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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01S
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01S
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01S
管理番号 1335684
審判番号 不服2015-15210  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-13 
確定日 2017-12-19 
事件の表示 特願2013-192862「移動式位置決定装置を位置決定して追跡するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月20日出願公開、特開2014- 32201〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年5月25日を出願日とする特願2001-514596号の一部を、平成25年9月18日に特許法第44条第1項の規定により新たな特許出願(特願2013-192862号(パリ条約による優先権主張 1999年7月29日(優先日) 米国))としたものであって、平成27年4月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月13日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされたものである。
その後、当審より平成28年9月16日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、平成29年3月27日付けで手続補正がされた。

第2 当審拒絶理由
当審拒絶理由のうち理由2及び3は、以下のとおりである。

「2 この出願の下記の請求項1?4、7?10、12に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。



・国際公開第98/45823号(以下、引用例1という。)

[説明]
引用例1の第20頁第10行?第16行には「前述の態様と共通のものとすることができるもう一つ別の実施態様によれば、移動端末1、2はその位置を、また場合によってはその速度をサーバー5に定期的に連絡する。サーバーはこの情報を記憶し、それを利用して道路状態に関する自己のデータを更新するだけでなく、位置を伝えた移動端末1、2以外の端末からの問い合わせに場合によっては答えることができる。これによって位置特定、車両追跡、および保有車両管理のサービスを提供することができる。」(当審訳)ということが記載されている。なお、下線は当審が付した。
そうすると、請求項1?4、7?10、12に係る発明は、引用例1に記載されていると認められる。」

「3 この出願の請求項1?12、15に係る発明は、その優先日前出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



・国際公開第98/45823号(引用例1)
・特開平10-221426号公報(以下、引用例2という。)
・特開平11-64482号公報(以下、引用例3という。)

・請求項1?4、7?10、12
・引用例1
[説明1]
上記2の[説明]を参照されたい。

・請求項5、11
・引用例1、2
[説明2]
電力消費を少なくするため、現在位置を算出する装置(発信器)が位置情報を送信する間隔を当該装置の速度に応じて変更することは、引用例2(段落【0030】?【0042】参照)に記載されている。

・請求項6、15
・引用例1、3
[説明3]
位置データに関する情報を送信する場合にID番号やパスワードにより受信する権限が与えられていることを確認することは、引用例3(請求項1、段落【0007】?【0009】)に記載されている。」

第3 本願発明
本願の請求項1ないし15に係る発明は、平成29年3月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりである。

「【請求項1】
移動式位置決定装置を位置決定して追跡するための方法であって、
前記移動式位置決定装置の現在の位置データを、サーバーコンピュータにおいて定期的に受信する段階と、
前記移動式位置決定装置の現在位置に関連する情報に関する要求を、前記サーバーコンピュータにおいて受信する段階と、
前記要求についての情報を前記移動式位置決定装置に提供することなく、前記要求に応答して、前記現在の位置データに関連する情報を前記サーバーコンピュータから送信する段階と
を含むことを特徴とする方法。」(以下、「本願発明」という。)

第4 引用例
1 記載事項
当審拒絶理由で引用された引用例1(国際公開第98/45823号)には、次の事項が記載されている。



」(第20頁第1行?第16行)
(当審訳)
「もう一つの推奨実施態様によれば、移動端末1、2は3COMのPalmPilot型の電子手帳で構成され、GPS受信器とGSM通信モジュールを備えている。GPS受信モジュールとGSMモジュールは、同じく小型制御装置16、デジタルアナログ変換器21とスピーカー23も備えた同一ブロック内に内蔵されている。GPSおよびGSMモジュールは取り外し可能で、電子手帳に接続することが可能な台座9を備えている。データ入力にはスタイラスペンを用いる。これは例として挙げたまでで、Psion電子手帳などの、他のタイプの電子手帳を使用することもできる。
前述の態様と共通のものとすることができるもう一つ別の実施態様によれば、移動端末1、2はその位置を、また場合によってはその速度をサーバー5に定期的に連絡する。サーバーはこの情報を記憶し、それを利用して道路状態に関する自己のデータを更新するだけでなく、位置を伝えた移動端末1、2以外の端末からの問い合わせに場合によっては答えることができる。これによって位置特定、車両追跡、および保有車両管理のサービスを提供することができる。」(下線は当審が付した。)

2 引用発明
上記記載より、引用例1には次の発明が記載されているものと認められる。

「GPS受信器とGSM通信モジュールを備えた移動端末は、その位置をサーバーに定期的に連絡し、サーバーはこの情報を記憶し、それを利用して位置を伝えた移動端末以外の端末からの問い合わせに答えることができ、これによって位置特定、車両追跡のサービスを提供する方法。」(以下、「引用発明」という。)

第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明における「移動端末」は、GPS受信器を備え、その位置をサーバーに定期的に連絡するものであるから、本願発明における「移動式位置決定装置」に相当する。

(2)引用発明において、「GPS受信器とGSM通信モジュールを備えた移動端末」が「その位置をサーバーに定期的に連絡」すると、通常はコンピュータにあるサーバーは、移動端末の連絡時現在の位置データを定期的に受信することになるから、引用発明における「GPS受信器とGSM通信モジュールを備えた移動端末は、その位置をサーバーに定期的に連絡」することは、本願発明における「前記移動式位置決定装置の現在の位置データを、サーバーコンピュータにおいて定期的に受信する段階」に相当する。

(3)引用発明においては、「サーバーはこの情報を記憶し、それを利用して位置を伝えた移動端末以外の端末からの問い合わせに答える」から、通常はコンピュータにあるサーバーは、位置を伝えた移動端末以外の端末からの問い合わせを受け、その問い合わせに答えて、そこに記憶されている位置を伝えた移動端末の現在の位置データの情報を、位置を伝えた移動端末以外の端末に送信するといえる。また、引用発明において、「問い合わせ」は、位置を伝えた移動端末の現在の位置データの情報を求めるためのものであるから、要求であるといえる。さらに、問い合わせについての情報を位置を伝えた移動端末に提供しなくても、サーバーは、そこに記憶されている位置を伝えた移動端末の現在の位置データの情報を、位置を伝えた移動端末以外の端末に送信することができ、また、ほかに提供する必要性がないことも技術的に明らかであるから、引用発明においては、問い合わせについての情報を位置を伝えた移動端末に提供していないといえる。
そうすると、引用発明における「サーバー」が「この情報を記憶し、それを利用して位置を伝えた移動端末以外の端末からの問い合わせに答えること」は、本願発明における「前記移動式位置決定装置の現在位置に関連する情報に関する要求を、前記サーバーコンピュータにおいて受信する段階と、前記要求についての情報を前記移動式位置決定装置に提供することなく、前記要求に応答して、前記現在の位置データに関連する情報を前記サーバーコンピュータから送信する段階」に相当する。

(4)引用発明によれば、移動端末の「位置特定」や「追跡」ができるから、引用発明における「方法」は、本願発明における「移動式位置決定装置を位置決定して追跡するための方法」に相当する。

2 判断
(1)上記(1)ないし(4)で対比したとおり、本願発明と引用発明との間に相違点は見出せないから、本願発明は、引用例1に記載された引用発明であり、また、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるともいえる。
そうすると、本願発明は、引用例1に記載された引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2)なお、仮に、「前記要求についての情報を前記移動式位置決定装置に提供することなく」という点が本願発明と引用発明の相違点であるとしても、引用発明において、問い合わせについての情報を位置を伝えた移動端末に提供しなくても、サーバーは、そこに記憶されている位置を伝えた移動端末の現在の位置データの情報を、位置を伝えた移動端末以外の端末に送信することができる以上、引用発明において、問い合わせについての情報を位置を伝えた移動端末に提供しないようにすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
そうすると、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-18 
結審通知日 2017-07-24 
審決日 2017-08-07 
出願番号 特願2013-192862(P2013-192862)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (G01S)
P 1 8・ 121- WZ (G01S)
P 1 8・ 113- WZ (G01S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 亮須中 栄治  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 須原 宏光
関根 洋之
発明の名称 移動式位置決定装置を位置決定して追跡するための方法  
代理人 阿部 達彦  
代理人 実広 信哉  
代理人 村山 靖彦  

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