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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1335382
審判番号 不服2017-5072  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-10 
確定日 2018-01-09 
事件の表示 特願2013- 13775「ゲーム装置、操作デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 8月14日出願公開、特開2014-146140、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年1月28日の出願であって、平成28年8月26日付けで拒絶理由通知がされ、同年10月31日付けで手続補正がされ、同年12月22日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年4月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に、手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年12月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1-4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物1-6に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.実願昭57-95900号(実開昭59-2040号)のマイクロフィルム
2.特開2004-171162号公報
3.特開平3-161799号公報
4.特開2002-169654号公報
5.特開2009-189503号公報
6.HORI - 「電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム」専用コントローラー ツインスティックEX,2009年,URL,http://www.hori.jp/products/xbox360/controller/xbox360_twin_stick_ex/

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正のうち、特許請求の範囲に関する補正は、補正前の請求項1,4に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「前記部材の長さ方向の間に設けられ、前記部材の一端を移動可能に支持する支持機構」に関して、「前記部材の一端が移動されることで、前記部材の他端を軸により前記一端が移動される方向と逆方向に移動可能とするように前記部材を支持する」と限定し、補正前の請求項1,4に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「前記部材の他端の移動を許容する範囲に応じた間隔を前記部材との間に設けて配置され、前記部材の他端が移動することにより接触する衝撃を和らげるための緩衝部材」に関して、「前記部材の他端の移動を許容する範囲に応じた間隔を、前記部材の一端が移動されていない状態における前記部材との間に設けて配置され、前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動することにより接触する衝撃を和らげると共に前記部材の他端の移動を制限する」と限定し、また、請求項3を削除したものである。
そして、補正の前後において、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、上記特許請求の範囲に関する補正は、特許請求の範囲の減縮及び請求項の削除を目的とするものに該当する。
また、「部材の一端」が移動されることで、「部材の他端」を「軸」により一端が移動される方向と逆の方向に移動することは、発明の詳細な説明の段落【0093】-【0100】、図19-図23の記載より明らかであり、「緩衝部材」が「部材の一端」が移動されていない状態で「部材」との間に設けて配置され、「部材の一端」の移動に伴って「部材の他端」の移動を制限することは、段落【0103】-【0108】、図20-図23の記載より明らかであるから、上記特許請求の範囲に関する補正は、当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-3に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、平成29年4月10日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
プッシュボタンと、
前記プッシュボタンを一端に設けた所定の長さを有する部材と、
前記部材の長さ方向の間に設けられ、前記部材の一端が移動されることで、前記部材の他端を軸により前記一端が移動される方向と逆方向に移動可能とするように前記部材を支持する支持機構と、
前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動する方向を検出する検出手段と、
前記部材の他端の移動を許容する範囲に応じた間隔を、前記部材の一端が移動されていない状態における前記部材との間に設けて配置され、前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動することにより接触する衝撃を和らげると共に前記部材の他端の移動を制限するための緩衝部材とを具備したことを特徴とする操作デバイス。
【請求項2】
前記支持機構は、
前記部材を回動可能に支持する第1軸と、
前記第1軸を支持する第1軸受け部材と、
前記第1軸受け部材を回動可能に支持する、前記第1軸と直交する第2軸と、
前記第2軸を支持する第2軸受け部材とを有することを特徴とする請求項1記載の操作デバイス。
【請求項3】
プレーヤにより操作される操作デバイスと、
前記操作デバイスに対する操作に応じてゲームを制御するゲーム制御手段とを具備し、
前記操作デバイスは、
プッシュボタンと、
前記プッシュボタンを一端に設けた所定の長さを有する部材と、
前記部材の長さ方向の間に設けられ、前記部材の一端が移動されることで、前記部材の他端を軸により前記一端が移動される方向と逆方向に移動可能とするように前記部材を支持する支持機構と、
前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動する方向を検出する検出手段と、
前記部材の他端の移動を許容する範囲に応じた間隔を、前記部材の一端が移動されていない状態における前記部材との間に設けて配置され、前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動することにより接触する衝撃を和らげると共に前記部材の他端の移動を制限するための緩衝部材とを有し、
前記ゲーム制御手段は、
前記プッシュボタンに対する押下と前記検出手段による検出に応じてゲームを制御することを特徴とするゲーム装置。」

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

a)「本考案は、種々のスイッチを選択的にオン,オフ動作させ例えばゲーム装置等のキャラクタ(文字,図形等)の動きを制御するため等に用いるジョイスティック制御装置に関する。」(明細書第1頁16-19行の記載。下線は当審で付与。以下、同様。)

b)「本考案は、上述の欠点を解消するために提案されたもので制御ハンドルAの押し倒しによる第1スイッチ制御のみならず第2のスイッチをも片手で制御できる操作性の高いジョイスティック制御装置を提供することを目的とする。
以下、本考案を図面を参照してその実施例について説明する。第1図は、本考案の一実施例の斜視図である。1は、制御ハンドルで前後左右、各方向に傾斜させることにより第2図の複数の圧力作動式スイッチである第1のスイッチSW1,SW2,SW3,SW4を制御し例えばゲーム装置の陰極線管に表示された図形等のキャラクタの座標位置を移動せしめるものである。これらのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4は、休止位置である中立位置にある制御ハンドル1の軸線に関して直角を成す共通の平面上に配設される。そして、変形自在な弾性環状部材2がスイッチSW1,SW2,SW3,SW4上に冠着される。弾性環状部材2によって制御ハンドル1を軸線に関し各方向に傾斜させても中立位置に復元される。これらのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4は台部3によって内包される。キャラクタを動作せしめる第2のスイッチSW5は制御ハンドル1の頭頂部4に配設される。このスイッチSW5を指で押してオン動作とすることにより例えば、戦車のキャラクタが砲弾を発射する等の動作を行わせることができる。」(明細書第2頁13行-明細書第3頁第19行の記載。)

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、ジョイスティック制御装置として、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

「制御ハンドル1は、前後左右、各方向に傾斜させることにより、複数の圧力作動式スイッチである第1のスイッチSW1,SW2,SW3,SW4を制御し、例えばゲーム装置の陰極線管に表示された図形等のキャラクタの座標位置を移動せしめるものであり、
これらのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4は、休止位置である中立位置にある制御ハンドル1の軸線に関して直角を成す共通の平面上に配設され、これらのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4は台部3によって内包されるものであり、
キャラクタを動作せしめる第2のスイッチSW5は制御ハンドル1の頭頂部4に配設され、このスイッチSW5を指で押してオン動作とする
ジョイスティック制御装置。」

また、上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、ゲーム装置として、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)も記載されている。

「制御ハンドル1は、前後左右、各方向に傾斜させることにより、複数の圧力作動式スイッチである第1のスイッチSW1,SW2,SW3,SW4を制御し、例えばゲーム装置の陰極線管に表示された図形等のキャラクタの座標位置を移動せしめるものであり、
これらのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4は、休止位置である中立位置にある制御ハンドル1の軸線に関して直角を成す共通の平面上に配設され、これらのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4は台部3によって内包されるものであり、
キャラクタを動作せしめる第2のスイッチSW5は制御ハンドル1の頭頂部4に配設され、このスイッチSW5を指で押してオン動作とすることにより例えば、戦車のキャラクタが砲弾を発射する等の動作を行わせることがでるジョイスティック制御装置を有し、
ジョイスティック制御装置によりキャラクタの動きを制御する
ゲーム装置。」

2.引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落【0019】、【0022】-【0027】、【0038】-【0039】及び図3、5の記載からみて、当該引用文献2には、
「コントロール・レバー101は、放射状の全ての方向に、所定の揺動幅をもって揺動可能であり、
軸受部材のほぼ中央に形成された貫通孔を貫通し、ばねを介して軸受部材302に取り付けられ、傾倒されると、下端部が支持部材303の貫通孔の縁部に当接し、揺動幅が決定されるものであり、
4つのマイクロスイッチ304のそれぞれは、軸受部材302と支持部材303との間、アセンブリ300内に挿入され、アセンブリ内に形成される収容部の所定位置に設置され、
コントロール・レバーの下側端部505は、揺動することによってマイクロスイッチのボタンを押圧し、マイクロスイッチを動作させる」
という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献3について
また、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の第3頁右上欄第12-17行及び第2図の記載からみて、当該引用文献3には、ジョイスティック機構の操作棒4は自在回転部6に装着され、この自在回転部6はリング11に対しY方向の軸廻りに回転可能に装着され、このリング11は筐体底面に固定された支持アーム12に対しX方向の軸廻りに回転可能に装着されるという技術的事項が記載されていると認められる。

4.引用文献4について
また、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4の段落【0048】-【0050】及び図1の記載からみて、当該引用文献4には、操作スティック20を前後左右のあらゆる方位に傾倒操作する際、軸受13と軸受ベース11の軸受面11dで良好な自在軸受機能が得られ、操作スティック20のあらゆる方位の傾倒操作に対してジンバル機構を変換手段として直交する2軸に沿う変位量に分解し、ジンバル機構としては、操作スティック20を前後左右、任意の方向に傾倒した際、それに連動して直交する2軸に沿って揺動動作する一対のガイド50a,50bと、ガイド50a,50bにそれぞれ一体化している円弧状ラチェット51a,51bと、それら円弧状ラチェット51a,51bとそれぞれ噛合するピニオン60a,60bとから構成するという技術的事項が記載されていると認められる。

5.引用文献5について
また、原査定で提示された上記引用文献5の段落【0030】-【0037】、【0067】及び図3、図16の記載からみて、当該引用文献5には、
「ジョイダイヤルの回転量ないしは回転位置に応じて操作対象の向きを変えさせるように構成された遊戯機用入力装置1は、ダイヤル2、シャフト6、スイッチ体11、カム12、等を備えた構成となっており、
ダイヤル2はシャフト6の上端に固定されており、プレイヤが回すことによって当該シャフト6等を一体的に回転させるように構成されてり、
マイクロスイッチは2進信号を出力する信号出力手段として機能するスイッチ体11であり(以下、マイクロスイッチ11ともいう)、例えば4つがカム12の周囲に均等配置され、
カム12は、シャフト(操作軸)6に取り付けられて当該シャフト6等と一体的に回転する部材で、マイクロスイッチ11の押しボタン11D,11L,11U,11Rを押圧することが可能な接触部12aと押圧不可能な非接触部とが交互に形成された形状であり、
弾性を有する板ばね状の被覆部材21によって各押しボタン11D,11L,11U,11Rを覆っており、
カム12と各押しボタン11D,11L,11U,11Rとの間に介在する被覆部材21は、カム12の接触部12aとの接触領域(互いが擦れる領域)を線状に拡大させ、接触時に接触部12aが受ける圧力の変化を分散させて小さくする緩衝材となり、各押しボタン11D,11L,11U,11Rが急激に押されることを回避する」
という技術的事項が記載されていると認められる。

6.引用文献6について
また、原査定で提示された上記引用文献6の記載及び図面からみて、当該引用文献6には、左レバー、右レバーを有するコントローラーが記載されていると認められる。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。

ア.引用発明1の「指で押してオン動作とする」「第2のスイッチSW5」は、本願発明1の「プッシュボタン」に相当する。

イ.引用発明1の「制御ハンドル1」は、「第2のスイッチSW5」が「頭頂部4に配設」されるものであり、また、「制御ハンドル1の軸線」が想定されることを考慮すれば、所定の長さを有するものであることは明らかであるから、本願発明1の「前記プッシュボタンを一端に設けた所定の長さを有する部材」に相当する。

ウ.引用発明1の「制御ハンドル1は、前後左右、各方向に傾斜させる」ものであるから、「制御ハンドル1」を支持する機構を有することは明らかであり、引用発明1は、本願発明1の「前記部材の長さ方向の間に設けられ、前記部材の一端が移動されることで、前記部材の他端を軸により前記一端が移動される方向と逆方向に移動可能とするように前記部材を支持する支持機構」と「前記部材を支持する支持機構」である点で共通する構成を有するといえる。

エ.引用発明1の「制御ハンドル1」を「前後左右、各方向に傾斜させることにより」制御され、「休止位置である中立位置にある制御ハンドル1の軸線に関して直角を成す共通の平面上に配設され」る「複数の圧力作動式スイッチである第1のスイッチSW1,SW2,SW3,SW4」は、本願発明1の「前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動する方向を検出する検出手段」と「前記部材の一端の移動に伴って前記部材の移動する方向を検出する検出手段」である点で共通するといえる。

オ.引用発明1の「ジョイスティック制御装置」は、「操作デバイス」ともいい得るものである。

したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。

〈一致点〉
「プッシュボタンと、
前記プッシュボタンを一端に設けた所定の長さを有する部材と、
前記部材を支持する支持機構と、
前記部材の一端の移動に伴って前記部材の移動する方向を検出する検出手段と、
を具備した操作デバイス。」

〈相違点1〉
本願発明1では、「前記部材を支持する支持機構」が「前記部材の長さ方向の間に設けられ、前記部材の一端が移動されることで、前記部材の他端を軸により前記一端が移動される方向と逆方向に移動可能とするように前記部材を支持する」ものであるのに対し、引用発明1では、どのような構成の支持機構であるのか特定されていない点。

〈相違点2〉
本願発明1では、「検出手段」が「前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動する方向を検出する」ものであるのに対し、引用発明1では、「制御ハンドル1」の如何なる箇所の移動する方向を検出するものであるのか特定されていない点。

〈相違点3〉
本願発明1は、「前記部材の他端の移動を許容する範囲に応じた間隔を、前記部材の一端が移動されていない状態における前記部材との間に設けて配置され、前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動することにより接触する衝撃を和らげると共に前記部材の他端の移動を制限するための緩衝部材」を具備するものであるのに対し、引用発明1は、そのような部材を具備するものではない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討する。

上記「第5」の「5.」に記載されているとおり、引用文献5には、「回転量ないしは回転位置に応じて操作対象の向きを変えさせるように構成された遊戯機用入力装置1」の「シャフト(操作軸)6」に取り付けられた「カム12」により押圧される「マイクロスイッチ11の押しボタン」を「弾性を有する板ばね状の被覆部材21」で覆うことにより「被覆部材21」が緩衝材となり「押しボタン」が急激に押されることを回避する技術が記載されている。
しかしながら、引用文献5に記載された技術は、回転する「シャフト」に関する技術であり、「部材の他端の移動を許容する範囲に応じた間隔」が設けられるものではないから、相違点3に係る本願発明1の「前記部材の他端の移動を許容する範囲に応じた間隔を、前記部材の一端が移動されていない状態における前記部材との間に設けて配置され、前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動することにより接触する衝撃を和らげると共に前記部材の他端の移動を制限するための緩衝部材」という構成は、上記引用文献5に記載されているとはいえない。
また、上記相違点3に係る本願発明1の構成は、引用文献2-4,6にも記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって本願発明1は、その他の相違点を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明1、引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.請求項2について
本願発明2は、本願発明1を引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明1及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3.請求項3について
(1)対比
本願発明3と引用発明2とを対比する。

ア.引用発明2の「ジョイスティック制御装置」は、本願発明3の「プレーヤにより操作される操作デバイス」に相当する。

イ.引用発明2の「ゲーム装置」は、「ジョイスティック制御装置によりキャラクタの動きを制御する」ものであるから、「操作デバイスに対する操作に応じてゲームを制御するゲーム制御手段」といい得る構成を有することは明らかである。

ウ.引用発明2の「ジョイスティック制御装置」が「指で押してオン動作とする」「第2のスイッチSW5」を有することは、本願発明3の「操作デバイス」が「プッシュボタン」を有することに相当する。

エ.引用発明2の「制御ハンドル1」は、「第2のスイッチSW5」が「頭頂部4に配設」されるものであり、また、「制御ハンドル1の軸線」が想定されることを考慮すれば、所定の長さを有するものであることは明らかであるから、引用発明2の「ジョイスティック制御装置」が「制御ハンドル1」を有することは、本願発明3の「操作デバイス」が「前記プッシュボタンを一端に設けた所定の長さを有する部材」を有することに相当する。

オ.引用発明2の「制御ハンドル1は、前後左右、各方向に傾斜させる」ものであるから、引用発明2の「ジョイスティック制御装置」が「制御ハンドル1」を支持する機構を有することは明らかであり、引用発明2の「ジョイスティック制御装置」は、本願発明3の「操作デバイス」が有する「前記部材の長さ方向の間に設けられ、前記部材の一端が移動されることで、前記部材の他端を軸により前記一端が移動される方向と逆方向に移動可能とするように前記部材を支持する支持機構」と「前記部材を支持する支持機構」である点で共通する構成を有するといえる。

カ.引用発明2の「ジョイスティック制御装置」が、「制御ハンドル1」を「前後左右、各方向に傾斜させることにより」制御され、「休止位置である中立位置にある制御ハンドル1の軸線に関して直角を成す共通の平面上に配設され」る「複数の圧力作動式スイッチである第1のスイッチSW1,SW2,SW3,SW4」を有することは、本願発明3の「操作デバイス」が「前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動する方向を検出する検出手段」を有することと、「操作デバイス」が「前記部材の一端の移動に伴って前記部材の移動する方向を検出する検出手段」を有する点で共通するといえる。

キ.引用発明2の「ゲーム装置」は、「スイッチSW1,SW2,SW3,SW4を制御し、例えばゲーム装置の陰極線管に表示された図形等のキャラクタの座標位置を移動せしめ」、「スイッチSW5を指で押してオン動作とすることにより例えば、戦車のキャラクタが砲弾を発射する等の動作を行わせる」ものであるから、「スイッチSW5」に対する押下と「スイッチSW1,SW2,SW3,SW4」による検出に応じてゲームを制御するゲーム制御手段といい得る構成を有するのは明らかであり、当該構成は、本願発明3の「前記プッシュボタンに対する押下と前記検出手段による検出に応じてゲームを制御する」「ゲーム制御手段」に相当する。

したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。

〈一致点〉
「プレーヤにより操作される操作デバイスと、
前記操作デバイスに対する操作に応じてゲームを制御するゲーム制御手段とを具備し、
前記操作デバイスは、
プッシュボタンと、
前記プッシュボタンを一端に設けた所定の長さを有する部材と、
前記部材を支持する支持機構と、
前記部材の一端の移動に伴って前記部材の移動する方向を検出する検出手段とを有し、
前記ゲーム制御手段は、
前記プッシュボタンに対する押下と前記検出手段による検出に応じてゲームを制御するゲーム装置。」

〈相違点1〉
本願発明3では、「前記部材を支持する支持機構」が「前記部材の長さ方向の間に設けられ、前記部材の一端が移動されることで、前記部材の他端を軸により前記一端が移動される方向と逆方向に移動可能とするように前記部材を支持する」ものであるのに対し、引用発明2では、どのような構成の支持機構であるのか特定されていない点。

〈相違点2〉
本願発明3では、「検出手段」が「前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動する方向を検出する」ものであるのに対し、引用発明2では、「制御ハンドル1」の如何なる箇所の移動する方向を検出するものであるのか特定されていない点。

〈相違点3〉
本願発明3は、「前記部材の他端の移動を許容する範囲に応じた間隔を、前記部材の一端が移動されていない状態における前記部材との間に設けて配置され、前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動することにより接触する衝撃を和らげると共に前記部材の他端の移動を制限するための緩衝部材」を具備するものであるのに対し、引用発明2は、そのような部材を具備するものではない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討する。

上記「第5」の「5.」に記載されているとおり、引用文献5には、「回転量ないしは回転位置に応じて操作対象の向きを変えさせるように構成された遊戯機用入力装置1」の「シャフト(操作軸)6」に取り付けられた「カム12」により押圧される「マイクロスイッチ11の押しボタン」を「弾性を有する板ばね状の被覆部材21」で覆うことにより「被覆部材21」が緩衝材となり「押しボタン」が急激に押されることを回避する技術が記載されている。
しかしながら、引用文献5に記載された技術は、回転する「シャフト」に関する技術であり、「部材の他端の移動を許容する範囲に応じた間隔」が設けられるものではないから、相違点3に係る本願発明3の「前記部材の他端の移動を許容する範囲に応じた間隔を、前記部材の一端が移動されていない状態における前記部材との間に設けて配置され、前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動することにより接触する衝撃を和らげると共に前記部材の他端の移動を制限するための緩衝部材」という構成は、上記引用文献5に記載されているとはいえない。
また、上記相違点3に係る本願発明3の構成は、引用文献2-4,6にも記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって本願発明3は、その他の相違点を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明2、引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定について
相違点3に係る本願発明1,3の構成に関連して、原査定においては、引用文献5を参照すると、操作によって接触が発生するデバイス一般において、衝撃を和らげるための緩衝部材を、移動を許容する範囲に応じた隙間をあけて設けることは通常よく行われることである旨認定している。
しかしながら、引用文献5には、上述のとおり、「部材の他端の移動を許容する範囲に応じた間隔を、前記部材の一端が移動されていない状態における前記部材との間に設けて配置され、前記部材の一端の移動に伴って前記部材の他端が移動することにより接触する衝撃を和らげると共に前記部材の他端の移動を制限するための緩衝部材」という構成は記載されておらず、またそのような構成は、引用文献2-4,6にも記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって本願発明1-3は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-6に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-12-18 
出願番号 特願2013-13775(P2013-13775)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加内 慎也  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 山澤 宏
山田 正文
発明の名称 ゲーム装置、操作デバイス  
代理人 河野 直樹  
代理人 飯野 茂  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 鵜飼 健  
代理人 野河 信久  
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