• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1335715
審判番号 不服2016-18445  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-08 
確定日 2017-12-20 
事件の表示 特願2016- 12175「スマートフォン」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月 9日出願公開、特開2016-105304〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年6月19日(パリ条約による優先権主張2014年8月1日、大韓民国)に出願した特願2015-124247号(以下、「原出願」という。)の一部を平成28年1月26日に新たな特許出願としたものであって、同年2月18日付けで拒絶理由通知がされ、同年4月22日に手続補正がされ、同年5月10日付けで拒絶理由通知(最後)がされ、同年7月15日に手続補正がされ、同年7月29日付けで同年7月15日付けの補正を却下する補正の却下の決定がされると同時に拒絶査定がされ、これに対し、同年12月8日に拒絶査定不服審判が請求され、平成29年1月18日に審判請求書を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成28年7月29日付け補正の却下の決定について
請求人は、本件審判請求書において、「【請求の趣旨】特願2016-012175について、平成28年8月9日発送の補正却下決定ならびに原査定を取り消す、本願は特許をすべきものであるとの審決を求める。」としている。そこで、まず、当該補正の却下の決定(平成28年7月29日付けの補正の却下の決定)の適否について検討する(以下、平成28年7月15日の手続補正を「本件補正」といい、平成28年7月29日付けでなされた補正の却下の決定を「本件却下の決定」という。)。

1.本件補正の概要
本件補正は、平成28年4月22日付け手続補正により補正された、特許請求の範囲をさらに補正するものであって、本件補正による補正前の特許請求の範囲の請求項1を、補正後の特許請求の範囲の請求項1に変更する補正事項を含むものである。
そして、補正前の請求項1及び補正後の請求項1の各記載は、それぞれ、以下のとおりである。
なお、[補正後の請求項1]における下線は、補正箇所を表している。

[補正前の請求項1]
「【請求項1】
カバー層と、
前記カバー層の下部に配置される有機発光ディスプレイモジュールと、
前記ディスプレイモジュールの下部に付着される圧力電極を含む圧力センサと、
前記圧力センサの下部に配置され、スペーサ層により前記圧力電極から離隔された遮蔽用部材と、
駆動信号が印加される複数の駆動電極とタッチ位置を検出することができる感知信号が出力される複数の受信電極と、
を含み、
前記圧力電極と前記遮蔽用部材との間の距離によって変わる、前記圧力電極から検出される静電容量に基づいてタッチ圧力の大きさを検出することができ、
前記ディスプレイモジュールは前記タッチによって撓み、
前記ディスプレイモジュールが撓むことによって前記圧力電極から検出される前記静電容量が変わる、
スマートフォン。」

[補正後の請求項1]
「【請求項1】
カバー層と、
前記カバー層の下部に配置される有機発光ディスプレイモジュールと、
前記ディスプレイモジュールの下部に付着される圧力電極を含んで、一つのシート状に形成された圧力センサと、
前記圧力センサの下部に配置され、スペーサ層により前記圧力電極から離隔され、バッテリー及び回路基板のうちの少なくとも一つの実装空間を、前記ディスプレイモジュールから分離するか、前記回路基板または前記ディスプレイモジュールから発生するノイズを遮蔽するように構成された遮蔽用部材と、
駆動信号が印加される複数の駆動電極とタッチ位置を検出することができる感知信号が出力される複数の受信電極と、
を含み、
前記圧力電極と前記遮蔽用部材との間の距離によって変わる、前記圧力電極から検出される前記遮蔽用部材と前記圧力電極との間の自己静電容量に基づいてタッチ圧力の大きさを検出することができ、
前記ディスプレイモジュールは前記タッチによって撓み、
前記ディスプレイモジュールが撓むことによって前記圧力電極から検出される前記自己静電容量が変わる、
スマートフォン。」

本件補正の内の上記補正事項は、補正前の請求項1に記載のあった発明を特定するために必要な事項である「圧力センサ」に関して、「一つのシート状に形成された」と限定し、「遮蔽用部材」に関して、「バッテリー及び回路基板のうちの少なくとも一つの実装空間を、前記ディスプレイモジュールから分離するか、前記回路基板または前記ディスプレイモジュールから発生するノイズを遮蔽するように構成された」と限定し、「静電容量」を「前記遮蔽用部材と前記圧力電極との間の自己静電容量」と限定したものである。

2.本件補正の却下の決定の理由の概要
本件補正は限定的減縮を目的としている。この場合、補正後の請求項1-7に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
しかしながら、当該補正後の請求項1-7に係る発明は、引用文献1-3、5-6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、この補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下する。

<引用文献等一覧>
1.特開2011-100364号公報
2.特開2013-242770号公報
3.特開2012-084025号公報(周知技術を示す文献)
5.国際公開第2014/080924号(新たに引用された文献、周知技術を示す文献)
6.国際公開第2011/013588号(新たに引用された文献、周知技術を示す文献)

3.上記理由についての検討
(1)本件補正による補正後の請求項1に係る発明
本件補正による補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)は、上記「1.」の[補正後の請求項1]の欄に転記したとおりのものである。

(2)引用文献、引用発明等
原審の補正の却下の決定において引用された上記引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は、当審で付与した。)。

a)「【0031】
<第1の実施形態>
[センサ装置の構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るセンサ装置を示す模式的な断面図である。図2は、図1に示すセンサ装置の模式的な分解斜視図である。図2では、後に説明するセンサ装置のフレームが省略されて図示されている。
【0032】
センサ装置100は、筐体1と、筐体1の内部に配置されるタッチパネル2と、感圧センサ3とを有する。筐体1は、開口部4aが形成されたフレーム4と、開口部4aを覆うようにフレーム4に固定される表示カバー5とを有する。表示カバー5により覆われた開口部4aは、筐体1の内部空間の一部を構成する。タッチパネル2は、開口部4aに配置されるように表示カバー5に支持される。
【0033】
図2に示すように、表示カバー5は矩形状でなり、例えば指やタッチペン等の図示しない操作子により押圧される操作領域5aと、操作領域5aの周りを囲む周縁領域5bとを有する。フレーム4は、開口部4aの周りに設けられた固定部4bを有しており、図1に示すように、この固定部4bに表示カバー5の周縁領域5bが固定される。従って、表示カバー5の操作領域5aにより、フレーム4の開口部4aが覆われることになる。
【0034】
表示カバー5は、操作領域5aに作用する所定以上の押圧力に対して、周縁領域5bと固定部4bとの間の接合点を支点とする操作領域5aの撓み変形が可能なように構成される。操作領域5aの撓み変形は弾性的であり、操作領域5aの撓み量は押圧力に応じて連続的に変化する。表示カバー5は、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明プラスチック板のほか、ガラス板、セラミックス板等で構成することができる。表示カバー5は、筐体の一部として適宜の剛性を有しつつ、ユーザによる所定以上の押圧操作力を受けて変形できるように、その厚み及び大きさ等が設定される。
【0035】
本実施形態では、表示カバー5の操作領域5aの内面6aに、タッチパネル2の上面2a(第1の面)が接着され、タッチパネル2の下面2b(第2の面)には、例えば液晶パネル等の表示パネル7が設けられる。操作領域5aの内面6a及びタッチパネル2の上面2aは、例えば、ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製の光学弾性樹脂「SRV(Super View Resin)」(商品名)等の図示しない透明な接着層により相互に接合される。またタッチパネル2の下面2b及び表示パネル7も同様の接着層により相互に接合される。表示パネル7の下側には、クッション部材8を介して金属シールド9が設けられ、この金属シールド9は、フレーム4の底部4cに固定される。
【0036】
本実施形態では、タッチパネル2として静電容量方式のものが用いられる。例えばPET基板等の透明な部材からなるX電極基板及びY電極基板の2つの基板が積層される。X電極基板及びY電極基板には、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明な導電性材料からなる検出用X透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンがそれぞれ形成される。検出用X透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンは共に、一方向に延在するストライプ状の形状となるように形成される。X電極基板及びY電極基板が積層される際には、検出用X透明電極パターンの延在方向と検出用Y透明電極パターンの延在方向とが、互いに略直交するように積層される。このようなものがタッチパネル2として用いられる場合、検出用X透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンは、制御ユニットCに電気的に接続される。
【0037】
静電容量方式のものの代わりに、タッチパネル2として、例えば、光学方式、表面弾性波方式、抵抗膜方式、又は超音波方式等を採用したタッチパネルが用いられてもよい。
【0038】
制御ユニットCは、例えば、回路基板とこれに搭載される演算処理回路、メモリ等を含む各種電子部品で構成される。制御ユニットCは、筐体1(フレーム4)の内部に収容され、さらに詳しくは、金属シールド9とフレームの底部4cの間の空間内に配置されている。制御ユニットCは、タッチパネル2による操作位置の検出制御、表示パネル7の表示制御、後述する感圧センサ3による押圧力の検出制御など、センサ装置100の動作全体を制御する。
【0039】
次に、感圧センサ3の構成について説明する。
【0040】
図1に示すように、感圧センサ3は、表示カバー5とフレーム4との間に設けられる。図2に示すように、感圧センサ3は環状に形成された第1の電極10と、同じく環状に形成された第2の電極11とを有する。第1及び第2の電極10及び11には図示しない配線が接続され、この配線により、制御ユニットCに電気的に接続される。タッチパネル2は、この環状の第1及び第2の電極10及び11の、環の内部側に配置される。
【0041】
第1及び第2の電極10及び11としては、例えば銅、銀、ニッケル、アルミニウム、金等の金属材料や、ZnO、ITO等の透明な導電性酸化物材料が用いられる。また、これらの導電性材料の表面に、例えばポリイミド等の絶縁材料が積層されたものが、第1及び第2の電極10及び11として用いられてもよい。
【0042】
図3は、図1に示す感圧センサ3を拡大して示す部分拡大図である。図3に示すように、上記した第1の電極10は、粘着剤12aを介して、表示カバー5の周縁領域5bの内面6bに設けられる。第2の電極11は、粘着剤12bを介して、フレーム4の固定部4bに設けられる。第1及び第2の電極10及び11は、それぞれ対向するように配置され、第1及び第2の電極10及び11の間はエアギャップ13となる。粘着剤12a、12bとしては、例えばアクリル樹脂系の透明粘着剤が用いられる。
【0043】
第1及び第2の電極10及び11の厚みは、例えば10μm以上100μm以下の範囲である。また、第1の電極10と、表示カバー5の周縁領域5bの内面6bとの接触幅は、例えば1mmである。同様に第2の電極11と、フレーム4の固定部4bとの接触幅は、例えば1mmである。エアギャップ13の大きさは、例えば10μm以上100μm以下の範囲であり、本実施形態では、エアギャップ13の大きさを10μm以上30μm以下としている。エアギャップ13の大きさは、表示カバー5の撓み変形の際に第1及び第2の電極10及び11が相互に接触しない大きさに設定される。
【0044】
第1の電極10として、例えば表示カバー5の周縁領域5bの内面6bに、例えば銅、金等の金属ペーストを印刷したものが用いられてもよい。同様に第2の電極11として、フレーム4の固定部4bに金属ペーストを印刷したものが用いられてもよい。」

b)「【0050】
タッチパネル2の検出用X透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンには所定の電圧が加えられる。操作領域5aに操作子が接触すると、接触位置で重なるX透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンの静電容量が変化する。そうすると検出用X透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンを流れる電流が変化し、その変化が制御ユニットCにて検出される。制御ユニットCは、検出された電流の変化に基づいて、操作子が接触した位置のXY座標を特定し、その結果に基づいてセンサ装置100の動作を制御する。」

c)「【0064】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係るセンサ装置について説明する。これ以降の説明では、上記の実施形態で説明したセンサ装置100における構成及び作用と同様な部分については、同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。」

d)「【0106】
<第7の実施形態>
図19は、本発明の第7の実施形態に係るセンサ装置を示す模式的な断面図である。図20は、図19に示すセンサ装置の模式的な分解斜視図である。
【0107】
本実施形態のセンサ装置700では、図19及び図20に示すように、タッチパネル2の下面2bに表示パネル7の上面7a(第1の面)が接着され、表示パネル7の下面7b(第2の面)に感圧センサ703が設けられる。表示カバー5は、環状に形成された粘着剤712によりフレーム4に固定される。
【0108】
図20に示すように、第1及び第2の電極10及び11は、表示パネル7の下面7b及び金属シールド9にそれぞれ設けられる。第1及び第2の電極10及び11の間には、スペーサ714が設けられる。本実施形態では、スペーサ714として矩形状の「ポロン」が用いられているがこれに限られない。スペーサ714として、例えば第1及び第2の電極10及び11の形状と同様な環状のものが用いられてもよい。なお図20では、スペーサ714は省略されている。
【0109】
本実施形態のセンサ装置700では、表示カバー5の操作領域5aが押圧された際に、表示カバー5が撓むように変形し、これと一体となってタッチパネル2及び表示パネル7が撓むように変形する。これにより操作領域5aに加えられた押圧力が、表示カバー5の撓み量に応じた第1及び第2の電極10及び11間の静電容量の変化に基づいて検出される。
【0110】
図21は、本実施形態に係る第1及び第2の電極10及び11の形状等の、他の例を示した図である。図21では、表示パネル7の下面7bに設けられた第1及び第2の電極10及び11が示されている。スペーサ714(図示せず)は、第1及び第2の電極10及び11の形状等に合わせて適宜設けられる。
【0111】
図21(A)に示すように、第1及び第2の電極10及び11が、表示カバー5の四隅に対応する位置と、操作領域5aの中央に対応する位置とに複数設けられてもよい。複数の第1及び第2の電極10及び11は、配線724によりそれぞれ電気的に接続されている。これにより操作領域5aの押圧位置にかかわらず、高い精度で押圧力を検出することができる。
【0112】
図21(B)に示すように、第1及び第2の電極10及び11が、操作領域5aの中央に対応する位置に所定の面積で設けられてもよい。例えば第1及び第2の電極10及び11の面積を大きくすることで、操作領域5aの押圧位置にかかわらず、高い精度で押圧力を検出することができる。
【0113】
本実施形態では、表示パネル7により、操作領域5aに画像が表示される。図19及び図20に示すように、操作領域5aは、表示パネル7から見て上面7a側に位置する。従って、表示パネル7の下面7bに設けられた感圧センサ703により、表示パネル7の画像の表示が遮られることがない。これにより感圧センサ703(第1及び第2の電極10及び11)の形状や数、又は表示パネル7に対する感圧センサ703の位置等の自由度が大きくなる。特に、図21(A)及び図21(B)に示すように、表示カバー5の操作領域5aの中央に対応する位置に感圧センサ703を設けることができる。
【0114】
また感圧センサ703が、表示パネル7の下面2bに設けられるので、表示カバー5、タッチパネル2及び表示パネル7の構造を、感圧センサ703が設置される位置にかかわらず、良好な光学特性が得られるように適宜設定することができる。」

e)「【0128】
<第10の実施形態>
図25は、本発明の第10の実施形態に係る電子機器1000を示す模式的な斜視図である。電子機器1000は、上記した各実施形態のセンサ装置の内部に、以下で説明する制御ユニットが組み込まれたものである。
【0129】
制御ユニットは、例えば指等の操作子により、表示カバー1005の操作領域1005aが押圧された際に、その押圧位置及び押圧力に基づいて、電子機器1000に所定の動作をさせる。すなわち制御ユニットは、筐体1001の内部のタッチパネルにより検出された操作子の接触位置に関する信号と、筐体1001の内部の感圧センサにより検出された操作子の押圧力に関する信号とを処理することが可能である。
【0130】
例えば、制御ユニットにより、操作領域1005aに複数のボタンが画像として表示される。そのボタンがユーザにより押圧されると、制御ユニットは、操作子の接触位置及び押圧力に基づいて、どのボタンが押圧されたかを判断する。そして、例えば押圧されたと判断したボタンに対応する画像を操作領域1005aに表示させる。あるいは、押圧されたと判断したボタンに対応するアプリケーションを起動させてもよい。
【0131】
本実施形態において、上記制御ユニットは、第1及び第2の電極間の静電容量の変化等を検出する演算回路を有する。制御ユニットは、操作領域5aに加えられた押圧力を検出する。
【0132】
例えば上記制御ユニットは、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェア及びハードウェアの両方で実現されてもよい。ハードウェアは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、NIC(Network Interface Card)、WNIC(Wireless NIC)等を含む。ソフトウェアを構成する各種プログラムは、ROMやその他の記憶デバイスに格納される。
【0133】
このような電子機器1000としては、例えば、デジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等の撮像装置、携帯電話及び携帯型オーディオビジュアル機器等の端末装置、携帯ゲーム機器、PDA(Personal Digital Assistance)、オンスクリーンキーボード、電子辞書、ディスプレイ装置、オーディオ/ビジュアル機器、プロジェクタ、ゲーム機器、ロボット機器、その他の電化製品等が挙げられる。」

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「センサ装置100は、筐体1と、筐体1の内部に配置されるタッチパネル2と、感圧センサ3とを有し、
筐体1は、開口部4aが形成されたフレーム4と、開口部4aを覆うようにフレーム4に固定される表示カバー5とを有し、
タッチパネル2は、開口部4aに配置されるように表示カバー5に支持され、
表示カバー5の操作領域5aの内面6aに、タッチパネル2の上面2a(第1の面)が接着され、タッチパネル2の下面2b(第2の面)には、液晶パネル等の表示パネル7が設けられ、
表示パネル7の下側には、金属シールド9が設けられ、この金属シールド9は、フレーム4の底部4cに固定され、
タッチパネル2として静電容量方式のものが用いられ、
透明な部材からなるX電極基板及びY電極基板の2つの基板が積層され、
X電極基板及びY電極基板には、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明な導電性材料からなる検出用X透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンがそれぞれ形成され、
X電極基板及びY電極基板が積層される際には、検出用X透明電極パターンの延在方向と検出用Y透明電極パターンの延在方向とが、互いに略直交するように積層され、
制御ユニットCは、回路基板とこれに搭載される演算処理回路、メモリ等を含む各種電子部品で構成され、金属シールド9とフレームの底部4cの間の空間内に配置され、
感圧センサ3は第1の電極10と、第2の電極11とを有し、
第1の電極10として、同様に第2の電極11として、金属ペーストを印刷したものが用いられ、
タッチパネル2の検出用X透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンには所定の電圧が加えられ、操作領域5aに操作子が接触すると、接触位置で重なるX透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンの静電容量が変化し、そうすると検出用X透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンを流れる電流が変化し、その変化が制御ユニットCにて検出され、制御ユニットCは、検出された電流の変化に基づいて、操作子が接触した位置のXY座標を特定し、その結果に基づいてセンサ装置100の動作を制御するものであり、
タッチパネル2の下面2bに表示パネル7の上面7a(第1の面)が接着され、表示パネル7の下面7b(第2の面)に感圧センサ703が設けられ、
第1及び第2の電極10及び11は、表示パネル7の下面7b及び金属シールド9にそれぞれ設けられ、第1及び第2の電極10及び11の間には、スペーサ714が設けられ、
表示カバー5の操作領域5aが押圧された際に、表示カバー5が撓むように変形し、これと一体となってタッチパネル2及び表示パネル7が撓むように変形し、これにより操作領域5aに加えられた押圧力が、表示カバー5の撓み量に応じた第1及び第2の電極10及び11間の静電容量の変化に基づいて検出され、
センサ装置の内部に制御ユニットが組み込まれた、携帯電話等が挙げられる電子機器1000。」

原審の補正の却下の決定において引用された、上記引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。

f)「【0119】
本発明は上記の説明に限定されない。
例えば、実施形態においてはタッチパネル基板を液晶表示装置に適用した形態を示しているが、これに限らず、LED(発光ダイオード)表示装置、有機EL(Electro Luminescence)などのEL表示装置、VFD(蛍光表示管)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)などの液晶表示装置以外の表示装置に適用可能であり、各種の表示装置を構成する基板を本発明のタッチパネル基板とすることで、内蔵オンセル型のタッチパネル付表示装置を実現可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。」

原審の補正の却下の決定において引用された、引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。

g)「【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例は、本発明の特許請求の範囲の解釈を限定するためのものではない。
図1は、本発明の実施例のタッチパネル付き表示装置の概略構成を示す図である。
図1において、400はタッチパネルである。タッチパネル400は、容量検出用のX電極と、Y電極を有する。ここでは、例えばX電極を4本(X1?X4)、Y電極を4本(Y1?Y4)で図示しているが、電極数はこれに限らない。
タッチパネル400は表示装置600の前面に設置される。従って、表示装置600に表示された画像を使用者が見る場合には、表示画像がタッチパネル400を透過する必要があるため、タッチパネル400は光透過率が高いことが望ましい。
タッチパネル400のX電極とY電極は、検出用配線201によって容量検出部102に接続される。容量検出部102は、制御部103から出力される検出制御信号202により制御され、X電極X1?X4を送信電極(駆動電極)として順次パルス印加を行い、Y電極Y1?Y4を受信電極とすることで、各電極交点における電極間容量を測定し、各電極間の交点の容量値によって変化する容量検出信号203を制御部103に出力する。
【0009】
記憶部4は、制御部103がタッチ検出処理を行う上で必要となる作業用データとして、各電極(X電極、Y電極)間の交点毎に、基準値41と、測定値42と、信号値43とを記憶するとともに、タッチ状態管理表44を格納する。
基準値41、測定値42、および信号値43は、X電極数を横の要素数、Y電極数を縦の要素数とする二次元配列データである。基準値41は、非タッチ状態における測定値42を記録しておくデータである。信号値43は、タッチ検出処理において測定値42をもとに算出されるデータである。タッチ状態管理表44は、タッチ検出結果として、タッチ座標等を格納する表である。
制御部103は、各電極の容量検出信号203から各電極間の電極間容量を計算するとともに、各電極間の電極間容量から入力座標を演算して求める。制御部103は、I/F信号204を用いて入力座標をシステム制御部104に転送する。
システム制御部104は、タッチ操作によりタッチパネル400から入力座標が転送されると、そのタッチ操作に応じた表示画像を生成して、表示制御信号205として表示制御回路105に転送する。
表示制御回路105は、表示制御信号205により転送される表示画像に応じて表示信号206を生成し、表示装置600に画像を表示する。
【0010】
図2は、本発明の実施例のタッチパネル付き表示装置を説明するための要部断面図であり、表示パネル上に、タッチパネルとフロントパネルを積層した多層構造を説明するための図である。
なお、表示パネルとしては、タッチパネルを用いることができるものであれば良く、液晶表示パネルに限らず、有機発光ダイオード素子や表面伝導型電子放出素子を用いる表示パネル、あるいは、有機EL表示パネルなども使用可能である。
本実施例の表示装置600は、図2に示すように、液晶表示パネル100と、液晶表示パネル100の観察者側の面上に配置された静電容量方式のタッチパネル400と、液晶表示パネル100の観察者側とは反対側の面下に配置されたバックライト700とを備えている。液晶表示パネル100としては、例えばIPS方式、TN方式、VA方式等の液晶表示パネルが用いられている。
液晶表示パネル100は対向して配置された2枚の基板620と630とが貼り合わされて形成されており、2枚の基板の外側には偏光板601、602が設けられている。
また、液晶表示パネル100とタッチパネル400とは樹脂・粘着フィルム等からなる第1の接着剤501により接合されている。さらに、タッチパネル400の外側にはアクリル樹脂からなるフロントパネル(前面保護板、フロントウインドウとも呼ぶ)12が樹脂・粘着フィルム等からなる第2の接着剤502により貼り合わされている。」

原審の補正の却下の決定において引用された、引用文献5には、図面とともに以下の事項が記載されている。

h)「[0065] 図11は、本実施形態に係る近接・接触センサの分解斜視図である。近接・接触センサ1は、シート状の第1電極E_(1)とシート状の第2電極E_(2)とが、弾性体からなる中間層15を挟んで対向して積層されている。第1電極E_(1)には電源部30から交流電圧が印加され、グラウンド間の静電容量が測定される。第2電極E_(2)は、シールドの役割を兼ねるために、グラウンド又は測定電圧と同電位・同位相にスイッチで接続される。
[0066] 図12は、本実施形態に係る近接・接触センサの測定手法を示す図である。第2電極E_(2)を測定電極と同電位・同位相に接続した場合、接地された対象物(例えば、人の指等)が接近するとC_(1)は変化する(図12(A)、(B)を参照)。すなわち、第1電極E_(1)及び第2電極E_(2)間は同電位・同位相であるため電流が流れず、測定される静電容量に影響を与えない。つまり、下方からのノイズに影響されることなくC_(1)のみを正確に測定することで、対象物の接近を正確に測定することができる。
[0067] 次に、第2電極E_(2)をグラウンドに接続した場合、第1電極E 1 と第2電極E_(2)との間には電位差があり電流が流れる。そのため、測定静電容量は、C_(1)及びC_(2)の影響を受ける。C_(2)は第1電極E_(1)と第2電極E_(2)間の距離、すなわち押し込み量により変化するので、下方からのノイズの影響を受けることなく対象物の接触位置及び押し込み量を正確に測定することが可能となる。」

原審の補正の却下の決定において引用された、引用文献6には、図面とともに以下の事項が記載されている。

i)「[0044] 図4に示すように、それぞれの対向電極層33は、前記弾性部材10の支持部12を挟んで前記シールド電極層32に対向している。6箇所に設けられた対向電極層33とシールド電極層32とで押圧検知装置が構成されている。この押圧検知装置では、図10に示す押圧検知部46の回路によって、対向電極層33とシールド電極層32とにより形成されるコンデンサを含む微分回路が構成されている。押圧検知部46からそれぞれの対向電極層33に、パルス状などの電圧が短い時間で且つ一定周期で繰り返して印加される。同じ電極層33から前記微分回路における電流の立ち上がりの遅延状態が検知される。前記操作パネル20が押されて、対向電極層33とシールド電極層32との対向距離が変化し静電容量が変化すると、前記電流の立ち上がり時刻が変化する。押圧検知部46において、この変化を検知することで、操作パネル20が押圧されたか否かが判断される。
[0045] なお、対向電極層33に対する通電時刻は、前記位置検知装置を構成する電極層27,28に通電される時刻と重複しないように割り振られる。また、複数の対向電極層33に対して順番に電圧が印加される。
[0046] この携帯機器1は、ケース2の内部に設けられた表示装置41で表示される画像が、操作パネル20において加飾層24で覆われていない透過領域20Bにおいて外部から目視できる。この表示内容に応じて、操作パネル20の表面の操作面20Cに指が触れると、電極層27,28が対向する位置検知装置および図10に示す位置検知部45によって、指が触れている位置が検知されて操作判定部47にその情報が与えられる。この操作において操作パネル20が押されると、対向電極層33とシールド電極層32との対向距離の変化が、押圧検知部46で検知され、その情報が操作判定部47に与えられる。操作判定部47では、押圧検知部46において操作パネル20が押されたと検知されたときに、指が触れている箇所での操作が実行されたと判断し、表示装置41によって表示されている画像と指が触れている位置との関係で決められている操作信号が生成される。」

上記の記載によれば、引用文献2,3には、タッチパネルに用いられる表示装置として、有機EL表示装置を用いる技術が記載されている。

また、引用文献5,6には、押圧により電極間距離が変化し、当該距離の変化を電極間の静電容量の変化として検出する押圧検出器において、電極の一方をシールド電極とする技術が記載されている。

(3)対比・判断
補正発明と引用発明とを対比する。

ア.引用発明の「表示カバー5」は、「タッチパネル2の上面2a(第1の面)が接着され、タッチパネル2の下面2b(第2の面)には、液晶パネル等の表示パネル7が設けられ」るものであるから、補正発明の「カバー層」に相当する。

イ.引用発明の「液晶パネル等の表示パネル7」は、「タッチパネル2」を介して「表示カバー5」の下方に設けられているから、補正発明の「前記カバー層の下部に配置される有機発光ディスプレイモジュール」と「前記カバー層の下部に配置されるディスプレイモジュール」である点で共通する。

ウ.引用発明の「感圧センサ」を構成する「第1の電極10と、第2の電極11」は、「金属ペーストを印刷したもの」からなる電極であるから、「圧力電極」であり、「シート状に形成された」といい得るものである。
また、引用発明の「第1の電極10と、第2の電極11」は、「表示パネル7の下面7b及び金属シールド9にそれぞれ設けられ」るものであるから、「第1及び第2の電極10及び11」のうち「表示パネル7の下面7b」に設けられる電極は、「前記ディスプレイモジュールの下部に付着される圧力電極」といい得るものである。
したがって、引用発明の「表示パネル7の下面7b」に設けられる電極から構成される「感圧センサ」は、補正発明の「前記ディスプレイモジュールの下部に付着される圧力電極を含んで、一つのシート状に形成された圧力センサ」に相当する。

エ.引用発明の「第1の電極10と、第2の電極11は、表示パネル7の下面7b及び金属シールド9にそれぞれ設けられ、第1及び第2の電極10及び11の間には、スペーサ714が設けられ」ているから、引用発明の「金属シールド9」は、「第1の電極10と、第2の電極11」から構成される「感圧センサ」の下側に配置されるといえ、また、「スペーサ714」により「表示パネル7の下面7b」に設けられた電極から離隔されているといえる。
また、引用発明の「金属シールド9」は「表示パネル7の下側」に設けられ、「回路基板とこれに搭載される演算処理回路、メモリ等を含む各種電子部品で構成」される「制御ユニットC」は「金属シールド9とフレームの底部4cの間の空間内に配置」されるものであるから、引用発明の「金属シールド9」は、「制御ユニットC」が配置される空間を「表示パネル7」から分離するように構成されているといえる。
さらに、金属シールドがノイズを遮蔽するものであることは明らかであるから、引用発明の「金属シールド9」は、「制御ユニットC」または「表示パネル7」から発生するノイズを遮蔽するように構成されているといえる。
したがって、引用発明の「金属シールド9」は、補正発明の「前記圧力センサの下部に配置され、スペーサ層により前記圧力電極から離隔され、バッテリー及び回路基板のうちの少なくとも一つの実装空間を、前記ディスプレイモジュールから分離するか、前記回路基板または前記ディスプレイモジュールから発生するノイズを遮蔽するように構成された遮蔽用部材」に相当する。

オ.引用発明の「タッチパネル2」は、「検出用X透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンには所定の電圧が加えられ、操作領域5aに操作子が接触すると、接触位置で重なるX透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンの静電容量が変化し、そうすると検出用X透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターンを流れる電流が変化し、その変化が制御ユニットCにて検出され、制御ユニットCは、検出された電流の変化に基づいて、操作子が接触した位置のXY座標を特定」するものであるから、引用発明の「タッチパネル2」の「検出用X透明電極パターン及び検出用Y透明電極パターン」は、補正発明の「駆動信号が印加される複数の駆動電極とタッチ位置を検出することができる感知信号が出力される複数の受信電極」に相当する。

カ.引用発明の「感圧センサ」は、「表示カバー5の操作領域5aが押圧された際に、表示カバー5が撓むように変形し、これと一体となってタッチパネル2及び表示パネル7が撓むように変形し、これにより操作領域5aに加えられた押圧力が、表示カバー5の撓み量に応じた第1及び第2の電極10及び11間の静電容量の変化に基づいて検出され」るものである。
そして、引用発明は「第1の電極10と、第2の電極11は、表示パネル7の下面7b及び金属シールド9にそれぞれ設けられ、第1及び第2の電極10及び11の間には、スペーサ714が設けられ」ていることを考慮すれば、「表示カバー5の操作領域5aが押圧された際に」、「表示カバー5が撓むように変形し、これと一体となってタッチパネル2及び表示パネル7が撓むように変形」する一方、「金属シールド9」は変形せず、「表示パネル7の下面7b及び金属シールド9にそれぞれ設けられ」た「第1及び第2の電極10及び11」間の距離が変わることにより「第1及び第2の電極10及び11間の静電容量」が変化することは明らかであり、「表示パネル7の下面7b」に設けられた電極と「金属シールド9」との間の距離により、「第1及び第2の電極10及び11間の静電容量」が変化するといい得るものである。
また、引用発明の「第1及び第2の電極10及び11間の静電容量」は、圧力により電極間距離が変化する電極同士の間の静電容量であるから、自己静電容量といい得るものである。
そして、引用発明の「第1及び第2の電極10及び11」のうち「金属シールド9」に設けられた電極は、遮蔽用部材部分に設けられた電極といえ、補正発明の「自己静電容量」が検出される「遮蔽用部材」とは、「遮蔽用部材部分の導体」である点で共通するといえる。
したがって、引用発明の「感圧センサ」が「表示カバー5の操作領域5aが押圧された際に、」「操作領域5aに加えられた押圧力」を「表示カバー5の撓み量に応じた第1及び第2の電極10及び11間の静電容量の変化に基づいて検出」することは、補正発明の「前記圧力電極と前記遮蔽用部材との間の距離によって変わる、前記圧力電極から検出される前記遮蔽用部材と前記圧力電極との間の自己静電容量に基づいてタッチ圧力の大きさを検出すること」と「前記圧力電極と前記遮蔽用部材との間の距離によって変わる、前記圧力電極から検出される前記遮蔽用部材部分の導体と前記圧力電極との間の自己静電容量に基づいてタッチ圧力の大きさを検出すること」である点で共通するといえる。

キ.引用発明は「表示カバー5の操作領域5aが押圧された際に、表示カバー5が撓むように変形し、これと一体となってタッチパネル2及び表示パネル7が撓むように変形」するものであり、「操作領域5a」の押圧は「タッチパネル2」へのタッチともいい得るものであるから、引用発明が「操作領域5aが押圧された際に」「表示パネル7が撓む」ことは、補正発明の「前記ディスプレイモジュールは前記タッチによって撓」むことに相当する。

ク.上記カ.において検討したことから、引用発明の「表示カバー5の操作領域5aが押圧された際に、表示カバー5が撓むように変形し、これと一体となってタッチパネル2及び表示パネル7が撓むように変形し、これにより操作領域5aに加えられた押圧力が、表示カバー5の撓み量に応じた第1及び第2の電極10及び11間の静電容量の変化に基づいて検出され」ることは、補正発明の「前記ディスプレイモジュールが撓むことによって前記圧力電極から検出される前記自己静電容量が変わる」ことに相当する。

ケ.引用発明の「電子機器1000」は、「携帯電話等が挙げられる」ものであるから、補正発明の「スマートフォン」に相当する。

したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。

〈一致点〉
「カバー層と、
前記カバー層の下部に配置されるディスプレイモジュールと、
前記ディスプレイモジュールの下部に付着される圧力電極を含んで、一つのシート状に形成された圧力センサと、
前記圧力センサの下部に配置され、スペーサ層により前記圧力電極から離隔され、バッテリー及び回路基板のうちの少なくとも一つの実装空間を、前記ディスプレイモジュールから分離するか、前記回路基板または前記ディスプレイモジュールから発生するノイズを遮蔽するように構成された遮蔽用部材と、
駆動信号が印加される複数の駆動電極とタッチ位置を検出することができる感知信号が出力される複数の受信電極と、
を含み、
前記圧力電極と前記遮蔽用部材との間の距離によって変わる、前記圧力電極から検出される前記遮蔽用部材部分の導体と前記圧力電極との間の自己静電容量に基づいてタッチ圧力の大きさを検出することができ、
前記ディスプレイモジュールは前記タッチによって撓み、
前記ディスプレイモジュールが撓むことによって前記圧力電極から検出される前記自己静電容量が変わる、
スマートフォン。」

〈相違点1〉
「ディスプレイモジュール」が、補正発明では、「有機発光ディスプレイモジュール」であるのに対し、引用発明では、「表示パネル7」であり、有機発光ディスプレイと特定されていない点。

〈相違点2〉
タッチ圧力の大きさを検出するための「遮蔽用部材部分の導体」が、補正発明では、「遮蔽用部材」自体であるのに対し、引用発明では、「第1及び第2の電極10及び11」のうち「金属シールド9」に設けられた電極である点。

(4)相違点についての判断
〈相違点1〉について
タッチパネルに用いられる表示装置として、有機EL表示装置を用いることは、引用文献2,3に記載されるように、原出願の優先日前周知技術であり、引用発明において、「表示パネル7」を有機発光ディスプレイとすることに、格別な困難性は認められない。

〈相違点2〉について
押圧により電極間距離が変化し、当該距離の変化を電極間の静電容量の変化として検出する押圧検出器において、電極の一方を遮蔽用部材であるシールド電極とすることも、引用文献5,6に記載されるように、原出願の優先日前周知技術である。
そして、押圧力を検出するための静電容量を形成する電極として、「金属シールド9」自体を用いるか、「金属シールド9」に設けられた電極を用いるかは、当業者が必要に応じて適宜選択すべき事項にすぎないと認められるから、補正発明の相違点2は格別な相違ということはできない。

したがって、補正発明は、引用発明及び各周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

なお、請求人は、平成29年1月18日付けの、審判請求書の手続補正書において、
「引用文献1の段落0042の「第1の電極10と第2の電極11はともに対向するように配置され」という記載、段落0091の「・・・第1の電極10及び差動電極216は、タッチパネル2を間に挟んで対向する。従って、操作領域5aが押圧された際に第1の電極10及び差動電極216間の静電容量はほとんど変化しない。これにより操作領域5aに加えられる押圧力が、第1及び第2の電極10及び11間の静電容量と、第1の電極10及び差動電極216間の静電容量との差分の変化率に基づいて精度よく検出される。」という記載からも明らかなように、引用文献1で用いられる各電極は、検出精度のためには互いに対向する形状、つまりは同じ形状で形成される必要性があることに他なりません。

一方、審査官殿は、引用文献5及び6に記載の周知技術を適用して、一方の電極をシールド電極で兼用することは設計変更の範囲内に過ぎないとご認定されております。
しかし、引用文献1の発明において、金属シールド9はセンサ装置700の全面に渡って形成された部材であって、第1の電極10とは全くその形状が異なるものであります。
上記のとおり、引用文献1の発明において第1の電極10と対になる電極は同じ形状を有していなければ検出精度の観点で望ましくありません。そのような引用文献1の発明において、第1の電極10とは全く形状のことなる金属シールド9をその対となる電極として用いることには、検出精度の観点で阻害要因が存在します。」
と主張している。

しかしながら、請求人の指摘する引用文献1の記載はいずれも、各電極が対向して設けられていることを表しているにすぎず、静電容量を形成する2つの電極が「同じ形状」である必要があることを示す記載であるとは認められない。
また、引用文献1の「第1及び第2の電極10及び11」は、形状が特定のものである必要があるものではなく、図21(B)に示されるように「操作領域5aの中央に対応する位置に所定の面積で設けられてもよい」(【0112】)ものであることを考慮すれば、「表示パネル7の下面7b」に設けられる電極を「金属シールド9」と同一の形状とすることも可能である。
したがって、引用文献1の発明において、第1の電極10とは全く形状の異なる金属シールド9をその対となる電極として用いることには、検出精度の観点で阻害要因が存在するとする請求人の主張は採用できない。

(5)小括
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
したがって、本件却下の決定は、妥当である。

第3 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成28年4月22日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(以下、「本願発明」という。「第2」の「1.本件補正の概要」の[補正前の請求項1]参照。)。

第4 引用文献、引用発明等
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1?3及びその記載事項は、前記「第2」の「3.上記理由についての検討」の「(2)引用文献、引用発明等」に記載した通りである。

第5 対比・判断
本願発明は、補正発明から、前記「第2」の「1.本件補正の概要」に記載した限定を外したものであり、補正発明と引用発明との相違点2に係る構成を有さないものである。
してみると、本願発明の発明特定事項をすべて含む補正発明が、前記「第2」の「3.」の「(3)対比・判断」に記載したとおり、引用発明及び各周知技術に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由で、引用発明及び有機EL表示装置を用いることに関する周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び各周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-21 
結審通知日 2017-07-25 
審決日 2017-08-07 
出願番号 特願2016-12175(P2016-12175)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松田 岳士  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 山澤 宏
山田 正文
発明の名称 スマートフォン  
代理人 重森 一輝  
代理人 市川 英彦  
代理人 安藤 健司  
代理人 金山 賢教  
代理人 青木 孝博  
代理人 城山 康文  
代理人 五味渕 琢也  
代理人 小野 誠  
代理人 櫻田 芳恵  
代理人 飯野 陽一  
代理人 坪倉 道明  
代理人 市川 祐輔  
代理人 今藤 敏和  
代理人 川嵜 洋祐  
代理人 岩瀬 吉和  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ