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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1335433
審判番号 不服2016-15512  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-18 
確定日 2017-12-14 
事件の表示 特願2014- 12296号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月 3日出願公開、特開2015-139470号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成26年1月27日に特許出願されたものであって,平成27年3月19日付けで拒絶理由が通知され,同年5月20日に意見書及び手続補正書が提出され,同年11月18日付けで拒絶理由が通知(いわゆる「最後の拒絶理由通知」)され,これに対し平成28年1月18日に意見書及び手続補正書が提出されたが,同年7月12日付けで同年1月18日付けの手続補正が却下されると共に拒絶査定がなされ,これに対して,同年10月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成28年10月18日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年10月18日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1?2の記載を含む補正であり,平成27年5月20日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ,以下のとおりである(下線部は補正を示す。)。

(補正前:平成27年5月20日付けの手続補正)
「【請求項1】
始動条件が成立することにより遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行させるか否かを判定する特別遊技判定手段と,
前記特別遊技判定手段による判定の結果に基づいて,所定の演出手段に演出を行わせる演出制御手段と,
前記演出制御手段によって演出が行われるときの演出音を出力するスピーカーと,
遊技者が前記スピーカーにより出力される演出音の音量レベルの設定を変更するために操作入力を行うことが可能な操作入力手段と,
前記操作入力手段に対して行われる操作に基づいて,前記スピーカーから出力される演出音の音量レベルの設定変更を行う音量調整手段と,
遊技が行われていない場合の所定の条件において,前記操作入力手段に対する操作入力により音量レベルの設定変更が可能であることを報知する第1画像を所定の表示手段に所定時間表示させると共に,前記操作入力手段に対する操作入力が行われたことに伴い前記第1画像を消去させ,前記第1画像とは異なる第2画像により現在の音量レベルを表示すると共に,前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示される現在の音量レベルを更新する報知手段と,
を備える遊技機。」

(補正後:本件補正:平成28年10月18日付け手続補正)
「【請求項1】
始動条件が成立することにより遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行させるか否かを判定する特別遊技判定手段と,
前記特別遊技判定手段による判定の結果に基づいて,所定の演出手段に演出を行わせると共に,遊技が行われていない場合に前記演出手段に待機演出を行わせる演出制御手段と,
前記演出制御手段によって演出が行われる時の演出音を出力するスピーカーと,
遊技者が前記スピーカーにより出力される演出音の音量レベルの設定を変更するために操作入力を行うことが可能な操作入力手段と,
前記操作入力手段に対して行われる操作に基づいて,前記スピーカーから出力される演出音の音量レベルの設定変更を行う音量調整手段と,
遊技が行われていない場合の所定の条件において,前記操作入力手段に対する操作入力により音量レベルの設定変更が可能であることを報知する第1画像を所定の表示手段に所定時間表示させると共に,前記操作入力手段に対する操作入力が行われたことに伴い前記第1画像を消去させ,前記第1画像とは異なる第2画像により現在の音量レベルを表示すると共に,前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示される現在の音量レベルを更新する報知手段と,
を備え,
前記演出制御手段は,前記待機演出実行中に,前記表示手段に演出画像を表示可能であり,
前記報知手段は,前記演出画像の一部より前面側に前記第2画像を表示させると共に,前記第2画像が表示されている状態で,前記操作入力手段に対する操作入力が行われることなく所定時間が経過すると,前記第2画像を消去させて,前記演出画像を前面側に表示させることを特徴とする遊技機。」

2 補正の適否
(1)補正事項
本件補正は,補正前の請求項1の「演出制御手段」に関して,「所定の演出手段に演出を行わせる」という記載を「所定の演出手段に演出を行わせると共に,遊技が行われていない場合に前記演出手段に待機演出を行わせる」という記載に補正すると共に,「演出制御手段」及び「報知手段」に関して,「前記演出制御手段は,前記待機演出実行中に,前記表示手段に演出画像を表示可能であり,前記報知手段は,前記演出画像の一部より前面側に前記第2画像を表示させると共に,前記第2画像が表示されている状態で,前記操作入力手段に対する操作入力が行われることなく所定時間が経過すると,前記第2画像を消去させて,前記演出画像を前面側に表示させることを特徴とする」という記載を追加する補正である。

(2)補正の目的等についての検討
上記補正事項は,「演出制御手段」に関して,「遊技が行われていない場合に前記演出手段に待機演出を行わせる」こと,「前記待機演出実行中に,前記表示手段に演出画像を表示可能であ」ることを限定すると共に,「報知手段」に関して,「前記演出画像の一部より前面側に前記第2画像を表示させると共に,前記第2画像が表示されている状態で,前記操作入力手段に対する操作入力が行われることなく所定時間が経過すると,前記第2画像を消去させて,前記演出画像を前面側に表示させること」を限定する補正であり,また,補正後の請求項1に記載された発明は,補正前の請求項1に記載された発明と,産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので,特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして,本件補正は,【0131】,【0167】,【0173】の記載に基づくものであるから,新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か,すなわち,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か,について以下に検討する。

(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下,「本願補正発明」という。)は,上記「1 本件補正の概要」に本件補正後の請求項1として記載したとおりのものである(A?Hは,本願補正発明を分説するために当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 始動条件が成立することにより遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行させるか否かを判定する特別遊技判定手段と,
B 前記特別遊技判定手段による判定の結果に基づいて,所定の演出手段に演出を行わせると共に,遊技が行われていない場合に前記演出手段に待機演出を行わせる演出制御手段と,
C 前記演出制御手段によって演出が行われる時の演出音を出力するスピーカーと,
D 遊技者が前記スピーカーにより出力される演出音の音量レベルの設定を変更するために操作入力を行うことが可能な操作入力手段と,
E 前記操作入力手段に対して行われる操作に基づいて,前記スピーカーから出力される演出音の音量レベルの設定変更を行う音量調整手段と,
F 遊技が行われていない場合の所定の条件において,前記操作入力手段に対する操作入力により音量レベルの設定変更が可能であることを報知する第1画像を所定の表示手段に所定時間表示させると共に,前記操作入力手段に対する操作入力が行われたことに伴い前記第1画像を消去させ,前記第1画像とは異なる第2画像により現在の音量レベルを表示すると共に,前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示される現在の音量レベルを更新する報知手段と,
を備え,
G 前記演出制御手段は,前記待機演出実行中に,前記表示手段に演出画像を表示可能であり,
H 前記報知手段は,前記演出画像の一部より前面側に前記第2画像を表示させると共に,前記第2画像が表示されている状態で,前記操作入力手段に対する操作入力が行われることなく所定時間が経過すると,前記第2画像を消去させて,前記演出画像を前面側に表示させることを特徴とする遊技機。」

(2)刊行物に記載された事項
(2-1)刊行物1
本願の出願前に頒布された特開2005-288020号公報(以下,「刊行物1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
(ア)「【0029】
遊技領域13の中央部にはセンターケース14が装着されており,そのセンターケース14にて取り囲まれるようにして図柄表示装置15(全体の図示は省略)のLCDパネル15aが配されている。」

(イ)「【0040】
図柄制御装置40は図柄表示装置15と一体化されており,図柄制御装置40は,サブ統合基板90(主制御装置30)から送られてくるコマンドに応じて図柄表示装置15の表示を制御する。図柄表示装置15は画像表示装置に該当し,図柄制御装置40は画像制御装置として機能する。
【0041】
サブ統合基板90は,主制御装置30から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し,それらを図柄制御装置40,音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて,各制御部位に送信する。そして,音制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ5からの音声出力を制御し,同様にランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって特別図柄保留記憶LED17,普通図柄保留記憶LED,普通図柄用LED29,各種ランプ等を制御する。このように構成することで,例えば図柄変動における音,ランプ,図柄表示装置15の演出タイミングの同調をはかることができる。このことから,サブ統合基板90はランプ・音声制御装置と言うこともできる。
【0042】
また,サブ統合基板90は,操作ボタン75の操作信号が入力される。詳細は後述するが,サブ統合基板90は,操作ボタン75の操作信号に応じてスピーカ5の音量を変更するので,音声制御装置に該当する。」

(ウ)「【0045】
次に,パチンコ機50の動作を説明する。
パチンコ機50の基本的な動作は公知の第1種パチンコ機と同様であるから,概要のみを簡単に説明する。
【0046】
主制御装置30は,普通電動役物22に入球(始動入賞が発生)して第1種始動口スイッチの始動検出信号が入力されると,保留記憶の個数が上限個数に達していない限り,当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数,リーチ決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を該当のカウンタから読み込んで,それらを保留データとして保留記憶エリアに記憶する。
【0047】
保留記憶された保留データに対しては,当否抽選が行われる(抽選手段)。当否抽選は保留データの中で最も古いものを対象に行われ,その保留データは当否抽選に伴って保留エリアから当否抽選用の一時記憶に移されて保留エリアからは消去される。
・・・
【0049】
当否抽選が大当たりなら,保留データ中の大当たり図柄決定用乱数に基づいて大当たり図柄を決定し,保留データ中の変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターン(変動時間)を決定する。外れのときは,外れ図柄と変動パターンを決定する。大当たり図柄及び外れ図柄が停止図柄である。
・・・
【0051】
図柄制御基板40は,変動開始コマンドを受信する図柄表示装置15を制御してLCDパネル15aにて図柄の変動表示を開始させる。さらに,変動開始コマンドに含まれている変動パターンに基づいてLCDパネル15aに図柄の変動表示を行わせ,主制御装置30からの確定コマンドを受信すると変動開始コマンドで指定されていた停止図柄(大当たり図柄又は外れ図柄)を確定表示させる。すなわち,図柄表示装置15は当否抽選の結果を表示する表示手段となる。」

(エ)「【0056】
このパチンコ機50においては,遊技状態や図柄の変動状態等に応じて,遊技者が操作ボタン75を操作することで音量を調整できる音量調節可能期間がある。そのための音量調整処理を図5に従って説明する。
・・・
【0058】
音量調整可能期間であるが(S11:YES),音量表示がなされていない場合には(S12:NO),操作ボタン75からの操作信号が入力されると(S13:YES),図柄制御基板40に指示して図柄表示装置15に音量表示を行わせ(S14),計測値を一旦0にリセットしてから経過時間の計測を開始する(S15)。図柄表示装置15においては,図7に例示するような音量インジケータ41による音量表示が行われる。」

(オ)「【0063】
音量表示が行われていて操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Aを経過すると,音量表示が終了する(T2,T9,T16,T20)。一定期間Aを経過する前に操作信号が入力されれば(T6),音量表示は継続する。
・・・
【0065】
その後,操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Bを経過すると(T4?T5,T7?T8,T14?T15,T18?T19),それまでの操作ボタン75の操作信号の入力回数(S22のカウント値)に基づいて音量を変更する(T5,T8,T15,T19)。一定期間Bを経過する前に操作ボタン75の操作信号が入力されれば(T12?T13)操作信号の入力回数のカウントは継続される(T11?T14)。また,一定期間Bの経過により音量を変更しても一定期間Aについての計時は続き,その後期間Cを経過してから音量表示が終了する(A=B+C)。」

(カ)「【0071】
なお,上述のように操作ボタン75が操作されると音量インジケータ41による音量表示が更新されるが(図7B?F),この段階では実際の音量変化はなく(初期音量,本例ではレベル5のままであり),操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Bを経過したときに実際の音量が変更される。図7の例では図7F?Gの間に操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Bを経過し,図7Gで音量が変更される。
【0072】
また,操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Aを経過すると,音量表示が終了する(図8I?K)。
一定期間遊技が行われていないときには,図柄表示装置15の表示がデモ表示になり(図8L)音量が初期音量にされる。デモ表示においては,図8Lに例示するとおり,操作ボタン75を押すと音量を変更できる旨が表示される。」

(キ)「【0088】
特定のリーチが出現する変動パターンを上記の特定の変動パターンとして設定した例により,図9の音量調整切替処理と図柄表示装置15における画像表示との関係を説明する。
【0089】
図10に示すように,図柄の変動表示が行われ(A,B),期間Yを経過すると特定のリーチが始まる(C)。ここで切替処理bが行われて(S36),操作ボタン75による表示内容の変更が可能になる。図示の例では,2種類のキャラクタC1,C2が表示され,交互に選択枠が表示されるので(C,D),所望のキャラクタC1,C2が選択枠で囲まれたときに操作ボタン75を押せば,そのキャラクタC1,C2によるリーチ表示が行われる(E,F)。キャラクタC1,C2の選択が可能な期間は,上述の期間Yで開始し期間Xで終了し(Eでは終了している。),以後E?Hのように進行する(言うまでもないが外れるときもある)。Gでは,操作ボタン75を1回押した時であり(現在の音量を表示),このことから,少なくともA?Fまでは1段階目の音量で変動表示が行なわれていたことがわかる。」

(ク)上記【0029】の「図柄表示装置15・・・のLCDパネル15a」との記載,上記【0040】の「図柄表示装置15は画像表示装置に該当し」との記載,上記【0051】の「図柄表示装置15を制御してLCDパネル15aにて図柄の変動表示を開始させる」との記載,上記【0072】の「一定期間遊技が行われていないときには,図柄表示装置15の表示がデモ表示になり,・・・図8Lに例示するとおり,操作ボタン75を押すと音量を変更できる旨が表示される」との記載を参酌すると,図8L及び図12Aには,右上に「音量調整可能期間」と記載され,「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が記載され,その下に「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像が表示された図柄表示装置15のLCDパネル15aが記載されているといえる。

(ケ)上記(ク)で言及した【0029】,【0040】,【0051】の上記記載,上記【0058】の「音量調整可能期間であるが(S11:YES),音量表示がなされていない場合には(S12:NO),操作ボタン75からの操作信号が入力されると(S13:YES),図柄制御基板40に指示して図柄表示装置15に音量表示を行わせ(S14)・・・図柄表示装置15においては,図7に例示するような音量インジケータ41による音量表示が行われる」との記載を参酌すると,図12Aから図12Bに向けて矢印が記載された図12Bには,右上に「音量調整可能期間」と記載され,「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示され,「デモ表示」画像の下の図12Aの「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像の代わりに,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像が表示された,図柄表示装置15のLCDパネル15aが記載されているといえる。

上記記載事項(ア)?(キ),上記図示内容(ク)?(ケ)より,以下の事項が導かれる。
なお,(a)?(h)は,本願補正発明の構成A?Hに対応した事項を示している。

(a)上記【0046】には「主制御装置30は,普通電動役物22に入球(始動入賞が発生)して第1種始動口スイッチの始動検出信号が入力されると,・・・当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数,リーチ決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を・・・読み込んで,」と記載され,上記【0047】には「当否抽選が行われる(抽選手段)」と記載されているから,刊行物1には,普通電動役物22に入球(始動入賞が発生)して第1種始動口スイッチの始動検出信号が入力されると,当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数,リーチ決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を該当のカウンタから読み込んで当否抽選が行われる(抽選手段)主制御装置30が記載されているといえる。

(b)上記(a)で検討したように,刊行物1には「当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数,リーチ決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を読み込んで,当否抽選が行われる(抽選手段)主制御装置30」が記載され,上記【0049】には「当否抽選が大当たりなら・・・変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターン・・・を決定する。外れのときは・・・変動パターンを決定する。」と記載され,上記【0088】には「特定のリーチが出現する変動パターンを・・・特定の変動パターンとして設定・・・図柄表示装置15における画像表示」と記載され,上記【0089】には「図10に示すように,図柄の変動表示が行われ(A,B),期間Yを経過すると特定のリーチが始まる(C)。・・・キャラクタ・・・によるリーチ表示が行われる(E,F)。」と記載されている。
そして,上記【0089】の「図10に示す」の「特定のリーチ」である「キャラクタ」「によるリーチ表示」は,「当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数,リーチ決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を読み込んで,当否抽選が行われる(抽選手段)主制御装置30」の抽選結果に基づいて行われる演出であることは明らかであるから,刊行物1には,当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数,リーチ決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を読み込んで当否抽選が行われる(抽選手段)主制御装置30の抽選結果に基づいて,図柄表示装置15にキャラクタによるリーチ表示が行われる点が記載されているといえる。
また,上記【0072】には「一定期間遊技が行われていないときには,図柄表示装置15の表示がデモ表示になり」と記載され,上記【0040】には「図柄制御装置40は・・・図柄表示装置15の表示を制御する」と記載されている。
以上のことから,刊行物1には,当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数,リーチ決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を読み込んで当否抽選が行われる(抽選手段)主制御装置30の抽選結果に基づいて,図柄表示装置15にキャラクタによるリーチ表示が行われると共に,一定期間遊技が行われていないときには,図柄表示装置15の表示がデモ表示になるように制御する図柄制御装置40が記載されているといえる。

(c)上記【0041】には「サブ統合基板90は,主制御装置30から送信されてくるデータ及びコマンドを・・・図柄制御装置40,音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて・・・送信する。・・・スピーカ5からの音声出力を制御し,・・・図柄変動における音,・・・図柄表示装置15の演出タイミングの同調をはかることができる」と記載されているから,刊行物1には,主制御装置30から送信されてくるデータ及びコマンドを図柄制御装置40に送信するサブ統合基板90によって,図柄表示装置15の演出タイミングと同調をはかり図柄変動における音の音声出力をするスピーカ5が記載されているといえる。

(d)上記【0056】には「遊技者が操作ボタン75を操作することで音量を調整できる」と記載され,上記【0065】には「操作ボタン75の操作信号の入力回数・・・に基づいてスピーカ5から出力する音量を変更する」と記載されているから,刊行物1には,遊技者が操作する操作信号の入力回数に基づいてスピーカ5から出力する音量を変更する操作ボタン75が記載されているといえる。

(e)上記【0042】には「サブ統合基板90は,操作ボタン75の操作信号に応じてスピーカ5の音量を変更する」と記載されているから,刊行物1には,操作ボタン75の操作信号に応じてスピーカ5の音量を変更するサブ統合基板90が記載されているといえる。

(f)上記【0072】には「一定期間遊技が行われていないときには,図柄表示装置15の表示がデモ表示になり・・・音量が初期音量にされ・・・,図8Lに例示するとおり,操作ボタン75を押すと音量を変更できる旨が表示される」と記載され,上記(ク)の図8L及び図12Aの図示内容は「右上に「音量調整可能期間」と記載され,「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示され,その下に「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像が表示された図柄表示装置15のLCDパネル15a」であり,上記【0058】には「音量調整可能期間であるが(S11:YES),音量表示がなされていない場合には(S12:NO),操作ボタン75からの操作信号が入力されると(S13:YES),図柄制御基板40に指示して図柄表示装置15に音量表示を行わせ(S14)・・・図柄表示装置15においては,図7に例示するような音量インジケータ41による音量表示が行われる」と記載され,上記(ケ)の図12Aから図12Bに向けて矢印が記載された図12Bの図示内容は「右上に「音量調整可能期間」と記載され,「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示され,「デモ表示」画像の下の図12Aの「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像の代わりに,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像が表示された,図柄表示装置15のLCDパネル15a」であり,上記【0071】には「操作ボタン75が操作されると音量インジケータ41による音量表示が更新される・・・操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Bを経過したときに実際の音量が変更される」と記載されている。
これらのことから,刊行物1には,一定期間遊技が行われていないときには,図柄表示装置15の表示がデモ表示になり,音量が初期音量にされ,「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像が図柄表示装置15のLCDパネル15aに表示され,操作ボタン75からの操作信号が入力されると,「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像の代わりに,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像が表示され,操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Bを経過したときに実際の音量が変更されるが,操作ボタン75が操作されると音量インジケータ41による音量表示が更新される図柄表示装置15のLCDパネル15aが記載されているといえる。

(g)上記【0040】には「図柄制御装置40は・・・図柄表示装置15の表示を制御する」と記載され,上記【0072】には「一定期間遊技が行われていないときには,図柄表示装置15の表示がデモ表示になり」と記載され,上記(ク)の図8L及び図12Aの図示内容は「・・・「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示され,・・・た,図柄表示装置15のLCDパネル15a」であるから,刊行物1には,図柄制御装置40は,一定期間遊技が行われていないときに,図柄表示装置15のLCDパネル15aに,「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示されるように制御する点が記載されているといえる。

(h)上記(ケ)の図12Aから図12Bに向けて矢印が記載された図12Bの図示内容は「・・・「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示され,「デモ表示」画像の下・・・に,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像が表示された,図柄表示装置15のLCDパネル15a」であり,上記【0063】には「音量表示が行われていて操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Aを経過すると,音量表示が終了する」と記載され,上記【0045】には「パチンコ機50」と記載されているから,刊行物1には,図柄表示装置15のLCDパネル15aは,「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示され,「デモ表示」画像の下に,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像が表示されると共に,音量表示である音量インジケータ41の表示が行われていて操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Aを経過すると,音量表示である音量インジケータ41の表示を終了するパチンコ機50が記載されているといえる。

上記記載事項(ア)?(キ),上記図示内容(ク)?(ケ)から,刊行物1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「a 普通電動役物22に入球(始動入賞が発生)して第1種始動口スイッチの始動検出信号が入力されると,当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数,リーチ決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を該当のカウンタから読み込んで当否抽選が行われる(抽選手段)主制御装置30と,
b 当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数,リーチ決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を読み込んで当否抽選が行われる(抽選手段)主制御装置30の抽選結果に基づいて,図柄表示装置15にキャラクタによるリーチ表示が行われると共に,一定期間遊技が行われていないときには,図柄表示装置15の表示がデモ表示になるように制御する図柄制御装置40と,
c’主制御装置30から送信されてくるデータ及びコマンドを図柄制御装置40に送信するサブ統合基板90によって,図柄表示装置15の演出タイミングと同調をはかり図柄変動における音の音声出力をするスピーカ5と,
d 遊技者が操作する操作信号の入力回数に基づいてスピーカ5から出力する音量を変更する操作ボタン75と,
e 操作ボタン75の操作信号に応じてスピーカ5の音量を変更するサブ統合基板90と,
f’一定期間遊技が行われていないときには,図柄表示装置15の表示がデモ表示になり,音量が初期音量にされ,「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像が図柄表示装置15のLCDパネル15aに表示され,操作ボタン75からの操作信号が入力されると,「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像の代わりに,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像が表示され,操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Bを経過したときに実際の音量が変更されるが,操作ボタン75が操作されると音量インジケータ41による音量表示が更新される図柄表示装置15のLCDパネル15aと,
を備え,
g 図柄制御装置40は,一定期間遊技が行われていないときに,図柄表示装置15のLCDパネル15aに,「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示されるように制御し,
h’図柄表示装置15のLCDパネル15aは,「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示され,「デモ表示」画像の下に,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像が表示されると共に,音量表示である音量インジケータ41の表示が行われていて操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Aを経過すると,音量表示である音量インジケータ41の表示を終了するパチンコ機50。」

(2-2)刊行物2
本願の出願前に頒布された特許第5320500号公報(以下,「刊行物2」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【0388】
図47は,設定音量の変更が可能であることを報知する報知演出,および,現在設定されている音量を報知する設定音量演出の一例を説明する図である。変動演出が終了したときに,次なる保留が記憶されていない場合には,図47(a)に示すように,演出図柄210a,210b,210cが演出表示部200aに停止表示されたままの状態となる。主制御基板300では,特別図柄の変動表示が終了したとき,次なる保留が記憶されていない場合には,客待ち処理が行われ,客待ちコマンドを副制御基板330に送信する。副制御基板330では,客待ちコマンドを受信すると,当該客待ちコマンドを受信してからの経過時間を計時し,客待ち状態に移行してから所定時間が経過すると,図47(b)に示すように,演出表示部200aの下部に,情報バー211を表示する報知演出を開始する。
【0389】
この報知演出では,情報バー211において,演出操作装置208を押下操作すると,遊技機100に関する種々の情報を見ることが可能であることを伝達するとともに,演出操作装置208を回転操作すると,設定音量の変更が可能であることを報知する。その後,演出操作装置208が操作されることなく,さらに一定時間が経過すると,演出表示部200aにデモ画面が表示され,さらにその後,図47(c)に示すように,省電力化を図るべく,演出表示部200aが消灯する。
【0390】
なお,上記のように,情報バー211が演出表示部200aに表示された後は,常に,演出操作装置208の操作が有効となっており,この操作有効期間中に演出操作装置208を回転させて音量変更操作を行うと,現在設定されている音量を報知する設定音量演出が実行される。この設定音量演出では,図47(d)に示すように,演出表示部200aに,演出操作装置208の回転操作を想起させる画像と,現在設定されている音量レベルに応じた音量メーターが表示される。ここでは,演出操作装置208を時計回り方向に回転させると,調整可能範囲内で設定音量が大きくなり,演出操作装置208を反時計回り方向に回転させると,調整可能範囲内で設定音量が小さくなる。設定音量演出では,演出操作装置208による音量変更操作に伴って音量メーターが可変表示され,現在設定されている音量レベルが報知されることとなる。
・・・
【0393】
そこで,本実施形態の遊技機100は,遊技者に与える不快感,および,遊技の継続意欲の低減を抑制しつつ,最適なタイミングで音量の調整を実行することができるように,報知演出の開始タイミング,および,音量変更操作の有効期間を次のように設定している。
【0394】
図48は,報知演出の開始タイミング,および,音量変更操作の有効期間を説明する図である。この図に示すように,報知演出(情報バー211の表示)は,客待ちコマンドを受信してから20秒が経過すると開始され,60秒が経過すると終了となり,以後,デモ画面が表示される。これに対して,音量変更操作は,客待ちコマンドを受信してから5秒が経過するまでの間は無効,すなわち,音量変更操作を受け付けないこととしており,5秒経過後は,常に,音量変更操作を有効に受け付ける。」

上記記載事項(ア)から,刊行物2には,次の事項(以下,「刊行物2に記載された技術」という。)が記載されていると認められる。
「演出表示部200aの下部に,演出操作装置208を操作すると設定音量の変更が可能であることを報知する情報バー211を表示することが,客待ちコマンドを受信してから20秒が経過すると開始され,60秒が経過すると終了となり,以後,デモ画面が表示される遊技機100」

(3)対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。

(a)引用発明1の「普通電動役物22に入球(始動入賞が発生)して第1種始動口スイッチの始動検出信号が入力される」ことは,本願補正発明の「始動条件が成立すること」に相当する。
また,引用発明1の「当否抽選用乱数,リーチ決定用乱数と大当たり図柄決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を該当のカウンタから読み込んで当否抽選が行われる(抽選手段)主制御装置30」は,遊技者にとって有利な大当たり(特別遊技状態)に移行させるか否かの判定を,当否抽選により行うことは明らかである。
これらのことから,引用発明1の「普通電動役物22に入球(始動入賞が発生)して第1種始動口スイッチの始動検出信号が入力されると,当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数,リーチ決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を該当のカウンタから読み込んで当否抽選が行われる(抽選手段)主制御装置30」は,本願補正発明の「始動条件が成立することにより遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行させるか否かを判定する特別遊技判定手段」に相当する。

(b)引用発明1の「図柄表示装置15」,「デモ表示」及び「図柄制御装置40」は,それぞれ,本願補正発明の「所定の演出手段」,「待機演出」及び「演出制御手段」に相当する。
また,引用発明1の「当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数,リーチ決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を読み込んで当否抽選が行われる(抽選手段)主制御装置30の抽選結果に基づいて」,「図柄表示装置15にキャラクタによるリーチ表示が行われると共に」,「一定期間遊技が行われていないときには」及び「図柄表示装置15の表示がデモ表示になるように制御する図柄制御装置40」は,それぞれ,本願補正発明の「前記特別遊技判定手段による判定の結果に基づいて」,「所定の演出手段に演出を行わせると共に」,「遊技が行われていない場合に」及び「前記演出手段に待機演出を行わせる演出制御手段」に相当する。
これらのことから,引用発明1の「当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数,リーチ決定用乱数,変動パターン決定用乱数などの各種乱数を読み込んで当否抽選が行われる(抽選手段)主制御装置30の抽選結果に基づいて,図柄表示装置15にキャラクタによるリーチ表示が行われると共に,一定期間遊技が行われていないときには,図柄表示装置15の表示がデモ表示になるように制御する図柄制御装置40」は,本願補正発明の「前記特別遊技判定手段による判定の結果に基づいて,所定の演出手段に演出を行わせると共に,遊技が行われていない場合に前記演出手段に待機演出を行わせる演出制御手段」に相当する。

(c)引用発明1の「スピーカ5」は,本願補正発明の「スピーカー」に相当する。
また,リーチ表示は,図柄変動中に行われるから,引用発明1の「図柄表示装置15の演出タイミングと同調をはかり」「音声出力」される「図柄変動における音」は,引用発明1における構成bの「キャラクタによるリーチ表示が行われる」ときの音も含むものであり,本願補正発明の「演出が行われる時の演出音」に相当する。
しかしながら,引用発明1の「スピーカ5」は「サブ統合基板90によって」「音の音声出力をする」ものであり,上記「サブ統合基板90」は,「図柄表示装置15の表示がデモ表示になるように制御する図柄制御装置40」とは異なる制御装置である。
これらのことから,引用発明1の「主制御装置30から送信されてくるデータ及びコマンドを図柄制御装置40に送信するサブ統合基板90によって,図柄表示装置15の演出タイミングと同調をはかり図柄変動における音の音声出力をするスピーカ5」は,本願補正発明の構成Cと「演出が行われる時の演出音を出力するスピーカー」である点で共通している。

(d)引用発明1の「操作ボタン75」は,本願補正発明の「操作入力手段」に相当する。
このことから,引用発明1の「遊技者が操作する操作信号の入力回数に基づいてスピーカ5から出力する音量を変更する操作ボタン75」は,本願補正発明の「遊技者が前記スピーカーにより出力される演出音の音量レベルの設定を変更するために操作入力を行うことが可能な操作入力手段」に相当する。

(e)引用発明1の「サブ統合基板90」は,「操作ボタン75の操作信号に応じてスピーカ5の音量を変更する」から,本願補正発明の「前記操作入力手段に対して行われる操作に基づいて,前記スピーカーから出力される演出音の音量レベルの設定変更を行う音量調整手段」に相当する機能を有している。

(f)引用発明1の「「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像」及び「図柄表示装置15のLCDパネル15a」は,それぞれ,本願補正発明の「前記操作入力手段に対する操作入力により音量レベルの設定変更が可能であることを報知する第1画像」及び「所定の表示手段」に相当する。
また,引用発明1の「図柄表示装置15の表示がデモ表示にな」ることは,本願補正発明の「所定の条件」に相当するといえるから,引用発明1の「一定期間遊技が行われていないときに」,「図柄表示装置15の表示がデモ表示にな」ることは,本願補正発明の「遊技が行われていない場合の所定の条件」が成立したときに相当する。
次に,引用発明1の「操作ボタン75からの操作信号が入力される」ときは,「操作ボタン75」に対する操作(操作入力)が行われたときであることは明らかであるから,引用発明1の「操作ボタン75からの操作信号が入力される」ことは,本願補正発明の「前記操作入力手段に対する操作入力が行われたこと」に相当する。
そして,引用発明1の「「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像の代わりに,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像が表示され」ることは,本願補正発明の「前記第1画像を消去させ,前記第1画像とは異なる第2画像により」「音量レベルを表示する」ことに相当する。
加えて,引用発明1の「操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Bを経過したときに実際の音量が変更されるが,操作ボタン75が操作されると音量インジケータ41による音量表示が更新される図柄表示装置15のLCDパネル15a」は,本願補正発明の「前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示される」「音量レベルを更新する報知手段」に相当する機能を有している。
しかしながら,引用発明1の「「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像」(第1画像)は,所定時間表示させるものであるか不明である。また,引用発明1の「音量表示が行われる音量インジケータ41の画像」(第2画像)が表示,または,更新する音量(音量レベル)は,現在の音量(音量レベル)であるか明記されていないので,不明である。

これらのことから,引用発明1の「一定期間遊技が行われていないときには,図柄表示装置15の表示がデモ表示になり,音量が初期音量にされ,「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像が図柄表示装置15のLCDパネル15aに表示され,操作ボタン75からの操作信号が入力されると,「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像の代わりに,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像が表示され,操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Bを経過したときに実際の音量が変更されるが,操作ボタン75が操作されると音量インジケータ41による音量表示が更新される図柄表示装置15のLCDパネル15a」は,
本願補正発明の構成Fと「遊技が行われていない場合の所定の条件において,前記操作入力手段に対する操作入力により音量レベルの設定変更が可能であることを報知する第1画像を所定の表示手段に」「表示させると共に,前記操作入力手段に対する操作入力が行われたことに伴い前記第1画像を消去させ,前記第1画像とは異なる第2画像により」「音量レベルを表示すると共に,前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示される」「音量レベルを更新する報知手段」である点で共通しているといえる。

(g)引用発明1の「「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像」は,本願補正発明の「演出画像」に相当する。
このことから,引用発明1の「図柄制御装置40」は,「一定期間遊技が行われていないときに,図柄表示装置15のLCDパネル15aに,「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示されるように制御」するから,本願補正発明の「前記演出制御手段は,前記待機演出実行中に,前記表示手段に演出画像を表示可能であ」ることに相当する機能を有している。

(h)引用発明1は,「図柄表示装置15のLCDパネル15a」において,「「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像」(演出画像)と,「音量表示が行われる音量インジケータ41の画像」(第2画像)との前後関係は不明であるが,2つの画像は表示されるから,引用発明1の「図柄表示装置15のLCDパネル15aは,「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示され,「デモ表示」画像の下に,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像が表示される」ことは,本願補正発明の「前記報知手段は,前記演出画像の一部より前面側に前記第2画像を表示させる」ことと,「前記報知手段は,前記演出画像」と「前記第2画像を表示させる」点で共通しているといえる。
また,引用発明1の「音量表示である音量インジケータ41の表示が行われていて操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Aを経過すると,音量表示である音量インジケータ41の表示を終了する」ときには,「デモ表示」画像が表示されているから,本願補正発明の「前記第2画像が表示されている状態で,前記操作入力手段に対する操作入力が行われることなく所定時間が経過すると,前記第2画像を消去させて,前記演出画像を前面側に表示させること」と,「前記第2画像が表示されている状態で,前記操作入力手段に対する操作入力が行われることなく所定時間が経過すると,前記第2画像を消去させて,前記演出画像を」「表示させること」である点で共通しているといえる。
そして,引用発明1の「パチンコ機50」は,本願補正発明の「遊技機」に相当する。

これらのことから,引用発明1の「図柄表示装置15のLCDパネル15aは,「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示され,「デモ表示」画像の下に,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像が表示されると共に,音量表示である音量インジケータ41の表示が行われていて操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Aを経過すると,音量表示である音量インジケータ41の表示を終了するパチンコ機50」は,
本願補正発明の構成Hと「前記報知手段は,前記演出画像」と「前記第2画像を表示させると共に,前記第2画像が表示されている状態で,前記操作入力手段に対する操作入力が行われることなく所定時間が経過すると,前記第2画像を消去させて,前記演出画像を」「表示させることを特徴とする遊技機」である点で共通しているといえる。

上記(a)?(i)から,本願補正発明と引用発明1とは,
[一致点]
「A 始動条件が成立することにより遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行させるか否かを判定する特別遊技判定手段と,
B 前記特別遊技判定手段による判定の結果に基づいて,所定の演出手段に演出を行わせると共に,遊技が行われていない場合に前記演出手段に待機演出を行わせる演出制御手段と,
C’演出が行われる時の演出音を出力するスピーカーと,
D 遊技者が前記スピーカーにより出力される演出音の音量レベルの設定を変更するために操作入力を行うことが可能な操作入力手段と,
E 前記操作入力手段に対して行われる操作に基づいて,前記スピーカーから出力される演出音の音量レベルの設定変更を行う音量調整手段と,
F’遊技が行われていない場合の所定の条件において,前記操作入力手段に対する操作入力により音量レベルの設定変更が可能であることを報知する第1画像を所定の表示手段に表示させると共に,前記操作入力手段に対する操作入力が行われたことに伴い前記第1画像を消去させ,前記第1画像とは異なる第2画像により音量レベルを表示すると共に,前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示される音量レベルを更新する報知手段と,
を備え,
G 前記演出制御手段は,前記待機演出実行中に,前記表示手段に演出画像を表示可能であり,
H’前記報知手段は,前記演出画像と前記第2画像を表示させると共に,前記第2画像が表示されている状態で,前記操作入力手段に対する操作入力が行われることなく所定時間が経過すると,前記第2画像を消去させて,前記演出画像を表示させる遊技機。」
である点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点1](構成C)
「演出が行われる時の演出音を出力するスピーカー」に関して,
本願補正発明は,「前記演出制御手段によって」「演出音を出力する」のに対して,
引用発明1は,「図柄制御装置40」(前記演出制御手段)でなく,「主制御装置30から送信されてくるデータ及びコマンドを図柄制御装置40に送信するサブ統合基板90によって」である点。

[相違点2](構成F)
「報知手段」が「遊技が行われていない場合の所定の条件において,前記操作入力手段に対する操作入力により音量レベルの設定変更が可能であることを報知する第1画像を所定の表示手段に」「表示させる」ことに関して,
本願補正発明は,「所定時間表示させる」のに対して,
引用発明1は,そのような構成であるか不明である点。

[相違点3](構成F)
「報知手段」が「前記第1画像とは異なる第2画像により」「表示する」「音量レベル」,及び,「前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示され」「更新する」「音量レベル」に関して,
本願補正発明は,「現在の音量レベル」であるのに対して,
引用発明1は,そのような構成であるか不明である点。

[相違点4](構成H)
「前記演出画像」と「前記第2画像を表示させると共に,前記第2画像が表示されている状態で,前記操作入力手段に対する操作入力が行われることなく所定時間が経過すると,前記第2画像を消去させて,前記演出画像を」「表示させる」,「演出画像」と「第2画像」に関して,
本願補正発明は,「前記演出画像の一部より前面側に前記第2画像を表示させると共に,」「前記第2画像を消去させて,前記演出画像を前面側に表示させる」のに対して,
引用発明1は,そのような構成であるか不明である点。

(4)判断
ア 相違点1について
遊技機において,演出表示の制御と,スピーカーの制御とを,同一の制御手段により行うことは,平成27年11月18日付けの拒絶理由の通知で文献2とした刊行物3(特開2013-132314号公報。【0093】,【0097】,図10?11には,画像音声制御基板70に搭載した画像音声制御用MPU71は,演出表示器30に変動・演出パターンを表示するために画像処理LSI76を制御し,スピーカ10?12から音楽や効果音などを出力するために音源IC80を制御する点が記載されている。),平成27年3月19日付けの拒絶理由の通知で文献4とした刊行物4(特開2011-200511号公報。【0091】,図3?4には,演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が,飾り図柄を可変表示する変動表示装置9の表示制御やスピーカ27L,27R,27a,27bからの音出力制御を行う点が記載されている。)に記載されているように周知(以下,「周知技術1」という。)である。
引用発明1と周知技術1は共に,遊技機における演出表示の制御とスピーカーの制御に関する発明又は技術であり,技術分野及び機能が共通している。
引用発明1の図柄制御装置40による図柄表示装置15の表示の制御と,サブ統合基板90によるスピーカ5の音量を変更することを,上記周知技術1に基づいて,図柄制御装置40又はサブ統合基板90のうちどちらか一方の制御装置で行うようにして,上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2について
上記(2)(2-2)には,刊行物2に記載された技術として「演出表示部200aの下部に,演出操作装置208を操作すると設定音量の変更が可能であることを報知する情報バー211を表示することが,客待ちコマンドを受信してから20秒が経過すると開始され,60秒が経過すると終了となり,以後,デモ画面が表示される遊技機100」の技術が記載されているから,刊行物2には,情報バー211が所定時間表示される技術が記載されているといえる。
引用発明1と刊行物2に記載された技術は共に,遊技機において,音量が変更できることを表示する技術であり,技術分野及び機能が共通している。
引用発明1の「図柄表示装置15のLCDパネル15aに表示され」る「「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像」(第1画像)に,上記引用例2に記載された技術を適用して,「「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像」(第1画像)が所定時間表示されるようにして,上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。

ウ 相違点3について
遊技機において,音量調整可能なときに表示する音量レベルを,現在の音量レベルとし,操作により表示される現在の音量レベルを更新することは,刊行物2(【0390】,図47(d)には,演出表示部200aに,設定音量演出として現在設定されている音量レベルに応じた音量メータが表示され,演出操作装置208による音量変更操作に伴って音量メーターが可変表示され,現在設定されている音量レベルが報知される点が記載されている。),及び本願の出願前に頒布された特開2012-223390号公報(以下,「刊行物5」という。【0639】?【0640】,図153には,音量設定の画面に切り替わると,まず現在設定されているレベル表示LVLが反転され,本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から現在の音量レベルを報知するアナウンスが選択された音量レベルVLの音量で流れ,図153(b)に示した音量レベルVLを値2から値5に設定する場合には,図153(c)に示すように,ジョグダイヤルJGD(ダイヤル操作部401)を右方向に回転させる右回転操作を行うことでレベル表示LVLを音量レベルVLが値5となる位置まで移動させて反転表示させ,本体枠3に設けたスピーカ821及び扉枠5に設けたスピーカ130,222,262から「音量レベルは5です。」というアナウンスがその選択された音量レベルVLの音量で流れる点が記載されている。)に記載されているように周知(以下,「周知技術2」という。)である。
引用発明1と周知技術2は共に,遊技機において,音量を表示する技術であり,技術分野及び機能が共通している。
引用発明1の「音量表示が行われ」,「操作ボタン75が操作されると」「音量表示が更新される」「音量インジケータ41の画像」(第2の画像)に,上記周知技術2を適用して,「操作ボタン75が操作されると」現在設定されている音量レベルが表示され,更新するようにして,上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。

エ 相違点4について
引用発明1の「図柄表示装置15のLCDパネル15aは,「CR鬼退治」の記載の下に「金棒を持った2匹の鬼」が描かれた「デモ表示」画像が表示され,「デモ表示」画像の下に,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像が表示されると共に,音量表示である音量インジケータ41の表示が行われていて操作ボタン75の操作信号が無い期間が一定期間Aを経過すると,音量表示である音量インジケータ41の表示を終了する」ものであり,「「デモ表示」画像」(演出画像)が表示されている範囲(LCDパネル15a全面に表示されるか),及び,「「デモ表示」画像」(演出画像)と「音量インジケータ41の画像」(第2画像)の構造が不明であるため,「「デモ表示」画像」(演出画像)の一部より前面側に「音量インジケータ41の画像」(第2画像)を表示させる構成か不明である。
他方,画像表示制御において,ある画像以外の,別の小さな画像を,任意のタイミングで表示又は消去する場合,ある画像の一部の前面側に,別の画像を任意のタイミングで表示及び消去することは,例示するまでもなく周知の技術(以下,「周知技術3」という。)である。
引用発明1の「「デモ表示」画像」(演出画像)と「音量インジケータ41の画像」(第2画像)に,上記周知技術3を適用して,「「デモ表示」画像」(演出画像)の一部よりも前面側に「音量インジケータ41の画像」(第2画像)を表示させ,「音量インジケータ41の画像」(第2画像)を消去させると,「「デモ表示」画像」(演出画像)を前面側に表示させるようにして,上記相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。

そして,本願補正発明の作用効果も,引用発明1,引用例2に記載された技術,及び周知技術1?3から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって,本願補正発明は,引用発明1,引用例2に記載された技術,及び周知技術1?3に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)請求人の主張について
請求人は審判請求書の3.(d)において,
「しかし,本願発明と引用発明1には,以下に示す相違点が存在する。
第1に,本願発明は,遊技が行われていない場合に演出手段に待機演出を行わせ,この待機演出実行中に演出画像を表示手段に表示可能であるのに対して,引用発明1は,特図変動遊技が実行されていない状態において待機演出を実行する構成を備えていない(第1の相違点)。
第2に,本願発明は,待機演出実行中に遊技者による操作入力が行われた場合,第2画像と待機演出に基づく演出画像の両者を表示させると共に,演出画像の一部と第2画像とが重なり合う領域において,第2画像を演出画像の一部の前面側に表示させる構成を備える。これに対して,引用発明1は上記のとおり待機演出実行中に演出画像を表示する構成を備えておらず,そのため,待機演出実行中に操作入力手段に対する操作が行われた場合に,第2画像と演出画像の両者を表示させることはあり得ず,第2画像と演出画像の一部とが重なり合う領域において第2画像を演出画像の一部の前面側に表示させる構成を備えていない(第2の相違点)。
第3に,本願発明は,第2画像が演出画像の一部より前面側に表示されている状態で,操作入力手段に対する操作入力が行われることなく所定時間が経過すると,第2画像を消去させると共に,演出画像を前面側に表示させる構成を備えているのに対して,引用発明1は,第2画像が表示されている状態で所定時間が経過すると第2画像を消去させる構成を備えていない。また,そもそも引用発明1は,上記のとおり待機演出における演出画像の一部より前面側に第2画像を表示させる構成を備えていないことから,第2画像を消去させると共に演出画像を前面側に表示させる構成も当然備えていない(第3の相違点)。
このように,本願発明と引用発明1には,上記第1乃至第3の相違点が存在する。」
と主張している。

しかしながら,上記(3)において既に検討したように,請求人の主張する平成27年11月18日付け拒絶理由の引用文献1(特開2013-27429号公報。)と異なる刊行物1(特開2005-288020号公報)に記載された発明である引用発明1と,本願補正発明との間には,請求人が主張する第1の相違点は存在せず,上記(4)エにおいて既に検討したように,引用発明1は,「「デモ表示」画像」(演出画像)と「音量インジケータ41の画像」(第2画像)とを同時に表示させるものであり,請求人が主張する第2?3の相違点の構成にすることは当業者が容易になし得たことであるから,本願補正発明は,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)まとめ
したがって,本願補正発明は,特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正(平成28年10月18日付け手続補正)は上記第2のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成27年5月20日付け手続補正書により補正された,上記第2 1で前述した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(A?Gは,本願発明を分説するために当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 始動条件が成立することにより遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行させるか否かを判定する特別遊技判定手段と,
B 前記特別遊技判定手段による判定の結果に基づいて,所定の演出手段に演出を行わせる演出制御手段と,
C 前記演出制御手段によって演出が行われるときの演出音を出力するスピーカーと,
D 遊技者が前記スピーカーにより出力される演出音の音量レベルの設定を変更するために操作入力を行うことが可能な操作入力手段と,
E 前記操作入力手段に対して行われる操作に基づいて,前記スピーカーから出力される演出音の音量レベルの設定変更を行う音量調整手段と,
F 遊技が行われていない場合の所定の条件において,前記操作入力手段に対する操作入力により音量レベルの設定変更が可能であることを報知する第1画像を所定の表示手段に所定時間表示させると共に,前記操作入力手段に対する操作入力が行われたことに伴い前記第1画像を消去させ,前記第1画像とは異なる第2画像により現在の音量レベルを表示すると共に,前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示される現在の音量レベルを更新する報知手段と,
G を備える遊技機。」

2 刊行物に記載された事項
(1)刊行物3
平成27年11月18日付けの拒絶理由の通知で文献2とした本願の出願前に頒布された刊行物3(特開2013-132314号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。
(ア)「【0017】
(請求項1に係る発明)
上記の目的を達成するため,この出願の請求項1に係る発明では,遊技球の流下領域が形成された遊技盤(5)と,前記流下領域へ遊技球(P)を発射する発射装置(4,4a?4n)と,前記遊技盤に設けられた始動口(21,22)と,乱数(R1?R10)を発生する乱数発生手段と,前記発射装置により発射された遊技球が前記始動口に入賞したときに前記乱数発生手段が発生した乱数を取得する乱数取得手段(S203)と,前記乱数取得手段が取得した乱数を格納する乱数格納手段(53)と,前記発射装置により発射された遊技球が前記始動口に入賞したときに動画像の表示を開始する画像表示装置(30)と,前記画像表示装置が前記動画像を表示しているときに音を出力する音出力装置(10?12)と,前記画像表示装置が前記動画像の表示を開始するときに前記乱数格納手段に格納されている乱数に基いて大当りかハズレかを判定するMPU(51)と,を備えており,前記画像表示装置は前記動画像の表示を開始してから所定時間経過後に前記MPUの判定の結果に対応する画像を表示するように構成されたパチンコ機(1)において,
遊技者が操作可能であり,前記音出力装置の音量を調節するための操作部材(9)と,前記操作部材の操作に応じて前記音量を設定する音量設定手段(83)と,前記音量設定手段による音量の設定状態を前記画像表示装置に表示する音量表示手段(G3,G4,S702)と,を備えるという技術的手段を用いる。」

(イ)「【図面の簡単な説明】
【0022】
・・・
【図8】音量設定画面の説明図であり,(a)は音量設定画面の初期画面を示す説明図,(b)は音量設定中の画面を示す説明図である。」

(ウ)「【0033】
遊技盤5の中央には,センター飾り16が設けられている。このセンター飾り16は,図3に示すように盤面から前方へ突出する立体形状に形成されており,遊技領域の中央領域を占有している。センター飾り16には,静止画像および動画像を表示する画像表示装置としての演出表示器30が設けられている。演出表示器30が表示する動画像とは,演出図柄の変動表示を表す動画像,変動表示する演出図柄の背景に表示する動画像,演出図柄の変動表示が行われていないときに表示する動画像,大当りが発生したときに表示する動画像,大当り遊技中に表示する動画像,演出ボタン9の有効時間を表す動画像,遊技者が付いていないときに表示する客待ち用の動画像などである。」

(エ)「【0055】
また,スピーカ10?12(図1)は,演出表示器30が動画像を表示しているときに音楽または効果音を出力する。たとえば,演出表示器30がテレビで有名なドラマやアニメーションを表示しているときに,そのドラマやアニメーションの主題歌や挿入歌を出力する。」

(オ)「【0071】
パチンコ機1は,遊技者がスピーカ10?12の音量を所望の大きさに調節することができる構成を備える。演出ボタン9は,前述したようにボタン演出の際に特定の動画像に変化させるための操作部材である他,スピーカ10?12の音量を調節するための操作部材を兼用している。
【0072】
パチンコ機1が演出を行っていないときに遊技者が演出ボタン9を押すと,図8(a)に示すような音量設定画面の初期画面が演出表示器30に表示される。この実施形態では,音量設定画面として,「音量を調節します 演出ボタンを押してください 音量は50が標準です」という説明画像G2と,音量の大きさを横バーの長さで表すインジケータG3と,音量を数値で表す音量画像G4とが演出表示器30に表示される。
【0073】
そして,遊技者が演出ボタン9を押し続けている間,図8(b)に示すように,インジケータG3の横バーが右方へ延び,音量画像G4により表される音量の数値が増加する。図示の例では,インジケータG3の横バーは全体の中央にまで達しており,音量画像G4により表される音量の数値は50になっている。この実施形態では,音量の最小値は0であり,最大値は100である。そして,遊技者が演出ボタン9の押圧を中止し,所定時間(たとえば,数秒)経過すると,そのときの音量が設定される。
【0074】
たとえば,音量調節前の音量が70に設定されていたために音量が大きく感じていた場合は,音量を70より小さい音量に設定することにより,音量を小さくすることができる。また,音量調節前の音量が30に設定されていたために音量が小さく感じていた場合は,音量を30より大きい音量に設定することにより,音量を大きくすることができる。
なお,この実施形態では,演出ボタン9を押し続けて音量が最大値の100に達した場合は,再度,最小値の0に戻り,再度増加する構成になっている。」

(カ)「【0097】
画像データROM74,75には,演出表示器30に変動・演出パターンなどを表示するための画像データが格納されている。画像音声制御用MPU71は,主制御用MPU51から送信される演出制御信号に基いて演出表示器30に変動・演出パターンを表示するために画像処理LSI76を制御し,スピーカ10?12から音楽や効果音などを出力するために音源IC80を制御する。また,音量設定回路83は,デジタルアンプ84,85の入力レベルを調節可能に設定することにより,スピーカ10?12の音量を設定する。画像音声制御用MPU71は,照光付演出スイッチ9aからの出力信号に基づいて音量設定回路83を制御することにより,遊技者が演出ボタン9を操作して調節した音量を設定する。このように,画像音声制御用MPU71は,画像および音声の制御を統括する。」

(キ)「【0149】
主制御用MPU51は,遊技球が第1始動口21に入賞したか否かを判定し(図22のS201),入賞したと判定した場合は(S201:Yes),特別図柄保留数U1が4個未満であるか否かを判定する(S202)。ここで,4個未満であると判定した場合は(S202:Yes),大当り判定用乱数R3,大当り図柄用乱数R5,リーチ選択乱数R7および第1変動グループ乱数R8を各乱数カウンタから取得し,それらを保留テーブル53a(図16)に格納する(S203)。続いて,特別図柄保留数U1に1を加算する(S204)。
・・・
【0151】
ここで,特別図柄保留数U1が0ではないと判定した場合は(S208:No),確変遊技状態であるか否かを判定し(S209),確変遊技状態であると判定した場合は(S209:Yes),確変遊技状態の大当り判定を行う(S210)。つまり,先のS203において取得した大当り判定用乱数と,大当り値テーブル52a(図13)の確変遊技状態に設定されている大当り値とを比較し,大当り判定用乱数と一致する大当り値が存在する場合は大当りと判定し,存在しない場合はハズレと判定する。たとえば,大当り判定用乱数が7であった場合は,それと一致する大当り値7が存在するため大当りと判定し,大当り判定用乱数が8であった場合は,それと一致する大当り値が存在しないためハズレと判定する。
・・・
【0155】
続いて,特別図柄の停止図柄を表示している停止図柄表示時間を設定し(S220),停止図柄表示時間の計測を開始する(S221)。そして,次のサイクルで特別図柄遊技処理を実行するときに,図22のS207において停止図柄表示時間中であると判定すると(S207:Yes),停止図柄表示時間が経過したか否かを判定し(図23のS222),経過したと判定した場合は(S222:Yes),特別図柄の大当り図柄が確定表示されたか否かを判定する(S223)。ここで,確定表示されたと判定した場合は(S223:Yes),大当り遊技を開始し(S224),確変機能を停止し(S225),時短機能を停止する(S226)。ここで,確変機能および時短機能を停止させるのは,確変機能および時短機能は,当該大当り遊技が終了してから機能させるためである。」

(ク)「【0166】
ここで,演出中ではないと判定した場合は(S700:No),演出ボタン9がオンしたか否かを判定し(S701),演出ボタン9がオンしたと判定した場合は(S701:Yes),図8(a)に示した音量設定画面を演出表示器30に表示する(S702)。続いて,音量を設定することができる制限時間の計測を開始する(S703)。続いて,再度,演出ボタン9がオンしたか否かを判定し(S704),オンしたと判定した場合は(S704:Yes),インジケータG3の横バーを右方へ延ばすとともに音量画像G4の数値を増大させ,設定音量を増大させる(S705)。ここで,演出ボタン9を押圧し続けている間,インジケータG3の横バーは所定量右方に延び続けるとともに音量画像G4の数値が増大し続け,設定音量が増大し続ける。」

(ケ)上記【0022】の「【図8】・・・(a)は音量設定画面の初期画面を示す説明図,(b)は音量設定中の画面を示す説明図」との記載,上記【0072】の「図8(a)に示すような音量設定画面の初期画面が演出表示器30に表示される・・・音量設定画面として,「音量を調節します 演出ボタンを押してください 音量は50が標準です」という説明画像G2と,音量の大きさを横バーの長さで表すインジケータG3と,音量を数値で表す音量画像G4とが演出表示器30に表示される」との記載,上記【0073】の「遊技者が演出ボタン9を押し続けている間,図8(b)に示すように,インジケータG3の横バーが右方へ延び,音量画像G4により表される音量の数値が増加する」との記載,上記【0167】の「再度,演出ボタン9がオンしたか否かを判定し(S704),オンしたと判定した場合は(S704:Yes),インジケータG3の横バーを右方へ延ばすとともに音量画像G4の数値を増大させ,設定音量を増大させる(S705)。」との記載を参酌すると,図8(b)には,再度演出ボタン9をオンし,遊技者が演出ボタン9を押し続ける音量設定中は,説明画像G2が消去され,演出ボタン9を押し続けている間,インジケータG3の横バーが右方へ延び,音量画像G4により表される音量の数値が増加する演出表示器30が図示されているといえる。

上記記載事項(ア)?(ク),上記図示内容(ケ)より,以下の事項が導かれる。
なお,(a)?(g)は,本願発明の構成A?Gに対応した事項を示している。

(a)上記【0149】には「主制御用MPU51は,遊技球が第1始動口21に・・・入賞したと判定した場合・・・,大当り判定用乱数R3,大当り図柄用乱数R5,リーチ選択乱数R7および第1変動グループ乱数R8を各乱数カウンタから取得し,」と記載され,上記【0151】には「取得した大当り判定用乱数と・・・一致する大当り値が存在する場合は大当りと判定し,」と記載され,上記【0155】には「大当り遊技を開始し」と記載されているから,刊行物3には,遊技球が第1始動口21に入賞したと判定した場合,大当り判定用乱数R3,大当り図柄用乱数R5,リーチ選択乱数R7および第1変動グループ乱数R8を各乱数カウンタから取得し,取得した大当り判定用乱数と一致する大当り値が存在する場合は大当りと判定し,大当り遊技を開始する主制御用MPU51が記載されているといえる。

(b)上記(a)で検討したように,刊行物3には「主制御用MPU51」が「大当り判定用乱数と一致する大当り値が存在する場合は大当りと判定」する点が記載され,上記【0017】には「遊技球が前記始動口に入賞したときに動画像の表示を開始する画像表示装置(30)と,・・・前記画像表示装置が前記動画像の表示を開始するときに前記乱数格納手段に格納されている乱数に基いて大当りかハズレかを判定するMPU(51)と,を備えており,前記画像表示装置は前記動画像の表示を開始してから所定時間経過後に前記MPUの判定の結果に対応する画像を表示する」と記載され,上記【0097】には「画像音声制御用MPU71は,主制御用MPU51から送信される演出制御信号に基いて演出表示器30に変動・演出パターンを表示するために画像処理LSI76を制御し」と記載され,上記【0033】には「演出表示器30が表示する動画像とは,演出図柄の変動表示を表す動画像,変動表示する演出図柄の背景に表示する動画像,・・・大当りが発生したときに表示する動画像,・・・などである」と記載され,「主制御用MPU51」と「MPU(51)」,及び「演出表示器30」と「画像表示装置(30)」が同じ装置であることは明らかであるからから,刊行物3には,主制御用MPU51の判定の結果に対応して,演出表示器30に,演出図柄の変動表示を表す動画像,変動表示する演出図柄の背景に表示する動画像,大当りが発生したときに表示する動画像などを表示するように制御する画像音声制御用MPU71が記載されているといえる。

(c)上記【0097】には「画像音声制御用MPU71は,主制御用MPU51から送信される演出制御信号に基いて・・・スピーカ10?12から音楽や効果音などを出力するために音源IC80を制御する」と記載され,上記【0055】には「スピーカ10?12(図1)は,演出表示器30が動画像を表示しているときに音楽または効果音を出力する」と記載されているから,刊行物3には,画像音声制御用MPU71によって,演出表示器30が動画像を表示しているときに音楽または効果音を出力するスピーカ10?12が記載されているといえる。

(d)上記【0071】には「演出ボタン9は,・・・スピーカ10?12の音量を調節するための操作部材」と記載され,上記【0073】には「遊技者が演出ボタン9を押し続けている間,・・・インジケータG3の横バーが右方へ延び,音量画像G4により表される音量の数値が増加する」と記載され,上記【0074】には「演出ボタン9を押し続けて音量が最大値の100に達した場合は,再度,最小値の0に戻り,再度増加する」と記載されているから,刊行物3には,遊技者がスピーカ10?12の音量を調節するために,押し続けて音量の数値を増加させ,音量が最大値の100に達した場合は,再度最小値の0に戻り,再度増加させる演出ボタン9が記載されているといえる。

(e)上記(d)で検討したように,刊行物3には「遊技者がスピーカ10?12の音量を調節するために,押し続けて音量の数値を増加させ,音量が最大値の100に達した場合は,再度最小値の0に戻り,再度増加させる演出ボタン9」が記載され,上記【0073】には「遊技者が演出ボタン9の押圧を中止し,所定時間(たとえば,数秒)経過すると,そのときの音量が設定される」と記載され,上記【0097】には「画像音声制御用MPU71は・・・遊技者が演出ボタン9を操作して調節した音量を設定する」と記載されているから,刊行物3には,演出ボタン9を押し続けて音量の数値を増加させ,音量が最大値の100に達した場合は,再度最小値の0に戻り,再度増加させ,遊技者が演出ボタン9の押圧を中止し,所定時間(たとえば,数秒)経過すると,そのときの音量をスピーカ10?12の音量として設定する画像音声制御用MPU71が記載されているといえる。

(f)上記【0072】には「パチンコ機1が演出を行っていないときに遊技者が演出ボタン9を押すと,図8(a)に示すような・・・音量設定画面として,「音量を調節します 演出ボタンを押してください 音量は50が標準です」という説明画像G2と,音量の大きさを横バーの長さで表すインジケータG3と,音量を数値で表す音量画像G4とが演出表示器30に表示され」と記載され,上記【0166】には「図8(a)に示した音量設定画面を演出表示器30に表示する(S702)。続いて,音量を設定することができる制限時間の計測を開始する(S703)」と記載され,上記(ケ)の図8(b)の図示内容は「再度演出ボタン9をオンし,遊技者が演出ボタン9を押し続ける音量設定中は,説明画像G2が消去され,演出ボタン9を押し続けている間,インジケータG3の横バーが右方へ延び,音量画像G4により表される音量の数値が増加する演出表示器30」であるから,刊行物3には,パチンコ機1が演出を行っていないときに遊技者が演出ボタン9を押すと,音量設定画面として,「音量を調節します 演出ボタンを押してください 音量は50が標準です」という説明画像G2と,音量の大きさを横バーの長さで表すインジケータG3と,音量を数値で表す音量画像G4とが演出表示器30に表示され,音量を設定することができる制限時間の計測を開始し,再度演出ボタン9をオンし,遊技者が演出ボタン9を押し続ける音量設定中は,説明画像G2が消去され,演出ボタン9を押し続けている間,インジケータG3の横バーが右方へ延び,音量画像G4により表される音量の数値が増加する演出表示器30が記載されているといえる。

(g)上記【0072】には「パチンコ機1」と記載されている。

上記記載事項(ア)?(ク),上記図示内容(ケ)から,刊行物3には,次の発明(以下,「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「a 遊技球が第1始動口21に入賞したと判定した場合,大当り判定用乱数R3,大当り図柄用乱数R5,リーチ選択乱数R7および第1変動グループ乱数R8を各乱数カウンタから取得し,取得した大当り判定用乱数と,大当り値テーブル52a(図13)の確変遊技状態に設定されている大当り値とを比較し,大当り判定用乱数と一致する大当り値が存在する場合は大当りと判定し,大当り遊技を開始する主制御用MPU51と,
b 主制御用MPU51の判定の結果に対応して,演出表示器30に,演出図柄の変動表示を表す動画像,変動表示する演出図柄の背景に表示する動画像,大当りが発生したときに表示する動画像などを表示するように制御する画像音声制御用MPU71と,
c 画像音声制御用MPU71によって,演出表示器30が動画像を表示しているときに音楽または効果音を出力するスピーカ10?12と,
d 遊技者がスピーカ10?12の音量を調節するために,押し続けて音量の数値を増加させ,音量が最大値の100に達した場合は,再度最小値の0に戻り,再度増加させる演出ボタン9と,
e 演出ボタン9を押し続けて音量の数値を増加させ,音量が最大値の100に達した場合は,再度最小値の0に戻り,再度増加させ,遊技者が演出ボタン9の押圧を中止し,所定時間(たとえば,数秒)経過すると,そのときの音量をスピーカ10?12の音量として設定する画像音声制御用MPU71と,
f パチンコ機1が演出を行っていないときに遊技者が演出ボタン9を押すと,音量設定画面として,「音量を調節します 演出ボタンを押してください 音量は50が標準です」という説明画像G2と,音量の大きさを横バーの長さで表すインジケータG3と,音量を数値で表す音量画像G4とが演出表示器30に表示され,音量を設定することができる制限時間の計測を開始し,再度演出ボタン9をオンし,遊技者が演出ボタン9を押し続ける音量設定中は,説明画像G2が消去され,演出ボタン9を押し続けている間,インジケータG3の横バーが右方へ延び,音量画像G4により表される音量の数値が増加する演出表示器30と,
g を備えるパチンコ機1。」

3 対比
本願発明と引用発明3とを,分説に従って対比する。

(a)引用発明3の「遊技球が第1始動口21に入賞したと判定した」こと,及び「大当り遊技」は,それぞれ,本願発明の「始動条件が成立すること」,及び「遊技者にとって有利な特別遊技状態」に相当する。
このことから,引用発明3の「遊技球が第1始動口21に入賞したと判定した場合,大当り判定用乱数R3,大当り図柄用乱数R5,リーチ選択乱数R7および第1変動グループ乱数R8を各乱数カウンタから取得し,取得した大当り判定用乱数と一致する大当り値が存在する場合は大当りと判定し,大当り遊技を開始する主制御用MPU51」は,本願発明の「始動条件が成立することにより遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行させるか否かを判定する特別遊技判定手段」に相当する。

(b)引用発明3の「演出表示器30」及び「画像音声制御用MPU71」は,それぞれ,「所定の演出手段」及び「演出制御手段」に相当する。
また,引用発明3の「主制御用MPU51の判定の結果に対応して」は,本願発明の「前記特別遊技判定手段による判定の結果に基づいて」に相当する。
そして,引用発明3の「演出図柄の変動表示を表す動画像,変動表示する演出図柄の背景に表示する動画像,大当りが発生したときに表示する動画像などを表示する」ことは,本願発明の「演出を行わせる」ことに相当する。
これらのことから,引用発明3の「主制御用MPU51の判定の結果に対応して,演出表示器30に,演出図柄の変動表示を表す動画像,変動表示する演出図柄の背景に表示する動画像,大当りが発生したときに表示する動画像などを表示するように制御する画像音声制御用MPU71」は,本願発明の「前記特別遊技判定手段による判定の結果に基づいて,所定の演出手段に演出を行わせる演出制御手段」に相当する。

(c)引用発明3の「演出表示器30が動画像を表示しているとき」の「音楽または効果音」は,本願発明の「演出が行われるときの演出音」に相当する。
また,引用発明3の「スピーカ10?12」は,本願発明の「スピーカー」に相当する。
これらのことから,引用発明3の「画像音声制御用MPU71によって,演出表示器30が動画像を表示しているときに音楽または効果音を出力するスピーカ10?12」は,本願発明の「前記演出制御手段によって演出が行われるときの演出音を出力するスピーカー」に相当する。

(d)引用発明3の「演出ボタン9」を「押し続け」ること,及び「演出ボタン9」は,それぞれ,本願発明の「操作入力を行うこと」,及び「操作入力手段」に相当する。
このことから,引用発明3の「遊技者がスピーカ10?12の音量を調節するために,押し続けて音量の数値を増加させ,音量が最大値の100に達した場合は,再度最小値の0に戻り,再度増加させる演出ボタン9」は,本願発明の「遊技者が前記スピーカーにより出力される演出音の音量レベルの設定を変更するために操作入力を行うことが可能な操作入力手段」に相当する。

(e)引用発明3の「画像音声制御用MPU71」は,「演出ボタン9を押し続けて音量の数値を増加させ,音量が最大値の100に達した場合は,再度最小値の0に戻り,再度増加させ,遊技者が演出ボタン9の押圧を中止し,所定時間(たとえば,数秒)経過すると,そのときの音量をスピーカ10?12の音量として設定する」から,本願発明の「前記操作入力手段に対して行われる操作に基づいて,前記スピーカーから出力される演出音の音量レベルの設定変更を行う音量調整手段」に相当する機能を有している。

(f)引用発明3の「パチンコ機1が演出を行っていないときに遊技者が演出ボタン9を押す」こと,「「音量を調節します 演出ボタンを押してください 音量は50が標準です」という説明画像G2」,及び「音量の大きさを横バーの長さで表すインジケータG3と,音量を数値で表す音量画像G4」は,それぞれ,本願発明の「遊技が行われていない場合の所定の条件」,「前記操作入力手段に対する操作入力により音量レベルの設定変更が可能であることを報知する第1画像」,及び「前記第1画像とは異なる第2画像」に相当する。
また,引用発明3の「演出表示器30」は,本願発明の「所定の表示手段」及び「報知手段」に相当する。
次に,引用発明3は,「説明画像G2」(第1画像)「が演出表示器30に表示され,音量を設定することができる制限時間の計測を開始」するものであり,「演出ボタン9」を押さなくても制限時間になると「説明画像G2」(第1画像)が消去されることは明らかであるから,引用発明3の「説明画像G2」(第1画像)は,「演出表示器30」(所定の表示手段)に所定時間表示されることは明らかである。
そして,引用発明3は,「再度演出ボタン9をオンし,遊技者が演出ボタン9を押し続ける音量設定中は,説明画像G2が消去され」るものであり,「説明画像G2が消去され」る契機となる事象は,演出ボタン9を押すことのみであるから,演出ボタン9を押すことに伴い「説明画像G2」(第1画像)が消去されることも明らかである。
しかしながら,引用発明3の「インジケータG3」(第2画像)と「音量画像G4」(第2画像)とが表示または更新する音量の大きさ(音量レベル)は,現在の音量の大きさ(音量レベル)であるか明記されていないので,不明である。このことから,引用発明3の「演出ボタン9を押し続けている間,インジケータG3の横バーが右方へ延び,音量画像G4により表される音量の数値が増加する演出表示器30」は,本願発明の「前記第1画像とは異なる第2画像により現在の音量レベルを表示すると共に,前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示される現在の音量レベルを更新する報知手段」と,「前記第1画像とは異なる第2画像により」「音量レベルを表示すると共に,前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示される」「音量レベルを更新する報知手段」である点で共通している。

これらのことから,引用発明3の「パチンコ機1が演出を行っていないときに遊技者が演出ボタン9を押すと,音量設定画面として,「音量を調節します 演出ボタンを押してください 音量は50が標準です」という説明画像G2と,音量の大きさを横バーの長さで表すインジケータG3と,音量を数値で表す音量画像G4とが演出表示器30に表示され,音量を設定することができる制限時間の計測を開始し,再度演出ボタン9をオンし,遊技者が演出ボタン9を押し続ける音量設定中は,説明画像G2が消去され,演出ボタン9を押し続けている間,インジケータG3の横バーが右方へ延び,音量画像G4により表される音量の数値が増加する演出表示器30」は,
本願発明の構成Fと「遊技が行われていない場合の所定の条件において,前記操作入力手段に対する操作入力により音量レベルの設定変更が可能であることを報知する第1画像を所定の表示手段に所定時間表示させると共に,前記操作入力手段に対する操作入力が行われたことに伴い前記第1画像を消去させ,前記第1画像とは異なる第2画像により」「音量レベルを表示すると共に,前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示される」「音量レベルを更新する報知手段」である点で共通している。

(g)引用発明3の「パチンコ機1」は,本願発明の「遊技機」に相当する。

上記(a)?(h)から,本願発明と引用発明3とは,
[一致点]
「A 始動条件が成立することにより遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行させるか否かを判定する特別遊技判定手段と,
B 前記特別遊技判定手段による判定の結果に基づいて,所定の演出手段に演出を行わせる演出制御手段と,
C 前記演出制御手段によって演出が行われるときの演出音を出力するスピーカーと,
D 遊技者が前記スピーカーにより出力される演出音の音量レベルの設定を変更するために操作入力を行うことが可能な操作入力手段と,
E 前記操作入力手段に対して行われる操作に基づいて,前記スピーカーから出力される演出音の音量レベルの設定変更を行う音量調整手段と,
F’遊技が行われていない場合の所定の条件において,前記操作入力手段に対する操作入力により音量レベルの設定変更が可能であることを報知する第1画像を所定の表示手段に所定時間表示させると共に,前記操作入力手段に対する操作入力が行われたことに伴い前記第1画像を消去させ,前記第1画像とは異なる第2画像により音量レベルを表示すると共に,前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示される音量レベルを更新する報知手段と,
G を備える遊技機。」
である点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点5](構成F)
「報知手段」が「前記第1画像とは異なる第2画像により」「表示する」「音量レベル」,及び,「前記操作入力手段に対する操作入力に応じて前記第2画像において表示され」「更新する」「音量レベル」に関して,
本願発明は,「現在の音量レベル」であるのに対して,
引用発明1は,そのような構成であるか不明である点。

4 判断
ア 相違点5について
上記[相違点5]は,上記第2 3(3)の[相違点3]と同じであり,上記第2 3(4)において検討したように,遊技機において,音量調整可能なときに表示する音量レベルを,現在の音量レベルとし,操作により表示される現在の音量レベルを更新することは,周知技術2として周知である。
引用発明3と周知技術2は共に,遊技機において,音量を表示する技術であり,技術分野及び機能が共通している。
引用発明3の「演出ボタン9を押し続けている間,インジケータG3の横バーが右方へ延び,音量画像G4により表される音量の数値が増加する演出表示器30」に,上記周知技術2を適用して,「インジケータG3」(第2画像)と「音量画像G4」(第2画像)に,現在設定されている音量レベルが表示されるようにして,上記相違点5に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。

そして,本願発明の作用効果も,引用発明3,及び周知技術2から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって,本願発明は,引用発明3,及び周知技術2に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

仮に,本願発明の構成Fに関する「前記操作入力手段に対する操作入力が行われたことに伴い前記第1画像を消去させ,前記第1画像とは異なる第2画像により現在の音量レベルを表示すると共に」について,引用発明3の「説明画像G2」(第1画像)が消去されることにより,「インジケータG3」(第2画像)と「音量画像G4」(第2画像)とが表示される構成でない点で相違するとしても,第1画像が消去されることにより第2画像が表示されるようにすることは,上記刊行物1(上記第2(2)(2-1)の(ク)(ケ)には,図12Aの「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像(第1画像)が表示された後,図12Aの「操作ボタンを押すと音量が変更できます。」と記載された画像(第1画像)の代わりに,音量表示が行われる音量インジケータ41の画像(第2画像)が表示される点が記載されている。),上記刊行物2(上記第2(2)(2-2)(ア)の【0389】?【0390】,図47(b)(d)には,演出操作装置208を回転操作すると,設定音量の変更が可能であることを報知する情報バー211(第1画像)が演出表示部200aに表示(図47(b))された後,演出表示部200aに,現在設定されている音量レベルに応じた音量メーター(第2画像)のみが表示(図47(d)。この時点で情報バー211は表示されていない。)される点が記載されている。)に記載されているように周知(以下,「周知技術4」という。)であり,本願発明は,引用発明3,及び周知技術2,4に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって,その余の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-10-16 
結審通知日 2017-10-17 
審決日 2017-10-31 
出願番号 特願2014-12296(P2014-12296)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 鹿戸 俊介
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 高垣 泰志  

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