、シリカを含む補強用充填剤、テルペン/芳香族コポリマー樹脂、二官能性のカップリングの各成分を同時に混練りし、加硫するものであり、それにより、本件訂正発明1におけるシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)に相当する物質が生成する可能性はあるものの、シラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)を予備反応において形成して組成物中に配合する点については、甲2文献には何ら記載されておらず、またその点を示唆する記載もない。
また、甲2文献には、予備反応において形成されたSi-HPMが、5?50phrであることについても、何ら記載されておらず、またその点を示唆する記載もないものである。
そうすると、甲2文献の記載を考慮しても、甲2発明から、上記相違点1’に係る構成に想到することは、たとえ当業者であっても容易になし得ることであるとはいえない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、相違点2’について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲2文献に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものでなく、また、甲2発明及び甲2文献に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。


(5) 本件訂正発明2ないし4、7ないし10について
本件請求項2ないし4、7ないし10は、直接あるいは間接的に本件請求項1を引用するものであるから、本件訂正発明2ないし4、7ないし10は、(3)で述べたのと同じ理由により、甲1発明及び甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
また、本件請求項2ないし4、7ないし10は、直接あるいは間接的に本件請求項1を引用するものであるから、本件訂正発明2ないし4、7ないし10は、(4)で述べたのと同じ理由により、甲2発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。


第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由等について
特許異議申立書に記載した特許異議申立理由のうち、取消理由通知において、取消理由として採用しなかった特許異議申立理由は、おおむね次の(1)のとおりである。
また、特許異議申立書においては、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証以外に、次の刊行物も挙げられている。
さらに、異議申立人は、平成29年9月15日付けで提出した意見書において、次の(2)の点も主張している。

甲第3号証:特開昭55-73716号公報
甲第4号証:特開2003-253051号公報


(1)訂正前の請求項1ないし10に係る発明についての甲第1号証または甲第4号証のいずれかに記載された発明及び甲第3号証に記載された事項に基づく進歩性違反(特許法第29条第2項)

(2)訂正後の請求項1ないし4、7ないし10に係る発明についての明確性要件違反(特許法第36条第6項第2号)

そこで、検討する。
(1)訂正前の請求項1ないし10に係る発明についての甲第1号証または甲第4号証のいずれかに記載された発明及び甲第3号証に記載された事項に基づく進歩性違反(特許法第29条第2項)について
訂正後の本件特許発明1と甲1発明は、前記第5 2(3)で指摘した相違点1?3を有している。また、本件特許発明1と甲第4号証に記載された発明も、甲1発明との対比において指摘した相違点1と同じ点で少なくとも相違している。
そして、当該相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項について、甲第3号証には、「粘着付与樹脂(a)をオレフィン性不飽和結合を有する基および加水分解可能な有機基をもつシラン化合物(b)で変性してなる後架橋可能なシラン変性粘着付与樹脂」(請求項1)が記載されている。
しかしながら、甲第1号証及び甲第4号証は、タイヤ用のゴム組成物に関する技術分野に属する技術文献であるのに対し、甲第3号証に記載のシラン変性粘着付与樹脂の用途は、タイヤ用のゴム組成物に用いる技術分野に関するものではなく(甲第3号証の第7頁右上欄1行目?8行目)、その技術分野・用途が相違する。
また、甲第3号証の実施例において、粘着付与樹脂をシラン変性することで、透明性やガラス基板に対する剥離度に関する効果が確認されているものの、これらの物性は、タイヤのゴム組成物には通常要求されない物性であるし、甲第3号証の第7頁左上欄18行目?20行目には、「架橋化処理後のシラン変性粘着付与樹脂は・・・耐摩耗性に優れている」との記載があるが、甲第3号証には、シラン変性粘着付与樹脂が、シラン変性粘着付与樹脂よりも耐摩耗性が良いことを示す具体的な実施例はなく、甲第1号証又は甲第4号証に記載された発明に、甲第3号証に記載された事項を適用することの動機付けを見出すことができない。
したがって、本件訂正発明1ないし4、7ないし10についての甲第1号証または甲第4号証のいずれかに記載された発明及び甲第3号証に記載された事項に基づく進歩性違反は理由がない。

(2)訂正後の請求項1ないし4、7ないし10に係る発明についての明確性要件違反(特許法第36条第6項第2号)について
異議申立人は、平成29年9月15日付けで提出した意見書において、本件訂正発明1における「予備反応において形成された、少なくとも1種のシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)であって、上記Si-HPMは、ピペリレン、環状ペンタジエン、芳香族化合物、リモネン、ピネン、およびアミレンから選択される少なくとも1種のモノマーを含むインターポリマーを含み、さらにシラン構造を含む少なくとも1種の官能基を含み、」との記載は、予備反応と、インターポリマーと、シラン構造を含む少なくとも1種の官能基との関連が明らかではなく、また、Si-HPMがインターポリマーを含むとの記載は、Si-HPMが、インターポリマーそのものを含むのか、インターポリマーとシラン構造を含む少なくとも1種の官能基との反応生成物を含むのか判然としないから不明確であると主張している。
しかしながら、請求項1における「予備反応」は、インターポリマーを含むHPMと、シラン構造を有する官能基との間で予め反応させることを意味し、予備反応により形成されたSi-HPMが、HPMと、シラン構造を含む少なくとも1種の官能基との反応生成物を意味することは、本件特許明細書の記載、例えば、段落【0063】の「1種または複数のシランカップリング剤が、ケイ素官能基をもたせるために、HPMまたは官能化HPM(ケイ素官能基以外の官能基、例えば、2官能性シランカップリング剤の有機官能基と反応する有機官能基により官能化)を、予備反応として、またはエラストマー組成物中で動的にかのいずれかで、処理するために用いられる。」などの記載から明らかであるといえ、請求項1の上記記載は明確でないとはいえない。
したがって、本件訂正発明1ないし4、7ないし10に係る発明についての明確性要件違反は理由がない。

よって、上記(1)及び(2)は、いずれも理由がない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし4及び7ないし10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし4及び7ないし10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件請求項5及び6は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項5及び6に対して、異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1種のエラストマーと、(ii)少なくとも1種のフィラーであってシリカを含むフィラーと、(iii)予備反応において形成された、少なくとも1種のシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤(Si-HPM)であって、上記Si-HPMは、ピペリレン、環状ペンタジエン、芳香族化合物、リモネン、ピネン、およびアミレンから選択される少なくとも1種のモノマーを含むインターポリマーを含み、さらにシラン構造を含む少なくとも1種の官能基を含み、上記インターポリマーは、官能化前に、2500?25000g/モルの重量平均分子量および900?3000g/モルの数平均分子量を有する、上記Si-HPMと、を含むエラストマー組成物であって、
100phrの前記少なくとも1種のエラストマーと、
50?90phrのシリカと、
5?50phrの予備反応において形成された前記Si-HPMとを含む
エラストマー組成物。
【請求項2】
1種または複数の官能基が、オレフィン性不飽和をさらに含み、インターポリマーが、インターポリマー中の水素の全モル数に対して、少なくとも1モルパーセントのオレフィン性水素を含む、請求項1に記載のエラストマー組成物。
【請求項3】
Si-HPMが、インターポリマーと、式:
X_(3)Si-R-F-[R-Si-X_(3)]_(p)
(式中、各Xは、独立に、ケイ素官能基であり、各Rは、独立に、1?20個の炭素原子の2価の置換もしくは無置換の炭化水素基であり、Fは、1価または多価の有機官能基であり、Fが1価である場合、pは0であり、Fが多価である場合、pは少なくとも1である)の2官能性有機シラン架橋剤との反応生成物を含む、請求項1または2に記載のエラストマー組成物。
【請求項4】
Xが、ヒドロキシまたはR^(1)-O-(式中、R^(1)は、20個までの炭素原子のアルキル、アルコキシアルキル、アリール、アラルキルもしくはシクロアルキル基である)であり、Rが、アルキレンであり、pが0または1であり、pが0である場合、Fが、アミノ、アミド、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、メルカプト、ヒドロシリル、カルボキシ、アシル、ビニル、アリル、スチリル、ウレイド、エポキシ、イソシアナト、グリシドキシ、およびアクリロキシ基から選択され、pが1である場合、Fが2?20個の硫黄原子の2価のポリスルフィドである、請求項3に記載のエラストマー組成物。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
インターポリマーが、1種または複数の官能基の少なくとも1種により、少なくとも1種のエラストマーに連結される、請求項1から4のいずれかに記載のエラストマー組成物。
【請求項8】
インターポリマーが、1種または複数の官能基の少なくとも1種により、少なくとも1種のフィラーに連結される、請求項1から4および7のいずれかに記載のエラストマー組成物。
【請求項9】
インターポリマーが、少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種のフィラーの組合せに連結される、請求項1から4、7および8のいずれかに記載のエラストマー組成物。
【請求項10】
少なくとも1種のエラストマーが、少なくとも1種のフィラーに連結される、請求項1から4および7から9のいずれかに記載のエラストマー組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-10-18 
出願番号 特願2013-533853(P2013-533853)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (C08L)
P 1 651・ 113- YAA (C08L)
P 1 651・ 536- YAA (C08L)
P 1 651・ 121- YAA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小森 勇  
特許庁審判長 岡崎 美穂
特許庁審判官 渕野 留香
堀 洋樹
登録日 2016-08-19 
登録番号 特許第5987226号(P5987226)
権利者 エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
発明の名称 エラストマー組成物のためにシラン官能化炭化水素ポリマー改質剤  
代理人 浅井 賢治  
代理人 箱田 篤  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 辻居 幸一  
代理人 山崎 一夫  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 箱田 篤  
代理人 辻居 幸一  
代理人 山崎 一夫  
代理人 市川 さつき  
代理人 市川 さつき  
代理人 浅井 賢治  

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