• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B65H
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65H
管理番号 1335134
異議申立番号 異議2017-700049  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-01-18 
確定日 2017-10-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5963713号発明「ウェブの切断装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5963713号の明細書、及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、及び特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1乃至8〕について訂正することを認める。 特許第5963713号の請求項1乃至8に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5963713号の請求項1乃至8に係る特許は、平成25年6月21日の出願であって、平成28年7月8日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年1月18日に特許異議申立人 田中 喜友により特許異議の申立てがなされ、同年4月13日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年6月19日に意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という)がなされ、同年7月10日付けで特許法第120条の5第5項に規定された通知書を特許異議申立人に送付したところ、その指定期間内に何ら応答がされなかったものである。


第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)乃至(3)のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「切断部材の回動方向後側に設けられ、前記切断部材によるウェブの切断動作に連続するようにそのウェブの先端部を前記新コアの外周面に対して押圧する押圧部」を、「切断部材の回動方向後側に設けられ、断面形状が前記回動軸を中心とする円弧状である外周面により、前記切断部材によるウェブの切断動作に連続するようにそのウェブの先端部を前記新コアの外周面に対して押圧する押圧部」に訂正する。(下線は、訂正箇所を示す。以下、同じ。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項8の「前記押圧部は、前記切断部材の回動とともにウェブに当接する押圧位置が移動するよう円弧形状を有することを特徴とする」を、「前記押圧部は、前記切断部材の回動とともにウェブに当接する押圧位置が移動することを特徴とする」に訂正する。

(3)訂正事項3
願書に添付した明細書の段落【0008】の記載を、「上記課題を解決するために、本発明のある態様のウェブの切断装置は、ウェブの巻き取りを旧コアから新コアへ切り替える際に、旧コアに架け渡されたウェブを切断するウェブの切断装置であって、回動軸を中心とする円のほぼ接線方向に延びる刃を有する切断部材と、切断部材の刃が新コアとの最近接ポイントを新コアのほぼ接線方向に通過するよう切断部材を回動させることによりウェブを切断する駆動部と、切断工程において新コアとの間にウェブを介在させるようにして対向配置されることによりウェブの片側面に当接し、そのウェブを旧コアの巻き取り方向へガイド可能なガイドロールと、切断部材の回動方向後側に設けられ、断面形状が回動軸を中心とする円弧状である外周面により、切断部材によるウェブの切断動作に連続するようにそのウェブの先端部を新コアの外周面に対して押圧する押圧部と、を備える。切断部材および押圧部は、ガイドロールと同心の回動軸を有する。」に訂正する。

2.訂正の目的の適否、特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否、及び新規事項追加の有無の適否
(1)訂正事項1について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載の「押圧部」について、「断面形状が前記回動軸を中心とする円弧状である外周面により」ウェブの先端部を新コアの外周面に対して押圧すると具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.新規事項追加の有無
当該訂正事項1に関連する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0019】に「切断部材の刃を回動軸を中心とする円弧状に構成する場合には、押圧部をその刃よりもやや大きい外接円を有する円弧状に構成するとよい。」と記載され、段落【0023】に「切断部材および押圧部が、共通の回動軸を中心とする円軌道に沿って駆動される円弧状の本体を有してもよい。」と記載され、段落【0044】に「押圧部材56は、刃52の回動方向後側に一体に設けられ、その外周面がウェブWを新コア26bに対して押圧するための押圧面となる。その押圧面は、切断部材40の回動とともにウェブWに当接する押圧位置が移動するよう円弧形状をなしている。」と記載されていることから、押圧部について、断面形状が回動軸を中心とする円弧状である外周面により、ウェブの先端部を新コアの外周面に対して押圧するとすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。
したがって、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。

ウ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項1は、「押圧部」について、上記ア.で述べたとおり限定しようとするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い、請求項1の記載と請求項1を引用する請求項8の記載との整合をとるためのものであり、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項1の記載と発明の詳細な説明の段落【0008】の記載との整合をとるためのものであり、この訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)一群の請求項についての適否
訂正事項1及び2に係る訂正前の請求項1乃至8について、請求項2乃至8はすべて直接的又は間接的に「請求項1」を引用しているものである。
したがって、訂正前の請求項1乃至8は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当するものである。
よって、訂正事項1及び2による訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する「一群の請求項ごとに」適法に請求されたものである。
また、訂正事項3は、願書に添付した明細書を訂正するものであり、該訂正事項3に係る訂正の請求は、当該明細書の訂正に係る、訂正前の請求項1乃至8の全てについて行われたものである。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
また、訂正後の請求項1乃至8は、一群の請求項である。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1乃至8〕について訂正を認める。


第3 特許異議の申立て理由について
1.本件特許発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1乃至8に係る発明(以下「本件特許発明1」乃至「本件特許発明8」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1乃至8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
ウェブの巻き取りを旧コアから新コアへ切り替える際に、前記旧コアに架け渡されたウェブを切断するウェブの切断装置であって、
回動軸を中心とする円のほぼ接線方向に延びる刃を有する切断部材と、
前記切断部材の刃が前記新コアとの最近接ポイントを前記新コアのほぼ接線方向に通過するよう前記切断部材を回動させることによりウェブを切断する駆動部と、
切断工程において前記新コアとの間にウェブを介在させるようにして対向配置されることによりウェブの片側面に当接し、そのウェブを前記旧コアの巻き取り方向へガイド可能なガイドロールと、
切断部材の回動方向後側に設けられ、断面形状が前記回動軸を中心とする円弧状である外周面により、前記切断部材によるウェブの切断動作に連続するようにそのウェブの先端部を前記新コアの外周面に対して押圧する押圧部と、を備え、
前記切断部材および前記押圧部は、前記ガイドロールと同心の前記回動軸を有することを特徴とするウェブの切断装置。
【請求項2】
前記切断部材は、前記ガイドロールと同心の円のほぼ接線方向に延びる刃を有し、
前記駆動部は、前記ガイドロールと前記新コアとの隙間を前記切断部材の刃がその延在方向に通過するよう前記切断部材を回動させることによりウェブを切断することを特徴とする請求項1に記載のウェブの切断装置。
【請求項3】
前記ガイドロールが前記切断部材の回動軸を中心に回転自在に支持され、
前記切断工程において前記切断部材の刃先がウェブから離間した状態を維持しつつ前記ガイドロールをウェブに当接させるように前記回動軸を移動させる移動機構を備え、
前記駆動部は、前記ガイドロールがウェブに当接した状態で前記切断部材を切断方向に回動させることを特徴とする請求項2に記載のウェブの切断装置。
【請求項4】
前記切断部材が、前記ガイドロールの同心円に沿って延びる円弧状の本体を有することを特徴とする請求項2または3に記載のウェブの切断装置。
【請求項5】
前記切断部材の刃先がウェブに当接して切り込みを開始するポイントが、前記ガイドロールと前記新コアとの最近接ポイントよりも回動方向手前に位置することを特徴とする請求項2?4のいずれかに記載のウェブの切断装置。
【請求項6】
前記切断部材の刃は、その刃先が尖るとともに刃元に向けてエッジ面が形成された形状を有することを特徴とする請求項1?5のいずれかに記載のウェブの切断装置。
【請求項7】
前記押圧部が前記切断部材と一体に設けられていることを特徴とする請求項1?6のいずれかに記載のウェブの切断装置。
【請求項8】
前記押圧部は、前記切断部材の回動とともにウェブに当接する押圧位置が移動することを特徴とする請求項7に記載のウェブの切断装置。」

2.取消理由の概要
訂正前の請求項1乃至8に係る特許に対して平成29年4月13日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
(1)取消理由1(特許法第29条第1項第3号)
請求項1?3,5,及び7に対して、
甲第1号証:特許第3327727号

(2)取消理由2(特許法第29条第2項)
請求項1?8に対して、
甲第1号証:特許第3327727号
甲第2号証:特開平8-225204号公報
甲第3号証:特開昭49-108476号公報
甲第4号証:特開平9-183093号公報

3.各甲号証の記載
(1)甲第1号証
本件特許の出願日前の平成14年9月24日に頒布された特許第3327727号公報には、以下の記載がある。
「【請求項1】 シート体を巻取り位置で紙管に巻き取り、所定の巻き取り量のロールが形成された時点で上記ロールを取外し位置に移動させるとともに、新たな紙管を巻取り位置に移動させるように構成されたシート体巻取り装置が設けられ、上記取外し位置のロールの上流側に張設されたシート体を幅方向に切断し、その切断端を自軸回りに回転する巻取り位置側の紙管の表面に粘着させるシート体切断装置において、
上記張設されたシート体の両側外方に配設された一対の支持体と、これら一対の支持体間に設けられた主軸回りに回転可能なカッタ手段と、このカッタ手段を主軸回りに回転させるカッタ手段用駆動手段とが備えられ、
上記カッタ手段は上記シート体を切断するカッタ刃と、切断されたシート体の端部を紙管表面に押し付ける押付け手段とを具備し、これらカッタ刃と押付け手段とは紙管の表面に対向するように位置設定され、上記カッタ手段用駆動手段は、カッタ刃がシート体を切断しない待機姿勢と、カッタ刃がシート体を切断する切断姿勢との間でカッタ手段を回動させ得るように構成され、
上記カッタ手段の周速度は紙管の表面の周速度よりも速くなるように速度設定されており、
上記カッタ手段用駆動手段と、上記主軸との間にカッタ手段用駆動手段の駆動速度を増速する増速機構が設けられていることを特徴とするシート体切断装置。」
「【0034】上記第1駆動手段6は、下端部が支持柱Pに取り付けられた流体圧によって作動する左右一対のシリンダ61と、これらシリンダ61の上部から突出したシリンダロッド62とから構成され、このシリンダロッド62の上端部が枠板31に連結軸35を介して接続されている。そして、シリンダロッド62を上下動させることによって枠板31は基端軸32回りに正逆回動し、それによって上方に跳ね上がった待機姿勢と紙管1に近接した近接姿勢との間で切り換えが行い得るようになっている。上記シリンダ61の底部は、支持柱P側部に設けられたブラケット63の支持軸64回りに回動自在に軸支されており、これによってシリンダロッド62の出没時にシリンダ61が傾動ができるようになっている。」
「【0039】また、上記増速機構42は、枠板31の先端側外側面に付設された片歯車44と、この片歯車44に噛合する中間歯車45と、この中間歯車45に噛合する下部歯車46とから構成されている。そして上記片歯車44は枠板31に設けられた上部軸42a回りに回動自在に軸支され、上記中間歯車45は同中間軸42b回りに回転自在に軸支され、上記下部歯車46は枠板31を貫通して設けられた下部軸(主軸)42c回りに共回り可能に軸支されている。この中間軸42bには軸心回りに回転自在に補助ローラ42dが設けられている。」
「【0044】上記カッタ手段43は、一対の枠板31の各内側面に設けられた左右一対の支持腕43aと、これら支持腕43aの先端に固定された幅方向に延びる長尺直方体状のホルダ43bと、このホルダ43bに固定されたカッタ刃47および刷毛部材(押付け手段)48とから構成されている。
【0045】上記各支持腕43aは、補助ローラ42dの下部に位置し、かつそれぞれ上記左右一対の下部歯車46の下部軸42cに固定され、下部軸42cと軸心回りに共回りするようになっている。また、上記ホルダ43bは、図3に示すように、一対の支持腕43aの端部に差し渡された状態で固定され、このホルダ43bの先端面にゴム製の緩衝板43cを介してホルダ43bの全長に亘り長尺のカッタ刃47および刷毛部材48がネジ止めで固定されている。なお緩衝板43cを設けずにカッタ刃47をホルダ43bに直接取り付けてもよい。
【0046】上記カッタ刃47の刃先にはジグザグ状の鋸刃47aが形成され、これによって切断されたシート体Sは、切断部が図5に示すように鋸刃状になる。また、上記刷毛部材48の幅方向に延びる端面には、カッタ刃47の延びる方向に直交するように2列に刷毛48aが植設されている。
【0047】そして、上記下部軸42cの軸心を中心とした刷毛48aの毛先が巻取り位置Xにある紙管1の表面をなぜるように支持腕43a、刷毛部材48および刷毛48aの寸法設定が行われている。また、上記カッタ刃47は、カッタ手段43の下部軸42c回りの時計方向に回動によって、上側の支持ローラ107と紙管1との間に張設されたシート体Sを切断し得るように寸法設定されている。」
「【0052】そして、本発明においては、増速機構42の増速作用によってカッタ刃47の周速度は紙管1によるシート体Sの表面の周速度よりも速く速度設定されているため、支持腕43aの下部軸42c回りの回動によって支持腕43aの先端に設けられている刷毛48aによって紙管1に粘着している部分よりも先端側のシート体Sが紙管1の表面に向かって押圧され、これによって(ハ)に示すようにシート体Sの先端部は全面が面接触で紙管1の表面に粘着し、シート体Sに皺がよることが確実に防止される。」
「【0055】以上の実施例においては、シート体Sの切断端を紙管1の表面に押し付けるために、カッタ手段43の刷毛部材48に刷毛48aが植設されているが、刷毛48aの代わりにゴム製や軟質の合成樹脂製、あるいは発泡性合成樹脂製の筒状体を刷毛部材48の長手方向全長に亘って取り付けるようにしてもよい。そうすれば、材料の柔軟性によって弾性変形しながら筒状体がシート体Sを紙管1の表面に押し付けるため、シート体Sの紙管1表面への粘着が確実に行われる。」
「【0059】また、紙管1の径が変更された場合には、支持腕43aの長さを変更することによって対応することができるが、支持腕43aの長さを変えずに支持腕43aを中間軸42bに軸支させるようにしてもよい。このように中間軸42bに支持腕43aを軸支させることにより、カッタ手段43の回転軌跡が変更されるため、この軌跡に近接するような径を有する紙管に対応することが可能になる。」
図1及び図4から、切断姿勢時に、新たな紙管との間にシート体を介在させるようにして対向配置されることによりシート体の片側面に当接し、そのシート体を取外し位置のロールの巻き取り方向へガイド可能な補助ローラが看取できる。
図4から、新たな紙管に対向配置された主軸を中心とする円のほぼ接線方向に延びるカッタ刃を有するカッタ手段が看取できる。
図4から、カッタ手段の回動方向後側に設けられ、上記カッタ手段によるシート体の切断動作に連続するようにそのシート体の端部を新たな紙管の外周面に対して押し付ける押付け手段が看取できる。

以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明が記載されていると認められる。(以下「引用発明1」という。)

「シート体を巻取り位置で紙管に巻き取り、所定の巻き取り量のロールが形成された時点で上記ロールを取外し位置に移動させるとともに、新たな紙管を巻取り位置に移動させるように構成されたシート体巻取り装置が設けられ、上記取外し位置のロールの上流側に張設されたシート体を幅方向に切断し、その切断端を自軸回りに回転する巻取り位置側の紙管の表面に粘着させるシート体切断装置において、
上記張設されたシート体の両側外方に配設された一対の支持体と、これら一対の支持体間に設けられた主軸回りに回転可能なカッタ手段と、このカッタ手段を主軸回りに回転させるカッタ手段用駆動手段とが備えられ、
上記カッタ手段は新たな紙管に対向配置された主軸を中心とする円のほぼ接線方向に延び上記シート体を切断するカッタ刃と、切断されたシート体の端部を紙管表面に押し付ける押付け手段とを具備し、これらカッタ刃と押付け手段とは紙管の表面に対向するように位置設定され、上記カッタ手段用駆動手段は、カッタ刃がシート体を切断しない待機姿勢と、カッタ刃がシート体を切断する切断姿勢との間でカッタ手段を回動させ得るように構成され、
上記カッタ手段の周速度は紙管の表面の周速度よりも速くなるように速度設定されており、
上記カッタ手段用駆動手段と、上記主軸との間にカッタ手段用駆動手段の駆動速度を増速する増速機構が設けられ、
切断姿勢時に、新たな紙管との間にシート体を介在させるようにして対向配置されることによりシート体の片側面に当接し、そのシート体を上記取外し位置のロールの巻き取り方向へガイド可能な補助ローラが備えられ、
上記押付け手段は、カッタ手段の回動方向後側に設けられ、上記カッタ手段によるシート体の切断動作に連続するようにそのシート体の端部を新たな紙管の外周面に対して押し付けるものである、
シート体切断装置。」

(2)甲第2号証
本件特許の出願日前の平成8年9月3日に頒布された特開平8-225204号公報には、以下の記載がある。
「【請求項5】 少なくとも1個の支持ロール(2)を備え、該ロールに巻取りロール(1)を適合させて回転させるワインダにおける紙又はボール紙ウェブ(4)を裁断する装置において、
ウェブ(4)の全幅にわたって延びる、硬質で側方に湾曲した裁断ブレード(6)と、
ブレード(6)を支持ロール(2)の表面近くで接線方向に移動させ、支持ロール(2)とロール(1)との間のニップにブレード(6)を導入する手段(5、7)とを有し、
この手段によりニップにおける支持ロール(2)とロール(1)との回転運動により、少なくともブレードのニップ入り口側に対応するニップ他方側へブレード(6)の裁断端縁(9)がニップを通過するまでブレード(6)を引き込むことを特徴とする裁断装置。」
「【0014】裁断ブレード6は側方に湾曲した薄いブレードである。ブレード6の側方の曲率を支持ロール2の外周の曲率とほぼ等しく形成し、そしてブレード6を支持ロール2の表面にできるだけ近接して配置する。支持ロール2と裁断ブレード6との間のギャップは、ウェブのみがそのギャップを通過できる程度に狭くすると良い。さらにブレードは支持ロールの曲率半径にできるだけ近い値に合せるべきである。このことはロール1と支持ロール2との間のニップに入り込むブレードがロール1に損傷を与えないようにとの配慮に基づく。実際上薄くかつ正確に形成したブレード6は問題なくニップに入り込み、ロールに損傷を生じさせる打撃を与えることはない。ブレード6は支持ロールの半径に相当する円の曲率半径より僅かに大きい曲率半径をもつ円のセグメント形状を備えるのが良く、従って実際のブレード形状は、支持ロールを密接に包囲する仮想円筒体の一部と見なすことができる。」

以上の記載によれば、甲第2号証には以下の発明が記載されていると認められる。(以下「引用発明2」という。)

「少なくとも1個の支持ロール(2)を備え、該ロールに巻取りロール(1)を適合させて回転させるワインダにおける紙又はボール紙ウェブ(4)を裁断する装置において、
ウェブ(4)の全幅にわたって延びる、硬質で側方に湾曲した薄い裁断ブレード(6)で、ブレード(6)の側方の曲率を支持ロール(2)の外周の曲率とほぼ等しく形成し、
ブレード(6)を支持ロール(2)の表面近くで接線方向に移動させ、支持ロール(2)とロール(1)との間のニップにブレード(6)を導入する手段(5、7)とを有し、
この手段によりニップにおける支持ロール(2)とロール(1)との回転運動により、少なくともブレードのニップ入り口側に対応するニップ他方側へブレード(6)の裁断端縁(9)がニップを通過するまでブレード(6)を引き込む裁断装置。」

(3)甲第3号証
本件特許の出願日前の昭和49年10月15日に頒布された特開昭49-108476号公報には、以下の記載がある。
「2 特許請求の範囲
連続供給される巻取り製品の多重式巻取り機で高速走行する帯状体を巻取り交換および横切断する装置であつて、前記巻取り製品が、作動位置に位置している新たに巻付けられるべき空管を介して、取出し位置に位置する満管に供給されかつ前記空管と満管との間で切断される形式のものにおいて、前記巻取り製品5の横切断の目的で、旋回レバー8に支承されていて帯状製品速度と同期的にあるいは該帯状製品速度に比して高速で駆動されるナイフ軸9を備えており、該ナイフ軸9が、1部分からまたは複数の互いに並んで列を成した歯状セグメントから成る歯状のナイフ10を有しており、該ナイフの歯が、前記ナイフ軸の全幅にわたつて配置されていて該ナイフ軸の周面から突出していることを特徴とする多重式巻取り機で高速走行する帯状体を巻取り交換および横切断する装置。」(1頁左欄5行?右欄2行)
「接触ローラ7の軸線を中心として旋回可能な液力作動式の旋回レバー8には、回転可能なナイフ軸9が支承されており、該ナイフ軸9はその軸線に対して平行に配置された歯状のナイフ10を有している。該ナイフ10は第2図で示すように互いに列を成して並んだ歯状セグメントから成つており、これらの歯状セグメントはナイフ軸9の切欠き内に固定されている。」(3頁左上欄13行?右上欄1行)

以上の記載によれば、甲第3号証には以下の発明が記載されていると認められる。(以下「引用発明3」という。)

「連続供給される巻取り製品の多重式巻取り機で高速走行する帯状体を巻取り交換および横切断する装置であつて、前記巻取り製品が、作動位置に位置している新たに巻付けられるべき空管を介して、取出し位置に位置する満管に供給されかつ前記空管と満管との間で切断される形式のものにおいて、前記巻取り製品5の横切断の目的で、旋回レバー8に支承されていて帯状製品速度と同期的にあるいは該帯状製品速度に比して高速で駆動されるナイフ軸9を備えており、該ナイフ軸9が、1部分からまたは複数の互いに並んで列を成した歯状セグメントから成る歯状のナイフ10を有しており、該ナイフの歯が、前記ナイフ軸の全幅にわたつて配置されていて該ナイフ軸の周面から突出している多重式巻取り機で高速走行する帯状体を巻取り交換および横切断する装置。」

(4)甲第4号証
本件特許の出願日前の平成9年7月15日に頒布された特開平9-183093号公報には、以下の記載がある。
「【請求項1】 巻取コアに巻付いているウエブをロータリーカッタにより切断するウエブの切断装置において、
ロータリーカッタが、固定軸と、固定軸まわりで回転できるカッタドラムとを有し、
カッタドラム内の固定軸まわりに、空気吸引室と、空気吸引室に対するウエブ入側と出側の両側の空気吐出室とを設け、
カッタドラムの外面にナイフを固定し、カッタドラムの回転方向におけるナイフの前方側の外面に第1通気孔の群を開口し、カッタドラムの回転方向における第1通気孔の群の前方側の外面に第2通気孔の群を開口し、
切断前段階では、カッタドラムの第2通気孔をウエブ入側と出側の少なくとも一方の空気吐出室に連通するとともに、ウエブをカッタドラムの第2通気孔まわりに浮上状態で通過可能とし、
切断時には、カッタドラムのナイフ寄りに位置する第1通気孔をウエブ入側の空気吐出室に、他の第1通気孔を空気吸引室に連通し、ウエブをカッタドラムの空気吸引室に連通している第1通気孔まわりに密着させた状態で該ウエブをナイフにより切断し、切断されて巻取コア側にあるウエブの先端部をカッタドラムの空気吐出室に連通している第1通気孔からの吐出空気により巻取コア側に加圧可能とし、
切断終了時には、カッタドラムの第1通気孔をウエブ出側の空気吐出室に連通し、切断されたウエブの尾端部を第1通気孔からの吐出空気によりカッタドラムから剥離可能とすることを特徴とするウエブの切断装置。

【請求項3】 前記カッタドラムの回転方向におけるナイフの後方側の外面にウエブ押えを設け、
切断時に、ナイフの後方側のウエブをウエブ押えにより巻取コアに押付け可能とする請求項1又は2記載のウエブの切断装置。」
「【0034】また、ロータリーカッタ31は、カッタドラム42の回転方向におけるナイフ55の後方側傍の外面にスポンジ等からなるウエブ押え56を、ナイフ55に沿うスパイラル状に取付けられている。ウエブ押え56は、切断時に、ナイフ55の後方側のウエブ1を巻取コア2に押付け可能とする。」
図1より、外面が円弧状のウエブ押え56が看取できる。

以上の記載によれば、甲第4号証には以下の発明が記載されていると認められる。(以下「引用発明4」という。)

「巻取コアに巻付いているウエブをロータリーカッタにより切断するウエブの切断装置において、
ロータリーカッタが、固定軸と、固定軸まわりで回転できるカッタドラムとを有し、
カッタドラム内の固定軸まわりに、空気吸引室と、空気吸引室に対するウエブ入側と出側の両側の空気吐出室とを設け、
カッタドラムの外面にナイフを固定し、カッタドラムの回転方向におけるナイフの前方側の外面に第1通気孔の群を開口し、カッタドラムの回転方向における第1通気孔の群の前方側の外面に第2通気孔の群を開口し、
切断前段階では、カッタドラムの第2通気孔をウエブ入側と出側の少なくとも一方の空気吐出室に連通するとともに、ウエブをカッタドラムの第2通気孔まわりに浮上状態で通過可能とし、
切断時には、カッタドラムのナイフ寄りに位置する第1通気孔をウエブ入側の空気吐出室に、他の第1通気孔を空気吸引室に連通し、ウエブをカッタドラムの空気吸引室に連通している第1通気孔まわりに密着させた状態で該ウエブをナイフにより切断し、切断されて巻取コア側にあるウエブの先端部をカッタドラムの空気吐出室に連通している第1通気孔からの吐出空気により巻取コア側に加圧可能とし、
切断終了時には、カッタドラムの第1通気孔をウエブ出側の空気吐出室に連通し、切断されたウエブの尾端部を第1通気孔からの吐出空気によりカッタドラムから剥離可能とし、
前記カッタドラムの回転方向におけるナイフの後方側の外面に外面が円弧状のウエブ押えを設け、
切断時に、ナイフの後方側のウエブをウエブ押えにより巻取コアに押付け可能とするウエブの切断装置。」

4.判断
(1)取消理由1について
ア.対比
本件特許発明1と引用発明1とを対比すると、
後者の「シート体」、「取り外し位置のロール」、「新たな紙管」、「シート体切断装置」、「主軸」、「カッタ刃」、「カッタ手段」、「カッタ刃がシート体を切断しない待機姿勢と、カッタ刃がシート体を切断する切断姿勢との間でカッタ手段を回動させ得るように構成されたカッタ手段用駆動手段」、「シート体を取り外し位置のロールの巻き取り方向へガイド可能な補助ローラ」、及び「押付け手段」は、それぞれ、前者の「ウェブ」、「旧コア」、「新コア」、「切断装置」、「回動軸」、「刃」、「切断部材」、「切断部材を回動させることによりウェブを切断する駆動部」、「ガイドロール」、及び「押圧部」に相当する。
後者の「シート体切断装置」は、「取外し位置のロールの上流側に張設されたシート体を幅方向に切断し、その切断端を自軸回りに回転する巻取り位置側の紙管の表面に粘着させる」ものであるから、「ウェブの巻き取りを旧コアから新コアへ切り替える際に、前記旧コアに架け渡されたウェブを切断するウェブの切断装置」といえる。
後者の「カッタ刃」は、「主軸を中心とする円のほぼ接線方向に延びシート体を切断する」ものであるから、後者の「カッタ手段」は、「回動軸を中心とする円のほぼ接線方向に延びる刃を有する切断部材」といえる。
後者の「カッタ手段」は、「主軸回りに回転可能」で、「主軸を中心とする円のほぼ接線方向に延び上記シート体を切断するカッタ刃」を具備し、「主軸」は「新たな紙管(新コア)に対向配置されて」いるものであるから、「切断部材の刃が新コアとの最近接ポイントを新コアのほぼ接線方向に通過する」といえる。
後者の「補助ローラ」は、「切断姿勢時に、新たな紙管との間にシート体を介在させるようにして対向配置されることによりシート体の片側面に当接し、そのシート体を上記取り外し位置のロールの巻き取り方向へガイド可能な」ものであるから、後者の「補助ローラ」は、「切断工程において新コアとの間にウェブを介在させるようにして対向配置されることによりウェブの片側面に当接し、そのウェブを旧コアの巻き取り方向へガイド可能なガイドロール」といえる。
後者の「押付け手段」は、「カッタ手段の回動方向後側に設けられ、前記カッタ手段によるシート体の切断動作に連続するようにそのシート体の先端部を新たな紙管の外周面に対して押圧する」ものであるから、後者の「押し付け手段」は、「切断部材によるウェブの切断動作に連続するようにそのウェブの先端部を新コアの外周面に対して押圧する押圧部」といえる。

したがって、両者は、
「ウェブの巻き取りを旧コアから新コアへ切り替える際に、前記旧コアに架け渡されたウェブを切断するウェブの切断装置であって、
回動軸を中心とする円のほぼ接線方向に延びる刃を有する切断部材と、
前記切断部材の刃が前記新コアとの最近接ポイントを前記新コアのほぼ接線方向に通過するよう前記切断部材を回動させることによりウェブを切断する駆動部と、
切断工程において前記新コアとの間にウェブを介在させるようにして対向配置されることによりウェブの片側面に当接し、そのウェブを前記旧コアの巻き取り方向へガイド可能なガイドロールと、
切断部材の回動方向後側に設けられ、前記切断部材によるウェブの切断動作に連続するようにそのウェブの先端部を前記新コアの外周面に対して押圧する押圧部と、を備える、
ウェブの切断装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本件特許発明1が、「断面形状が前記回動軸を中心とする円弧状である外周面により、押圧する押圧部」であるのに対し、引用発明1は、そのようなものでない点。

[相違点2]
本件特許発明1が、「切断部材および押圧部は、ガイドロールと同心の回動軸を有する」ものであるのに対し、引用発明1は、そのようなものでない点。

イ.相違点についての判断
引用発明1は、上記相違点1及び相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項を具備していない。
したがって、本件特許発明1が、引用発明1であるとすることはできない。
また、本件特許発明2、3、5、及び7は、本件特許発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件特許発明2、3、5、及び7は、引用発明1であるとはいえない。

(2)取消理由2について
上記相違点1について以下検討する。
引用発明4の「ロータリーカッタ」、「外面が円弧状のウエブ押え」は、それぞれ、本件特許発明1の「切断部材」、「『断面形状が円弧状である外周面』を備える『押圧部』」に相当する。
しかし、引用発明4の「ウエブ押え」は、「外面が円弧状」であるものの、「断面形状が回動軸を中心とする円弧状である外周面」とはいえない。
また、引用発明4の「押圧部」は、「ロータリーカッタ」の構成要素であって、「ロータリーカッタ」の「回動方向後側に設けられ」とはいえない。
また、異議申立人が提出したその他の刊行物にも、上記相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項は記載も示唆もされていないし、設計的事項とする理由もない。

そして、本件特許発明1は、上記相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項により、本件特許明細書に記載の「ウェブの先端部を所定範囲にわたって新コアに連続的に貼り付けることができ、その貼り付け強度も確保される。その結果、その後の新コアへの巻き取りがより安定に行えるようになる。」(【0022】参照。)という効果を奏するものである。

したがって、本件特許発明1は、引用発明1及び引用発明4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

本件特許発明2乃至8は、本件特許発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件特許発明2乃至8は、引用発明1乃至引用発明4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由によっては、本件特許発明1乃至8を取り消すことはできない。
また、他に本件特許発明1乃至8を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ウェブの切断装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブを自動的に巻き取る巻取装置に適用され、旧コアに巻き取り中のウェブを切断して新コアに巻き取らせることを可能とするウェブの切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム、紙、箔等のウェブを巻き取る巻取装置として、例えば一対の巻取軸を有し、一方の軸のコア(旧コア)が満巻きとなったときに、他方の軸のコア(新コア)に自動的に巻き取りを切り替えるターレット式の巻取装置が知られている(特許文献1参照)。この巻き取りの切り替えに際しては、付属の切断装置が作動する。この切断装置は、旧コアに架け渡されたウェブを切断するためのカッターと、切断されたウェブを新コアの外周面に圧着させるためのロールを備える。切断工程においては巻取軸の回転が一旦停止され、ロールによってウェブが新コアに押し付けられ、圧着される。その後、その圧着位置から離間した位置にてカッターを駆動することにより、旧コアに架け渡されたウェブの部分を切断する。旧コアは、ウェブが巻かれていない別の新コアと取り替えられる。
【0003】
しかしながら、このような構成では、ウェブの圧着位置と切断位置との距離が大きいため、切断直後にそのウェブの圧着位置から切断位置までの部分が不安定な自由端となる。このため、切断後のウェブの先端部が意図しない形で新コアに貼り付き、新コアによる巻き取り開始部分に折れ込みを生じさせる可能性がある。このような折れ込みが発生すると、新コアの中心から所定範囲にある回転半径の小さい部分はその折れ込みの影響を受けて皺になり易く、製品ロスとなることが多い。
【0004】
これに対し、例えば回転ドラムの外周面にカッターを配置し、その回転方向後側に所定間隔をあけてウェブ押えを取り付ける構成も提案されている(特許文献2参照)。このような構成によれば、ウェブを新コアに対して押し付けつつその近傍で切断できる。このため、切断直後のウェブの自由端が短く、上述した折れ込みを抑制できる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開昭63-97562号公報
【特許文献2】 特開平9-183093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の構成では、カッターの刃が回転ドラムの径方向に突出するよう一体に設けられるため、そのカッターを切断方向にストロークさせることができない。そのため、回転ドラムに空気の給排構造を設け、その空気の吸引力及び吐出力を利用してウェブをカッターに対して相対変位させ、ウェブの切断を実現している。しかしながら、このような複雑な構造および制御を要するためコストが嵩む。また、カッターの動作ストロークが十分に得られないため、厚みのあるウェブを切断するのは難しいといった問題があった。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、切断性能の高いウェブの切断装置を簡易かつ低コストに実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のウェブの切断装置は、ウェブの巻き取りを旧コアから新コアへ切り替える際に、旧コアに架け渡されたウェブを切断するウェブの切断装置であって、回動軸を中心とする円のほぼ接線方向に延びる刃を有する切断部材と、切断部材の刃が新コアとの最近接ポイントを新コアのほぼ接線方向に通過するよう切断部材を回動させることによりウェブを切断する駆動部と、切断工程において新コアとの間にウェブを介在させるようにして対向配置されることによりウェブの片側面に当接し、そのウェブを旧コアの巻き取り方向へガイド可能なガイドロールと、切断部材の回動方向後側に設けられ、断面形状が前記回動軸を中心とする円弧状である外周面により、切断部材によるウェブの切断動作に連続するようにそのウェブの先端部を新コアの外周面に対して押圧する押圧部と、を備える。切断部材および押圧部は、ガイドロールと同心の回動軸を有する。
【0009】
この態様によると、ウェブの切断に際して切断部材が駆動されると、その切断部材の刃が新コアとの最近接ポイントをその新コアのほぼ接線方向に通過する。この最近接ポイントにおける新コアの接線方向は、その最近接ポイントにおける刃の延在方向とほぼ一致する。このため、切断に際してウェブを新コアに近接させたときの刃の動作ストロークを十分に大きくとることができ、厚みのあるウェブであっても、刃を延在方向に振り抜く態様で容易に切断できる。また、切断部材をその回動軸を中心に回動させるのみで切断できるため、複雑な構造や制御を要せず、簡易かつ低コストに実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、切断性能の高いウェブの切断装置を簡易かつ低コストに実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 実施例に係るウェブの巻取装置を模式的に表す図である。
【図2】 実施例に係るウェブの巻取装置を模式的に表す図である。
【図3】 切断装置の主要部周辺の構成を表す図である。
【図4】 切断部材およびその周辺構成を示す図である。
【図5】 巻替工程における切断処理を模式的に示す斜視図である。
【図6】 切断工程における切断部材の軌跡を示す拡大図である。
【図7】 切断過程の詳細を表す図である。
【図8】 切断過程の詳細を表す図である。
【図9】 変形例に係る切断部材およびその周辺構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一実施形態に係る切断装置は、巻取装置におけるウェブの巻き取りを旧コアから新コアへ切り替える際に、旧コアに架け渡されたウェブを切断する。ここで、「旧コア」とはウェブが満巻き状態等となって取り替えを要する巻取コアを意味し、「新コア」とはウェブが巻かれる前の巻取コアを意味する。この切断装置は、ウェブに当接してこれをガイド可能なガイドロールと、ガイドロールと同心の回動軸を有する切断部材と、切断部材を駆動する駆動部を備える。
【0013】
(1)接線方向に延びる刃の採用
切断工程に移行されると、ガイドロールが新コアと対向配置されるとともにウェブの片側面に当接する。このとき、ウェブはガイドロールと新コアとの隙間を通って旧コアに架け渡される状態となり、新コアに対しては非接触の状態を保つ。ガイドロールは、旧コアによる巻き取り最終工程においてウェブを搬送方向にガイドしつつ回転する。巻取コアの巻き替えは、旧コアおよび新コアを所定の回転速度で回転させた状態で連続的に行われる。つまり、巻き替えに際してウェブの巻き取りが中断されることがない巻継ぎが行われる。ガイドロールがウェブに当接した状態で切断部材が駆動されると、ガイドロールと新コアとの隙間を切断部材の刃がその延在方向に通過する。このため、ウェブの厚みに対して刃の動作ストロークを十分に大きくとることができ、その刃を延在方向に振り抜くような形でウェブを容易に切断することができる。
【0014】
ガイドロールは、切断部材の回動軸に回転自在に支持される。ガイドロールは、その回転軸に軸受を介して取り付けられてもよい。切断工程においては、移動機構がその回動軸を退避位置から作動位置に移動させ、ガイドロールをウェブに当接させる。このとき、切断部材の刃先がウェブから離間した状態が維持されるため、ウェブの表面が傷つけられることはない。駆動部は、ガイドロールがウェブに当接した状態で切断部材を切断方向に回動させる。このように、ウェブの切断に際してガイドロールを切断箇所の近傍に位置させることで、ウェブに適度なテンションを与えつつ安定した切断を実現することができる。
【0015】
切断部材は、ガイドロールの同心円に沿って延びる円弧状とされるのが好ましい。このようにすれば、ガイドロールと新コアとの隙間を小さくしても、その同心円を適切に設定することにより、刃が延在方向にその隙間を容易に通過することができる。言い換えれば、刃の動作ストロークを十分に維持しつつ、ガイドロールと新コアとを近づけることができる。その結果、ウェブの切断位置と新コアとを近接させることができ、切断されたウェブの先端部を速やかに新コアに貼り付けることができる。
【0016】
より具体的には、切断部材の刃先がウェブに当接して切り込みを開始するポイントが、ガイドロールと新コアとの最近接ポイントよりも回動方向手前に位置するようにしてもよい。ウェブの切断過程においてもウェブの搬送は継続されるため、このように構成することで、ウェブの切り込みが進むにつれてその先端部を新コアに近づけることができる。切断完了ポイントが最近接ポイントにほぼ一致するように調整すれば、切断されたウェブの先端部を新コアに対して最も近接させた状態でその新コアに向けて押しやることができ、効率的にウェブを貼り付けることが可能となる。
【0017】
切断部材の刃は、その刃先が尖るとともに刃元に向けてエッジ面が形成された形状を有するのが好ましい。このように尖った刃先とすることで、ウェブの厚みが大きくても容易に切り込むことができる。そして、その切り込みが進むにつれてその切り込み箇所がウェブの幅方向に移動するようになる。これにより、あたかもウェブの幅方向にランニングカッターを動作させたような作用を得ることができる。具体的には、刃先から刃幅方向両側にエッジ面を形成するノコ刃を連続的に設ける態様とするのが好ましい。
【0018】
(2)切断部材と押圧部との一体化
また、本実施形態のウェブの切断装置においては、切断部材の刃の切断駆動方向後側に押圧部が一体に設けられる。この押圧部は、切断部材によるウェブの切断動作に連続するようにそのウェブの先端部を新コアの外周面に対して押圧する押圧面を有する。押圧部は、切断部材に一体成形されてもよいし、別体にて構成され、切断部材に一体に組み付けられるものでもよい。本実施形態においては、ウェブの切断完了と同時又はその後速やかに押圧部による押圧が開始される。このようにウェブの切断と押圧を連続させることにより、切断されたウェブの先端部に折れ込みが発生することを確実に防止できるようになる。
【0019】
押圧部は、刃の切断駆動方向後側に一体に固定された弾性体からなるのが好ましい。弾性体により適度な圧着力を付与することができ、また押圧部と新コアとの位置関係に微小な誤差があったとしても、これを吸収できるからである。なお、変形例においては、押圧部を切断部材の刃と同じ材質(例えば金属)にて構成し、これらを一体成形してもよい。その場合、切断部材の刃を回動軸を中心とする円弧状に構成する場合には、押圧部をその刃よりもやや大きい外接円を有する円弧状に構成するとよい。
【0020】
なお、変形例においては、切断部材の刃をフラットに構成し、新コアの接線方向に刃先を向けてその接線方向に並進駆動してもよい。その場合、押圧部もフラットとし、最近接ポイントにおける押圧面と新コアとの距離が、刃と新コアとの距離よりも小さくなるように構成するとよい。
【0021】
駆動部は、切断工程における新コアの接線速度よりも切断部材の移動速度を大きくする。これにより、ウェブの切断箇所に押圧部が速やかに追いつき、ウェブの先端部を新コアに確実に貼り付けることができる。好ましくは、切断部材によるウェブの切断完了位置と、押圧部による押圧開始位置とがほぼ等しくなるよう、刃と押圧部との位置関係および切断部材の移動速度が定められるのがよい。
【0022】
押圧部は、切断部材の移動とともにウェブに当接する押圧位置が移動するよう、所定長さの押圧面を有するのがよい。このようにすれば、ウェブの先端部を所定範囲にわたって新コアに連続的に貼り付けることができ、その貼り付け強度も確保される。その結果、その後の新コアへの巻き取りがより安定に行えるようになる。
【0023】
より具体的には、切断部材および押圧部が、共通の回動軸を中心とする円軌道に沿って駆動される円弧状の本体を有してもよい。そして、最近接ポイントが回動軸と新コアの回転軸とを結ぶ直線上に位置し、押圧部は、最近接ポイントにてウェブを新コアに押圧するようにしてもよい。
【0024】
[実施例]
以下、図面を参照しつつ本発明を具体化した実施例について説明する。まず、切断装置が適用されるウェブの巻取装置の概要について説明する。図1および図2は、実施例に係るウェブの巻取装置を模式的に表す図である。図1は巻取工程の様子を示し、図2は巻替工程(切断工程)の様子を示す。
【0025】
図1に示すように、巻取装置10は、装置本体12および巻替装置14を備える。巻取装置10は、製膜ラインの最終工程にて用いられ、その上流工程から連続的に送られてくるウェブWを巻き取り、ウェブロールとして製品化する。本実施形態ではウェブWの材質としてポリエチレンを採用し、その厚みが100?300μmの範囲となるように製膜される。なお、変形例においてはその他のプラスチックフィルム、紙、金属泊等により基材シートを形成してもよく、その厚みも適宜設定することができる。
【0026】
装置本体12は、ターレット式の巻取機として構成され、支持アーム16とガイドアーム18とが支柱20に回転自在に支持されている。支持アーム16とガイドアーム18とは互いに90度をなすように固定され、十字状のターレットアームを構成する。支柱20には回転軸22が設けられ、そのターレットアームの中央部が固定されている。
【0027】
支持アーム16の両端部には巻取軸24がそれぞれ設けられている。各巻取軸24には、巻取コア26a,26bが着脱可能に取り付けられる。支持アーム16は、ウェブWの巻取制御時には水平に保持され、巻替装置14に近い側の巻取コアにウェブWが巻き取られる。ここでは便宜上、巻替装置14に近い側の巻取コアの保持位置を「巻取位置」、巻替装置14に遠い側の巻取コアの保持位置を「待機位置」とも称す。各巻取軸24には、これを回転させる図示しないモータがそれぞれ設けられる。これらのモータは、駆動回路を備え、図示しない制御部により駆動される。巻取位置の近傍には、その巻取位置にて回転する巻取軸24の回転数を検出するための回転センサが設けられている。
【0028】
巻取制御中の巻取コアが満巻きになると、支持アーム16が回転軸22を中心に180度回転され、巻取位置にあった満巻きの巻取コアと待機位置にあった空の巻取コアとが切り替えられ、ウェブWの巻き替えが行われる。ここでは便宜上、図示の状態を参照して巻取コア26aを切り替え元である「旧コア26a」とも称し、巻取コア26bを切り替え先である「新コア26b」とも称す。旧コア26aから新コア26bへの巻き替えは、その過程で旧コア26aの回転を停止させることなく行われる。つまり、旧コア26aの最終段階の巻き取りを継続させつつ、新コア26bを適度な速度で回転させながら連続的に巻き替えるよう制御がなされ、巻き取り制御の中断がない。すなわち、巻き替えに際して製膜ラインを逐一停止させる必要がなく、巻き取り処理を効率良く進められるようにされている。待機位置に移動された満巻きの旧コア26aは、別の新コアに交換される。
【0029】
なお、ここでいう「満巻き」とは、巻取コアに巻回されたウェブWの径が予め設定された値(製品径)となった状態をいう。制御部は、予め入力された巻取コアの径やウェブWの厚みの情報、および回転センサにより検出される巻取軸24の回転数情報に基づいて現在のウェブWの径を算出し、満巻きと判定したときに巻き替え処理を実行する。なお、新コア26bの外周面には、図示しない両面テープが予め貼り付けられており、ウェブWを当接させることによりその貼り付けが可能とされている。
【0030】
ガイドアーム18の両端部には、それぞれガイドロール28が取り付けられている。このガイドロール28は、巻き替えに際してターレットアームが回転されたときに、旧コア26aに架け渡されたウェブWのテンションを適度に維持しつつ、その後の切断工程に向けてウェブWの延在方向を適切に保持する。
【0031】
巻替装置14は、フレーム30にて切断装置32、タッチロール34、複数のガイドロール36等を支持するようにして構成される。切断装置32は、巻取コアの切り替えに際して旧コア26aに架け渡されたウェブWを切断する装置である。複数のガイドロール36は、ウェブWの製膜ラインに沿って配置され、ウェブWの搬送方向を規定するとともにそのテンションを適切に保持する。タッチロール34は、巻取工程においては巻取コアに巻回されるウェブWの外周面に一定の圧力で当接して安定した巻き取り処理を維持する一方、切断工程においてはウェブWの延在方向を切断に好適に保持する。
【0032】
切断装置32は、切断部材40、ガイドロール44、およびそれらを支持する一対の支持アーム46を含む。一対の支持アーム46は、フレーム30の幅方向(図の奥行き方向)に離間して設けられ、切断部材40の回動軸42の一端側および他端側をそれぞれ支持する。支持アーム46はL字状の本体を有し、その基端部が取付軸48を介してフレーム30に揺動自在に取り付けられている。支持アーム46の先端部に回動軸42が回動可能に支持されている。図2にも示すように、各支持アーム46は、フレーム30に支持された一対のエアシリンダ50により、図中点線にて示す退避位置と実線にて示す作動位置との間で進退駆動される。
【0033】
すなわち、図2に示すように、巻替工程において旧コア26aと新コア26bとが切り替えられると、切断工程に移行されて支持アーム46が作動位置に駆動される。それにより、ガイドロール44が新コア26bと近接して対向配置される。このとき、ガイドロール44がウェブWの上面に所定のテンションにて当接し、巻き取りによるウェブWの移動にしたがって回転する。ただし、この状態ではウェブWと新コア26bとの間に十分な隙間が形成されるため、ウェブWが切断開始前に新コア26bに貼り付くことはない。このガイドロール44の当接により、ウェブWがタッチロール34とガイドロール44との間に張設される形となる。すなわち、ウェブWの切断前にその切断対応部の長さを短くすることができ、後述する切断処理を安定に実行することが可能となる。
【0034】
次に、切断装置32の構成について詳細に説明する。図3は、切断装置32の主要部周辺の構成を表す図である。図4は、切断部材40およびその周辺構成を示す図である。(a)は切断部材40の側面図であり、(b)は(a)のA方向矢視図であり、(c)は(a)のB方向矢視図である。
【0035】
図3に示すように、切断部材40は、断面円弧状で図の奥行き方向に延びる刃52と、その刃52の両端部をそれぞれ支持する一対のホルダ54を含む。各ホルダ54は、一対の支持アーム46にそれぞれ回動可能に支持されている。刃52のホルダ54とは反対側面には、押圧部材56が設けられている。押圧部材56は、弾性体(例えばゴム)からなり、刃52の刃先近傍を除く形でその全長にわたって貼り付けられている。このため、押圧部材56も図示のように断面円弧状をなしている。ホルダ54には、回動軸42を軸線とする円形のギヤ58が固定されている。
【0036】
図4に示すように、刃52は、その先端側端縁に沿ったノコ刃とされ、その刃先が尖るとともに刃元に向けて幅方向両側にエッジ面52aが形成された鋭利な形状を有する。本実施形態では、刃52の刃先から刃元までの高さhが15mmとされている。また、刃52の厚みが2mm、押圧部材56の厚みが8mmとされている。刃52は、ホルダ54と押圧部材56とに挟まれる本体部57と、本体部57の先端から接線方向に延出する刃部59とを含む。本体部57は、回動軸42を中心とする円(ガイドロール44との同心円)に沿う円弧形状を有する。刃部59はフラットに構成されるが、刃52を全体としてみればほぼ円弧状となっている。
【0037】
一方、ガイドロール44は、図示しない軸受を介して回動軸42に回動自在に支持されている。すなわち、ガイドロール44は、切断部材40と同心の回転軸を有するが、切断部材40とは独立に回転可能とされている。ギヤ58は、ホルダ54の外側にて回動軸42に固定されている。
【0038】
図3に戻り、支持アーム46には、切断部材40を駆動するための切断駆動装置60が設けられている。切断駆動装置60は、エアシリンダ62と駆動ギヤ64を含む。エアシリンダ62は、その本体が支持アーム46に固定され、その本体に対して作動ロッド66が進退駆動される。駆動ギヤ64は扇形状をなし、支持アーム46に固定された回動軸68を中心に回動可能に支持されている。駆動ギヤ64は、その中央部が回動軸68に支持され、その回動軸68を挟む一方の側の端部(扇形の中心である基端部)が作動ロッド66の先端部に回動自在に連結され、他方の側の端縁部(扇形の周縁である先端部)がギヤ58と噛合している。
【0039】
このような構成により、エアシリンダ62が作動すると、駆動ギヤ64が図中破線にて示す待機位置から実線にて示す作動位置に動作し、ギヤ58を図中反時計方向に回動させる。それにより、切断部材40が図中破線にて示す退避位置から実線にて示す切断位置に駆動される。エアシリンダ62の作動をオフにすると、駆動ギヤ64が逆方向に動作し、それにより切断部材40が退避位置に戻される。
【0040】
次に、切断装置32による切断工程について説明する。図5は、切断工程における切断処理を模式的に示す斜視図である。(a)はウェブWの切断前の状態を示し、(b)は切断後の状態を示している。図6は、切断工程における切断部材40の軌跡を示す拡大図である。図7および図8は、切断過程の詳細を表す図である。図7(a)?(d)は、切断処理開始から切断が完了するまでの動作過程を示す。図8(a)?(f)は、切断直前から直後の動作過程をより詳細に示している。
【0041】
図5(a)に示すように、切断工程においてはまず、支持アーム46(図2参照)が退避位置から作動位置に駆動され、ガイドロール44が新コア26bと間にウェブWを介在させるようにして対向配置される。このとき、ガイドロール44は、ウェブWの片側面(上面)に当接し、そのウェブWを旧コア26a(図2参照)による巻き取り方向へガイドする。すなわち、旧コア26aの巻き取りによるウェブWの搬送にしたがってガイドロール44が回転する。新コア26bは、旧コア26aと等速度で回転する。
【0042】
一方、切断部材40は、支持アーム46の移動により回動軸42が定位置に停止するまでは待機位置に保持され、刃52がウェブWから離間した状態を維持するが、回動軸42がその定位置に停止すると、図5(b)に示すように、所定タイミングで回動される。このとき、切断部材40の回動速度が旧コア26aおよび新コア26bの回転速度(つまりウェブWの搬送速度)よりも大きくされるため、刃52がウェブWに切り込み、これを切断することができる。本実施形態では、切断工程においてウェブWの搬送速度が60?100m/minとなり、刃52の移動速度(接線速度)がその2?3倍となるように、切断部材40および新コア26bの各回転速度が設定されている。
【0043】
図6に示すように、切断部材40は、ガイドロール44と同心の回動軸42を有し、その同心円のほぼ接線方向に延びる刃52を有する。刃52は、その同心円に沿って延びる円弧状をなす。切断工程において切断部材40が回動されると、ガイドロール44と新コア26bとの隙間を刃52がその延在方向に通過する。このとき、刃52は、新コア26bとの最近接ポイントPを新コア26bのほぼ接線方向に通過する。なお、最近接ポイントPは、切断部材40の回動軸42と新コア26bの巻取軸24とをつなぐ直線上に位置する(破線参照)。
【0044】
押圧部材56は、刃52の回動方向後側に一体に設けられ、その外周面がウェブWを新コア26bに対して押圧するための押圧面となる。その押圧面は、切断部材40の回動とともにウェブWに当接する押圧位置が移動するよう円弧形状をなしている。
【0045】
図示のように、刃52の刃先の軌道(一点鎖線参照)よりも押圧部材56の押圧面の軌道(二点鎖線参照)のほうがやや径方向外側に位置するようになる。最近接ポイントPにおいて、押圧部材56の押圧面と新コア26bの外周面との間隔Dが所定値となるよう回動軸42の停止位置が設定される。本実施例では、間隔Dを0?2mmの範囲で調整することができる。すなわち、制御部は、ウェブWの厚みに応じてその貼り付けに間隔Dが最適となるよう回動軸42の位置を調整する。本実施形態では、最近接ポイントPにおいて、刃先の外接円と新コア26bの外周面との距離がウェブWの厚みよりも大きく、押圧部材56の押圧面と新コア26bの外周面との間隔DがウェブWの厚みと同等かそれより小さくなるように調整される。
【0046】
切断工程においてはまず、図7(a)に示すように、切断部材40およびガイドロール44が所定位置に駆動される。このとき、刃52の刃先がウェブから離間した状態が維持されつつガイドロール44がウェブWに当接する。このとき、ウェブWにおける切断対応箇所がタッチロール34とガイドロール44との間に短い間隔にて支持される。このように切断対応箇所を安定に保持した状態で切断部材40を駆動する。
【0047】
それにより、図7(b)に示すように、切断部材40の刃先がウェブWに当接したポイントから切り込みが開始し、図7(c)および(d)に示すように、切断部材40の刃元付近でウェブWが前後に切断される。すなわち、刃先がウェブに当接して切り込みを開始するポイントが、ガイドロール44と新コア26bとの最近接ポイントよりも回動方向手前に位置し、刃元がその最近接ポイントに位置したあたりでウェブWの前後が切り離される。なお、図7(b)に示される切り込み開始ポイントにおいて当接する刃52とウェブWとのなす角はほぼ90度とされている。
【0048】
そして、このウェブWの切断の連続するように、その切断されたウェブWの先端部が押圧部材56によって新コア26bの外周面に押し付けられ、貼着される。これにより、新コア26bの巻き取り始点にウェブWの折り返しを発生させることなく、その巻き取りを安定に開始させることができる。
【0049】
より詳細には、図8(a)に示すように、刃52の刃先がウェブWに当接して以降、ウェブWがその当接部を先頭にやや凸状に変形する。その結果、刃52の刃元がウェブWに到達する切断ポイントbよりも後側のポイントaにてウェブWが新コア26bに当接する。このため、そのポイントaにおいて局所的な貼り付けが生じる。しかし、切断部材40の回動速度が新コア26bの回転速度よりも大きくされているため、図8(b)および(c)に示すように、押圧部材56が速やかに切断ポイントbに追いつく。それ以降、押圧部材56の押圧面がウェブWを連続的に押圧するため、図8(d)および(e)に示すように、切断ポイントbからaにかけて皺のない連続的な貼り付けを実現することができる。そして、図8(f)に示すように切断部材40がウェブWから完全に離間した後、切断部材40は退避位置に戻される。
【0050】
以上に説明したように、本実施例の切断装置32においては、ウェブWの切断に際して切断部材40が駆動されると、その刃52が新コア26bとの最近接ポイントをその新コア26bのほぼ接線方向に通過する。この最近接ポイントにおける新コア26bの接線方向は、その最近接ポイントにおける刃52の延在方向とほぼ一致する。このため、切断に際してウェブWを新コア26bに近接させたときの刃52の動作ストロークを十分に大きくとることができ、厚みのあるウェブWであっても容易に切断することができる。
【0051】
また、ウェブWの切断とほぼ同時又は切断後直ちに押圧部材56による押圧が開始される。すなわち、ウェブの切断と押圧が連続的に行われることにより、切断されたウェブの先端部に折れ込みが発生することを確実に防止することができる。また、ウェブの切断前から押圧部による押圧が開始されることがないため、切断部材の回動速度と新コアの回転速度を合わせる必要がない。さらに、切断部材をその回動軸を中心に回動させるのみでウェブの切断と巻継ぎができるため、複雑な構造や制御を要せず、簡易かつ低コストに実現することができる。
【0052】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0053】
(変形例1)
上記実施例では、切断部材40の刃52をノコ刃状に構成する例を示したが、刃の形状については種々の態様を採用できることは言うまでもない。図9は、変形例に係る切断部材およびその周辺構成を示す図である。(a)は切断部材の側面図であり、(b)は(a)のB方向矢視図である。
【0054】
本変形例では、切断部材240の刃252の刃先形状が、上記実施例よりも幅広とされている。すなわち、切断部材240の長手方向の刃の数は上記実施例よりも少ない。ただし、刃先が尖るとともに刃元に向けて幅方向両側にエッジ面252aが形成された鋭利な形状を有する点では同様である。このような構成であっても、ウェブWへの切り込みが進むにつれて刃252の切り込み位置がウェブWの幅方向に移動する形で切断が進められるようになり、上記実施例と同様に良好な切断を実現することができる。なお、さらなる変形例においては、切断部材の刃をノコ刃ではなく、ストレート刃としてもよい。ウェブWの厚みが特に小さい場合には、ストレート刃でも有効となると考えられる。
【0055】
また、本変形例では、押圧部256が刃252の後側に一体成形されている。すなわち、刃252の本体部が押圧部256となり、その押圧部256の押圧面が刃部のテーパ面258と連続的につながる形状とされている。このような構成により、切断と押圧(貼り付け)との連続性を滑らかにすることができる。
【0056】
(変形例2)
上記実施例においては、切断時の押さえとなるガイドロール44を切断部材40と同心状に設ける構成とした。変形例においては、これらを互いの軸線がある程度離れるように配置してもよい。ただし、切断処理の安定化を図るためには、切断部材40の回動に干渉しない程度にガイドロール44を近接させるのが好ましい。
【0057】
(変形例3)
上記実施例においては、切断処理を開始する前にガイドロール44をウェブWに当接させ、切断対応箇所を短くすることにより安定した切断処理を実現できる構成とした。変形例においては、このガイドロール44を省略してもよい。すなわち、図2に示したタッチロール34とガイドロール28との間に切断対応箇所を設定し、切断部材40による切断を新コア26bの近接位置にて行ってもよい。つまり、切断対応箇所を支持するロールの距離によっては別途ガイドロールを設けなくとも、切断部材の回動により刃を振り抜く構成とすることで、ウェブWの切断性能をある程度高く維持することができる。その場合、切断部材40が巻取工程において干渉しない位置に回動軸42を設けることで、切断工程ごとに切断部材40を移動させる機構を省略することができる。
【0058】
(変形例4)
上記実施例においては、上記切断装置32を製膜ラインの最終工程に設けられた巻取装置10に適用する例を示した。変形例においてはその他、種々の製造ラインの巻取装置に適用することもできる。例えば、基材シートを貼り合わせるラミネート装置の最終工程に巻取装置を設け、その巻取装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 巻取装置、 12 装置本体、 14 巻替装置、 16 支持アーム、 18 ガイドアーム、 24 巻取軸、 26a 旧コア、 26b 新コア、 28 ガイドロール、 32 切断装置、 40 切断部材、 42 回動軸、 44 ガイドロール、 46 支持アーム、 52 刃、 54 ホルダ、 56 押圧部材、 58 ギヤ、 60 切断駆動装置、 240 切断部材、 252 刃、 W ウェブ。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブの巻き取りを旧コアから新コアへ切り替える際に、前記旧コアに架け渡されたウェブを切断するウェブの切断装置であって、
回動軸を中心とする円のほぼ接線方向に延びる刃を有する切断部材と、
前記切断部材の刃が前記新コアとの最近接ポイントを前記新コアのほぼ接線方向に通過するよう前記切断部材を回動させることによりウェブを切断する駆動部と、
切断工程において前記新コアとの間にウェブを介在させるようにして対向配置されることによりウェブの片側面に当接し、そのウェブを前記旧コアの巻き取り方向へガイド可能なガイドロールと、
切断部材の回動方向後側に設けられ、断面形状が前記回動軸を中心とする円弧状である外周面により、前記切断部材によるウェブの切断動作に連続するようにそのウェブの先端部を前記新コアの外周面に対して押圧する押圧部と、を備え、
前記切断部材および前記押圧部は、前記ガイドロールと同心の前記回動軸を有することを特徴とするウェブの切断装置。
【請求項2】
前記切断部材は、前記ガイドロールと同心の円のほぼ接線方向に延びる刃を有し、
前記駆動部は、前記ガイドロールと前記新コアとの隙間を前記切断部材の刃がその延在方向に通過するよう前記切断部材を回動させることによりウェブを切断することを特徴とする請求項1に記載のウェブの切断装置。
【請求項3】
前記ガイドロールが前記切断部材の回動軸を中心に回転自在に支持され、
前記切断工程において前記切断部材の刃先がウェブから離間した状態を維持しつつ前記ガイドロールをウェブに当接させるように前記回動軸を移動させる移動機構を備え、
前記駆動部は、前記ガイドロールがウェブに当接した状態で前記切断部材を切断方向に回動させることを特徴とする請求項2に記載のウェブの切断装置。
【請求項4】
前記切断部材が、前記ガイドロールの同心円に沿って延びる円弧状の本体を有することを特徴とする請求項2または3に記載のウェブの切断装置。
【請求項5】
前記切断部材の刃先がウェブに当接して切り込みを開始するポイントが、前記ガイドロールと前記新コアとの最近接ポイントよりも回動方向手前に位置することを特徴とする請求項2?4のいずれかに記載のウェブの切断装置。
【請求項6】
前記切断部材の刃は、その刃先が尖るとともに刃元に向けてエッジ面が形成された形状を有することを特徴とする請求項1?5のいずれかに記載のウェブの切断装置。
【請求項7】
前記押圧部が前記切断部材と一体に設けられていることを特徴とする請求項1?6のいずれかに記載のウェブの切断装置。
【請求項8】
前記押圧部は、前記切断部材の回動とともにウェブに当接する押圧位置が移動することを特徴とする請求項7に記載のウェブの切断装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-10-11 
出願番号 特願2013-131091(P2013-131091)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B65H)
P 1 651・ 113- YAA (B65H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西本 浩司  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 森次 顕
藤本 義仁
登録日 2016-07-08 
登録番号 特許第5963713号(P5963713)
権利者 住友重機械モダン株式会社
発明の名称 ウェブの切断装置  
代理人 森下 賢樹  
代理人 森下 賢樹  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ